sao 16.5

Sword Art Online #16.5■

 窓から差し込む仄青い月光が、ベッドの上に複雑な陰影を作り出している。
 繁華街の無いセルムブルグ市ゆえに深夜ともなると人通りもぱったり途絶え、聴こえるのはかすかに届く湖のさざめきくらいで、ともすると早鐘のような俺の鼓動が部屋中に響いているような気すらしてくる。
 着衣をすべて解除した俺とアスナがベッドの上で正座して向かい合った状況が、すでに約2分半継続していた。両手を膝の上でぎゅっと握り締め、俯いたままのアスナの表情を読み取ることはできない。俺からなにかアクションを起こすべき状況なのだろうが、悲しいかなすべての選択肢の結果がさっぱり予想できず、
無言の硬直を強いられている。
 仮にここで「ゴメン!」と一声叫び、マッハで最低限の着衣を装備してダッシュで部屋から遁走をキメたら一体どうなるだろうか。明日会ったとき「しょうがないなぁー」と笑って許してくれるようなことなないだろうか。
 ――ないに決まっている。
 遠い記憶を振り返ると、俺はSAOにログインしたときはわずか14歳だった。中学二年生の冬だ。当時の自分のことなど思い出したくもないが、同年代の男子が通常発生させ得る性衝動エネルギーをとことん犠牲にしてまでネットゲームにのめり込んでいたので、女の子の部屋で二人きりなどというシチュエーションにはついぞ遭遇したことはなかった。裸で向き合う状況においてをやである。
 この際、実は俺より少々年上なのではないかと思われる(そしてこの方面の知識も俺よりはあるであろう)アスナに仕切って頂きたいというのが偽らざる本音であるが、SAO内では、彼女を含む周囲の人間はどうやら俺を実年齢よりかなり高く見積もっているらしく、そしてそれをあえて今まで訂正しなかったため、今更彼女に向かって「じつはボク……」などと言い出す真似はとてもできない。
 俺は覚悟を決めた。たとえ知識と経験はなくとも、俺のアスナに対する気持ち、未だかつてこれほど愛した人はいないというその感情だけは確かなものだ。
 SAO開始以後、何回か「どうあろうとここで逃げるわけにはいかない」という状況に直面したことがあるが、それら全てを上回るほどの意思力を振り絞って、俺は体ごと前方に移動しながら右手を伸ばした。
 指先で、優美な曲線を描くアスナの肩にそっと触れる。彼女がぴくんと体を震わせる。そのまま指を、鎖骨のラインから首筋へとゆっくり辿らせる。
「んっ……ふっ……」
 目を閉じたままのアスナが、かすかな吐息をもらした。その頬がみるみる上気し、眉がきゅっとしかめられる。
 かねてから、アスナをあれこれいじってその反応を見ることにひそかな楽しみを見出していた俺は、彼女の新鮮なリアクションに少々感動し、調子に乗って指先を触れるか触れないかの距離に保ちながら、ゆっくりと滑らかな肌の上にすべらせ続けた。両胸をしっかり隠している二の腕を這い降り、お腹を撫で回し、再
び反対側の腕を登っていく。
「ひゃ……んぅ……っ」
 俺の指が動くたび、アスナの体がぴく、ぴくと震え、甘い声が漏れる。ひとしきり彼女の全身を撫でまわしたあと、俺は右手の指をちいさなおとがいにかけ、くい、と上向けさせた。濡れたように輝く桜色の唇を、左手の人差し指で丹念になぞる。
「やぁ……指だけじゃ……やだ……」
 顔をぽうっと上気させたアスナが、うすく目をあけ、うるんだ瞳で俺を見ながら言った。
「キス……してよぅ……」
「……」
 俺は無言で顔を近づけた。アスナの唇が、待ちきれないといったように軽く開けられる。
 だが、俺はすぐには唇を合わせず、舌先で彼女の下唇をそっとつついた。
「ふぁ……」
 アスナは、自分から求めるように舌を差し出してきたが、それを避けるように舌を動かし、軽く触れるにとどめさせる。
「あふ……あぅ……」
 期待と不満のあえぎ声を漏らすアスナを散々じらしてから、俺はいきなり舌を彼女の口腔に思い切りすべり込ませた。
