神聖マルチ王国別館

思った事をダラダラと書きます。

何故、ゲーセンで業務両替をしてはいけないのか

どうもしんいちです。

サッカーの話がイマイチなんでこっちは放置してましたが、ネタはあるんで書きます。

 

皆さんはゲームセンターに一度は行かれたことがあるかと思います。

毎年、コミケ時期になると必ずSNSを賑わせる「釣り銭等をゲームセンターで両替するな」という、いわゆる「業務両替をしてはいけない」という話を、元ゲームセンター運営管理者の立場で、すこし掘り下げてみたいと思います。

 

それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち

それは「ポン」から始まった-アーケードTVゲームの成り立ち

 

 

ゲーセン内でのお金の流れ

最近では電子マネーも導入されてきましたが、ゲーセンでは、殆どのゲーム機が100円か500円の硬貨を投入する事で遊べる仕組みです。これはインベーダーゲームが大流行して、現在のゲーセンの下地を作った30年以上前から変わりません。

あなたがゲームセンターに行き、硬貨が無い場合は、まず両替します。そしてその100円なり500円なりの硬貨を投入すると、ゲーム機械の中に溜まっていきます。

この硬貨は、一定の間隔で機械から回収されて、電気信号で物理的に動く巻き戻しが出来ないコインカウンターの数字を記録し、実際の硬貨回収枚数をこれまた物理的に数えて、前回のカウンターと今回のカウンターの差を数え、実際の回収枚数との誤差(いわゆるコイン飲まれ)を修正して、その機械1台の売上としてカウントします。

これを機械の台数分全て(手作業で全部)行い、回収時点での金額が「売上」として確定する仕組みです。これをゲーセンでは「集金業務」と呼んで、大型店舗が多い現在は人海戦術で大変な苦労と人件費で一気に行います。

回収した硬貨は金庫に保管して、両替機のからの払い出し硬貨として使用するので、ある程度の量は店舗内で還流する仕組みとなっています。

 

じゃあいいじゃん

よくありません。この両替された硬貨は、全てがゲームで消費されるわけではなく、当然全額使い切る訳もなく持ち帰る割合があります、これを

両替率

という、店舗独自に算出する「両替されたお金が店舗で消費される率」をしっかりと出しています。具体的な数字は言いませんが、何割かはお店に戻らないので、その分は銀行にて有料での両替を行い補充します。

まあこれは運営経費なので、通常の営業であれば特に問題ではありません。ちなみに両替率、すなわち店舗に戻る硬貨の割合は、みなさんが考えているよりもずっと高いと思います。

 

じゃあなにがダメなの?

最初の「お金の流れ」で説明した硬貨回収、これは非常に手間のかかる作業で、

  • 回収
  • メーターチェック
  • コインカウント
  • 誤差の原因追求
  • 回収金額とメーター数値の一致
  • 売上確定

といった作業を、だいたい夜中に、大人數をかけて行うので、当然毎日行う事はなく、大体の場合は週一、10日に一回など、かなりの間をおいて行うことがほとんどです。

※一部例外で、大型店舗で毎日集金という地獄が展開された店もあったようですが、今は殆ど無いはず。

そうすると、ある疑問にブチ当たるはずです。

 

一日あたりの売上ってどうやって出すの?

当たり前ですが、デイリー売上を見ない商売はありません。特にゲーセンなど大量のお金が動く場合、更に細かく「時間別売上」「フロア別売上」「特定ゲーム(のそばにある両替機)別売上」など、売上は一日に何回もチェックし、上長へ報告する仕組みになってます。

たとえば雨の日の夕方、プライズゲーム機フロアの売上が悪ければ、ワンゲーム無料券などを店頭で配り、販促を行うわけです。これはちゃんと数字を見て行います。だって売上がないと上から怒られるし、自分の給料も出ませんので、運営管理者は必死です。死ねます。

