事業を撤退する判断が上層部からされた。
根拠としては、収益性の低さである。ビジネスモデル上粗利率が低くジリ貧なこと、かつ規模の経済が効いて粗利率の壁を超え収益性を確保できる時間軸が相当長いことが主な理由である。収益性が低いからといって、即撤退にはならないとは思うが、IR上でのコミットメント宣言が前提となっており仕方のないことだと理解している。
上記について、株主への対峙に係る事項と思い、今の考えを記載してみたい。
1)前提。株主は会社の所有者である
元来株主が資本を注入することで事業が成り立っている。株主が事業へのリスクを取ることで、大規模な投資が可能になり、複利的な成長が加速する。エクイティでの調達をしている限り、株主利益の保護が常に纏わり付く。
2)事業計画は株主への約束である
事業計画を作成することで、株主へのコミットメントを宣言する。社内の人間からすると上層部が計画を承認しているように見えるかもしれないが、一番株主に近く説明責任を真っ先に果たさねばならない経営層が「これなら説明できる」と認めることが行われているだけであるそして株主に承認された計画を社内に下ろし、事業をExecuteする。(勿論経営層が大株主である場合も多いのだが)
3)事業計画を守らない際には説明が必要である
事業計画はコミットメント宣言であるがゆえに、容易な変更は許されない。コミットメントと承認は表裏一体であるから、事業環境の急速な変化により約束内容を変える際には、きちんとした手続きで変更承認を得る必要がある。
4)各事業は担当者にとってどんなに可愛いものだとしても株主利益を毀損しない形で意思決定がされるべきである
各事業は事業担当者のものではない。事業担当者は、給与という形式で事業への貢献に対する評価をされているので、所有はできていない。もし所有したいのなら株主として自らの手でリスクを取る必要がある。給与とは別で株を付与する報酬体系ならば、担当者として、そして株主として、両方の顔で事業に対峙することになる。
5)かといって株主利益と顧客の利益は相反しない
株主利益は絶対的に毀損してはならないが、これは顧客を蔑ろにするということを意味しない。むしろ、顧客のことを徹底的に重視する姿勢を取ることで、株主の利益が守られる。
つまりは顧客Orientedな姿勢と株主利益保護は両立する。