白濁史上このBL小説がすごい!

ご注文は小説ですか?

もうまとめてやっちゃおう!「今夜は寝かせない!KING OF BL NOVEL」その1

書いては上げられぬ下書きが3件もあって左側頭部が変な汗が出た。

商業BL小説人口を増やしたい気持ちが急にわいてきたので筆を執ります。
もうまとめてやります。一つ一つやってると亀の歩みで布教もクソもない!どんどん行くぞ!

1、「不機嫌で甘い爪痕」崎谷はるひ

不機嫌で甘い爪痕 (幻冬舎ルチル文庫)

不機嫌で甘い爪痕 (幻冬舎ルチル文庫)


私の原点のような作品。ノベルス版(桜城やや先生挿絵)をすり切れるほど読んだ。年下ワンコ攻め最高!
宝飾会社に勤めるノンケ、謙也がジュエリーデザイナーでゲイの颯生ととあるきっかけでお試しセックスをする事になるんですが、商業BL界のノンケってセックスに関して天賦の才能ありすぎじゃないですか!?そりゃあ年上美人ツンデレゲイ受けもメロメロですよ!でもきっかけが「お試し」だから「男とのセックスが物珍しかっただけなんだ…」と落ち込む颯生さん…そこは!謙也の!ワンコっぷりで!カバー!  できた攻めだこりゃ!
安心安全の崎谷クオリティで濡れ場描写も申し分なし!ノベルス版がすり切れたのは濡れ場を読み込みまくったのが原因じゃないかってくらい好きです。攻めが最中に辛抱たまらなくなって受けを呼び捨てにするところとか、颯生さんの「うしろでいったのはじめて」とか、「俺のここ…どう?」とか!アアーッ!特に「なに?なんで?いや?」がヤバイ!ドラマCDで更にヤバイ!鈴木達央の颯生さんが犯罪級にヤバイ!読んだあとは是非聴いてください!ドラマCDの彼の演技に関しては多くは語りません!むしろ私より皆さんの方が彼の濡れ場演技にはお詳しいでしょう!カーッ!とんでもねえ!女やめてえ! 

これはシリーズ第1作ですが全3作ございます!ドラマCDもそれぞれあります!颯生さんの乳首コキをカットしたドラマCDまじ許さねえ!(ちなみに謙也は高橋広樹さんだよ!)

\年下ワンコノンケ×年上美人ゲイ最高/


2、「未完成」凪良ゆう

未完成 (プラチナ文庫)

未完成 (プラチナ文庫)


どんだけ凪良ゆうなの?って感じなんですけど…そしてまたこれ年下ノンケ×年上ゲイなんですけど…性癖がわかりやすくむき出しな女すぎる…
生徒×教師もので、夜の街で教師の阿南が男とキスするのを見た高校生の瀬名は昼と夜との彼のギャップに興味を持ち押しかけ女房(?)に…という流れ。未成年ゆえに心も体も未完成で、瀬名にはどうしようもできない重い家庭の事情もある。阿南にも教師としての責任や同情があり、二人の人生が絡み合って、途切れて、また強固に繋がっていくさまは涙なしには読めませんでした。初めて読んだときはお風呂で読んだんですが読後は冷えた湯船で泣いていた。
学生って、親に扶養されている身だから自分の身の振り方を選べなくてままならないこともありますよね。雁字搦めの中でどう愛するのか、どう決着をつけるのか。未完成なふたりが折り合いをつけて歩んでいく時の流れは読んでていろんな涙が…
個人的に一度別れてまた再会する二人…という「別れ萌え」「時の流れ萌え」がある。BLは人生。
草間さかえ先生の図体のでかい年下攻め瀬名と、こんなんクラブにいたら私もチューしちゃう!なすらっと美人の阿南の挿絵がいいぞ!

\BLは人生!/


残弾は結構あるんですが凪良ゆう率が高すぎて嗜好丸出し…とりあえず本日はここまで!

【カレーばっかり】白濁【食べている】

変わる器変わらない心 凪良ゆう『ショートケーキの苺にはさわらないで』


白濁史上このBL小説がすごい第二弾は発売して間もないうちから神作品と名高い「ショートケーキの苺にはさわらないで」をご紹介したいと思います。また凪良ゆう先生です。鉄は熱いうちに打て。

人型のアンドロイド“ドール”が人々の生活の一部になりつつある近未来の日本。セクサロイド機能を持ったアンドロイド(通称“裏ドール”)の魅力にとりつかれた攻め・南里(ナンリ)と、南里のバイト先(ピンサロ)に売り飛ばされてきた男性型裏ドールの受け・シンのお話です。

思春期に裏ドールの魅力にはまり、女性型裏ドールの購入資金を貯めるべくバイトをする大学生の南里は、乱暴なマスターに売り飛ばされそうになったシンを(男性型とはいえ)放っておくことはできませんでした。これまでに貯めてきた250万円をマスターのおっさんに突きつけシンを引き取るのですが南里の男気がかっこよかった…!「後悔はしていない」と言い切るところもいいですね!

