こんにちは。グスタフ・クリムトです。
普段はときおり配信したりしています。
今回は統率者戦で愛用している、カジュアルな《ひとつ目の暴君、カラジカール》の解説記事です。レベルは5-6を想定しています。
統率者
▲「ひとつ目の暴君」は誤訳。
《ひとつ目の暴君、カラジカール》は「フォーゴトン・レルム探訪」の統率者デッキ「次元の門」に収録された伝説のビホルダーです。ビホルダーはTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場するオリジナルの怪物で、巨大な眼と言語を解するほどの高い知能や眼から放たれる強力な魔法光線がその特徴と言えるでしょうか。
ビホルダーは浮遊していますが飛行は持っていません。残念。
また、魔法抑止の円錐(アンティマジック・フィールド)を使えますが護法は持っていません。残念。
能力を見てみましょう。
- 自分がプレイヤー1人を攻撃するたび、そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャー1体をタップして使嗾する。
- 対戦相手1人が他の対戦相手1人を攻撃するたび、自分と攻撃プレイヤーはカードを1枚引いて1点のライフを失う。
どうやら《ひとつ目の暴君、カラジカール》は対戦相手同士が争うことで本領を発揮する統率者のようです。使嗾はそれにピッタリの能力で、そのトリガーとして対戦相手を攻撃することも求められます。
そんな《ひとつ目の暴君、カラジカール》はこんな人にオススメの統率者です。
- 使嗾に興味がある
- とにかくゲームに介入したい
- 対戦相手同士で殴り合う様子を眺めていたい
- カードをたくさん引ける統率者を使いたい
- 明確な勝利プラン(後述)がある統率者を使いたい
使嗾を軸にした統率者はその性質上、最後のタイマンが明確な課題となってきます。そのため、時には《イス卿の迷路》や除去を使って対戦相手にけしかけるための対戦相手を守ることが重要になる場面もあるので簡単な統率者とは言えません。
しかしながら、それだけに "やりがい" もあり「どうやって勝つか」を考えるのが楽しい統率者とも言えます。僕も一時期は取り憑かれたかのように《ひとつ目の暴君、カラジカール》で遊んでいました。
解説
《地震》、《横揺れの地震》、《瀉血》
最初に紹介するのはこの3枚。《ひとつ目の暴君、カラジカール》の勝利プラン①です。使嗾で削れた対戦相手のライフをX火力で削りきって勝利することがゴールになるので、それを目指します。
《暴動》、《群衆の掟》
《ひとつ目の暴君、カラジカール》の勝利プラン②です。一時的にとはいえ、効果が全体に及ぶコントロール奪取です。使嗾で削れた対戦相手のライフを《暴動》を起こしたクリーチャー達で削りきって勝利することもまたゴールの一つになります。
《アングマールの魔王》ほか
Koskun Falls (2)(黒)(黒)
ワールド・エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、あなたがコントロールするアンタップ状態のクリーチャーを1体タップしないかぎり、Koskun Fallsを生け贄に捧げる。
クリーチャーは、それらのコントローラーが自分がコントロールするあなたを攻撃するクリーチャー1体につき(2)を支払わないかぎり、あなたを攻撃できない。
攻撃を抑制するカード群です。戦場にあるだけで生存率が大きく変わってきます。エンチャントであることから対処されづらい《無慈悲》が特に強力です。《ひとつ目の暴君、カラジカール》と似た統率者である《衝動的な告発人、ネリー・ボルカ》を組んでいる人に黒含みであることが羨ましいと言われる理由の一つでしょう。
《アングマールの魔王》と《戦慄》はそれぞれ回避能力を持つことから、《ひとつ目の暴君、カラジカール》の能力を誘発させる攻撃役としても優秀です。
《Koskun Falls》は端的に説明するのであれば1マナ重い上にシンボルも濃く、維持コストも必要な《プロパガンダ》です。しかし、黒であるということに意味があるカードです。維持するのは大変ですが、かなり殴られにくくなります。「ホームランド」に収録された再録禁止カードなので欲しい方は早めに手に入れましょう。
《変わり身ののけ者》ほか
《ひとつ目の暴君、カラジカール》と組み合わせることで確実に使嗾しに行くことができるクリーチャー群です。《変わり身ののけ者》と《苛まれし魂》の2枚はこのデッキの最後に埋まったマスターピースです。この枠では「ドクター・フー」からの刺客《ヴァシュタ・ナラーダ》も試していましたが、小回りが効く《変わり身ののけ者》や自分の《地震》で与えたダメージを反射できる能力を持つ《有刺の給仕》の方が強そうだという結論に至りました。
《礼儀妨害》ほか
