レビュー評価について

本と映画を5点満点で評価しているけど、その(主観的)基準を備忘録的に書いておこうかと。本当はこの作業最初にすべきだったけど。。。Never late than everということで。

 

[5.0点(最高点)]

本:間違いなくおすすめ。興味のない分野でも是非読んでほしい

映画:間違いなくおすすめ。興味のないジャンル/監督/俳優でも是非観てほしい

 

[3.5 - 4.5点]

本:興味がある分野なら是非読んでほしい

映画:興味があるなら是非観てほしい

 

[3.0点(中間)]

本:その分野に興味を持っている人なら買っても損はしない

映画:そのジャンル/監督/俳優が好きなら観ても損はしない

 

[1.5 - 2.5点]

本:その分野に興味があって、コストがかからないのであれば読んでもよいかも

映画:時間があって誰かに誘われて(自分は無料で)観るならよいかも

 

[1.0点(最低点)]

本:この本を買っても損をしない読者はほとんどいなさそう

映画:この映画を観て損をしない人はほとんどいなさそう

読書:統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

 

評価:3.5点(5点満点)

読み物としてというより、終章に書かれているエビデンスの探し方が参考になる。

 

[動機]

統計学を勉強するにあたってとっつきやすそうな本を探していたので。

 

[サマリ]

統計学は最強。なぜなら統計学は最善最速の正解を出すから。特にITの発展にともなって様々な分野で統計学が活かされるようになった。

サンプリング、誤差と因果関係、ランダム化、といった点が統計学のポイント。

評論家の適当な発言に騙されずに、エビデンスを探してみよう。

 

[引用(太字はドルミです)]

[p.p.281-284]  ではどのようなエビデンスがよいのだろうか?こと人間に応用すべきエビデンスとして重要視されるのは、「実際に現実的なシチュエーションで、ある程度の数の人間を分析した結果」である。こうした研究の方法として、みなさんはすでに疫学などの観察研究とランダム化比較実験があるということをご存知のはずだ。そして、ランダム化比較実験によって示された結果は、ある一点を除いてほぼ間違いなく信用できる「妥当な因果推論」だということも学んだはずである。ランダム化比較実験において唯一残された課題は、研究の対象となった人間が大抵の場合、全国民や全人類から選ばれたランダムサンプリングなどではない、ということである。大学生だけとか、医者だけとか、70歳以上の老人だけといった限られた集団の中では確かに妥当な推論ができたとしても、「他ではどうなのか」という批判をかわしきることはできない。そこで行われるのが。系統的レビュー(systematic review)とメタアナリシス(meta-analysis)である。レビューとは複数の研究をまとめて結局のところ何が言えるのかを述べることである。(中略)系統的レビューはあらかじめ「レビューする論文の条件」を決めたうえで、過去に公表された関連分野の文献すべてから条件に該当するものを選び出す。先ほどの例で言えば、「未成年 犯罪 ビデオゲーム」という単語を含み、少年犯罪とビデオゲームとの関連性について何らかの統計解析が行われた論文すべてを収集・分析し、その結果どういうことがわかるかという結論をまとめるのである。これはほとんど主観などが含まれない「現時点での最善の答え」となるはずだ。なお、メタアナリシスとは、こうした系統的レビューの中で、複数のランダム化比較実験や観察研究の中で報告された統計解析の結果を、さらに解析してまとめあげる作業のことをいう。「解析(analysis)に対する解析(analysis)」だからメタアナリシスというわけである。系統的レビューとメタアナリシスを頂点として、エビデンスのヒエラルキーは図表56のように整理される。専門家の意見や基礎実験よりも観察研究のほうが、そしてさらにランダム化実験のほうが信頼すべきエビデンスであり、複数のランダム化比較実験や観察研究をメタアナリシスして得られた結果は今のところ最善の答えだ、というのである。

 

[p.p.281-291]  系統的レビューとメタアナリシスの結果は、人類全体で共有すべき「最善の答え」であるから、さまざまな分野でその結果を集めて共有しようという取り組みがなされている。(中略)それ以外の一般的な論文データベースの中で、キーワードに「meta-analysis or "systematic review"」と含む検索を行うというやり方もある。

