glafit X-scooter LOM (3)

オモチャとしては楽しい


 Makuakeの活動レポートに対するコメント掲示板では数ヶ月前から報告されている電源遮断問題(以下シャットダウン)だが,さいわいにして自分のところでは起こっていない.まぁ最近忙しい&天気悪くて休日に外出できていないからかもしれないけれど.

 LOMのモーターの定格は 48V 350w,標準バッテリーの定格は 48V 441Whとなっている.このバッテリーは中国メーカーの製品で,重さから推定するにどうやら 18650が 39本入った 3パラの 13セル品のようだ.18650単品では計算上 3.0Ahとなり,モーターの定格上限まで回しても 0.8C程度に抑えられているので選定としては問題ない. 問題なのはおそらく,適切な電子負荷が設定されていないことだ.

 

パワートレイン考察


 電子負荷で熱として放散できない場合,電流が流れない=電圧が上昇するというステップを踏み,(あるならレギュレータを突破して)バッテリーに流れ込み始めることになる.コレを検知してOVP(Over Voltage Protection)が発動し,実バッテリーの電極とバッテリー出力端子が切断されるとシャットダウンになる.GFR-1/GFR-2は LOMと比較してタイヤ径が大きい=同じ速度での回転数が少なくなる&モーター定格が小さい=発生回生エネルギーが小さいので問題が発露しなかったのだろう.可能性としては低い気はするが,バッテリーの温度が上昇し過ぎていて同様に OTP(Over Temperature Protection)が働いてシャットダウンに至った,ということもあるかもしれない.

 というか,そもそも,だ.このパワートレインは glafit社が開発したものではない.社長や広報を含めてたかだか 15人ほどの会社で開発できるようなものではないのだ.具体的なメーカー名は伏せるが,AliExpressを探せば山のようにある電動自転車用のパーツを選定して組み込んだに過ぎず,MCU(Motor Control Unit)にパラメータを設定したのが唯一の「オリジナリティ」だ.それにしたって「システム電圧を 36V / 48V / 52Vから選ぶ」「最高速度を設定する」「加速度調整パラメータを設定する」とかその程度のものである.メーカーから隠しパラメータくらいは教えてもらっているとは思うが,ちょっとググって出てくる設定項目が LOMでも同様にいじれる以上 glafitオリジナルなシステムなわけがない(そんなOSSも寡聞にして知らない).回生エネルギーを電子負荷で消費できないのも前提であり,その分は逆流しうるけど勘弁な,という設計思想のシステムをそのまま使っているだけだ(同様に Tripメータ値が電源Offで失われるのも glafitが意図したものではなく,元からそういうものだった).

 しかしながら「回生電力を処理せずバッテリーにぶち込む」を前提にしたシステムが多用された結果,中国でパーソナルモビリティの爆発事故が起きているのもまた事実である.OVP/OTP/OCPの類が発動すると面倒なので全部無効化してあるとシャットダウンは起きなくなるが,バッテリー間のバランスが狂うと過充電・過放電のセルができて水素ガスが発生し,圧力に耐えられなくなった時点で爆発する.LOMのバッテリーは 18650で金属円筒缶電池なため比較的安全性は高いと思われるが,プロテクションはしっかり有効にしておくに越したことはない.そこは企業としての良心だったのかもしれないが,その場合は特定条件下でバッテリーがシャットダウンしてしまうことを避けられない.ではしっかり回生エネルギーを消費/回収するシステムに変更できるか?というと,少なくとも同等のコストでは存在しないことは明らかだ.

 パワートレインメーカーとしてはシャットダウンについては「知ったこっちゃない」だろう.MCU自体には充電管理機能はなく,電源として 48Vをもらっているだけで「逆流する可能性がありますよ」は採用メーカーである glafitがなんとかすべきものだ.同様にバッテリーメーカーとしても「シャットダウン条件を満たすとシャットダウンします」としか言いようがない.そしてプロテクションを切った場合の安全責任はバッテリーメーカーにはない.そしてよくわかっていない glafitは両者を直結してしまった.逆流防止と熱放散を考慮することなく.  

じゃぁどうすんの


 率直に言って,glafit的には詰んでいる.パワートレインに手を入れる技術力はそもそもないし,MCUの再選定&全数交換を行う体力も多分ない.Makuakeの約款上はブツを届けさえすればミッションコンプリートになるため,ひたすら出荷を続けることになるだろう.そもそも「発生しなければ問題ではない」という姿勢を貫くことも目に見えている.発生した場合はおそらく唯一実現の可能性がある回避策として,バッテリー側のプロテクションパラメータを調整することになるだろう.「どう直したか」を一般ユーザーが検証することは不可能で,そして爆発しなければ問題ではないのである.しかし,スマホアプリがあの惨状ではユーザー環境で BMCに接続してパラメータを書き換えるなんて(glafitも)怖くてできないので郵送回収になるだろうが.

