3択のまた射覆を外した

課式を間違えていたという体たらく

いつものカナサキ先生射覆、今回は3択で

のどれか?ということで②自然薯と答えたのだが、正解は③サルノコシカケだった。それで誤占の弁を書くべく出した課式を見直した所、間違った課式で回答を作っていた。

自信をもって間違えている時は、得てして間違った課式の方が正しく占っていることが多いのだけれども、どうやら射覆は違うらしい。スカっと外した。

それで課式を出し直して得たのがこの課式だ。
陽日なので干上神を見る。この干上神は発用となっている。そして功曹寅に青龍が乗じていて六親が官鬼となっている。官鬼ということは通常の食物や飲み物ではないことを意味している。つまりこの時点で①お茶や②自然薯ではないことが分かる。

ということで回答としては③サルノコシカケということになる。

どうも最近、基礎に揺らぎが出ているように感じる。自戒すべし。

天文奏

みずがめ座流星群の兆しを読む

木下先生から下問があった。

それで得たのがこの課式。

占った時刻は私が下問の内容を理解した時刻で、西洋占星術のホラリーの原則を踏襲している。

四課が発用に立って四課から離れて往くので、予期しない方向に話が進みやすい。また発用が大吉丑で白虎が乗じて地盤卯に臨んでいるのは九醜課の構成に近い。これは凶と見て良いだろう。

白虎は戦乱の類神でもあるので戦争の気配が立ち込めてくるとか、あるいは白虎を交通の象と見て交通機関に支障が発生するのかもしれない。

逆間伝だが中伝が空亡しているので順間伝となる。三伝は暗く戦乱の気配とか交通機関の障害とかは拡大しながら続くということになる。

四課には不備があって二陽一陰となる。男が2人に女が1人ということで、ひょっとしたら有名人のスキャンダルが露見したりするかもしれない。心当たりのある人は用心した方が良いと思う。

ということでこんな答申になる。和臭がきついのは御寛恕下さい。

問、水瓶座流星群、何之兆也乎。
占今日己巳時加亥、大吉臨卯為用、将白虎。中、徴明玄武。終、從魁天后。卦遇重審。
推之、発用大吉乗白虎臨卯、是似九醜而凶兆。白虎者戦乱及交通機関類神也。
三伝成逆間伝雖中空亡而変順間伝。戦乱気配或交通障害徐々続伸。
四課二陽一陰、是陰陽不調和。有名人醜聞露見乎。
可物忌者卯年生男女、亥年生女。況太陽過宮磨羯宮生者乎。

追記

昼夜を取り違えていた

前のエントリの脚注で、射覆の課式で発用に乗じているのが玄武なのに、白虎と間違えて射覆を考えていたことを追記した。

原因は申刻の占いだったのに夜貴人を使っていたことだった。辛日の昼貴人は寅になる。この場合、寅の地盤は丑なので順に天将を配布することになる。また間違えていたように夜貴人とすると貴人は午に乗じることになる。

昼貴人 太陰天后貴人騰蛇朱雀六合 勾陳青龍天空白虎太常玄武
夜貴人 天空青龍勾陳六合朱雀騰蛇 貴人天后太陰玄武太常白虎

この時、天罡辰に乗じる朱雀と河魁戌に乗じる太常の2つだけが昼夜で同じになる。そして河魁戌は四課三伝に出ているが天罡辰は出ていない。つまり昼夜を取り違えていたにも関わらず緒となる太常だけは正しかったわけで、その意味でも支上神を重く見るべきだったのだろう。

3択の射覆を外した

3択だと外すか

いつものカナサキ先生射覆、今回は3択で

  • ①寅さん
  • ②ウサギさん
  • ③お人形

のどれか?ということで得たのがこの課式。①寅さんは虎の小さな縫いぐるみ、②ウサギさんは焼き物かプラスチックの小さな兎のペアで、③お人形は御姫様っぽいドレスを着た人形だった。今回もあまり色が手がかりにならない感じだった。

陰日なのでまず支上神を見る。河魁戌に太常が乗じている。河魁は空洞があったり包むものなのだけど3者ともその可能性がある。 六親が父母、天将が太常なので衣服とかあるいは布ということになる。

なので②ウサギさんは除外できるだろう。
そして発用に白虎が乗じている*1ので①寅さんと答えて外した。

実は太常は太裳と呼ばれていたことがある。『裳』はスカートのことなのでドレスを着た人形の可能性が頭をよぎった。しかし発用の白虎に重きを置いたわけで、これが失敗だった。支上神、干上神と三伝のどちらを重く見るべきかで悩むことが多い。これまでの外し方からすると、支上神、干上神でピンと来るものがあった場合は三伝が必要ないのかもしれない。

