英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

英語を話せるかどうかの判別法

ある人が英語を話せるかどうかを判別する方法があります。

 

「基本的な表現や文法を使った例文を言えるか」ということと、

「基本的な表現や文法を使った瞬間英作文をできるか」です。

 

1:基本的な表現や文法を使った例文を言えるか
表現や文法を知っている状態と使える状態の違いの1つはそれらの入った例文をサッと正しく言えることです。それは辞書に載っている文そのままでも、自分が作った文でも正しい文であれば何でも構いません。例文が正しく作れるというだけでも、次のようなことを理解しているかどうかが判別できます。
・表現や文法をどういう状況で使うかがわかる
・他のどういう表現や文法と一緒に使うかがわかる
・他の表現や文法との使い方の違いがわかる

 

2:基本的な表現や文法を使った瞬間英作文をできるか
表現や文法を知っている状態と使える状態の違いもう1つはそれらを使ってサッと正しく文が作れることです。それはつまり瞬間英作文ができることになります。瞬間英作文ができることで次のようなことができるかどうかが判別できます。
・必要な表現や文法を検索して引っ張り出せる
・表現や文法を自由に加工できる
・表現や文法を自由に組み合わせられる

 

これらの方法でその人のスピーキング力を測ることができますが、

裏を返せばこれらができることを目標とすることで英語を話せるようになります。

いろいろな瞬間英作文

英会話学習では森沢洋介先生の「瞬間英作文」が有名です。英語の基礎がしっかりしている人であればこれだけ徹底的に練習することで話せるようになるくらいです。

「瞬間英作文」をもう少し工夫することでより英語を話せるようになりやすくなりますので、オリジナルの瞬間英作文を含めて4つのパターンを紹介します。

 

1.普通の瞬間英作文(日本語⇒英語)
 日本語を読んで(聞いて)それを瞬間で英語にするトレーニングです。トレーニングに使う素材は中学レベルの瞬間英作文用の教材がベストです。また専用の教材でなくとも日本語と英語が左右見開きになっている単語帳や例文などであれば瞬間英作文のトレーニングに使えます。集めた表現でも瞬間英作文をしてもいいのですが、数が限られているのとそもそも丸暗記している可能性があるのでトレーニングには不向きです。
瞬間英作文の狙いは基本的な表現や文法を使うことです。中学レベルの表現や文法でも最初のうちはなかなかスムーズに言えません。そこを徹底的に鍛えられるのがこのトレーニングです。

 

 

2.瞬間英作文の変換(英語⇒英語)

 英文の文法を変換するトレーニングです。英文の文の種類(肯定文/否定部/疑問文)、時制(現在形/過去形/未来形)、代名詞などを機械的に変換することで、一つの文でもいろいろな状況を表せるようになります。

実際の英会話では「現在形の肯定文」ばかりではありません。過去形や否定文などを使うことも多く、その時に一瞬の迷いも生じないようにトレーニングをしておきます。
レーニングには集めた表現や瞬間英作文のテキストを使います。模範解答はありませんが、基本文法の中での変換なので大きく間違う心配はありません。

 

 

3.連続瞬間英作文 (日本語+日本語⇒英語+英語)
 2文~3文の連続した日本語を読んで、それを一気に瞬間英作文をするトレーニングです。英語を話すときは1文だけで終わることはあまりありません。2文、3文に分けて話すことはよくありますし、その場合は話している最中に次に何を言おうか考えながら話すことになります。しかし瞬間英作文だとどうして1文作り切ることだけに集中してしまいますので、2文目、3文目をスムーズに作るときには息切れをしてしまいます。水泳でいうと泳げるけれども息継ぎができないような状態です。そこで息継ぎためのトレーニングが連続瞬間英作文です。
このトレーニングでは日本語を漏らさずに英語にするというよりも、どうやって2~3文の日本語のメッセージをスムーズに英語にできるかが重要です。そのため少し情報が漏れ落ちてもあまり気にする必要はありません。大事なことは次に英作文する日本語を「イメージとして」頭に持っておくことです。日本語にとらわれ過ぎると2文目や3文目を言おうとするときに頭には残っていないこともあります。

 

 

4.変則瞬間英作文(難しい日本語⇒易しい日本語⇒英語)
 変則的な日本語を瞬間英作文するトレーニングです。瞬間英作文教材や中学レベルのテキストのような教科書的な日本語の教材ではなく、より自然で難しい日本語で書かれた教材を使います。例えばTOEICのリスニングパートの会話文などが教材として使えます。これは正解の確認が難しいので、中学レベルの瞬間英作文を問題なくできるようなってから行うといいです。このトレーニングの狙いは英語にしやすくない日本語をどうやって瞬間英作文をするかという頭を鍛えることです。日本語を一字一句英語にしようとしてもできないはずです。そういうときにどのように頭を使えばいいのかという訓練になります。
教科書的ではない日本語は自分が英語にできるレベルまでシンプルに置き換える必要があります。その際、全ての情報を入れ込むことは難しいので、重要な情報だけを選びとることが大切です。難しい日本語の場合は全体の6割程度が英語で言えればOKと割り切ることも大切です。

難しい日本語を少し簡単に加工するだけで英作文をするときに非常に楽になります。もともと使える表現は簡単なものばかりに絞っているため、日本語も同レベルにしてやる必要があります。難しい日本語を簡単な日本語するのは大変かと思うかもしれませんが、英語の加工に比べれば問題にならないほど簡単です。母国語なので迷うこともなくまた一瞬でできます。簡単な日本語にするというのはちょうど難しい内容を子どもにも理解できるようにして話すことと同じです。

 

 

その英語表現は他でも使えますか?

