ネコ猫のように自由になれたら
うちには、9歳になったミーというオス猫がいる。
私の仕事の関係で、4回引越しをした。
猫は家につくと言われるぐらいだから、彼は引越しの度に、新しい家に自分の匂いをつけるために、走りまわったり、オシッコをかけたり大変だった。
今の家に越してきて四年半、落ち着いてくらしている。
先月から、私が病気休暇をとっているので、毎日、同じベッドで横になっている。
いつもは、仕事で日中のミーの様子を知らなかったが、病気休暇を2ヶ月半取って、本当に昼間はよく寝ることがわかった。
ほぼ、9割方はぐったりという感じで寝まくる。もしかしたら、体調が悪いのではないかとうつの私が心配するほど。
病気休暇を取り始めた時は、まだ、肌寒い3月半ばだった。ついに、5月となり、やや汗ばむぐらいだ。
そういえば、ずっと一緒にベッドにいたミーが時々いないのは、暑いからか?
もしかしたら、私が少し、回復したから、大丈夫と思ったのだろうか?
寝たい時に寝て、食べたい時に食べ、甘えたい時に鳴く。気ままで、我儘なネコみたいな生き方ができれば、うつになんてならなかったのかな?
1ヶ月目はすごく、回復したように思ったのに、ここ数日は心と身体が重い。
抗不安薬を飲むと、少し辛さが少なくなるように思うけど、早く、この背中からのなんとも言えないドンよりした気怠さが、取れるとよいな。
心を病むということ
こころが病んでいる時、本人は気づいていないことが多いのではないかと、自身がそうなって初めてわかった。
2年前、職場が異動になり、どうしても馴染めないまま、気持ちがついていかなくなった。
忙しく、複雑な職場にいて、ついていけていない私は、ただ一人、悲しく、寒かった。
でも、これほど、追い込まれてしまうとは、自分でも予想していなかった。
睡眠障害、職場の適応障害から始まり、薬を飲んでも全く眠れなくなっていた。そして、最後に私を追い込んだのは間違いなく上司達だ。
上司が言う。「年寄りはいらないんだよね、」、「異動するにしても、異動先に無理無理頼むんだから、あとで駄目はやめてよ」
体調が悪くなってることを話しても、「今休んだら、異動できないよ」
この会話の後、私は、呼吸ができなくなり、体が震えて、病気休暇を取ることとなった。
わずか半月前なのに、すごくはるかかなたのことのように思える。息を吸い、夜は少しずつ眠れ、食べれるようになった。
よかった、あと少しで死んでたか、気が狂ってたかも。
逃げ出したことで、今生きてる。
はじめての保育園、25年前のあの日
春が来て、向かいの保育園でも、朝のひと時、泣き声が響き渡る。
初めての保育園。ママやパパと離れたくない小さい幼児達。そりゃそうだよね。今まで、知らない人ばかりのところになんて、来たことないんだからね。泣きたくなるよね。
こういう日は、25年前、再び働き出し、小さい娘を保育園に連れて行った時のこと、今でも鮮やかに思い出す。
初めての保育園、2歳になったばかりの娘は保育園のスモックの中に体全体が入ってしまってるほど小さかった。
1時間半かかる職場のため、最初から二重保育の予定を立てた。近くに住む、主婦の方が夕方お迎えに行って、私が迎えに行くまで預かってくれる手はずになっていた。
当時の保育園のお迎えは6時まで。どんなに急いでも8時前の帰宅。旦那はモーレツ社員。
私には母はおらず、仕方なかった。
娘は、背中に保育園のリュックを背負い、両手に二重保育用の着替えが入った袋を持たされていた。
自転車から降ろし、荷物を持った娘は、少し泣いたように思うが、先生に手を引かれると、諦めたように、前かがみのまま保育所の扉を入って行った。
何故か、一度も振り返らなかった。
私は、扉の中に吸い込まれていく何人もの園児を呆然と見送りながら、立ち尽くしていた。
振り返らなかったからこそ、娘の諦めと、哀しみが胸に迫った。
25年経っても、あの時の娘の後ろ姿を思い出し、後悔と申し訳なさに涙が溢れる。
今もまだ、聞くことができない。
「何故、振り返らなかったの?」と。
新しい春。こころが、涙で詰まっているママやパパが沢山いると思う。
少しでも、こころが軽くなるように、祈ってます。