仰のブログ

94年生まれ、都内在住。文学、映画、音楽に給料をつぎ込む。

『ミッドサマー』・『コンビニ人間』が示す、個性を殺して歯車として生きる快適さ

  1936年、チャップリンは『モダンタイムス』で機械文明の恐怖を描いた。労働者の個性は無視され、歯車のように扱われる工場を笑い飛ばしている。


Charlie Chaplin - Modern Times (Trailer)

 

 現代でも社会の歯車になって無個性で生きるのはあまり支持されていない。ひとりひとり個性を活かし、自分らしく生きることこそが幸せだと教えられている。

 

 でも本当にそうなのか。

疑問を持つきっかけとなる作品を2つ紹介する。

※ネタバレ含む

 

 1つ目は2016年出版の『コンビニ人間村田沙耶香著)』。

 主人公は36歳未婚、正社員として就職はせずにコンビニアルバイトを続けて18年。子供の頃から「普通」ではなく、友人も恋人もいない。

 どうすれば普通になれるのかと悩んでいた彼女が学生時代に始めたコンビニバイトで「世界の正常な部品としての私が誕生した」という感触を得る。コンビニ店員に個性はいらない。マニュアルに沿って品出しやレジ打ちを淡々とこなす姿は機械のようだ。「店員」になることで普通の人間として社会とつながる実感を得た。

 しかし一般的な幸せ像とはかけ離れているため周囲からは「結婚しないの?」「なんでアルバイトなの?」と頻繁に聞かれる。「そんな生き方は恥ずかしい」「底辺だ」と言われることすらも。

 迷った彼女はコンビニバイトを辞めて別の生き方を模索するが、結局コンビニバイトに戻ることを決意。迷いや個性を捨て社会の歯車になることが彼女にとっては救いだったのだろう。

 同書は芥川賞を受賞し、2018年には累計100万部を突破した。

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

 

 

  2つ目は2020年2月公開映画の『ミッドサマー(アリアスター監督)』。

 主人公の大学生ダニーは不幸な事故で家族を失くした過去がある。トラウマに苦しむダニーを、彼氏のクリスチャンは重荷に感じており、クリスチャンの男友達らもダニーをうざったく思っていた。

 そんな中、ダニーやクリスチャン、男友達らはスウェーデンの奥地ホルガ村で開催される「夏至祭」に行くことになる。美しい風景と優しい住人にもてなされ上機嫌な一行だが、外界から隔絶されたこの村の異常さにだんだん気がついてくる。グロテスクな風習、失踪する仲間。そして祝祭の本質に気がついた時には完全に手遅れ。男達には最悪な結末が訪れる。

 しかし訳あってダニーは女王として村に迎えられる。ホルガ村の住人は1人の苦しみに全員が共感し寄り添い、決して孤独にさせない。家族を失った悲しみも埋めてくれる。十数人が共に泣き叫ぶ姿はそれぞれ独立した人間ではなく、1つの大きな塊のようだ。

 住人らはダニーに村社会での仕事も与えてくれる。これからは村を持続させるための歯車の一つとなり、役割(生殖マシーン)を淡々とこなすだけ。自分をうざったく思う人もいない。みんな家族。ラストシーンの笑顔が、カルト集団にも見えるこの村がダニーにとっては救いであることを物語っている。


『ミッドサマー』本国ティザー予告(日本語字幕付き)|2020年2月公開

 

 最近はYouTuberやインフルエンサーの活躍により、「自分らしく生きよう!」というメッセージがより広まっている。もちろん個性を伸ばして生きることは素晴らしいが、そんな風潮に疲れてしまった人もたくさんいるだろう。

 今後は上記2作品の様に、歯車の1つとして没個性的に生きる姿に共感する人が増えるかもしれない。

傲慢と善良~婚活に限定されない、現代人にとって普遍的な話~

【はじめに~心に残る小説の特徴~】

 何年たっても心に残っている小説の特徴に、登場人物に自分を重ね合わせられるという点があります(そうでなくても心に残る小説はたくさんありますが)。読み進めるうちに過去の体験が思い起こされて、登場人物の言動に共感できたり、当時はモヤモヤしていてよく分からなかった気持ちが言語化されているような小説です。読み終えると、自分の内面を覗かれたような怖さを感じるとともに、ズバリ言い当てられた爽快感も味わえる。

