歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

極端な人

今回は、正義を振りかざす「極端な人」の正体(2020年)を読みました。

 

著者さんはネットメディア論などに関する研究者です。ネトウヨと呼ばれるようなネット右翼やネット炎上のメカニズムなどに「極端な人」の存在があるということが分かったので、まとめたいと思います。

 

 

クレーマーの属性

 

関西大学の池内裕美教授は以下の5つの特徴を挙げているそうです。

①とにかく回数が多い

②不当な金銭要求(「誠意を示せ」などと言い、過大な物品要求、無理難題などの要求をしている)

③因果関係が明らかでない

④恐喝、暴力、脅迫、監禁などをしている

業務妨害(長時間・多頻度)

クレーマーは、自分が正義だと思っているからこそ極端な物言い、批判、人格否定まで含む誹謗中傷を、自信をもって繰り返します。高学歴・高所得で社会階層が高い人が多い、自尊感感情が高く完全主義的な傾向が強い社会的不満が高いといった特徴があるそうです。

 

 

ネトウヨの属性

 

Wikipediaで検索すると、

ネット右翼(ネットうよく)とは、ネット上で右翼的な言動を展開する人々のことである。攻撃的なコメントを展開する人々全般を含むことが多い。

と書かれており、政治的な発言だけではなく、様々なネット炎上にも関連します。

あらゆる事例や研究結果から、「男性」「年収が高い」「主任・係長クラス以上といった属性が炎上に加担しやすい傾向にあることがわかっているのだそうです。そう、クレーマーと同じです。

 

 

ネット炎上メカニズム

 

著者さんの研究によると、炎上1件当たりに参加している人は、ネットユーザの0.0015%しかいなかったのだそうです。一人で、数百のアカウントを作成し、そのアカウントを駆使して次から次へと誹謗中傷やデマ流布を繰り返していたケースもあるそうで、炎上1件あたりの最大投稿回数の分布はロングテール型を示すことが分かっています。

また、「ネット上では非難しあっていい」「世の中は根本的に間違っている」「ずるい奴がのさばるのが世の中」「相手の意見が間違っているなら、どこまでも主張して相手を言い負かしたい」等の考えを持っているそうです。

 

 

極端な正義感

 

どのような炎上事例でも、書き込んでいる人の60~70%の人が「許せなかったから」や「失望したから」といったような、正義感から書き込んでいることが分かっているそうです。人間は正義感をもとに他人に制裁を科すことに悦びを抱く性質があります。

企業でも芸能人でも、一般人であろうとも、自分の言動で相手が社会的制裁を受けているのを見ると、快楽物質「ドーパミン」が分泌され、満たされます。すると、やがて極端に不寛容になり、他人を許さずに正義感から裁くことで快楽を得ようとし続けてしまう、正義中毒者となってしまいます。

ネット上の「極端な人」というのは、一見すると幸せそうに見えても、実は全く満たされていない人なのだということでした。

 

 

議論ができない

 

そして、「極端な人」同士は議論ができません。極端で強い想いを持っている人というのは、基本的に自分の考えを曲げようとせず否定します。特にネット上では「お前は何も分かっていない」「勉強不足」などと相手を否定するばかりで合意形成は不可能です。

著者さんは、誰もが自由に、平等に発信できる空間であったはずのネットが、一部の「極端な人」によってその自由さを失いつつあると述べます。政治、ジェンダー社会保障など、社会にとって大切な問題であればあるほど、「極端な人」が多くの意見を発信することで、ネット上はますます偏りが強くなります。

だからと言って、法的に実名制にしたとしても「正義感」が動機の正義中毒者はめげないだろうということでした。また、サービス事業者を法律で縛ったとしても、オーバーブロッキングの問題が出てきます。発信者情報開示請求を簡略化したり、被害者救済のための法改正が有効ではないかということでした。

 

絡まれたら最後、なかなかやっかいですね…

 

 

まとめ

 

本書では、メディアの影響も多分に書かれており、極端な人の発言をメディアが取り上げたことでさらに炎上が加速し、死者まで出ていることを批判的に指摘しています。

本書を読んで、炎上というのは、実際にはごく一部の人しか参加しておらず、その属性としては意外に高学歴で社会的に認められた人だったということが分かりました。このことを知っているだけでも、もし、自分が炎上の被害者となった場合にも冷静に考えることができそうです。

過去記事「YouTuberはあきらめない」では、あえて炎上が起きそうな内容の投稿をして再生数を増やすという内容もあったように思います。

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ネット上には「極端な人」だけでなく、「炎上させたい人」、インプレッションを稼ぎたい「インプレゾンビ」までいて、カオスの様相を呈しているなと思いました。私は、過去記事スマホとどう生きるか」スマホ画面上でSNSと少し距離を取ったので、適度な関係(1日1回見る程度)を築いていると思います。

 

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自分が「極端な人」にはならないよう、気を付けていきたいなと思いました。

 

美しさは粒粒辛苦

今回は、美人は薬指からつくられる(2016年)を読みました。

 

 

最近はMEGUMIさんキレイはこれでつくれますが2023年のベストセラーになったそうで、美容関係の雑誌などでよく見ますよね。

 

 

女性であればずっと美しくありたいと思うものですが、歳をとっても美しくされている方々って、相当な努力をされているのも事実です。

本書でも、執筆時53歳の著者さんが心も体も美しくあるために行っている・心がけていることが細かく書かれており、その日々の努力に感服でした。そんな中でも、私にもできそうだなと思ったことをまとめておきたいと思います。

 

 

肌に触れるのは「薬指」

 

お肌は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造となっており、表皮の一番外側を覆う「角質層」は0.02㎜、食品用ラップと同じくらいの厚さしかないのだそうです。

そこを洗顔やメイクなどでこすらないように、薬指1本を使って肌に触れるようにしているそうです。洗顔では手がほとんど肌に触れない程度で行い、洗顔後に水気を拭取るときも軟らかいタオルで押し当てるようにします。拭取りタイプのメイク落としなんてもっての外。スキンケアでもコットンは使わず手で行いますし、メイクを行う時はブラシの毛ですら毛が触れるか触れないかといった優しさでそーっと乗せるということでした。

 

私はメガネをするのですが、鼻に当たるパッドの部分の皮膚が色素沈着してきて気になっています。コンタクトは左右の視力が違い過ぎて気分が悪くなるので、あまり使えないんですよね…。とにかく肌にはやさしく、やさしく、を心がけていきたいです。

 

 

アラフォーはパール禁止

 

ハリツヤが減っているアラフォーの肌にパールやラメを乗せても、うるツヤ肌は手に入らず、逆に光が乱反射して、年齢以上の肌に見えてしまうそうです。

 

これを読んでキャーッと叫びそうになりました(笑)ラメ入りの化粧品を使えば、皺が消えて、叶姉妹のようなツヤツヤになると思うじゃないですか~

 

目の下と鼻すじのハリツヤを意識すると、顔全体に潤いと輝きがあるように見えるそうなので、その部分に少しだけパールを入れるのは良いかも知れませんね。著者さんは、保湿、紫外線対策、顔に力を加えないこと、パウダー系のメイク用品を使わないようにすることの4つを大切にしているということでした。

 

 

自分の最高の顔をインプット

 

著者さんは、鏡を見る時、必ず見上げる角度で見るようにしているそうです。そうすると、たるみのないピンとハリがある”10年前の自分の顔”が見えます。逆に下から見てしまうと…10年後の恐ろしいものが見えてしまいますので、見ない様にしましょう(笑)

 

自分の最高の顔を脳にインプットすることで、自分に自信と安心をプレゼントしているのだということでした。

 

自分の脳をだますというのも美しくいるための秘訣みたいですね。私も常に鏡は上から見るようにしたいと思います。

 

 

顔筋トレ

 

まぶたのたるみには、下記のエクササイズをしているそうです。

① 眉毛の上に手を置き、指で額をおさえ固定して、そのまま目いっぱい開けられるところまで目を見開く。3秒間その状態をキープ。

② まぶたを閉じたまま、眉毛だけを引き上げる。5秒間その状態をキープ。

③ ウインクするように、片目ずつ交互に大きく見開く。

④ 正面を向き、黒目を左右に動かす。

頻度は特に書かれていませんでしたが、著者さんのことなので、毎日3回はされているのではないかと思います。

 

また、本書に頻出する「舌回し」にはほうれい線、二重あごや下ぶくれ、たるみ、顔のゆがみ、頭痛の改善に効果があるそうです。

① 口を閉じたまま舌を歯の表面に沿ってぐるっと回す。

② まずは右回りに20回、舌を回す。次に左回りに20回、舌を回す。

※これを1セットとして、1日3セット行う

 

全身の筋肉と同様、顔の筋肉も年とともに衰えてしまいます(嚥下に関連する筋肉も!)。このほかにも顔の筋トレがいくつか紹介されていましたが、私も重力に負けないよう、顔の筋トレを毎日していきたいと思いました。

 

 

まとめ

 

タイトルに入れた「粒粒辛苦」とは、ご飯の一つぶ一つぶは農民の辛苦の結晶であるという意味で、物事を成し遂げるためにコツコツと努力を重ねることを言います。美は一日にしてならずであり、毎日毎日の努力の結晶なのだなぁと本書を読んでつくづく思いました。

食事は腹八分目ではなく七分目にするとか、家の中をシティホテルのように美しく保つとか、今の私には無理だ〜(笑)と思う部分もありましたが、美しくいることへの執念と、その日々の努力に感服しました。私もまだまだ、美しいを諦めてはいけないと思わせてくれる本でした。

