漫画喫茶録 2013.11.04

『シマウマ』#1〜8 小幡文生

シマウマ 1 (ヤングキングコミックス)

シマウマ 1 (ヤングキングコミックス)

シマウマ コミック 1-8巻セット (ヤングキングコミックス)

シマウマ コミック 1-8巻セット (ヤングキングコミックス)

 この手の作品に共通する「"法など意味のない暴力だけが頼りになる世界"をリアルに描く」というテーマは正直苦手だ。その世界に没頭している間に陰鬱とした気分になるから。もっとポピュラーな作品だと『闇金ウシジマくん』が該当する。自分が生きてきた世界と同じであろう世界を舞台にストーリーは進むが、その表現方法にファンタジーも希望もない。以下、感想メモ。
 

  • アカの狂気。助けられたいじめられっ子が恩返し(もしくは彼なりの好意)で渡したCD。聴く環境が整ってなければ、ゴミ。双方に恨みが蓄積する。

 

  • キイヌに憧れ、美貌を手に入れたデブスの末路。「憧れたのは私一人ではなかった」という言葉の重み。

 

  • 復讐の連鎖は『NARUTO』でも描かれている程メジャーだけれども、回収屋に回収を仕掛ける彼らの登場には、思わず膝を打った。

『テラフォーマーズ』#4,5,6

テラフォーマーズ 4 (ヤングジャンプコミックス)

テラフォーマーズ 4 (ヤングジャンプコミックス)

テラフォーマーズ 5 (ヤングジャンプコミックス)

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テラフォーマーズ 6 (ヤングジャンプコミックス)

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 YJを読まなくなった。毎週読む余裕がなくなったから。悔しいけれど、日経新聞+業界誌に毎日目を通すことが求められる環境では、YJ及びWJを毎週律儀に読む余裕は消え失せた。

  • 設定や読了後の絶望感といった観点では『シマウマ』より大きいものになるのかもしれないけれど、本作品はSF性が高いため純粋にストーリーを楽しむことができる。「あのサイズのゴキブリを想像することはできるけれども、あのサイズのゴキブリは今自分が生きる世界にはいない」と断言できるからだ。一方、『シマウマ』の世界は今と繋がっていることが想像に容易く、回収屋が自分の元にやってくる可能性を否定できない。
  • 日本+米国の合併チームは主人公度が高い。艦長カッコイイ。

大相撲平成二十五年九月場所後所感

 把瑠都の引退発表で幕開けとなった九月場所は、白鵬の四場所連続二十七回目の優勝で幕を閉じた。相変わらず日馬富士が空気横綱となっている状況は軽量横綱の運命である。相変わらず大関陣が不甲斐無く見えるのは、横綱が異次元に強いことの証明である。

 新入幕の遠藤は、その実力を概ね発揮していたように見える。勝ち越したこともあり、怪我の様子から判断して途中休場となった。上位とも対戦が組まれていただけに、残念。初日黒星スタートだった際には「今まで初日負けたことなかったので」とコメントしていた。怪我が万全であれば、上位まで上がるのも時間の問題と見られる。

 注目は十両優勝の照ノ富士。間違いなく上位に上がってくる才能を持っている。その潜在的な能力は次世代の横綱級で、遠藤のライバルになるだろう。取り口も非常に豪快であり、大砂嵐との取り組みは非常に見応えがあった。

 豪栄道が11勝したことで、九州場所の結果次第ではまた大関取りの話が出てくるだろう。稀勢の里は相撲が雑になっている印象で、「横綱候補」と呼ぶことすら烏滸がましい。というのも、優勝したことがない力士は横綱にするべきではないというのが持論であり、双羽黒の例を挙げるまでもなく、横綱は二場所連続優勝する実力を(たとえそれが一時的なものであれ)有していなければならない。