(中略)さきほどのエビデンスヒエラルキーに沿って、まず探すべきは系統的レビューの結果を探したい。(中略)検索すべきトピックは「雇用 政策」、それに加えて系統的レビューやメタアナリシスを示す単語である、「系統的レビュー」「システマティックレビュー」「システマチックレビュー」「メタアナリシス」「メタ解析」のいずれかを含む論文を実際に検索してみた。(中略)そこで英語を恐れず、Google Scholarで先程と同様の検索をしてみよう。(中略)システマティックレビューを探すなら"Systematic Review"か"Meta-Analysis"という単語を、ランダム化比較実験を探すなら"Randomized"という単語を、観察研究なら"Hechman" "Propensity Score" "Regression"といった単語を用いればいい。

  

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

読書:戦略「脳」を鍛える

戦略「脳」を鍛える

戦略「脳」を鍛える

 

評価:5.0点(5点満点)

BCG日本代表の御立さんによる戦略発想に関する書籍。この手の本の中でベストな一冊だと思う。バイブルとして長く手元に置いておこうと思う。「勝てる戦略」をつくるための「インサイト」をどのように構築するかという点について述べられている。第4章で取り上げられているケース(投資ファンドの代表として不動産分野で成長する戦略を考える)は特に秀逸。実際に戦略を考えるプロセスを、わかりやすくかつ後講釈ぽくなく解説している。

 

[動機]

コンサルティング・ファームへの転職を考えていた時に勧められたため。もっと早く読んでおきたかった一冊。

 

[サマリ]

 勝てる戦略を立てるためには、定石を知ることと「インサイト」が必要。定石を知るうえではコンセプトワードで分類したパターン認識が役立つ。インサイトを磨くには種類の異なるレンズを意識的に使えるように訓練することが大切。

 

[引用(太字はドルミです)]

[p.p.1-3]  その経験を通して強く感じていることは、「戦略論を勉強するだけでは、『勝てる戦略』はできない」ということだ。さらにいうと、「勝てる戦略」をつくるためにはアカデミックな勉強だけではなく、「ある種の『頭の使い方』を身につける訓練が不可欠」なのである。戦略論自体の意義を否定しているのではない。(中略)したがって、その枠組みを「定石」として学ぶことは「イロハのイ」となる。(中略)囲碁・将棋の定石と同様、経営戦略も発見・模倣・陳腐化・イノベーションを繰り返すのがその特徴であり、「定石を超えた戦い方のイノベーション」こそが、戦略の本質なのである。(中略)経営の場でも、プロ同士が全力で戦う自由市場においては、戦略論という定石を当然知ったうえで、新たな戦い方をつくり上げる「プラスアルファの能力」を身につけた者だけが、自らを差別化し、競合優位に立つことができる。この「プラスアルファの能力」を、我々は「インサイト(Insight)」と呼んでいる。BCG流の「インサイト」をあえて意訳するならば、「勝てる戦略の構築に必要な"頭の使い方"、ならびにその結果として得られる"ユニークな視座"」という感じになろうか。

 

[p.p.44-46]  戦略コンサルタントが一人前になっていくうえで最初に必要なのがパターン認識である。パターンを認識できると、パターンをさまざまな角度からとらえたり、いくつかのパターンを組み合わせたりすることで状況を端的に把握することができ、より速く適した戦略の仮説が立てられるようになる。この力を高めるためには、物事の局面ごとに、「これはこういうことだ」とパターン化するクセをつけ、それを記憶していくことが有効だ。そしてそのパターンを頭に蓄積し、必要なときに蓄積されたパターンを使って新しい戦略を構想する。パターン認識力が身につくと、(中略)すなわち思考のスピードが上がるのだ。(中略)そのなかで得たコツは、コンセプトワードを記憶の引き出しとして用いることだ。(中略)実際には、コンセプトワードごとに、具体的な事例が引き出しの奥に記憶されているのだが、記憶をたぐったり、パターン化された定石を組み合わせて思考していく際には、コンセプトワードレベルで考える。この方が記憶が容易だったり、思考のスピードアップが可能だったりするからだ。