 

二羽のかも

今回読んだのは、かもの法則―脳を変える究極の理論(2015年)です。

 

 

この本を書いたのは、過去記事「ブレイントレーニング」と同じ方になります。

 

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否定的な「かも」

否定的な「かも」とは、「ムリかも」 「やっぱりダメかも」 「どうせうまくいかないかも」といったネガティブな「かも」のことです。特徴は、他責です。自分の仕事がうまくいかないのは、「不況のせいだ」「円高のせいだ」「政府の無策が一番の原因だ」と思ってしまいます。悪い未来を想定しているので、いつも自分を守りたくなるのです。誰かを責めたり、何かを批判したりしながら悪いイメージを反復し、望ましくない未来の「かも」にますます支配されていくという悪循環に陥ります。

 

 

肯定的な「かも」

逆に、肯定的な「かも」の特徴は、自分ではなく他の誰かを守ろうとするところです。商売が「うまくいくかも」というイメージには、お客様の喜ぶ顔が見えています。どんな状況に置かれても、「できるかも」 「やれるかも」 「うまくいくかも」 「ツイているかも」と感じられる人には未来を変える力があるというとでした。

 

 

危機管理の「かも」

 

また、肯定的な「かも」は単なるプラス思考の楽天家ではありません。いつも前向きで自信に満ちた危機管理能力のない行動力は、オオカミの怖さを知らずに深い森に入っていく赤頭巾ちゃんに過ぎません。

一度成功できたとしても、同じ方法がいつまでも通じるなんてことはありません。スポーツの練習では、基本的に最善をイメージしながら、最悪を想定して行われます。つまり、どんな場面にも的確に対応でき、降ってわいたピンチもチャンスに変えられる、危機管理の「かも」も心に飼っておかなければいけないということです。

 

 

マイナス思考は放っておけばいい

 

著者さんは、マイナス思考を考えないようにしたり、プラス思考に変えようとしなくても良いと述べます。マイナス思考は、放っておくに限るのだそうです。

 

ポケットの中のダイヤモンド: あなたの真の輝きを発見する(2021年)でガンガジも、不幸せ、怒り、悲嘆を感じる瞬間もありますし、さまざまな気分が通り過ぎはしますが、どんな気分を恐れることも、どんな瞬間を避ける必要もない、ただ感じ、掘り下げていけば良いと述べています。

 

 

自分にマイナス思考が立ち現れても、ただ眺め、もしそこに失敗があったのであれば「なぜ?」ではなく「どうしたらうまくいく?」と自分に聞けばいいということでした。

 

 

打ち消し「がも」

 

悪い予感は現実化します。悪い予感が浮かぶときは書き換える、打ち消し「がも」を召喚しましょう「もしかしたら、できるかも」というのは、可能性がゼロではないため、脳は否定することができません。また、脳は現実とイメージを区別できないし、同時にポジディブなイメージとネガティブなイメージを作ることもできません。(過去記事「無意識思考は存在しない」でもあったように、一瞬一瞬で切り替わるために同時に考えていると錯覚しているだけです。)

 

ddh-book.hatenablog.com

 

何か実現したい未来があるのであれば、悪い予感の「かも」をそのまま脳に放置しておくのは非常に危険です。ガン細胞のように増殖する前に、打ち消し「がも」で悪い予感を一つひとつ潰していきましょう。

 

 

ゆさぶりの「かも」

 

今よりももっと幸せになりたい、もっと成長したい時は、イノベーションを起こすゆさぶりの「かも」の出番です。「今のままではまずいかも」 「このままではいけないかも」を大事にしましょう。

移動力(2019年)では、何も考えなくても勝手に職場に着いてしまうのが当たり前になってしまっていることが一番怖いと書かれていましたが、私もそう思います。

 

 

ゆさぶりの「かも」が常に心の中にいるというのはさすがに落ち着きませんが、同じ毎日に気づいた時には出してみるといいですね。

 

 

まとめ

 

絶対に成功する、必ず上手くいくと断言はできなくても、「かも」ならウソではないのでいくらでも言い聞かせることが可能だなと思いました。また、過去記事「ブレイントレーニング」の時には、ネガティブ思考が出てきたら、1点を見つめたり具体的な対処法が書かれていましたが、本書では「放っておく」になっているのも印象的でした。

私も頭の中に常に肯定的なかもを飼いたいなと思いました。

 

神様との付き合い方

今回は、霊視の人 神事編(2023年)を読みました。

 

 

天狗様などの神様に導かれ、日本中の神社などを旅している3人組のお話でした。ひとりは霊視に優れた女性(旅を通して力が強くなっている)、もう1人は神事や歴史に詳しい研究家、そして、旅程を考えたり会話を録音したり、記録係といった感じのメンバーです。

 

 

 

高等な神様は、こちらが尋ねても名乗ったりはしません。自分は〇〇の神であるぞ!なんて言うのは、低級霊で間違いないのだそうです。

また、天照大神のような大きな神様は、個々人の幸運・不運などをどうにかするために働かれているのではありません。日本全体や地球規模の、はるかに大きな役割をもって働かれているため、例えば、伊勢神宮で自分の望みを願うのはナンセンスになります。

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「あなたは天照大神の加護を受けている」なんて言われたら、詐欺師か、低級霊に騙されている霊能者だということですね。

 

 

 

では、私たちの願いはどの神様が聞き届けてくれるの?と言うと、現在暮らしている土地の産土様(うぶすながみさま)にお願いすると良いのだそうです。 今では氏神様や鎮守様も産土様と同じ意味で使われています。

また、産土神様は高位の神様と通じるための窓口にもなっているため、まずは地元に根づいている産土様、氏神様の神社に参拝して、それから三の宮、二の宮、一の宮といった順番で参拝するのがマナーなのだそうです。

形だけで神様のいない神社やその逆もあるそうで、コンクリートでできた神社からは神様は出ていかれるみたいですよ。

自分の住む地域の産土神様を調べないといけませんね。お願いだけでなく、ちゃんとお礼参りもしましょう。一族繁栄を願うと、後世がお礼参りをしないことで問題が起きるため、自分の責任の範囲で、1代限りの繁栄を願いなさいと言うことでした。

 

 

先祖供養

 

御先祖様の霊は、神様ではありませんが、子孫のことに心を配り、なんとかよい方向に導こうと働きます。

浄化している先祖霊は、子孫をバックアップし、大難を小難に、小難を無難にしようとしてくれますが、未浄化の状態で苦しんでいる霊の場合は、子孫に救いを求めてすがりついてくるそうです。どうか自分の存在に気づいてほしい、この苦しい状態から救ってほしいと伝えるためにすがってくるということで、そのような浮かばれていない祖霊を救いあげることも、祖霊から魂を受けて生きている子孫の務めのひとつなのだそうです。

「御利益をいただきたいなら、先祖供養に勝るものなし」

ということで、先祖供養が大事なのだということでした。

 

 

神迎え

 

旧暦の10月10日に、全国のやおよろずの神々が出雲大社に集まるという言い伝えに由来して行われる「神迎神事」というものがありますが、ここで言う「神迎え」は、お稲荷様など、神様を自宅に迎えることのようです。

本式で神迎えをするときは、事前に禊を済ませ、服は全部白装束で調え、下着なども全部新品にしなければならないのだそうです。何かの用事のついでに神迎えをするなんて、もっての外です。

また、神様は人の息を嫌うので、家の高いところにお祀りし、日々の参拝作法などをしっかりと守らなければいけません

 

覚悟もなしに御利益を求めて神様を家にお迎えするなんて論外、触らぬ神に祟りなしだそうですよ。

 

 

まとめ

 

本書を読んで、神様の世界は上下関係が厳しいな〜と思いました。修行僧が天狗になった話では、元人間は下っ端にしかなれず大変なのだと言う話でした。となると、産土神様を探す際は、人神様を祀っている神社ではなく、神様を祀った神社を探した方がいいのでしょうね。明治政府による神仏分離令と修験禁止令という悪法のために、宿から神社に衣替えをしたような神社もあるそうで、ちゃんと神様のいる神社を知っておく必要があるということが分かりました。

 

将来の日本

今回は、未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること(2019年)を読みました。

 

 

少子高齢化が言われ続けていますが、とうとう私の住む地域(比較的子どもの多い地域)では、小学校の1年生が3クラス→2クラスとなり、保育園の園長先生は「昨年度、この地域で生まれた赤ちゃんが0だった」といわれていました。本当に、ヤバい状況だと思います。

 

 

人口減少

 

教育現場にいたので、少子化の影響はヒシヒシと感じてはいましたが、○○万人になるといくら言われても、さっぱり実感として沸きません。一方、どのようなサービスが維持できなくなるのかと言われると少しは実感できます。これからの日本は一体どうなっていくのだろう?という一つのシナリオについて、まとめたいと思います。

本書では、未来の人口減少がどのように進むのか地域別に書かれていますが、著者さんは人口減少を地域別に考え、自分の地域だけ人口を維持しようとするのではなく、日本全体として人口減少を前提として、それでも「豊かさ」を維持できるよう社会システムを根本から変えていく必要があると述べています。

 

 

行政サービス

 

2045年頃になると、地方では「行政サービス」が届かないという問題が発生します。ただでさえ高齢者が増えていくのに、税収が減り、職員数を維持できないため行政職員は減らさざるを得ないでしょう。総務省は、2040年には小規模市町村において職員を十分確保できなくなると指摘しているそうです。

