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Netflix。幽遊白書。ドラマ性は少ない

Netflixのドラマシリーズである幽遊白書をみました。海外でも人気があるようです。先日見たゴジラ-1.0もそうですし、日本の実写作品が海外で高い評価なのは嬉しいですね。

 

https://x.com/NetflixJP/status/1738869632919085326?s=20

 

幽遊白書は人気漫画が原作ですが、ドラマは内容をかなり圧縮していました。テンポは良いのですが主要キャラクターの背景や関係性などは軽くなぞる程度。登場人物に感情移入することはできなかったです。

 

短いシリーズであれば登場人物を絞って深く掘り下げる方法もあったと思いますが、原作ファンとしては人気のキャラクターがドラマで勢揃いするのをみたいでしょうし、仕方ないかもしれません。

 

アクションは迫力あるのでドラマ性よりはそちらで盛り上げる制作意図かもしれません。

 

 

岸田総理はここまで低い支持率がふさわしいのか

最近の岸田総理の支持率の低下は著しい。菅総理安倍総理と比べて評価を下げる理由も私にはないので世間と自分の感覚の違いが意外である。個人的には保守政党の中のリベラル派である岸田総理はバランスとれるので悪くない。

 

ウクライナ戦争でロシアをはっきり避難して現在の世界秩序を守ろうとしていたところとか、反撃能力を増強して台湾有事を牽制しようとしているところとかは、良い防衛・外交政策を推進している感じがする。

 

インフレや円安は岸田総理のせいでは無いし、社会保険費の負担が重いのも高齢化が進む中では仕方ないし。抜本的な改革をしたいなら欧米のように移民を受け入れて人口増加、経済成長を目指すべきだと思うが日本人の多くはそこまで踏み込みたくないのだろうし。

 

大きな社会の崩壊を抑えつつ、できるだけ緩やかに社会を衰退させるのが今の現実的な目標で、誰が総理に選ばれてもそんなにはかばかしい結果はだせない気がする。コロコロ変えても仕方ないし、誰であっても、自民党総裁の任期を全うするか政権交代するまでは総理続けさせた方が政治が安定してまだ良いと思っている。

 

ただ岸田総理は国民に訴えかける力や実行力に乏しい感じはする。衆議院議員のクビを切れる絶大な権力を持っているんだから、ここまできたら腹を括って自分がやりたい政策を訴えて強引に進めてはどうか。ただ総理大臣を辞めたあとの身の振り方を考えるとそこまで思いきれないんだろうな。

 

繰り返しになるが、私自身は岸田総理が別に嫌いではないのだが自民党政権が続くのも特段希望はしていないので、また政権交代も良いかもしれない。

 

以前の民主党が理想だとは思わないが、政権が変わることがある、という緊張感が権力の腐敗を抑えると思っている。

読んだことはないがここで書かれたことは実現できたのだろうか。自分のクビかけてやってみては?

リンカーン弁護士。アメリカでは弁護士でも陪審に選ばれるらしい。

Netflixリンカーン弁護士のシーズン1を見終わった。面白い。
中年の弁護士が刑事事件を扱う法廷もの。

 

https://www.netflix.com/title/81303831?s=a&trkid=13747225&trg=cp&clip=81705455

 

複数の事件が並行して進行するので、次々と新しい展開が生じて間延びしない。本当に密度が濃く素人目にはよくこれだけの脚本を作れると感心してしまう。

ただ色々な出来事が互いに絡み合うので結構複雑。私の知能では粗筋を追うのに結構苦労した。記憶を保てるうちに一気見すると良いかも。

 

個人的に気になったのは、弁護士でも陪審の候補にされていたこと。日本の裁判員制度では弁護士や弁理士裁判員に選ばれないので結構違う。ドラマを見て市民としての司法への参加に興味をもったが、弁理士を辞めない限り私が関わる機会はないはず。

 

原作は小説との事。

 

 

弁理士に必要な交渉学とは

弁理士の研修で、「交渉学を学ぶ価値」という一色正彦客員教授の講義を受けたので、学んだことをまとめてみました。

 

交渉学はロバーフィッシャーが権威。彼は戦争の経験があって、国家間の紛争を交渉で解決することを念頭に研究した。Win-winアプローチはこの人が発祥。アメリカは歴史の短い国なので、他国の事例も研究していて、三方よし、のような日本の事例も研究対象となっている。現在、ハーバードのロースクールで模擬交渉などの学習が提供されている。日本で交渉学を学べるロースクールとして慶応大学がある。

