逐獣者目不見太山

 

 

地球上の全株価指数の命運を握る

 

Nvidiaの好決算で市場のセンチメントを一段と高揚させるかと思いきや…

 

市場が開く前に発表されたPMIが上振れ、金利が上昇したというのも一因ではあるが…

米総合PMIが上昇、22年4月以来の高水準-インフレ再加速 - Bloomberg

 

CBOE Interest Rate 10 Year T No (^TNX)

 

Nvidiaの決算の陰に隠れてしまったが、同日発表されたFOMC議事録ではタカ派な姿勢

示されている。

多くの参加者は、現在の金融環境の制約の度合いに関する不確実性と、そのような状況が

総需要とインフレに対する制限が不十分であるという関連するリスクを指摘した。

金融政策は引き締め的なものとみられるが、多くの参加者からは、その程度については

不確実性があるとのコメントが寄せられた。

 

翌営業日は、ミシガン大消費者インフレ期待が速報値に比べて低下した為、テック株を

中心に反発するが、Dowはほぼ回復出来ず。

 

Nasdaq100も前日高値は奪還出来ず、上値を抑えるものがあるようにも見える。

 

Nasdaq 100 Jun 24 (NQ=F) *30分足

 

前述のDow指数は、週足ダウントレンド入り寸前。

 

Dow Jones Industrial Average (^DJI) *週足

 

マイク弱気やめるってよ

2022年の弱気相場を的中させたとして名を馳せたモルガンスタンレーのマイク・ウィル

ソン氏がついに弱気を撤回した。

 

 

同氏は2023年以降も弱気継続し、予想を外し続け zerohedge にもイジられている。

 

しかし、2023年7月に誤りを認めた矢先に市場は弱気に転じるという皮肉な展開も。

米国株の悲観論「間違っていた」-モルガンSのウィルソン氏が認める - Bloomberg

 

S&P 500 (^GSPC) 

 

「財政刺激策によるものであれ、超低金利が長期間続いたことによるものであれ

  市場にはまだ大量の資金が流通している」

「ゲームストップなどはその兆しだろう」

現在の主な脅威は過度な悲観論よりもむしろ、ヘッジファンドをはじめとする全ての

投資家が強気過ぎて、市場が高揚感の重みで崩壊する危険性がある

同じ銘柄への集中が進み、投資家のポジショニングは高水準が続き、何か問題が

起きれば、その結果はすぐに出る

米国の貯蓄がいかに枯渇しているかという議論が沸き起こる一方で、裕福な投資家など

の間では財布のひもは緩みっぱなしだ。

リスク選好の持続性に絡むセオリーでは、いわゆる「FRBプット」があまりにも

長い間、市場に存在し、FRBが市場の救世主として準備万端であるかのように

行動すると人々は条件付けられたままのように見える

FRBが利上げを開始する直前の22年1月以来、最も株式配分が高いことが明らかになった。

10人中8人が今年7-12月(下期)に利下げがあり、リセッション(景気後退)はない

と予想している

 

4月の調整を以って、今年は Sell in May は無いと主張する人もいる。

来週以降の相場の更なる上昇を期待すべきだろうか。

指数は見限り、皆でお手々繋いでNVDAを買うべきか。

 

 

 

予定調和的回復劇

 

 

 

買われてもすぐ売りが降ってくる日本株は青息吐息で200MA奪還。

 

Nikkei/Yen Futures,Jun-2024 (NIY=F) *四時間足

 

国債買い入れ減額、利上げ観測が上値を抑えているようだけど。

日銀が国債買い入れオペ減額、5年超10年以下-金融正常化 - Bloomberg

日銀国債買い入れ、根強い6月の大幅減額観測-全年限据え置き - Bloomberg

日銀は状況許せば6月にも利上げ、現状「緩和し過ぎ」-関根元局長 - Bloomberg

 

 

実態経済はこの体たらくだし。

日本経済は3期連続で成長なし、「スタグフレーション的」との見方も - Bloomberg

 

中国株も復調してきてるから年初に日本株買い漁ってたお金が抜けてるのかも。

 

iShares China Large-Cap ETF (FXI)

 

 

米国株はPPI・CPI共に無難に乗り切り四条貴音更新はいすごいすごい。

とは言え、日足は30MAが50MAをデッドクロスしたまま。

これがゴールデンクロスしてパーフェクトオーダーとなれば更なる上昇機運も高まるだ

ろうけど、短期間で高値更新したんだからもういいでしょ。

戻り売り二番天井の心配もしといた方が良いのでは。

 

