シネサルの「映画のブログ」

星(★/☆)の採点は、★4つで満点 ☆は0.5 ★★★★人類の宝/★★★☆必見/★★★オススメ/★★☆及第点/★★中間レベル/★☆パスしてよし/★ひどい/☆この世から消えろ

『幽霊がいる家』 ★★☆

2022年、12分、カラー、1:1.78、自主映画
監督・脚本・編集:南香好
出演:鈴木睦海、金岡秀樹
PFFアワード2022 審査員特別賞
2024/05/08(木)15:00鑑賞、2024/05/06(月=休)14:00~14:50放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

https://pff.jp/jp/collection/House-of-%20Ghost.html
 
【あらすじ】

男女が一年ぶりに再会する。

でも、それは2人の俳優が映画の撮影中の芝居をしているのであって、
素に戻った旧知の仲の2人は身の上話を始める。

でも、その身の上話も映画の撮影中の芝居で…、
というネタバラシが延々と繰り返される。

 

【感想】

「現実ではなくて、芝居でした」というネタバラシを何度も繰り返すのだが、
それでも、毎回
「これは、俳優が素で話しているのでは?」
と感じさせて、現実とフィクションの区別は曖昧であり続け、
それによって、作り手が調子に乗ったかのように、
より解りやすくネタバラシをして、情け容赦なくバレバレになっていく。

「映画の中の出来事は全部芝居」なのは誰にとっても周知の事実で、
解った上で観ているはずなのに、
「映画の中で登場人物は生きている」と思ってしまうものだと再認識。

『フィン』 ★☆

2020年、35分(実測値)、カラー、1:1.78、自主映画、英題:fin.
監督・脚本・撮影・編集:小池茅
出演:出演:河内宙夢、森岡沙妃、半川伸也、他
PFFアワード2020入選
2024/05/06(月)04:20鑑賞、2024/05/06(日)14:00~14:50放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

https://pff.jp/jp/collection/fin.html
 
【あらすじ】

実家があった京都に戻って、
写真家志望の男のアパートに居候をしているミュージシャン志望の男が、
大学入学で上京する前の地元の死か知り合いしか知らない彼のあだ名「フィン」を知っている自称旧知の仲の女と出会い、
その日の夜に男2人だけで開くはずだったフィンの25歳の誕生パーティに参加することになった。

 

【感想】

2日間に起きたささやかな出来事をさりげなく表現するタイプの作品で、
謎の女の出現にによって、
うだつの上がらないフィンの心が少し変わったという内容だが、
その「変わった」が「創作に関する気持ち」という、
当人以外には解らないものだというのが弱い。

 

会話している台詞よりも、通行人がカメラ前を横切る音の方を大きくしたりとか、
極端なクローズアップなのに会話中の人から人へのパンがゆっくりしているので、背景しか映らない時間が長いとか、
一瞬モノクロになったりとか、
唐突な「わずかなズームイン」が2~3回あるとか、
1秒未満の短いカットを早く繋ぐのが2回あったりとかの、
表現において「何かを狙ったっぽい」のがあったのは感じられた。

『19歳』 ★★☆

2018年、28分、カラー、1:1.33、自主映画
監督・脚本・編集:道本咲希
出演:道本咲希、黒川恵、小野聖愛、塚本健之、大嶋夫婦、福勝貴
PFFアワード2018入選
2024/05/06(月)12:00鑑賞、2024/05/06(日)12:00~13:00放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

https://pff.jp/jp/collection/19sai.html
 
【あらすじ】

誰とも上手くいかず、短大卒業後の進路を決められない事から、
「20歳で人生が終わって死ぬ」と考えることで気持ちを楽にしている19歳の女性の日常や同級生や昔の同級生との日常を描く。

【感想】

主人公の名前が「さき」で監督の名前と同じ。、

デジタル一眼レフカメラを持って外出して、
何でも気ままに撮影する主人公に対して、
密着しながら、同様に何でも撮影しているような撮影と、
ジャンプカットを多用している編集と、
フィルムのようなルックから、
1980年代以前のドキュメンタリーを再現したような雰囲気。
(雰囲気作りは上手い)

即ち、「自分の本心を描いた作品」なのかな?と思った。

ところが、友人との会話のシーンで、友人側の心を(空想して)描いているから、
単なる自分語りでなく、ドラマの形になっている。

さらには、「映像詩」のような風景のイメージ映像も挿入される。、

以上の事から推測すると、
内容は結局は「自分の気持ちの表明」だけかもしれないが、
それを、ストーリーや映像などの工夫によって、
ちゃんと映画の形式にまとめ上げた作品だと思った。

『ふちしすこ』 ★☆

2022年、69分、カラー、1:1.78、自主映画
監督・脚本:亀井史興
出演:亀井史興、礒村 夬、岡部成司、他
PFFアワード2022入選

2024/05/05(日)14:30鑑賞、2024/05/05(日)13:00~14:15放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

 
【あらすじ】

子供の頃に兄が考えたキャラを元に自主製作アニメの構想を考えている男の、
アパートでの1人ぐらしや友人たちとの日常を描く

【感想】


タイトルの意味は、
主人公の兄が子供の頃に作った家族新聞の名前で、
両親と3人兄弟の名前の頭文字を並べたもの。

監督自ら全編通して本人役を演じているので、
そのせいか、フィックスの長回しを多用していて、
私的な内容をそのままストーリーにしたと思われる。

主人公は、子供の頃のアニメや特撮などを観てワクワクした想いを大事にしていて、
そんな気持ちで映画を作ろうとしているような人。

でも、こうしてできた映画は「空想」とは真逆の「日常」なんだけど、
どっちが本心なのか?