英語を話せるようになるためには多くの表現を使うのではなく、少ない表現を使い回すことがポイントになります。そしてそのポイントのためには「使い回しの効く表現」を使う必要があります。一つの表現をいろいろな状況で使えるという意味です。一つの表現でいろいろな状況に対応できるので、使う表現を抑えることができます。そうすることで限られた学習時間を使う表現のために費やすことができます。また使う表現が少ない事で話すときにも迷いが生じなくなります。とりあえずこの表現を使っておけば大丈夫というものがあれば、会話の内容により意識を集中することができます。

 

逆に一つの表現を一つの決められた状況でしか使うことができないとしたら、使わないとけない表現は際限なく多くなってしまいます。そして多くなればなるほど練習時間は分散してしまい、どれも使えるようにはなりません。実際に英会話の本に載っている表現の多くがこのような表現です。英会話の本は学習者がすでに知っているような表現を載せても買ってはもらえませんので、必然的に知らないような表現を載せなければなりません。そして学習者が知らないような表現にするためには、重箱の隅をつつくようなマニアックな表現を選ばざるを得ません。

英語のスピーキングにおける罠

・どのような表現を使ってもよく自由度が高い
・そのうえ使ってもよい表現はほぼ無限にある
・でも自分が使えるようになる表現はそのうちのほんの一部だけ
・だから使えるようにしたい表現を慎重に選ぶ必要あり
・しかし初級者にはそれを選ぶことが難しい
・だから上級者が選んだ表現(表現集・会話本)に頼る
・それらは上級者が選んでいるので初級者には難しい
・初級者には難しいのでマネができない

あやしい宗教とあやしい英語教材の共通点

・教祖みたいな人がいる

・一部に熱心な信者もいる

・ある特定の考え方を押し付けてくる

・その特定の考え方しか認めさせない

・ありえない奇跡を謳っている

・弱い人をターゲットにする

・うぶな人は信じてしまう

・信じても救われない

・金が吸い取られる

英語のスピーキング習得が難しい理由

★日本人にとって英語のスピーキングが難しい理由

・自由度が高くどんな表現を使ってもよい

・そのうえ、使う表現の候補はほとんど無限にある

・でも、使えるようになる表現はほんの一握りである

・なので、使えるようにする表現を選ぶ必要がある

・しかし、日本人は何かを選ぶことが苦手である

・さらに、情報が多すぎて表現を選ぶことが難しい

・だから、ネイティブの表現が一番無難に見える

・そして、ネイティブの表現はマネしづらい

 

英語習得の2つのルート

英語の習得ルートには①ネイティブルートと②非ネイティブルートがあります。それぞれのルートには特徴があるため、自分にあったルートを選択してそのルートを進むためのアドバイスを聞き入れるよう注意を払う必要があります。

 

まず2つのルートの特徴を整理すると次のようになります。

 

①ネイティブルートの特徴

・L/S → R/Wの順序で習得する

・音声をメインでインプットする

・英語のみで学ぶ

・文法は自然に学ぶ

・子供向き

・習得に必要な時間が②よりも長時間かかる

・到達レベルが②よりも高い

 

②非ネイティブルートの特徴

・R/W → L/Sの順序で習得する

・文字をメインでインプットする

・日本語でも学ぶ

・文法は勉強で学ぶ

・大人向き

・習得に必要な時間が①よりも短時間かかる

・到達レベルが①よりも低い

 

こうして比較すると2つはまったく別のルートだということがわかります。そして「普通の日本人の大人」であれば②の非ネイティブルートを選ぶことになると思います。

 

しかし、ここで非常に厄介な特徴があります。一番下に書いた「到達レベル」についての特徴です。厄介というのは非ネイティブの「到達レベル」はどうしてもネイティブよりも低くなってしまうことです。それはある人にとっての外国語のレベルがその人の母国語のレベルを上回ることがないのと同様の理屈です。この点は英語と日本語だけでなくすべての言語について当てはまります。

 

その点は仕方ないとして、問題はその「到達レベルの差」がそのまま学習者に対する発言力や影響力につながってしまうことです。つまり英語が上手な人の意見の方が学習者に聞き入れられやすくなるということです。なぜかというと、英語が上手に使えるようになりたい学習者にとっては、英語をより上手に使える先生の意見の方が(実際は間違っていたとしても)正しく聞こえてしまうからです。もし英語が上手な人がネイティブスピーカーであればさらに強力になります。

 

そもそも英語に限らず、外国語学習者にとってネイティブは「神」です。「神」は英語についてはすべてを知っており、間違いを犯さない唯一無二の存在だと信じられています。そんな「神」が発する言葉と、非ネイティブのような「民」が言う言葉では重みが全く違います。

 

しかしその「神」であるネイティブは自分が英語を習得した方法(①ネイティブルート)をベースにアドバイスをしてきます。そしてもったいないことにそのアドバイスは①ネイティブルートを目指す人にとっては有効なのですが、②非ネイティブルートを目指す人にはあまり役に立ちません。役に立たないどころか、別ルートを進むための標識として道に迷わせることになるため、害になる可能性さえあります。

 

もう一度繰り返すと、英語の習得ルートには2通りあって一方のルートには正しい標識でももう一方のルートにとっては正しくない標識があるということです。このことを忘れてしまうと、ルート上を永遠と彷徨い続ける羽目になります。