あれはきっと夢だった。

 

 

 

 

 

きのうの夜は夢だったのかもしれない。

 

朝日の差し込むベッドの中で、隣で寝息をたてる君のマヌケな横顔を眺めながら、働かないあたまでぼんやりと考える。

現実逃避をしてみても、身体にまわる君の腕の温かさと重みが、たしかにここは現実だと突きつけてきて、頭がいたい。

 

やってしまったなと、していない後悔をしてるふりをして、こうなることをどこかで期待していたことへの恥ずかしさを誤魔化した。

きみに触れて、触れられて、速くなる鼓動に笑い合いながら、あの時間に溺れたのは自分だ。

すきという気持ちも、欲も、人間をバカにする。

 

これからどうなるんだろう、そんなことを考えてバカらしくなった。どうにもならなければ、どうする気もない。

 

 

肌をなぞる感触を思い出して、微かに震える。

恋とも愛ともいわない距離のままのふたりで迎える朝がまたくるだろなと、そんな予感が胸をよぎった。