[本紹介]児童文学#2『はるかな国の兄弟』
『はるかな国の兄弟』
ジャンル・・・冒険
対象年齢・・・小学生中学年以上、大人にも読んでほしい本
キーワード・・・ファンタジー、竜退治、兄弟、生と死
*あらすじ*
クッキーとヨナタンは、「ナンギヤラ」と呼ばれる世界にやって来ました。
ナンギヤラには、二人が心地良く住める家や、素晴らしい馬が用意されていました。
クッキーは喜びますが、ナンギヤラには恐ろしいカトラをめぐって、争いが起ころうとしていたのでした。
クッキーとヨナタンは、村の人を助けるためカトラに立ち向かいます。
*どんな人におすすめ?*
・ファンタジーが好き
・勇者やドラゴンが好き
・きれいな物語が好き
・生きることや死ぬことが不思議だと思う
・ワクワク、ドキドキしたい
・天国がどんな場所か考えたことがある
*解説*
この本は大人になってから読んだ本ですが、大好きで何度も読んでいます。
リンドグレーンさんの本は、ファンタジーからヒューマンドラマのような作品まで幅広いですが、どの作品にも温もりがあり、読んでいて楽しいと同時に優しい気持ちになれます。
(リンドグレーンさんについては、いつか別の機会に詳しく書こうと思っています)
作中に出てくる「ナンギヤラ」とは、タイトルの通り「はるかな国」を指します。
それは死後の世界のことで、最初は天国のように見えます。
美しい自然や親切な人々、動物、美味しいご飯。
地上の世界で病弱だったクッキーは、ナンギヤラに来たとたん、体が自由に動くようになって驚きます。
しかし、ナンギヤラに来て少し経つと、徐々にナンギヤラという世界にも悪が存在することを知るのです。
私にとっては、「天国にも悪がある」ということが衝撃的でした。
天国は完璧な場所だと思っていましたから。
兄弟は勇敢に悪に立ち向かいますが深い傷を負い、そこでまた新しい世界に旅立つことになります。
最後のシーンは大変印象的です。
子どもの頃は、「死」というものを身近に感じるものだと思います。
「なぜ、人は死ぬのだろう?」
「人は死んだらどこへ行くのだろう?」
「死ぬのは痛いのかしら?」
わからないから怖くなって、急に夜眠るのが恐ろしいと感じた経験は、みなさんにはありませんか?
この本は、そんな生と死の問題に触れながらも、ハラハラする冒険の物語として最後まで楽しませてくれます。
そして読み終わった後には、子どもたちの感性の中に、生と死が「恐ろしいもの」としてだけではなく、「楽しい冒険」として優しく染み込んでいるのではないかと思います。
大人のみなさんにも、ぜひおすすめしたい本です。
[本紹介]児童文学#1『二分間の冒険』
ジャンル・・・冒険
対象年齢・・・小学生中学年以上
キーワード・・・竜退治、男の子と女の子、ファンタジー、学校
*あらすじ*
ある日、体育館でとげ抜きを拾った悟。保健室に届けに行く途中で
不思議なネコと出会います。
ネコは悟を不思議な世界に送りこみ、こう言うのでした。
「この世界で一番確かなものを見つけたら、元に戻してやるよ」、と。
悟は迷いこんだ世界で、クラスメイトたちそっくりの仲間と出会い、
パートナーになったかおりと共に、竜のいけにえになるための冒険へ
くりだすのでした。
*どんな人におすすめ?*
・ファンタジーが好き
・勇者やドラゴンが好き
・学園ストーリーが好き
・男の子と女の子が仲良くなるお話が好き
・ワクワク、ドキドキしたい
・なぞなぞが得意
*解説*
この本は、とてもワクワクする冒険の物語です。
物語は悟の目線で語られていき、テンポもよくて最後まであっという間ではないでしょうか。
大人が読むと、「確かなものを探す旅なのだ!」などと哲学めいたこと
を考えてしまいそうですが、本の解説にも書いてあるように、
これは純粋な冒険活劇なのですから、大いにハラハラドキドキを楽しめば
良いと思います。
子どもの頃に読むと、悟やかおりの汗、匂い、泥、雨のぐしょぐしょで
気持ち悪い感じ、そんな感覚がとてもリアルに迫ってくると思います。
ぜひ、悟やかおりと一緒に竜退治の旅に出かけてください。
#0ごあいさつ
みなさん、こんにちは。
はなのうたこと申します。
これを読んでくださっているのは、大人の方でしょうか?
それとも高校生や中学生?
もしかしたら、文字を覚えたての子かもしれません。
このブログは、私が素晴らしいと思った本をご紹介していく
ものですが、主に「児童文学」と呼ばれるジャンルの紹介になります。
なぜかというと、私は子どもの頃から本が大好きで、
大人になってからも、大人の本よりも子どもの本が肌に合ったからです。
児童文学は、絵本よりはもう少し大人寄りで、
大人の文学よりはもう少し子ども寄り。
ちょっと線引きがし辛い位置づけです。
絵本も子ども向けですが、大人が本を選んだり薦めたりしますよね。
ところが児童文学は、子どもが自分の力で本を選ぶように
なった時期に読む本なのです。
絵本や小説よりも話題に取り上げられていないようにも思うのは、
「大人が介入しない」からかもしれません。
しかし、この時期は一番子どもたちが多感で、心も体も大きく
成長していく時なのです。
この時期に読んだものは食べ物と同じで、その後の成長に深く関わってきます。
私がご紹介していく本は、この小学生から中学生くらいの
みなさんにとって、豊かな財産になると思います。
そして、素晴らしいものは世代を超えると信じていますので、
大人のみなさんにも、人生を見直したくなるようなポイントが
いくつも見つかると思っています。
ぜひ、素晴らしい児童文学の世界と出会ってください。
みなさんの楽しい読書の参考になれば光栄です。
はなの うたこ