 

模擬交渉のやりかたの一例としては、両当事者に共通する共通情報を渡しつつ、各当事者にそれぞれ個別情報を渡す。模擬のあと、個別情報を交換することで互いの交渉の背景を知って学びにつなげる。将棋の感想戦に近い。

 

交渉術ではなく交渉学である。交渉学を学ぶと、創造的な選択肢を提示できるようになるので、パイの奪い合いではなく、共同してパイを作ることができる。

 

法廷弁護士はlitigatorと呼ばれ攻撃的、競争的な交渉をする。一方、和解交渉弁護士はSettlement Counseと呼ばれ協力的な交渉をする。

 

交渉の要諦は相手のことを察し、自分を律すること。聞くことを重視して双方の利益を見極めることも大事。なお、交渉相手が継続的な関係をもつ場合、説得的な交渉術(無理な条件を巧みに押しつけるような戦術)をつかって相手が後悔するような合意をすることは勧められない。良い関係を保つことが大事。

 

交渉には論理的なアプローチと心理学アプローチがある。後者は心理的なプレッシャーで交渉を有利にするものであるから、中長期に付き合う相手にこのアプローチをとることは勧められない。ただし相手から仕掛けられたときに対抗するため、心理的アプローチを知ることは必要。交渉は、心理面と論理面の組み合わせ。心理面の傾向を認識して、論理的に考える。

 

交渉では事前準備やアジェンダが大事である。交渉の前に、自分に有利になるように状況を固めておくのが重要。

事前準備として、Mission、ZOPA、BATNAを考えておく。中長期的な視点で達成したことがmissionである。これは何のために交渉をやるのか、など問いかけてmissionに立ち戻る習慣をつける。

ZOPAはmissionを実現できる目標であり、交渉条件の幅を示す。

BATNAは最善の代替策。Missionが実現できない相手と組むのは不幸。必ず事前に代替策を準備する。

 

BATNAを早く開示しすぎると、破綻する可能性が高くなる。代替策があるならば交渉を継続する意味がない、と相手に思われてしまう。ただこちらに代替策がないと思われれば相手が強気の交渉を仕掛けてきてしまうので、タイミングは難しい。

 

相手のコンテキスト(相手の交渉の背景、目的、考え)に仮説を立てる。ロジックツリーで仮説を整理する。

 

二分法、たとえば、値引き要望にYESかNOで考えるだけなのは良くない。質問して値引き要求のコンテクスト(理由)を聞き出す。ただコンテキスト(背景、真意)の引き出し方は難しい。交渉がうまい人は質問もうまい。

 

質問は以下の3つを意識する。

(1)相手を学ぶために質問する。詳しい背景を開示をしてもらうとか、具体例を挙げてもらう。例えば、値引きに応じれば長く付き合える、と示唆された場合、これまで長くつながりをもった事例をあげてもらう。

 

(2)相手の言葉を言い換える。○○と理解しましたが、謝った点があれば、教えてください、など。こちらが理解した内容を示して、互いの理解度のギャップを埋める。

 

(3)相手の感情を理解して認める。ただしこれは相手の要求を同意することではない。過去の経験から不機嫌になることもあるので、その気持ちを認める。ただし、感情を理解して認めるのは難しく、交渉で実際に試してもうまくいかないこともある。

 

交渉には、分配型(単にわける)、交換型(お互いにほしいものを交換する)、創造型(新しい価値をつくってしまう)の分類がある。

 

オンラインは自分の表情を確認できるが、対面よりも難しいことが多い。意図的でない顔の表情(非言語COM)からは相手側の交渉のコンテキストを推測できる。

 

言いながら実際にやったことは2週間後も90パーセント覚えている。読んだだけのことは10パーセントしか覚えていない。交渉学を学ぶには実線が大事。

 

こちらのZOPAの下限を念頭に置いた場合、例えば、ライセンスの料率が10パーセントであれば交渉を結んでも良いと本社に言われた場合に、この最低ラインがアンカリングになる悩みがある。つまり最低ラインで交渉を結んでしまって損をしかねない。これに対しては、自社でその最低ラインを設定した背景をしったり、あるいはBATNAのように別の提案ができるようにしたりすると、最低ラインを超えた交渉締結ができるかもしれない。

 

力関係がある相手と交渉する場合には、どうするか。他の要素と組み合わせして相手のメリットになることを提案するなどが考えられる。それが難しければ、数年後に交渉を見直しする条件を契約に入れることが考えられる。数年後、力関係が変わったときにはこちらの条件を良くするきっかけになる。

