前年の菊花賞を京都競馬場に観に行って競馬場デビューを果たして以来、京都競馬場にも何回か通い、次の目標は新たなエリア開拓となった。それには近場の阪神競馬場こそがふさわしい。折しもタスティエーラ、ソールオリエンスなど、4歳有力馬が参戦するGⅠ・大阪杯が31日に行われる…。大阪杯はGⅠであるものの、近年は賞金と世界クラスの名誉を求めてサウジ・ドバイのレースに出走する有力馬も多く、言わば穴場とでも言うべきレースだ。今年の4歳馬、つまり2023クラシック世代は実の所、あまり評判が良くない。他の世代と比べて競い合うレベルが低く、古馬以降、他の有力世代と競い合っても勝負にならないのではないか…そんな声が陰に陽に聞こえるようになった。ぶっちゃけて言うと世代レベルの高低なんてどうでもいいと思っているのだが、それはそれとしてそんな声を聴くのはあまり気持ちのいいものではないのも確かだ。世界に伍せる有力馬が不在だろうが何だろうが、ここらでGⅠをもう一度勝って「雑音」を一掃してもらいたい…そんな欲目もあった。それで勝つのが個人的に追いかけているタスティエーラなら最高だし、生で観られる機会があるなら逃す手はない。
距離的に近くとも行くまでが手間だった京都競馬場に比べると、阪神競馬場へは乗り換えこそあるものの、阪急電車一本で行ける上、駅からは競馬場へ直通する通路が通っているので驚くほど楽だった。着いたのは8時半過ぎくらいだがすでに開門しており行列などはない。
しかし…昨年の菊花賞と異なり、朝からすでに競馬場内には人が多かった。しかも家族連れや女性陣といった方々も結構見かける。世間は春休みでお花見シーズンという行楽日和、アクセスも良いうえ入場料は数百円、場内にはグルメもある。競馬場に一般層に近い人間が集まるのは当たり前と言えば当たり前だった。そしてこれは後に自分も体感したが、シニアより上のGⅠは有力馬がごろごろ出てくる。最近パッとしないとはいえ、スタニングローズもジオグリフもGⅠ馬だし、他の馬もGⅡ・GⅢくらいは勝って参戦している馬たちだ。競馬場に出てくると嫌が応にもスター揃いであることを痛感させられる。これはクラシック戦線だった菊花賞との大きな違いだ。馬それぞれにファンがおり、ここへ来るまでに背負っているドラマも段違いなわけでそりゃ皆やって来て当然だ。考えてみれば当たり前なのだが、今回で初めて本当のGⅠというものを体験した気がする。
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