はにかむブログ

歯医者がみんなの疑問にふんわり答えたり、写真撮ったり、雑記したりのブログ

歯医者は女性に人気の職業!?

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

現在、全国に歯科医院は何件あるでしょうか?

歯医者さんは何人登録されているでしょうか?

その内、女性の割合はどの程度でしょうか?

 

歯医者さんで女性といえば、歯科助手さん、歯科衛生士さんのイメージが真っ先に思い出されるかもしれませんが、実は若い世代での女性歯科医師の活躍が特に目覚ましいです。

女性にとって働きやすいという理由でも注目され、ここ10~20年で歯学部への入学者数も急激に増加しているのです。

 

今日は、歯科関係のちょっとした統計のお話です。

 

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「歯科医院は、コンビニより多い」

というのは、有名な話です。これを聞くと驚かれる方もいますが、

「美容院は、信号機より多い」

のほうが、パンチ力は強いですよね 笑

 

正確な軒数ですが現在、

歯科診療所:約68,000軒 > コンビニ:約55,000軒

(ちなみに、美容所:約251,000軒 > 信号機:約208,000基)

 

どうでしたか?意外ですか?

私も学生の頃、これを聞いて驚いた気がします。

 

 

正確な歯科医師数です。

1980年 ⇒ 53,602人

2010年 ⇒ 101,576人

なんとこの間30年で、歯科医師数は約2倍に増加しています。

 

 

実は、「歯科医師数は増加しすぎだ」として、国家試験の合格率が年々低下させられているのが現状です。

医師国家試験の合格率は、約90%に達しますが、歯科医師国家試験の合格率は、約65%と非常に厳しい状況です。せっかく6年間勉強して卒業したのに、国家試験浪人を繰り返し歯科医師免許がもらえない状況の「国試浪人生」もちらほら見かけます。

 

これでは、「少し歯に詳しいお兄さん/お姉さん」で終わってしまいます。

歯学部生にとっては、少し厳しい時代になっています。

 

「学生みんなもっと勉強したらよいのでは?」と思われるかもしれませんが、合格点が存在する医師国家試験とは違い、上位〇〇%を今年は合格させるといった、制限が設けられます。よっては、全員合格できるといったことにはならないのです。

問題自体も難易度が上がっており、私でも今の国家試験問題はさっぱり解けそうにありません。笑 

 

そんな国の政策の影響されて、

2010年 ⇒ 101,576人

2012年 ⇒ 102,551人

2014年 ⇒ 103,972人

2016年 ⇒ 104,533人

2018年 ⇒ 104,908人

以上のように、増加率は鈍化しているのが現状です。

しばらくは歯科医師10万人オーバーの状態が続くのではないかとみられています。

(ちなみに、現在の医師数:約327,000人、薬剤師数:311,000人)

 

さて、本題ですが、

最近、女性の歯科医師数が増加しています。

理由は、「夜勤がない」「力仕事が比較的少ない」「比較的高収入」などがあるかと思います。女性も働く時代であるため、そういった理由を考慮し、親御さんが娘を入学させることも多いです。もちろん多くは、両親も歯科医師であることが多いです。

 

一度、結婚・出産を経て、再度職場復帰もしやすいと考えられます。

患者さんがいる限り、歯科医の仕事はなくなりません。

全国に歯科医院はあるので、都市部であれば働く場所には困らないことが多いです。

 

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上記の表からも、年々女性歯科医師が増加しているのがわかります。

29歳以下の女性歯科医師割合は、なんと46%にも上ります。

今後さらに増加すると考えられます。

 

大学の歯学部で毎日、学生の相手をしていて気づくことがあるのですが…

「やっぱり女子のほうが勉強できる感」は否めないです。

浪人生も男性の割合が少し多い気がします。

男子は遊んでしまうのでしょうか?笑

まぁ、これは中高でもいえることなのかもしれませんけども…

 

ここまで急激に女性比率が増加している職種も珍しいのではないでしょうか?

 

今後は、女性歯科医師、女性スタッフにも働きやすい開業形態が求められるかもしれません。

 

 

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【速報】歯医者さんでの感染対策グッズ!?