全体使嗾です。相手をボロボロにしながら自分を守ることができる必殺技なので、何も考えずに使うのは避けたいところです。《ドゥームスカージ、カルダール》は擬似的な使嗾なので《白熱する追跡》と組み合わせられない点には注意しましょう。その代わり、後から出てきた速攻を持つクリーチャーにも作用します。余談ですが、《ドゥームスカージ、カルダール》を統率者にしてデッキを組むのも楽しそうではあります。エンド手段が極悪*1ですが……
《開拓地の戦争屋》、《Frenzied Gorespawn》
Frenzied Gorespawn (3)(黒)(赤)
クリーチャー ― ホラー(Horror)
Frenzied Gorespawnが戦場に出たとき、対戦相手1人につきそのプレイヤーがコントロールするクリーチャー1体を対象とする。それらを使嗾する。
1体以上のクリーチャーがあなたの対戦相手1人を攻撃するたび、ターン終了時までそれらのクリーチャーは威迫を得る。4/4
対戦相手を攻撃しているクリーチャーに威迫を与えるクリーチャー。最後のタイマンでも活躍するので見た目以上に強いです。使嗾したクリーチャーに威迫が乗るのは勿論のこと、自分のクリーチャーにも適用されるので《ひとつ目の暴君、カラジカール》を誘発させやすくなります。《Frenzied Gorespawn》は使嗾までこなすナイスなカードです。彼は「Ravnica: Cluedo Edition」で登場したカードのため、英語版しか存在しません。使用感がとても良いので、興味がある人は早めに手に入れておいた方がいいかも。
《凄腕の暗殺者》
《ひとつ目の暴君、カラジカール》の誘発型能力は、対象に取ったクリーチャーをタップさせるので《凄腕の暗殺者》と組み合わせることで狙ったクリーチャーを破壊することができます。自分に対する攻撃への抑止力としても働きますが、《凄腕の暗殺者》を嫌がって皆が殴り合わなくなってしまうので「あのプレイヤーを殴る分には起動しない」など上手く交渉するのも大事です。
《苛立たせる厄介者》
フェアリーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えると、そのプレイヤーにそこそこのサイズのクリーチャー・トークンをプレゼントするフェアリー。自身もフェアリーなので能力が自己完結しています。この能力で生成されるトークンではブロックができない上に使嗾されているので、《ひとつ目の暴君、カラジカール》にとっても都合が良いです。
このデッキでは攻防ともに活躍する《苦花》ですが、生成されるトークンはフェアリーなので《苛立たせる厄介者》の能力を誘発させることができます。
また、《変わり身ののけ者》もフェアリーなので《苛立たせる厄介者》の能力を誘発させることができます。忍者であることが注目されたこともありましたね。
《不気味な雇われ人》
それなりに良いお値段ですが、ビックリするぐらい強いカードです。《秘本に縛られし者、プロスパー》や《大衆扇動者、ブリーナ》で愛用していましたが、本物です。宝物・トークンを生成する能力(2つも!?)だけでも強いのですが、タップ不要の除去まで備わっています。回避能力を持ったクリーチャーを積極的に採用しているこのデッキでは、より輝くでしょう。
《無作法な挑発者》
攻撃を抑制するのが主な役割ですが、マナがあるときは自分でダメージも稼ぎに行けるクリーチャーです。《冒涜の行動》や《地震》に巻き込むことで大ダメージも狙えます。
既に紹介した《有刺の給仕》でも同じことができます。
《夜の星、黒瘴》
ダメージソースです。死亡がトリガーなので、立てておくだけで「《夜の星、黒瘴》を死なせる訳にはいかない」という理由でこちらへの攻撃が止まったりします。もちろん、飛行を持つ5/5という恵まれたボディは攻撃面においても優秀です。単なるライフルーズではなくドレイン……それも《瀉血》と同じ形式なのが極悪で、延命にも大きく貢献します。
《虐殺のワーム》
ちょっとした全体除去を内蔵しているクリーチャーですが、ライフを失わせる常在型能力が強力なので採用しています。そういう意味では《夜の星、黒瘴》と採用の理由が近いです。とにかく対戦相手のライフを削りたい。
余談ですが、《怒りの母、ダスカナ》を使っているプレイヤーからすると《虐殺のワーム》はマジでキツいらしいです。
《みかじめ料》
かの有名な《闇の腹心》の変形のようなカード。ただし、その請求は対戦相手に行きます。
テキストを確認されることもあるカードなので、実例を添えて挙動を見てみましょう。
例)
自分を含めて4人のプレイヤーがいる想定で進めていきます。
- 自分のアップキープに《みかじめ料》が誘発。
- ライブラリーの一番上のカードを公開。今回は《ラクドスの印鑑》だった。
-
自分の次の手番のプレイヤーは、《ラクドスの印鑑》のマナ総量に等しいライフ(この場合は2点)を支払うことで《ラクドスの印鑑》を追放できる。
- このプレイヤーは2点のライフを支払わないことを選んだので、《ラクドスの印鑑》が自分の手札に加わった。
- 対戦相手はまだ2人いるので、更にライブラリーの一番上のカードを公開。今回は《暴動》だった。
