ほたる子

東方都東方区東方町
オフィスビル十階建て屋上。
潮田 螢子刑事は警察署に向かう途中に仲間の新米刑事、岡田 昌と潮田の相棒、中丸 祐司刑事に呼び止められた。
中丸 祐司刑事「ほたる子 」
潮田 螢子刑事「はいはい?…事件?」
中丸 祐司刑事「ほたる子、事件というより人騒がせな奴がこの目の前のオフィスビルの屋上で飛び降りるって騒いでいるんだよ。お前、屋上に行ってそいつを説得してくれないか?」
潮田 螢子刑事「なんで、私が。新米にやらせてよ。」
新米刑事・岡田昌「僕、高所恐怖症なんです。…すみません。」
中丸 祐司刑事「ってことなんだよ。お前に頼める?」
潮田 螢子刑事「相棒?…あんたは高いところ大丈夫でしょ?…貴方が行ってきて。」
中丸 祐司刑事「飛び降りる奴は男だから、女のお前が行った方が奴も踏みとどまるかもしれないだろ?…頼のむよ。ほたる子。」
潮田 螢子刑事「。…人助けすることは嫌じゃないけどね~。高いところはね~。………行ってくるわ。
岡田 昌新米刑事「ありがとうございます❗ほたる子さん❗」
潮田 螢子刑事「気安く呼ぶな。お前に貸しだからな。」
岡田 昌新米刑事「え?」
中丸 祐司刑事「貸しはちゃんと払うからな。頼みますよ、ほたる子。」
潮田螢子刑事「はいはい。」
螢子は渋々な顔しながらビルの屋上に向かう。
他の警察官たちは側には寄らずに様子を見ている。
螢子は屋上フェンスを登り、降りた。…男の側に近づく。
潮田螢子刑事「おおっ! あぶねえなぁ あんたさ~、本当に飛び降りる気なの?…やめとけよ。」
飛び降り志願者「来るな❗…飛び降りるぞ。…近寄るな。」
螢子刑事「やめなって あんた、ビビっているんでしょ? こんな人騒がせしてどうするの?…」
飛び降り志願者「奴等は勝手に集まってきたんだ。俺のせいじゃない。」
螢子刑事「おおっ! 私は高いところ好きじゃないけどね~、あんたのために努力してるんですけどね。…まだ、飛び降りる気?」
飛び降り志願者「。… 戻れば、奴等の笑い者だよ。今さらやめられない。」
螢子刑事「くっ。…あんたよりも私がヤバい。…一休みする。…タバコ吸うから。…あんたも吸う?」
飛び降り志願者「。うん。」
螢子は男にタバコ1本を渡す。
螢子刑事「待ってね~ 今、火をつけて。…」
螢子は相手の手を取り手錠をかけた。
飛び降り志願者「おおっ!。なんで手錠を❗」
螢子刑事「ふふん…これであんたは飛び降りることはできない。…飛べば、私も道連れだね?あはは。」
飛び降り志願者「俺が本当に飛び降りないと思うのか?…俺は飛び降りる❗…笑い者にはならない❗悪いな❗」
螢子刑事「おおっ!マジかよ❗…きゃああああっ。」
飛び降り志願者と螢子が飛び降りた。
二人は地面に設置してある巨大エアバックに落ちたので無傷だった。…男は逮捕された。
飛び降り志願者「なんで?俺は悪いことはしてないよ❗…なんで、逮捕するんだよ❗」
螢子刑事「無駄な抵抗はやめな。…人騒がせなことしたでしょ?…そういう人は捕まえる。更正するまでね。ご愁傷さまです。」
飛び降り志願者「なんだよ。」
螢子刑事「はいはい、行った行った。…やじうまの皆さんさあ、お帰りを❗…ここは車道だよ?…はやくお帰りを。」
やじうま①「あはは。…刑事さん?…あんな奴は勝手に飛び降り自殺させればよかったんだよ。…刑事の仕事じゃないだろ?」
中丸 祐司刑事「はいはい、行った行った帰りなさい。」
やじうま①「はいはい 刑事は凶悪犯人捕まえることをしろよな❗」
螢子刑事「。…人助けも刑事の仕事なんだけどね。」
やじうま①「はいはい 凶悪犯人を捕まえることはできないんだろ?…はいはい、帰りますよ。」
中丸 祐司刑事「ほたる子、やじうまの言うことなんか気にするな。」
螢子刑事「。…(やじうまが聞いたような口を利くな。)ああっ。」
消防車、警察車両、救急車が撤退する。
岡田 昌新米刑事「我々も署に戻りましょう。先輩たち」
中丸 祐司刑事「そうだな。ほたる子も署に戻りましょうか。」
潮田螢子刑事「はいはい。」
螢子たちは各自の車に乗り込み署に向かう。
東方警察署前の駐車場に螢子以外の刑事が到着する。
署内・取調室。