『傲慢と善良』はまさにそんな小説でした。

【あらすじとテーマ】

 西澤架は30代後半でルックスがよく、仕事でもそれなりに成功。婚活アプリを通じて知り合った坂庭真実と婚約しました。しかしその婚約者が突然姿を消してしまいます。居場所を探すために彼女の実家や以前の職場、学生時代の友人、通っていた結婚相談所を訪れ、様々な視点から浮かび上がる彼女の「過去」と向き合うことになります。

 作者いわく「恋愛小説」だそう。しかし月9的なラブストーリーではなく、恋愛・結婚とは何なのかを架と真実というキャラクターを使ってメタ的に表現した作品です。選び、選ばれるという行為がアプリなどにより昔に比べてより可視化されているから、作者はこれをテーマに書いたんだと思います。

 もう一つのテーマは自立です。進学・就職・結婚などの大事な選択で、決断したのは本当に自分自身なのか。真実の人生を通して語り掛けます。

【主人公の醜い人格が自分と重なる】

 失踪した恋人を追っていくうちに隠されていた過去が明らかになるという構成は、特段新しいものではありません。様々な小説や映画で使われています。明かされる過去も劇的な出来事はありません。ただ、明かされる真実の「傲慢」な人格、主体性を消す「善良」な人格が自分自身と重なり、読んでいて苦しくなります。

 一人の人間の中に住む人格は、意外と多いです。僕は明るいときもあれば暗いときもある。相手によって丁寧に接したりテキトーに接したりする。芸能人のスキャンダルを楽しむ下品な面もあるし、子どもへの虐待ニュースを見て憤る正義感の強い面もある。

 職場の人と話すとき、上京してからできた知り合いと話すとき、学生時代の友人と話すとき、家族と話すとき、それぞれ話し方や振る舞いが若干違います。別に演じているという訳ではなく、どれも自然に出てくる「自分」なんです。

 僕だけでなく、ほとんどの人は様々な人格を無意識のうちに使い分けているはずです。そして多くの人格を持ち合わしている中で、誰しも真実のような(あるいは架のような)人格も飼っていると思います。

 だから真実の過去が明らかになり、真実の姉や結婚相談所の仲人さんが彼女について語る言葉は、そのまま自分に当てはまります。自分の傲慢さ・醜さを丁寧に説明されているよう。極めつけは架の女友達が真実ついて評する場面です。うっかり自分の陰口を聞いてしまったようで心臓が抉られる。しかも全て正論で反論の余地もない。

 このように相当なダメージを受けますが、後半では再生と救いが描かれおり、”ファンタジック”に美しいラストを迎えます。読み終えたときには爽やかな気持ちになりました。

【すごい点~目から鱗の婚活論~】

 現代の婚活・恋活への取材量が尋常でありません。結婚相談所やアプリ、街コンなどのツールの解説に留まらず、都会と地方での婚活の差も丁寧に描いている。僕婚活やったことないから実際のところは分からないんですけど、多分こんな感じなんだろうなと。婚活始める前に読んで良かった!(するか分からないけど)就活始める前に『何者』を読むようなものだと思います。

 婚活・恋活に対して、作者ならではの分析が語られるシーンがいくつかあります。「ピンとくる相手」の正体、出会って間もない相手と結婚を決められる人の特徴など。どれも目から鱗な、卓越した人間観察力がないと書けないことです。しかも婚活に留まらず、多少なりとも関わる人を選んできた人間なら当てはまる普遍的な話でしたのでドキっとさせられました。

【敢えて難癖をつけると】

 ラストの行動に至るまでの架の心情が描かれていません。そのため、せっかくの美しいラストも”ファンタジック”に感じてしまいます。それまで徹底的にリアルに進行していたので違和感があります。