また、成年人口が少ないということは、市長や市会議員などの立候補者も減ります。立候補者数が議会を成り立たせるのに最低必要な人数を下回ることを懸念せざるを得ないだけでなく、市町村長への立候補者すら見つからないといった状況まで出てくるかも知れません。毎回無投票当選ということになれば、行政のチェック機能は機能しなくなり、民主主義の崩壊にもつながる危険性があります。

 

 

医療・介護サービス

 

2036年の推計によると、医師数は足りる計算ですが、医師が大都市圏に集中する「偏在」が起こります。医師のいない地域、つまり「無為地区」が広がっていきます。本書には書かれていませんが、もちろん看護師も他の医療職、歯科衛生士も高齢化による需要の増大に反し大幅に不足すると考えられます。

地域包括ケアシステム,厚生労働省

現在、国は「在宅」を推進する地域包括ケアシステム(上図)を進めています。これは、医師や看護師、介護スタッフだけでなく、地域住民の協力なども得ながら高齢者が地域で最後の時を迎えられるようにしようというものです。しかし、今後起こるのは、家族や地域に支え手となる年代がいないという事態です。患者や要介護者の日常生活の多くは、家族や地域住民のサポートを当て込んでいますが、今後の支え手不足を考えると、元気なうちから高齢者を集めて住ませる他ないのではないかという意見でした。

本書に書かれている、大型ショッピングセンターに高齢者住宅を作るというのは、私も良い案だと思います。

 

 

首都東京の未来

 

人口集中が続く東京も、2030年にはピークアウトします。若者中心のビジネス街だった東京は高齢者のオールドタウンと化します。高齢者向け施設整備の遅れから、23区では「介護難民」や年金受給額の減少や医療費・介護費の高騰に伴い賃貸物件に住み続けられなくなる「住宅難民」が深刻な問題として浮上してきます。

2034年頃になると、地方で一人暮らしをしていた高齢者が子供世帯を頼る形で東京圏へと流入してくると予想されています。23区中7区では0~14歳の子どもの総人口に占める割合が1割を切り、小中学校の統廃合が進みます。80歳以上の住民が増えれば、バスやタクシーの乗降に手間取り、道路渋滞や鉄道の遅延が慢性化します。

都心のオフィス街から放射状に伸びてきた街は、まだら模様となり、所有者不明の物件や高齢住民ばかりで建て替えがままならないマンションが増えます。2030年代の通勤限界圏では、不動産の「無価値化」が拡大する可能性があります。

 

 

ドット型国家

 

このような未来に対し、人口が減ろうとも豊かさを維持するためには、世界の中で「なくてはならない存在」を目指すべきだと主張していました。

まず、既存自治体とは異なる「拠点(王国)」を各地に作り、古代中国やヨーロッパにあった城郭都市のように、運送業や医療サービス、介護サービスを人手をかけずに提供できる体勢を維持します。行政サービスのうち民間企業や個人でできることは自ら行えば、道路や水道、電気といった公共インフラへの対応も、人口の少ない王国内においては可能になります。

また、各王国に住みたいという人が集まるよう工夫し、アーティストが集まる「王国」IT技術者が集まる「王国」と言ったように、「世界になくてはならない」特徴を創出します。人口が減るならば、減ったサイズで身の丈に合った社会を築いていく必要があるということです。

 

 

まとめ

 

私もずっと海外労働者の受け入れや地域包括ケアシステムには疑問を持っていて、特に僻地では住み慣れた地域でというのが厳しいのではないかと思っていたので、著者さんの意見にそうだよね~とずっと頷いていました。

また、歯科衛生士はどうなるかなと予想してみると、人手不足による地方歯科衛生士会の解散や統廃合が進み、著者さんの言うコンソーシアムのような、医療職の団体として統合していくのかも知れません。病院や施設に1人どころか、その地域に歯科衛生士が1人しかいないなんてところも出てきて、インターネットでのつながりや情報交換がより重要になって来るのではないかと思いました。歯科衛生士会の会員、会員外を問わず、そういったつながりの形作りを今から模索しておかないといけないのかも知れませんね。

本書を読んで、もう日本は子育て支援の段階ではないのだと思い知らされました。私も次世代の歯科衛生士に何を残せるのか、考えて行かなければいけないなと思いました。

 

ブレイントレーニング

今回は、N o.1理論 ビジネスで、スポーツで、受験で、成功してしまう脳をつくる「ブレイントレーニング」」(2014年)を読みました。

 

実は、この本、書籍版の発行日は1997年と30年近く前の本で、結構古い本なんです。しかし、内容は色褪せておらず、勉強になる考え方が万歳だったので、ご紹介したいと思います。後で分かったのですが、著者さんは、女子ソフトボール日本代表チームを世界一にまで導いていた方みたいですよ。

 

 

ヴィゴラス状態

 

人の精神状態は四つに分かれます。

①メンタルヴィゴラス(やる気満々状態)

②メンタルサプレスト(仕方ない状態)

③メンタルディプレスト(無気力状態)

バーンアウト(燃え尽き状態)

 ①メンタルヴィゴラスでは、脳は扁桃核がプラス感情で、辺縁系は愛情ややる気、行動力に満ち満ちていますプラスイメージがどんどんわいてきて、思考も完全なプラス型の回路です。脳の機能が高められ、潜在能力がぐんぐん引き出されますから、最高の自分が発揮できて、ラクラクと成功することになるそうです。

②メンタルサプレストは私の大嫌いな「〜しなければいけない」と思って行動している状態です。「プラス思考にならなければいけない」も含みます。

③ メンタルディプレスト「できるはずない」というマイナスイメージに落ち込んでしまった状態です。嫁姑のいさかいはたいていこの状態で、お嫁さんが「今日は元気そうね」と挨拶するのを聞いて、「早く死ねばいいのに」と言われた気がし、「元気で悪かったね」と言い返すことになります。

そして、「頑張らなければいけない」「努力すべきだ」と、自分を叱咤激励し続けてきた人たちがバーンアウトするということでした。

 

 

知情意をひとつに

メンタルヴィゴラス状態が自然にできてしまう人は天才と呼ばれます。エジソンは、2,000回失敗してもまだ「成功できる」と心からウキウキワクワクしていたから電球を発明することができました。

ヴィゴラス状態になるには、「知情意」をひとつにすることが大事だそうです。「知」の知能・知識は頑張らなければと思っているのに、「情」の 感情、情動、喜怒哀楽は嫌だと感じていると言うような、心がバラバラの状態では「意」の意欲・やる気は出ず、ヴィゴラス状態にはなれません。

 

 

できちゃった

 

困難なものにチャレンジしていくには、感情までプラスになり切った真のウキウキワクワク状態が必要です。ヴィゴラス状態では「~できる」「できて当たり前」という思考になります。そして、プラスなのは思考だけでなく、イメージも感情も同時にプラスになっています。

脳はイメージと現実を区別できません。目標が成就した状況を明確にイメージでき、それが実現した時の喜びや感動まで感じられる、「もうできちゃった」のウキウキワクワク状態となることで、努力せずとも成功してしまうようになるということでした。

 

 

クリアリング・プロセス

 

とはいえ、言うは易しで、マイナス思考や嫌な予感というのはどうしても出てきてしまいますよね。そこで、マイナス思考をクリア(削除)して、脳をプラスにチェンジする手法であるクリアリング・プロセスを指導されているそうです。

潜在意識から出てくるマイナス感情、マイナスイメージは、自分にとって不快なもの、嫌なものから逃げたいという自己防衛本能に根ざしているため強力です。その強力なマイナス思考をクリア(削除)する方法として、アイ・コントロール:一箇所を凝視するという方法が紹介されていました。他にも、ボディランゲージ:Vサインなどあらかじめ身体の動きを決め、筋肉の動きを通じて目標達成をインプットする、プラスの言葉:否定的な言葉を肯定的なものに変える、エスバット法:まず、相手の言葉や行動をYES(そうだね)と認め、承認した上でBUT(しかし)と語りかけるコミュニケーション術などか紹介されています。

 

 

3-1方式

 

登山家が頂上を目指すのは、そこに山があるからではありません。頂上に立った自分をイメージするからです。人生においても目標を持ち、脳に成功のビジョンを植え付けながら扁桃核に喜びを条件づけることが大事になります。しかし、10年20年後の長期目標をイメージできる人は少なく、著者さんはまず3年後の自分を徹底的にイメージすることを勧めています。最大限に自分の力を発揮し、ついてついてツキまくった自分の姿です。そして、次に1年後を「基礎目標」としてイメージし、その基礎目標を達成できたとして、2年後の目標を設定します。

注意点としては、単なる数値やポストを目標にしてはいけないということです。これらは左脳の領分であるため、強いイメージが生まれません。達成感や承認、誇りややりがい、愛情や感謝に基づく責任や使命感、自分自身の成長など、右脳に具体的に、リアルにイメージさせることが重要です。

 

 

まとめ

 

引き寄せ系の本では、必ず「すでに自分が達成した状態」をイメージすることが大事だと書かれていますが、メンタルヴィゴラス状態になるということだと分かりました。これまでは、マイナス思考に気づくところまでしかできていませんでしたが、クリアリング・プロセスを使って、削除できるようになりたいと思います。

 

バネのように走る

今回は、気づいたことをぜひ残しておかなければと思ったので、書きます。番外編です。

過去記事「野口体操」で上体のぶら下げを学んで、ランニング前に実践していたのですが、するのを忘れる日もあります。すると、ぶら下げた日と比べて走りがなんか重たいことに気づいたんです。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

ぶら下げてから走った日は、体全体がバネのようにしなって、なんかこう、全身で走っている感じなんです。でも、ぶら下げをしなかった日はこれまでみたいに足で走る感じと言ったら良いでしょうか。

 

タイムもぶら下げた方が若干良くて、こんなちょっとしたことでパフォーマンスが全然違うんだな〜なんて思いながら走っていたらふっと気づいたんです!!

