簿記が面白いという話
この記事はfreee20卒内定者 季節外れのアドベントカレンダー29日目です。
昨日の記事は、ユキさんの長距離きっぷのすすめでした。田舎に住んでいることもあり、自分は普段車移動なので新鮮な気持ちで読みましたが、まさに「Hack Everything★」といった感じの内容でした。
自己紹介
2020年度からエンジニアとして新卒入社予定の清水と申します。 出身は福井県で、現在は大学院で並行プログラミング等の研究に取り組んでいます。大学は石川県の山奥にあって、熊も出るスリル満点の立地です。1
少し過去の話をすると、小学校では卓球(カットマン)、中学では美術(油絵)、高校ではハンドボール(ポスト)、学部時代はヨット(470級クルー)も少しやってました。
この記事では、今年個人的に取った簿記についての話を書きます。試験に向けた勉強の過程で学んだことが、自分としては非常に面白く、またfreeeで働くことに対してもさらにモチベーションが高まりました。会計分野については、社員の方々はもちろん同期のみなさんも自分よりずっと詳しい人が多いとは思いますが、一初学者の視点で感じたことを素直に書いてみたいと思います。
簿記に出会うまで
内定を頂いたあと、エンジニアの方と一緒にいろいろな会議に同席しながら、会社の様子を見せていただく機会がありました。その時同行させていただいた方が、簿記を持っていらっしゃったのをきっかけに興味を持ちました。
そもそも簿記試験は、企業の財政状態を表すバランスシートと、その変化の原因の内訳である損益計算書を作るという目的に向け、ひたすら取引の仕訳、集計をするという内容になっています。(手作業なのでたいてい最後は計算が合いません...)2
当時の自分は、起業や投資の経験はもちろん、個人の生活レベルの範囲でさえお金の知識が怪しい状態で、まして企業の会計などに関する知識は皆無でした。しかし、これから会計ソフトを中心としたプロダクト群に関わる立場になるにあたり、自分が自動化しようとしている対象について知っておきたいという思いから、簿記3級を取ることにしました。
学習過程で考えたこと
勉強の初期段階では、テキストを読みながら過去問題を解いていましたが、何かしっくりこない、本質的に理解できていない感覚がありました。今まで考えもしなかった新しい概念が多数登場し、知識が脳をすり抜けていくような感覚でした。そこでイメージを膨らませるために、いったん簿記試験そのものから離れて、ファイナンスや会計の歴史などに関する書籍3を何冊か読むことにしました。そこには資金を調達する人や貸す人、投資する人がそれぞれどういった視点で考えているか(バランスシートをどう解釈するか)、人類史の中で帳簿が国や地域の健全性にいかに貢献してきたか等について書かれていました。
そういった内容を読んでいった結果、1つ1つの仕訳や最終的に出来上がったバランスシートの裏にあるであろう、人々の営みがイメージできるようになりました。それ以降、問題を解くときにやる作業は以前と同じであっても、頭の中に浮かぶイメージには全く別ものになりました。大げさに言えば、一見味気ない決算書には人々の人生のワンシーンが詰まっているようにも感じられました。
イメージができるようになったのと同時に、会計という仕組みが人間の活動をある側面でうまくモデル化したものであって、またそのログを残す技術であると考えるようになりました。ビジネスのやり取りという目に見えないものが、分類、計算可能になることで可視化され、共通のルールの中で議論できるようになる。すごいですよね。
自分はまだ会社を経営したことはないですが、一消費者として買い物したり、フリマアプリで物を売ったりはします。そんな今まで何気なくやってしまっていた経済活動も、このルールで表現できることを想像してワクワクしました。逆にいうと、「何気なく」やってしまっていたのは、このルール(考え方)を知らなかったためにうまく認識できていなかったとも言えます。
例えば簿記を学ぶ中で印象的だった概念に減価償却があります。これは、建物や備品、車両などの有形固定資産に対して、取得原価、耐用年数、残存価額という要素を定義することで、モノの価値が減っていくことを可視化する方法4です。個人的にはこの方法を知ることによって、今まで「古くなる」といった曖昧な認識だったものが、具体的なイメージと数値を伴った認識になりました。
自分が初めてプログラミングに触れたときの感動は、自分の思考そのものをモデル化して、形式的に(ただし数学よりもカジュアルに)記述でき、さらに再現性のある実行を何度でもできるということでした。簿記にも似たような面白さを感じ、「とんでもないツールを手に入れてしまった...」という興奮があり、世界を見る目が変わってしまうほどの衝撃を受けました。
簿記の仕組みを知ってからは、日常の買い物のときでさえ「これは費用なのか資産なのか、資産であれば残存価額はいくらなのか。いや、そもそも負債かもしれない。」といった考えが脳内でぐるぐる回り続けるような状態です。ただこれはいわゆる「ハンマーを持つ人にはすべてが釘に見える」ような状況でもあるので、少し落ち着く必要はありそうですが。
