ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

処刑人II

 

処刑人II [Blu-ray]

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  • ショーン・パトリック・フラナリー
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うーん、1に比べると圧倒的にタルいな……

いやまあ、1のストーリーも決して上等というワケじゃないと思うんだけれども、やっぱりFBIとのやり取りが面白かったというか、回想形式で事件の現場が遅れて見られるあの形式が超上手く機能してたと思うんだよね。現場の状況にミステリーがあって、それをどう成立させたかをトンデモアクションで見せるというのは、ある種の発明だったというか……

それに比べると、2ではわりとアッサリFBIと共闘しちゃうし、それまで状況を伏せてたのも意味わかんねーし、アクションシーンのワンダーもそんなないし、でテンションだだ下がり。まさかあの箱をぶん投げてそこからふつーに戦うとは思わなかったよ。あまりの工夫の無さにビックリした。

あとまあなんだか思わせぶりな真相みたいなのも全然機能しているようには思えないなあ。別にそんなことするような話じゃないんじゃない? もー出るならさっさとウィレム・デフォー出してくれよ! って感じだし。

ってかそもそも、前作ラストのあの賛否両論のインタビューの余韻が全然なくなっちゃってるのがなー。アレって露骨だけど結構面白く話をまとめてたと思うんだけどなー。

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論

 

色々面白いところはあるんだけれども、まずはやっぱり筆者の経歴よねぇ。AIの研究に打ち込みたい、でも金がない、まではまあわかるんだけれど、そこからシリコンバレーでPalmを立ち上げて成功して資金面の心配をなくしてしまう、とかもうマジで全く意味がわからん……そして何よりそれをスッパリと捨てて研究に打ち込んで、しかもこんな世界的に影響のある理論をぶち上げちゃうわけでしょ。いやー、すごすぎる……

内容的には今オレが読みたかったものにそのままぶち当たってめちゃくちゃ満足。理屈はとても納得感があるんだけど、いくつか疑問に思うところがあった。

まず、脳が世界のモデルを持っていて、予測と外れるものに注意を払うようになるメカニズムは納得できたけれど、そこから未来予測ができるようになる仕組みがよくわからない。人間の脳には、単純な未来の予測だけでなく、モデル内で「AがBするとCになる」という因果関係を結ぶ作業を行っているはずで、それがどのように引き起こされるのかが大変気になる。

あと、機械の知能が人類に反旗を翻す恐れはない、と強調するあたりの理屈もなんか納得がいかない。機械が人間の脳を模すとして、古い脳と大脳新皮質の関係は継承しないのだろうか? 古い脳が本能として生存に有利な行動を「目的」として設定しても、大脳新皮質はその目的に逆らうことができるわけで、そのメタファーだと人間が機械に設定する「目的」が絶対に裏切られない保証は内容に思える。

あとは「機械に意識が生じることに疑問の余地はない」みたいなくだりも大変気になる。もし意識が生じるとして、それは一体どこで見分けることができるのか、というのが一番知りたいところなんだよなあ。物理的な反応を追いかけていったところで、「私」という意識が生まれる瞬間は捉えられるのか? っつーかそんなこと言ったら、意志疎通の手段を持たないだけで、例えば地球だってある種の意識をすでに持っているかもしれないしなあ……

鬼強ギャルマインド 心にギャルを飼う方法

 

うーんこれは面白い。

今はほとんどテレビとか見てないんだけれども、最近ギャルがちょくちょく出てくるなーって感じがあって、でもオレたちの知ってるヤツとはちょっと雰囲気違ってる気もしてて、一体コレはどーいうこと? と思ってたんだけど、あーなるほどそういうことなのか。この前読んだ「ギャルとギャル男の文化人類学」とはちょっとギャルのイメージがズレてるところあるよな、と思ったんだけど、一度eggの廃刊ってところで歴史の断絶があるわけね。内容的にはギャル当事者によるギャルの行動原理なんかの紹介ではあるんだけれども、そういう全体の見取り図みたいなところもキッチリ押さえてあって、隙のない本だなあと思いました。

まあでもこの本で一番大事なのは、もっと汎用的にある種の啓発本として、ギャル的な思考回路で自己肯定感を高める方法が書かれているところだよなー。「自他の線引きをきちんとする」みたいな心得がしっかりと明示されていて、いやーこれ普通に大変現代的な個人の生き方の指針だよなぁ。ハリウッド映画でこういう個人の生き方が肯定的に描かれるのよく見るよね、という感じ。

ただまあ一番の問題は、そういう自己肯定感を高めることができるかどうかってところにあって、「ギャル」というアイデンティティがひとつハッキリとあるというのはめちゃくちゃ強いよなー。逆に、そういうアイデンティティがないと、なかなかこういう割り切りを体得するのは難しいだろうなーとは思った。

ギャルとギャル男の文化人類学

 