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

昨日面白いニュースがあったので紹介します。

ニュースというか、研究報告というべきでしょうか?

 

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現在、新型コロナ感染症(COVID19)が流行している中で、当初から歯科医療従事者は業務内容上、飛沫が飛びやすいとの理由でリスクが高いと話題になっていました。

(実際は、歯科医院内でのクラスター、特に治療の際に発生する飛沫により感染が発生しているとの報告は、いまだに存在しません。それだけ、消毒や感染対策に歯科界も力を入れているのだと思います。)

 

歯科治療時に発生した飛沫をその場で吸引できないか….....その要求にこたえるある製品が開発されているとのことです。それが……

 

「患者用使い捨てヘルメット」

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 正直ちょっとシュールです。

口元と頭頂部にのみ開口部があり、治療中に発生した飛沫は、頭頂部からの吸引により瞬時に吸い上げられるとのことです。

 

頭がスースーしそうです。笑

 

万が一、患者がせき込んだとしても、その飛沫の99.6%を0.1秒で吸引するとのこと。

相当な勢いで吸引しているのではないでしょうか。

 

名前の通り、このヘルメット部分は患者一人ごとに取り替えますので使い捨て(ディスポーザブル)です。

 

気になる価格ですが、1つ200円ほどとのこと。

これを高いとみるか安いとみるか……

「いかに多くの患者さんを短時間でまわすか」といった経営の歯科医院ではランニングコストが需要になってきますので、すべての患者さんに200円のコストが出てくるのは大ダメージです。しかし、院内全体を陰圧にする大型の吸引装置を設置するくらいなら、こちらのほうがコスト面でもガス交換効率の面でもよさそうです。

 

 歯科医院の感染予防設備をもっと手軽にと、アメリカのコーネル大学が研究開発したそうです。

 

頭頂部に設置する吸引装置は、チェアーの吸引装置に設置できるのか?

それとも別でバキューム機器が必要なのか、それによって初期経費が異なるので気になるところですがまだ不明です。

 

今後のより詳しい製品情報が待たれます。

まあ、うちの院長は、ランニングコスト嫌いなのできっと却下でしょうねー。笑 

 

歯科医のコロナ感染リスクを減らすため、患者用の使い捨てヘルメットが開発される (2021年1月15日) - エキサイトニュース (excite.co.jp)

 

 

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歯科疾患の新常識「NCCL」とは?

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

歯科で扱う二大疾患は、虫歯と歯周病です。

しかし、親知らずの問題、口内炎、顎関節症、ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり)、舌の異常など様々な問題を抱えて患者さんは来院されます。

 

そして今回は、知らず知らずのうちに歯が欠けてくる症状、「NCCL」についてピックアップします。

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   【目次】

NCCLとは?

NCCLの原因は?

NCCLの症状は?

治療法とは?

最後に

 

 

NCCLとは?

非う蝕性歯頚部歯質欠損(Noncarious Cervical Lesion)の意味です。

要は、虫歯が無いにもかかわらず、歯が欠損してしまう問題です。

虫歯、歯周病に次いで、第3の歯科疾患とまで言われています。

百聞は一見に如かず。

まずは、どんな症状か見てもらいましょう。

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↑ 中央の上の歯に注目してください。歯の根元付近に、鋭角な凹みがみえますか?

これがNCCLです。

実は、下の歯にも皿状のなだらかなNCCLが認められます。

NCCLには、いくつかの形状で分類できます。

 

 

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↑ 奥歯の付け根が大きく欠損しているのがわかりますか?

進行するとここまで鋭角に欠損することもあります。

いずれ、知覚過敏として痛みを伴うこともありそうです。

 

こういった、歯の付け根に生じる欠損(凹み)をNCCLと呼ぶようになりました。

ここ5年ほどで急に普及し始めたWORDであるため、まだ知らない歯医者さんも結構多いです。むしろ、勉強中の歯科学生さんのほうが詳しいかもしれません。

 

ただし病態自体は、昔から存在します。

これまでは、「くさび状欠損」「WSD(Wedge Shaped Defect)」として保険用語としても収載されているメジャーな用語として呼ばれていました。

現在も、日本の大多数の歯科医師が、WSDと呼んで共有している歯科疾患です。

ではなぜ、ここにきて呼び方を変えていこうとしているのでしょうか?