「あむぅ!」
 そのまま、無茶苦茶な動きで激しくかき回す。
 SAOにおける触感覚は、味覚と同じくプリセットされたものが状況に応じて再生されている。それを考えると、実際に「ディープキスの感触」が記録されているとしか思えない(まあ現実世界でそんな体験をしたことは無いわけだが……)とてつもなくなまめかしい感覚が俺の中枢神経を直撃する。
 アスナの舌を絡めとり、思うさま吸いつくすうち、彼女の体からぐったりと力が抜けるのがわかった。ぼうっと霞んだような瞳で荒い息を繰り返す彼女の口から舌を抜き出し、そのまま首筋、耳のうしろ、鎖骨のくぼみへと丹念に舐め下ろしていく。
 やがて、俺の舌が、いまだ隠されたままの胸の上部、やわらかい丘の麓に触れると、ビクリと彼女の全身が跳ねた。両腕に再び力が入り、いやいやをするように首を動かす。
アスナ……腕、どかして……」
「で……でもぉ……」
アスナのおっぱい、見たいよ」
 拒むように組み合わされた彼女の両手首を、両手で掴んでそっとずらしていく。徐々にあらわになっていく白い乳房を、舌先でこねたり唇で吸ったりしながら、すこしずつその先端へと近づいていく。
「あ……やぁぁ……」
 とうとう、アスナの両腕は体の脇に広げられ、彼女の双丘が俺の目の前にあらわれた。普段、ゆったりとした騎士服とブレストアーマーによって隠されているそのふくらみは俺の想像よりかなり大きく、みっちりとした張りを持って前方につんと突き出している。その先端では、これはやや未成熟な感じのする、周りと先端の区別がつきにくい乳首が、生意気とでも形容したいほどの勢いできゅっと円錐形に尖っている。惜しむらくは、今は部屋中の全てが月光の青色に染まっているということで――。
アスナ、明かり、点けてよ」
「えぇ……やだぁ……ダメー」
 提案をすげなく却下された俺は、諦めて彼女の左乳首をすっぽりと口の中に吸い込んだ。
「ひゃう!!」
 いきなりの攻撃に甲高い声を洩らすアスナに構わず、唇で固いしこりをやわやわと噛みながら、舌先で尖った先端をぐりぐりと転がす。
「ひっ! ひんっ! だめっ、だめだめっ……!」
 びくん、びくんと全身を痙攣させながら、悲鳴にも似た声を上げて俺を押し離そうとするアスナを右手でしっかりと抱きかかえ、俺は左手を反対側の乳房に這わせた。先端に向かって絞るようにきゅ、きゅっと指を動かし、その後おもむろに人差し指の爪を立てると乳首のさきっぽをかりかりと刺激してやる。
「んっ、きゃうっ、んくぅっ!!」
 両胸を激しく攻めたてるうち、アスナの体の痙攣と、甘い悲鳴は驚くほどの勢いで高まっていった。悪乗りした俺は、口中の生硬い突起物を、口全体で噛み締めるように、やや乱暴にぎゅ、ぎゅっとしごき立て、同時に左手の親指と人差し指でもう一方の乳首を激しく捻りあげた。
「んんぅっ!! あっ、あっ、やだ、うそっ……」
 突然、アスナの全身がぴんと硬直した。俺の後頭部に回された彼女の両腕に、ぎゅっと力が込められる。
「やだっ、やだやだっ、わたし、胸だけ、なのにぃっ……! いっ……ちゃ……」
 その後は言葉にならなかった。喉の奥からかすれたような高い悲鳴を漏らしながら、一回ビクン!!と大きく全身を跳ねさせると、アスナはくたりと俺に体を預けた。その後も荒い息を吐きながら、断続的にちいさく体を痙攣させている。
「あっ……く……あふ……」
「……アスナ……今の……」
「あぅ……や、やだァ……はずかしいよ……今まで……こんなこと、なかったのにぃ……」
「……いままで?」
「あ……」
 アスナが体をすくめ、うつむく気配。
「な、なんでもない、なんでもないよ」
「……教えてよ」
 俺にもたれかかったままのアスナの右乳房にふたたび左手を這わせ、先端を指の間に挟みこんできゅ、きゅっとしごく。
「ひゃう、や、だめ、むねはもうやめてェ……」
「……いままでって、何?」
「ふぇぇ……」
