アホゲがイワシを堪能していると、奥手から一羽の成鳥が近づいて来た。ここは紛うことなくアホゲの縄張りなので、気弱なこの子も強気になる。アオサギはそういう生き物であるらしい。
これ、写真だと伝わらないが、ゆっくりと、本当にゆっくりとこの姿勢を取りつつ前身していて、その所作はさながら能のよう。どうもこれは、互いに華奢な体のアオサギが怪我につながりかねないフィジカルコンタクトを避けつつ、縄張り争いを決着させるためのお作法のようなものであるようだ。
どうも幼いアホゲではこのポーズだけで相手を押し切るには無理があったようで、成鳥がチャレンジを受ける構えをとった。以前にもまだ幼かったアオスケが他の成鳥とこんな風に睨み合った挙句に相手の上を取ってあろうことか踏みつけたことがあったのでちょっと気を揉んだのだが、幸いにもアホゲはこのまま相手をじりじりと押し込んで、遂に根負けした成鳥が飛び去った。アホゲの成長ぶりにちょっと涙腺が緩む。
ヒドリガモも随分と数が減ったが、いささかハブられ気味だったアメリカヒドリがぽつんと一羽で残っていてなんだか寂し気。
食性が被るからか、しばしば見かけるこの光景。意外なことに相争うことはなく互いに無視。