ここに先程の自殺志願者が椅子に座っていた。この自殺志願者はずっとうつむいていた。そこへ自殺志願者を取調べする係員が取調室に入る。
取調係員「ん?。…おい!…起きろ!…ん?」
自殺志願者は喉を斬られて死んでいた。
取調係員「。署長‼…大変です❗殺人事件です❗…署内で殺人事件です❗」
署内・殺人課。
中丸 祐司刑事「署内で殺人事件?…誰が死んだ。」
取調係員「先程の自殺志願者です。」
中丸 祐司刑事「なんだって?警部は?」
岡田 昌新米刑事「え?…わかりません。」
中丸 祐司刑事「ほたる子は?…まだ、着いてない?」
岡田 昌新米刑事「はい。」
警察署前駐車場。
やじうま①「あはは。…刑事さん?」
螢子刑事「なんだよ?」
やじうま①「あはは、さっきのやつを殺してやったよ。」
螢子刑事「なんで?」
やじうま①「あはは。」
螢子刑事「あんた、頭おかしいんだよ。…人助けが無駄になっただろ。」
やじうま①「あはは、そうだな。あはは。」
螢子刑事「あんた、よくぬけぬけと署から出てこれたね?」
やじうま①「あはは、そうだな。…俺みたいのは見慣れて要るから警察官たちは無視したんだろ?あはは。」
螢子刑事「あんたを捕まえる。」
やじうま①「あはは、捕まえる?…捕まえてみろよ?…腕ずくで」
螢子刑事「なんで?」
やじうま①「あはは、空手道やってんだろ?警察官たちは。」
螢子刑事「。」
やじうま①「あはは、俺も空手道をやってた。組み手やろうぜ。」
螢子刑事「。」
螢子は構える。
やじうま①も構える。
螢子刑事「組み手?…これは実戦だよ。」
やじうま①「あはは、実戦ね~。そう気張るなよ。軽くやろうぜ。」
螢子は空手道の型というより、ボクシングスタイルである。軽くステップして、やじうまとの間合いを取る。
やじうまは空手道らしいような構えである。
螢子はやじうま男に右フック2発、ワン・ツーをいれる。
やじうま男は上腕で右フックを2度かわし、ワン・ツーもかわす。
螢子はにやつく。
やじうま男もニヤリと笑みをこぼす。
螢子はこの隙を狙った。
螢子は男にローキックする。男が怯んだところをハイキック。男は反動でよろめき地面に倒れる。
螢子刑事「あんたを逮捕します❗…容疑は殺人です❗…わかった?」
やじうま男「スゲェな。…さすがに効いたぜ、あんたのハイキック。」
螢子刑事「。…」
やじうま男「あはは。…俺は終わりだな。」
螢子刑事「終わりじゃないわよ。これから、あんたは罪を償い、更正するまで頑張ればまた、社会に出てこれるわよ。」
やじうま男「あんたは優しいな~。」
螢子刑事「。」
中丸刑事が外に出てきた。
中丸刑事「ほたる子❗…」
螢子刑事「オッス…容疑者を逮捕しましたけどね。」
中丸刑事「?…やじうま男❗…お前だったか」
やじうま男「あはは、俺に気づかないあんたが悪かったな~。」
中丸刑事「うるさい❗…」
東方警察署・署長 権田 剛「ほたる子くん、中丸くん、署内に戻りなさい。」
中丸、螢子「はいっ。」
権田署長「犯人は直ちに留置所へ入れなさい。」
取調係員「はいっ、螢子刑事 あとは私が。」
螢子刑事「お願いするわ。」
東方警察署・署内・署長室。
権田署長「ほたる子の活躍により、犯人逮捕ができた。ありがとう。ほたる子。…中丸は犯人を見逃したな、自殺志願者が奴に殺された。…本来なら監察官に知らせるのだが 私の署内で起きた殺人事件。…私からの厳重注意で終わりにしたい。いいな?…中丸?…給料は今まで通り。自宅謹慎にもしないから安心しろ。いいな?…」
中丸刑事「はいっ❗ ありがとうございます❗」
権田署長「以後、気を付けろよ❗」
中丸刑事「はいっ❗」
権田署長「ほたる子は本の少しだが給料アップする。いいな?」
螢子刑事「はいっ❗ありがとうございます❗」
権田署長「うむっ。これからも人助けや犯人逮捕を頼むぞ❗」
螢子刑事「はいっ❗頑張ります❗」
権田署長「それと新米刑事の岡田。」
岡田刑事「はいっ❗…自分はなにも出来ませんでした❗…すみません❗署長」
権田署長「❗…謙虚な態度が気に入った。これからも先輩二人を見習い精進しろ❗」
岡田刑事「はいっ❗頑張ります❗」
権田署長「よろしい❗…皆、部屋から出ていって良い❗」
中丸、螢子、昌「はいっ❗」
3人は署長室から出た。