 【おわりに】

 真実や架がやっていることは特別珍しいものではありません。多かれ少なかれ誰もがやっている行為だと思います。しかしその”誰もがやっている行為”を客観的に見れることにより、裏側に潜む傲慢さ、矛盾せず同居する善良さに気が付かされます。自身の内面がより分かるようになるので、ぜひ読んでみてください。

 

傲慢と善良

傲慢と善良

 

 

 

 

文章を風景や音に変換することが苦手~蜜蜂と遠雷を読んで~

 何か小説を読み終わって、ブックメーター等で他人の感想をのぞくと「文章が巧みで風景がありありと目に浮かびました」、「情景が脳内に焼き付いて~」みたいなレビューが必ずあります。

 そんな体験ができて素直にいいなと思います。

 

 ぼくは小学校高学年くらいからクラスメイトよりは読書量が多かったと思います。今も割と読んでいる方だと思いますが(といっても編集者とか脚本家さんの読書量には足元にも及びません)、小説を読んで風景がありありと目に浮かんだ経験があまりありません。

 

 なぜ思い浮かべられないのか、最近読んだ『蜜蜂と遠雷』(恩田陸 著、幻冬舎 発行)を題材に考えていきます。

 

蜜蜂と遠雷

 簡単にあらすじを紹介すると、国際的なピアノコンクールを舞台に、養蜂家の家に生まれ自宅にピアノを持たない神童、英才教育を受けた天才、妻子持ちの会社員などがそれぞれ自身の内面や音楽と向き合いながら優勝を目指す群像劇です。

 

 同じ演奏でも聴く人が持つ音楽知識量、これまでどんな人生を送ってきたか、現在どんな暮らしをしているかによって受け取るものが違う様子も描かれており、音楽とは何かを考えるきっかけにもなります。17年直木賞本屋大賞のW受賞も納得の、エンタメ性と文学性を両立させた傑作です。

 

原因1:そもそも想像しようとしない

 小説には登場人物の背格好や服装の描写が必ずあります。例えば下記の文章。

 その中で、人の流れに逆らうように棒立ちになっている少年は、中肉中背だが、この先まだぐんぐん背が伸びそうな、潜在的な「のびしろ」を感じさせた。十四、五歳だろうか、印象はあどけない。

 鍔広の帽子、綿のパンツにカーキ色のTシャツ、その上に薄手のベージュのコート。肩から大ぶりなキャンパス地のカバンをたすき掛けにしている。一見、どこにでもいそうなティーンの格好だが、よく見ると不思議に洒脱な雰囲気がある。

 帽子の下の端整な顔はアジア系だが、見開かれた瞳や色白の肌はどこか無国籍だ。

引用元:『蜜蜂と遠雷』(恩田陸 著、幻冬舎 発行)P11~12

  文章の意味は分かります。しかし服装や背格好を絵として想像するためには僕の場合、頭の中にマネキンを用意して丁度よい体型に整え、挙げられているアイテムを一つずつ身に着けさせる必要があります。

 

 しかし服装を具体的にイメージできなくとも、ストーリーを理解する上では差し支えないのでやりません。

 

 また、1日の中で読書に充てられる時間は限られている上、他に読みたい本はたくさんあるので、この作業をするよりは先に読み進めたい気持ちの方が強いです。(本末転倒な気もします)文章は文章のまま、何にも変換されず右から左に流れていきます。

 

原因2-1:知識と経験が乏しい(風景の場合)

 しかしページをめくる手を止めて、風景を思い浮かべようとがんばる時もあります。例えば下記の文章。

 今、その扉を開けたら、その向こうには、広い桑畑が広がっている。季節は初夏の、雨上がりだ。

 明石には、その光景がはっきりと目に浮かんだ。

 鈍い陽射しが夏の色を帯び、熱っぽく辺りに降り注いでいる。

 桑の葉はびっしりと地面を埋めていて、そこここに雨のしずくが丸く溜まっていて、もう少しで零れ落ちそうだ。

 遠くには、青い山なみが見える。まだ雲は空の隅で墨色を残して動き続けている。

 時折、空気を混ぜっかえすように風が吹く。

 引用元:同 P214

  本当に美しいと思いますし、句読点の位置や漢字・ひらがなのバランスが職人技でプロの作家はすごいなと思います。

 このような名文に出会った時は、じっくり浸らないともったいないと思い、目をつぶって描写されている風景を絵として完成させようと試みます。

 