- 自分の次の次の手番のプレイヤーは、《暴動》のマナ総量に等しいライフ(8点)を支払うことで《暴動》を追放できる。
- このプレイヤーは《暴動》を渡すと負けることを知っていたので、泣きながら8点のライフを支払った。これにより《暴動》は追放された。
- 対戦相手はまだ1人いるので、更にライブラリーの一番上のカードを公開。今回は《沼》だった。
- 自分の次の次の次の手番のプレイヤーは、《沼》のマナ総量に等しいライフ(0点)を支払うことで《沼》を追放できる。
- このプレイヤーは喜んで0点のライフを支払った。これにより《沼》は追放された。
《闇の腹心》とは異なり、運用としてはドローソースではなくダメージソースとなっています。《闇の腹心》は「土地がめくれたら宇宙」だなんて言ったりもしますが、《みかじめ料》は「土地がめくれたら号泣」です。ノーリスクでやり過ごされるどころか、土地を弾かれ続けて土地事故を起こすリスクが付きまといます。
とはいえダメージソースとして充分な働きを見せますし、何よりも卓が盛り上がる楽しいカードなので是非使ってみてください。
《極上の血》
シンプルなテキストの極悪エンチャント。僕は流血表現が苦手なので新しいイラストで再録してほしい一枚です。
《ひとつ目の暴君、カラジカール》は対戦相手同士を争わせて複数人のライフを攻める統率者なので、《極上の血》でとんでもない量のライフを得ることができます。ライフが100点を超えた試合もありました。
《血なまぐさい結合》との2枚コンボが有名で(警戒もされま)すが、僕はレベル5-6のデッキでは2枚コンボは採用しない方針を執っているので《極上の血》だけの採用としています。実際のゲームでも、《極上の血》をプレイする場合は「《血なまぐさい結合》は採用していない」と正直に明かすようにしています。その方が得することが多いからです。それはそれとして《極上の血》はめっちゃ強いので警戒されます。大人しく受け入れましょう。
《死の溜まる地、死蔵》
伝説のクリーチャー1体に畏怖を与える伝説の土地です。そこそこお値段しますが、アンタップインであることに加えて能力を起動するためのコストも軽いので非常に使い勝手が良いです。自分のクリーチャーはもちろん、対戦相手のクリーチャーも対象に取ることができるので、使嗾したクリーチャーに畏怖を与えて突っ込ませることもできます。
《Minas Morgul, Dark Fortress》
Minas Morgul, Dark Fortress
土地
Minas Morgul, Dark Fortressはタップ状態で戦場に出る。
(T):(黒)を加える。
(3)(黒)、(T):クリーチャー1体を対象とする。それの上にシャドー・カウンター1個を置く。シャドー・カウンターが置かれている限り、そのクリーチャーは他のタイプに加えてレイス(Wraith)である。
他では見ないであろうシャドー・カウンターを扱うカードです。自分のクリーチャーはもちろん、対戦相手のクリーチャーも対象に取ることができるので、使嗾したクリーチャーにシャドーを与えて突っ込ませることもできます。
《イス卿の迷路》、《禁忌の果樹園》
対戦相手にけしかける対戦相手を守るために使うことが多いカードなのでまとめて紹介します。
《イス卿の迷路》はマナが出ませんが、そのデメリットを帳消しにしてくれるぐらい強力な抑止力となってくれます。自分を守るために使うのはもちろんのこと、準備が整っていない状態でのタイマンを防ぐために瀕死の対戦相手の命綱として使うことも少なくありません。
《禁忌の果樹園》は使嗾して殴り合ってもらうためのトークンをこちらから渡したり、対戦相手が死なないようにブロッカーを用意してあげたりとプレイヤーの腕が試されるカードです。
廉価版
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晴れる屋でのシングル価格が600円以下*2のカードのみで構築しています。
この記事を読んで《ひとつ目の暴君、カラジカール》に興味を持ってくださった方が「でも《Koskun Falls》とか高いし……」とデッキを組むのを断念されるのはあまりにも勿体ないので、限られた予算の中でも組めるリストを用意しました。ただし、僕は実際にこのリストを使ってゲームをプレイしたことがない点には留意してください。
サイドボードにはデッキを強化するときに採用を検討してほしいカードを、検討中にはシングル価格600円以下で入れ替え候補となるカードを入れてみました。参考にしてみてください。
最後に
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
《ひとつ目の暴君、カラジカール》はプレイしていて非常に楽しい統率者です。
皆さんも対戦相手を争わせて悦に浸りましょう。
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