バネのように走っている時、手がバチで太鼓を叩くように動いていることを!!!

そう、古武術に学ぶ」の太鼓でドン走りです!!!

 

ddh-book.hatenablog.com

 

太鼓を叩くように走るというのも、本を読んだ後にもちろんやってみたのですが、手だけを無理やり動かしたぎこちない感じになってしまって、あまり効果があるとは思えなかったんです。しかし、上体のぶら下げをしてからだと、自然に、手は太鼓を叩くように動いていて、全身がバネのようになって、ひねりの反動で足が勝手に前に出るんです。

ああぁぁ〜これだったのか!!という気づきでした。

 

長男・次男の体育大会がすでに終わってしまったのが残念ですT^T

秋にある三男の保育園の運動会に向けて、上体のぶら下げをしてからの太鼓でドン走りを指導していきたいと思います(笑)

死に方と新老人力

今回は、人はどう死ぬのか(2022年)を読みました。

 

 

私は、過去記事「終活もお金がかかる!」を読んで自分のエンディングノートを書いているので、いつ死んでも良い準備はしているつもりです。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

人は皆死ぬ、これは分かっているようで理解できていないのが現代人ではないかと、私も思います。緩和ケアの看護師さんが言われるように、昔はもっと身近にあった死が病院の中だけの、閉鎖された空間での出来事になってしまっています。

自分もいずれ、必ず死ぬのだから、死ぬ時のシュミレーションをしておくのは大事だなと思ったので、学んだことをまとめたいと思います。

 

 

人気の死因

 

死のプロとも言えるお医者さんに人気の死に方第一位は、「がん」だそうです。

これは消去法による選択で、ポックリ死ねる心筋梗塞脳梗塞クモ膜下出血では、激烈な痛みが襲いますし、死後の準備はできません。老衰はと言うと、死のかなり前から全身が衰え、呼吸も苦しく、言葉を発するのも無理というような状況にならないと、死ねないそうです。死後の準備はできますが、不如意と不自由と惨めさに、長い間、耐えなければいけません。

 

私も、がんが一番幸せな死に方ではないかと以前から思っていて、それは、まだ何かできる頃に死期を知ることができ、死ぬ準備や死ぬまでにやりたかったことができるためです。もし、末期がんだと言われたら、悲嘆はさっさと済ませて、痛みは緩和ケアで緩和してもらって、残された時間を有意義に使いたいとすら考えています。

まぁ、選べるものではないので、天命に任せる他ありませんが。

 

 

救急車は呼ぶな

 

「住み慣れた家で穏やかに死にたい」と思っていても、救急車を呼んでしまうと100%それは叶いません。これは、大事なことだと思いました。

超・高齢者が意識を失った時、救急車を呼んでしまうと救急隊員は人工呼吸や心臓マッサージをしながら病院に運ばざるを得ません。病院では、蘇生処置をし、運悪く心拍が再開などしたら、気管チューブを挿入し、人工呼吸器につなぎ、肺のX線検査をし、点滴をし、導尿カテーテルを入れと、せざるを得なくなるそうです。

心臓マッサージでは、肋骨が折れ、気管チューブを入れる時には前歯が折れる可能性が高いです。救急隊員も病院のお医者さんも「そのまま逝かせてあげればいいのに…」と思いながら処置をしているということでした。

 

 

死の儀式は必要ない

 

死の前に現れる「下顎呼吸」というものがあります。顎を突き出ような呼吸で、これが死のポイント・オブ・ノーリターン、回復の見込みはゼロになります。たいていは数分から一時間前後で終わり、もう酸素を吸わせても意味はありません。しかし、はじめて見る人には喘いでいるように見え、死を受け入れていない家族は、下顎呼吸の後の心停止でも蘇生処置をしないと、「あの病院は何もしてくれなかった」となるそうです。

 

具体的には、心臓が止まったあと、静脈や心臓に強心剤を注入し、心臓マッサージの真似事をします。聴診器を当てて、心拍が再開しなければ、ふたたびマッサージのフリをして、また聴診器で無音を確認し、チラッと家族のようすを横目で見て、まだ不足そうなら、またマッサージのフリを繰り返します。(本気で心臓マッサージをするなら、背中に板を敷き、肋骨が折れるほど行わなければいけませんが、アピールであるため真似事です。)

 

なんて無駄な行為でしょうね。 私の祖父も下顎呼吸の後に亡くなったと聞いています。これを知っていることはすごく大事だと思いました。

 

 

新・老人力

 

著者さんのお父様もお医者様で、「もう十分、生きた」「いい人生やった」と繰り返し、満足そうに亡くなられたそうですが、「新・老人力によりその穏やかな境地に至ったとのことです。

 「新・老人力」とは、たとえば、高齢になって記憶力が落ちたら、もの忘れがひどくなったのではなく、〝忘却力〟という老人ならではの能力がついたと見る考え方です。お父様は、動きがのろくなってきたら〝ゆっくり力〟がついたと言い、効率的に動いたり考えたりできないのは〝のんびり力〟だと言うのだそうです。他にも 〝あきらめ力〟〝受け入れ力〟〝満足力〟〝感謝力〟などを発揮して1年間の寝たきり期間を平穏かつ温厚にすごしたということでした。

老いる前から心の準備をし、欲望や不満をコントロールする努力をすることが大事なのだそうです。

 

 

まとめ

 

私の祖母は胃瘻をしたために、3年も意識が戻らないまま生かされ続けました。祖母が2度目の脳梗塞を発症し意識を失ったあの時に今、タイムスリップしたとしても、救急車を呼ばずにはいられないのではないかとも思います。しかし、あの時、在宅医療を受けていて、家に来てくれるお医者さんがいたなら救急車を呼ばずに済んだのかも知れません。

家で穏やかに死にたいのなら、自分と家族の心構えをするのと、早めに在宅医療を受けられる体制を作っておくのが大事なのではないかと思いました。

 

誠実たれ

今回は、誠実な組織 信頼と推進力で満ちた場のつくり方(2023年)を読みました。

 

 

私も散々ビジネス書を読んでいるので、正直、最後まで読まずに終わるかも〜なんて思って読み始めましたが、そんなことはない!とても説得力があり、勉強になる内容だったので、学んだことをまとめたいと思います。

 

 

不誠実の連鎖

 

普段は誠実で、相手に対しても誠実さを求める人々であっても、不誠実な行動がそそのかされる状況に置かれれば、徐々に不誠実さに屈してしまう

 

被験者がペアになり、硬貨の入った瓶を見て、中に入っている硬貨の合計金額を当てるという実験では、アドバイスをする側の被験者は、自身が得をする場合には、ペアの相手に損をさせてでも利己的で不誠実な行動を取る傾向が高まったそうです。さらに、実験中の脳の動きを調べるため、被験者の脳のfMRI撮影を行ったところ、利己心に基づく不誠実な行動を取ると、そのたびに被験者の扁桃体(過去の経験に対する感情的反応をコントロールする脳の一部)で検知されるシグナルが減少することが分かりました。そして、被験者の脳の感度が鈍くなるほど、その次の実験回で利己的な行動をとる確率が高くなったそうです。

 

「ウソつきは泥棒の始まり」ということだなと思いました。不誠実な行動を一度してしまうと連鎖的に不誠実な行動をとってしまい、罪悪感すら感じなくなるということですね。

 

また、従業員が自分は不当に扱われていると感じた場合-例えば約束がいつも破られるなどー彼らは組織に対し、過剰な要求をすることで「仕返しする」傾向が格段に高くなるそうです。著者さんの研究でも、アカウンタビリティプロセス(意訳:上司の説明)に不公正さが見られると、従業員が嘘をつく、倫理的に不適切な行動を取る、自分の損得を一番に考えるといった傾向が4倍近く高まったそうです。

 

相手が不誠実だと、自分も不誠実で返す、自分が不誠実な行動を一度してしまうと、閾値が下がってもっと不誠実な行動をしやすくなるという「不誠実の連鎖」が起こるのだということがよく分かりました。

 

 

言葉と行動を一致させる

 

著者さんの研究によると、組織の在り方や目標を戦略的に明示し、それに伴う行動を起こしている企業では、従業員が真実を語り、公正な行動を取り、目的を持って働く傾向が3倍高くなることが分かったそうです。

つまり、言葉と行動に一貫性があること、組織が掲げる目標(パーパス)を組織全体に浸透させ、従業員一人ひとりの日々の仕事に織り込まなくてはいけません。

 

これは、ブランド・プロデュース思考(2022年)の本でも同じような内容が書いてあったと記憶しています。

 

 

「言葉と行動を一致させる」というのは案外難しいことで、できていない企業が多いのも事実です。例えば、カスタマーサービス窓口の職員がクレームに対してマニュアル通りの回答を指示される一方で、壁には「お客様第一、お客様に貢献しましょう」なんて書かれていたらどうでしょう。

