ぱみっぷ@ポエム

ちょくちょく描いた絵などを投稿していくつもりです

【図書室の君は梅の味】第六章

こっち来てと言われて手をつかまれた。

 

私も引っ張られるがままについて行った。

 

。。。

「もぅ、わかるだろ?」

「た…ぶん…」

顔が熱い。鼓動が波打ちすぎて胸が痛い。きゅうってなる。

「あのさ…おれ、お前のこと好きなんだよね。」

「。。。ホント?ホントに…?」

 

「ほんとにほんと。」

熱い。顔が熱い。

「…私も…」

彼がひょろひょろと床にしゃがみ込んだ。

「…うれしい、うれしすぎて笑える。」

私はそんな彼を見て、笑った。

 

「実をいうと」

凌が口を開いた。

「ほんとは…さ、引っ越す前からお前のこと好きだった。」

 

愕きを隠せずに、でも嬉しくてまた、私は笑った。

【図書室の君は梅の味】第五章

帰りの予鈴がなる。

私は少し急ぎ足で。なおかつ走らないで、図書室に向かった。

ガラっとドアを開けたその先には…――――――

あれ、と思ったその瞬間不安が一気に襲いかかってきた。

また…またあの時みたいに急にどこかに行くんじゃないのか?と。

(探しに行こう!!)

そう思ったのに

「さぁ!始めよう!ささ、すわれすわれ。」

と、先生の甲高い声が耳に響いた。

「先生、凌は?」

焦りを隠しながら聞く。

「え?あぁ、駒井なら今お腹痛いとか言って帰ってったぞ。」

焦りがほどけてもぅ、という気持ちになる。

「今日は数学な!」

「はーい…( ´△`)」

 

 

――――――今日の補修は凄く長く感じた。

 

疲れた。今日はちっとも楽しくなかった。

そう思いながら靴箱に向かうと。

「よぉ。」

靴箱に寄りかかってこちらをちらっと見る凌がいた。

「な…にしてんの?帰ったんじゃ。。。」

何が何だかわからなかった。

「…ん―――――、…おまえ待ってた。」

「。。。え、なんで。。。」

「なんでだと思う?」

 

凌の顔が赤くなってきているのがわかった。

私も徐々に赤くなってきているのが、自分でもわかった。

【図書室の君は梅の味】第四章

私は彼の隣の隣の席についた。

…ホントは隣に座りたいけど!!!

しんと静まり返る図書室はさみしかった。

「なんか話してよ。」

「なんかって何をだよ?」

彼のことだから無視するのかと思ったら。

(もー、こーゆーところが嫌い――。ただ単に性格悪ならまだ好きにならないのにっ)

話すお題が見つからなかったので、強引に

「あ!ね、ココってどう解くの?」

「ん?…あー、そっか。俺のほうが頭いいから教えられるかもしんねーもんな(笑)」

「そーだよ!そうそう(棒読み)」

ズイッと教えてもらう体制に入り、即座に横にすわってやった。

(やった!)

「ここを、こーして定理を出してくるだろ?」

「ほぅほぅ。。。あ!!!そっかぁ、わかったーーーー!」

シャーペンがすらすらと動く。

「こーでしょ!」

「…違うだろ。。。…おまえってどんだけバカなんだ」

「バカって、しつれーな!!」

凌の笑うとこみたの、久しぶり…

笑いがおさまった様子の凌は急に頬を赤らめていうのだった。

「…おまえって彼氏とかいんの?」

「え、いないけど。…なんで?」

ちょっと!期待してしまう、そんな声音で言われたら。自惚れてしまう。

「…ばぁか、自分で考えろ。」

こつん。と頭を人差し指でつつかれた。

これって…

 

少しだけ。少しだけだから、自惚れてもいいですか?

【図書室の君は梅の味】第三章

今日からスタートする補習教室は、不安とそれからまた会えるっていう期待とが入り混じって変な感じだった。

図書室のドアを開けると――――――…

彼が座って問題を解いている所だった。

「…先生は…?」

ちらっと目だけでこちらを向いた彼のそのそぶりにいちいちドキドキしてる自分が恥ずかしくなった。

「職員会議だから後で来る…らしいけど。」

「そ…っか。」

心のどこかにもっと話したいっていうわがままな私がいた。

昨日のことを思い出すとにやけてしまう…が嫌ではないこの感覚

 

―――――彼は、幼馴染だった。

私たち3人はずっとずっと、一緒にいた。

翔と凌と私で。翔が一番最初にアメリカに勉強をしに行った。

――――そして事故で亡くなった。

凌が親の離婚で神奈川に行った。

それから、ずっと会えなくて、でも楽しかった日を忘れたことはなかった。

 

そして今日にいたる。

私が最初気づかなかったのは多分名字だろう。

声も変わっていたし…

 

 

 

 

そして、今その彼に好意を抱いているのには間違いない。

 

 

【図書室の君は梅の味】第二章

 

 

このひと、どこかで見た覚えがあるような気がする。どこか懐かしい気がする。

「何見てんだよ。」

いつの間にか、彼に向ける視線が怒っている視線と化していたのだ。

「見てないし!!」

心なしか声が大きくなった。

「てか、なんで一緒に帰ってんの!」

「今気づくの?おせ~(笑)」

んま!!なんて子!!

ふと、ケータイの着信音らしきものがなった。

「あ、俺のか。」

どうやらメールだったらしく、打ち返している。

…と彼のケータイについた熊のキーホルダーが目に入った。

「…それ」

ん?と顔をしかめた彼だったがすぐに察したらしく、

「これ、覚えてる?」

あれは。私も持ってる。今でもケータイにつるしている。もう布がよれよれで。

でも、もってる。

そう。これを持っているのは…。

 

 

…幼馴染の私と、翔(かける)と凌だけ。

 

 

【図書室の君は梅の味】第一章

 

 

 私、長瀬星七はすこし緊張しながら図書室に向かった。それは、先生に呼び出されているからである。私は成績があまりいいほうではないのだ。緊張しながらドアノブを握った。

「先生…、なにーー?」

声が一音もずれることもなく…かぶった。

斜め後ろを見上げると。背の高い栗色の髪の毛をした男の子がいた。

なんとなく、ここにいるのが迷惑っぽく思えたのでそっと横によけた。

…と、そこで本題を思いだした。

「…おまえらなー…どうやったらこの点数が取れる!?」

参ったような顔で私たちを見る。

彼はクスリと笑う。

「え…」

「せんせ~、でも俺の点数のほうがいいよ」

「…なんっ」

初対面なのになんてひと!!ちょっとムッとした。

…が真実なので言い返せない。

「せんせー、俺たち補習決定?」

「…わかってるなら勉強しろ」

そして今日からあわただしい毎日が始まるのである。

 

―――――――――続く――――――――――