いい名前をつけたい

ようやく『悪は存在しない』を観に行くことができた。一昨日は上映時間を勘違いしていたので観に行けなくて、昨日は別の研究科へ進学した先輩と雑談をしていたら上映時間が過ぎていた。彼とは専門分野や問題関心は異なるんだけど、なんというか態度が近いので楽しく話せる。修士論文の構想と、それをもしより大きな研究に位置づけるとしたらどの章に組み込めるかについてべらべら話して、おもしろそうだねという相槌を打ってもらった。でしょ!

『悪は存在しない』

出町座で『悪は存在しない』を観た。魔法みたいでいい題名だと思う。悪は存在しない。明日からも頑張っていこう!と元気の出る作品ではありませんでした。どれを選択したとしても、自分の社会的な活動を規定する特定の構造には組み込まれざるをえないのだと突き付けられるような感じがした。しんどい。とはいえ、どれを選択するかはある程度(ある程度)選ぶことができますね。あと、ちょうどディミトリス・クシガラタス『リチュアル』を読んでいたこともあって、社会的慣習とそれによって形づくられる規範と価値観が描かれているようにも読めた。つまりそれは儀式です。水汲みと食事よりも説明会、それよりもオンライン会議の方がより儀式的だった。それにしてもすごいタイトルだと思う。悪は存在しない。

ミニマル焼売ほか

夕飯に稲田俊輔『ミニマル料理』を参考にして焼売を作った。ミニマル焼売。かなりひどい出来で、玉ねぎのみじん切りが粗すぎたし、蒸され過ぎた皮がベタベタだったし、しょっぱかった。あと何回か作ればサマになると思う。「ミニマル焼売」というのもいい名前。さっきタイムラインで見つけたツイートで、SoundCloud のマイクロジャンルに関する記事のなかで、マーク・フィッシャーが自身のブログで「ネーミングは中立な言及行為ではなく、初めにはなかった余剰価値を生み出す」と述べていたと書き込まれていたことを思い出した。意図が介入しますね。名前をつける機会があったら、いい名前をつけたい!

ヒューリスティック

濃い味の食べ物で腹を満たしたい気持ちになったので、近所のセブンイレブンでカップ焼きそばと塩むすびを買ってきて、昼すぎの講義で読む論文を振り返りながら食べた。その研究は、嗜好品に関心のある消費者はシンプルなパッケージデザインの製品を購入しない傾向にあると主張していて、たしかにこの U.F.O. はゴチャゴチャした包装をしていると思った。専門書と比べて週刊誌はゴチャゴチャしているし、『悪は存在しない』のポスターよりもオモコロチャンネルのサムネイルの方がゴチャゴチャしている。ちょっと話を飛躍させます。僕はしばしば目的と意図と行為が一貫した人間像を理想としているけれど、実際はそんなに単純なものではないしゴチャゴチャした人間像の方が魅力的でさえあったりすると思う。昼だから大丈夫だろうと短パンで出かけたが寒かった自転車だったし。

講義は先生と僕のふたりで行われている。いわゆるトップジャーナルに掲載された論文をゆっくり読んでいる。前回は僕の予習不足でまともな議論ができなかったので、今回は念入りにレジュメを作成して議論することのできそうなトピックをいくつか準備しておいた。このあいだよりは悪くないディスカッションをすることができたと思う。読んだ論文では「ヒューリスティック」について言及されていた。ヒューリスティックというのは、経験やバイアスにもとづいて簡易的に結論を出すやり方のこと。普段からわたしたちは、比較検討を重ねた合理的な意思決定をしているというよりは、むしろえいや!と判断することもよくあるということですね。ちょうど僕もこの時間のかからない・直感的な・「えいやっ!と飛び出す」ような意思決定をしかねているところ。4 月の半ばごろから就職以外の選択肢が上がってきて、そこから身動きがとれずにいる。身動きをとらないでいるというか、ずっと保留にしているという言い方が近いかもしれない。

講義が終わってから、キャンパスの外のベンチに座ったり寝たりしながら、本多勝一『日本語の作文技術』を流し読みした。これ読んだ後に文章を書くのって緊張する。17 時半からの『悪は存在しない』を観るために出町座へ行ったら、17 時上映開始だった。うどんを食べて帰った。悪は存在しない。