 脳内で「桑畑」、「雨のしずく」、「青い山なみ」などは画像検索にかけて、「鈍い陽射し」、「夏の色」などは過去に似たような感覚を抱いたことがないか人生を振り返ります。

 しかし知識や経験が乏しいので検索したところでヒットしないワードも多々あります。「桑畑」は見たことない(見ていても記憶に残っていない)し「鈍い陽射し」も感じたことがない。

 

 「桑畑」くらいならググれば出てきますが、「鈍い陽射し」、「夏の色」はそうもいきません。その結果、努力の甲斐空しくぼんやりと継ぎ接ぎだらけの風景しか思い浮かべることができません。

 

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「鈍い陽射し」の画像検索結果

 原因2-2:知識と経験が乏しい(音の場合)

 ピアノコンクールが舞台ですから、当然「音」の表現にもこだわり抜いています。

抽象的な言葉が少なく具多的な単語が多いからより分かりやすい。

文章から音が聴こえてきたという感想もちらほら。例えば下記の文章。

 客席が、凍りついた。 

 風間塵の紡ぎ出したカデンツァは、すこぶる不条理なまでに残虐で、凶暴性を帯びていたのである。

 聴いているのがつらい、胸に突き刺さる、おぞましく耳障りなトレモロ。執拗な低音部での和音。

 甲高い悲鳴、低い地響き、荒れ狂う風。敵意を剝き出しにした、抗う術もない脅威。

 これまでの、楽しげで、ナチュラルで、天衣無縫な演奏とは似ても似つかない、暴力的なカデンツァ。 

 明石はゾッとしてほとんど呼吸を止めていたことに気付いた。

 「修羅」なのだ。

引用元:同 P284

  少し大げさにも思いますが、些細なニュアンスを聴き分ける耳を持っている上に感受性豊かな人が、天才の紡ぎ出す演奏に接すればこんな印象を抱くのでしょう。

 

 例の如くもったいない精神が出て来て、目を閉じて音を想像してみましたが、なんとなく暴力的で怖い演奏なんだなとイメージできるだけで、それ以上精度の高いものは出て来ません。

 これも多分知識と経験の差で、僕は人の演奏を聴いて恐怖を感じたことがありませんので怖い演奏がどんな音なのか想像できません。

 音楽知識も乏しいので、楽譜通りの演奏がどんなものか分かりません。だから目の前でブッとんだ演奏が繰り広げられても何が異常なのかも分からない。

 反対に、過去にゾッとするような演奏を聴いたことのある人はもう少し具体的な音像をイメージできるのかもしれません。

 

原因3:素質がない

 世の中には上記の様な文章を読んだら意識せずとも風景や音に変換されている人がいるみたいです。「できる」のではなく「されている」。

 

 たとえ僕が十分な知識と経験を身に着けても、想像しようと思わなければ想像できないので、素質がないんだと思います。

 

 というか僕が変わっているだけで勝手に変換される方が多数派なのかも。

 

自分は損している?

 小説は、描かれている風景や音をイメージできなくとも、ストーリーや文体を味わえれば充分楽しいものです。特に蜜蜂と遠雷は分からないことだらけの僕が読んでも面白かったので本当にすごい作品です。

 

 しかし、文章を風景や音に変換できるできる/されている人の読書体験は、僕よりも遥かに充実したものなんだろうなと思うと、少しうらやましくなります。ないものを求めても仕方ありませんが。

 

 みなさんはどうですか?文章を風景や音に変換できますか?