 泣き声に混じって再び甘い吐息を漏らしながら、アスナは途切れ途切れに言った。
「……倫理コード解除のこと……教わってから……何回か、ひとりで……したの……」
「……どんなふうに……?」
「あぅぅ……キリトくんのこと……考えながら……むねとか……下のほうとか……いじって……」
 自らの行為を告白することで、アスナはある種被虐的な快感を高まらせていくようだった。俺にぎゅっとしがみついたまま、徐々に息を荒くしていく。
「下のほうって……このへん……?」
 俺は胸をいじめていた手を、ゆっくりと下降させていった。引き締まったおなかを撫でまわし、更にじわじわとその場所を目指していく。下腹部のふくらみを乗り越え、指先がふたつの丘の入り口に達すると、アスナはぴくりと体を震わせ、あえいだ。
「ひゃう……やあっ……」
 俺は左手の人差し指と中指で、ふにふにと秘裂の周囲を刺激した。あえて中心に触れないようにしながら、なめらかな丘を押したり、左右に開いたりして感触を楽しむ。
「あう、あう、んっくぅ……っ!」
 ぺたりと正座した格好で、俺の体に両腕を回し、肩口に頭を押し付けたアスナは、俺の指がうごめくたびにびくびくと体を跳ねさせ、声を漏らした。
「んくっ……そこっ……やっ……」
 だが、その声は次第に切なげにかすれ、首を振りながら全身をもじもじとくねらせる。
「あうぅぅ……そんな……そんなのォ……」
 あまり意地悪するのもどうかと思い、俺は中指を徐々に中心に向かってすべらせていった。
「はうっ……はうっ……きゃうんっ!!」
 アスナが一際高く鳴くのと同時に、俺の指をぬるりという感覚が包み込んだ。
 その場所は、熱く潤み、とてつもなく柔らかく、指を押し当てるとどこまでも呑み込んでいくようで、俺は思わず夢中になって二本の指でむちゃくちゃにかき回してしまった。
「あーっ!! だめっ!! だめーっ!!」
 アスナが悲鳴をあげ、がくがくと全身を跳ねさせる。それに構わず、二本の指で裂け目をいっぱいに割り広げ、頂点部分から顔を出したちいさな突起を親指でぐりぐりとこねまわす。
「あっ……くぁぁっ……はっ……」
 アスナはもう声も出ないといった様子で、両手の爪を俺の背に立て、体を限界までのけぞらせた。
「くふぁぁっ……だめーっ!! もう、だめぇぇーっ!!」
 しかし、俺も別の意味で限界だった。アスナのその部分を隅々まで見たいという欲求に耐えられなくなった俺は、強引にアスナの体をベッドに横たえると、両足を体の上に持ち上げ、広げさせた。
「えっ……えっ……? あっ……やっ……!?」
 朦朧としているうちに自分がとてつもなく恥ずかしい格好にさせられていることに気づいたアスナは、体を振って抗おうとしたが、無論いまさら手を緩めるわけにはいかない。
「わっ、わっ、キリトくん、そんな近くから見ちゃ、だめっ!!」
アスナ……」
 俺は顔を上げ、アスナの瞳をじっと見つめる。
「……明かり、点けない?」
「や―――――っ!!」
 真っ赤に染めた顔をぶんぶん振りながら力いっぱい拒否されてしまったので、再び諦め、改めて俺はアスナの秘められた場所の検分にとりかかった。
 ぷっくりとふくらんだ恥丘は真っ白で、つるりと滑らかで、体毛の一本も生えていない。これはまあ設計者のコダワリというよりはシステム上の制約と言うべきで、毛髪等のオブジェクトは非常に重い部類に入るため頭髪とヒゲを覗くとSAOプレイヤーの全身には体毛はまったく存在しない。
 つややかな二つの丘の間には、スッと一本の切れ込みが入り、その奥にかすかに薄い色の襞が息づいている。スリットからはときおりこぽ、こぽと透明な液体が湧き出し、アスナの丸いお尻に筋を引いて流れてはたちまち光の粒となって蒸発していく。
 恥ずかしさのあまりか、抵抗する気力もなくしてぐったりとしてしまったアスナの右足から手をはずし、俺は裂け目をそっと押し広げてみた。
「ふぁっ……」