 他の大関陣には8勝する機械からの卒業を期待する。

大相撲平成二十五年名古屋場所後所感

〈幕内全取組〉の録画に失敗。

白鵬が優勝したものの稀勢の里に負け連勝ストップ、序盤で取りこぼし絶望的だったところから巻き返し白鵬に勝ったところで最高潮となった稀勢の里が千秋楽二場所連続で琴奨菊に負けて綱取りに失敗し、日馬富士は空気。以上。

大相撲平成二十五年五月場所後所感

 白鵬の自身十回目の全勝優勝で幕を閉じた場所だったが、今年最も良い場所だったのではないかと思う。その理由は三つある。

 一つ目は序盤に大関陣(特に鶴竜稀勢の里)が安定して星を伸ばすことで、横綱以外の力士が優勝争いに関わった久しぶりの場所になったこと。勿論、横綱日馬富士が序盤で星を落として優勝争いから早々と脱落したのは誤算だったけれども、大関が星を伸ばすことによってその場所の盛り上がりは大きく変わることを改めて実感した。

 二つ目は関脇以下三役が軒並み負け越したこと。これは大関陣が星を伸ばしたことの裏返しでもあるけれど、豪栄道栃煌山把瑠都*1といった長期に渡ってその地位を守っていた力士の負け越しは、番付の流動性という観点から評価されてしかるべきことだと思う。その昔、魁皇が長期間に渡って務めた三役の座から平幕へと転落した次の場所に大活躍したことがあったことを、子ども心ながら覚えているので、豪栄道および栃煌山の奮起に期待したい。

 三つ目は十四日目に国技館のチケットを予約していたので、白鵬稀勢の里の全勝対決を生で見ることができたということ。これに関しては完全な運だけれども、それでも当日の盛り上がり方はやはり尋常じゃなかったし、体験できて良かったなぁと心の底から思った。

 その他、豊真将が十両ぎりぎりのところで勝ち越したり、琴勇輝が十両優勝したり、先場所上位陣に跳ね返された勢が再び上位を狙えるような成績を残したり、先場所は残念ながら途中休場となった千代大龍が二桁勝ったりと、期待できるところがきちんと成績を残しているのは非常に良かった。

 日馬富士の序盤取りこぼしについてはそれほど目くじらを立てる程のものでもないと思う。なぜならば、かつての横綱(たとえば貴乃花)も序盤から星を落とすことはあった。今場所は十一勝あげている分、まだマシと言える。

 稀勢の里は千秋楽の負け方が酷く、綱取りは厳しいとの見方が強い。しかし、来場所も初日から十三連勝するようであれば、自ずと話題にのぼるのではないかと思料している。

相撲 2013年 05月号 [雑誌]

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*1:把瑠都の膝についてはもはや絶望的。去年の初場所の時点では横綱になると思っていただけに非常に悲しい。

日本最高の山は富士山であるが、日本最低の山は定義によって変化する

生物に限らず、どんなものであってもそれらを分類することは、我々人間にとって根源的な行為のひとつであり、「分類は人の常」とは格言そのものである。

「日本最高の山」は誰でも明白に理解することができるが、「日本最低の山」は行政的な認定が必要となる。つまり、何を山と定義するかによって「最低」が変化してしまうので、誰かがそれを決定しなければならず、それは行政がになっている。これは「最高であること」と「最低であること」の分類上の非対称性が問題なのだ。

「連続的なつらなり」からいかにして「離散的な群」を切り出すか、という部分に分類という行為の根幹は存在している。そして、もともと分けられないものをあえて分けるという、分類そのものが抱える原罪的難問が同時に生じる。

連続から離散を切り出すための最後のよりどころは「法律」しかない。つまり、分類することは結局「法律」によって決まる。ゆえに、「最低であること」を求める人々によって、法律は変化し、それによって定義も変化する。明確な区切りは「法律」で定めるしかないのだ。

分類思考の世界 (講談社現代新書)