うおーなんだこれめちゃくちゃ勉強になるな……っていうか「闇金ウシジマくん」でエピソードがあったよね。普段全然触れることのない感じのキャラクターだったんで、正直リアリティもって見られなかったところがあるんだけど、あーなるほどこういう社会的背景があんのね……時代的にもう当時ほどの規模も影響力もないのかもしれないけれども、ひとつの時代のコミュニティのあり方として、めちゃくちゃ勉強になりましたわ。

いやもちろん「ギャル男」について漠然としたイメージはあった。けれどもメディアで見るギャル男って、ある種のステレオタイプで、具体的にどんなモチベーションで活動をしているかとかは全然想像が及ばなかったので、めちゃくちゃ納得感がある。そうだよなー、人生をそういう活動にかける以上は、それなりの強い動機が必要だよなー。

この本では「ギャル」についても考察があって、むしろ自分がこの本を読み始めた興味はそっちの方にあったんだけれども、ここで描かれている「ギャル」ってのはイベサーの内部に存在する女性に限られていて、一般的な人々がイメージする「ギャル」ってのはもう少し範囲が広いんじゃないかなあ。そういう意味では、ちょっと想像したものとは違っていたけれども、それでも文化のコアにいる人たちの考え方に触れることができたのは、大変良かったなーと思います。

PARKER/パーカー

 

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  • ジェイソン・ステイサム
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はいはい、これも「悪党パーカー」シリーズなのね。

とはいえジェイソン・ステイサムがジェイソン・ステイサムなので、パーカーって言われても「????」となってしまう。もうちょっとマッチョなイメージだったけど、原作ってそういうこと書いてないんだっけ? いや、オレもだいぶ前にシリーズを1冊読んだだけだったから、かなり記憶は曖昧なんだけど……「ジャック・リーチャー」をトム・クルーズがやったときも、やっぱり原作ファンは違和感あったのだろうか?

映画的にはまあともかくジェイソン・ステイサムだしジェイソン・ステイサムを見ろ! という感じなのかと思いきや、なんかよくわからんけど急に出てきた不動産屋のお姉ちゃんがめちゃくちゃベタだけどイイカンジの芝居をする話になっていてビックリするよね。そこでそのキャラ立てる必要ある!? と思ったけど、妻と顔合わせのシーンとか見てると、うーんやっぱこのお姉ちゃんがいるからこそこの作品の存在価値があるな……くらいには思ってしまったのだった。

あとはまあフロリダのパームビーチだよなあ。もう色んな事件とか色んな映画とかのせいで、そりゃまああのくらいの犯罪はあって当然、くらいに思っちゃうもんなあ。

魔界転生

 

窪塚洋介の方。沢田研二のヤツは見たことがあるけれども、だいぶ昔なんで内容サッパリ忘れてますわ。

しかし、脚本奥寺佐渡子なのか……基本こういうストーリー展開が向いている脚本家には思えないよなあ。そもそも原作がエログロてんこ盛りだしキャラ立てもたっぷりだしで、どこをどうやって生かすかが大変腕の見せ所だと思うんだけれども、今回は完璧窪塚のための脚本になってて、でもそれがあんまり魅力に繋がっているようには思えないよなー。柳生十兵衛のトレードマークまで外して、徹底的に窪塚推しのはずなんだけれども、いやー、全然魅力的に見えないのは何でなんだろ。

いやでもそもそもキャラ立てがヘタクソな感じはだいぶあるよなあ。宮本武蔵、あんなに雑に出てきて、しかもあんなにどうでも良く殺されちゃって、ビックリするしかなかったよ。徳川家康も、とりあえず話題のために生き返らせてはみたけれど……って感じだしさあ。

あとまあ全体的に殺陣がそんなにおもしろくなくない感じがするのは何だろ。っていうか、武器が壊れるのを何度もやるのってあんまり良くないよねえ。ラストのアレとか、そんなたくさん花火飛ばしてアクション見えづらくして、正直だいぶ興醒めでしたわ。

オーバー・ザ・トップ

 

あーなるほどなー。スタローンはこういうマッチョイズムのアイコンだったんだな……正直こういうマッチョイズムは嫌いなんだけれども、企画のターゲットがこれ以上ないくらい明瞭なので、作品としてはだいぶ感心してしまうのだった。別れるきっかけなんかを明確に描かなかったり、妻との再開に間に合わないようにしたり、結構技術的には上手いこと言い逃れしている作品ではあると思う。子どもをあんな酒場にすぐに連れて行ったり、トラックで家に突っ込んだり、まー普通に考えてやべー父親だし、別れて当然なんだけれども、そこら辺のヤバさをマッチョイズムでコーティングして、ダメなところを巧みに隠している感じ。いや、本当に巧みなのか?

っていうか、トラックを新しく手に入れたところで何の問題も解決していないよね……子どもが主体的に父親を選ぶことが問題解決に繋がっているこのストーリーは、倫理的に考えると結構ヤバい。お爺ちゃんも飲まれて感動してる場合じゃないでしょ。なんつーか、負けることで自分の存在を証明した「ロッキー」ってのは、本当に偉大な作品だったんだなーと思いました。