そこには、歯科界が長らく迷い込んでいた偏見と先入観が見え隠れするのです。

 

NCCLの原因は?

NCCLの原因は多因子性です。

つまり様々な要因が重なって、形成されると考えられます。

その中でも有力なのが、

・ 歯磨剤に含まれる研磨粒子

・ 強すぎるブラッシング圧

・ 歯ぎしり・くいしばりによる力のリスク

・ 酸蝕症

などが挙げられます。

 

これまでのWSD(くさび状欠損)という考え方は、大部分が力によるリスクによるものと片付けられており、見つけたらすぐに欠損部分をコンポジットレジン修復(虫歯を詰めるのと同じ治療法)で対応していました。

しかし、コンポジットレジンといえど人工物です。その修復物の横からすぐに虫歯になることも多く、元も子もない処置これまでの歯科界はたくさんしてきました。

 

しかし、最近の研究でこの歯頚部の欠損は、多くがブラッシングによるものではないか?という意見が欧米を中心に拡大しており、日本にも広がってきています。

 

さらに

・歯ブラシを使用しない動物の歯にはWSDは存在しないこと

・これまで教科書で当然のように教えられてきた、力の応力とWSD発生のモデルに根拠がないこと

・歯ぎしり・食いしばり症状がなくても、NCCLが認められること

・歯磨剤を用いた天然歯の実験で、鋭角の欠損が作成できたこと

などから、徐々に「歯ぎしりリスク ⇒ WSD」という常識(偏見)を修正しようという動きが出てきました。

 

 

ここで「NCCL」という用語が普及してきました。

要は、今まで歯医医師が考えてきてたよりも、ブラッシング圧や研磨剤が歯質に与える影響は大きいのだよ。ということです。

 

NCCLの症状は?

NCCLが進行するとどういった症状が出てくるのでしょうか。

こんなに凹んでいると磨きづらくて虫歯ができそうに思われるかもしれませんが、実はNCCL内に虫歯はめったに見られません。やはり、歯ブラシが必要以上に接触しているからこそだと思われます。

 

歯の神経が元気な歯であれば、徐々に冷水痛が出てくることも多いです。

いわゆる知覚過敏です。

NCCLが非常に大きく拡大するといずれ、歯が割れる(破折)することもあり、最悪の場合、抜歯となります。

 

治療法とは?

NCCLの進行スピードや症状は、個人差が大きいです。

大きく歯が欠損していても平気な人もいれば、たいして欠損が見られないのに知覚過敏が強く食事もままならない人もいます。

 

生活に支障がないのならまずは何もせずに経過観察が一番良いと思います。

なによりも、進行を抑えるために歯ブラシ圧について注意・指導します。

場合によっては、研磨剤の含まれない歯磨剤に変更してもらいます。

不用意に人工物で充填すると、すぐそばから虫歯になりやすくなるので、いきなり修復はしないことが多いです。

 

ただし症状がなくても、歯の欠損があまりにも大きいのであればそれ以上の進行や破折を考慮して、コンポジットレジンによる充填を行います。

 

NCCLへの治療は、あくまで対処療法です。

根本的な解決は、ブラッシング習慣を注意すること、歯ぎしり・食いしばりといった力のリスクをフォローすることが重要になってきます。

 

「硬い」毛先のブラシを使用している人は。「ふつう」か「やわらかめ」に変更しましょう。歯ブラシの柄はグーで握らず、ペンを持つように!ゴシゴシ音を立てず、1本ずつ細かく動かすこと。

こういった習慣の変更でも十分予防できます。

 

NCCL&虫歯予防のおすすめ歯磨き粉

 

↓特にこれはオススメ。多くの歯科医院でも販売されてます↓

 

 

 ↓こちらも研磨剤の含まれないジェルタイプ歯磨剤です。歯周病予防も兼用!