Nasdaq 100 Jun 24 (NQ=F)  *日足

 

週足MACDデッドクロスしたままだし。

 

Nasdaq 100 Jun 24 (NQ=F)  *週足

 

CPI発表の陰で落ち込む景気指数。

 

 

今更なニュース。

米家計債務が過去最大、インフレ直撃で返済遅延も増加-NY連銀調査 - Bloomberg

 

上昇相場の最終局面で見られる泡沫株の投機的取引。

ミーム銘柄の急騰続く、空売り投資家に2000億円超える評価損発生 - Bloomberg

 

低すぎるクレジットスプレッドは金融市場の慢心を示す。

 

消費者の株式上昇への楽観も相当に極まっている。

It’s Nearly as Bad as September 2007… - YouTube

 

QRAも無難に、QTも縮小され選挙までは大崩れすることはないと思うが、CPIも市場予

想通りというだけで2%に向けて順調に減速しているわけでもない。

今後も一進一退が予想される。

 

著名投資家、ハイテク企業幹部は株売却進める。

「マグニフィセント7」を売却、資産家ドラッケンミラー氏ら利益確定 - Bloomberg

米ハイテク「マグニフィセント7」、幹部や取締役の自社株売りが加速 - Bloomberg

 

あとは5/22のNvidiaの決算次第だが、景気とインフレどちらが先に瓦解するかチキンレ

ースも既にレッドゾーンに入っていると思われる。

本当に怖いのは、金利が下がっても株価が上がらなくなった時。

 

 

英語で言うとスタグフレーション

 

 

週の振り返り

Nasdaq100は順調に200MAに到達、更に上値抵抗ラインも突破する勢い。

 

Nasdaq 100 Jun 24 (NQ=F) *四時間足

 

しかし疑似Nasdaqの日経日平均は200MAで跳ね返され、方向感定まらず。

 

Nikkei/Yen Futures,Jun-2024 (NIY=F) *四時間足

 

金曜23:00発表のミシガン大調査はインフレ期待、景況感ともに悪化。

 スタグフレーション懸念の声も。

 

しかし所詮は後追いでコロコロ変わる指標に過ぎない為か、市場への影響は軽微。

 

目先の材料としては

 

SMCIに続きARMの決算も低調だった。

Nvidiaの売上見通しまで弱ければ、週足30MAまでの引き戻しとなり得る。

 

NVIDIA Corporation (NVDA) *週足

 

AI関連銘柄に早くから投資をしていた有名投機家のドラッケンミラー氏も持ち高を大幅

に削減。

 

「ちょっと休憩が必要です。私たちは大変な勢いで上昇してきました。

私たちが認識していたことの多くが、今では市場でも認識されるようになりました」

とドラッケンミラー氏は語った。

 

スタグフレーションの足音

中小企業支払い価格指数の先行性よりインフレ再燃の兆候有り。

 

そんな中、NFIB中小企業景況感調査は11年ぶりの低水準

https://realinvestmentadvice.com/wp-content/uploads/2024/04/NFIB-Small-Business-Survey.png

 

設備投資を計画している事業主の割合は、パンデミックによるシャットダウン以来の最低レベルに低下

https://realinvestmentadvice.com/wp-content/uploads/2024/04/image-34.png

設備投資が減少している場合は、雇用と販売からの経済警告が予想されます。

 

  • 実質可処分所得パンデミック前の最低水準を下回る
  • 超過貯蓄は枯渇
  • クレジットカードの債務残高はパンデミック前の傾向を上回る
  • 株価は堅調だがその恩恵を受けているのは人口の上位10%

Economic Headwinds Are Starting To Gust - RIA

 

最近、底打ちが期待されていたISM製造業景況感指数だが、10年物国債金利との間に

興味深い相関が示されている。

10年物国債金利を上下逆にして14ヶ月ずらしたものと、製造業景況感指数のチャート

を見ると、ここからまた下振れする兆候が見られる。

History is About to Repeat. - YouTube

 

リベンジ消費(旅行)もピークを打ったか。

先週、Booking Holdings は予想を下回るガイダンスを発表し、Expedia Group は

期待外れの結果を報告しました。

また、マクドナルド、スターバックス、タイソン・フーズは最近、決算説明会で

バイデノミクスの破綻により経済が高インフレに悩まされる中、低所得者層に

逆風が吹くと警告しています。

 

スターバックスは決算後の急落で長期トレンドラインだった月足100MAを割る。

 