 最後にどうでもいい話.あのスマホアプリとか BT周りは「glafitオリジナル」と言って良いと思うのだが,アレも「外注に失敗」の類なんだろうなぁ….

 

glafit X-scooter LOM (2)

アプリ接続復活


 試行錯誤を繰り返し,アプリ接続が復活した.

 まず,「メインキースイッチOnかつアプリパスワード変更ボタン押下5秒以内 3回」はあくまで「パスワード変更」であって,初期化ではない.ここ勘違いしていた.

 で,根本的な問題はアプリが「変更したパスワードを忘れること」だった,ということが発覚.アプリを落とすと勝手に初期パスワードに戻ってしまうので,パスワードが違う,という理由で接続できなかったのである.このあたり全くテストされていない感がある.

不可解な挙動


 現状設定しているアプリパスワードは平文でアプリに表示されるので,勝手に元に戻っていることはすぐわかる.そしてアプリがパスワードを覚えるためには,パスワード変更をするしかないように見える.しかし,元のパスワードは勝手に忘れてしまう.どないせいっちゅうねん.  

 デフォルトの表示は「owner」だが,本体側でパスワード変更操作をしていると勝手に「ownership was」になったりして,しかしその状態でアプリを再起動するとまた ownerに戻る.今現在本体に登録されているパスワードが「owner」なのか「ownership was」なのか,はたまた自分で設定したものか分からなくなるためトライアンドエラーを要求される.そして一度接続できてよっしゃよっしゃと思ってアプリを落とすと,次の起動回ではもう接続できない.前述 3つのどれかであることを疑って設定する必要があるのだ.

一言で言ってゴミ機能である.

アプリ接続死亡


 で,何回かやっているうちに全く接続を受け付けなくなった.どのパスワードを試してもダメ.これは「※ご自身でのパスワード変更に伴う不具合に関しては、弊社では対応できかねます。」のパターンにするんだろうな.なんかヤバいことはあらかじめ分かっていたが,引き上げて修理する余力はないのでユーザー責にしてバックれるパターンだ.

glafit X-scooter LOM

なにそれ


 いわゆる電動キックボードってやつですね.

 最初に Kickstarterで公開された時は 2020/2/17に支援して 50番代くらいだったのに 2020/3/13にプロジェクトキャンセル.GFR-01と同じような「有名クラウドファンディングサイトで大ヒット」という2匹目のドジョウを狙ったが,立ち上がりが悪かったのでやーめた,だろう.まぁ海外スペックではないのは確かだ.

 そして日本スペックでは海外では売れないと気が付いたのか,しれっとMakuakeで再開したのが 2020/5/28,自分が応援購入したのが 2020/05/29.すでに 1000番台になってしまっていた.明らかに日本人な Kickstarterの支援者に営業かけないのか?とか,プロモ動画が「あれココ渋谷のあそこだよね?一方通行の逆走じゃね?」というシーンがあったり(そして ■トップの動画は私有地にて撮影しております。 と誤魔化している.私有地も含まれるだろうけどあそこは公道だし,許可をもらって逆走したのだろうか?そうならその旨書けば良いのに)で残念な会社だなぁ,と思ったものだが,現状サポートの悪さで炎上しているので当時の印象は間違っていなかったようだ.

 まぁサポートの悪さと言っても,基礎設計の見直しと(コロナ禍とはいえの)生産の見通しの甘さから遅延に遅延を重ねた結果,組立調整検査出荷の方にてんてこまい,というのが実情の大半だろうし,CFなんてそんなもんだ.あの規模でやって半年遅れで済んでよくやったね,とすら思う.まぁ説明する気が全くない,というのが問題の本質だろうけど.

 やっと届いて初走行をしたのが昨日の 2021/7/10.すでにガジェットライター系のレビューはあるようだが,もう少し技術的に踏み込んで感想を書いてみよう.