 

パーパスは社会における組織の真の役割や存在価値を定義するものであって、そのパーパスが実行されなければ、つまり、組織が言葉通りに「行動」していないのであれば従業員の不信感やエンゲージメントの欠如を招き、組織の信用を失くすような嘘を報告したり、利己的な行動を取るようになってしまいます

 

 

従業員の希望

 

労働人口の約70%が仕事にやる気がない、またはエンゲージする気がない(会社の成功を妨害しようとしている)のはビジネス書に頻出の話題ですが、この数値は調査が始まって以来ほとんど改善されておらず、2019年には多少改善したものの65%だったそうです。職員がエンゲージしていないということは、希望が失われているということだと著者さんは述べます。

アウシュビッツ収容所は極端な例ですが、本書にも「あきらめ症候群」が紹介されているように、希望というのは人間にとって不可欠な栄養素です。大きな希望を持っている人は、そうでない人と比べてゴール思考が強く、目標達成のためのモチベーションも高かったという研究もあります。

 

著者さんは

組織の改変期に必要なのは、約束を破られても希望をくじかれはしないと、従業員が自信を持つことである。

と述べます。

 

過去記事「ポジティブ・フリーダム」で、オードリー・タンが「怒りは蛍光ペンと言っていたのを思い出しました。怒りを放置した後に来るのは「無力感」です。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

組織がパーパスを確実に実行し、従業員にもそれを徹底させると同時に、従業員一人ひとりが希望をもって働ける環境を作らなければいけないということになります。

 

 

心理的安全性

 

従業員が希望を失い、怒りや声を上げない理由として最も多いのが「報復が怖い」または「声を上げても意味がない」というものだそうです。こうした懸念は、組織に対する帰属意識が欠けることで生まれ、リーダーに問題があります。しかし、従業員に心を開かせ、協力させ、真実を語らせるというのは容易ではありません。

 

本書では、経営陣一人ひとりに平社員のコーチをつけた ガイダント社の例が紹介されています。コーチとなった平社員は率直なフィードバックを集め、担当役員に提出します。お互いの信頼関係ができてくると、財務成績、商品開発の進捗、何が成功し、何が失敗しているのかといったことについてオープンな対話が行われるようになったそうです。さらに、経営陣チーム内で役員一人ひとりにフィードバックを与えるプロセスも構築しました。そこでは、チームの他のメンバーからどういった点を改善すべきか、どのように改善すればよいかを伝えられたそうです。

自分が役員の立場だったら…と考えると、とても恐ろしいシステムですが、お互いが相手の欠点を問いただす前に自分の欠点を認める必要があることを理解できるようになり、爆発的な業績改善がみられたということでした。著者さんの研究でも、心理的安全性の有無で従業員が真実を語り、公平な行動を取り、より大きなパーパスを掲げるかどうかに20~35%の差が見られたそうです。

 

心理的安全性というのはリーダーが「良い人」であるということではなく、誰かが気分を害したり、気まずい思いをしたりしない「安全な空間」を作ろうということでもなく、皆が自分の考えを自由に口にし、懸念点を指摘し、リスクの高いアイデアも共有し、軌道修正が必要な際や誰かの言動が許容できないものであった際に、率直にフィードバックできるような環境が整えられていることを示します。(エイミー・エドモンドソン)」

 

私も歯科衛生士として働いて、歯科衛生士の実習生を歯科医院に送り出していていつも感じていたことですが、リーダー(実習担当者)次第で働きやすさ(実習しやすさ)が全く違います。自身の非を一切顧みない威圧的なリーダーの下では何も言えなくなり、お金のため(卒業のため)だけに無で働くか、職場を離れるか(体調不良になり実習を休むか)ということになりますし、ホワイト企業過ぎて新人が辞めるように、リーダーが良い人で、誰も思ったことを言わない「安全な空間」であれば良いというものでもないということです。部下が気兼ねなく声を上げられる、心理的に安全な職場を作ることは、リーダーが絶対に心得なければいけないことであり、それが従業員の希望に繋がるのだと思いました。

 

 

まとめ

 

本書を読み始めた時、「誠実さ」なんて当たり前、松下幸之助も言っていたしね~なんて思っていましたが、研究結果や数々の事例を通し本書を読み終わった時には「誠実たれ!」と自分が全くの別人になったようでした(笑)

本書を読んで、やっぱり「心理的安全性」が一番大事だよねと再確認しましたし、心理学的安全性を確立させたエイミー・エドモンドソンの心理的安全性の定義を暗記するくらい自分の脳内にすり込もうと思いました。リーダーというのは怖くても辛くても他者からのフィードバックは受入れ、自分の欠点を改善する努力を行動で示すことのできる、成熟した人でなければいけないなと改めて確認しました。

 

日本人バッタ博士

今回は、バッタを倒しにアフリカへ(2017年)を読みました。

 

 

著者さんはもともとアフリカでの体験をブログに書かれていて、それらを本にしているため、その時々に起きたことやその時の感情をリアルタイムで見ているような臨場感で、とても引き込まれました。

ここまでバッタに魅せられた日本人がいるんだと驚いたので、本書を読んで驚いたことをピックアップしてまとめたいと思います。

 

 

バッタアレルギー

 

まず、著者さんはバッタを研究する研究者なのですが、研究する中でバッタアレルギーになってしまったそうです(笑)バッタが触れた皮膚は蕁麻疹が出て、ひどい痒みに襲われるそうです。

いや、普通バッタ研究は諦めますよね?

ところが、著者さんはアフリカで大量発生し、農作物に甚大な被害を出しているサバクトビバッタを研究するため、モーリタニアに渡ります。

そして、実際に群生に遭遇した時には、緑色の全身タイツを着て、バッタの大群の前に立ち、自分を喰ってもらおうとするのだから、よほどの変人に違いありません。まぁ、バッタには総スカンをくらい、ドライバーさんにも何してるんだ?と訝しまれるのですが。

 

 

 

モーリタニアの話で驚いたのは、女性は太っているほど魅力的だということです。「ガバージュ」と呼ばれる、少女時代から強制的に太らせる伝統的な風習も今だに行われており、泣いて嫌がっても専用の器具でつねったり、ビンタしたりして無理矢理食べさせ、太らせるのだそうです。

モーリタニアに生まれなくて良かった…ファグラかよと思いました。

 

また、現地でゴミダマという虫を研究しようとして、ゴミダマを食べに来た野生のハリネズミにエンカウントし、ペットにしてしまいます。しかも2匹。

息子がハリネズミを飼いたいと前から言っているので、ハリネズミってアフリカに生息しているんだ〜、虫を食べるんだね〜とこちらは地味に驚きました。

 

 

 

さて、著者さんが研究しているサバクトビバッタですが、相変異という現象を起こすそうです。孤独相と呼ばれる普段のおとなしい緑色のバッタが高密度下で発育すると、群生相と呼ばれる黄色と黒の目立つ色(幼虫)になり、群れを成して活発に動き回ります

成虫では1日あたり100km以上移動し、行く先々の農作物を食べ尽くし甚大な被害を及ぼします。大発生すると数百億匹が群れ、天地を覆いつくすのだそうです。年間の被害総額は西アフリカだけで400億円以上にも及びますが、現地でのフィールドワーク研究はほとんど行われてきませんでした。

 

著者さんがモーリタニアを訪れて数年は大発生に出会えず、無収入になっても現地に留まったことでようやく大発生を観察・研究することができます。もちろん著者さんは大喜びで追跡し、群れは国立公園を出たところで防除部隊に駆除されました。地を這う幼虫(1か月弱)の間に見つけて駆除するのが良いのですが、人手不足なのと、地雷があったり、国境があったり、内政が不安定だったりなかなか駆除するのは難しそうでした。殺虫剤を大量に撒くので環境への悪影響も心配ですね。

 

 

京都大学白眉プロジェクト

 

無収入になった著者さんは、京都大学の白眉プロジェクトに応募します。白眉プロジェクトのHPには、以下の説明が書かれています。

このプロジェクトは、優秀な若手研究者を年俸制特定教員(准教授、助教)として採用し、最長5年間、自由な研究環境を与え自身の研究活動に没頭してもらうことにより、次世代を担う先見的な研究者を養成するものです。

この書類審査を通過し、面接へ進みます。面接では、少しでも面接官に印象を残すため、眉を白くして臨んだそうです(笑)。著者さんらしいですね。

 

京大松本総長との面接では、「過酷な環境で生活し、研究するのは本当に困難なことだと思います。私は一人の人間としてあなたに感謝します」という言葉をもらい、泣きそうになります。(私も!)

