いまはこんなに

全然意識していなくてもいつの間にか歳を取っている。引きこもりにも誕生日は来る。甲子園球児たちが自分より歳下になったとき、時間がちゃんと流れていることを感じた。出場校に馴染みない高校名が並んでいるのを見てついに世代まで変わったらしいことを知る。ゼロ年代って80.90年代と比べて地味だ。それにもう10年代も終わりかけている。それでもこの期間で野球は着実に進化し続けたらしい。球速とかトレーニングの効率化とか新しいスター選手の登場とか。それに合わせてファン層も変わった。汚い球場で弱い贔屓チームに泥酔しながら野次ったり試合そっちのけでガラガラの応援席に寝そべったりしていた愛すべきおっさんたち。彼らはいつのまにか消えてしまった。というか時代がそんなおっさんたちを愛すべき存在では無くした。選手たちは高齢化したけれど、昔と違ってみんな模範的で優しいお父さんみたいに善良だ。野球そのものが啓蒙されて近代化したともいえる。取り残された者が老害扱いされるのが昨今。そんな元おっさんたちに日曜の朝だけ張本と金田が優しく寄り添っている。中島みゆきが歌う「時代」がサンモニのBGMに相応しいと俺は思う。

22歳のリアル

4日引きこもった。晩飯だけは食べた。あと洗濯。残りは寝てテレビ見てまた寝るの繰り返し。スイッチが切れるって言葉はこんな感じのことを指して言うのだろうか。いままでやる気を出して何かに取り組んでいる期間の方が短いのではないか。部活もバイトも試験勉強もなんでも最初のほうだけちょろっと主体的に取り組む。そして放り出すという意識がなくいつのまにか辞めてしまう。まさしくスイッチが切れて無感覚になってしまう。むしろ最近は何か始めることになってももう始めからやる気出す気もない。後で揺り戻しが来て無気力になるの知っているから。就職についても、やる気出すまいやる気出すまいと思いながら仕事に邁進したい。頼むからそれでなんとかなる職場であれ。今日内定先から連絡が来たとき俺はスマホで麻雀していた。

猪木の肖像

資格試験の申し込みに顔写真が必要になった。最近まで就活してたからES(履歴書)に貼る用の顔写真が余ってたから使おうと思っていた。が、顔のサイズが3.2mm以上の顔写真じゃないといけないらしい。1mm足らず。たった1mmのために700円かけて写真を取り直した。俺はもう取り直しをしたくなかった。前ににじり寄る。ギリギリまで屈む。顔をカメラに近付ける。パシャッ。そこにはやたら顔がデカイ人になった自分が写っていた。きっと試験中、試験監督官が受験生の顔と受験票の顔写真を見比べて替玉受験がないか確認すると思うが「こいつ撮影のとき前に寄り過ぎだろ、まあ馬鹿なんだな」という印象が暫く残るくらいにはデカイ顔である。話しは飛ぶが、もしかしたら俺に息子が出来たらこの写真を見る機会があるかもしれない。「うちの親、証明写真もまともに撮れないくせに偉そうにして僕を躾けていたんだ」ぐらいは思うかもしれない。そのように考えると証明写真ひとつ、気を抜くとどのような不利益を被るか分からない。風が吹いて問屋が儲かるという格言は、人の感情変化の機微についても言い得て妙である。まあ実際のところは、試験にせよ躾けにせよ、顔写真一枚で結果が左右されるのなら、もう初めから物事の負けは確定してしまっているとも言える。泰然自若に物事に取り組むという、迷わずいけよ行けば分かるさの精神が物事に臨むときには大切となる。顔がデカイ人になっても怯まない心、すなわち猪木ボンバイエの精神である。

An alien on the planet

大学の単位取得に手こずる。講義にでてないからだ、当たり前だ。どうも夜型の生活に慣れているのが原因だろうと思い、早寝早起きを実践したりもした。健やかな気分で目覚めた。真夏の陽気を全身に浴びた。午前に活動できるという、いつもより長くなった1日に嬉しくなる。そして俺は満ち足りた気分で二度寝する。さて来学期の(今季はギブ)再々々々履修(もっと酷いかもしれない)の語学ではついに一年生と講義を受けることになった(最悪だ)。語学は少人数制。それに外国語でのコミュニケーションが必須。拙い外国語を駆使しての謎会話、単位評価に直結しているので嫌々取り組む。毎度思うが当該国のお笑い番組で定番コーナーができるくらいには、あの場での会話は面白いだろう。さんまのスーパーからくりテレビにおけるボビー・オロゴンらの話芸には笑ったものだ。英語教育への悪態、本音はこちらが4年という事実が恥ずかしいだけ。さんまの~の話題を出しても番組自体を知らないかもしれないその世代差に辛さも感じる。。しかし向こう側の1年生は俺が歳食ってることにばっちり気付いてしまうのだろう。4年生には自分が4年生だということが相手に分かってしまう、言ってみれば何か特別な雰囲気がある。それは遊び人が勤め人を演じてスーツを着たつもりでも一目で遊び人だとバレるのと一緒だ。「慣れないことなんかしなさんな、お前はお前らしくやればいい……」俺を慰めてくれる屑野郎だが人情に厚いヤクザ役、緩やかに堕落した生活に、身の丈にあった居場所に、俺を匿ってくれる友人はもういない。やつらは留年が確定してしまって最近イカ星人に転職したからだ。俺も手元に金があればNintendoswitchを起動させイカ星人に成っていたと断言できる。金があってもなくても人は落ちぶれると知った。まあ俺は同室の1年生たちから何か異形の生き物が講義に混ざっていると、そんな風に思われるんだろう。決して派手めな格好ではなく遊楽してそうでもないのに単位取得に失敗している地味な

高学年生。不気味だろうな。君達が知らなくても、俺は大学生活の底辺に今迄ひっそり潜んでいたのだ。来期、深海魚星人が水面に浮上する。


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