Starbucks Corporation (SBUX) *月足

 

過去の例だと、小売売上の伸びが止まって2~3年ほどすると景気後退に陥る。

 

 

 

JOLTsは失業率上昇の予兆を示す。

以下のチャートは離職率(上下逆)と失業率との相関。

https://realinvestmentadvice.com/wp-content/uploads/2024/05/quits-rate.png

Starbucks Earnings Warn Of Belt Tightening - RIA

 

労働市場が弱いと離職率は低くなる傾向があります。

前回、離職率が現在の水準にあったとき、失業率は4.5%から5%の間でした。

 

 

 

 

NISA損切りと金融リテラシー

 

失敗と向き合うのは良いこと

ちょっと前からちらほら聞かれる「新NISAを早々に損切りした人たち」の話ですが、実

際そういう人がどれほどいるかはさておき、今は金融リテラシーの高い人たち*1の物笑い

の種として消費されているだけで済んでいますが、今後本格的に相場が軟調になれば他

人事ではなくなる人も少なからず発生すると思われます。

 

そうなった時は今より更に「損切り民」に対する風当たりが厳しくなることが予見され

ます(苦痛から逃れた人たちを「リテラシー不足」「腰抜け」とバッシングすること

は、不安や恐怖、無力感に堪えている自分たちの気慰みになるから)。

 

私は、NISA損切りについては「別にいいんじゃね」と思います。

勿論失敗しないに越したことはないですが、若い(傷が浅くて済む)うちに失敗をする

ことは、上達のための良い経験値になるのではないでしょうか。

新NISAは売却すれば枠が復活するわけだし、きちんと失敗を失敗として受け止められて

いるなら、付け焼刃の知識で年中買い場だバーゲンセールだのと囃し立てている人たち

より見込みがあるかも知れません。

 

退場してそれっきりだと残念ですが、そもそも投資に向いてない人間まで唆してリスク

を取らせようとする、あるいは「投資をしないと将来ヤバい」みたいに煽り立てる風潮

がおかしいという認識は持っておいて損はないでしょう。

大概、大衆が騒ぎ立てる局面は相場の天井が近いサインでもあります。

 

相場の天井で起きやすい事

ボブ・ファレル【マーケットの10のルール】

 

そもそも金融リテラシーとは何なのか

政府広告によると金融リテラシーとは「経済的に自立し、より良い生活を送るために必

要なお金に関する知識や判断力」だそうで、最低限身に付けるべき金融リテラシーとし

金融庁の金融経済教育研究会が策定した4分野15項目が掲げられています。

 

ざっと見ると大学入学時のガイダンスにありそうな、社会生活をする上での基本のよう

なものが並んでいますが、その中にしれっと難度の高いものが一つ紛れているのにお気

付きかしら。

(6)金融と経済の基礎知識(単利・複利などの金利、インフレ、デフレ

為替、リスク・リターンなど)や金融経済情勢に応じた金融商品の利用選択

について理解すること。

これは所謂グローバル・マクロというやつですが、そこまで本格的ではないにせよ、

身に付けるべき金融リテラシーでこれを要求されるのは、なかなかハードルが高い

でしょう。

少なくともオルカンガチホで気絶とか言ってる人の大半は金融庁が期待する金融リテラ

シーを体得していないということになりそうです。

 

金融庁と言えばNISAの元締め、そこが掲げる最低限身に付けるべき金融リテラシーを有

していない人が、もしNISAで失敗しても「あなたは最低限の要件を満たさないまま運用

を始めてしまったのだから」と素気無い扱いをされたら言葉に詰まるでしょう。

 

実際に金融庁がそんなメッセージを発することはないでしょうが、こういう動画 のコ

メント欄には損切りに対する揶揄が溢れており、同情や共感を寄せる声は皆無です。

「10年後今よりも損失抱えていたら文句言え」なんてコメントはフラグにすら見えます。

 

日経平均の話題だから関係ないなどと思っているとしたら大きな勘違いで、オルカンとて

平均回帰すれば20%ぐらい余裕で下がります。

 

 

これを見て「長期なら安心」と思ったら大間違い。

 

 

日本で販売されている投資信託*2は円建なので半値近くになるリスクがあります。

更に10年後でも、平均回帰したら今の価格より安いわけですが、「年初一括が正解」だ

の、高々数%下げた程度で「むしろ今が買い場」などと思っている人は、こういった俯

瞰的な視点も持っておいた方が良いでしょう。

 