それとも、目標が定まっていないのか?

自分のイメージを友人に話して試作アニメを作ってもらい、
完成品にダメ出ししたのだが、
もしも映画製作へのこだわりが強いのであれば、
「アニメを映すカットを用意して、それの何にダメ出ししたのかを具体的に示す」
という事をやりそうだが、
実際にはアニメを映すカットはなく、台詞によって「滑らかな動き」の感想で説明しただけだから、
実は「映画作りへのこだわり」はそんなにはないのかも。

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「作り手の私的な内容のストーリー」
「ドラマチックでないストーリー」
「たわいもない会話や出来事」
が特徴で、
いずれも、観客の心をつかむのには不利な要素で、
そのハンデを克服しなければならないのだが、
「こんな日常に本人が困っていないのなら、それでいいんじゃない?」
とは思えた。

『the Memory Lane』 ★★

2022年、25分、カラー、1:1.78、自主映画
監督・脚本・編集:宇治田 峻
出演:先間征哉、宇治田 優、宇治田 峻、清水啓吾、小島裕輝、他
PFFアワード2022 審査員特別賞

2024/03/24(日)17:00鑑賞、2024/03/24(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

 

【あらすじ】

新キャンパスへの移転に伴って大学のキャンパスが閉鎖された事を知ったスケボー好きの学生3人は、

中に忍び込んだり、近くの路上でスケボーを滑ったり、撮影した写真を貼ったりして、

思い出の地に別れを告げた。

 

【感想】

実際に閉鎖された、大阪大学の間谷キャンパスが舞台。

 

1980年代だと、
ニューウェーヴ系のミュージシャンとかが数曲分のPVを作って、
全体的には「ストーリーが曖昧なミニムービー」みたいな作品が作られたりしたが、
この作品もそれに近い雰囲気で、
音楽が流れて、それにPVのような映像が加わる。

 

そんな作品は、当時ならプロがフィルムで撮影したり、
間もなく、家庭用ビデオで誰でも手軽に撮影できるようになったが、
2021年ごろだと、さらにスマホでも撮影出来て、
アプリなどでエフェクトもかけらるようになった。

 

機材は進歩しても、出来はセンスによるところが大きいが、
この作品は、過去のプロ並みの出来にはなっていた。

『アスタースクールデイズ』 ★★

2020年、38分、カラー、1:2.35、自主映画
監督&脚本&撮影&編集:稲田百音
出演:杉山 輝、稲田美柚、竹内史生、中村 空、石河 起、他
PFFアワード2020 観客賞

2023/12/24(日)16:40鑑賞、2023/12/24(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

 

【あらすじ】

花々が好きで持ち歩いている男子が高校に転校してきて、
どんな人にも、その人に合う花言葉の花をプレゼントしていくことで、
自分以外のことに無関心だったり、
他者に対してマウントを取ることに夢中な人達によって、
殺伐とした雰囲気だった高校が、
和気あいあいのホンワカした雰囲気に変わる。

 

【感想】

1人のトリックスターによって、

周囲の人間の考え方や行動が変わるタイプのストーリー。

 

構内の雰囲気とかは、テンポよく軽快に描かれていた。

 

「花をプレゼントして事態を改善する」の発想は、

SEALDsの

「隣国が(日本に)攻めてくるなら、彼らと酒を飲み交わし、もっと仲良くなってやります。僕自身が抑止力。」

の意味の発言を連想してしまったが、

あっちは本気で、こっちはファンタジーだから、

実は全然違う。

夜の帳につつまれて ★☆

2021年、70分、カラー、1:1.78
監督&脚本&撮影&編集:松林悠依
出演:林原 翔、川合結人、野村 考、千代反田美香、秋山大地、他
2024/01/15(月)22:00鑑賞、2024/01/14(日)15:00~、TOKYO-MX2放映
PFFアワード2021

 

【あらすじ】

仕事がおぼつかずバイトをクビになった青年が、
シングルマザーから虐待と育児放棄をされている少年と知り合い、
自分も育児放棄されていたことから、
少年の母親の車を盗んで2人で当てのない旅に出るが、
誘拐犯として名前がニュースで報じられる。

 

【感想】

未来への明るい展望が何もなかったり、
親に虐待されている子供などの心が傷ついた人間たちが、
寄り添い合ったり、周りの人間が救いの手を差し伸べたりする「行為」を描きたかったように思える。

 

でも、
「子供への一時的な救いの為に、誘拐犯にされる可能性が高い連れ回しをする」
「誘拐犯として名前を全国ニュースで流されているのに、警察が迫っている感じがない」
など、状況や登場人物の言動においてリアリティのない細部が多数存在し、
作り物っぽい&嘘っぽい物語になったことがかなり致命的。

 

フィクションを作るには「上手な嘘つき」になる必要があるということか?