最後に
今回は、予備知識のない初心者が簿記を学んだ場合、いったいどんなポイントに心が動かされるのかという視点で文章を書いてみました。これまで考えたこともなかった簿記や会計の分野を、この機会に学べたこと本当に幸運で有意義でしたし、世の中に対する新しい見方を自分に与えてくれました。
その一方で、簿記や会計は人類の叡智が詰まった素晴らしいツールであるものの、それでもやはり事業状況の一側面を抽出したものであり、ビジネスの実態のすべてを人間が認識できる形式に十分にマッピングしたものではないかもなと、素人考えながら思ったりもしました。だからこそ会計を土台にしつつも、freeeのプロダクトでこれまで集められなかったデータやその分析、可視化の方法、また自動化によって生まれた時間を使った人間の洞察により、今まで認識できなかったものが認識できるようになる(できている)のではないかと思います。
来年度からはfreeeのエンジニアとして仕事をスタートしますが、そんな仕組みを技術の面でしっかり支えられるよう成長していきたいです。ここまで読んでいただきありがとうございました!
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金沢大研究棟にクマか ガラス製ドアに人間の手の2倍の足跡、目撃情報も 餌の木の実が凶作(毎日新聞) - Yahoo!ニュース↩
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まだまだプロトタイプですが、仕訳がBSやPLへインタラクティブに反映される簿記用の学習ツールも作ったりしてます。(宣伝)↩
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ざっくり分かるファイナンス~経営センスを磨くための財務~(光文社), 石野 雄一 (著); 数字は見るな! 簿記があなたの会計力をダメにする(日本実業出版社), 田中 靖浩 (著); 帳簿の世界史(文藝春秋), ジェイコブ・ソール (著), 村井 章子 (翻訳)↩
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必ずしも現実と対応していないこともありますが、基本的なコンセプトとしては時の経過による価値減少の表現方法です。(No.2100 減価償却のあらまし|国税庁) ↩
DIPとモックによるテストの手習い
はじめに
最近ちょこちょこテストを書くようになった。その中で、うまいテストの書き方がなかなか見つからないことも多い。ここで言う「うまい」というのは、テストしたい対象の外側に対して依存がなく(少なく)なるような書き方のことを指している。
うまく書けない例としては、データベースが絡むパッケージに関するテストが挙げられる。この「データベースが絡む」の範囲が、必要以上に広がってしまうせいで、本来はデータベースをあまり考えたくないパッケージのテストを書くにしても、データベース関係の処理を書く必要が出たりする。理想的には、外部環境に依存しない形でパッケージごとのテストを書きたい。もちろん、実際のデータベースを使わなければ、稼働時とは異なる状態での動作になる。しかし、外部環境を考えないテストであっても、対象パッケージのロジック自体の確認にはなるし、本来はそれが対象パッケージへのテストとしてはある意味正しいような気もする。
そんなことを考えている状態で、書籍『Clean Archtecture -達人に学ぶソフトウェアの構造と設計-』を年始に読んで、問題を解決する方法が見つかった(かもしれない)。書籍全体としては、まだ理解しきれていない部分も多いが、後述する「依存関係逆転の原則」に関しては納得できたつもりなので、ここにまとめておく。
依存関係逆転の原則(DIP: Dependency Inversion Principle)
クリーンアーキテクチャの基本的な考えとして、「変化しにくいもの(内部)に変化しやすいもの(外部)を依存させるべき。」という考えがある。すごく単純化して例を挙げると、変化しにくいものと言うのはビジネスのルールとかアプリケーションのロジックの部分で、変化しやすいものと言うのはデータベースとフレームワークとかの外部要因など。
つまり、データベース特有の処理などに、アプリケーションのロジックが引っ張られてはだめということ。データベースのよう外部要因に関する部分は、いつでも取り替えることができて、アプリケーションのロジックのコードを変更はしたくない。このような理想的な状態を、DIPによって生み出すことができる。
アプリケーションを何も考えず単純に書いた場合、図1のようになる。アプリケーションのロジックが書かれた「Service Package」から、データベースに関する処理が書かれた「Data Package」に対して参照がある。参照があるというのは、コード上での依存が存在することを意味する。
