2023年2月5日
舞台刀剣乱舞 愚伝 を見てきたよ。
今回の刀ステはキャストが女性だけ、しかも主要な役は宝塚のOGということで発表時から賛否が上がっていたがさてはて。
私は個人的には御前が目の前で生きているのを見られるのが楽しみだし、名も知らぬ若手俳優よりは演技もダンスも美しさも上の可能性が高いので、まあそこまで見に行かない!無理!というのはなく、ただ宝塚は恋愛関係の舞台多そうだなってのがそれが苦手な私には不安なくらいでした。
あと単純に源氏物語の知識が薄いのが不安だったけど、まあいつも通り軽くは説明してくれるので!
きっと知ってたら着物の意味とかもわかるんだろうなー。
以下ネタバレ気にせず
源氏物語の世界に入り込んでしまった紫式部を助けに来た刀剣男士が行間の間で登場人物と会話して本編に影響を起こそうとするの面白かった。
オタクが好きなやつじゃん、行間を埋めるって。
あと、南泉が空蝉のところでめっちゃツッコミ入れてるの面白かった。
南泉は光源氏がお好きではないようで何言ってんだこいつ!って反応が実際に源氏物語を読んでる男子高校生のようで可愛いし、めっちゃ共感出来る。私もコイツなんだって思った。
物語を破綻させたいけどなかなか上手くいかない。
そのうちにコレは物語ではなく源氏物語の役を演じさせられている?となり、歌仙が光源氏の設定を受け入れたりするわけです。
七海さんの歌仙の光源氏が麗しい。煌めいている。
さて、ここらへんで観客は気がつくのです。いや、聡い方ならもっと前から違和感があったはずですね。刀剣男士の設定がおかしいことに。
どうやらこの本丸は実験的なものらしく、意図的に刀剣男士に設定を与えているらしい。
歌仙がガラシャの刀であったり、大倶利伽羅が徳川家の刀であったり。一文字もそれぞれに設定がつけられているらしいがその偽りよりも一文字という枠が強くて偽りの設定が偽りだと気がついてる模様。
一文字強い。
それじゃ、女なのもその政府の実験なのかなと思ったけどそこには言及なかったような。まあ、女性では無いんだろうな。了解わかった。あるいは女性という設定を付けられていることに気がついていないのかもしれない?
女性がやる意味が分かった!と仰ってる方もいたけど私にはそこはよく分からず。ガラシャの刀であるという偽りの設定で、だからガラシャの面影があるってことなのかもしれないけれど。
別に男子でもよかったような?
どうしても明確に男子でないと行けない理由は分からんかった。ごめん。
で、これが物語の中だと気がついている人達が何人か居るけどそのうちに御前が気がつく。コレは源氏物語ではなく、源氏供養ではないかと!
源氏供養とは??
源氏物語と紫式部を供養する中世の文化で、それを題材にした能もあるみたい。
物語は真実では無い、ウソを綴る。ウソは御仏に禁止されてるので死んだら地獄に落ちる。だから供養する。
御前、博識。トロイの木馬の話も知っているし他にもいろいろ知ってるしすごい。しかも、閃きがあるからすごい。
名も無き男は源氏物語が好きで、源氏物語に救われて、だからそれを綴ってくれた紫式部が地獄に落ちるのは忍びない。ならば、物語が嘘で無くなればいい。光源氏として自分が死んでいつの日か光源氏としてその骨が世に出ればそれは歴史になる。
物語が真実になる。真実と強いものでなくても諸説の1つにでもなれたら。
結構恐ろしいことを。これを逆に考えると今真実だとしてることも実際にはない可能性あるってことでは?とか思ってしまう。歴史で小説の設定が有名になりすぎてあたかも史実のように扱われてる話なんていっぱいあるじゃないですか。今は小説の一設定だと知っているけど100年後には分からないよね。
この話に御前持ってくるの、闇深い。
御前は自分の逸話が物語に基づくものがあると知っている。その物語が愛されるからこそ嘘が力を持つことも知っている。
源氏物語を演じる源氏供養が混ざり始めた歴史を修正する物語を見る私たち。
この世界が物語だと気がついた登場人物がなぜ作者は私にこんなことを、こんな思いをさせるのかと嘆く、設定で付与された縛りに苦しむ、物語の登場人物死んでいく。
心がなければ悲しむことなかったと光源氏が歌仙に言ってるけどそれは物語の登場人物もそうだよね。
物語の登場人物が死んだ時、悲しい思いをした時、それは作者の筆先ひとつで綴られる運命を物語だと捨ておくこともできるけれど、御前は悲しいと言ったし、この舞台は第一層、第二層を超えた刀剣乱舞を観る私たちという三層目でこの物語で何を感じるだろう。
最後に歌仙が演練であった別の本丸の山姥切国広の話をするけど、アレはいつもの刀ステのまんばちゃんだね!
この本丸はいつもの本丸ではなかったと。