突然始まったシンとの生活は不器用ながらに進んでいきます。『ふう』のエピソードやエロコレのエピソード等、童貞の南里と無垢なシンのふれあいが和む〜!!ウオ〜!!タイトルになっているショートケーキももちろん出てきます。ケーキの上の苺をつついて落としてしまったシンに、食べる前には苺にはさわっちゃダメだと教える南里。シンも「……ショートケーキの、苺には、さわらない」と復唱。みなさんこれキーワードですよ!伏線!伏線ですよ!まだ大丈夫ですが、このあたりからふわふわのタオルを用意しておいてくださいね。

初めてキスしたり、初めて体を重ねたりなんかしている二人のほのぼのムードの反面、この作品の時代の日本の情勢がかなり厳しくなっていることがうかがえます。なんてったって憲法9条改正しちゃってますからね。お話の中とはいえ他人事ではない感がひしひし。
激化する情勢の中で、裏ドールも含めた家庭用ドールの徴兵が始まります。赤紙よろしく一般家庭にもドール回収の知らせが来て…南里も、その例外ではありませんでした。このピンチに動くのが序盤から登場している南里の大学のドールサークルの友人たちです。特に南里の一番の友人・阿部ちんがものすごーくいい奴です。もうこのサークルの人らみんないい奴。ハラハラする展開の中でもシンのことを「シンちゃん、シンちゃん」とかわいがるサークルのみんなに癒される…うう…

ピンチを乗り切るため『逃亡』を選ぶふたり。その逃亡劇が終わる時物語は一度結ばれます。ここタオルポイントです。どんどん拭いてください。終わりからまた時は流れ、さらに流れ、いくつかの出会いや大きな出来事があり、また物語は結ばれます。もうここまでくるとどこもかしこもタオルポイントですよ。その中でも序盤に出てきたキーワード「ショートケーキの苺にはさわらない」が再び出てくるんですね。それを言うのは再度シンであったり、ナンリであったり。言葉はリフレインし、時の中で積み上げてきた記憶を呼び起こします。人間と機械であっても、記憶が擦り切れ歪になってしまっても、たくさんの時間が経っても、容れ物が変わっても、もう、人間でなくても、二人の間には変わらない核のようなものがあり、「尊い…」と涙を流すことうけあいです。

凪良先生はあとがきで「何度別れても何度も出会う、出会ったら『あ、この人だ』とわかってしまうふたりというのはいいですね」と書かれています。私これ100回くらい頷いた。バッチリタイトルを出すと「それ、ちげーよ!」と怒られそうですし厳密に言うと少し違うので濁しますが某少女革命アニメやかわい有美子の某モノクル受けの作品、某先生のタイトルに代償がつくシリーズとかが好きな私には頭をトンカチで叩かれるレベルに好きなやつです。お互いが唯一無二だったり運命の二人に弱いんですよね…

そんな唯一無二の二人が、ほのぼのだった前半から一転、国内情勢に巻き込まれて後半ではいったいどうなるのか?その辺はわたくしの文章ではかなーーーーーりぼかして書かせていただきました。だって読んでほしい。お金あげるから買ってそして読んでほしい。
「泣ける!」とか言われると「またまた〜」って天邪鬼を発動させてしまそうそうですけど嘘偽りない事実なんであえて言いますよ!泣けます!タオルは絶対準備しておいてくださいね!
今までも凪良作品で「ウッ…グスッ…シクシク…」とかましてきた私ですがこれ一番水分量多かったんじゃないかな…

泣ける泣けると連呼してますが同じくらいほのぼので純粋に癒し成分もモリモリです!みんないい人。感銘を受ける部分もあり、今回のタイトルも巻末の短編「夜から朝まで」中で心に残った一節に影響を受けて決めてみました。

挿絵は草間さかえ先生。さかえ先生のシンちゃんめちゃくちゃかわいいよー!美しいよー!おふたりのタッグは「未完成」(プラチナ文庫)もでしたよね。こちらもすごーーーく好きな作品なので書きたい。ザ・年下攻め!ノンケ×ゲイ!

どんどん「この凪良ゆうがすごい」になってますけど次回はさすがに別の方にしますよ!凪良先生の最新刊がすばらしかったので急遽食い込ませた第二弾でした。

2月15日
大量のチョコレートをどう消費しようか頭を悩ませる女  白濁

究極の需要と供給 凪良ゆう『美しい彼』

白濁史上このBL小説がすごい第一弾、凪良ゆう先生の『美しい彼』のご紹介です。並み居るBL作家さんの中でも屈指の読みやすさを誇る凪良先生。そんな凪良先生の作品の中でも「これ、めっちゃ楽しんで書かれたんだろうなー!」なんて思える勢いのある作品でございます。

【Amazon co.jp限定】美しい彼 書き下ろしショートストーリー付き (キャラ文庫)

【Amazon co.jp限定】美しい彼 書き下ろしショートストーリー付き (キャラ文庫)


凪良先生は泣けるシリアスめな作品か、底抜けに明るいコミカルな作品を書かれる方かな〜と思ってたんですが、これはそのどちらにも当てはまらなそうな作品ですね。葛西先生の射抜くような瞳の表紙が美しいぞ!