「テクニカルはオカルト」などと利いた風なことを言ってチャートすら見ない、見ても

「長期的に右肩上がり」以上の情報を読み取れない人は、チャートは価格変遷の履歴で

あるということを理解出来ているでしょうか。

 

長期平均から大きく乖離している時期とその背景について、上記のグローバル・マクロ

視点からの考察ぐらいは出来ないと、他人の金融リテラシーをどうこう言えた立場では

ないというのがNISAの元締めが提示する文章から読み取れるメッセージですのよ。

 

怪しげな投資リテラシー

金融リテラシーと投資リテラシーは似て非なるもの*3で、投資に役立つ情報はプロでも分

からないといったような蒙昧主義的な言い草でお茶を濁されがちです。

巷で見聞きする投資に関するリテラシーも怪しげで頼りないものが多く、「複利」につ

いては期待しているほど投資家の味方ではないですし、「含み益バリア」などといった

気休めにもならない(「自分の買値を中心にした視点」は参照点依存性という行動経済

学上よく知られる)バイアスに基づいた投資助言が流布されていたりしますが、寧ろ足

枷となる独りよがりな判断法です。

こういうことをFPを名乗る人間までが発信していたりして呆れるのですが、単に不勉強

なのか、分かった上で初心者を唆そうとしているのか、後者なら悪質です。

 

またドルコスト平均法についても、流石に最近は山崎元氏の布教が行き届いてきたのか

ドルコスト平均法が有利だと主張する人はかなり減ったように見えますが、逆に「一括

投資の方が理論上有利」という意見を見掛けるようになりました。

しかし山崎氏自身も、一括投資の方が有利とは言っていません

どのような買い方をしたとしても、同じ対象を買う限り、それぞれの時点の

リスク・リターンについて有利不利はない

期間全体が下げ相場であれば、一括投資の不利は当然だし、運用期間中の平均投資額が

少なくなるドルコスト平均法のリスクが小さいのは当たり前だ。

逆に、期間全体が上げ相場なら、ドルコスト平均法は著しく不利になる。

 

加えて、「長期投資なら絶対大丈夫だと思うのは単純すぎ」とも。

取引コストを考えなければ、運用期間の長期化は、おおむね有利でも不利でもない。

運用会社の中には、長期投資なら絶対儲かるといった印象を顧客に与えて商品を

売りたがる一種の宗教のようなマーケティングを行う会社もあるが

「長期なら、リスクが縮小して、絶対儲かる」とは言えないのだから

もう少し、賢そうな売り方をするべきだろう。

 

時価評価を嫌う個人投資家について。

「株価(基準価額)の上下に一喜一憂したくない」とか、「売るまでは、損が確定した

わけではない」とか、思い思いの理由を並べることはあるのだが、(中略) 自分の資産の

価値は生活を考える上で重要な情報のはずだし、時価の変動を見ていてこそ、「リスク」の

性質や大きさを正しく知ることができる。

投資でも人生でも、現実認識をごまかすのは大失敗のもとだ。

 

etaoinshrdlu.hatenablog.com

 

 

*1:複利」「握力」「気絶」等が口癖の人

*2:代表格がオルカン

*3:投資商品に関する知識と投資に関する知識も別物

金融市場とお祈り効果

 

株式市場は予定調和的展開

ISM製造業・非製造業等の景気指数は市場予測を下振れるが

雇用コスト価格指数等のインフレ指標は市場予測を大きく上振れ。

 

 

しかし煮え切らないFOMC弱い雇用統計を経て、金利はなんとか4.5%まで低下。

CBOE Interest Rate 10 Year T No (^TNX)

 

金利上昇を嫌気していた株式市場は当然好感、50MA~100MAと規律正しくチャネルを

形成しながら200MAまで値を戻す。

Nasdaq 100 Jun 24 (NQ=F) *4時間足

実にお行儀良い値動き。呪術的な力が働いているのだろう。

 

テクニカル的にはこのまま200MAを奪還、ファンダメンタルズ的には景気が腰折れしな

いままインフレ鎮静が望まれる。

足元では、マネタリーベース貨幣の流通速度の伸びも鈍化しつつあるように見える。

しかし、この程度の鈍化でインフレ鎮静にどれぐらい時間が掛かるか、それまで景気が

持つのかが懸念される。

 

 

過去、パウエル議長はマネー急増とインフレ亢進の関係を否定した(危機時には貨幣が

貯め込まれ流通速度(V)が低下し、インフレは起きない)。

 

toyokeizai.net

 