この依存関係を逆転させたい。つまり、変化しやすい「Data Package」が変化しにくい「Service Package」に対して依存するようにしたい。これを実現するために、DIPでは図2のようにインターフェースを利用する。「Service Package」側でインターフェースを定義して、パッケージ内のコード上ではそのインターフェースを使った処理を書く。そして、「Data Package」では「Service Package」のインターフェースを実装する。このような設計にすることで、パッケージという単位で見ると、処理の流れはそのままだが、依存関係は「インターフェース実装」という形で逆転している。
適用例
前述のパッケージ構成を再現した、Goによるサンプルコードを載せる。パッケージの構成は以下のようになっている。
└── simple ├── data │ └── user_service.go └── service ├── user_service.go └── user_service_test.go └── dip ├── data │ └── user_service.go └── service ├── user_service.go └── user_service_test.go
シンプルな構成(simple)
DIPを用いた構成(dip)
DIPを使って構成された方は、「service」パッケージに関するテストが、外側に依存しない形でかけていることがわかる。このテストで検証しているのは、「service」パッケージのロジックそのものだけになっている。実際には裏でデータベースが起動しているような外側の構造については、モデル化されたモックを実装している( UserRepositoryMock
)。
参考
サンタクロース問題(スレッド・アクター・チャンネル)
はじめに
この記事は Treasure Advent Calendar 2018 23日目の記事です。
今回はクリスマスにちなんで、並列プログラミングの古典的なトピックである「サンタクロース問題」を取り上げます。この問題を、並列処理を記述するための一般的なモデルであるスレッド(Java)、アクター(Java, Akka)、そしてチャンネル(Go)を使ってそれぞれどのようになるか試しに書いてみます。
各言語、ライブラリについて、「らしい書き方」ができていない部分も多いかと思います。特に、ビジーループを使ってしまっている部分はもっと適切な方法がありそうです。「もっとこう書いたほうが良さそう。」などあれば、教えていただけるとありがたいです。
サンタクロース問題
サンタクロースの家には、1人のサンタクロースとそれぞれ複数のトナカイと妖精が住んでいます。いま、サンタクロースは家で寝ていますが、トナカイと妖精は外へ出かけていいます。サンタクロースは、状況に合わせて次の行動をとります。
- 妖精が3人集まった場合
- 起床して新しいおもちゃの開発をする。
- 終わったら解散してまた眠る。
- トナカイが9匹集まった場合
- 起床してプレゼントを届けに出かける。
- 終わったら解散してまた眠る。
今回は妖精は9人、トナカイは27匹存在し、それぞれ1回のみ働くとします。すべての妖精とトナカイが仕事をしたら終了です。
実装
ここでは、各実装の概要のみを説明します。それぞれの実装の詳細は以下のリンク先に置いてあります。
- https://github.com/prog470dev/santa-thread
- https://github.com/prog470dev/santa-actor-java
- https://github.com/prog470dev/santa-channel
スレッド(Java)
妖精とトナカイをそれぞれThreadを継承したクラスとして定義し、フィールドとしてサンタのオブジェクトをもたせるようにしました。
コード(一部抜粋)
public class Santa { /* ... */ public void addElf(){ synchronized (this){ if(this.state == 0 && this.elfCount < elfMax) this.elfCount++; if(this.elfCount == elfMax) develop(); } } /* ... */ private void develop(){ this.state = 1; System.out.println("Santa starts to develop."); } /* ... */ } public class Elf extends Thread { final private String name; /* ... */ @Override public void run() { while(!this.working){ synchronized (this.santa){ if(this.santa.getState() == 0){ System.out.println(this.name + " start to wait."); this.santa.addElf(); this.working = true; } } } while(this.working){ synchronized (this.santa){ if(this.santa.getState() == 1){ this.santa.remElf(); this.working = false; System.out.println(this.name + " finished working."); } } } } }