 

で,どうなの


 モノそのものについては一般市販価格 15万円くらいのクォリティは十分達成できていると思う.狙った数が売れるかどうかは別として,もっと高くてもアリだと思うくらいだ.安っぽいのは後述のミラーくらいで,防水基準なしの車両としては及第点.パワーも十分で,満充電状態であればちゃんとリミッター速度(後輪を持ち上げてフルスロットルにした場合に表示された速度)まで程よいレスポンスで到達する(自分の体重は軽めだが).サスペンションの類がないため地面の凹凸をダイレクトに拾うことを考えると,よっぽど整備された道路でない限りそこまで速度を出すこともない.都内の国道・都道クラスを走るのは路線を選ぶが,自転車通行が考慮された車道であれば特に問題ないと感じた.「自転車屋がブレーキがペラいとか言ってましたよ」的な書き込みをどこかでみたが,自転車とはタイヤ半径が全然違うんだからアレで十分.その自転車屋の見識を疑った方がいい.ちなみに普通にロックできる制動力で,ちゃんと体重移動ができればテールスライドドリフトだってできる.また重量20kg は(成人男性による)持ち運びを考えたらギリギリ許容できるレベル,を上手く達成している.実際のところ,例えばバイク不可の賃貸の2Fに住んでいて毎日部屋に上げる,とかだと気が重くなるだろうが不可能ではない.

 ただまぁ組み立ての精度が若干悪くて「『街の自転車屋さん』が組んだ自転車は一旦バラして組み直す」派の人は組み直すだろうなぁ,というレベルで,「バイクのディーラー新車」にはとても達していなかった.細かいことを言えば,フロントのフェンダー保持兼ブレーキキャリパーガードの部品の精度が悪く(おそらくキャリパーと反対側の曲げ精度が出ていない),フェンダーとフロントタイヤとのクリアランスがマイナスなのはご愛嬌…と言って良いのだろうか.なんか変な音がすると思ったんだよ(出荷検査時に気づかないのはどうかと思う).ということで軽く組み直したりもした.折りたたみの機構も頑張った感はあるが,固定用のレバーに(取り回しが練られていない)ワイヤーが引っかかったりコントローラーがぶつかったりする.まぁコレも「降り畳みできる」というだけで毎回やるものでもないので瑣末な問題か.

 しかし何より問題なのはミラーだろう.直径 12mmのプラヘッドのネジ(!)で調整させる箇所があり,無意識に(別の箇所を)調整してしまうとソコの固定が回ってしまい,プラ製の部品が削れていく&固定力が下がる.調整する「別の箇所」はプラ部品同士のボールヘッドで,締結のヘックスは締めすぎたら保持部が割れるかもな,という構造.そして走行中に風に押されて明後日の方向を向く.小径軽量なだけあって直進操安性は悪く,走行中に片手を離してミラーの調整は困難で,そもそも調整したところでどんどんずれていくので「偶然後ろが見えた貴方はラッキー」というお守りアイテムになっている.まぁ原付のバックミラーなんて飾りですよと言う人もいるかもしれないが,バイク乗りの観点からはあり得ないレベルだと感じるし,そもそも車両特性上後ろからくる車に神経質にならざるを得ないので,これは交換が必要と思っている.「折りたたみ性」を優先した結果,法律上の建前を確保するための飾りにしかなっていないのは残念.

 

アプリ対応


 組み立てやミラーはまだいい(よくない).なぜなら自分でなんとかできるからだ.今の自分にとって,もっと残念なのはアプリだ.ちなみに電源断問題が起こっている人もいるらしいから,それよりはマシだと思うけど.

 うぇーい,アプリから On/Offできるぜー物理キー要らないぜーと思ってアプリから起動して外出したら,見事にその帰り道から一切アプリ(BT接続)が繋がらなくなった.もちろん上述の時点でメーカーを信用していないので,物理キーも持ってたから事無きを得ているが.しかもアプリ上バッテリー残量が 3000000%と表示されている.私のバッテリー残量は 300万%です.ちなみに通常サイズのバッテリー 100%で理想値 40km現実 25〜30kmくらい(?)走れるので理屈の上では地球を 20周はできそうだ.すごい.別の端末からログインして登録情報を呼び出してもその数値なので,メーカーのサーバ内で 300万%が保持されているのだろう.保持する意味が全くわからないけど,複数人使用時のためにラスト値を保持しているのだろうか.

 そう,アプリを使えば(物理キーなしで)人に貸し出せます,という機能もあることになっているけど,コレ所有者と同じアカウントでログインしないと実現できてなくない?アカウントなしではアプリ開けないし,新しくアカウント作っても当然当該車両はペアリング済みとかで登録できないし.と思ったら iOSには実装されていなくて,Androidには実装されているのね.存在するアカウント(のメールアドレス)を指定すれば権限を渡せる,けれども与えた権限を奪う機能が動かない.惜しい.あと受け側は受け側で権限を受け取った件の説明メールとかも全くなく,突然使える車両が増える.怖い.で,その端末から繋げようとしても同じエラー.おそらくアプリ接続パスワードが適切ではないからだ.おそらくこの辺りの車両側の機能でバグがあって接続できなくなっていると思われる.「接続に失敗しました」というのがどのレイヤなのか全くわからないので確証はないが,新規の別端末でもダメということはそういうことだろう.ちなみに物理キーと物理ボタンを使ってアプリ接続パスワードを初期化する機能というのもあるようだが,インジゲーターがないので効いているんだか効いてないんだか全くわからないあたりも設計に問題がある.ヘッドライトでもウインカーでも点滅させればよいだけの話だろうに.