が、図らずも(V)が亢進し近年例を見ないレベルのインフレを引き起こした。

(上掲の記事の日付は2021年3月、皮肉にもこの後ほどなくインフレが急騰)

インフレ急騰時の(V)と今の水準を比べてどうだろうか。

QTでちょっとM2を減らしたぐらいで過剰流動性は減退しないのではないだろうか。

 

M2×M2V(流通速度)チャート

 

www.youtube.com

 

生成AI相場はやや期待外れ

4/19に市場を震撼させたSMCIの決算は売上が市場予測に僅かに届かず。

第3四半期の売上高が38億5000万ドルに上昇したと発表した。

これは市場予想の38億6000万ドルをわずかに下回る。

Super Micro Falters After Missing Market’s High Expectations

 

Super Micro Computer (SMCI) Stock Forecast and Price Target 2024

 

結果、株価は14%安、週足もダウントレンド。

Super Micro Computer, Inc. (SMCI)

 

Nvidiaはなんとか持ち堪える。

NVIDIA Corporation (NVDA)

 

為替介入に関する呪術的講釈

今週は予定調和的な株式より為替市場の動きが興味深かった。

「効果なし」「すぐに戻る」と言い囃された為替介入だが、5/2のFOMC終了直後の介入

と思しきアクションがトレーダー視点からは技巧的に見えた。

 

USD/JPY (JPY=X) *四時間足

 

一回目と思しき介入は160円を超える水準で行われ、5円ほど円高に押し戻したがテクニ

カル的にも有効性が認められず、すぐに158円近辺まで戻される。

二回目と思しき介入は、FOMC直後と不意打ちとしても巧いタイミングであり、テクニ

カル視点で見ても、50MAを有意に割り、あわよくば200MAまで貫通せんとする意図ま

で見せつけた為か、その後の戻りは5MAすら超えることが出来ず、雇用統計発表からの

金利低下を受け、200MAを割る結果となった。

(もしかしたら雇用統計の結果を知る米国側からなんらかの入れ知恵があったのかもしれない。イエレン長官

 の直前のコメントも投機筋を油断させる意図があったと見ることも出来る。)

 

値幅だけ見ると、一回目二回目ともに同程度であり、テクニカルというオカルトを信じ

ない人から見ると一回目同様すぐ戻ると思われたが、ブコメでも言及されている方がい

たように、投機筋の鼻を折る程度の効果は認められたように思う。

 

今回の介入の賞味期限だが、週足のトレンドを曲げるのにはもう一歩のところなので、ダ

メ押しでもう一回介入があるような気がしている。

USD/JPY (JPY=X) *週足

 

週足のトレンド転換は、ここ最近では2022年11月と、2023年11月頃に見られたが

2022年はCPIの下振れ、2023年はFRB理事の利下げ観測というファンダメンタルズの後

押しが伴っていたため、今後の為替水準はやはり日銀の利上げ(債券買い入れ縮小)

あるいはアメリカの景気減速が鍵と思われる。

FF金利が下がらなくても、長期金利が下がれば円安進行には逆風となる。)

週足トレンドが転換すれば、もう3、4ヶ月は時間稼ぎが出来るかもしれないので、今年

後半の日銀の利上げ観測との整合性もとれる。

 

 

2013年との類似性【日経平均】

 

 

第一生命経済研究所が2013年5月に掲載した「5月23日の株価暴落からの教訓」が今日の

日本株にも当て嵌まるように思えるため、書き留めておきたい。

 

ファンダメンタルズから見た類似点を記事より抜粋

・株価上昇ペースが速すぎたことで、高所恐怖症に陥っていた。

・これまで株価を押し上げていたのは、海外マネーの影響が大きい。

長期金利が 1.00%にワンタッチしたことは、長期金利の上昇ペースが速すぎると

 多くの人に感じさせた。

・最近の株価上昇は、「大きな上昇」ではあったが、「強い上昇」ではなかったのだろ

 う。(中略)期待先行という性格が「脆さ」の原因につながった。

・金融政策が、大きな緩和メニューを実行すればするほど、そのプログラムを手仕舞う

 ときの反動も大きくなる。だから、金融緩和に依存した景気回復の図式は、出口戦略 

 への着手のところが不安定になる。

 

また、当時は2012年12より始まったアベノミクスにより、日本株に対する見直し買いが

入ったという経緯もある。

昨今もPBR改革、デフレ脱却、バフェット効果など、日本株に対する見直しシナリオが

複数存在するが、その効果がいつまで持続するかは不明。

 

