はなのうたこの本の世界

子どもから大人まで楽しめる本の紹介

[本紹介]児童文学#2『はるかな国の兄弟』

『はるかな国の兄弟』 

作.アストリッド・リンドグレーン

訳.大塚勇三   (岩波少年文庫 2001年)

ジャンル・・・冒険

対象年齢・・・小学生中学年以上、大人にも読んでほしい本

キーワード・・・ファンタジー、竜退治、兄弟、生と死

 

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*あらすじ*

 

クッキーとヨナタンは、「ナンギヤラ」と呼ばれる世界にやって来ました。

ナンギヤラには、二人が心地良く住める家や、素晴らしい馬が用意されていました。

クッキーは喜びますが、ナンギヤラには恐ろしいカトラをめぐって、争いが起ころうとしていたのでした。

クッキーとヨナタンは、村の人を助けるためカトラに立ち向かいます。

 

 

*どんな人におすすめ?*

 

・ファンタジーが好き

・勇者やドラゴンが好き

・きれいな物語が好き

・生きることや死ぬことが不思議だと思う

・ワクワク、ドキドキしたい

・天国がどんな場所か考えたことがある

 

 

*解説*

 

この本は大人になってから読んだ本ですが、大好きで何度も読んでいます。

リンドグレーンさんの本は、ファンタジーからヒューマンドラマのような作品まで幅広いですが、どの作品にも温もりがあり、読んでいて楽しいと同時に優しい気持ちになれます。

リンドグレーンさんについては、いつか別の機会に詳しく書こうと思っています)

 

作中に出てくる「ナンギヤラ」とは、タイトルの通り「はるかな国」を指します。

それは死後の世界のことで、最初は天国のように見えます。

美しい自然や親切な人々、動物、美味しいご飯。

地上の世界で病弱だったクッキーは、ナンギヤラに来たとたん、体が自由に動くようになって驚きます。

しかし、ナンギヤラに来て少し経つと、徐々にナンギヤラという世界にも悪が存在することを知るのです。

 

私にとっては、「天国にも悪がある」ということが衝撃的でした。

天国は完璧な場所だと思っていましたから。

兄弟は勇敢に悪に立ち向かいますが深い傷を負い、そこでまた新しい世界に旅立つことになります。

最後のシーンは大変印象的です。

 

子どもの頃は、「死」というものを身近に感じるものだと思います。

「なぜ、人は死ぬのだろう?」

「人は死んだらどこへ行くのだろう?」

「死ぬのは痛いのかしら?」

わからないから怖くなって、急に夜眠るのが恐ろしいと感じた経験は、みなさんにはありませんか?

 

この本は、そんな生と死の問題に触れながらも、ハラハラする冒険の物語として最後まで楽しませてくれます。

そして読み終わった後には、子どもたちの感性の中に、生と死が「恐ろしいもの」としてだけではなく、「楽しい冒険」として優しく染み込んでいるのではないかと思います。

大人のみなさんにも、ぜひおすすめしたい本です。

 

[本紹介]児童文学#1『二分間の冒険』

『二分間の冒険』 作.岡田淳 (偕成社文庫 1991年)

ジャンル・・・冒険

対象年齢・・・小学生中学年以上

キーワード・・・竜退治、男の子と女の子、ファンタジー、学校

 

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*あらすじ*

 

ある日、体育館でとげ抜きを拾った悟。保健室に届けに行く途中で

不思議なネコと出会います。

ネコは悟を不思議な世界に送りこみ、こう言うのでした。

「この世界で一番確かなものを見つけたら、元に戻してやるよ」、と。

 

悟は迷いこんだ世界で、クラスメイトたちそっくりの仲間と出会い、

パートナーになったかおりと共に、竜のいけにえになるための冒険へ

くりだすのでした。

 

 

*どんな人におすすめ?*

 

・ファンタジーが好き

・勇者やドラゴンが好き

・学園ストーリーが好き

・男の子と女の子が仲良くなるお話が好き

・ワクワク、ドキドキしたい

・なぞなぞが得意

 

 

*解説*

 

この本は、とてもワクワクする冒険の物語です。

物語は悟の目線で語られていき、テンポもよくて最後まであっという間ではないでしょうか。

大人が読むと、「確かなものを探す旅なのだ!」などと哲学めいたこと

を考えてしまいそうですが、本の解説にも書いてあるように、

これは純粋な冒険活劇なのですから、大いにハラハラドキドキを楽しめば

良いと思います。

子どもの頃に読むと、悟やかおりの汗、匂い、泥、雨のぐしょぐしょで

気持ち悪い感じ、そんな感覚がとてもリアルに迫ってくると思います。

ぜひ、悟やかおりと一緒に竜退治の旅に出かけてください。

#0ごあいさつ

みなさん、こんにちは。

はなのうたこと申します。

 

これを読んでくださっているのは、大人の方でしょうか?

それとも高校生や中学生?

もしかしたら、文字を覚えたての子かもしれません。

 

このブログは、私が素晴らしいと思った本をご紹介していく

ものですが、主に「児童文学」と呼ばれるジャンルの紹介になります。

 

なぜかというと、私は子どもの頃から本が大好きで、

大人になってからも、大人の本よりも子どもの本が肌に合ったからです。

 

児童文学は、絵本よりはもう少し大人寄りで、

大人の文学よりはもう少し子ども寄り。

ちょっと線引きがし辛い位置づけです。

 

絵本も子ども向けですが、大人が本を選んだり薦めたりしますよね。

ところが児童文学は、子どもが自分の力で本を選ぶように

なった時期に読む本なのです。

絵本や小説よりも話題に取り上げられていないようにも思うのは、

「大人が介入しない」からかもしれません。

しかし、この時期は一番子どもたちが多感で、心も体も大きく

成長していく時なのです。

この時期に読んだものは食べ物と同じで、その後の成長に深く関わってきます。

 

私がご紹介していく本は、この小学生から中学生くらい

みなさんにとって、豊かな財産になると思います。

そして、素晴らしいものは世代を超えると信じていますので、

大人のみなさんにも、人生を見直したくなるようなポイントが

いくつも見つかると思っています。

 

ぜひ、素晴らしい児童文学の世界と出会ってください。

みなさんの楽しい読書の参考になれば光栄です。

 

はなの うたこ