 ホントはアプリに対する苦情というか要求は「ホーム画面上のアイコンワンタップでロック・ロック解除できるようなショートカットが欲しいよね」とかそういうレベル(それだって最低限のレベルだと思うが)の会話がしたいものだが,現状何一つ使い道のない素敵なアプリなので語ることはもうない.

 

とはいえ


 ここで話が終わっては面白くないので,どうせ BT-LEだろうと思ってスニファをかけてみた.予想通り,GLFT-XXXXXというDevice Nameが引けた.ディスクリプタは 3つの Writeと 1つの Read,1つの ReadNotifyがアドバタイズされている.

 電源Onを担うためにちゃんとバッテリー通電直後から動き始めているっぽい.ということでデータリンク層ではちゃんと通信ができていて,しかし「パスワードが違う」という理由でアクセスが不能になっているのだろう.で,コレまた推測だがアプリ接続パスワードを初期化する機能に問題があって,デフォルト値に戻すことができていない.ところが「物理スイッチの配線が切れている」から始まり「ソフトのバグ」とか「そもそも初期化方法の説明が間違っている(実装と説明が異なっている)」まで可能性が多岐にわたるため,正直ユーザー側が調査してどうにかなるとは思えない.この初期化が通信側からも開いているとするならば適切な Writeディスクリプタにマスターパスワード的なものを使って叩くパスがある可能性があるが,ユーザー環境で通信側から解除させる手段を提供するとは思えないのでメーカー返送しないと治らない系な気がしてきた.ワンチャン譲渡した時のプロセスを踏めば良い可能性もある(旧オーナーが予め(明示されていない)初期パスワードに戻すとは思えない & 新オーナーがアプリ使えないはもっとあり得ない)が,メーカーの想定外のバグだとしたら心を閉ざしたままになる可能性もある.ちなみに「※ご自身でのパスワード変更に伴う不具合に関しては、弊社では対応できかねます。」ともあるので,自社のバグをしれっとユーザー責にする可能性も否定できない.まぁ少なくともパスワード初期化ができないのは説明とは異なるので,現時点では初期不良対応の範囲内と思われる.あー,その機能を説明書から削除した上で「新ユーザーにパスワードを教えてあげてください」という説明が後から追加される可能性もあるな.そのくらいはやりかねない.この節何もかもが推測だけど.

 ちなみに他にもアプリ接続ができなくなったユーザーがたくさんいるみたいだが,サポートは基本なしのつぶてだそうだ.というか表向きのサポートがFAQを紹介するアホなボットしかないのもどうにかしてほしい(その先にメールにつながるパスはあるが).まぁどうにかしたらしたでリテラシーのない人間が殺到するのでやりたくないんだろう.

 

その他にも


 odメーターは機能するが,tripメーターが「Onしている間の距離」であることには恐れ入る.買い物に行って停めて Offしたら,今日の走行距離を忘れる.どのくらい走ったからどのくらい寄り道してもいいか,とかは充電満了時の odメータの数値を覚えておいて自分で考えるしかない.もちろんバッテリーを抜かれると保持できない系の問題があるんだろうけど,そんなの odと一緒の領域に書いておけば良いだけじゃね?Flashの擦り切れ問題とかを気にしているレベル(それだって最低限のレベルだと思うが)の技術力とは思えないし.

 あと気になったのはブレーキとブレーキランプの関係かなー 普通はブレーキには操作量に対して効き始めるまでの「あそび」があって,しかしランプはその「あそび」の段階から点く設計が多いのだが(ランプの意図を考えれば必然的にそうなる),この車両は明らかにブレーキがかかった状態でないとランプが点灯しない.ゆっくり減速している場合はエンブレ(状態)なのかブレーキをかけているのか傍目には分からない.コレ追突事故を起こした場合に,後方車両のドラレコ映像的には印象が悪い結果を残すことになる.事前に減速していないように見えたり,ブレーキをかけるのが遅く見えたりするからだ.まぁそんなことまで考えているメーカーとも思えないが.