必須コンセプトワード

  • コスト系:スケールカーブ、エクスペリアンス・ァーブ(経験曲線)、コストビヘイビア(固定費・変動費、スケール/スコープ)
  • 顧客系:セグメンテーション、スイッチング・コスト、ロイヤリティ、ブランド
  • 構造系:V字カーブ、アドバンテージ・マトリクス、デコンストラクション
  • 競争パターン系:ファースト・ムーバー・アドバンテージ、プリエンプティブ・アタック
  • 組織能力系:タイムベース戦略、組織学習、ナレッジマネジメント

 

 [p.p.51-52]  ・スイッチングコスト、ロイヤリティ、ブランド

これらは同種の事象を異なった視点で見たコンセプトとして、まとめて記憶しておいたほうがよい。顧客が自社の商品から他社品に乗り換える(スイッチングする)コストを高めることで、顧客のロイヤリティが高まる。ロイヤリティを高める典型的な手法がブランド構築、というように相互関係にあるコンセプト群だ。スイッチングコストを高めることで、ロイヤリティの高い長期顧客が増えれば、多額のマーケティングコストをかけて新規顧客を集めるよりも効率がよい。エアラインのマイレージや百貨店のポイントカードがこれにあたる。一方、こういった金銭的なスイッチングコストではなく、心理的なスイッチングコストを高めるやり方の最たるもの、それがブランドロイヤリティだ。一世を風靡したシャネラー(全身シャネルで身を固める女性ユーザー)たちは、シャネルを身にまとう心理的満足感が大きかったからこそ、シャネルを買い続けたわけである。

 

[pp.61-63]  パターン認識の例として、伊藤園のホットPETウォーマーという事例を見てみよう。(中略)ホット・ペットボトル百万ケース分に相当する二万台のウォーマーを製造し、コンビニに設置してもらう努力をした結果、セブンイレブン以外のコンビニに置いてもらうことに成功したのである。このウォーマーにはもちろん伊藤園の名前が入っており、基本的には伊藤園のホット・ペットボトルを入れることになっている。当然ながら他の飲料メーカーもウォーマーの中身を差し替えようと努力するが、伊藤園は他社と異なり、3000人のルートセールス部隊を有していて、彼らがコンビニを定期的にまわり、伊藤園の商品をウォーマーに並べる活動ができるという仕掛けだ。この話を雑誌で読んだときに、私がまず考えたのは、「あ、これは典型的なファースト・ムーバー・アドバンテージだな」ということだ。コンビニの販売スペースは非常に限られているから、そのスペースを先に押さえ、自社の商品を確実に置いてもらうことは大変重要である。さらに伊藤園ではルートセールス部隊が定期的に店舗をまわる。これが押さえとなり、いったん確保したコンビニの販売スペースは他社に奪われにくい。ファースト・ムーバー・アドバンテージというパターンは、もともと頭の中にストックされているのだが、この伊藤園の記事をよむことで、その具体例がさらに一つ豊かになった。この結果、たとえば、店舗の販売スペースを抑える方法と確保したスペースをルーとセールスで維持する方法を、他の業界で行えないだろうかと考えることができるようになる。たとえば花粉症の人のための「アルガード」という商品がある。これには(中略)様々なバリエーションがある。そこで商品をひとまとめにしてアルガードというブランドを前面に出し、ホットPETウォーマーの場合と同様に、アルガードの様々な商品を一同に並べるための販売スペースをドラッグストアで押さえられないかと考えてみる。次に、もし販売スペースをうまく押さえられたとしても、競争相手も販売スペースの獲得を狙って戦略を立ててくるから、スペースを維持するためにはルートセールスで各店舗を押さえていくしかないと考える。すると実際にこういった戦略が成り立ちそうなのは、ドラッグストアに商品をおろしている製薬会社のなかで自社の営業がルートセールスを行っているエスエス製薬や大正製薬ではないか、と仮説を膨らませ、両社やその競合にとっての具体的な戦略オプションを考えていく。あえて、単純な例を挙げてみたが、いったん定石をパターン認識貸し手コンセプトワードでインデックスづけをしておけば、戦略策定能力がどんどん高まっていくということを覚えておいてほしい。頭の中に、ファーストー・ムーバー・アドバンテージというパターンとコンセプトワードが入っていなければ、伊藤園の記事を読んでもすぐに忘れてしまい、自分の戦略立案に活用するのは難しいだろう。いろいろな雑誌や新聞の記事を読んでも、単に「おもしろい」と思って流してしまうのか、自らのパターン認識をより豊かにしていくのかで、大きな差がついていくのだ。