でも、回収スパンが長い集金業務で売上が確定する以上、どーやってデイリーや時間別などの細かい売上を算出するのか、それが

両替機に投入された金額

となります。この金額に先程書いた「両替率」をかけることで、おおよその売上を算出出来るのです。

新入荷した肝いりのゲーム、競合他店舗も導入しているから売上が気になる!そうすると、そのゲームコーナのそばに(意図的に)置いた両替機の稼働率で、そのゲームの売上が見えます。これを報告するのですが、稼働率が低いと怒られます。死ねます。

この金額は非常に正確で、両替機に投入された金額と回収された現金が大きくズレる事はほぼありません。だいたい合ってます。「大量の業務両替」という例外を除いて。

 

業務両替されるとどうなるか

もうおわかりだと思いますが、売上の算出に大きな誤差が出ます。例えば通常の両替率が「75%」だと仮定しましょう(こんなに低い店は潰れるので有りえない数字ですが)。そしてみんな大好き「艦こ○AC」のフロアにある高額両替機と低額両替機、3時間の稼働で合わせて20万円の両替があった場合は、

200,000×0.75=150,000

ということで、集金しなくても、3時間でだいたい15万は売り上げてるなー、という事がわかるのです(数字は例なので滅茶苦茶です)。

ここに業務両替が入ると「両替率」が一気に下がります。当たり前です、ゲーセンでお金を使うことが目的では無いので、全額持ち帰られてしまうからですね。100円でも使えばセフセフ、みたいな話をする人がいますが、完全にアウトです。

業務両替が横行すると、営業中の正確な売上算出が困難になり、ゲームの稼働状況の把握も難しく、運営に著しい支障が出るという素敵システムです。当然デイリー売上も、両替機の稼働率から算出しているので、回収金額との差異が大きくなり、偉い人に滅茶苦茶怒られます。

売上が多ければ、まあ(何で業務両替を放置したんだ!という前提ですが)怒られ方も小さいんですけど、売上が万が一に報告から少ないと、死ぬほど怒られた上に「何故売上がないのに効果的な施策や販促を打たなかったのか!!!!」などと、全く反論が出来ない説教をさらにいただきます。かなりキツイです。

 

業務両替はやめてください

すこし長くなってしまいましたが、ゲームセンターの両替機は「店内でお金を使ってもらう」事を前提に設置されてる事がわかったと思います。

業務両替はゲームセンターにダメージを与えます。正確な売上がわからない、効果的な販促も出来ない、両替経費の増大、従業員の精神的な疲弊などなど。

こういった事をなくすために、現在電子マネーの導入が盛んですが、これまた四半世紀も前から磁気カードなどでプリペイドによる集金業務の軽減や、電子化による、機械単位での売上一元管理などを行おうとしていますが、未だに硬貨による「コインオペレーション」に頼らざるを得ないのが現在のゲームセンターの実情です。

当然両替機に頼らず、機械のデジタルメーター(基盤で稼働数を見てます)で売上を出す方法もあるのですが、そんなのは閉店時に行う事がほとんどなので、やはり両替機を見るしか無いのです。

ゲーセンで両替をしようと考える人は、ゲーセンにある程度出入りして、ゲーセンで遊び、ゲーセンが好きな人が多いと思います。ゲーセン文化を守るためにも、業務両替はやめてください。

ゲームセンターは両替業務をサービスとして行っていません

なので、銀行で両替するのが、本来の形だと考えます。

 

ちなみに私が現役の頃は「業務両替絶対に許さないマン」だったので、見つけ次第、両替金を全額戻していただいていました。逃しませんwww

 

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王国民のためのサッカー観戦入門 その2

どうもしんいちです。

いよいよ明日からJリーグが開幕です。これから12月までサッカーが毎週各所で行われます。最高です。サッカーはいいぞ!!!!