これが正解。

*1:2024-04-30訂正 発用には玄武が乗じている。どこで間違えたのか分からない。玄珠さんに感謝。

2択の射覆を当てた

マスクか目薬か

いつものカナサキ先生射覆、今回は2択で

  • ①目薬
  • ②マスク

のどちらか?ということで得たのがこの課式。目薬は褐色の容器だしマスクは黒ということなので、今回は色があまりあてにならない。陽日なので干上神を見ると*1、神后子に天后が乗じている。これは液体と見るべきだろう。また六親の父母は纏わり付くものの象でもあるので、これも目に注す目薬と見ることができる。

発用の河魁戌は収納空間、入れ物の象がある*2。それに水行の玄武が乗じているので、これもまた目薬を指していると見て良いだろう。

また間伝格なので、ボタリボタリと滴る目薬の象となる。そして中伝の伝送とそれに乗じる白虎はともに金行で刺激物と見ることができる。これもまた目薬だ。

出題された目薬は名前で検索すると、アレルギー用で抗炎症作用があるので、末伝の勝光午ともつながっている。

ということで①目薬と答えて正解だった。

*1:五重日なので支上神も同じなのだけど。

*2:天罡辰も同じ。

八宅の変爻法

案外応用範囲が広い

この前の4月20日に『陰陽道史研究の会』の春の研究会に参加してきた。今回は午前中に土御門家菩提寺である梅林寺の見学会があって色々と盛沢山だった。梅林寺の本堂に上がらせて頂くというめったに無い体験もできた。貴重な御機縁を作って頂いた梅林寺さんには感謝している。

午後から研究報告が2件あった。1つは牛頭天王研究会から、奈良県の飽波神社の夜法会やぼえとよばれる神事についての報告だった。飽波神社は聖徳太子牛頭天王を祀ったのに始まるという伝承を持つ神社で、牛頭天王といえば陰陽道なわけで夜法会も蘆屋道満の修法に起源を持つと言われている。もっともこの説は俗説で、伝承を遡って行くと一筋縄では行かないようだ。

もう1つが平安期の文学作品に現れた陰陽師やいわゆる陰陽道がどのようなものだったかという、非常に面白いテーマで紫式部日記を丹念に読み込んだ研究だった。ただ占い師としては研究のテーマよりも興味を惹かれたものがあった。

それが資料として引かれた『外台秘要法』所収の『崔氏年立成図法』の妊婦の禍害、絶命、生気だった。この法では年齢に対して小成八卦を配して、それから禍害、絶命、生気となるものを出す。『外台秘要法』は唐の玄宗の時代の医書で752年に上梓されている。

離卦が配当されるのは、16、24、32、40、41、48歳で少々変則的な配当になる。八卦の順番は離卦を起点に後天八卦を右回りに回って行く感じだ。そして離卦の禍害は艮で離卦の下爻変、絶命は乾で中爻変、生気は震の上爻変となっていて、八宅の大遊年変爻法と全く同じになっている。

八卦禍害絶命生気
離☲ 艮☶下爻変 乾☰中爻変 震☳上爻変
坤☷ 震☳下爻変 坎☵中爻変 艮☶上爻変
兌☱ 坎☵下爻変 震☳中爻変 乾☰上爻変
乾☰ 巽☴下爻変 離☲中爻変 兌☱上爻変
坎☵ 兌☱下爻変 坤☷中爻変 巽☴上爻変
艮☶ 離☲下爻変 巽☴中爻変 坤☷上爻変
震☳ 坤☷下爻変 兌☱中爻変 離☲上爻変
巽☴ 乾☰下爻変 艮☶中爻変 坎☵上爻変

つまり唐の玄宗に時代には、八宅の理気が完成していて他の分野にも応用されていたということなのだろう。

チャネルは多分ある

五蘊皆空

私は御釈迦さんが得た五蘊皆空の直観は正しいと思ってる。仏教の『空』というのは、

  • 永遠不変の実体*1は存在しない。
  • 相互に関わることで実在を担保しあっている。

という2点から構成されている*2。ただ私は敬虔な仏教徒ではないので、入滅してこの世から去った御釈迦さんがこの世に介入するためのチャネルを持っているかどうかについては非常に懐疑的だったというか、そういうチャネルは無いと考えていたので、御釈迦さんその人を信仰することはできなかった。

ただ何故占いが当たるのかを考えると*3、チャネルの存在は否定できないと思うようになってきた。占いが当たるということは、茶さじ1杯分くらいではあっても剥き出しの神秘*4なのだ。

*1:例えばアートマン

*2:なのでネットで時々流れてくる俗訳の般若心経の「この世は全て空しいものだ」は完全に間違っている。

*3:単に当たったことだけ記憶しているだけで、当たり外れはランダムなものでしかない、という反論があるのは承知している。

*4:私の Pink Floyd 好きを知っている人なら、これが Pink Floyd の“A Saucerful of Secrets”(邦題:神秘)を踏まえていることがわかると思う。