 

講義をしてくださった一色先生の著書。

 

一色先生が面白いと勧めてくださった本。

 

私が読んだことのある隅田先生の本。一色先生も隅田先生の講義を勧めていらっしゃった。

 

アメリカでは芝生を庭に植えることを強いられる事がある


Some Americans Want Fewer Grass Lawns

Some Americans Want Fewer Grass Lawns

 

アメリカには戸建てでもHOAという管理組合があって庭に芝を植えるルールが課せられるらしい。自由の国と思ったが思わぬところで規則が厳しい。

 

芝生を維持するのに水不足なのにスプリンクラーで水をやるアメリカのニュースを聞いたことがあるがこういう背景もあるのかも。

 

アメリカでは灌漑が必要な作物よりも芝生に水を使っているらしい。

 

記事では芝生にかえて野生種の植物を植える傾向が見られるようになったことを紹介している。

 

英語の記事で気になった表現

 

a grass lawn 不定冠詞がつくのがおもしろい。芝生は数えられるのか…

turn A to B AをBにかえる、という意味。

irrigateは、水を引く、灌漑するという基本単語。

population 蜂の数という意味合いで使われていた。つい人口という意味が思い浮かぶが人の数にかぎらないみたい。動物の個体数という意味がある。

support for 〜への支持

rewilding 再野生化。知らない単語だが意味はわかりやすい。

in part because in partをどう訳するかだが、一つには〜である、などとすると良さそう。

pollinator 花粉を運ぶ生き物、送粉者。複雑な概念を一語で表す単語があるのがおもしろい。

 

いまや公式アプリでVOAの教材が手に入るからこうした教材の需要は減っているのかも。

 

改訂版が出たら買いたいのだがそろそろ出ないのかな?

 

 

 

学生名人戦優勝者がAIアプリで不正した件に思いをはせる


将棋「学生名人戦」 優勝者が対局中にAIアプリ使用 失格に | NHK | 将棋

 

学生名人戦で優勝者が将棋のAIを使った不正をして失格になったはなし。

 

インターネットで噂を耳にしていたけれど、いつか誰かがやりそうな不正だったし、自分もかつて参加したような身近な学生大会が全国ニュースになるとは思っていなかったので、NHKが取り上げたのはちょっとびっくりした。

 

大会を主催する学生将棋連盟は将棋が好きな大学生がボランティアで運営しているわけで、競技仲間の不正を糾弾するなんて嫌な仕事を無償でやることになったスタッフは本当に気の毒に思う。

 

マチュアの学生大会で不正をして優勝を目指すのはどういうモチベーションなんだろうなぁ。毎回予選一回戦敗退のOBからしてみると大会は将棋仲間との親睦会みたいなものでズルして勝つ理由もないのだが、成績上位になればプロの公式戦にも出られるし就活の良いネタにもなるかもしれないから上位層だと勝利にかける熱意が違うのかもしれない。

 

競技仲間を騙すことで生じる罪悪感や後ろ暗い秘密を抱える負担に比べるととても釣り合いとれないはずだけど。

 

優勝者がプロとの公式戦に出場してそこでも不正をしたら比べ物にもならない大問題になっていたから、アマチュア大会の時点で発覚したのは不幸中の幸いだった。

 

いま読んでいる本。最近は三間飛車穴熊がホットな戦型になってきた。

 

 

中飛車穴熊も覚えたい😀

第42回知的財産管理技能士検定1級実技試験ブランド専門業務の解説

知財検定の1級のブランド専門部門については本屋で売られるような過去問解説集がありません。

受験の準備にあたって、公式Webサイトで好評されている第42回知的財産管理技能士検定1級実技試験ブランド専門業務の過去問題集をといたので、解説メモを残したいと思います。

 

Part 1

問1

欧州連合商標制度についての問題です。

(1)ブレクジットによる英国内における欧州連合商標のとリ扱いに関する問題。既存の欧州連合商標と同等の英国商標が付与されました。出願係属中だったものは出願日を維持して英国に出願できました。

(2)&(3)欧州連合商標制度では絶対的拒絶理由(識別力等)は審査されるが相対的拒絶理由(他人の商標との類似など)は異議を受けないと審査されません。ただ出願人の請求によって先行商標の有無を調査してもらうことができます。先行商標が見つかった場合には先行商標の権利者にも通知があります。
欧州連合商標制度は、登録されても後願を自分で排除するために異議申し立てする必要があって気が抜けない感じがしますね。

