AChで賢くなろう

せっかくなのでもう少しネタを拾うことで記事数を稼がせていただきたい(笑)、「神経伝達物質に親しもう」シリーズ、四大幸福物質のドーパミンセロトニンオキシトシンエンドルフィンを経て、闘争物質アドレナリンノルアドレナリンの兄弟分子から、前回は、花粉症の原因として、大多数の日本人から蛇蝎の如く嫌われてしまっている可哀想な物質ヒスタミンを見ていました。

 

そんなわけでもう少しだけ我らがクリーブランド・クリニックのHEALTH LIBRARYから神経伝達物質のまとめ記事をお借りさせていたこうと思いますが、今回は、前回の記事中にも一言だけ登場していました、これも平和・安静物質として極めて有名な分子、アセチルコリンさんにご登場いただきましょう!

 

まぁこれも、以前見ていた交感神経・副交感神経の話(↓)で、安静側で働く=副交感神経を刺激する物質として、既にちょろっと話に出したことはあったわけですけれども…

 

con-cats.hatenablog.com

 

…まぁもうちょっと医学的見地に立った、医療機関の権威によるまとめも例によって参考にしてみたい限りです。

 

早速今回も翻訳引用に参りましょう。

 

タイトルにもあります通り、英語では「ACh」と表記されることが多い感じですね。

 

my.clevelandclinic.org

 

Acetylcholine(アセチルコリン) (ACh)

アセチルコリンは、記憶、学習、注意、覚醒、不随意筋運動に関与する神経伝達物質です。低アセチルコリン濃度と関連のある病状には、アルツハイマー病や重症筋無力症などが含まれます。コリンのサプリメントが健康に役立つかどうかを判断するには、まだ多くの研究が必要となっています。

 

アセチルコリンACh)とは何か?

アセチルコリンACh)は神経伝達物質で、神経細胞を通じて脳から身体へと情報を伝える化学物質です。これは、興奮性の神経伝達物質となります。つまり、神経細胞を「興奮」させ、「情報の発射」を引き起こすのです。

アセチルコリンという名前は、元となる2つの物質―アセチル基(アセチル補酵素A、これは糖分子のグルコースに由来します)と、コリンという栄養素が由来となっています。コリンは、卵黄、大豆、レバー、野菜の種子、豆類といった食品群に自然に含まれています。また、コリンは我々の肝臓でも作られます。

アセチルコリンは体内の多くの重要な機能に関与しています。ひとつには、全身の随意筋運動で大きな役割を果たしています。随意筋運動とは、自分でコントロールすることのできる筋肉の活動のことです。神経細胞が筋肉の神経細胞を刺激し、筋肉の収縮を引き起こします。また、脳の神経細胞においても、記憶、思考、学習といった種々のプロセスで重要な役割を果たしています。

 

アセチルコリンACh)はどうやって作られるの?

コリンアセチルトランスフェラーゼという酵素が、コリンとアセチル基を反応させてアセチルコリンを合成します。神経細胞の末端で作られています。

 

アセチルコリンACh)はどうやって機能しているの?

アセチルコリンは、分泌のトリガーが呼び起こされるまでは、神経細胞の末端に貯蔵されています。神経細胞の末端から分泌されると、アセチルコリンシナプス間隙と呼ばれる空間に移動します。シナプス間隙とは、アセチルコリンが分泌された神経細胞シナプス神経細胞)と、アセチルコリンが次に向かう神経細胞シナプス神経細胞)の間に位置するものです。

アセチルコリンシナプスを通過すると、2種類の受容体に結合します:ニコチン受容体とムスカリン受容体です。ニコチン受容体には2種類あり、ムスカリン受容体には5種類あります。受容体に結合した後、この化学的な情報は次の神経細胞へと移動し、情報が最終目的地に到着するまでこのプロセスが繰り返されます。

シナプス内のアセチルコリンは、アセチルコリンエステラーゼという酵素によってコリンと酢酸に分解されます。これらの生成物は、別の化学情報を伝達するために再び使用できるよう、再吸収されリサイクルされます。

 

アセチルコリンACh)は何をしているの?