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 

 余談ですが、歌の場合は意識せずとも想像できるんですよね。宇多田ヒカルとかMy hair is badの曲を聴くと、歌われている風景や状況が目に浮かびます。

 多分僕の場合は声音とか演奏があるとイメージしやすいんでしょうね。

18年の良かった映画

 18年は過去最高に映画館に行きました。土日暇な日が多くて、一日中家にいるともったいない気がするからとりあえず外出したいなってときに便利な行先でした。部屋でゴロゴロAmazonPrime観るのも好きだけど、スマホを遮断して若干の緊張感を持ちながら、大画面高音質で観るのも良いですよ。より作品に没頭できるというか。

 映画館で観た16本(あれ意外と少ない)の中から良かった作品をまた順位つけて紹介します。

 

5位:ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

 ハンソロの若い頃をテーマにすると、エピソード1~8ほど壮大な話は無理だしライトセーバーも使えないから面白い映画を作れるのか疑問だったけど、過去作品とは違って全体的に西部劇っぽい雰囲気で、ひたすらテンポ良いアクションやってるのが良かった。良い意味で過去作との比較対象にならない。列車強盗とか1対1の撃ち合いなんてスターウォーズで観たことないし。

 面白い映画には必ず魅力的な脇役がいて、前のスピンオフ「ローグ・ワン」では盲目の中国人剣士がめちゃくちゃカッコよかったんだけど、今回はゲリラ(?)(観たのだいぶ前だから細かい設定覚えてない)の女性リーダーが負けず劣らず良い味出してる。出番少ないけどビジュアルと戦闘シーンで心持っていかれた。

 小ネタが随所に散りばめられているからスターウォーズ観てたらより楽しめるけど、エンタメとして完成度高いから観たことなくても十分楽しめると思う。

 

4位:名探偵コナン ゼロの執行人

 バカ売れしてると聞いて数年ぶりにコナン映画を観に行ったんだけど、「え、こんなにおもしろいの⁉」とビックリした。サスペンス物として半端ないクオリティな上にアクションもド派手。トリックにIoT・ドローンとか最近のトレンド組み込んだり、警察・検察組織の問題点にも触れていて、最近のキャラ知らなくても問題なく楽しめた。あとどんだけ話が壮大になっても最後はサッカーボールで解決するコナン君も大好き。

 今作で主役を食うほど活躍しているのが安室透というミステリアスな雰囲気まとったクールなキャラ。あり得ない暴走運転してるシーンとか本当カッコいい。

 よく、愛されるキャラにはどこか一つ欠点があるって言われる。ルフィ然りナルト然り、コナンとキッドもちょいちょいドジかます。でも安室には欠点が無い。少なくとも映画の中では最初から最後まで完璧超人。それでも魅力感じるのはなんでだろう。やっぱカッコいいからかな(何の答えにもなってない)

 観る前に警察庁/警視庁、公安警察/公安検察の違いについてサラッと勉強しておくとより楽しめます。下のブログが分かりやすいです。劇中でコナン君が早口で解説してくれるけど理解できなかった。上映中、近くの席の小学生がお母さんに「ソウケンってなに?」って聞いてたのがなんか印象に残ってる。

tax-freelance.com

 

3位:ミッション:インポッシブル/フォールアウト

 シリーズ6作目。けっこうアクション映画観てる方だと思うんだけど、それでも度肝抜かれるアクションがこれでもかってくらい詰め込まれていて感覚おかしくなってくる。しかもそのほとんどをスタント/CGなしで自らやってるって何者なんだよ。本当死なないでよかった。


トム・クルーズの壮絶スタントを総まとめ!映画「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」メーキング映像が公開

 もちろんアクションだけじゃなくサスペンス要素もちゃんとあって、誰が敵か分からないドキドキ感と、きれいに騙される爽快感も味わえる。ただトムクルーズのカッコいいシーンを集めたPVっていう感じもあるかな。タイトルを「トムクルーズ6」にしても違和感ない。まあ面白いから全然いいんだけど。

 そういえばイーサンハント(トムクルーズ)も欠点ないな。別に欠点があることは必ずしも魅力的なキャラの条件ではないのかも。

 

2位:累-かさね-

あらすじはこんな感じ。

eiga.com

 成り上がるために他人を利用するはずが逆に利用されて、逃げたくても周到に用意された罠にはまって人生奪われていく様子にゾッとした。ハッピーエンドではなく破滅的なラストだから余計心に残ってるのかも。予告見ると「女二人が美醜を巡って争うドロドロした映画」という印象受けるけど、そんな次元の話ではなくもっと普遍的でスケールの大きな話。