 そして最後になったけどバッテリー電源断問題.自分のところではまだ起こっていないが,コレはおそらく回生電力を適切に処理できていないが故のバッテリー側の保護機構が働いているものと考えている.なので,傾向として使用者の体重が重く,エンブレ(状態)を多用し,坂道を下る方向であるほど起きやすい,とかではないだろうか.運動エネルギーとして蓄積され,エンブレ(状態)で発生する回生電力は熱として逃すか,バッテリーに流し込むか,になる.どこかで見た文面の限りでは回生電力を(適切に)回収しているとも思えず,かといってそれっぽいラジエターがあるわけでもないので適当にバッテリーにぶち込まれているだけ,そして皮肉にも格安中華電動キックボードとは異なりバッテリー側の保護機構がしっかりしているが故に過剰な電力流入を許さず,シャットダウンになるというシナリオ.ただコレ基礎設計レベルの問題なので対処は難しいんじゃないかなぁ… ということで体重に関して心当たりがある人は「痩せろ」ということになるのだろうか.

21.6km/h = 6m/s で体重 80kgとして車両込みで 100kgとすると 1800J,回生抵抗が不明だけど,コレを エンブレ(状態)で 10秒で止まるとしたら 180Wを消費しなくてはならない.チャージャーからの最大流入量は 165w程度なので,許容限界はこの辺りか.んー,思ったよりは数字にインパクトがないが,まぁ起こり得るオーダーだということはわかる.体重よりも「ちゃんとブレーキを使う」「徐々にスロットルを抜いていく」という操作の方が重要なのかもしれない.

 

現時点での総論


 「コレはひどい(笑」

 とはいえ笑ってなんとかする人向けのアイテムなんだろう.先進的なところが軒並みダメで建前上の安全性に問題がありしかもサポートが怪しいならドンキの中華製の方がマシだ,と思う人もいる(というか大半)かもしれないが,今後起こりうるメーカー相手の対応も含めて「イベントを購入した」ものだということですよ.あとデザインは好きです(取ってつけ).

HomeKit ADK

やっとかよ


 Appleが HomeKitの ADK(Accessory Development Kit)ライブラリをオープンソース化した.せっかくなので自宅で動いている自前SmartHomeKitな RasPiを HomeKit対応させてみようと思う.というか Hey Siri対応だな.

 

RasPi上でのビルド


 mac上にビルド用の Dockerイメージを引っ張ってくるようだが,たいしたものではないのでセルフビルドすることにした.まず,libfaacをインストールしておく必要がある.これは標準のaptでは入ってこないので,/etc/apt/sources.list に http://www.deb-multimedia.orgを足して Acquire::AllowInsecureRepositories=trueしながら鍵を足して云々をする.

codefaq.org

次に aptで入るライブラリ・ツール群を入れる.libnfcとかも必要だったかも.

sudo apt -y install git clang libsqlite3-dev libasound2-dev libopus-dev ibavahi-compat-libdnssd-dev expect qrencode

それから適当な作業ディレクトリを掘ってリポジトリをクローンする.

git clone https://github.com/apple/HomeKitADK

最後にディレクトリを移動してから makeしてみる.

cd HomeKitADK && make TARGET=Raspi all

エラーが出るならばライブラリが足りないはず.エラーが出ないならばひとまず OKなので,自前の設定にするために二手間ほど加える.

鍵の固定


vi ./Tools/install.sh

 この中で provision_raspi.shというスクリプトを呼んでいるのだが,その引数に --setup-id HOGE を追加する.HOGEは [0-9A-Z]{4},つまり適当な 4桁の数値 or 英大文字.コレを入れておかないとアプリケーションの起動ごとに登録 (provisioning) が必要になる.

挙動の追加


vi ./Applications/Lightbulb/App.c

 この中の HandleLightBulbOnWriteという関数がコールバックとして呼ばれる.引数の bool valueが On/Offを意味するので,適当に書き換えて起こしたい挙動を追加する.自分は面倒なので stdlib.hを追加して system文で直接コマンドを呼ぶようにしてしまった.雑.

再ビルド & インストール


make clean && make TARGET=Raspi all

 もしエラーが出たら挙動追加部分が悪いということなので自己責任で直す.

./Tools/install.sh -d raspi -a Output/Raspi-armv6k-unknown-linux-gnueabihf/Debug/IP/Applications/Lightbulb.OpenSSL -n $HOST_NAME -p $PI_LOGIN_PASSWORD

 $HOST_NAMEは raspiのホスト名,$PI_LOGIN_PASSWORDはアカウント pi のパスワードを入れる.expectを使って(自分自身に ssh/scpして)アプリケーション(Lightbulb.OpenSSL)を ~/ に転送して provisioning して起動までやってくれる.provisioningの最中に QRコードが表示されるので,iPhoneなどの HomeKitアプリで登録を行う. setup codeは provision_raspi.shにもあるように 111-22-333.登録後は一旦 Ctrl-Cで終了し,~/Lightbulb.OpenSSLを何らかの形で自動起動できるようにしておくと良い.この際の引数は不要だが,実行カレントディレクトリは ~/ で sudoをつけて実行する必要があることに注意. 基本立ち上げっぱなしで自動起動設定もするつもりもないならば

cd ~/ && nohup sudo ~/Lightbulb.OpenSSL &

みたいにバックグラウンド実行してログアウトしてもOK.