【 参考 】日本国債10年利回り ※週足MACDゴールデンクロスしていることに注意

 

2013年5月23日は前日比▲1,134.28 円(下落率▲7.32%)であり、単日での下落率として

史上11番目

これが今日そのまま再来するとは思わないが、2013年5月の高値15942円から、一月足

らずで12415円まで約22%の下落を喫した。

チャートで見ると以下の通り、変動幅上限水準から、ほぼ平均水準までの調整となる。

 

 

今見返すと微々たる下落に見えるが、現在の株価に置き換えると今年3月の高値40888円から

20%下落で32710円。

平均水準までの調整となった場合の想定は、今年10月末なら33650円、2025年3月末なら34930円

2025年10月末なら36760円。

 

再度2013年の株価に戻るが、5月の急落から徐々に値を戻し半年ほどで高値更新、その

後は再度平均水準まで調整後、2014年10月の「サプライズ追加金融緩和」の恩恵で翌年

年央にかけて上限ラインを超える株高に至るも、チャイナショックの影響もあり2016年

半ばにかけて15000円割れまで下落する。

 

2013年5月の高値が15942円であることから、2016年半ばまで3年でのキャピタルゲイン

ゼロということになる(積立の場合、より高値で買い付けている都合上元本割れ)。

その後も1年程かけて高値奪還するも、横這いからコロナショックで変動幅下限水準ま

で下落となる。

この時の底値は16700円であるから、2013年5月の高値(15942円)を基準にすると、7

年あまりでキャピタルゲインは4.8%弱、年利換算で約0.67%になる。

 

日経平均はバブルではない*」「これからは日本株の時代」との声も聞かれるが、リ

スクシナリオとして、これぐらいの想定は踏まえておきたい。

ちなみに今後、変動幅下限水準まで下落する場合、2030年4月末想定で40900円となる。

 

* 足元の日経平均のPERは16倍程度だからバブルには程遠いと言われているが、指数ベースのPERは24倍程度

 まで上昇している。

 

 

生成AI相場の岐路

 

SMCI決算待ち

区々な決算、経済指標に振り回されながら4時間足100MAまで反発。

年初からのトレンドラインであった200MAを有意に奪還出来るまでは、上昇トレンド継続

と見做すのは早計。

いつものNasdaq100(先物)のチャートを見ると

 

Nasdaq 100 Jun 24 (NQ=F)

 

100MA上は正に pivotable な位置。

相場の行方は、先週末の崩落の要因となった Super Micro Computer の決算次第。

Super Micro Computerは4月30日に第3四半期決算を発表すると発表したが

1月の第2四半期決算のように決算を事前発表しなかった。

Super Micro Computerの決算発表がなかったことで、ウォール街では、同社の今後の決算発表が

前四半期ほど堅調ではなく最終的にはアナリストの期待を下回る可能性があるとの懸念が高まった。

Super Micro Computer (SMCI) Stock Crashes 23%, Hits AI Darling Nvidia

 

経済指標振り返り

 

25日21:30発表の指標は、GDPと実質消費者支出以外は市場予想を上振れ。

 

26日発表の指標は、21:30のPCE、23:00のミシガン大調査ともにインフレ指標が悪化。

 

www.zerohedge.com

FRBお気に入りのインフレ指標、貯蓄率が急落する中、予想以上の高水準を記録

 

これらの結果を受け、25日は10年債金利が4.7%を超えたが、26日発表の数値には何故

金利低下で反応し、Googleの決算も追い風にナスダックは2%超上昇。

 

CBOE Interest Rate 10 Year T No (^TNX)

 

25日発表のGDPは市場予測を大きく下回ったが、アトランタ連銀発表のGDP Nowの数値

は3.9%と至って強い。

Federal Reserve Bank of Atlanta GDP Now

 

同じくアトランタ連銀発表の粘着性CPIの数値も、ここ最近再加速の様相。

 

上述の Super Micro Computer の決算が思わしくなければ、今まで金利上昇への盾とな

っていたAIストーリーが潰え、株式のバリュエーションを少なからず圧迫する。

 

また、納税により大幅に低下した準備預金残高


www.zerohedge.com

https://cms.zerohedge.com/s3/files/inline-images/bfmAB74.jpg?itok=8zGddiPe

As Tax-Season Ebbs, Money-Market Funds See Return Of Inflows; Fed's Bank Bailout Fund Remains At $126BN

 

市場が開いていないゴールデンウィーク期間に相場が大きく動けば日本株の投資家は

手の出しようがない。