 一番の見どころは天才女優という役に正面からあたる主演二人の演技なんだと思う。天才だからセリフも動きもすべて完璧でなくてはいけないんだし、よくこの役引き受けたなと思う。あまり演技の良し悪し分からないけど、特にサロメを演じてる土屋太鳳とか圧倒される。あれほど怖いラストシーンはなかなか無い。

 ただ、こうゆうサイコ系を多く観ていないから目新しく映っておもしろかっただけで、目が肥えている人が観たらそうでもないのかもしれない。

 

1位:カメラを止めるな

 圧倒的だった。今までに観たことないタイプの映画。

 序盤はクローバーフィールドみたいな酔うカメラワークな上に、セットも演技もチープで「これ2時間くらい続くのか。。。キツイな。。。」と観に来たこと後悔したけど、中盤以降でそれらが伏線だったことが分かって一気におもしろくなる。全員無名役者ってことも、どの役がどれくらい重要か読めなくて良かった。

 最後30分くらい、自分も声出して笑ったし、劇場いたるところでドッカンドッカン笑い声が聴こえてくるなんて初めての経験だった。この監督がちゃんと予算使えたらどんな映画作るのか楽しみ。

 

 以上です。アルバムの場合は「どんな感じだったかな?」と気軽に聴き返すことができるけど、映画の場合はそう行かないから書くの大変でした。これからは観たらすぐ書くのを目標にします。

18年の良かったアルバム

 あけましておめでとうございます。なんとなくブログ始めてみました。

18年を振り返るといろいろあったけど、個人的に大きな変化は東京来てからギターを弾かなくなったことかな。何でか分からないけどやる気も興味も湧いてこなくて。ライブのお誘いも断っちゃったし。

でも音楽聴くのは相変わらず好きでいろいろ聴き漁っては一人で盛り上がったりしんみりしたり救われたり…

 その中から、18年発売されたもので特に良かったアルバムを一応順位も付けて紹介します!(本当は大晦日に公開したかったけど紅白までに書き終わらなかった)

 

5位 The Greatest Showmanのサントラ

 登場人物全員歌上手すぎ。歌詞も前向きで元気もらえる。

 映画は展開早すぎて長い予告編観てる感じでイマイチだったけどサントラは素晴らしいから入れました。


The Greatest Showman Cast - The Greatest Show (Official Audio)

 

 

もう一つ5位 ブラックパンサー:ザ・アルバム

 Kendrick Lamar 監修でthe weekendとか有名アーティストが参加。サントラは普通映画で流れる順番通りに収録しているけど、これはそんなの無視してアルバムとして1番よく聴こえるように再構築してるから映画観てなくても楽しめます。カッコいいラップが盛りだくさんで、曲調はアフリカン×近未来って感じ。(気のせいかも)

 映画はハイテク武器を使ったアクションが見ごたえあったけど、王位継承を巡ってのお家騒動に終始してて、もう少し壮大な話を期待してたおれには物足りなかった。


The Weeknd, Kendrick Lamar - Pray For Me (Audio)

 

4位:indigo la End/PULSATE

 このバンドはどのアルバムも失恋ソングが8割占めてるんだけど今回はいつも以上に暗い失恋ソングが多い。アップテンポの曲はあっても明るい曲はないから聴いてると疲れてくるかも。

 『冬夜のマジック』は「ここがサビかな。綺麗なメロディーだなー」とか思ってたら、川谷絵音のファルセットと女性コーラスが泣き出しそうな声でハモりながらさらなる美メロで本物のサビが到来して背中がゾクッとする。


indigo la End「冬夜のマジック」

  

あと『ハルの言う通り』も好き。春をテーマにした曲はたくさんあるけどこれはあまり聴いたことない雰囲気。寒い砂漠でゆらゆら漂ってるイメージで、どこか外国の春を意識してるのかもしれない。

 サビ頭の「”バイバイ熱恋(ねつれん)よ”」という歌詞を曖昧な滑舌で歌って「バイバイねえ辛いよ」に聴こえさせる箇所とか大好きだし流石だと思う。


indigo la End - ハルの言う通り

 