最後に

ただし、この毎日の習慣を患者さんに変えてもらうことほど難しいことはありません。特に、歯ブラシのやり方は子供のころからの習慣として身体にしみこんでいます。これを改善させようと指導・啓蒙してもなかなか変わらないのも事実です。 患者さんに寄り添い、一緒にブラッシング改善していく根気強さ、親身な対応が求められると思われる。

 

 

 

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歯周病と誤嚥性肺炎の関係

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

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以前紹介した、「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」

これは、「歯周病との関係する全身疾患についての学問」です。

近年、歯周病によって悪化したり、惹起するといわれている全身疾患が多数報告されています。

 

特に、歯周病と糖尿病の相互関係は、近年の研究報告もあってTVや雑誌などでも多数取り上げられるようになりました。

 

 

また、心臓弁膜症やカテーテル手術を行う予定、またはすでに行った患者さんは、歯周病を放置することで循環器系に歯周病が影響し予後不良となる可能性も高いです。

 

さらに重度歯周炎を診断されている妊婦は、早産や低体重児出産になりやすいとの報告も多数発表されています。

 

今日は、歯周炎と誤嚥性肺炎に関するお話です。

 

「誤嚥(ごえん)」という言葉をご存じですか?

私たちは、モノを飲み込むと通常それらは食道を通って胃に向かいます。

しかし、それらが食道を通らずに気管に入り込んで肺に向かってしまうことを「誤嚥」と呼びます。

 

高齢になるにつれ、嚥下反射や咳反射の低下、呼吸の不安定、口周囲の筋力低下、舌の筋力低下、姿勢の悪さなど様々な問題が出てきます。それと同時に、正常な嚥下(えんげ)がしにくくなり、誤嚥が起こりやすくなります。

また安静時や寝ている唾液や胃液が少しずつ肺へ流れ込んでしまう、「不顕性誤嚥」も起こりやすくなります。

 

本来であれば、誤って気管に入った場合、ゴホゴホとむせます。

むせるという現象はもともと防御反応なのです。しかし、高齢になると気管のほうへ流れてもうまくむせる反射ができないことが多いのです。またそもそも気管内に異物が入ったことに気づかないということもあります。

 

この誤嚥性肺炎を起こす細菌には様々な種類が存在します。

その中でも、歯周病原菌の割合は大きいことがわかっています。

つまり慢性的に歯周病の炎症を放置していると、知らない間に気管や肺へ流れ込んでいる可能性も高いのです。

 

現在、成人の死亡原因は、がん・心臓病・脳血管疾患などの生活習慣病が非常に増加していますが、そのなかでも肺炎は増加傾向です。

特に65歳以上から急に増加しはじめ、90歳以上の男性だけでいえば、死亡原因の1位ともいわれています。

 

私も以前、高齢者の施設訪問、口腔健診を行っていたのですが、小さな入れ歯であれば簡単にのどに詰まらせたり、それに気づいていない高齢者も数回見かけました。本来あり得ないことなのですが、高齢者では、こんなに大きなものでものどに引っかかっても気づかなかったり、その苦しさを人に伝えることができなかったりします。

ちょっとした変化に気づいてあげることが、介護スタッフや家族には求められそうです。

 

ブラッシングや定期的なメンテナンスは虫歯予防・歯周病予防だけでなく、今後の日本の長寿社会を支える、鍵となりそうです。

 

【まとめ】

1.高齢者は「飲み込み」や「むせる」力が弱く誤嚥しやすい。

2.歯周病菌が、気管に入り込み肺炎につながりやすい。

3.65歳以上から肺炎の死亡率が急増する。

4.歯磨きや歯医者での定期健診が予防として重要である。

 

 




 

 

歯周病と早産・低出生体重児出産との関係

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

以前紹介した、「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」

これは、「歯周病との関係する全身疾患についての学問」です。

近年、歯周病によって悪化したり、惹起するといわれている全身疾患が多数報告されています。

 