 アスナがうつろな目で甘い声を漏らす。スリットの中は、かつて現実世界のネットで得た情報に比較すると非常にシンプルな構造で、滑らかに広がる桃色(と思われる)の粘膜の中央やや下部に、絶え間なく粘液を生み出す膣孔がひそやかに息づき、上部でスリットが閉じる部分にはツンと小さな突起が顔を覗かせている。
 SAO内の男性プレイヤーなら、一度や二度は女性プレイヤーのその部分ははたしてどうなっているのかという疑問に頭を悩ませたことがあるだろうが、俺は今ついにその答えを得てある種の感動を覚えていた。
 無論、俺の股間にも、限界まで膨張したモノが激しく自己を主張している。だがソレがそのような状態に変化したのは、SAO開始以降今日がはじめてのことである。
 これについては少々面白い話があり(脱線して申し訳ないが)、SAO開発期、アーガス社内で行われたクローズドαテストでは、プレイヤーに性器は必要なかろうということでオブジェクト化されていなかったのだそうだ。
 しかしその事実は、主に男性テスターにある種の深刻な不安感をもたらしたらしい。それでも数時間のプレイなら問題は出なかったが、連続48時間の運転テストが行われた際、参加したほとんどの男性テスターがあるべきモノがない状態に耐えられずギブアップし、βテストからはやむなく触感をともなった性器の実装が行われたということだ。SAOでプレイヤー・キャラクター間の性別逆転が許されなかったのもそのへんに理由があるらしい。
 しかしモノがあるならあるで、今度はそれが機能しないことに不安を覚えるのではないだろうか――と言うのが、正式サービス開始以降(つまり事件発生以来)の俺の疑問だったし、再三ならず俺自身遣り場のないエネルギーを消化できずに煩悶したものだが、なんのことは無い、倫理コードとやらを解除すればこのように勃起も、そして多分射精も可能なのだ。
 いままでそれを知らなかったことで激しく損をしたような気になりながら、同時に俺は新たな疑問に直面していた。
 それは、はたしてこの倫理コード解除設定、つまりオンラインでのバーチャルセックス機能の実装は正式に予定されていたことなのかどうか――ということだ。SAOには俺を含む未成年のプレイヤーも多数JOINしているし、どう考えてもそんな機能は社会的な大問題を引き起こすとしか思えないのだが。
 アスナのかわいいスリットを指先でつぷつぷといじめながら、俺は顔を上げてその疑問を彼女にぶつけてみた。
「あんっ……はふっ……え……?」
 ぼーっと紗のかかった眼差しで、時折あえぎ声をあげながらも、アスナは性分の生真面目さを発揮して答えてくれた。
「あふ……そ、それは……予定では、SAOの……システムを流用して……ペルソナ・セックスサービスの……運営をする計画があって……その機能とリンクしてるんじゃ……ないかって……んぅぅ……っ」
「ふうん……。つまり茅場の粋な計らいってことなのかな……。まあ、野暮な話はこれくらいにして……」
 俺は左手も使ってアスナの割れ目を限界まで大きく押し広げた。
「きゃうっ!!」
 もう固定されてはいないのに、両足を体の上にいっぱいに広げた格好のまま、アスナが甘い叫びを上げる。俺はそっと顔を近づけ、舌先をゆっくりと粘膜の中央、ちいさな孔へと押し当てた。
「はぁぁぁうっ!!」
 頭を左右に振ってアスナが鳴く。俺は舌でやわやわと孔の入り口を刺激し、同時に指先で突起を押し込んだり、弾いたりした。
「ひんっ! だめっ、それだめーっ!!」
 アスナが体を痙攣させるたび、膣孔からは大量のしずくが染み出し、俺の舌に絡まってねちゅ、ねちゅと音を立てる。
 散々舌先を突きこみ、柔穴が敏感に収縮するのを楽しんだ俺は、体を起こしてそっとアスナの上に覆い被さっていった。いい加減俺のモノも限界で、このままアスナの体の探索を続けているとそれだけで俺も達してしまいそうな気がしたからだ。
 仰向けになっても、形はそのままにぴんと突き出た乳房をやわやわといじりながら、俺はアスナの唇に自分の唇を触れさせ、ささやいた。