環境:Java8
アクター(Java, Akka)
アクターはそれぞれが処理主体で、個別にメールボックス(受信メッセージを貯めておくキュー)を持っています。異なるアクター同士のメッセージのやり取りによって全体の処理が進んでいきます。アクター上では、常に1個以下のメッセージがシングルスレッドで処理されるので、ロックなどの排他制御の記述が基本的には登場しません。Akkaにおいては、アクターに受信したメッセージの振る舞いを記述することによって、アクターを定義します。他のアクターへのメッセージは、ActorRef
型のメッセージ用の参照を介して送信され、直接アクターオブジェクトの状態をいじるようなことはできなくなっています。
サンタと妖精、トナカイをそれぞれアクターとして定義しました。外出先からサンタの元に帰ってくる行為や、仕事の完了通知などは、それぞれ個別のメッセージとして定義しています。
コード(一部抜粋)
public class Santa extends AbstractActor { /* ... */ @Override public Receive createReceive() { return receiveBuilder() .match(Messages.AddElfMsg.class, this::addElfMsg) .match(Messages.AddReindeerMsg.class, this::addReindeerMsg) .match(Messages.StoppedElfMsg.class, this::stoppedElf) .match(Messages.StoppedReindeerMsg.class, this::stoppedReindeer) .build(); } private void addElfMsg(Messages.AddElfMsg msg){ this.elfSet.add(msg.ref); if(this.elfSet.size() == elfMax){ develop(); } } /* ... */ private void develop(){ System.out.println("Santa starts to develop."); for (ActorRef ref : this.elfSet) { ref.tell(new Messages.FinishWorkingMsg(), this.getSelf()); } this.elfSet = new HashSet<>(); System.out.println("Santa starts to sleep.."); } /* ... */ private void stoppedElf(Messages.StoppedElfMsg msg){ this.stoppedElfCount++; terminateSystem(); } /* ... */ } public class Elf extends AbstractActor { final private String name; final private ActorRef santaRef; /* ... */ @Override public Receive createReceive() { return receiveBuilder() .match(Messages.StartWorkingMsg.class, this::addElf) .match(Messages.FinishWorkingMsg.class, this::finishWorking) .build(); } private void addElf(Messages.StartWorkingMsg msg){ System.out.println(this.name + " starts to work."); this.santaRef.tell(new Messages.AddElfMsg(this.getSelf()), this.getSelf()); } private void finishWorking(Messages.FinishWorkingMsg msg){ System.out.println(this.name + " has finished working."); this.santaRef.tell(new Messages.StoppedElfMsg(), this.getSelf()); this.context().system().stop(this.getSelf()); } } // 各メッセージはクラスとして定義 public class Messages { public static class AddElfMsg { public ActorRef ref; public AddElfMsg(ActorRef ref){ this.ref = ref; } } /* ... */ }