 

 [p.p.85-86]  「レンズ」とはユニークな戦略を具現化するために必要な「モノの見方」である。人はだれでも知らず知らずのうちに決まったレンズをかけてモノを見るクセがついている。自分の得意な「モノの見方」で思考してしまうのだ。モノを見るレンズは一つではない。(中略)レンズをかけかえることで、今まで見えていなかったさまざまな事象がはっきりと見えてくる。自分の使い慣れたレンズだけではなく、他のレンズを意識的に使えるようになるのが、インサイトを身につける近道なのだ。

ユニークな視点をもたらすレンズ(合計九種類)

  • 拡散:ホワイトスペースを活用する、バリューチェーンを広げる、進化論で考える
  • フォーカス:ユーザーになりきる、テコを効かせる、ツボを押さえる
  • ヒネリ:逆バリする、特異点を探す、アナロジーで考える

 

[p.p.155]

ユニークな戦略 = 定石 + インサイト

        = 定石 + (スピード + レンズ)

        = 戦略のエッセンス

           + (パターン認識 + グラフ発想) x シャドウボクシング

           + ("拡散レンズ" + "フォーカスレンズ" + "ヒネリ"レンズ) 

 

戦略「脳」を鍛える

戦略「脳」を鍛える

読書:不格好経営

不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦

  

評価:3.5点(5点満点)

DeNAについて知りたいということであれば推奨。俺個人としては南場さんの考え方がすごく自分の考え方に近いと感じたのでこの本に出会えて良かった。もっというと毛嫌いしていたDeNAについての認識を改めるきっかけになった本。

まえがきにもあるが、1章、3章-6章はDeNAの歴史、2章は南場さんの生い立ちについて(お父様が大前さんのことをご存知だったのにはびっくり)、7章は南場さんの経営についての考え方(キャリアについて考えている方は是非この章だけでも!)8章は現在のDeNA、という構成。「不格好」というタイトルの割に、全然不格好じゃないと感じたのは俺だけか。

 

[動機]

南場さんには興味があったのと、コンサルの方が起業するとどうなるんだろうという好奇心から。

 

[サマリ]

DeNAの歴史を時系列にまとめながら、その時々で(トラブル含め)どういうことが起きていたのかを振り返りながら、主要メンバーについても言及。上記以外に南場さんの生い立ちと経営に対する考え方についても述べられている。

 

[引用(太字はドルミです)]

[p.136]

DeNA Quality

  • デライト(Delight)
  • 球の表面(Surface of Sphere)
  • 全力コミット(Be the Best I can be、個人的には"I"と一人称な所にこだわりを感じて好き
  • 透明性(Transparency & Honesty、訳されていないけどHonestyが入っていることに共感
  • 発言責任(Speak Up)

どれもすごく重要だと思う。

同社Webに掲載されているので詳細はこちらを参照。

 

[p.201]  私は10年以上マッキンゼーに在籍して(中略)、事業リーダーに経営アドバイスをしていたが、いざ自分が事業リーダーになった途端、新しくみにつけなければならないこと、そして「unlearning(学習消去)」しなければならないことがとても多く、本当に苦労した。

 