ヒューリスティックで思い出したんだけど、2 年前に受けた講義で紹介された「情動」という概念をずっと覚えている。そこで情動は、言葉になる前の身体的な反応や瞬間的に覚える刺激として定義されていた。つい Twitter のタイムラインのおすすめを眺めてしまう(ほんとは見るだけで嫌な気持ちになるのに)。おもわず Instagram のリールを何度もスワイプしてしまう(どの動画を見ても自分の人生が好転しないと分かっているのに)。やめたいやめたいやめたい気持ちはあるのに、全然やめることができなくて本当につらくなるが、「やめたいけどやめられない」という状況をいったん受け入れるしかない。まずはそこから。ひとまず受容するということについて、最近友だちと合意をとった。

この春からのことについて書きたいと思ったこと・書くべきと思ったことはいくつもあったはずなのに、なにも書けないままそれを見送っていた。たとえば、友だちとご飯に行ったこととか、意味の分からない面接のこととか、ベッドを買ったこととか、久しぶりに運転したこととか、これからの進路のこととか、彼女と踊る!ディスコ室町のライブを観に行ったこととか。

あらゆることを取り組もうとして、すべてが中途半端になりうまくいっておらず、ただ何かを進めているという感覚だけがあり、実際には何ひとつ進んでいない状況にある。とはいえやるしかないので頑張っていこう! 明日からまたあったかいらしいし!

コーン茶(2024年3月)

  • 「いつもの感じで!」とオーダーして適当に返事していたら予想以上に刈り上げられた
    • これはこれでサッパリして意外といいかも
  • 自信をもって話せるようになりたい
  • 最近ハマっているお茶を発表します・コーン茶🌽
  • 2020 年から2021 年にかけて頻繁に聴いていた曲を聴き返すとしんどくなる
  • 飛んでいるカモメみたいな文鎮かわいい
  • 今朝はじめて YUKI 聴いてみたけど良すぎだった
  • ガクヅケのくるりの曲なんだったっけ・ロックンロール
  • なにかを買ったり所有したり見たり聞いたりして楽しくなることってこれからどんどん減っていくだろうからそれ以外に楽しくなれる道すじを確保しておきたい
    • ただ一方で、購買行動や作品に触れることから得られる楽しさを否定したくもなくて、なんか買って嬉しいという気持ちも受け入れたい
  • ルカ・ドンチッチのバスケットボールを見ているとおれもバスケしたくなる
  • フルタイムで働きながら本を読めている人すごすぎる
  • 柴田聡子のインタビューよかった
    • シナジーのビジネスしてる感じけっこういいなって思ってたから聞いてくれてありがとうインタビュアー
  • 東出のドキュメンタリーみのがした
  • 選考中の企業を「持ち駒」って呼ぶのって採用担当者の方とか企業にわるいから嫌だと思っていたんだけど、TrelloでES通った企業のカードをカコって動かしたりしてると「持ち駒」って呼びたくなる気持ちも分かる
  • 他者を見た目で判断することを社会に帰責するんじゃなくて自分の思考様式のひとつとしてひとまず受け入れる
  • miumiu かなりすき
  • 村上春樹の「やれやれ」いじりはまじでおもしろくないので帰ったほうがいい・彼の作品のよさは全体にわたる軽快な言葉運びにあるはずで、細部の言葉選びを抽出して揶揄するのはそもそも的を射ていないと思う
  • Instagram のおすすめ欄へおれを欲情させないでくれという気持ちになること多々あり
  • Twitter スペースの雑談ってインスタント麺みたいだった
  • あなただけしかいないっていう絶対的二者関係で壊れてしまうケースもあれば、あなたのかわりはいくらでもいるっていう相対的二者関係で壊れてしまうケースもあるはずで、おれは前者を崇拝しているが、後者でありうることも理解はしていて、このことについて対立的に考えるのをやめたいと思う
  • 新幹線が速すぎる
    • おれが新幹線を名づける機会を得ていたとしたら安直に「速」という漢字を用いていたと思う
  • ラブ♡ボクシング - song by Kiyoshi Ryujin 25 | Spotify