そんな訳で今回は「何の試合を見ればよいのか」について書きます。

 

前回は「サッカーを見ていてよくわからないけど誰も説明してくれない点」について書いたつもりだったのですが、求められている事と少しズレていたようなので、もう少しダイレクトに「観戦」について踏み込みます。

 

ゆかりんのサッカー応援宣言、ご存知のように福岡出身の姫は「アビスパ福岡」の応援を公言しているわけですが、ここで「姫が福岡なら俺達も福岡応援するぜ!」という人も多いと思いますが、ちょっとまってください。

 

JリーグはトップのJ1からJ2、J3を含めて北海道から沖縄まで53のチームがあります。リーグ発足当時、他のプロスポーツとの差別化とプロサッカーを日本に定着させるために「地域密着」を絶対条件としてスタートしました。

これはプロとして100年以上の歴史を持つ南米や欧州において「生まれた街のチームを応援するのが当たり前」という文化があり、特に欧州では同じ国であっても街同士で戦争をしてきた経緯や、民族の独立を目指して今でも運動をしている地域があることが背景として挙げられます。

 


Goienetik / Desde lo más alto

スペイン、バスク州アトレチコビルバオ

このチームはバスクの誇りをかけて、選手はバスク人のみで結成された、いわば「バスク代表」チーム。スペイン代表選手も多く所属してますが、スペイン国内の民族問題を強く反映したチームと言えます。

 

どのくらい海外が地域密着なのかと言うと、私が以前サッカー観戦したイギリス、リバプールにあるエバートンFCのサポーターにパブで酒をおごってもらいながら話をした際、誇らしげに「俺の爺ちゃんの骨の一部をスタジアムのコーナーフラッグ下に埋めてもらったんだ。なんたって俺の爺ちゃんはすげえ熱狂的なサポーターだったからな!」という話をさらっとしていてかなり驚きました。親子代々エバートンサポーターという訳です。

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その時の写真。スウェーデン代表vs日本代表の試合なので、当時は弱い日本を応援するわけもなくイギリス人は皆黄色いシャツを着ています。真ん中の子供みたいなのが私です。一緒に写っている方、20年以上前の写真なのでモザイクなしですが、もし見ていたら連絡ください。

 

しかし日本では戦国時代まで遡らないとそういった歴史がなく、元々普及しているプロ野球がコロコロとフランチャイズを変えるために「自分の街のスポーツチーム」という意識が薄いため、これではプロサッカーが根付かないと考え、地域密着を強く訴えたのです。


映画『クラシコ』予告編

日本で唯一(とも言える深い県外の人間にはよくわからない)因縁を抱えたJリーグチーム、松本山雅長野パルセイロ地域リーグ時代のドキュメントムービー。地域密着とは何かを強く感じられる佳作。松本市長と長野市長による大人げないdiss合戦は必見。

 

そうなると、姫が福岡だからボクも!というのは気持ちはわかりますが、ここは是非自分の出身地に近いチームをぜひとも応援していただきたい所存です。

本当は地域リーグまで紹介したいのですが、とりあえずJリーグチームを紹介しておきます。

www.jleague.jp

ちなみに私は東京生まれの東京育ちなので「FC東京」を応援しています。

 

え、海外サッカーじゃだめなのかと。すいません、もしあなたの血縁者がモロッコ出身で、ラジャ・カサブランカを応援したいけど事情があってウィラード・カサブランカを応援しないと勘当されるなどの深い事情を抱えていたり、バルセロナの本拠地カンプ・ノウスタジアムに気軽に行けるのであれば、別にバルセロナでもいいと思いますが、そのうちスタジアムで見たくなるので、気軽に見に行けるJリーグチームを応援することをオススメします

 

次回は「テレビ放送ないんだけど……」というテーマでお送りします。

お読み頂きありがとうございました。

 

王国民のためのサッカー観戦入門 その1

どうもしんいちです。

昔「神聖マルチ王国」というゲスいBlogを書いていたのですが、仕事が忙しくて放置しています。ですが色々と書きたいことが出てきたいので、はてなを別館扱いとしてTwitterに書ききれない事をつらつらとまとめたいと思います。

