ブルーなポップと中空ロック

何となしに音楽の話をしています。

daytime syndrome

今年一年は色々な変化や出来事があったはずなのに、どうにも味気なく過ぎ去ってしまったような感覚がある。その時々で思いついた行きたいところ、食べたいもの、観たいアニメ、会いたい人、もちろん流行り病云々の影響も難しいところではあったが、可能な限り行動に移したにも関わらずである。結局のところ、自分も平均的な社会の人間として、つらい毎日を忘れるためとか、明日も元気に頑張るためとか、精神的な活動であったはずのものを社会生活の穴埋めに費やすようになってしまったのだと思う。人生における感情の蓄積の期間が終わった、もう若くないという現実が身に沁みた年だった。さあどうするよ?…まあ今年はvague vinyl voyagerを作れただけでお釣りがきたと信じよう。

 

せっかくなので、今回は今年配信したミニアルバムのおまけ曲daytime syndromeの歌詞を掲載します。在りし日を思う歌詞は図らずも今年一年を象徴するもののように思えますね。

 

すれ違う髪のにおいや

窓から眺める景色も

どっかでなくした時計も

何故だろうな

まっさらなままの手帳や

いなくなった野良猫も

もう見たくないあの顔も

夢みたいだ

それがどうかは知らないけど

とめどなくそんな日を思ってる

それでどうとか知らないけど

とめどなくそんな日を思ってるよ

 

明け方の駅のホームや

机に挟んだ写真も

ズルして写した答えも

何故だろうな

海辺で拾った石ころや

書きなぐった白いノートも

伝えそびれてた言葉も

夢みたいだ

それがどうかは知らないけど

とめどなくそんな日を思ってる

それでどうとか知らないけど

とめどなくそんな日を思ってるよ

 

来年から本気出す(n回目)

カーマイン

今年もM-1グランプリが面白かった。始まる前の応援度でいえば、昨今の手数重点の潮流とは少し外れるかもだけど、去年から好きだったオズワルドに優勝してほしかったのと、東京ホテイソンや錦鯉が上手くハマって良いところまで行ってほしいというところがあった。マヂカルラブリーもベランダのネタとかピンのブロック崩しとか大好きではあったけど、まあ優勝できる感じではないのかなーと思っていたので、それも含めて本番は個人的に予想外だらけの結果になりすごく楽しめた。ネタも実際全部面白かった。振り返ればこの結果は、今の鬱々とした空気感の時世でいちばん重要視されたのが、手数や引き出しの多さや構成の巧さではなく、ぶっ飛んでるくらいの清々しい一撃だったということなんじゃないかと思う。いやもちろんマヂラブとかおいでやすこがに構成等の妙が無いわけでは全くないのだけども。今後の決勝常連になりそうな勢いの猛者たちを抑えてのマヂラブ優勝には、きっとそんな一撃の爆発があった気がする。応援・予想が外れまくった(敗者復活のコウテイとか金属バットも含め)のは残念だが、今後もお笑い情勢をゆるーく見つつ来年のM1を楽しみに待っていたい。

 

そんなこんなで、今回は自作曲「カーマイン」について少しお話しします。

 

半年以上の間新曲作りも既存曲の録音もサボっていたこともあって、アルバム一曲目みたいなのを目指して作った曲。手抜きみたいになってしまってるけど、曲想的にも無理してオブリを詰めるのもどうかなと思い、結果だいぶ単純な曲になっています。音周りはその分教材と思って色んなプラグインを試しながら作りました。

歌詞は、断片的なものをまとめた形になっています。カーマインは語感で決めたもので、空がこんな紅っぽくなることはまあ無いでしょう。後付けするなら、光源を見すぎた時に目に残るあのよく分からない色のイメージでしょうか。

 

いつの間にか忘れていた

ポルノ映画のワンシーン

継ぎ足す言葉 書いては消した

誰かの夢を見ていたいな

カーマインの空

カーマインの空が

悲しい夜を置いて行くよ


鈍い午後に窓を開けた

乾いた風もつれないが

楽しいことや気持ちいいことは

いつでもあるさ 何にでも

カーマインの空

カーマインの空が

悲しい夜を置いて行くよ

 