吃音持ちでスクールカースト最下層の攻め・平良(ひら)と誰も寄せ付けない美しさを持つカースト最上位の受け・清居(きよい)が高校二年生のクラス替えで出会ってから、教室での秘密の交流を経て綴られる愛と信仰、時々ツンデレの数年間が書かれています。

平良目線の本編「美しい彼」、ふたりの大学時代の続編「ビタースイート・ループ」でひたすらに清居を崇拝する平良の姿に私は「こ、これが『信仰』か…」とおののきました。いやでも私だってクラスにきよいちゃんがいたら物陰から信仰してる。斜め後ろからきよいちゃんを見つめて授業中イラストなんか描いてるかもしれない。心はすっかりキモオタです。デュフフ。それくらい清居の存在が他とは違うカリスマ性にあふれたものだとひしひし伝わってくるんですね。きよいちゃんが現実にいたらどうしよう。絶対眩しいな。(余談ですが清居は普段穏やかなのに自分のシンメ相手にだけはツンデレになってしまう某J系アイドルの彼を彷彿とさせます…)

 畏怖と信仰に満ちた交流の中で明らかになる清居の生い立ちや夢。清居が孤独な幼少期に強烈に求めたものを完璧な形で差し出してきたのは平良だったんです。唯一無二の相手を崇拝し、その相手もそれを『快感』だと思っているだなんて需要と供給が成り立ちすぎている…相手が嫌がっていればうわっ!ストーカーだ!キモチワルイ!ですが、不思議なほど清居は嫌がっていないし(冷たいけれど)、平良の崇拝は清々しいレベルだし、もうこれ運命じゃないかな?みたいな…パズルがぴったりはまるような感覚ですね。

神で抜いた後は罪悪感で死にたくなるよね。
神が自分のことを好きになってくれるだなんてつゆほども思わないよね。
神は穢しちゃいけないよね。

そんな平良の戒律をぶち壊し、読者を悶絶の境地に叩き落とすのが続けて収録される清居視点の「あまくて、にがい」です!!!!きよいちゃんが気位の高いツンデレすぎてやばい。高校を卒業してもまた平良と会ってやってもいい(上から目線)なんて思ってたのに何も言わない平良に焦れてファーストキスを捧げてみたり、他から平良の情報をさりげなく聞き出してみたり、偶然を装い自分の舞台に来るよう仕向けてみたり、もう読んでるこっちが焦れ焦れだよ!素直になれよ!
一番面白かったのは平良からの連絡をあまりに待ち続けたきよいちゃんが間違い電話を装って平良の携帯に着歴を残し、折り返しをさせて連絡を得ることを思いついた場面です。まどろっこしいし全く素直じゃなくて愛おしすぎる。このいじらしい尽力のシーンは本当に悶え苦しんだので是非読んでほしい。恋は人をおバカにしてしまうんですね。

崇め奉っていた観音様、清居奏に予想外の蜘蛛の糸(屈強なタイプ)を垂らされたカンダタ、平良一成は糸を登り終わった後、どんな僥倖を手に入れたのでしょうか?糸を引っ張っていた清居のいじましさも併せてぜひその目でご確認ください!!!(仏教関連の話ではないですよ!)

ページをめくるたびに萌えボルテージがぐんぐん上昇して清居視点でついに天元突破した感があるくらいには破壊力がすごかった…ダメ押しとばかりに巻末の短編「月齢14」でも私のツボが爆散しました。磨けば光る平良だけど、平良が他の人間に言い寄られるのが気にくわないきよいちゃんが「誰の男に手を−−−」と言いかけるまでになったのがもうなんか、ああ、ああー!うわー!ああうあー!(咆哮)独占欲を見せるまでになったなんて孫の成長を見たような気持ちですよ!清居奏と言う名の宝物です。

信仰が愛情になったり、頑なな気持ちが丸くなったり、時間をかけて互いが影響し合えばし合うほど、関係はゆるやかに変容していきます。出会いの高校生時代から大学生にかけてふたりがどう変わっていったかにも注目して読んでいただければ。

このBL第二弾は興奮冷めやらぬうちに凪良先生の最新刊を取り上げようかな…と思ってる次第です。(もう「この凪良ゆうがすごい」でもいいんじゃ…?)
凪良作品以外もありますからね!気を抜くと「この崎谷はるひがすごい」になりますけど!!!ラインナップはいろいろ考えておりますので!!!



2月13日
時給より売ってるチョコレートふた粒のほうが高い女 白濁

はじめに

初めまして白濁です。

商業BL小説バリバリ読んでるよ!という方にも、「何から読めばいいの?」「まず、商業はちょっと…」という方にも、「ま、まだまだ世間にはこんな好物件、眠ってますよ!」とお伝えするべく、今回筆を執らせていただきました。

 私自身オールラウンドに数を読んでいるわけでもありませんし、かなり偏った蔵書からセレクトしてご紹介する予定です。内容、挿絵、文体などトータルで見ても自信を持っておすすめしたい作品ばかりですので、すてきな作品との出会いの一助になれば幸いです。