坂爪 真吾著・集英社新書
性風俗で働くシングルマザーへのインタビューをもとに、なぜ性風俗で働くシングルマザーが多いのか、貧困が連鎖するのかを考えさせられた。
昔は、性風俗で働くのは最後の手段と言われていましたが、今は単に興味だったり、お小遣い欲しさだったりするケースがほとんどだと思っていました。
ところが実際は、性風俗がシングルマザーのセーフティネットになっているということに驚きでした。中卒、高校中退など若くして出産すると、学歴も資格もないから性風俗産業でしか生活するだけの稼ぎが得られないのと、得てして多くの性風俗産業では託児所も完備しており、かつ、同じような境遇の女性が多いという理由で性風俗を選択せざるを得ない状況になっている。
性教育をまともにしない今の学校にも問題はある。きちんとした避妊方法、そもそもセックスとは何かを学校じゃなくAVでしか知ることができない。ゆがんだ性知識が若年出産に繋がり、貧困につながる。
せっかくこの世に生を受けた子供がその貧困生活ゆえにシングルマザーとなって、性風俗を選ばざるを得ない現状は決して良い事ではない。
本来であれば、子育てが困難な女性(男性も)に社会が用意すべきことでありながら、しっかりとフォローできていない現実。政治家は「子は社会の宝」といいつつ、票に繋がる老人に手厚くする。それも限界にきている。改めて子供が健やかに育つ、育てられる社会になってほしいと思った。