環境:Java8, Akka 2.5.19
チャンネル(Go)
サンタと妖精、トナカイをそれぞれ関数として定義してgroutineを起動させました。それぞれやり取りについては、チャンネルを介して行っています。アクターと同様に、チャンネルへの書き込みはメッセージと見ることができそうです。ただ、アクターの場合との違いとしては、送信先の存在を直接知っているのではなく、チャンネルという共通のメッセージ置き場を介して、受信側も能動的にメッセージを取りに行っている(ように見える)という点でしょうか。
コード(一部抜粋)
type Streams struct { ElfChan chan int ReindeerChan chan int NotifElfChan chan int NotifReindeerChan chan int } func main() { wg := sync.WaitGroup{} streams := Streams{ ElfChan: make(chan int), ReindeerChan: make(chan int), NotifElfChan: make(chan int), NotifReindeerChan: make(chan int), } wg.Add(1) go santa(&wg, streams) for i := 0; i < elfSize; i++ { wg.Add(1) go elf(&wg, i, streams.ElfChan, streams.NotifElfChan) } /* ... */ wg.Wait() } func santa(wg *sync.WaitGroup, streams Streams) { defer wg.Done() elfCount := 0 reindeerCount := 0 /* ... */ for { select { case t := <-streams.ElfChan: elfCount += t case t := <-streams.ReindeerChan: reindeerCount += t default: fmt.Println("Santa starts to sleep.") } if elfCount >= 3 { fmt.Println("Santa starts to develop.") for i := 0; i < 3; i++ { streams.NotifElfChan <- 1 } elfCount = 0 developCount++ } /* ... */ if developCount == elfSize/3 && shipCount == reindeerSize/9 { break } } } func elf(wg *sync.WaitGroup, num int, elfChan chan int, Notif chan int) { defer wg.Done() fmt.Println("start elf-", num) elfChan <- 1 <-Notif fmt.Println("end elf-", num) }
環境:go 1.10.1
最後に
アクターを使った書き方が、物理的な世界とのイメージとの対応という意味で、問題を一番自然に記述できた気がします。「メッセージを投げたらあとは知らない」といった雰囲気で、サンタと妖精、トナカイがそれぞれ完全に独立した存在として記述できると感じました。共有するロックやチャンネルが登場しないことが大きいかもしれません。
普通のプログラミングにおける「FizzBuzz」のようなものとして、新しい並列プログラミングのスタイルを試すときに「サンタクロース問題」も使えそうです。
参考
- The Santa Claus Problem - Thread Synchronization
- John A. Trono. 1994. A New Exercise in Concurrency. SIGCSE Bull. 26, 3 (Sept. 1994), 8–10.
AtCoder Beginner Contest 115 D問題
問題:Christmas
本番では解くことができなかった。しかし、解法がとてもシンプルかつ、再帰関数の実装に関して教育的な問題だと感じた。
解法
- 各レベルiの「層の総数」と「含まれるパティの数」は入力に関係なく、事前に計算できる。
- レベルiのバーガーにはレベル(i-1)のバーガーが2個含まれる再帰的な構造を利用して、再帰関数を実装する。引数は、現在考えているレベルiと下から食べる層の最高位置xとする。
- レベルiのバーガーは、5つの部分に分かれている。それぞれ下側から、次のように呼称する。
- 最下層バン