[p.p.202-205]  私が何に苦労したか。まず、物事を提案する立場から決める立場への転換に苦労した。面食らうほどの大きなジャンプだったのだ。(中略)さあA案実行だ、となるとその日から想定外の壁が次々と出現する。企画通りにはいかないな、とひぃひぃ言いながら皆で実行しているうちに、「やっぱりB案だったのかな・・・」と誰かが言い出し、皆がホワイトボードを思い出す。僅差だったよね、あの◎、本当は怪しかったよね、と。そして皆が不安になり自然とブレーキがかかる。ちなみにB案を選択していてもまったく同じことが起こる。(中略)意思決定のプロセスを論理的に行うのは悪いことではない。でもそのプロセスを皆とシェアして、決定の迷いを見せることがチームの突破力を極端に弱めることがあるのだ。検討に巻き込みメンバーは一定人数必要だが、決定したプランを実行チームに話すときは、これしかない、いける、という新年を前面に出したほうがよい。本当は迷いだらけだし、そしてとても怖い。でもそれを見せないほうが成功確立は格段に上がる。事業を実行に移した初日から、企画段階では予想できなかった大小さまざまな難題が次々と襲ってくるものだ。その壁を毎日ぶち破っていかなければならない。迷いのないチームは迷いのあるチームよりも突破力がはるかに強いという常識的なことなのだが、これを腹に落として実際に見につけるまでには時間がかかった。(中略)事業リーダーにとって、「正しい選択肢を選ぶ」ことは当然重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる。決めるときも、実行するときも、リーダーに最も求められるのは胆力ではないだろうか。

 

[p.p.214-215]  なぜ育つか、というと、これまた単純な話で恐縮だが、任せる、という一言に尽きる。(中略)ギリギリな仕事を任せれば当然、失敗するリスクもある。でも、不思議と人は顕在化している能力の数倍の能力を有していて、本人も驚くような大仕事をやってのけるものである。

 

[p.236] 会社に迷惑をかけたくないと遠慮する人が多い。でも、ときには会社の仲間や社会に頼るのもよいではないか。得るものと与えるものは、その瞬間でバランスがとれている必要はない。時間をかけてバランスさせようと努めればよい。かけた迷惑の分だけ、感情のヒダも豊かになる。できるときに仕事を頑張ったり、ほかの人を助けたりしていけばよいと思う。(ドルミ:"女性として働くこと"という節からの抜粋だけど、これって男性にも当てはまると思うので引用)

 

不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦

読書:サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている

サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)

サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)

 

評価:3.5点(5点満点)

「経済成長理論」「行動経済学」「ポジティブ心理学」「組織行動論」「プロジェクト・マネジメント」上記いずれかのキーワードに惹かれた、あるいは興味はあったけどどこから手をつけて良いかわからない、という方におすすめ。逆に少しでもかじったことがある人には全くおすすめ出来ません。個人的には、第2章の「なぜ、お金がたまらないのか?」第3章の「どうすれば楽して出世できるのか?」が特に楽しめた。この本でストレングスファインダーについて知ったので、「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」を購入してストレングスファインダーを試してみたりもした。この本のレビューはこちらのエントリを参照。

 

[動機]

以前からタイトルに興味は持っていたけど手を出していなかったこの本の著者が、「統計学が最強の学問である」の著者の西内さんということを知ったので、新書だし手軽に読めて良いかなと思ったのがきっかけ。

 

[サマリ]

「なぜ給料があがらないのか?」、「どうすれば職場の人間関係はうまくいくのか?」など、サラリーマンであれば誰もが抱く悩みを、それぞれの専門化の研究成果から解説し、詳しく知りたい人のための次の1冊が紹介されている本。最初の質問に対しては、経済学の収穫逓減の法則が理由であると説明し、その解決方法として内生的経済成長理論を引き合いに出しながら、収穫逓増する知恵や知識を蓄えるべきと主張。同様の手法で7つの章それぞれで悩みをとりあげ、専門家の研究の紹介とそこから導かれる解決方法を紹介するという構成。各章の半ページ程度のまとめが親切。

 

[引用(太字はドルミです)]

[p.78]  現在の収入とその理想的な節約状態を足して2で割った値が「1ヵ月に使って良い額」で、その額と月収の差が「毎月投資のために積み立てる額」となります。

 