ずっと前に使い切った

瓶詰めの砂と波の音

眩しい光が閉じる日にさ

本当のことを知りたいな

カーマインの空

カーマインの空が

悲しい夜を置いていくよ

カーマインの空

カーマインの空に

染められる歌がきこえるよ

29.雨/くるり

くるりのインディーズ時代のアルバム曲のひとつ。

場面転換の多い、電車やバスに揺られながら眺める窓の外の景色みたいな曲。テンポが変わったり、短調になったり、でかい間が空いたりと変化に富んでいるが、曲名よろしく湿ったアルペジオが曲を通して流れており、曲全体の一貫したイメージを変えない範囲でヌルッと自然に各場面を繋いでくれている。最後の超展開はちょっと説明がつかないが、それも不思議と心地良く感じる。

 

インディーズの頃のくるりの曲は若さあふれる勢いや大胆な構成を持ちながらも、どこか後年の曲に通じる要素や雰囲気を持ったものが多いように思う。素人目にはメジャー1stで既に洗練されきったような印象も受けるが、それに飽き足らず長い旅に出た彼の者たち…。目眩くくるりの音楽を聴き、その原型とも言えなくもなくもなくもないこれらの曲を聴き、変わるものと変わらないところに思いを馳せるのも良いかもしれませんね。

雨

 

vague vinyl voyager

受験生の頃、英語の先生にコロケーションという概念を教わった。意味が同じような形容詞でも、この名詞にはこっちをつけることが多いとか、この名詞にこれは何となく違和感があるとか、何かそういう慣習めいたものだった、と思う。メールや文書、散文的な記事あるいは歌詞など、自分で日本語で文章を書く際でもしばしばこの概念は思い出され、それがこの場において正しい組み合わせなのか、それか良い度合にずらすことができているかと気にすることが多い。言葉遊びを洗練させるには、そうした慣習めいた組み合わせをよく知り、その上でそれをもって分かる違和感のある組み合わせもよく知ることが必要となる。最近めっきり本を読まなくなってしまいもうその時点で詰みな気もするが、その概念その構えを胸に留め、多くのすぐれた作品に触れていきたいものです。

 

そういうわけで、今回は自作曲「vague vinyl voyager」について少しだけお話しします。

 

前作のB面曲のようなイメージで作った曲。アレンジは控えめで、ほぼずっと3コード8小節の基本単位を回していく構成となっています。リードギターも終始裏打ち的なリフで、同じ歩調で行き続ける表現にもなっています。

歌詞に関しても前作と表裏のようになっています。文字数は少ないですが、自分自身や自分の音楽を表す良い歌詞になりました。東京で中古CDを探し回ってた時に思いついたものが原型になっているので、散歩の時に聞くのが良いんじゃないでしょうかね。

 

探した

名前のない

感情

抱いて

街を

つまらない

自分らしさ

意味もないなって

捨てた

ネームレスボーイ

空っぽの歌

際限なく広がって

誰も知らない

ネームレスボーイ

空っぽの夢

際限なく切り売って

誰にでもなく

惰性 the same old song

 

探した

名前のない

理由

何もない

街で

終わらない

独り遊び

果ての宇宙へと

歩く

ネームレスボーイ

空っぽの歌

際限なく広がって

誰も知らない

ネームレスボーイ

空っぽの夢

際限なく切り売って

誰にでもなく

惰性 the same old song

 

ネームレスボーイ

空っぽの夢

際限なく広がって

誰でもなく

愛せる nonsense my song

28.わちゃ・もちゃ・ぺったん行進曲/ハロー、ハッピーワールド!

いわゆるメディアミックスプロジェクト(この説明合ってるのか?)のBanG Dream!に登場するバンド、ハロー、ハッピーワールド!の持ち曲のひとつ。同スマホゲームのイベントのイメージソングのひとつでもあり、普段は内気なドラム担当の松原花音が迷子のペンギンを助けるために奮闘する、みたいなイベストだったと思う。そのため今回は花音ちゃんもボーカルを執る。

ペンタトニックスケールをふんだんに使ったメロディとリフが耳を引く一曲。キレのいいバンドサウンドは、可愛らしいツインボーカルや他のハロハピ曲とのギャップも感じられるような楽しい?ものになっている。Aメロ・サビの跳ねとそれを繋ぐBメロの流れのメロディの対比がとても良い。そしてサビ最後でグッと落ち着くかのちゃん先輩のフレーズ…ふつくしい…。