お疲れ様でした


 あとは登録されたアイコンをタップする度に追加した処理 (例えば system文によるコマンド実行)がなされるはず.ということでシーン「もっと光を」を作成し,アクセサリとして On状態を追加したら「Hey Siri,もっと光を!」と叫ぶと部屋の電気がつくようになった.よかったね.

Canon PIXUS MG3630

iP4200が死んだ


 年賀状は元旦に作ると決めているのだが,いざ印刷しようと思ったら 12年選手の iP4200が死んでいた.厳密にいうとシアンとマゼンタのヘッドが相互交流を起こしているようで色がおかしい.まぁ流石に寿命だということで,Amazonや yodobashi.comでプリンタを物色する.現状基本的に年賀状しか使わないので適当なヤツで良い.印刷単機能で 3000円,複合機で 5500円くらいが最安のようだ.設置サイズもほとんど変わらないことと,技術的に遊べるレンジが広そうなWiFi対応の複合機(の型落ち),MG3630を買ってみることにした.接続性と紙送りに関しての前評判が悪すぎることが期待を高めてくれる.

 

無線LAN経由でのセットアップ


 翌日 8:50分に到着.早速開梱してセットアップ.で,無線LAN設定が…出来ない.期待通りである.本質的な問題は2つ.アクセスポイントモードにタイムアウトが存在することと,このプリンタが 2.4GHz帯にしか対応していないこと,

 まず前者.電源を入れてからインクタンクのセットを行う必要があるのだが,その間にほぼ確実にタイムアウトしている.このためネットワーク設定にたどり着いても SSIDを見つけることは出来ない.たしかにこのアクセスポイントモードはセキュリティ的にはザル状態で,集合住宅なら隣室から乗っ取ることすら出来ると思うが手抜き過ぎである.そして,アクセスポイントモードを再開するためのキー設定 (WiFiキー長押しで電源LEDの点滅を確認してスタートキー短押し -> WiFiキー短押し)がなぜか効かなかった.電源を Offして再Onする必要があり,地味に時間がかかる.

 次に後者.自宅では通常 5GHz帯を利用しており,未対応機器のために 2.4GHz帯も併用している.5GHz帯に接続された MacBookProは設定アプリに言われるがままに自身の接続情報を利用してプリンタを参戦させようとするのだが,5GHzに対応していないプリンタが繋がるワケが無い.従ってまず 2.4GHz帯につなぎ替えてからセットアップする必要がある.一般消費者はそんなことに気がつくはずもなく,渋々ケーブルをつないでセットアップしてAmazonのレビューに文句をたれるのだろう.と思いきや,2.4GHzにつないだ MBPからもルーターへの参戦設定に失敗した.ダメだこりゃ.で,iPhoneX登場.iOSアプリはプリンタのSSIDを見つけたあと,接続すべきルーターSSIDを指定させ,次にそのパスワードを入力させる.これなら 2.4GHz帯へのつなぎ替え必要なくね?下手に自動化しようとして,使いにくくなっている例であろう.

 

スマホ対応の本気度に時代を思う


 iOSアプリ地味にスゴイ.あらゆる設定が全部スマホで片が付くのである.まず現状のヘッド設定を印刷して,次にヘッド調整パターンを印刷してスキャンしてヘッド調整,最後に設定後のヘッド設定を印刷.「あぁ,このくらい差異が出るのか」というマニアックなチェックが全てスマホから出来るのである.あと必要かと言われるとそうでも無いと思うが,スマホから写真をさくっと印刷できる,というのはちょっと楽しいとは思った.後述するが,「スマホだけでも出来ること」の幅は格段に広がり続けている.

 

そして紙が詰まる


 ルーターへの参戦後は 5GHzの MBPからも検出が可能となる.プリンタドライバ・スキャナドライバだけ入れ,Canonアプリケーションは要らない.で,テスト印刷しようとしたら紙が詰まる詰まる.おお.コレか!と思ったが,どうやら先ほどスマホからハガキサイズの写真を印刷した際にプリンタ側の用紙設定を厚紙設定にしたからっぽい.え,そこ自動じゃ無いのかよ.で,エラーが出ているのでキャンセルしたいのだが,コレがどうやっても出来ない.MBP側からはキャンセルされていても,プリンタはエラー点滅しっぱなしだし,用紙設定の変更も出来ない.結局また Off/Onして再度テスト印刷をする必要があった.

