半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

5822 教師に「公」を強制するな

雑記帳(ノート)にいろいろなことを書いています。

書いている内容はこんなことです。

・学級通信のネタ

・学年経営の方針

・行事の構想

・道徳授業プラン

・新聞の切り抜き

・雑誌の切り抜き

・読んだ本にあった気に入った文や言葉

セミナーや講演会のメモ など。

2001年から現在まで28冊のノートを使っています。

さて,14冊目(2014年)にプロ教師の会代表である諏訪哲二さんの「プロ教師の流儀」(中公新書ラクレ)を読んだメモを書いていました。

 

〈引用始まり〉

教師に「公」を強制するな。教師のひとり一人に関する出来事や事件などの場合,「公」としての「教師」という一般性だけで論じたり批判したりするのはデリカシーを欠き,不合理である。

一律に「公」としての「教師」として論じることは止めなくてはならない。

世論と風潮は教師たちの心を縛り,精神的に委縮させ,教育力を阻害するだけである。

〈引用終わり〉

あまりにも「公」を強制しすぎると教師ひとり一人の意欲が低下します。いろいろ上から言われるから,これぐらいでいいかという気持ちになるのです。面倒くさくなるのです。

教師の「公」と「私」のバランス感覚が大切のです。

 

閑話休題

諏訪さんは「たかが教師に何ができるか」というタイトルの本も書いています。私は,退職するまで,心の隅っこにいつもこの言葉を置いていいました。これは,非常勤講師になった今も同じです。

「たかが教師」と考えると肩が軽くなることも多かったです。

 

 

5821 やる気が出るひとこと

今日の2・3時間目は,体育大会の全体練習がありました。

この歳になると長時間の立ちっぱなしがとてもつらいです。

非常勤講師ですから,全面的に指導するわけではありません。必要であれば指導したり協力したりするという立ち位置です。

さて,2時間の全体練習が終わり帰宅しようとしていたら,2年生のひとりの女子が近寄ってきて,

「先生,帰らないでください」と言ってきました。

「どうして」とたずねると,

「午後も社会科の授業をしてほしいからです」

と言いました。

何とうれしい一言でしょうか。

この一言で,疲れがどこかへとんでいってしまいました。

教師は,生徒からやる気と元気をもらえる素敵な仕事なんです。

 

 

 

 

5820 6700兆円

15月5日の読売新聞「あすへの考」に東京大学教授の香坂玲さんの話が掲載されていました。

香坂さんの専門は森林環境資源科学だそうです。

さて,この文をノートにメモしました。

 

〈引用始まり〉

自然を維持するにはお金がかかりますが,自然をひとたび壊してしまえば,その損失は維持にかかるお金よりもはるかに大きなものとなります。実際,2020年の世界経済フォーラムの試算では世界の国内総生産GDP)の半分以上にあたる44兆ドル(6700兆円)が,水や森林などの自然資本に強く依存しています。

〈引用終わり〉

「読売新聞(2024年5月5日)

 

10年以上まえから散歩をしていますが,いくつかの変化に気づきます。

1つは,田んぼがどんどんなくなり,アパートが建っていることです。

2つは,空き家がどんどん増えて,敷地や中に草などが鬱蒼と生えていることです。

3つは,木が伐採されて,ソーラーパネルがつくられていることです。

 

脚本家の倉本聰さんは,こんなことを言っています。

〈引用始まり〉

自然保護。この言葉には人間の傲慢な姿勢が見える。人間は元は言えば,自然の一部でしかない。その自然を保護するとは何たることか。人間は自然の軒先を借りて生きているにすぎない。

〈引用終わり〉

「別冊 山と渓谷社 倉本聰の世界」(山と渓谷社 1993年12月)

 

この言葉を舞台「ニングル」で訴えたかったと思います。

自然の大切さは,6700兆円という金額ではないのです。

 

 

 

 

 

5819 柏餅は「共用品」

今日は,子どもの日です。

子どもの日と聞いて連想するのは,こいのぼり,武者人形,そして柏餅です。

あんこ好きの私にとって,スーパーやコンビニに並べられている柏餅はとても魅力的です。

さて,この柏餅には,こんな工夫があることを知っていますか。

もともと柏餅の中のあんは,小豆と味噌の2種類あったそうです。

できあがった餅を柏の葉で包むと中のあんがどっちかわかりません。

そこで,小豆が入った餅は,柏の葉の表(つるつるしたほう)を外側にして包みます。

逆に,味噌が入った餅は裏(ざらざらしたほう)を外側にして包みます。

つまり,見た目で餅の中身がわかるように工夫しているのです。

現在は,こしあん粒あんというパターンもあるそうです。

この工夫は,室町時代に始まったと言われてます。

こういった商品を「共用品」と言います。(カタカナでアクセシブルデザイン)

他には,牛乳パックの上部が半月形に切り取られていたりシャンプーの横やプッシュする部分の上部にギザギザがついていたりします。

また,右利きと左利き両方の人が使いやすいトランプもあります。

従来のデザインでは使えない(使いにくい)人がいるため,それを改善するためにデザインを工夫されているのです。

こんな工夫を日本人は室町時代からしていることに驚きます。

子どもの日に,子どもと一緒に柏餅を食べながらこんな話をしてみてはどうでしょうか。

「共用品」については,「アクセシブルデザイン」(星川安之 岩波ブックレット)や「共用品という思想」(星川安之 後藤芳一 岩波書店)などを参考にされてください。

 

 

 

5818 海を見に行く

ゴールデンウィークですが,いつもと同じ生活をしています。

同じ時間に起きて,新聞を読みながらコーヒーを飲みます。

新聞を読みながら,気になった文や言葉があればノートに書きだします。

今日がいつもと違ったのは,朝から港へ行って海の写真を撮ったということです。

こんなふうに,たまに海を見たくなることがあります。

毎日,同じような生活をしていますが,時折,小さな非日常を体験したくなるのです。

大きな船がとまっていたので,3枚ほど写真を撮りました。

写真を撮りながら,この船で働いている人たちにもそれぞれの人生があるんだろうなと思いました。

今日は気温が26℃まで上がるそうです。

 

 

 

 

 

5817 1か月経過した学級は?

