自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

昼下りの決斗 1962年

ペキンパーの渋い西部劇

アメリカ、サム・ペキンパー監督 94分

かつての名保安官スティーブ・ジャッドは銀行頭取から金山の金塊を運搬する仕事を請け負う。危険な仕事なので彼は助手として二人を雇うことにした。

昔の相棒の老ガンマン、ギル・ウェストラムと彼が推薦する若者ヘック・ロングツリーだった。しかしウェストラムは日当よりも金塊を奪うことが目的だった。

3人は途中で小さな牧場で一夜を過ごす。その牧場の娘エルサは金山で働くビリーと結婚の約束をしており、父親に内緒で牧場を飛び出し、同行してきた。

 

ところがハモンド5人兄弟のビリーとの結婚はエルサが思っていたものとは大きく違っていて逃げ出す。スティーブ達は町に帰る途中にエルサを牧場に送り届けようとするが、エルサを奪い返そうとするビリー達5人兄弟が追ってきた。

一方、ウェストラムとヘックは金塊を盗もうとしていた。

ティーブにはもう過去の栄光はなかった。それでも自尊心を失わずに仕事を成し遂げようとする。しかしウェストラムは自尊心より金のほうが大切だった。

 

西部の町に自動車が走り、スティーブは契約書を老眼鏡で読む、そんな時代だった。開拓時代が終わり、主人公二人はもう老いていた。

ペキンパーらしいスローモーションも派手な銃撃戦もなく、西部に生きた男たちの挽歌を思わせる作品だった。

奇跡のシンフォニー 2007年

ファンタジックな奇跡の物語

アメリカ、カーステン・シェリダン監督、114分

養護施設で育った11歳のエヴァンはあらゆる音がメロディとして聴こえるという音楽の神童だった。町の騒音も音楽として聴こえるのだった。それは音楽家だった両親から受け継いだものだった。

エヴァンは父と母を捜すために施設を抜け出す。

父親から死産と聞かされていた母ライラは11年以上経ってから息子の行方を捜し始める。父ルイスはライラの想いを胸にニューヨークに向かう。

エヴァンはニューヨークで出会ったストリート・ミュージシャンの子供たちを仕切る男にギターをあたえられ路上での演奏活動を始める。

偶然知り合った牧師はエヴァンの才能を知り、彼をジュリアード音楽院に通わせ、そこでエヴァンは才能を認められる。それが両親と出会うきっかけとなった。

 

「心の耳さえ澄ませば音楽は聴こえる」「音楽はどこからくる」「演奏するのは僕に音楽をくれた人への返事」「音楽を信じている」これがエヴァンの言葉だった。

 

全編に音楽が流れ、音楽への愛にあふれたハートウォーミングな作品だった。

犯罪都市 THE ROUNDUP、2022年

ストレスを吹き飛ばすアクション映画

韓国、イ・サンヨン監督 106分

2008年、韓国のクムチョン署の型破りの刑事マ・ソクトと班長チョン。二人はチェンマイにある韓国の領事館に自首してきた国外逃亡犯を引き取るためにベトナム行を命じられる。

その逃亡犯は凶悪なカン・ヘサンから逃れるためにわざと自首してきたのだ。カン・ヘサンはある男を誘拐して身代金を奪った上に殺してしまう。殺された男の父親はプロの殺し屋たちを差し向けるが、カン・ヘサンたちは皆殺しにして、韓国に逃れる。

 

マ・ソクトとチョンもベトナムから韓国にもどり、事件の真相とカン・ヘサンを迫ってゆく。莫大な身代金を巡って悪人たちの闘いが続く。

カン・ヘサンたちは銃ではなく、ナイフや斧や鉈をつかい、その残虐性が際立っていた。狂気をはらんだカン・ヘサンは恐ろしいほど強かった。ところがマ・ソクト刑事の巨体と怪力のアクションは半端じゃなかった。

 

ストーリーはシンプルで分かりやすく、コミカルなシーンもけっこうあり、娯楽作品として充分に楽しめる。

この韓国映画には日本映画にはない爽快さと豪快さがあった。そもそも犯罪が絡んだ韓国映画の面白さはどこからくるのだろう。