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大相撲平成二十五年三月場所後所感

 白鵬が13日目で優勝を決めてしまい、先場所と比べても消化試合感の高い終盤戦であった。正直、東の横綱にはがっかりしているけれども、先場所の場所後所感で書いた通り、「安定感に欠けるのは軽量横綱の宿命」なので仕方がないとは思う。来場所は東の横綱に白鵬が帰り咲くことが確定的であり、日馬富士の東の横綱時代はわずか一場所というのは残念極まりない。

 今場所も大関陣が序盤から取りこぼしが続き、荒れる春場所を感じさせた。それに加えて、横綱日馬富士も取りこぼしが重なり、まるで大関日馬富士を見ているような錯覚に陥った。それと比べると、白鵬は初日二日目こそあぶない相撲も見られたが、概ね安定していた。

 しかし、千秋楽の一番を見ると、白鵬は全盛期を通り過ぎている気がする。なので、次の時代を引っ張るべき力士が出てきてほしいと強く思う。その筆頭が高安だったが、期待外れ。日馬富士に勝ったのはまぐれと言っても過言ではないし、兄弟子・稀勢の里と同様、もう少し成長して貰いたいものだ。

 豪栄道が10勝してまた大関への足がかりとしたことは評価が高い。一方同じ大阪出身の勢は上位の壁に跳ね返されてしまったので、また這い上がってきてほしい。

 最後に、先場所危惧した通り、雅山が引退してしまった。「体がぼろぼろになるまでできた。まだまだ負けないぞという気力はあるが、少し体を休めたい」という引退会見はこちらも涙が止まらなくなった。二子山親方として、良い力士を育ててもらいたい。

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2013.03.18 - 03.24

卒業
  • なんとか卒業することができた。
  • 実際は高校卒業と同様、勝手に卒業できたようなもので、特にこれといった感激はなかった。
  • ただ、これから環境が一変していくのだと思う。
  • 240万円で学歴を買ったようなものだが、実際には機会費用や交通費等々もっと掛かっている。細かい事を気にしすぎるのは野暮ってもんだ。
  • 新生活への準備が後手後手になりすぎていて、やらなければいけないタスクが相当山積みになってしまっている。
  • オチオチ計画も立てていられないものだ。
ブックオフの105円コーナーの充実ぶりに圧倒された
  • 今までブックオフは中古漫画のあるところというイメージだったのだが、文庫版小説の充実ぶりに圧倒された。
  • 受験参考書や大学時代の教科書を売って得た現金を使って、30冊くらい買った。
  • ここまで充実しているならば、仮に仕事をクビになったり、お金がなくなったり、といった予定外のことが起きても、毎日読書漬け生活で生き長らえることはできそうだなと感じた。
  • 図書館利用すればいいのかもしれないが、本に関しては所有欲があるので。
小説家インスパイア
  • 村上龍の『すべての男は消耗品である。』を読んだ。
  • 村上龍は1985年に「〈美人は三日で飽きる〉というのはブスの自殺を救うための嘘であって、ブスは飽きられることさえないのである」と書いていて、似たようなツイートをいくつか見たような気がする。
  • いつも「おもしろいなぁ」と好意的に捉えることができたある人のツイートを「なんだ村上龍インスパイアだったのか」と、それまでの評価を改め直す機会になった。
  • この分だと村上春樹インスパイアとか西尾維新インスパイアとかザクザク出てきそうだなぁ。
etc.
  • オシャレなお店を多く知っていることとオシャレなお店に実際に行ったことがあることは別ものなんだと知った。
  • カレー婆さんにチョコレートで殴られた。
  • 「デイル・ドーテン著『「趣味は映画です」と言うために観る映画は楽しいかね?』」がスベった理由は、みんなが『仕事は楽しいかね?』を知らなかったことに尽きると思う。
  • 「チンボラーゾ」については、TEDのこのプレゼンを参照してください。
  • 山崎豊子の小説を浴びるように読みたい。

華麗なる一族〈上〉 (新潮文庫)

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