もちろん採用が決定し、超難関の白眉研究員になりました。

 

 

まとめ

 

本当に面白い本でした。何と言っても文才!多分真面目に研究されているのですが、いつも本気なのかボケているのか分かりませんし、現地の人にだまされまくったり、ゴキブリやノミがアパートで大量発生したり、サソリに刺されても薬はもらえず祈られたりと、本当に過酷です。でも、何だか軽くて、いつもちょっと楽しそうなんですよね。

アフリカのバッタの被害を食い止めるべく、これからも研究を頑張って欲しいなと思いました。

Kindle Unlimitedあるあるですが、著者さんの新刊が出ているみたいですよ。

 

 

無意識思考は存在しない

今回は、心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学(2022年)を読んで、後頭部を殴られたような衝撃を受けたのでご紹介します。

 

 

私は、過去記事無意識思考を読んで、無意識下で脳は考え続けているというのを信じていたのですが、それは錯覚だと一刀両断、完膚なきまでに叩きのめされてしまいました。

 

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脳のでっちあげ力

 

本書では第一部で小説のイメージや錯視といった心理学の様々な実験を紹介しながら、脳がいかに不確定要素を補いながら物事をでっちあげているのかを説明していきます。

そして、触覚であろうと視覚であろうと、知覚は本質的に一歩ずつなされることを証明します。例えば、文章を読むとき、目線は単語を一つか二つずつ飛ぶように動きます。目はひと欠片ひと欠片、情報を拾い集めているのに、そのことはほぼまったく自覚されません。

 

すーっと滑らかに読んでいると感じるのは、脳によるでっちあげによるものです。

 

過去記事自由エネルギー原理でも、そういえば「人間の脳は、予測誤差が最小化されるように想定を書き換えることで外環境に何があるのかを理解している」という考え方があるのを学んでいました。

 

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空間無視

 

脳梗塞後遺症などで見られる「空間無視」というのをご存知でしょうか。

左側の空間無視であれば、脳の損傷(一般的には右半球)により、視力の問題とは別に左側の空間の認識が出来なくなるため、左側の食事を残す、左側の壁にぶつかるなどの症状が出ます。これは、視野中の左側に注意を向けることができないからなのですが、本人はこの注意の向かない部分をわざわざ「欠けていると感じる」ことはありません

 

また、右脳と左脳をつなぐ脳梁を切り離した患者の実験では、左半球の「解釈者」は、右半球のなした選択を説明するためのストーリーを(あまりに自然に流暢に)でっち上げることもわかっています。

 

 

クレショフ効果

 

ロシアの映画監督レフ・クレショフは、無声映画スターの無表情を映した全く同じカットに3種類の映像を挿入しました。すると、棺桶の映像では「悲しみ」、食事の映像では「空腹」、女性の映像では「好色」というように、観客はそれぞれ全く違う表情の解釈を想起しました。これは、私たちは顔だけを「見て」表情を理解しているのではなく、周りの文脈に影響されることを示しています。

 

脳は知覚入力の欠片の一つひとつ(顔、モノ、記号、その他なんでも)を解釈する時、それが最大限に意味を成すよう、広い文脈に照らして解釈しています。

 

 

コンピュータとニューロン

 

コンピュータと人間の脳の違いを考えていくと、下図のようになります。

コンピュータには0,1しかなく、一台のパソコンで一つかせいぜい数個の計算しかできません。しかし、そのスピードたるや1秒間に数十億回の演算をする性能を持っています。

 

一方、ニューロンの「発火」神経細胞が刺激に応答して活動電位を発生させること)は、最速でも一秒に約1,000回のパルス、大抵は1秒間に5回から50回ほどというかなり遅い速度なのだそうです。しかし、ニューロンは一つの脳におよそ千億個あり、およそ百兆ヵ所で互いに結合して関連するニューロンネットワークを一気に使って処理します。そのため、膨大な知覚データを過去の記憶に照らし合わせて足りない部分は補完し、解釈することができます。

また、脳は一度に一つの問題についてしか協働できませんが、ネットワークが重ならない場合は、歩きながら話をするといったように同時処理することもでき、処理を瞬間瞬間で切り替えることで、まるで同時処理しているように錯覚させることもできます。

 

 

無意識思考は存在しない

 

つまり、脳がバックグラウンドで考えているというのはただの幻想であり、実際にはその瞬間瞬間で脳の膨大なネットワークで処理した結果であるということです。処理するたびにその記憶も蓄積されるため、考えれば考えるほどひらめきも起こりやすくなります。

 

くどいですが、脳が注意を向け、意味をとろうとすることができるのは、一度にひと組の情報のみです。アハ体験」のようにある瞬間、脳はパッと答えを見つけますが、その過程は自覚できません。神託がおりてきたとすら感じる(でっちあげる)かもしれません。

 

さらに、「無意識思考が存在する」と裏付けできる証拠も見当たりません。寝ている時の脳活動は起きている時とは全く異なりますし、他のことを考えている時はネットワークが干渉してしまう為、ゴリラの着ぐるみを着た人物が目の前を通っても見えません。何かを考えながら、裏で他の何かを考えるなんて、人間の脳には不可能なのです。

 

 

まとめ

 

無意識思考を信じている方には、本書を一度で読んでもらいたいです。私のように衝撃を受けるのか、それとも、やはり無意識思考は存在すると確信するのでしょうか。

私は、本書を読んで、お釈迦さまの言う「今ここ」しか存在しないというのが思い浮かびました。脳は、知覚(過去記事「プラネタリーヘルス」によると腸内細菌からの知覚も含む)と過去の記憶を「今ここ」の一瞬一瞬で判断し、膨大なネットワークを使って解釈しているのであって、まるで過去も未来もあるように感じているのは錯覚だということです。

 

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無意識思考はなくても、同じことを考え続けて答えが出ない時は少し休むのも大事だというのは間違いないことなので、上手に脳を使っていきたいなと思いました。

 

野口体操

今回は、基礎から身につく「大人の教養」 「野口体操」ふたたび。(2022年)を読みました。

 

 

私は本当に体が固くて、もちろん前屈では手が床に全く届きません(笑)開脚も90度くらいしか開かなくて、高校生くらいから腰が悪いのも悩みです。

本書を読んで、気持ちよく、全身の筋肉の弛緩と緊張を使いながら固い体を柔らかくできそうだなと思ったのと、マインドフルネスや瞑想のように自分の体内感覚に集中していくところがいいなと思ったのでご紹介します。

 

 

野口三千三(のぐち みちぞう)

 

Wikipediaによると、

野口体操の創始者東京芸術大学名誉教授。群馬県北群馬郡駒寄村出身。

ということで、本書の表紙を見ても分かる通り、東京藝大で体育を教えていた先生です。

野口は戦時中、短期現役兵(5ヶ月)を優秀な成績で終え、陸軍伍長に任官されて高崎の尋常小学校に奉職します。さらに、全国最年少(21歳)かつトップの成績で高等師範卒業と同等の資格が得られる国家検定試験に合格します。

佐野尋常小学校では体操を指導し、鉄棒の大車輪、跳び箱の上からの後方宙返り、逆立ち歩きができる児童生徒を数多く出し、かつ、落ちこぼれを出さない指導が評判となります。昭和18年には高度な体操指導が認められ、群馬師範学校の教官に、昭和19年には国立の東京體育専門学校(終戦後は教育大学体育学部)の助教授に抜擢されました。

野口は戦後の民主主義にふさわしい体育教育であるとして、体育指導要綱に創作舞踊を含むダンスを導入する草案を文科省に提出し、導入されました。野口自身も東京體専でダンスの授業を担当したそうです。その後、東京藝術大学に転任して、野口体操を考案することになります。

 

創作ダンスの生みの親だったんですね!私は高校生の時、クラスの創作ダンスで県大会まで出たんですよね〜懐かしい。

 

 

ムチの原理

 

鞭は、固い→やわらかい/太い→細い/重い→軽い/という構造をもつことで、亜音速が生まれます。進もうとする鞭の先端は、方向をかえられると、いちばん遠いところを最速のスピードで通過するため、〝カマイタチ〟と同じく一瞬だけ真空状態が生じて、あのヒュンという音がでます。

人間のからだは、基本的に鞭の構造でつくられている。したがって動きにおいては、方向をかえるところが鍵となる。

野口体操では、直接仕事をするところに余分な力が加わると、感覚がにぶくなり正確さが失われると考えます。そこで、末端には余分な力を入れずに、伝えられて動く「鞭の原理」を生かした動き方を身につけるように指導したのだそうです。

 

そして、そこに自らの重さで強力な破壊力をもつハンマーの動きを加えます。鞭とハンマーの切りかえをリズミックに行う動き、つまり、弛緩と緊張のコンビネーションに自重を加えた動きが野口体操の根幹になります。

 

 

身体は皮膚に包まれた液体

 

また、緊張を取り去ったリラックス状態の筋肉は、どんなに筋骨隆々であろうと、液体的なふるまいをみせます。野口は、このような液体的な状態が、生きている人間のからだの基礎感覚でと考えました。

筋肉に大きな力を加えずに、やさしく触れるだけの野口流マッサージ法を編み出し、本書では2人で行う「寝にょろ」「腕にょろ」「肩のぷるぷる」「ふくらはぎぷるぷる」が紹介されています。

 

ゆすられる人がきもちよく感じられる強さがポイントで、肩こり、腰痛など凝り固まった筋肉に効果がありそうです。

 

 

野口体操

 

本書を読んでやってみた、一人でできる体操をひとつだけご紹介します。YouTubeも見ながら他の体操も行いましたが、とにかく見たことない動きで(笑)真似すればできるようなものではないです。これは、体内感覚(筋肉の緊張や弛緩、張り、痛みなど)を感じながら徐々に掴んでいかなければいけないものだと思いました。

 