[p.p.79-83]  次にすべきは投資運用資金をおよそ1/4ずつに分割することです。まずその1/4ずつのうち1つめを、「今最も悲観的な経済ニュースになっているもの」のインデックスファンドに自動積み立てしていきましょう。・・・次の1/4は・・・先ほどのファンドのリスクヘッジになるファンドに回します。ただしこちらでもやはり今投資することが流行っているようなものは避けましょう。・・・残り1/4ずつは、それぞれ「日本円を貯蓄しておくもの」と「自分の人的資本に投資していくもの」として扱います。

 

[p.125]  VIAテストストレングスファインダーを使って自分の強みを理解しましょう。

 

[p.187-191]  ですからプロジェクトマネジメントにおいてはスケジュールを最初に立てる時、まず可能な限りの遅延やトラブルの原因になりうるリスクを洗い出します。そして洗い出したそれぞれのリスクに対して、起こりうる可能性を5段階で、起こった場合の影響の大きさを5段階で採点し、両方の点数をかけ合わせた1-25までの値が大きいものから順にその対処の方法を考えます。・・・スケジュールで考慮する1つ1つの作業に要する時間を、「平均的にこれぐらい」という一点の予測だけで行わないということです。その代わり、「すべてがうまくいった場合の楽観的な見積もり」、「問題がいくつか発生し、楽観的見積もりに遅れを加算すると想定する現実的見積もり」、「問題が多発し、その結果作業の期間が大幅に伸びる悲観的見積もり」の3パターンをそれぞれ算出すします。・・・

「最も可能性が高い所要時間の見積もり方」=(楽観的見積もり+4x現実的見積もり+悲観的見積もり)÷6

・・・多くの場合、楽観的見積もりと現実的見積もりの差よりも、悲観的見積もりと現実的見積もりの差の方が大きくなります。そのためこの計算結果は現実的見積もりよりも少し長めの値となることでしょう。

 

 

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

読書:さあ、才能(じぶん)に目覚めよう

評価:3.0点(5点満点)

自分探し中の方におすすめ。「人はほとんど全てのことにおいて能力が発揮出来るため、最も成長余地があるのはその人の一番弱い部分である」というのは誤った認識で、すぐれた人たちは「自分独自の一番強みを持っている分野こそ成長の可能性を最も多く秘めている」、とする点は自分に今まではなかった考え方だなと思う。 

 

[動機]

dormirは転職活動中なので、良い機会だと思いいくつか自分探し本を読もうかと思っていた所、「サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている」という本でも紹介されていたので読んでみました。というかストレングス・ファインダーという心理テストみたいなもののアクセスコードがついていたのでそれがやってみたくて買いました(アクセスコードは一度しか使えないので、中古ではなく新品を買う必要があります。  

 

[サマリ]

過去を振り返ってみても回りをみても、「弱点の克服が大事」だと思ってたので新鮮だった。「強みを活かしなさい」という人もいたかもしれないが、それが受け入れられない理由として、「得意分野での失敗に対する恐怖」と「他人の失敗へのささやかな喜び」という二つの性向があるからだという説明には納得。

34の強みの中から上位5つを診断するオンラインテストに加え、それぞれの強みの解説(第4章)、それをどう活用するか(その資質を持っている人をどうモチベートするか、第6章)、強みを土台にした企業を築くための採用や評価システムはどうすべきか(第7章)といった点が解説されています。 

 

[引用(太字はドルミです)]

[p.10]  ・・・人間に対する二つの誤った認識に基いて築かれている企業がいかに多かったかということだ。その二つとはー

  1. 人はだれでもほとんどすべてのことにおいて、能力を発揮することができる。
  2. だれにとっても最も成長の余地があるのは、その人の一番弱い分野である。


[p.12]  ・・・すぐれたマネージャーが、共通し持っている二つの認識を示そう。

  1. 人の才能は一人ひとり独自のものであり、永続的なものである
  2. 成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりが一番の強みとして持っている分野である。

 