- レベル(i-1)バーガー(下)
- 中間パティ
- レベル(i-1)バーガー(上)
- 最上層バン
- 位置xがバーガー中の5つの内どの部分かによって処理が分岐する。
long long N, X; long long s[55]; // s[i]: レベルiのバーガーの層の総数 long long p[55]; // p[i]: レベルiのバーガーに含まれるパティの総数 long long f(long long i, long long x){ //レベルn, 下からx if(x == 1){ //ケース1 return i == 0 ? 1 : 0; }else if(1 < x && x <= s[i-1] + 1){ //ケース2 return f(i-1, x-1); }else if(x == s[i-1] + 2){ //ケース3 return p[i-1] + 1; }else if(s[i-1] + 2 < x && x <= 2*s[i-1] + 2){ //ケース4 return p[i-1] + 1 + f(i-1, x-(s[i-1]+2)); }else{ //x == 2*s[n-1] + 3(ケース5) return p[i]; } } int main() { cin>>N>>X; // 各レベルの層の総数と含まれるパティの数を計算 s[0] = 1; p[0] = 1; REP(i,1,N+1) s[i] = 2*s[i-1] + 3; REP(i,1,N+1) p[i] = 2*p[i-1] + 1; cout<<f(N, X)<<endl; return 0; }
コンテスト中の思考(失敗)
- レベルが決まれば、パティの数が求められることとその式については気づいていた。
- レベルiにおけるバーガーの層の総数を式で表すことは思いつかなかった。
- iを増やしながら実験をして、何かルールがないか探していた。
- 反省:再帰構造が見え見えだったので、それを利用してもっと愚直な実装を考えてい見るべきだった。
Treasure2018の記録
はじめに
VOYAGE GROUPの夏のインターンTreasure2018に参加して来ました。Treasureを通して自分には経験をアウトプットすることがもっと必要だと思ったので、まずはインターンでの経験を書き残すため、1年以上前から更新が止まっているこのブログを復活させてみようと思います。インターンの内容自体は、他の人が結構書いているので、個人的な部分をピンポイントで書きます。
参加動機
はじめに、自分は地方の大学で情報系を専攻している修士1年の学生です。博士課程に進む予定はなく就職するつもりです。ただし、仕事でもプログラミングによるものづくりやコンピュータ・サイエンスに関わりたいという思いはあるものの、その就職先として、大きく分けてもメーカーやSIer、Web等と進む方向を決めきれずにいました。特にWeb業界を進路の選択肢として本気で意識しだしたのはここ半年程度です。それまでは、メーカーやSIerがメインで、Webについては具体的なイメージが湧いてませんでした。また、業務内容や企業文化など、新卒として自分が働くときどのようなものが相性がいいのかがイメージできていなかったため、夏のインターンシップでは、大手のSIerとベンチャーっぽいWeb系の企業のある意味正反対(のように見える)の組織を自分の目で見て、その経験を進路を考えるための材料にしようという狙いがありました。もちろん、インターンでスキルを上げたいという思いもありましたが、モチベーションとしてはこちらのほうが大きかったように思います。
Web系のインターン先としてVOYAGE GROUPのTreasureに応募した理由は大きく3つです。
1つ目は、技術力的な成長です。これまである程度プログラミング経験があり、動くものを作ることはできます。ただ、いつまでたっても「とりあえず動く」というレベルを脱することができていないような気がしていました。今考えると何を学ぶべきかわからないという状態だったのかもしれません。この一年くらいは技術的な成長の実感を感じることも少なく、そのような停滞を突破するきっかけを探していました。過去の参加者の話などから、Treasureならばそのきっかけになるのではないかと思っていました。
2つ目は、インターンに一緒に参加する同世代の優秀な学生の人たちと話して、彼らの考えを聞きたいと思っていたからです。これは地方に住んでいる学生にありがちなことだと思いますが、プログラムを書いている同世代の人間が周りにおらず、技術的な話題や将来について真剣に話す機会が極端に少ないです。都心の企業でお金を受け取ってコードを書いている学生たちは自分にとっては、雲の上のような存在で、実際のところ彼らがどんなんことを考えているのかは、想像するしかありませんでした。
最後の理由は、VOYAGE GROUPの中の人達と話してみたかったということです。会社が配信しているポットキャスト「ajitofm」を以前から聞いていおり、「この人たちと話してみたい」という憧れのような気持ちと、なんとなく「この人たちなら自分の質問にも真剣に答えてくれそう」という思いがありました。