上体のぶら下げ

腰痛症予防に効果のある、ハムストリングと大殿筋のストレッチになる体操です。

①足を腰幅に開いてまっすぐに立つ

②腕はぶら下がったまま、左右の足の裏に交互に重さを乗せ換える

③腕だけでなく、からだ全体に揺れが生じるまで繰り返す

④腰を後ろに引き、軽くゆすりながら、へその下→みぞおち→胸→肩→首の順に上体を降ろしていく

⑤ほとんど腰が上を向いたら、首の力を抜いて頭をぶら下げ、左右に体の重さを乗せ換え続ける

⑥膝を曲げるのをきっかけにして、上体を起こす

⑦骨盤を少しずつ回転させながら、へその下→みぞおち→胸→肩→首の順で滑らかに起こす

⑧最後に首から頭を起こして、最初の姿勢に戻る

 

野口三千三先生が行っている写真では、肘まで床につきそうなほど体が二つに折れ曲がっているのですが、私は固いので腰は全然上を向かないし、指先ですら床に届きません。しかし、ゆらゆらしていると痛いところが徐々に変化して、手が床につくくらいには伸びました。終わると体がポカポカして、とても気持ち良かったです。丁寧にゆらすのが良さそうです。

 

 

まとめ

 

この体操を続けたら、体が柔らかくなりそうです。呼吸が大事で、ヨガに似たポーズもありますが、ゆらすという点が違います。

野口は優れた体操指導をしましたが、その指導により運動能力を上げた教え子の多くは、少年航空兵や少年戦車兵に志願し戦死しています。体育教師として戦前・戦中にやってきた体育は本物であったのかと悩み、問い続け、人間は地球の上に存在する生物の一種であることを出発点とし編み出されたのが「野口体操」になります。

そんな思いにも心を馳せながら、ランニングの前の準備体操として実践しようと思います。

 

プラネタリーヘルス

今回は、 腸と森の「土」を育てる~微生物が健康にする人と環境~(2021年)を読みました。

 

 

微生物の働きや多様性の重要性、プラネタリーヘルスについて学んだので、整理しておきたいと思います。

 

 

地球は微生物の楽園

 

1gの土の中には100億~1,000億個、6,000~5万種ほどの細菌が暮らしており、海水1L中には、平均30億個のウイルスが存在しているそうです。地球はまさに微生物の楽園ですね。

 

人間の大腸には100兆を超える腸内細菌がいて、口腔内にも1,000億個もの細菌が、強い酸の海である胃にも1万個もの菌が暮らし、皮膚や泌尿器、生殖器にも、各1兆個程度の菌がいます。また、ネイチャー誌で発表された、2018年時点での人の遺伝子の数は2万1306個なのだそうですが、腸内細菌叢からは1200万個の遺伝子が見つかっているそうです。口から腸にかけては身体の外側とされており、人間の体も微生物の楽園の一部であるとともに、人には分解できない植物の中の多糖類(食物繊維などのこと)の分解を助けてくれる、共に協力する仲間でもあることが分かりました。

 

 遺伝子の数が約500倍!この数を見ただけで、人の遺伝子だけで人は生きていけないのだということ、微生物はヒトの先輩生命体であることを痛感します。

 

 

土壌の腐敗

 

植物の根を取り巻く微生物活性が高いエリアを根圏といいます。微生物にびっしり覆われた根圏によって、病原菌からガードてもらったり、病原菌と戦う免疫力を高めてもらったり、栄養の吸収をサポートしてもらったりして、互いにメリットを得ながら生息しているそうです。

これは、過去記事「菌のパワー」でも学びました。

 

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土の状態が悪化して腐敗菌が増えると、根腐れが起きて、その植物は枯れてしまいます。良い土は菌の多様性が豊かで、酸素が十分に行き届いているので、フカフカです。

 

 

人間の腸内も同じで、健康な人の腸内は、腸内フローラと呼ばれるように、本来多様性に富んでいるそうです。善玉菌と呼ばれるビフィズス菌だけが多ければ良いというのは勘違いで、多様性が大事だそうです。腸の中で腐敗菌が増えるとおならが臭くなり、体調も悪くなります。腸内細菌の多様性が豊かで良い状態の時は酸素が十分に行き届いたフカフカのうんち、つまり、形が良く水に浮くうんちになり、おならも臭くないそうです。

 

土も人も微生物の多様性に支えられて生きているんですね。非常食のローテーションでカップラーメンを食べたらお腹が張ってゆるくなってしまったので、日持ちするからではなく、腸内環境のことを考えた非常食も考えないといけないなと思いました。

 

 

腸内環境と免疫

 

腸脳相関と言われますが、実際には、腸と脳だけのネットワークではなく、腸内細菌と脳、腸との相互作用を踏まえて、腸内細菌叢-腸-脳軸(MGB軸:microbiota-gut-brain axis)と呼ばれているそうです。腸は「第二の脳」とも呼ばれる独自のニューラルネットワークで、脳とは独立して動くことができます。

つまり、腸内細菌からの情報により、人間の免疫システム、ホルモン分泌、精神の働き、脳機能、代謝など、あらゆる全身のシステムが支えられているということです。

そのため、殺菌消毒剤や抗生物質の多用、食生活の乱れ、ストレスなどで常在細菌のバランスが崩れてしまうと、防御壁が破壊され、細菌や未消化の食べ物、花粉や化学物質などの異物が簡単に体内に侵入し炎症を起こしてしまいます。

 

本書には書かれていませんが、歯科衛生士による専門的口腔ケアがインフルエンザの発症率を低下させたという研究もあります。「体外」である口から腸にかけての細菌叢をコントロールしていくことが免疫に大きく影響するということだと思いました。

 

 

協生農法

 

本書では、ソニーコンピュータサイエンス研究所で論理化、研究、実践が行われている「協生農法(シネコカルチャー)」が紹介されています。生物多様性の減少と環境破壊の元凶になっている、耕起・施肥・農薬の使用を全面的に行わなず、畝をたて、果樹を植えて周りに様々な野菜や花の苗を植え、シダやコケを置き、さらに種まき(同時に7種以上)をするという方法のようです。

混生密生のジャングルのようなり、土壌の微生物多様性と活性を示す値のレベルも極めて高くなるそうです。アフリカの砂漠地帯でも成果をあげていて、慣行農法と比較して40~150倍の生産高を上げたというので驚きです。

 

やはり、人も植物も多様性を目指すべきなのだと思いました。特に幼いうちに多くの菌に触れることが大切で、経膣分娩や母乳育児は赤ちゃんが最初に菌に触れる機会です。確かに、帝王切開だった長男・次男(双子)に比べて経膣分娩+母乳で育った三男は全く病気しません!様々な細菌に触れるには、動物を飼ったり、土いじりやキャンプもいいそうですよ。

 

 

プラネタリーヘルスダイエット

 

人と地球を切り分けず、多様な生物が生かし合う自然環境を維持し、この惑星全体の健康を実現することを「プラネタリーヘルス」と言います。そして、この具体的な方策としての食事法が「プラネタリーヘルスダイエット」だそうです。

1日の食事のうち、半分は野菜やキノコ類、果物など。残りの半分を、全粒粉の穀物、植物由来のタンパク質(ナッツや豆など)、不飽和脂肪酸を含む植物油、それに、少々の動物性タンパク質と乳製品、デンプン質の多い野菜、砂糖などの添加糖分という割合だそうです。

できる気がしない(笑)と思ったら、和食の「孫わやさしい」を目指せば良いそうです。

 

世界のエネルギー摂取量の75%が、たった12種類の作物と、5種類の家畜動物で占められているということで、もっと多様性が必要です。

牛の飼育は環境負荷が高いと聞いたことはありましたが、日本の農畜産分野でのメタンガス発生源の第1位は稲作で、58.8%を占めるというのは初めて知りました。

 

地球にも人にも良い食事というのをこれからは考えていかないといけませんね。技術開発にも期待したいです。

 

 

まとめ

 

本書には歯周病菌と全身との関わりについてもかなり詳しく書いてあります。そして、土のこと、自然環境のことなどデータや研究をもとに詳しく書かれていて、とても勉強になりました。

過去記事「地底人」でもあったように、人間が地球の管理人としての役割があるのであれば、プラネタリーヘルスの方向性に向かっていかないといけないよねと思います。

 

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私はカフェオレが好きでよく飲むのですが、県産の牛乳と、アメリカ・カナダ産の大豆で作った豆乳では、どちらがプラネタリーヘルスなんでしょう…(*_*;? 案外難しいです。しかし、知ってしまったからには、少しずつプラネタリーヘルスな行動をしていこうと思いました。

 

未顧客のナラティブを知れ

今回は、久しぶりのビジネス書です。

”未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?(2022年)を読みました。

 

 

本書では、「未顧客」を全く買わないノンユーザーもしくはたまにしか買わないライトユーザーと定義し、なぜ「未顧客」を理解する必要があるのか、そして未顧客にどのようにして買ってもらうかを説明しています。

 

 

ロイヤルティを高めるという罠

 

企業ではよく購入者に調査をして、顧客のロイヤルティ、つまり長期的に信頼や愛着を持ってくれている「状態」を高めようとします。

確かにジェイ・エイブラハムの「ハイパワーマーケティングでも既存顧客の単価を増やしたり、再購入を増やす方策について書かれていましたし、既存顧客のロイヤルティが高まれば、新規顧客を紹介してくれそうな気がします。

 

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しかし、本書ではダブルジョパディの法則というものかあり、「シェアが低いブランドは購買客数も少なくロイヤルティも低い」だけでなく、「どのブランドの顧客かにかかわらずカテゴリーの平均購買頻度は等しい」という事実が証明されていることを数式や具体例を交えながら説明します。

 

