作問をしよう(点から放物線に引いた接線編)

 私の塾講師生活は,リアルタイムに作問を行う場面の連続です。苦手をピンポイントに突く問題,新たな概念の説明用に最適化された問題,そこらの問題集には載っていないような入試問題の類題,そんな問題を素早く正確に生産する技術は塾講師の仕事の中で自然と身についていくものです*1
 作問しようとする問題の種類によっては,適切な数値設定を要求されるものがあります。問題の数値設定を誤ると,対象の学年の知識では解けない問題が錬成されてしまったり,解けてもヒドい答えになってしまうことがあります。
 例えば,以下のような平面幾何の問題。

問.  \text{AB} = 5,\ \text{AC} = 3,\ \angle\text{BAC} = 120^\circ \triangle\text{ABC} について, \text{BC} を求めよ。
この問題の答えは  \text{BC} = 7 です。いかにも「余弦定理の入門」って感じの問題ですね*2。私が余弦定理のチュートリアルでよく出す問題のうちの一つです*3。計算しやすく楽しい問題です。しかし,例えば

*1:突然現れるひろゆき「それってあなたの感想ですよね?」 ぼく「ヒッ」 ぐうの音「  」

*2:いまアナタ思ったでしょ! それ,三平方の定理でいけるじゃんって! メッ!

*3:7-5-3 の三角形,7-5-8 の三角形,7-8-3 の三角形は定番。それぞれ一つの内角が 120°,60°,60° になります。アイゼンシュタイン三角形は最高。

続きを読む

多項式と等比数列の積の形で表された数列の和を求めること

 先日,フモフモさん氏(twitter: @fumofumobun)により,一般項が  a_n = (p n + q) r^{n - 1}  (r \not= 1) の形で表された数列の和を爆速で計算する手法が Twitter に投稿されました。


 ハ!? ヤバ!!!!! と初見時は思ったもので,上の公式によって QOL の爆上げという大変な恩恵を享受してしまいました。そこで本記事ではこれを一般化し,( n N多項式)×(等比数列)の形で表された数列  \{ a_n \} の初項から第  n 項までの和を公式として表現することを試みます。本記事で紹介する公式による更なる QOL の向上はもはや不可避です。

続きを読む