特に、歯周病と糖尿病の相互関係は、近年の研究報告もあってTVや雑誌などでも多数取り上げられるようになりました。

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また、心臓弁膜症やカテーテル手術を行う予定、またはすでに行った患者さんは、歯周病を放置することで循環器系に歯周病が影響し予後不良となる可能性も高いです。

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今回紹介するのは、「歯周病が影響する早産・低出生体重児出産」についてです。

 

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【早産】とは、在胎週数22~36週で出産することをいいます。

原因としては、

妊娠高血圧症や前置胎盤などの妊娠中の異常

腎疾患や心疾患、母体年齢などの内科・婦人科的な合併症

喫煙、ストレス、労働などの社会的な要因

など多岐にわたります。

 

また【低出生体重児】とは、出生時体重が2500g未満の新生児のことを指します。

こちらも原因としては、

① 在胎週数が短く出生してしまい出生時体重が小さくなる場合

② 子宮内での体重増加が悪かった場合(胎児発育遅延)

の2つが存在します。

 

実は近年低出生体重児が、徐々に増加しているという報告があります。最近の40年だけでも平均の出生体重が200gも減少しています。低出生体重児の割合も、全体の約10%ほど増加しています。近年、この傾向には歯止めがかかっているようですが、平成25年には、男性で8.5%、10.7%まで増加しています。

 

大きな要因としては母体のやせ型思考と喫煙歴などが関係していると言われています。

私も最近知ったのですが、妊娠中の体重増加をここまで警告、指導しているのは日本くらいだそうです。妊娠高血圧症などを警戒してのことなのでしょうが、すこしやりすぎじゃないの?というのが最近指摘されているそうです。

 

※ちなみに、出生時体重が2000g未満または生活能力が薄弱の低出生時のことを未熟児と呼んでいましたが、こちらは正式な医学用語ではありません。

「早産児」「低出生体重児」と比較して、呼吸機能や筋機能など胎外での生活に適応できるか否かなどの、事項も考慮して用いられます。どちらかというと、社会福祉・保健制度で用いられる用語かなーと思います。

 

さて、話を歯周病との関係に戻しましょう。

 

《歯周炎 ⇒ 低出生体重児》

重度歯周炎と診断された妊婦が低出生体重児出産をする確率は、健康な歯肉の母親と比較して約7倍との研究結果があります。

これは、飲酒や喫煙をしている場合よりもはるかに高い割合となります。

 

メカニズムとして考えられているのは、やはり①歯周病原菌が全身にながれて生じる可能性です。炎症を起こした歯肉から血管中へ、さらに羊水内へ入り込み胎児の成長に影響を及ぼすというものです。

 

《歯周炎 ⇒ 早産》

歯周病原菌が増加すると、歯肉での炎症が進行します。

炎症自体は、免疫が身体を守ろうとしている証拠でもあるので一概に悪いものとは言えません。しかし、このとき「炎症性サイトカイン(IL-1 、IL-6 、TNF-αなど)」という物質が多量に放出され、他の免疫細胞を呼び集めようと号令をかけます。歯肉では、免疫大集合の号令として働きますが、これが血流にのって全身に回るとすこし厄介なことになります。

 

特に妊婦の胎内では血中のサイトカイン濃度の増加は出産のゴールサインとみなされます。濃度が高まると妊婦の子宮収縮が始まり、発育不十分な状態で赤ちゃんが産む早産・低出生体重児出産につながる可能性があるのです。

 

また一方で、妊娠中はつわりなどもあり、不規則な食習慣、歯ブラシ習慣の変化(悪化)になったりします。さらに、妊娠中に増加する女性ホルモンが歯周病原菌の増加につながります。そういった理由で、いっそう歯肉炎・歯周炎が進行しやすくなります。(妊娠性歯肉炎)

 

ブライダルチェックとまでは言わないですが、歯周病の定期的なチェック、歯石除去などを習慣化させておくことが、重要だと思います。

結局、定期的な歯科メンテナンスが重要なんですね!