[p.22-23]  「私はきみたちとなんら変わりません」ウォーレン・バフェットは、すこぶるラフな服装で現れると、ネブラスカ大学のく教室を埋め尽くした学生たちをまえにして言った。学生はみな忍び笑いをもらした。・・・それを見て、バフェットは話題を変えた。「もしきみたちと私になんらかのちがいがあるとすれば、私は毎日朝から晩までこの世で一番好きなことをしている。ただそれだけのことではないでしょうか。きみたちにアドバイスめいたことが私にあるとすれば、それに尽きます」

 

[p.28]  本書のテーマである「強み」とは、ひとことで言ってしまえば、「常に完璧に近い成果を生み出す能力」のことだ。

 

[p.218-229]  才能に関する弱点に対処する必要があるようなら、ぜひ参考にしてほしい。・・・①少しでもよくする、②サポートシステムをつくる、③才能の力で弱点に打ち勝つ、④パートナーを見つける、⑤とにかくやめてみる。

 

[Strength Finderによるdormirの上位五つの資質] 

回復志向
あなたは問題を解決することが大好きです。さらなる困難に遭遇するとうろたえる人もいますが、あなたはそれによって力を与えられます。あなたは症状を分析し、何が悪いのかを突き止め、解決策を見い出すという挑戦を楽しみます。あなたは現実的な問題を好むかもしれないし、抽象的な問題、あるいは個人的な問題を好むかもしれません。あなたはこれまでに何度もぶつかって、解決できる自信がある分野の問題を探し求めるかもしれません。あるいは、複雑で馴染みのない問題に直面したとき、あなたは最もやり甲斐を感じるかもしれません。あなたが実際に何を好むかは、あなたの他の資質や経験によって決まるでしょう。しかし確実に言えることは、あなたは物事に再び生命を与えることを楽しんでいるということです。底に潜む要因を明らかにし、その要因を根絶し、物事を本来あるべき輝かしさへ回復することを素晴らしいと感じるのです。もしあなたの介入がなかったら、たとえばこの機械は、この技術は、この人物は、この会社は、機能を停止してしまった可能性があると本能的に分かっています。あなたがそれを直したのです。それを蘇生させ、活気を取り戻させたのです。あるいは、あなたらしい表現で言えば、あなたはそれを救ったのです。
 
学習欲
あなたは学ぶことが大好きです。あなたが最も関心を持つテーマは、あなたの他の資質や経験によって決まりますが、それが何であれ、あなたはいつも学ぶ「プロセス」に心を惹かれます。内容や結果よりもプロセスこそが、あなたにとっては刺激的なのです。あなたは何も知らない状態から能力を備えた状態に、着実で計画的なプロセスを経て移行することで活気づけられます。最初にいくつかの事実に接することでぞくぞくし、早い段階で学んだことを復誦し練習する努力をし、スキルを習得するにつれ自信が強まる――これがあなたの心を惹きつける学習プロセスです。あなたの意欲の高まりは、あなたに社会人学習――外国語、ヨガ、大学院など――への参加を促すようになります。それは、短期プロジェクトへの取組みを依頼されて、短期間で沢山の新しいことを学ぶことが求められ、そしてすぐにまた次の新しいプロジェクトへに取組んでいく必要のあるような、活気に溢れた職場環境の中で力を発揮します。この「学習欲」という資質は、必ずしもあなたがその分野の専門家になろうとしているとか、専門的あるいは学術的な資格に伴う尊敬の念を求めていることを意味するわけではありません。学習の成果は、「学習のプロセス」ほど重要ではないのです。
 