アスナ……いい……?」
「あふっ……はふ……」
 熱っぽい吐息とともに、アスナがこくこくと頷いた。
「うん……キリトくんので……いっぱい……してぇ……」
 あの生真面目な無敵剣士に、泣き顔でそんなことを言われてしまった俺は、頭をくらくらさせながらそっと自分のものをアスナの潤みにあてがった。先端を上下に動かすと、すぐにクッ、と柔孔の入り口に引っかかる。
「アッ……アッ……」
 俺の両肩をしっかりと掴んだアスナは、目をつぶり、眉をぎゅっと寄せて喘いだ。薄青い闇のなかでもわかるほど全身が真っ赤に上気し、汗が珠のように光っている。
 俺は両手をアスナの脇腹に添えると、ほんのわずかに腰を前方に突きだした。一瞬きつい抵抗を感じたが、すぐにぬぽっ、という感触と共に性器の先端部分がアスナの内部に飲み込まれた。
「ふああぁぁぁっ!!」
 それだけで、アスナは限界まで体を反らせ、甘い悲鳴を上げた。同時に俺も、自分の先端部分から痺れるような快感が全身に広がるのを感じ、息を詰める。
 自分すべてを限界までアスナの中に突きこみ、何もかも味わい尽くしたいという耐えがたい欲求が噴き出し、俺はじわ、じわと侵入を続けた。
「あぁぁっ!! ひああぁぁぁっ!!」
 頭を激しく振り、がくがくと体を揺らしながら、アスナは声を上げ続ける。ひょっとして痛いのかなと思いつつも、俺は腰の動きを止めることができない。ちゅぶ、ちゅぶと湿った音を立て、俺のものがアスナの柔肉をかきわけて押し入っていく。
「ふぁ……あ……あ――――っ!!」
 やがてとうとう、俺の性器は根元まで完全にアスナの秘裂に埋没した。最も身近な、誰よりも愛する女性であると同時に、果てしなく雲上の、アインクラッド最大のアイドルをいま深く貫いているのだという怪しからぬ思考が俺の脳内をぐるぐると渦巻き、ややもすると頭のヒューズが飛んでしまいそうになる。
 どうにか呼吸を落ち着かせながら、俺はアスナの耳元に口を寄せ、言った。
「ぜんぶ、入ったよ……。痛く、ない……?」
「う、ううん……それより……熱いっ……と、溶けちゃうぅっ……!」
 ふるふると首を振りながら、アスナが細く、高い声を絞り出した。
「キリトくんのがっ……いっぱい……ささって……あっ……あっ……」
 とてつもない熱を感じているのは俺も一緒だった。アスナの潤んだ筒にすっぽりと包みこまれた俺のものから、次々と熱い快感の塊が背筋を這い登り、頭の中で火花を散らす。
「あっ……あっあっあっ、あっ!!」
 俺はとても動くことができず、ただ快感に耐えるのみだったが、貫かれているだけの状態のアスナの喘ぎがどんどん高まっていくのがわかった。それと同期して彼女のスリットもぎゅ、ぎゅっと収縮を繰り返し、俺をきつく締め付ける。
「ひぁっ! あっ、やだっ、うそっ、わたし、またっ、またっ」
 熱に浮かされたようなアスナの声はとろけるような嬌声へと変わってゆき、
「やっ、やっ、またっ、いっ、いっちゃう、いっちゃうよ、あっ、あっ」
 がくっ! と頭をのけぞらせたと思うと、
「あぁぁ―――――っ!!」
 一際高く叫んで、アスナは二度目の絶頂に達した。同時にすさまじい強さで俺の性器が絞りたてられ、恐ろしいことに体の奥から猛烈な射精感がこみ上げてきた。
「!!」
 俺は唇を噛み、必死に抗う。まだ一往復もしていないのにあっさり達してしまうわけにはいかないという貧乏性な決意に支えられ、どうにか衝動を押さえ込むことに成功する。
 はあはあと荒い息を吐きながら、俺はオーガズム直後でぐったりとしているアスナの体を抱えなおした。さして時間の猶予があるとも思えないので、乱暴に膣孔ぎりぎりまで引き抜き、一気に押し入れる。じゅぶん! という音と共に液体が飛び散る。
「くああぁぁぁっ!!」
 その途端、アスナが目を見開いて悲鳴を上げた。
「だめえっ! そんな……したら、おかしくなるぅっ……」
「……」