 

最近、声優の田村ゆかりさんこと「ゆかりん」がJリーグチームのアビスパ福岡を応援しています。

ゆかりんは元々福岡出身で、出身地のJリーグチームを応援し始めたので、王国民も「姫がサッカー見るなら俺も(私も)見る!だけど実際ちゃんと見たことが無いし、ルールもわかんない所がある」という声を聞いたので、サッカー観戦歴20年超えでもあり、王国民でもある私が僭越ながら解説させいただきます。

 

  • サッカーのルール

私は審判資格を持っていないので(サッカー好きだと実は持っている人が多い)あくまでも観戦者の立場からの解説です。有資格者から見ると厳密には違いますが、だいたいこんな感じという解説だとご理解いただきたいです。

今更サッカーのルールを書かなくてもいいかなと思いますので詳細は省きますが、2つ大事なお約束があるのでここだけ解説します。

 

詳細はこちらをお読みください。良くまとまっています。

壁でもわかる サッカーのお話 --- ルールのお話 ---

 

サッカー観戦初心者に必ず言われる事があります。

それは反則の基準がわかりにくく、どういう基準で 判定をしているのかわからない。曖昧過ぎて見ていてわからないからつまらない。という点です。

 

ルール上、反則は明文化され定義されていますが、最初に観戦していて「あれファールなの?」という場面があった場合、サッカーは性善説に則った判定をしつつ、度を超えた卑怯な行為については寛容ではないということを思い出してください。

相手を押す、転ばせる、押さえるといった行為はもちろんのことで、わざと転ぶ、時間をかける、暴言を吐く、相手に唾をかけるなどもルールで禁止行為とされています。

しかし微妙な行為があった場合、最初は口頭で警告しますが、続く場合は反則として取られます。なのでさっきは大丈夫だったのに、同じことで今度はイエローカードなのか、というシーンが多くありますが、これは累積で最終的に反則になっています。この基準が試合の重要性や審判の力量で変化しますが、そんなもんなんだとご理解ください。

 

もう一つは「反スポーツ的行為」と呼ばれる反則で、以前は「非紳士的行為」と呼ばれていました。要するに、卑怯なことやルールブックにいちいち書かないけど常識的に考えてダメなことはしちゃダメだよというルールです。ゴールして喜びすぎてユニフォーム脱いで看板飛び越えて喜んでると、この反則に該当してしますし、試合中にお腹がすいたからフィールドでご飯を食べてもこの反則です(そんな選手はいませんが)。

先程も書きましたが、これらのルールは審判によって判断基準が違ったりします。ここがサッカーの面白いところで、あの審判なら取るけどこの審判なら取らない、ホームだと取られないけどアウェイだと取られるなど、八百長かよ!と思うようなこともありますが、あくまでも選手は紳士であり、わざと卑怯なことはしないという性善説を審判の裁量で判断している結果です。逆に言えば露骨に卑怯な行為には容赦無い判断が下ります。そして最低限反則を取るラインは当然決まっていますので、その辺を頭に入れておくと「まあ、そんなもんだよな」で楽しく見ることが出来ると思います。

 

最後に珍しい反則退場シーンを紹介しておきます。

2009年10月17日に行われた横浜Fマリノスvs名古屋グランパスの試合、試合終了間際にグランパス監督ストイコビッチがベンチに飛んできたボールをうっかり蹴り返してしまい、そのままゴールに入るという世界的にも珍しいシーンです。

ストイコビッチは超がつく名選手なのですが、気性が荒くしょっちゅう審判と揉めます。監督になってもそれは変わらず、この試合でも散々審判に抗議していたようで、このゴールで「反スポーツ行為」の合わせ技一本で退場となりました。


A nice goal by Manager, Dragan Stojkovic ejected him out from the pitch.

 

次回は「何の試合を見ればよいのか」について書きたいと思います。

お読み頂きありがとうございました。