つまり、ロイヤルティを高めれば顧客が増えるという罠にはまってしまっている可能性があるということです。ヘビーユーザーだったのに、ある時ノンユーザーになったというのは私も経験がありますし、ヘビーユーザーにも限界がありますよね。

 

 

未顧客のナラティブ

 

ではどうすればブランドを成長させることができるのかと言うと、未顧客に顧客になってもらう、つまり、新規顧客や再顧客になってもらうことが重要です。

 

未顧客には合理的に「買わなかった」理由が存在します。そして、マーケターの合理と顧客の合理は往々にして合致しません。未顧客には未顧客ののストーリーが存在しており、それを知ることでどうすれば未顧客が「合理的に買う」のかが見えてきます。

ナラティブとは フランス語が語源であり、直訳すると「物語」「言説」「語り」という意味です。未顧客のナラティブを知り、なぜ買わなかったのかという語りの中から未顧客の合理を読み解き、どう訴求すると買うという行動になるだろうかと考えていきます。本書ではチーズケーキの例がとても分かりやすく書かれています。

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「ナラティブ」というのは医療でも使われていて、エビデンス重視の医療(EBM)から、患者のナラティブを用いた医療にシフトすべきではないかというナラティブ・ベースド・メディスン(NBM)が謳われています。なので、未顧客のナラティブを知るべきだと言われると、スッと理解することができました。

 

 

未顧客理解の5原則

 

本書によると、未顧客を理解するためには、5つの原則を押さえる必要があるそうです。

 

原則1:再解釈の重要性

文脈が変われば意味が変わり、意味が変わると価値が変わる

これは、商品は1つでもブランドの「切り出し方」は幾通りもあるということです。石がペットになった例はその究極かも知れません。

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原則2:市場の再解釈

未顧客は本来戦うべき市場を見通すための「レンズ」である

未顧客というのは、マーケターが想定する「平均的な顧客像」に当てはまらない人たちをターゲットにします。つまり、新規獲得というのは、「意味の奪い合い」であり、「生活文脈の陣取りゲーム」になるということです。ワークマンはまさに市場を再解釈することで今までと違う層の新規顧客を獲得しましたね。私もその一人です。農作業服はワークマン一択(笑)

 

原則3:ターゲットの再解釈

行動の背後にある欲求、抑圧、報酬から「顧客の合理」を理解する

「二重過程理論」によると、人はシステム1(無意識の自動的な情報処理)とシステム2(論理的で意識的な情報処理)を使って物事を判断しています。衝動買いはシステム1ですね。そして、「行動のきっかけ」「行動の動機となる欲求」「行動を条件付けする抑圧」「行動から得られる報酬」を可視化するオルタネイトモデルを用いて顧客の合理を理解する試みを紹介しています。

 

原則4:ベネフィットの再解釈

「ブランドの特徴」×「顧客への情報」=文脈最適のベネフィット

 ダブルジョパディの法則により、いくらブランドを差別化しても顧客基盤や全体の顧客数は変わりません。未顧客にとって大事なのは、簡単かつ確実に報酬を得られることなので、未顧客が置かれた文脈に適した「ベネフィット」を作り、訴求する必要があるということです。

 

原則5:ポジショニングの再解釈

モノの売り方ではなく、モノが使われる行動の増やし方を考える

未顧客にはそもそも無関心や非興味に理由や原因は存在しません。アンケートなどで調査をするとそれっぽい回答は集まるかもしれませんが、「選択盲(Choice blindness)」と呼ばれる後付けされた理由に過ぎません。「行動が報酬を生み、その報酬に理由が後付けされて、次の行動を生む」というフィードバックループを理解し行動変容を促したり、強化したりする方策を考えようということになります。

 

 

まとめ

 

理系的視点と文系的視点を行き来しながらマーケティングを考えるというのが面白かったです。

未顧客を増やし、サービスを再解釈するというのは、簡単そうに聞こえますが、なかなか難しいのではないかと思います。本書には例題もたくさん載っていたので、ゆっくり頭の体操として読んでみるのも良いなと思いました。

 

ルネッサ~ンス!

今回は、ルネサンス 歴史と芸術の物語(2012年)を読みました。

 

 

これがとても面白くて、続編とも言える ルネサンス 三巨匠の物語~万能・巨人・天才の軌跡~(2013年)も読みました。

 

 

ヨーロッパには行ったことが無く、ルネサンスと言ってもダヴィンチとミケランジェロの名前くらいしか知らない超・芸術音痴の私ですが、本書を読んで本物の壁画や絵画を生で見てみたいなぁ~と思いました。そこで、面白いなと思ったものと見るべきポイントをまとめたいと思います。

 

 

マザッチョとマゾリーノ
@サンタ・マリア・デル・カルミネ教会

 

マザッチョとマゾリーノはルネサンス初期の画家ですが、サンタ・マリア・デル・カルミネ教会にある2人の壁画を見れば、ルネサンスの神髄とも言える「空間性」「人体理解」「感情表現」が全く異なることが分かります。マザッチョは27歳という若さでペストにかかって急逝しますが、最初に透視図法を使用し、絵画に消失点などの概念を導入した画家であり、後にミケランジェロもデッサンした革新的な絵を描いた人物でした。

 

また、マザッチョが亡くなった時、マゾリーノは45歳でしたが、マザッチョによってもたらされたルネサンス遠近法」をその後7年かけて完璧に修得し、カスティリオーネ・オローナの礼拝堂でその壁画を見ることができるそうです。

 

美術館に行っても、立ち止まってじっくり見るなんてしたことない私ですが、これはぜひじっくり見てみたいなと思いました。

 

 

ロレンツォ・ギベルティ
@サン・ジョヴァンニ洗礼堂

 

キベルティもマザッチョの革新性を採り入れて自らの作風を変えていった一人です。ギベルティは、洗礼堂北扉の青銅レリーフ(浅浮彫り)パネルを二十年以上かけて制作し終わった頃、マザッチョの作品が発表されました。北扉に描かれた「最後の晩餐」は登場人物がぎゅうぎゅうに画面に押し込まれているのに対し、続けて制作された東側の扉では遠近法が用いられ、秩序正しい空間が描かれています

著者さんも同じ作者によるものとは分からないほどの違いだと述べており、平面に描く絵だけでなく、レリーフ・パネルにも用いられているというのがルネサンスの革命をよく表しています。

 

これも、見比べてみたいです。

 

 

フィリッポ・ブルネッレスキ
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂

 

礼拝堂のドーム型の屋根をクーポラと呼びますが、それまでは、石橋を作る要領で木枠を置いて石を並べた後に木枠を抜くという方法でアーチを造っていました。しかし、この方法では、大きなクーポラを建設することはできません。そこで、フィリッポは古代ローマの工法から、大きな足場を必要としないクーポラ建設を考案しました。環を造ってはその上に環を新たに積み重ねていくパンテオン式で、重さを減らして、荷重を分散させるために二重構造になっています。これにより、木枠を組まずに作られた史上初、かつ当時世界一のクーポラを建設し、 フィレンツェ一の建築家となったそうです。

 

これは、ぜひとも一目見ながら、当時の建築の様子を肌で感じてみたいと思いました。

 

 

ラ・ジョコンダ
ルーヴル美術館

 

「ラ・ジョコンダ」というのは、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「モナ・リザ」のことです。これはルーブル美術館に展示されているそうなので、絶対に見たいですね。

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モデルについては、謎に包まれているものの、最初はリザ・デル・ジョコンド肖像画として始められ、何らかの理由により契約が無効になった後、手もとにおいて手を入れていくうちに、彼の女性の理想像となっていったのではないかということでした。

レオナルドは、自然に存在する事物に輪郭線などないという真理から、ぼかし技法を使っているのだそうです。これも間近でよく観察してみたいです。

尚、レオナルド最大の絵画で珍しく完成させた(彼の作品には未完成が多い)作品である「最後の晩餐」も一生に一度はホンモノを見てみたいですね。

 

 

ラファエッロ
バチカン宮殿

 

ラファエッロは、レオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロとともに、盛期ルネサンスの三大巨匠と呼ばれ、ラファエッロの亡くなった年にルネサンスが終了したと教科書に書かれるような人物です。かなり多くの作品を残しており、どこかで見たことのあるものも多いのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチの家で「モナ・リザ」を見て、彼が肖像画を描く時は、「上半身」で「手を合わせる」「坐像」でやや斜め前を向く「四分の三正面観」を基本に描いたと言われています。

膨大な注文をこなすために分業制を導入しており、バチカン宮殿の「火炎の間」では4場面のうち「ボルゴの火炎」が最もラファエッロの関与が高く、それ以外の三場面は下絵以外は弟子たちの手によるものなのだそうです。

 

その散漫な構図と艶のない色彩をみるかぎり、ラファエッロと弟子たちの差があまりにも大きいこともまた明らかである。

 

なんて書かれたら、実際に見てみたくなりますよね。

 

 

まとめ

 

本書を読んで、ルネサンスという時代というものを随分知ることができた気がします。古代ローマ多神教一神教であるキリスト教をどのように絵に融合さようとしたのかや、ペストの流行など当時の衛生状態、絵画から分かる女性の教育(識字率)、メディチ家の話など、本当に面白かったです。

12時間も飛行機に乗ってヨーロッパに行くなんて、無~理~と思っていましたが、機会があればヨーロッパに行ってみたいなと思うようになりました。宝地図にヨーロッパの写真も貼ろうかな!ただし、エッフェル塔の前で塔ポーズだけは絶対にしませんけどね(笑)

 

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