アトピー性皮膚炎に見る北風と太陽

 俺はアトピー性皮膚炎持ちだ。それと関係があるのかどうかは知らないが、腹も弱い。ちょっと食いすぎたり、腹を冷やしたりすればすぐに下腹が痛くなってトイレに行きたくなる。だから飯を食う時はゆっくり咀嚼しなければならないし、腹に入れるものはできるだけ温めるようにする。同様に寒い日は外気から身を守ることも大切だ。体を冷やせば腹も冷え、その中の内臓も冷えてしまう。

 だが、アトピー持ちの人間はあまり服を着こむことをよしとしない(俺だけかもしれないが)。服の繊維が皮膚に触れて敏感肌が悲鳴をあげるからだ。これは皮膚に実害が出るというよりは単純に嫌悪感の問題で、肌触りのなめらかな綿生地の場合、いくらかましになる。ザラついたり、チクチクする生地は最悪だ。そういったものは着るのを想像するだけで鳥肌が立ってくる。

 以上の点から寒い日に服を着こまず内臓を冷やしてしまう。俺は過去に何度もその失敗を犯し、腹を下している。寒いことも腹を下すことも気分のいいものではないが、アトピーによる敏感肌のために半ば惰性的にそれを繰り返す羽目になった。最近はそういうケースも減っている。理由はアトピーの症状が良くなってきて、寒い日に服を着こむ労力をいとわなくなったからだ。

 アトピーの症状が良くなったのはアトピーの症状を良くする労力をいとわなくなったからだ。毎日風呂に入って風呂上りに薬を全身につけて汗をかけば別途シャワーを浴び、極力肌を清潔にして刺激を与えないようにしていたおかげで、そうしなかった以前よりもずっと良くなった。完治したわけではないが、寒い日には厚着しようと思う程度には落ち着いた。

 アトピーや胃腸が弱いというのは虚弱体質の人間にありがちなワードだと思うが、俺の場合、アトピーが胃腸の弱さを助長していたことになる。もちろん寒い日に服を着こむようになったからといって胃腸がすっかり良くなったわけではないが、腹を下す一つの要因を潰せたのは間違いない。