講義内容
インターン期間の最初の3分の2は座学中心の講義で、残りがチーム開発です。
Treasure参加前の自分の経験としては、競プロやiOS、Unity、 組込みなどが中心で、Web開発の経験は簡単なAPIサーバ(mainファイル1つのみで完結)程度だったので、講義で学ぶ内容はどれも新鮮で学びの多いものでした。具体的には、Golang、TDD、フロント(React)、APIの設計、セキュリティ、データベース(モデリング)、チーム開発手法(アジャイル)、アイデアの出し方、等です。どの講義も非常に濃い内容でまだ消化しきれていないくらいなのですが、現状で特に印象にの残っているものを2つ挙げます。(強調しておきたいのは、他の講義で学んだことが少ないという意味でないということです。どの講義も学んだことが多すぎて、それらをまとまった文章を書く自信がないので、ほんの一部書きやすい印象的なエピソードを抽出しています。)
まず、フロントエンドの講義。自分はWebのフロントエンドどころか、jQueryも触ったことがありませんでした。「HTMLとCSS、JSは読めなくはない」くらいの事前知識でした。そんな状態だったので、講義を受け終わったあとは10数年くらい未来にタイムスリップしたような感覚でした。フロントエンドには興味があまりなかったのですが、フロント側のstateの管理などが案外面白そうで興味が湧いてきたのと同時に、やはり見た目が変わるインパクトが楽しく勉強してみたくなりました。
次に、API設計の講義について。ここで得た知識は、後半のチーム開発で最も生かされた内容かもしれません。過去に自分がPHPやGoで作った簡単なAPIは、エンドポイントのURIは操作自体の名称を使用して、ほぼ全てGETメソッドでやっていました。具体的には「GET /api/addUser」、「GET /api/deleteUser」などです。本当にひどいですね。このへんが、まさに先に述べた「とりあえず動く」状態というのが最もよく現れている部分です。講義で学んだような、リソースを中心にそれに対する操作ベースで考えるAPI設計は、多くのAPIが必要な後半の開発でも非常に見通しが良くなり、開発しやすかったです。
すべての講義を通して、講師やTAの方のサポートが圧倒的で、こちらが驚くくらい丁寧に質問に答えてもらえました。そのおかげで、自分の知識が薄い部分についても、ついて行けなくなるようなことはなく、理解しながら講義を聞くことができました。
チーム開発
自分たちが作るサービスを考えるパートは、途中まではわりと順調に進み、初日の夕方には作るサービスが一つ決まりました。アイデアが一旦決まってみんなで食事に行ったあと、どうしても先程までの自分たちのアイデアが既存サービスと同じに見えてしまい、それを正直にチームメンバーに言いました。ほとんど決まったものに対していまさらちゃぶ台を返すようなことをやるのかどうかはかなり悩みましたが、ここで言わないと途中で作る意味を見失ってしまいそうな気がしたので伝えました。その後、予定の時間をかなり延長してアイデアを再考しました。結局、アイデアの中心的な部分が大きく変わることはなかったのですが、この議論を通して納得感を持って開発をスタートすることができました。
開発パートでは、最初期でフロントエンド担当のメンバーが見た目のモックを作ってくれました。完成イメージが明確になることで、作るモチベーションが上がったのと同時に、実装のイメージも具体的になって設計もすぐに考え始めることができました。過去のチーム開発でデザインができる人がいた経験はほとんどなかったので、このような開発初期段階でのスピード感は初体験でした。
また反省点としては、APIの変更を曖昧にしたまま進めることがあったことです。最初の大まかな設計が決まった段階で、APIの仕様を決めてwikiにまとめてからフロントエンドとバックエンドに別れて開発をスタートしました。開発の途中で、実装面の問題からAPIの仕様が微妙に変更になることが多々ありました。その場合、口頭で伝えて実装してしまってからwikiを修正するよなことが多かったです。このような流れでやっていると、wikiにかかれていることと実際に動いている実装が異なっている場面が多くなり、そのズレが蓄積してコードが機能しなくなり修正に余計な時間を取られることが何度かありました。おそらく、多少時間を使っても、全員の共通意識としてのwikiをしっかり修正してから実装するという手順を守る方が、全体としての開発スピードは落ちなかったような気がします。
個人的にはとてもいいチームメンバーに恵まれました。前半の期間で話したことがある人もない人もいましたが、どちらもチーム開発での関わりの中で、技術的な部分ではもちろん、人間的に尊敬したいと思える部分が数多く発見できました。真似できる部分は真似して、自分の行動方針に取り入れて行きたいと思います。
終わりに