 

ハロハピのキャラを踏まえると、はぐみもグリッサンドするんだな〜とか、Aメロらへんでミッシェル踊ってんのかな〜とか、曲を聴きながらそんなしょうもないことを想像する楽しみ方ができる、のかもしれない。ガルパやり始めた頃はこれとシャルルのカバーばっかりやってたお気に入りの曲のひとつ。RASが参入したら復帰しような…。

27.NEON SISTER/Helsinki Lambda Club

日本のロックバンド、Helsinki Lambda Clubの曲。

ギターが心地いいポップな曲。怠そうなボーカルと、終始寄り添うオクターブ上のもう一本のこれまた怠そうなボーカルが、甘くしみったれた幸せみたいな空気感を作り上げているように思う。構成はシンプルながらサビのコードの切り替えが良いアクセントになっている印象。幸とも不幸ともつかぬ歌詞も情感に富んでおり、血や汚いなどトゲっとした言葉が不意に出てくるのが個人的にポイント高め。

 

つい最近になってこのバンドを聴き始めたがすごく良いと感じた。流行りっぽいハイが主張する曲や、本曲のような湿っぽい曲、リバーブの効いたインディー〜サイケな曲と振れ幅が広く、それでいて陰のある詞やボーカルの色など一貫した個性を持っているように思う。様々な音楽ジャンルを吸収した〜とは便利な言い回しだが、才能ある人々が既存の概念あれこれに自身の表現を加えて再構築していく、というふうなサイクルを、このような良い曲を聴いているとしみじみと感じ入るところである。ライブもいつか行ってみたい。

NEON SISTER

NEON SISTER

  • Helsinki Lambda Club
  • ロック
  • ¥204

 

dead end apathy

文化祭ライブでアジカンソラニンをやることになったので、良いきっかけと思い映画のソラニンを観てみた。だらっと続くゆるい幸せ(幸せではないけど)の最中にいる身としてはぞわぞわするところも多かったが、総じて心が温かくなるいい映画だなと思った。ぼーっと観てただけなので考察はないけど、深掘りすればいろんな気付きが芋づる式にポンポンと出てきそうな、そんな味わい深さを感じ取れた。じゃがいもだけにね!芽衣子はソラニン歌って種田の遺した芋の芽を摘んであげたみたいなことなのかな?

 

そんなこんなで、今回は自作曲「dead end apathy」のお話を少しだけします。

 

ベースのリフが最初に思いついたので、ベースが楽しい曲を作ろうと意気込んで取りかかった一曲。そのベースはE♭というのもあって全体的にポジション高めで、音の跳躍も多く、曲全体のどこかぼけた感覚を表すものにもしたかったところです。アレンジも(今までと比べれば)けっこう盛り込んであります。

歌詞は思いつきをそこまで推敲せずいっており、なかなか直接的になっています。荒んでますね。サビの歌詞が言葉遊びみたいで気に入っています。

 

いつだって

他の誰じゃなく自分だ、って信じてた

そうじゃなくて、そうじゃなくて

機械の音 繰り返す

つまらなくて

誰の頑張りも見たくなくて、目を閉じた

まだ有るって、まだ有るって

麻酔の歌 塗りつぶすよう

笑ってるフリして

誰もいなくなって

眩しい未来が何だって?

何だっていい

全部なくなって

泣いたフリして

本当の自分がどうだって?

どうだっていい なぁ

 

正しい人

言おうとしてたのは、くじけない心とか?

変われそうで、変われそうで

3つ数えて消える

特別って

安い言葉だけ呑み下して、肥えてった

誰のせいで、誰のせいで

塞いだ傷 膿みはじめて

分かってるフリして

誰もいなくなって

眩しい未来が何だって?

何だっていい

全部なくなって

冷めたフリして

本当の自分がどうだって?

どうだっていい なぁ

これが報いか?

可笑しくって なぁ

 

笑ってるフリして

誰もいなくなって

本当の自分がどうだって?

どうだって無理

全部なくなって

泣いたフリして

眩しい未来が何だって?

何だっていい?さぁ?