 

問2

マドプロ出願(商標の国際出願)に関する問題です。

(1)日本の商標登録だけでなく日本の商標出願を基礎にマドプロ出願できます。

第六十八条の二 日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人であつて標章の国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書(以下「議定書」という。)第二条(1)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)を受けようとする者は、特許庁長官に次の各号のいずれかを基礎とした議定書第二条(2)に規定する出願(以下「国際登録出願」という。)をしなければならない。この場合において、経済産業省令で定める要件に該当するときには、二人以上が共同して国際登録出願をすることができる。

 特許庁に係属している自己の商標登録出願又は防護標章登録出願(以下「商標登録出願等」という。)
 自己の商標登録又は防護標章登録(以下「商標登録等」という。)
ただ出願を基礎にする場合には国際登録の日から5年以内に基礎となる出願が拒絶されると国際登録も取り消されてしまいます。
 

 第6条 国際登録の存続期間並びに国際登録の従属性及び独立性


(2) 国際登録は、当該国際登録の日から5年の期間が満了したときは、(3)及び(4)に規定する場合を除くほか、基礎出願、基礎出願による登録又は基礎登録から独立した標章登録を構成するものとする。


(3) 国際登録による標章の保護については、当該国際登録が移転の対象となったかどうかを問わず、その国際登録の日から5年の期間が満了する前に、基礎出願、基礎出願による登録又は基礎登録が取り下げられ、消滅し、放棄され又は、確定的な決定により、拒絶され、抹消され、取り消され若しくは無効とされた場合には、当該国際登録において指定された商品及びサービスの全部又は一部について主張することができない。当該5年の期間の満了前に次の(i)、(ii)又は(iii)の手続が開始され、当該5年の期間の満了後に基礎出願、基礎出願による登録又は基礎登録が確定的な決定により、拒絶され、抹消され、取り消され、無効とされ又は取下げを命ぜられた場合においても、同様とする。 また、当該5年の期間の満了後に基礎出願、基礎出願による登録又は基礎登録が取り下げられ又は放棄された場合であって、当該基礎出願、基礎出願による登録又は基礎登録がその取下げ又は放棄の時に次の(i)、(ii)又は(iii)の手続の対象であり、かつ、当該手続が当該5年の期間の満了前に開始された場合においても、同様とする。
(i) 基礎出願の効果を否認する決定に対する不服の申立て
(ii) 基礎出願の取下げを求める申立て又は基礎出願による登録若しくは基礎登録の抹消、取消し若しくは無効を求める申立て
(iii) 基礎出願に対する異議の申立て

 
(2)マドプロというよりは米国野商標制度の理解度を問う問題です。
米国への商標出願は使用意志によるもの場合には許可通知後に使用証明が必要ですが、外国での登録商標に基づく出願や国際出願の場合には使用証明は登録に不要です。
 
(3)台湾はマドプロ出願できません。中国との関係もあって微妙な地域ですよね。なお、WTOには加盟していますので日本出願を基礎とした優先権主張は可能です。
 

Part 2

問3

(1)&(3)フランチァイザーがフランチャイジーの業務を指定役務として商標を出願することができますがこの場合、フランチャイズ加盟者証などの提出をする必要があります。

(2)実際に使用していない商標であっても、使用意思が有れば出願できます。

 

問4

(1)先願登録商標に係る役務と同一(又は類似)の指定役務を削除することで4条1項11号の拒絶理由が解消されます。

(2)複数の役務を含む出願の場合、削除した役務について分割出願が可能です。

(商標登録出願の分割)
第十条 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であつて、かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。
(3)著名商標を含む商標が、その著名商標と類似するか否か、という話です。次の審査基準が参考になります。
指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。
 

問5

(1)不使用取消審判の要件の問題です。登録商標が3年以上使用されていないことが要件になります。つまり、設定登録の日から三年以上にわたって不使用のとき、あるいは設定登録後に一旦使用し、その後に中断して三年以上不使用のとき審判請求が可能です。この問題ではその要件を満たしていません。

(商標登録の取消しの審判)
第五十条 継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
(2)&(3)いわゆるアサインバックで4条1項11号の拒絶理由を解消する手法です。出願をYに名義変更すると3条1項柱書の拒絶理由の解消ができなくなるので、そうではなく、引用商標(登録商標)のほうを譲りうける必要があります。