前書き

1 前書き

 先日、なんとなく本屋で手に取った綾屋紗月箸『発達障害当事者研究』を読んで、僕はいたく感激した。この本は、アスペルガー症候群の当事者である著者が、自分自身の障害について詳述し、分析するというものだ。構成や文体から、著者はかなり精密に論理立てて考えるタイプだと思われ、内容もとても明晰だった。

 

発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい (シリーズ ケアをひらく)

発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい (シリーズ ケアをひらく)

 

 

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1. フラッシュバック

1.「フラッシュバック?」

 僕は、フラッシュバックのような現象をしばしば経験する。

 一般には、フラッシュバックというのは、ショッキングな出来事の記憶を鮮明な映像とともに思い出す現象として知られるている。PTSDの人がこの現象にさいなまれるようだが、調べてみると、アスペルガー症候群などの発達障害の人でも起こすそうだ。その場合のフラッシュバックはPTSDの場合と似ているが相違点もあるそうで、「タイムスリップ現象」と呼ばれるらしい。僕の経験しているものも、きっとここに分類されるものかもしれないが、一応、僕なりにこの現象について分析してみようと思う。

 そこで、この現象をフラッシュバックみたいな現象ということで「フラッシュバック?」と名付け、以降記述してゆくことにする。

 

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2. 考えごと

 僕が生活するなかで最もさいなまれる現象が、考えごとだ。これは、文字通り、ただ考え事をしてしまうというものだが、おそらくは「フラッシュバック?」と同じ類のものだと僕は考えている。思うに、両者はグラーデションをなしている。

 

 

2.1考え事の内容

 考え事の内容は特にこれといって決まってないが、悩み事があると優先的にそれになり、しばしば鬱な気持ちを伴う。悩み事がない場合は、自由に考え事をするが、抽象的な事柄が多い。具体的には、思想、社会、言語といった人文分野が多いように感じる。

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3. 不注意・衝動性・多動性

 

3.1. 不注意・衝動性・多動性

 「鬱な気分になったり悩み事ばかり考えてしまって学校を休んでしまう」ということの次に困りものなのが、不注意・衝動性・多動性といったADHDに特徴的な障害だ。ただ、幸い僕はまだ学生で就職していないこともあってか、そこまで障害に困っていない。とはいえ心を病んだきっかけはモロに不注意であった(後述)わけで、人生を壊すほどの障害が僕の中に存在していることは確かである。本章では、ADHD的な僕の傾向について列挙し、そのうえで考察をくわえることにする。

 

<忘れ物>

 忘れ物・落し物の類いは大得意だ。飲んだ後の居酒屋に物を忘れる/財布・スマホを落とす/ツタヤの返却を忘れる/バイトの持ち物を家に忘れる・・・枚挙にいとまがない。こういった忘れ物には、地道に対策を講じることしかない。

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4. ADHD的な症状に対する対策

 4.1. ADHD的な症状に対する対策

 前の項目では、僕のADHDとしての特性が強い症状について記述・考察した。このページでは、そうした症状に対してどんな方法で僕が対策しているかを説明しようと思う。もちろん、色々と工夫はしているものの、一般の人に比べて著しく能力は低い。

 

<対策のリストを冷蔵庫に貼る>

 僕は、こうした自分の欠陥についていくつかの対策を実践しているが、習慣として定着しているか微妙なものも多い。また、症状もその時々で変わっていく以上、対策も試行錯誤を一生繰り返していくしかないだろう。そんな訳で、時々加筆修正を加えつつ、対策を忘れないように冷蔵庫に貼ってある。これ自体が、対策を心に留めておくためのひとつの対策になっている。

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