横浜で初任者指導をされている野中信行先生から「野中通信」の最新号をいただきました。

8号~11号まで「学級の荒れ」について書かれています。

今回もいろいろなことを学び,いろいろなことを再確認しました。

新年度が始まり1か月が経過しました。学級の様子はどうでしょうか。

4月の約束事がしっかり守られていますか。

時間(時刻)通りに授業が始まり,終わっていますか。

授業中に生徒の笑顔が見れますか。

教師の指示がきちんと通っていますか。

給食の準備が短時間で終わっていますか。

生徒だけで朝の会がきちんとできていますか。

教室にさわやかな笑い声が広がりますか。

何より,教室に居心地の良い空気ができていますか。

これらができていないと,ゴールデンウィーク明けに崩れてしまう可能性があります。

1か月間の自分の実践をしっかりと見つめて,できていることできていないことを明確にしておく必要があります。

4月の約束事を教師自身が忘れたり,指導の軸がぶれていないかチェックしましょう。

まだ,間に合います。

このゴールデンウィークの後半は,しっかりと休みましょう。

しかし,1日ぐらいは学級経営のチェックをしておくほうがいいと思います。

 

最後に11号で野中先生が書かれていた,学級の荒れに対する助言を引用しておきますので,是非,参考にしてください。

 

〈引用始まり〉

① 「学級で問題を起 こしているやんちゃな子への対応は、もうそこそこにして
とりあえず放置 しておきなさい。やっても効果はないか ら。
どうしても授業の邪魔をするようだったら学校 として対応するから」
② (組織の法則 「2:6:2の 法則」を説明してから)「 そんなことより、学級の中の
真面 目な子供たちが今はじっと座っている状態だろうから、その子たちへ向けての働
きかけをしなさい !」
③ 「ベク トルの向きをやんちゃな子たちから真面 目派の子供たちへ向け直 しなさい」
⑤ 「先生がすべきことは
 ア 子供たちの前では毅然 としていること (笑顔で対応できた らもっと良い)
 イ 先生が出した方針は、ころころ変えないで一貫性を持たせ ること
 ウ 真面 目派の子供たちが、先生の指示に素早 く対応できるようになったらどんどん褒め、認める言葉かけをしなさい
 工 授業では、どんどんフォローを出すこと
 オ ポイン トは、時間のこと。学級のスピー ドを上げること。

 
荒れてくると、スピー ドがなくなるか ら、素早 く活動できるように
意識すること。授業の時間、掃除の時間、給食の時間などきちんと守って
いくこと。

〈引用終わり〉

野中信行先生のブログはこちらです。

http://nonobu.way-nifty.com/blog/

 

 

 

 

 

5816 こどもの感性

読売新聞の「こども俳句」を毎回楽しみにしています。

子どもの感性に毎回,驚いています。

さて,5月1日の新聞にこんな句が掲載されていました。

 

「チューリップ涙すいこみひかる花」

 

東京都小学6年 諸井康汰さん

 

大型連休の間の3日間でしたから,なかなか疲れましたが,この句で癒されました。

 

5815 思い出がまたひとつ

昨日,山口市内の「文榮堂」本店が4月末日をもって閉店したというニュースが流れました。75年間続いた老舗の書店です。

この書店には,山口大学生の頃,本当にお世話になりました。

大学生のために,ミネルヴァ書房東京大学出版社,明玄書房,大修館書店,白水社などの学術書や専門書,2階には,多数のコミックもありました。

この書店は,山口市内の中心部であるアーケード内にあり,書店の前には,いつも多くの自転車が駐輪されていました。

そのため,書店内にスムーズに入ることができなかったことも懐かしい思い出です。

年を重ねるにつれて,古くて懐かしい思い出がひとつひとつ消えていくのでしょうね。

「文榮堂」書店様,本当にお疲れさまでした。そして,ありがとうございました。



 

 

 

5814 4月の勤務終了

S中学校で非常勤講師として働き始めて,ようやく4月の勤務が終わりました。

2年生の社会科と特別支援学級と3年生のTT授業で週あたり16時間の授業をしています。

2年生の社会科授業もおおよそ軌道にのったと判断しています。

毎朝,必ず2名の女子生徒が自学ノートを提出します。

授業後は,15名程度がノートを提出します。

この学びのモチベーションを継続させるために,全員参加の楽しい授業づくりをしています。

5月は体育大会や市中体会などがあり,落ち着かない日々が続きますが何とか頑張ろうと思います。

 

 

5813 ゲゲゲの謎

アマプラで映画「鬼太郎誕生~ゲゲゲの謎」を見ました。

マンガ「墓場の鬼太郎」の前の話で,太郎の父と母の物語です。

初めは,「犬神家の一族」みたいな展開でしたが,後半は,「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみのバトルがあります。

戦争の哀しみや文明批判のメッセージも込められていると思いました。

https://www.kitaro-tanjo.com/