 

だから年賀状作らなくちゃいけないんだよ


 そんなこんなでちょろっと格闘してからはさくさく使えるようになった.インクはたいして保たないらしいが,ヘッドごと交換できるというのは精神的にもラクでイイ.電源さえつなげば MBPからもスマホからもさくっと印刷できる,というのも良いものである.それどころか,例年使っている郵便局謹製のハガキデザインキットの宛名書きがダサすぎでスマホアプリから宛名書きを印刷してしまった.通信面の作成はドローイングソフトの使い勝手と細かな作業の必要性から MBP一択だが,コレもいずれはスマホからでも遜色なく出来るようになる気もする.

 

MBP要らない説


 やってみんべ,ってことで Photoshop Sketchを入れて作業.カスタムサイズでハガキの設定を作り (148mm x 100mm x 240ppcmで 3552px x 2400pxのキャンバスを作成),仕入れたイラストを waifu2xで超解像したものを配置,その他テキトーに作業したら MBPでの成果物と大差無くなった… コレを画像として吐きだして写真アルバムに保存,Canon PRINTアプリに移動して写真印刷で選択し,用紙設定を適当に設定して印刷,んー,画面が小さいという物理的な作業領域面積だけの問題で,スマホだけで出来なくは無いわ… 移動中とかにでも作業しようと思えばできるな.

 

画質は?


 やはり「それなり」である.5色インクの ip4200の全力と比較すればやはり粒状感は否めない.が,それは自分がそういう目線を持っているからというだけであって,ポストカードにサクッと印刷して楽しむ,というレベル=大きくプリントして本気で鑑賞するわけではない無い限り遜色ない画質と言える.その意味では 10年経っても基本的なスペックは変わっていない=必要とされていないということだろう.どうしても高解像度の印刷がしたい場合は,別途お金を払ってプロに印刷してもらえば良く,そのコストが問題になるレベルで印刷する必要があって初めてハイスペックプリンタ購入検討の余地が生まれるのだ.まぁでもソレ言ったら年賀状程度はプロに印刷してもらえばいいんだけどね…

MotoGP2017観戦 もてぎツインリンク 5コーナー激感エリア

2017年10月15日(日) 天気:曇り〜雨 気温:低め (10度台前半)

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ダニロ・ペトルッチ (OCTO Pramac Racing) (800mm F11 1/160s)

機材等 
  • カメラ α9+SEL100400GM+SEL20TC (35mm:200-800mm F9-F11)
  • 椅子 Helinox ChairOne
  • バッグ Kemeko MegaMouth
  • その他 ハンドタオル

 カメラはカバーなし,防滴設計頼り.とはいえタオルを上からかけて雨の直撃を防ぎつつ,シャッターチャンス以外はバッグの下で雨よけ.ファインダー内が結露することがあったが致し方ない.

 α9+SEL100400GMの組み合わせは本当に素晴らしい.x2 テレコンの SEL20TCを使うと像面位相差AFは解放絞りでしか使えないのだが,数打ちゃ当たるの精神に殉じれば素人でもジャスピンがばしばし生産できる.

服装
  • 帽子 MAMMUTのキャップ
  • レインスーツ MAMMUT Thunderstorm Rain-Suit
  • アウター モンベル EXライトダウンジャケット
  • ベースレイヤ ユニクロ ヒートテックウルトラウォームクルーネックT
  • アンダーウェア ユニクロ エアリズムT
  • パンツ Edwin WildFire
  • 靴 Bates DELTAII M6-ICS

 雨の中一日じっとしている必要があったので秋口にしてはガチ装備.これでも「寒くはない」という程度だった.いや正直に言うとちょっと寒かった.

5コーナー 激感エリア

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5コーナー 激感エリア 土手上左端 (iPhone6s)

 エリアへの進入は中央エントランス左手 4番からスタンドを経由してオーバルコースに降り,左側に直進.エントランスから徒歩10分といったところ. 雨なので自転車は持参しなかったが,持参していてもスタンドを下ろすのは憚られる.設備はトイレがあるくらいで,椅子は無いので持ち込み必須.定番のキャンプ椅子だが,下が土なので足が刺さって沈んだ.