 

《まとめ》

1. 重度歯周病の妊婦は、約7倍早産・低体重児出産が発生しやすい

2. 歯肉から、歯周病原菌・サイトカインが血流に入り、子宮・羊水に影響する

3. 妊娠中は、女性ホルモンや生活習慣の変化もあって、歯肉炎が生じやすい

4. 定期的な歯科メンテナンスがやっぱり大事!

 

 

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歯周病と循環器疾患の関係

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

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以前紹介した、「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」

これは、「歯周病との関係する全身疾患についての学問」です。

近年、歯周病によって悪化したり、惹起するといわれている全身疾患が多数報告されています。

 

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今日は、その中でも循環器疾患について紹介です。

循環器疾患の中でも特に命に関わるのが、心筋梗塞や脳梗塞といった重要臓器の血管が詰まる病態です。

 

狭心症や心筋梗塞

動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、塞がってしまい心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある疾患です。

 

動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因ともいわれてきましたが、別の因子として歯周病原菌などの細菌感染が注目されてきました。

 

歯周病原菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の沈着物)ができ、血管の通りが悪くなります。さらにこのプラークが剥がれて、血の塊ができると、その場で血管が詰まったり、ほかの血管が細いところで詰まるのです。

 

脳梗塞

こちらも脳内血管のプラークが詰まったり、他の臓器から飛んできた血の塊やプラークが飛んで来て脳血管が詰まる疾患です。脳内は特に細く複雑な毛細血管が縦横無尽に走行しているため、血管が非常に詰まりやすいのです。血管が詰まると、命を失うこともありますが、場所によっては半身不随や寝たきり、発語障害、認知症の進行など介護が必要になる可能性も高く、家族への影響も大きくなる可能性が高いのです。

 

 

これまでの研究より、歯周病の患者さんはそうでない人と比較して、1.5~2.8倍も循環器系疾患を発症しやすいと言われています。

 

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循環器疾患の原因となるアテローム性動脈硬化(コレステロールなどの脂質が動脈内におかゆ状の沈着物を形成して生じる動脈硬化)の出現が、歯周病と関連することがわかってきました。さらに、近年の研究で、このアテローム動脈硬化が生じている部分から、歯周病原菌が検出されたとの報告もあります。

 

口腔内の歯周病部分から血管を通じて、全身に細菌が流れていると考えられています。

そう考えると痛くないからと言って歯周病の歯を放置するのは、命に関わるとも言えそうです。

 

さらに細菌だけではなさそうなのです。

歯周病で炎症が生じている歯肉では炎症性サイトカインと呼ばれる物質が産生されます。インターロイキンとか聞いたことないですか?IL-1, IL-6, TNF-α などの炎症性サイトカインが血流にのって心臓など各臓器に運ばれます。そこで、血管内皮細胞やアテローム性動脈硬化部の免疫系統が活性化され、心臓血管や脳血管の異常を引き起こすのではないかと考えられています。

 

さらに肝臓がその炎症性サイトカインの刺激を受けると「急性期たんぱく質(CRP)」を作り出し、全身に流出します。その作用で、アテローム性動脈硬化症の進行を促すのではないかと言われています。

 

以上より、血圧や中性脂肪・コレステロールが高い人は、血管疾患予防のためにも歯周病の予防や治療が、より重要になってくるといえそうです。

 

【まとめ】

1. 歯周病部分から、血流にのって全身に細菌や毒素がまわることがある

2. 歯周病患者は、1.5~2.8倍も循環器系疾患を発症しやすい

3.  基礎疾患がある人は、歯周病予防や治療がより重要

 

 

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歯周病と糖尿病の関係

こんにちは

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前回紹介した、「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」

これは、「歯周病との関係する全身疾患についての学問」です。

近年、歯周病によって悪化したり、惹起するといわれている全身疾患が多数報告されています。

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その中でも特に患者数が多く、歯周病との相互に影響しあっていると報告されているのが「糖尿病」です。

 

糖尿病とは、血中のブドウ糖濃度が慢性的に高濃度になる疾患です。

特に、生活習慣に大きく関与する2型糖尿病は、入院・通院あわせて診断されているだけで300万人以上である。また、予備軍も合わせると、2000万人ともいわれ、国民病の一つである。