原点思考
あなたは過去を振り返ります。そこに答えがあるから過去を振り返ります。現在を理解するために、過去を振り返ります。あなたの見方からすると、現在は不安定で、訳の分からない喧騒が入り乱れています。現在が安定を取り戻すには、過ぎ去った時――すなわち計画が立てられたとき――に心を向けてみる以外方法はありません。過去は今より分かりやすく、計画の基礎が築かれたときです。振り返ると、計画の原型が現れるのが見えてきます。そしてあなたは、初めの意図が何であったのかを知ります。この原型、あるいは意図はあまりにも飾り立てられてしまって、本来の姿がほとんど認識できなくなっていますが、この原点思考という資質によって、これらが再び現れます。このようにして原型や意図を理解することは、あなたに自信を与えます。あなたは元々の考え方を知っているので、もはや方向を見失うことなく、より適切な判断を下すことができます。仲間や同僚がどのようにして今のようになったかを知っているので、あなたはより一層彼らの良きパートナーとなります。過去に蒔かれた種を理解しているために、あなたは自然に将来をよく見通すことができるようになります。初対面の人や新しい状況に直面すると、自分をそれに適応させるのにある程度の時間を必要とするでしょうが、その時間を取ることを心掛けなければなりません。あなたは原型が表面に浮かび上がるような質問が必ずできなければなりません。なぜならば状況がどうであれ、過去の原型を見たことがなければ、あなたの決断に自信が持てないことになるからです。
 
分析思考 
分析思考という資質を持つあなたは、他の人に「証明しなさい。あなたの主張がなぜ正しいのか示しなさい」と強く要求します。このような詰問を受けると、自分の素晴らしい理論がもろくも崩れ落ちるのを感じる人もいます。これがまさしく、あなたの意図するところです。あなたは必ずしも他人のアイデアを壊したいわけではないのですが、彼らの理論が堅固であることを強く求めます。あなたは自分自身を、客観的で公平であると考えています。あなたはデータを好みます。データは人々の考えに左右されず、ありのままだからです。あなたはデータを見ると、パターンと関連性を捜し出します。一定のパターンが互いにどのように影響するのか、どのように結びつくのか、結果はどのようなものかを理解しようとします。そしてその結果が、提示されている理論や目の前の状況にふさわしいかどうかを知ろうとします。これがあなたのやり方です。あなたはこれらの点を一つずつ明らかにして、根本的な理由を探し当てます。人はあなたのことを論理的で厳格であると見ます。その人達は、いつかあなたのところにやって来て、誰か他の人の「非現実的な考え」あるいは「整理されていない考え」を話し、あなたの研ぎ澄まされた思考から見た考えを聞くでしょう。あなたの分析結果を伝える時、できれば決して厳し過ぎないようにしましょう。さもないと、その「非現実的な考え」が彼ら自身の考えである場合、その人はあなたをわざと避けるようになります。
 
公平性
あなたにとって、バランスはとても大切です。あなたは、地位とは関係なく人々を平等に扱う必要性を強く信じています。ですから、あなたは誰か一人が特別扱いされることを望みません。あなたは、このようなことが利己主義や個人主義につながると考えています。それは、一部の人がコネや、出自や、わいろによって、不公正な利益を得るような世の中につながります。これはあなたが心から嫌悪していることです。あなたは自分自身を、そんな状況を作らないための監視役だと考えています。このような特権がまかり通る世の中とは対照的に、あなたは、規則が明確で誰にでも平等に適用される矛盾のない環境で、人々は最高の働きをすると信じています。これは、人々が何を期待されているかを分かっている環境です。それは予測が可能で、公正な環境です。これこそ公平さです。このような環境でこそ、人は自分の価値を発揮する公平な機会を持ちます。
 
 
 

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

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サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)

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映画:東京島、も非常に残念だった件

評価1.0点(5点満点)

なんかレビュー書く気にもなれないけど。よっぽど時間が余っている人以外にはおすすめしない作品。

  • 映像作品というよりは舞台作品であればまた違った印象になるのかもと思った点が唯一の救いかな。
  • ところどころにシニカルな笑いを誘っているようなシーンがあったけど、全く笑えず。

実際にあった話しを基にしてるのね。詳細気になる方は「アナタハンの女王事件」参照のこと。

役者さんで言えば、主人公の女性を木村多江じゃなくてもっとぶさいくかつ太っている女性をキャスティングすればよかったのに。ちなみに実際の方はこちら窪塚洋介は常識から距離をおいている変人の役は上手だね。

東京島 [DVD]

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