3週間のインターンは本当にあっという間でした。毎日の密度が非常に濃く、新しく学んだことを必死に理解しようとしていたら終わっていました。内容が本当に盛りだくさんだったので、消化しきれていないことも多いです。正直、「圧倒的成長」できているのかはわからないですし、実際そのようになれるかは、この消化不良感に目を背けずに自分で学びを進める必要があると思います。これまでの自分だと、この圧倒的成長した「感覚」の満足感で止まりがちだった気がしますが、Treasureの期間で一緒だったみんなの技術へ取り組む姿勢を見ていると、とても満足できなくなりました。
成長の実感があまりないと書きましたが、いまの時点でひとつだけ成長を実感していることがあります。Treasure直前に、軽く「Real World HTTP」という本に目を通していました。正直そのときは、目から入る情報がそのまま頭を抜けていく感じでした。しかしTreasure終了後に同じ本の目次を見てみると、景色が変わっていました。各項目がインターン中に解決しきれなかった疑問に答えてくれているような内容に感じられ、読むときの吸収率が桁違いになっていました。同様にTreasureでの経験をきかっけに吸収しやすくなっていることがまだまだありそうなので、そのあたりを突破口に進んで行きたいです。
組み込みOS(第7回)
ステップ7の内容
割り込み処理を実装する。前回までのシリアル入力の受取りはビジー・ループによって行われていたが、今回はシリアル割り込み処理によるものに変更する。
割り込み入力ピン
部割り込みに対しては、ピンへの入力によって割り込みハンドラを呼び出す。
ピンの数が外部からの割り込み出力の種類より多い場合はそれぞれのコントローラにピンを割り当てればよい。しかし、ピンが1つしかない場合は、複数のコントローラの出力のORをピンへの入力とし、各コントローラの持つ割り込み関連のレジスタを、ハンドラ内で調べて処理を変更する。
割り込みコントローラ
複数の出力をOR論理で結合してピンに伝えるが、それぞれの割り込みの優先度などの制御ができる。
割り込み処理の流れ
割り込みが発生すると、プログラムカウンタの値を、割り込みベクタに登録してある割り込みハンドラへのアドレスに書き換える。
このとき、もとのプログラムカウンタの値は自動的にスタックや専用レジスタに保存される。(保存先はCPUによってことなる。)同時に、モード・レジスタの値も保存され、自動的にモード・レジスタの設定は割り込み禁止に変更される。
割り込みハンドラの最後では、プログラム・カウンタとモード・レジスタの状態を復帰させる処理を行う。
H8の仕様
PCとCCRの保存先
割り込みが発生した時の、プログラム・カウンタとCCRの保存先は、スタック・ポインタ(PC)のER7レジスタになる。ER7の指す先のアドレスの上位1バイトにCCR、下位3バイトにPCの値が格納される。
割り込み復帰方法
プログラム・カウンタとCCRの値を復旧させるrte命令を、割り込みハンドラの最後で呼び出す。
インライン・アセンブラ
C援護のプログラムの中で、アセンブラを記述るためのもの。
今回は、ブートローダのプログラム中でCCRを操作するために使用する。
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組み込みOS(第6回)
ステップ6の内容
前回ステップで、転送したELF形式ファイルを解析し、セグメント情報を読み取り、とりあえず内容を表示することだけはできた。今回のステップでは、読み取った情報をもとに、ファイル内容ををRAM上にコピーし、エントリーポイントに処理を渡すプログラムを実装する。
エントリ・ポイント
実行を開始するアドレスのこと。ELFヘッダの中には、エントリ・ポイントを保持するために割り当てられた領域がある。
関数へのポインタ
ELF形式ファイルから読み取ったエントリポイントのアドレスは、関数へのポインタとして変数に持っておく。関数へのポインタ f は次のように宣言できるらしい。
[返り値の型] (*f)( [引数] );
コード中に次のように書くと、f にポインタが渡されている関数が呼び出される。
f([引数]);
疑問点
runコマンドの動作
ブート・ローダのrunコマンドは、1回目は必ず失敗する。2回目はうまくいく。
理由はわからなかった。
アドレスを表示させてみたところ、一度目のコマンド実行時は、エントリーポイントのアドレスが0になっているが、2度目は正常にアドレスが入っている。しかし、1回目と2回目のコマンド実行の間に何か処理が入っているわけではないので、原因がわからない。
OS側のmain関数
OSのコマンド”exit”で、os側のmain関数はreturn されるが、その後の処理がどこに渡されるかがわからない。書籍のままのコードだとexitにあとフリーズする。これはおそらくリンカ・スクリプトの無限ループのため、この部分を丸々削除するとブート・ローダに処理が戻るはずだと考えた。しかし実際は、1回目のexitコマンドでは再びOSが起動し、2回目はブート・ローダに処理が戻った。原因が特定できなかった。
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