Mリーグを観るようになった。これまでまったく気にもしなかったコンテンツをなぜ観るようになったか。
きっかけはYouTubeでたまたま流れてきた動画だ。
霜降り明星のせいやが武田鉄矢のモノマネで失礼すぎる麻雀をやるという企画。
この回のゲストである魚谷プロはMリーグの選手らしいということで、「魚谷 Mリーグ」でYouTubeの動画を調べた。
すると、先ほどの動画のホンワカした感じからは想像もつかないような、鋭い目つきの真剣勝負の様子が出てくる。これがMリーグか。かっこいい。
Mリーグの存在は以前から知っていたが、わざわざ観たことはなかった。調べたところ、試合の生配信はAbemaで無料で観られるらしい。さっそく観た。ちょうどいまはレギュラーシーズン後のセミファイナルという時期のようだ。野球で言うところのクライマックスシリーズみたいなものか。
スマホ越しに見たMリーグでは、実況の女性(あとから調べたところ松嶋桃さんという方)が、すごく流暢に状況を説明しながら試合を盛り上げており、この心地よい実況を聞くだけでも十分楽しいと感じた。私自身、麻雀の経験は昔ちょっとやっていた程度で、ひととおりのルールはわかるが点数計算はあやしいレベルだ。それでも実況が面白いおかげで十分に楽しめた。
ふだんプロ野球やJリーグばかり観ている自分にとって、麻雀のリーグというのは独特だ。試合で得た点数が蓄積されていき、それでセミファイナル進出、ファイナル進出、優勝と決まる。勝ち負けそのものよりも、試合で得た点数が何よりも重要だ。これは野球やサッカーには無い考え方だ。野球やサッカーでは順位を決める第一の指標は勝敗である。しかし、Mリーグは点数なので、数試合の小さな負けを1試合の大きな勝ちで取り返すことができる。逆に、1試合でも大きな負けがあると、取り返すのが大変だ。それゆえ、1試合1試合の重みが大きい。
Mリーグを知るきっかけとなった魚谷選手の所属するセガサミーフェニックスはセミファイナルに進むことができず、すでに敗退している。しかし、まだ特定の推しの選手や推しのチームが決まっているわけではないので、いろんなチームのいろんな選手のことを知ろうと思った。
当時、セミファイナルからファイナルに進む4チームを決める、熾烈な争いが行われていた。ボーダーライン上にはサクラナイツ、ドリブンズ、ABEMAS、麻雀格闘倶楽部がいた。このうち2チームがファイナルに進出できる。順調にいけばサクラナイツとドリブンズで決まりそうだ。こうなってくると負けてるほうを応援したくなるのが人間の心理だ。
何日か試合を観て、とうとうABEMASにとってセミファイナル最後の試合日となった。ABEMASがセミファイナルに進むには、ドリブンズを上回る必要がある。その日の1試合目、ABEMASの日向藍子選手が見事トップを取った。しかし、試合後のインタビューで彼女は泣いていた。試合の最終盤にドリブンズの渡辺太選手に振り込んでしまい、思ったほど差を縮めることができなかったのだ。試合で一位なのに悔し涙。とても印象的なシーンだった。
先ほど言った「勝ち負けそのものよりも、試合で得た点数が何より重要」という考え方は試合の取り組み方にも影響してくる。チーム成績が芳しくない場合、無難な点数の1位よりも「大勝ちの1位」を目指す必要が出てくる。しかし、その分リスクも背負うため、うまくいかないこともある。麻雀なのにチーム戦だ。チームで戦っている。そこにドラマがある。
そこからいろんなチームの控え室の動画を観るようになった。試合に出る選手の背中をポンと叩いて送り出すチームメイトの姿が印象的だ。また、動画によっては対局前の選手同士のリラックスした会話を見ることも出来、とうとう抜け出せなくなった。試合中はあんなにもきりっとしていかっこいいのに。なごむ。これずっと見ちゃうな。
そこから派生して、過去の名勝負や珍場面の動画も見ている。瑞原・沢崎のMVPをかけた直接対決とか、内川の伝説の「西」放銃とか、多井の顔の予言とか。ここに書ききれないくらいたくさんの名シーンがあり、それらを一気に見て追い付こうとしている。見ているうちに選手の顔と名前とチーム名もだんだんわかってきた。
今シーズンはこのまま特定の推しを作らず眺める予定だが、来シーズンからは応援するチームを決めるのも面白そう。どうしようかな。楽しみだ。おわり。