アセチルコリンには多くの役割があります。

ムスカリン受容体に結合すると、以下のようなことを行います:

  • 心臓の収縮と血圧を調節し、心拍数を減少させる。
  • 腸の筋肉を収縮させ、胃や腸の分泌物を増加させることで、食物を腸内に移動させる。
  • 涙、唾液、母乳、汗、消化液などの物質を腺から分泌させる。
  • 尿の放出を制御する。
  • 近見視力を制御する筋肉を収縮させる。
  • 勃起を引き起こす。

ニコチン受容体に結合すると、以下のようなことを行います:

  • 骨格筋を収縮させる。
  • 副腎からアドレナリンとノルエピネフリンを分泌させる。
  • ノルエピネフリンの分泌により、交感神経系を活性化する。

どちらのタイプの受容体も、長期および短期記憶、記憶の形成、定着、検索といった、記憶全般に関与しています。

脳内では、アセチルコリンは意欲、覚醒、注意、学習、急速眼球運動(レム)睡眠の促進にも関与しています。

 

アセチルコリンACh)はどこに見出される?

アセチルコリンは中枢神経系(CNS)、すなわち脳と脊髄、および末梢神経系(CNSから枝分かれして、筋肉や臓器など体のあらゆる部分とつながっている神経)に存在します。

 

アセチルコリンACh)はどこで働いているの?

アセチルコリンは中枢神経系(CNS)、すなわち脳と脊髄、および末梢神経系(CNSから枝分かれして、筋肉や臓器など体のあらゆる部分とつながっている神経)の両方で分泌されます。

脳では、アセチルコリンは2つの主要部位から生じます:前脳基底部と中脳脚橋被蓋領域です。

末梢神経系では、アセチルコリンは神経筋の接合部へと分泌されます。これは神経と筋肉細胞が出会う場所です。

アセチルコリン末梢神経系の一部門である、自律神経系でも重要な役割を果たしています。自律神経系は、内臓を適切に機能させることといった、体の自動的な機能の多くを制御しているものです。

アセチルコリンは免疫系にも関与しており、Tリンパ球から分泌されます。Tリンパ球は体を保護する性質を持った、白血球の一種です。

 

アセチルコリンACh)レベルの低さと関連した病状は何?

低レベル(欠乏)のアセチルコリンはいくつかの疾患において重要な役割を果たしており、最も一般的なのは以下のものでしょう:

 

アセチルコリンACh)を阻害する他の物質には何がある?

残念なことに、アセチルコリンが体内でどのように働くかという知識は、有害なものに使われてきました。

サリンのような神経ガスや殺虫剤は、アセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼを阻害します。シナプスアセチルコリンが蓄積すると筋肉が麻痺し、死に至ります。

ある種のクモは、独特な方法で人間に害を及ぼします。クロゴケグモに噛まれた時の毒はアセチルコリン濃度を劇的に上昇させ、激しい筋肉の収縮、痙攣、麻痺を引き起こし、死に至る可能性があります。

 

アセチルコリンACh)を標的とする薬には何がある?

コリンエステラーゼ阻害薬は、アセチルコリンエステラーゼという酵素によるアセチルコリンの分解を阻害することで、アセチルコリン受容体における活性を高めます。この酵素をブロックした場合、シナプス内にアセチルコリンが蓄積し、コリン作動性受容体が持続的に活性化されるようになります。

コリンエステラーゼ阻害薬は、アルツハイマー病や重症筋無力症の治療に用いられています。これら2つの疾患では、アセチルコリン受容体の刺激量が著しく減少しています。ドネペジル(商品名アリセプト®)、リバスチグミン(商品名エクセロン®)、ガランタミン(商品名ラザダイン®)といったコリンエステラーゼ阻害薬は、シナプスにおいてコリンエステラーゼをブロックすることにより、コリン作動性の情報伝達を増加させます。この作用により、一部の認知症患者には緩やかな症状改善が認められるのです。

ボツリヌス毒素―筋肉の痙縮、美容におけるしわ、片頭痛の治療に使用される―は、神経細胞末端からのアセチルコリン放出を妨げることによって作用しています。

 

アセチルコリンACh)のサプリメントはある?