 3位:小袋成彬(おぶくろなりあき)/分離派の夏
 宇多田ヒカルプロデュースで今年デビュー。ヒップホップと歌謡曲を混ぜたような曲調なんだけど、聴こえる楽器の音が少なくて歌と「間」を聴かせるおとなしい曲が多い。こうゆう大人っぽい曲を好むのは背伸びしたい気持ちがあるからなのかもしれない。
 文学青年っぽい歌詞が多くて、中でも『Selfish』の「”時代に華を添えたくて 筆を執ってたわけじゃない もう君はわからなくていい”」っていうフレーズがなぜか刺さって何回も聴いてた。
 ただ、アルバム導入部の芸術について語ってる箇所で聴く人をふるいにかけている感じはある。聴いてて恥ずかしくなってくるけど、自分も好きな曲について語るときこんな感じなのかもって思ってより恥ずかしくなる。
2位:宇多田ヒカル/初恋
 頭から終わりまで全部名曲。多分音楽的に斬新なことやってるんだろうけど、どの曲も馴染みやすい。すぐ好きになる曲ってその分飽きるのも早かったりするんだけど、宇多田の場合そんなことなくて、聴けば聴くほど楽しめるポイントが発見できてより良さが分かってくる。
 とりあえず1曲選ぶと、ペンギンハイウェイのエンディング『Good Night』が良い。視点を大人になった主人公に置いてるのが映画観終わった観客に「その後」の想像を掻き立てるし、サビの「”Good bye”」とかありきたりな言葉でも宇多田が歌うと色々な感情が詰まった特別な言葉に聴こえる。


『ペンギン・ハイウェイ』 スペシャルトレーラー

 

1位:SKY-HI/FREE TOKYO

 これはちゃんとしたアルバムではなくミックステープ(ミニアルバム)なんだけど本当に良かったから1位に。18年はフルアルバムも出してるけど、敢えてこっち!

 SKY-HIはAAAのメンバー日高光啓のソロ名義でヒップホップ調の曲が多く、ってこの紹介だけで聴くの辞める人多いと思うし、おれも最初は片手間にラップやってるJ-POP野郎くらいに見てた。

 だけど曲カッコいいし、17年に共謀罪テロ等準備罪)が国会で採決された3日後に『キョウボウザイ』という曲をプライベートアカウントでYouTubeにアップしたり、18年6月に大きなニュースになった米・北首脳会談の1か月後くらいに『The Story of " J "』という、日・米・北の関係を寓話チックに表現した曲を公開したり、片手間でやるにはアイドルという立場を危うくしそうな活動をしてる。

 まあそういうこと置いておいても韻の踏み方が独特だったり、言葉数詰め込んだ早口ラップが耳に心地よくて、ヒップホップ聴きなれてない自分でも聴きやすい。あとは、日本社会の息苦しさとか、そんな状況を変えられない自分の無力さを嘆きつつも前に進もうって感じの歌詞が自分に刺さったのかも。


SKY-HI / Free Tokyo -Teaser Movie-

 

『Dystopia』の歌詞とか結構ビックリする。上の動画は違うよ。

「”日本国に普及、普通教って名前のカルト 

 あぁすればウケる焼き直しのラブソングのアラカルト

 俺もお前も片棒担いでると思うと嫌になるよ”」、

「”ポップスターと呼ばれるのはあそこの愛玩動物か?
冗談としても笑えない所にある幸福感

US, UK, モノマネなら御免被るわ
世界どこと比べても力の落ちた音楽家”」

 

 ただ自分もヒップホップそんなに数聴いていないから良く聴こえるだけで、他のラッパーの曲を色々聴いたら、「あれ?SKY-HI特別すごい訳でもない?」ってなるかもしれない。けど今年印象に残ったアルバムってことで1位にした。

 

 以上です。自分が何で良いと思ったのかを掘り下げて文章化するのはもっと大変だったけど結構楽しかったし、自分への理解が少し深まったからまたこんな感じの記事書くつもり。あとオススメのアルバムある人は教えてほしいです。今年もよろしくお願いいたします。