糖尿病の怖さを一言で表すと、「血管をボロボロにする疾患」です。

よって、毛細血管の密集する臓器(網膜、腎臓、末梢神経など)から機能不全になってしまいます。

①空腹時血糖126mg/dL以上 

②75グラム経口ブドウ糖負荷試験200mg/dL以上 

③随時血糖値200mg/dL以上

HbA1cの値が6,5%以上

①~③のうち少なくとも1つと④が同時に確認されたとき、糖尿病と診断されます。

 

特に最後のHbA1c(糖化ヘモグロビン)は、過去1~2か月間の血糖値を反映するといわれており、直前の食事などに影響されることなく非常に重要な測定値なのです。

 

話は、歯周病に戻ります。

歯周病は、歯と歯肉の溝(歯周ポケット)に生息する細菌感染症です。

歯周病に感染した患者は、歯周ポケットが深くなり、歯周ポケット内に潰瘍の状態になります。つまり、体内に続々と細菌が入ってくる状態になります。それは、血流にのって全身にまわに、様々な全身疾患につながることが報告されています。

 

歯周病は口の中だけの病気…と思われがちですが、実は全身に影響する慢性疾患なのです。慢性的な炎症を歯周ポケットの中で起こし続けているので、あまり痛いと感じることがありません。せいぜい違和感や冷たいものが染みる程度です。しかし、知らない間に炎症は広がり、歯を支える顎の骨が吸収し、歯が揺れてきたときにはもう遅い…といった患者さんが非常に多いのです。

「サイレントキラー」などと呼ぶ先生もいるくらいです。

 

歯周病を放置するとなぜ血糖値が上がるのか。

慢性的な炎症が生じているということは、歯肉が腫れ、そこから様々な炎症性サイトカインと呼ばれる物質が全身に流れます。さらに、歯周病原菌や彼らがもつ毒素も血中に流れ出し、全身に運ばれてしまいます。それらは、本来血糖値を調節してくれる(下げてくれる)はずのインスリンの機能を低下(インスリン抵抗性)させます。その結果、血糖値の上昇につながるのです。そのため、糖尿病治療が効果を得にくいということも考えられます。

 

またその逆も報告されています。

つまり糖尿病を放置すれば歯周病が進行するのです。

・糖尿病患者が口腔内が乾燥しやすいため

・高血糖により白血球などの免疫機能が低下し、歯周病原菌への抵抗力が下がる

・組織の修復力が下がる(特に血管の修復力が弱い)

・終末糖化産物(AGEs)が歯肉に蓄積し、歯周組織の機能が低下

などいくつかの理由から、糖尿病 ⇒ 歯周病への影響が考えられます。

 

要は、歯周病 ⇔ 糖尿病は、相互関係が成り立っているというのが、今の医科歯科界の見解なのです。

 

これは負の螺旋のように感じられますが、適切に対処すれば双方一緒に改善することが可能とも考えられます。

 

したがって、歯周病治療を継続して行えば、HbA1c数値の改善が認められるという報告も非常に多いです。また、食事制限も含めて糖尿病治療を行うことで歯周病の数値も改善していくと言われています。

 

あんまり難しくなってもダメなのでこの辺にしておきますが…

今日のまとめ

・歯周病と糖尿病は相互に影響しあっている。

・歯周病は、インスリンの機能を低下させ糖尿病を悪化させる。

・糖尿病は、細菌による歯周組織の破壊を加速させる。

・適切に治療すれば、双方改善することができる。

 

以上です。

私の担当する歯周病患者さんでも、治療が進むとともにHbA1cが改善してった方が何人かいらっしゃいます。歯科治療にかかわらず、全身臓器や機能の改善に貢献できるやりがいを感じることができた瞬間かもしれません。

 

「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」を広く国民に知ってもらいたいなと思うと同時に、歯科医師側も積極的に歯周病治療に取り組んでいくようになったらなと思います。実は、まだまだ歯周病治療は衛生士まかせと考えている歯科医師も多いのが現状だったりしますからね~。

 

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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