アセチルコリンそのものの栄養補助サプリメントはありません。しかし、アセチルコリンの分泌を増加させるサプリメントアセチルコリンの分解を止めるサプリメントは、アセチルコリンレベルを増加させると考えられています。アセチルコリンの分泌を増加させるサプリメントのひとつは、コリンです。アセチルコリンの分解を止めるサプリメントには、バコパ・モニエリ(オオバコ科の植物)、イチョウ葉、フペルジンAなどがあります。

研究者によれば、サプリメントが記憶力や脳機能、うつ病双極性障害といったメンタルの健康状態、そして胎児の成長や脳の発達を改善するかどうかについての結論を得るためには、さらなる研究が必要とのことです。

栄養補助食品を摂取する前には、必ず医療従事者にご相談ください。サプリメントの効能の有効性やその有無についてアドバイスしてくれますし、服用中の薬と干渉する可能性があるかどうかも教えてくれます。

 

アセチルコリンACh)は食品に存在する?

アセチルコリンに変換されるコリンは、以下のような多くの食品に含まれています:

  • 牛レバー
  • 牛のトップラウンド(柔らかい赤身の内モモ肉)
  • ローストした大豆、缶詰のインゲン豆
  • 鶏胸肉のロースト
  • タラ
  • 調理したキヌア
  • 調理したシイタケ、茹でたブロッコリー芽キャベツ
  • 牛乳(1%)、無脂肪バニラヨーグルト

 

クリーブランド・クリニックからのメモ

アセチルコリンACh)は重要な神経伝達物質で、記憶などの脳機能や、筋肉を動かす筋収縮などの身体機能に関与しています。アセチルコリンの濃度の低さは、記憶障害や筋肉障害に結び付けられています。コリンエステラーゼ阻害剤はアルツハイマー病や重症筋無力症の治療に使用されています。コリンサプリメントの効果については、まだ完全には解明されていません。

 

…と、化学構造や2種類の受容体など、今までよりも生化学的な話が多くて意外でしたが、まぁ権威ある医療機関のシリーズ記事とはいえ、それぞれは誰か別の一人の人間が書いているものでしょうから、この記事を担当した方がより生化学バックグラウンドを持つ人だったのかもしれませんね。

(あるいは、臨床医学的な話は、大まかな機能以外「まだ研究が待たれる」で、結局ほとんど分かっていないことの裏返しなのかもしれないですね。)

 

個人的には、高校生物で、「副交感神経系の神経伝達物質」として、「安静・抑制性の作用を持つもの」と習いましたから、僕は新しいものを習った際、多くの場合、「味方かそうでないか」みたいなイメージとともに覚えていたんですけど、生来穏やかな性格で平和に作用するものを好む僕は、副交感神経系もアセチルコリンも「いいヤツなんだね、これのおかげで安定したメンタルでいられるんだ」などという印象を持ってこれまで生きてきたのですが、意外や意外、上記クリ・クリの解説記事だと、受け取った受容体の種類によっては覚醒効果や筋収縮の効果があって随意運動にも必要である…など、むしろ「興奮性の物質です」という紹介すらされていましたね。

 

イメージと違って意外でした。

 

とはいえ、心拍数を落ち着かせる作用や、冷静になってこそ働くといえる記憶や学習など、鎮静作用をもつ物質であるのにも間違いなく、安定メンタルの維持に超重要な副交感神経系の主役物であることは、↓のウィ記事に示されている通りだと思います。

(上記クリ・クリ記事では、一言も「副交感神経」という言葉が出てきませんでしたが…。)

 

ja.wikipedia.org

 

例によって、まぁこんなものを見ても何も分かりませんけど、以前の記事では使ったことがなかったようなので、分子構造式の画像をウィ記事より借りておしまいとしましょう。

htps://ja.wikipedia.org/wiki/アセチルコリンより

意外と単純な分子であるものの(コリンにアセチル基がついただけなので当然ですが)、恐らく体内では不安定なので、サプリは存在しないということでした。

 

体内で頑張って合成するしかないので、これまた健康的な生活を心がけ、アセチルコリン=副交感神経系がしっかり働く状態を維持したい限りですね。

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