 俺はやむなく、再びアスナの奥まで埋没した状態で動きを止めた。熱いぬめりが俺を包み込み、絶え間ない疼きの波が全身に染みとおる。アスナはすでに数回達しているし、このままじっとしていれば俺もすぐに噴射してしまうだろうが、それでは何となく事態が完結しない気がして、俺は思案のすえゆっくりと体をずらし始めた。
「え……?」
 とろんとした表情のアスナの体を持ち上げ、自分は下に回る。やがて二人の体勢は入れ替わり、横たわった俺の上に貫かれたままのアスナが跨る形になった。アスナは自分の姿勢に気づくと、顔をさらに赤くし、いやいやをするように首を振った。
「やだぁ……こんなの……恥ずかしいよぅ……」
アスナが動いてみてよ……」
「えぇー……う、うん……」
 羞恥に頬を染めながらも、アスナはこくりと頷き、ゆっくりと体を揺らし始めた。
「あっ、うぅ……っ、わたしだけ……気持ちよくなって……ゴメンね……っ、キリトくんも、いって、いいよ……」
 俺のものが突き刺さったままのスリットから、にちゅ、にちゅと粘っこい音が漏れる。アスナの動きはごくわずかなものだったが、再び痺れるような強烈な快感が俺の体をまっすぐ貫く。このままならすぐに俺も達してしまうだろう――と思ったとき、
「んっ、んっ、あっ、ふぅっ……」
 右手の指を噛んで腰を上下に動かしているアスナの声に、また昂ぶりの色が混じりはじめた。
「あう、あうっ、なんでっ、わたし、あっ、こんなっ、こんなのっ」
 アスナが頭を揺らすたび、長い栗色の髪が宙を舞う。汗の珠が飛び散り、光となって消えていく。
「ごめん、ごめんねっ、キリトくん、わたし、あっ、あっ、また、いっ……いっちゃ……うぅ――――っ!!」
 うー、の音を細く、高く引き伸ばしながら、アスナは全身を大きくのけぞらせ、二、三度激しく痙攣させた。それに合わせて、つんと前方に突き出した胸肉がふるふると踊った。
 アスナの、眉をしかめ、両目をぎゅっとつぶり、歯をかみ締めたその瞬間の表情はとてつもなく可愛く、同時にぞくりとするほど淫らだったが、それをじっくりと鑑賞する余裕はなかった。俺の性器を収めたままのアスナの柔筒が激しく俺を締め付け、何度目かの、そして最大の衝動が俺を襲った。
 今度ばかりはもう抑えられないと思った俺は、たまらずに下からアスナの体の芯を無茶苦茶に突き上げた。両手で彼女の腰を押さえ、限界まで熱い塊を打ち込み、また抜き出す。
「あ―――っ!! ああぁあ――――――っ!!」
 いった直後に思い切り責め立てられ、アスナは気も狂わんばかりに身悶えた。こちらに向かって伸ばされた彼女の手に、俺は自分の指を絡め、ぎゅっと握り締めた。ぐちゅん、ぐちゅんとアスナの中を掻きまわすたび、溢れるように液体が飛び散り、二人の結合部が際限なく熱く融けていく。
「ふあぁっ、すごいっ、すごいっ」
 たぷたぷと跳ね回る双乳からも大量の汗が散る。アスナは芯まで蕩けきった顔で、うわごとのように甘い声を漏らしつづける。
「あっ、あんっ、あんっ、んあああんっ!!」
「お、俺も、もうっ……」
「あふっ、いいよっ、出して、あっ、キリトくんの、いっぱい、出してぇっ……」
 俺は激しくアスナの中に突きいれると、極限まで引き絞り続けた欲望の全てを一気に解き放った。
「ア……アスナっ……!」
「んああああああ―――――っ!!!」
 もう何度目とも知れない絶頂にふるえるアスナのからだの奥底を、俺が噴き上げた熱いしぶきが激しく打ちつけるのを感じた。どくん、どくん、と二年分の精液が際限なくアスナの中に流れ込んでいく。性器が一度脈打つたび、頭の中ではげしく火花が散る。
「ぁ…………ぁ…………」
 俺のすべてを受けとめたアスナの体から力が抜け、くたりと俺の上に覆い被さった。
「あふ……あふぅ……」
 体内に留まる液体の余熱からも快感を得ているように、時折体を痙攣させて吐息を漏らすアスナの体を、朦朧とした意識のまま俺はそっと抱きしめた。

(SAO本編 #16後半につづく!)