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ポル・エスパルガロ (Red Bull KTM Factory Racing) (800mm F11 1/160s)

 ココの土手上最前列で 800mmを使うと真正面で冒頭の写真,コーナー最深部付近で上の写真の画角になる.コーナーの進入から脱出までマシンの傾く様がキレイに観戦できるが,いかんせん勝負所ではないためオーバーテイクはあまり見られない.一台一台をじっくり撮影するのには向いているが,複数台の絡みはあまり狙えないと感じた.狙うなら進入時か.

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トップの中上とアレックス・マルケス (800mm 11F 1/160s)

 時系列は前後するが,Moto2決勝の中上とアレックス・マルケス.この直後に中上はアレックスにトップを奪われる.アレックスはそのまま優勝.兄貴のマルク・マルケスも最終ラップ 5コーナー通過付近ではトップだったので,てっきり兄弟で Winnerかと思いきや最後の最後でドヴィに抜かれたらしい.やっぱり劇的なオーバーテイクは 90°かビクトリーコーナーが狙い目だろう.来年はビクトリーコーナーの激感エリアに行ってみようか.

GoProアプリ,やる気あんの?

 

GoProがドコに向かっているのかがよく分からんが


 結論,GoProが正気とは思えない.

 

リニューアル後さんざん叩かれたあのアプリですが


 ログインしないとカメラに繋げられないという○ソさで有名なモバイルアプリ Captureですが,なんと勝手にログアウトしなくなりましたよ!普通は当たり前だけど!

 きっと機能性も向上したに違いない!と思って使ってみました.

 

4Gでアップロードさせる気なん?


 1080@60pで撮影.何も考えずに iPhoneから WiFiでカメラに接続してプレビュー選んで共有アイコンクリックして Youtubeにログインして共有すると当然 4Gで upに行くよね.WiFiは GoProで塞がってんだから.で,やべっと思って WiFi切ると,当然全てがやり直しだよね.まぁいい.やり直すか.寛大だね!

 

「よくできました」


 まぁ 4Gでもいいんだけど,一旦 iPhoneのローカルに落としても Captureから共有は出来るわけですよ.iPhoneのストレージを喰うのと 4Gパケット使うのとどっちか選べって話だけど.…普通ストレージに落とす方選ぶよね?少なくとも「4Gだけどマジで Upして良い?」とか訊くよね?まぁいい.許そう.寛大だね!で,アップロードが完了するとダイアログがポップアップするんだけど,「よくできました」とか書いてんの.バカにしてるのかw

 

よくできてねぇよ


 でね,Youtube側見てみると「アップロード失敗: サポートされていないファイル形式」とかでエラーになってんの.は?実はローカルに落とした時点で iPhone向けの再エンコードがかかるのか,コレを Captureで上げるとエラーになるの.ローカルに落とさずに 4G経由の直upなら大丈夫なんだけど.つまり,モバイルアプリは 4G直up専用なんだぜ?ちなみにローカルに落として iPhoneの機能で youtubeに上げると 720pが上限になっちまうんだぜ?1080pをWiFiで上げる手段は絶対に提供しないという強い意志すら感じるんだぜ?

 

デスクトップアプリ Quickはそんなにク○ではないだろう


 と思うでしょ?そもそもモバイルアプリと名前の連続性がない (デスクトップアプリ Quickは モバイルアプリCaputureの機能も含み,動画編集もモバイルアプリQuickとは出来ることがビミョーに違う)んでイラッとするのはこの際おいておこう.寛大だね!Hero5自体は USB2.0だから直接 MBPにつないでも遅いだけだからカードリーダー経由で喰わせるワケですが,Quickでのインポートはオールオアナッシングなんですよ.プレビュー不能,選択不能.まぁ百歩譲って全部インポートしたとしよう.したんだけどさ.で,動画選んで共有アイコンクリックするわけですよ.すると Youtubeにログインを求められて,ユーザー名を入れて次はパスワードだ!と思いきや「405エラーが発生しました.リクエストした URLはこのサーバで見つかりませんでした.」ですよ.コレ絶対テストしていないよね?ちなみに 1080@120pとかは再生すら出来ない.サムネイルは出るんだけど,再生すると黒画.は?なにコレ.もしかして…試されてるの?    何を?寛大さ?何のために?

 

結論


 使い物にならない.何がどう,というレベルではなく使いものにならない.無理な共有をゴリ押ししてこなかった今までのモバイルアプリ・デスクトップアプリが懐かしい.硬派な GoProは死んでしまったんだね.いや勿論ヘビーユーザーはこんなモン使いませんよ.でも GoProはアクションカム人口を増やそうとしてコレをやっているワケでしょ?その投資全部無駄だっていうの,本当に気がついてる?ということで GoProが正気とは思えない件でした.