ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK42】

ブラインドテイスティングWEEK42に臨んで

先週お休みを挟んで今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。今週は白2、赤1の構成。

通常同じ色のワインは薄い・濃いといったようにニュアンスが異なることが多いが、今週の白は色味的には薄い・薄いの組み合わせ。いきなり高難度が予想されるが張り切って行ってみよう。

 

ブラインドテイスティングWEEK42/1杯目

さて1杯目だ。外観は薄めのイエローで、ゴールドっていうかややシルバー寄り。特徴的な華やかな蜂蜜的な香りがして、この時点でヴィオニエ、ゲヴュルツトラミネール、トロンテスあたりのアロマティック勢が脳裏をよぎる。白桃が強ければヴィオニエ、ライチがいればゲヴュルツ、決め手がなければトロンテスで行くか…みたいな戦略で行きそうな気配。

しかし、飲んでみるとかなり酸のトーンが高く、かつかなりドライに感じる。ライチがいない(ような気がする)のでゲヴュルツではないような気がするし白桃っぽくもないし飲んでみると香りほどにはバラみもない。

むしろイタリアのガヴィとかソアヴェとかあのへんな気がする。ワンチャンアルバリーニョ……もあるかもしれない。新潟のアルバリーニョとか薄くワンチャンありそう。印象としてはかなりレモンだ。となるとガヴィかソアヴェでいきたくなる。

というわけで、
イタリア(ピエモンテ)/コルテーゼ/2022/12.5%
と予想した。ガヴィ、全然当たらないんだよな……予想しておいてなんだが早くも暗雲が立ち込めております。


ブラインドテイスティングWEEK42/2杯目

2杯目も外観はかなり薄めのイエローで、1杯目より強いて言えばやや濃いめかなくらい。とはいえ1杯目と2杯目がシャッフルされたらまったくわからなくなっちゃうくらい外観は似ている。

ただ、香りは全く異なっており、樽を思わせるバニラっぽい香りと蜜っぽい香りがする。ブルゴーニュとか、ロワールとか、いずれにしてもフランスワインっぽい香り。

飲んでみても印象は大きく変わらず、クラシックな造りの白ワインという印象だ。ロワールのシュナンブラン、あるいはサンセール、それかブルゴーニュのアリゴテの3つに決め打ちしていきたい。え、どれだろう。全然わかんない。

アリゴテがレモンで、ソーヴィニヨン・ブラングレフルで、シュナン・ブランがその中間とするならば、ほんのわずかにグレフルが勝ってる気がする。

フランス(ロワール)/ソーヴィニヨン・ブラン/2022/13%
と予想した。

ブラインドテイスティングWEEK42/3杯目

3杯目はここまで薄めだったのから一転、かなり濃いめのガーネット色をした赤ワインだ。味わいは渋みがメインで、続いて酸。果実は一番後ろっていうか卒業写真撮影当日にインフルエンザと診断されて泣く泣く丸囲みにされてしまった生徒、くらいのニュアンスでしか存在していない。そして、おお、これは品種を思わせるたしかな香り、イチゴキャンディっぽい香りがする。

この香りが出たならば選択肢は無限の広がりを持つこの宇宙にふたつ。マスカット・ベーリーAかガメイかだ。香り的にはベーリーAとも答えられる。しかし、ここまで色が濃く、骨格があってアルコール感もしっかりあるベーリーAってあるのかなともなる。暑い年のベーリーAをがっつり樽熟成させたらこうなる可能性ワンチャンあるだろうか。

いやでも、ここまでどっしりしたベーリーAは飲んだことがない。飲んだことのないものを予想するわけにはいかぬ。というわけで、
ブルゴーニュ/ガメイ/2020/13.5%
と予想した。今回はこれが当たってないと相当ヤバい。


ブラインドテイスティングWEEK42予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】
さて今週もワインマーケット・パーティ公式SNSで正解が発表された。以下、結果を見ていこう。


ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:1杯目

予想:イタリア(ピエモンテ)/コルテーゼ/2022/12.5%
正解:ドイツ(フランケン)/シルヴァーナー/2021/13%

ししし、シルヴァーナー!?!?!???!!?
 いやこれはまったくわからなかった。実はドイツは一瞬脳裏をよぎったのだがよぎったのはヴァイス・ブルグンダー(ピノブラン)で、これは黒ネコとハクビシンくらい違う。まったくもって考えもしなかった。

アロマティックっぽいけどアロマティックじゃない、すっきりした白ワインっていう、東か西かで言えば西、くらいの粒度での方向性は合っていたが、要するにかすりもしない不正解だった。無念。


ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:2杯目

予想:フランス(ロワール)/ソーヴィニヨン・ブラン/2022/13%


正解:フランス(ブルゴーニュ)/ソーヴィニヨン・ブラン/2018/13%

というわけでこれは割と当たった。ロワールのソーヴィニヨン・ブランブルゴーニュのアリゴテとで迷って正解はブルゴーニュソーヴィニヨン・ブランだったので不正解だったのになんか嬉しい、という奇妙な結果となった。一方で、酸化熟成っぽいニュアンスは感じていたのに言語化できず、結果的にヴィンテージを4年も間違えたのは
反省材料。


ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:3杯目

予想:ブルゴーニュ/ガメイ/2020/13.5%
正解:日本(山形)/マスカット・ベーリーA/2021/13%


こちらが今週の千葉県立やっちまった工業高等学校案件。ガメイとマスカットベーリーAという2択を外したのもそうだが、正解ワインの山形・朝日町ワインの「マイスターセレクション 遅摘み マスカット・ベーリーA」を私は飲んだことがあるのだ。しかもここワインマーケット・パーティで。そのときと全然違う印象だったんだよなあ。無念である。ノーマルリーチで外してもなんとも思わないけど激アツリーチで外すと本気で辛いのと似ている気持ちだ唐突にパチンコにたとえさせていただくと。

このワインを飲んだときの詳細はこちら↓

numero.jpというわけで、全体的に予想の方向性は間違っていなかった感があって手応えもないわけではないのだが、結果的には的中項目はわずか3つと寂しい結果となったのだった。しょぼん。

この赤セット良さそうなので買いました↓ お得感ある。

興味のない方にワインを勧める方法を考えつつ、「刺さった」ワインを振り返る

ワインに興味を持ってもらうためには?

お友だちのとりゅふさんと「花よりロゼ会」を開催した。

とりゅふさんはXおいしいもの界隈で知らぬもののないインフルエンサー。彼女が東京・田原町のオールデイダイニング「101 ichi maru ichi」の運営に関わっている関係から、同店でイベントを開催するようになって今回が3回目なのだが、とりゅふさんの恐ろしい集客力により毎回70名前後のゲストをお招きする大盛況のイベントとなっている。

イベントのクリエイティブもとりゅふさん作

私はワインを選び・提案し・注ぐ係として参加。飲み物はワインがメインであるため、30本近いワインが毎回空になる一方で、必ずしもワインに興味のある方だけが来るわけではない、なんならワイン苦手という方もおられる会なのが大きな特徴。そんな方にもワインに興味を持ってもらい、できれば楽しんでもらうのが私のミッションとなる。

 

デコイ ピノ・ノワールをどうプレゼンするのか

たとえば「デコイ ピノ・ノワール」というワインを紹介する際に、「アメリカ、カリフォルニアのピノ・ノワール」です、と説明したとする。ワイン好きはそこから多くの情報を汲み取る。アメリカ、かつカリフォルニアならばきっと果実味にあふれたチャーミングなスタイルの赤ワインだろう、味わいは濃いめで酸はちょっとゆるいかもね、みたいな感じだ。銘柄の味そのものを知っている方も多いだろう。

ワインリストがこちら

だが、ワインに興味のない方は当然そんなことを1ミリも考えない。「アメリカ」も「カリフォルニア」も「ピノ・ノワール」もワインに対する修飾語にならないのだ。なので、「大谷翔平選手の愛犬のデコピンって、元々はデコイって名前だったんですけど、それと同じ名前なので今爆売れしているワインです。おいしいですよ」といった説明のほうが正しいということになる。

「サクランボや熟したザクロのアロマ、中程度の酸、タンニンは少なめでほんの少し樽由来のナッツ入りチョコレートのような香ばしさもあります」みたいなのは求められない。先の説明で言えば味の説明は「おいしいですよ」しかないがそれでいいのだ。犬の話のほうが良い。プレゼン時間は15秒くらいしかないし。

一方、そうかと思えばWSETやワインエキスパートといった資格をお持ちだったり、「北海道のワインおいしいですよね、去年ラフェト(チケット入手困難な余市で開催されるイベント)行ってきました」みたいなガチ勢の方にも来場いただくのがこのイベントの恐ろしいところ。そういった方に大谷翔平の犬の話をするのもアレなんですよ今度は。

もちろんその方の見た目からワイン度を測ることは不可能なので、カウンターのこちらと向こうでリアル人狼ゲームみたいになる。この中に……ワインガチ勢がいる!

 

ワインを紹介する粒度を考える

話がそれた。ともあれ、目の前には70名ほどのゲストの方がおられ、その方々のワイン習熟度はカオス的にさまざまだ。ただ、とりゅふさん(一部私)フォロワーの方々なので、おいしいものやお酒への興味は一様に高い。なので、1本のワインに対して粒度の異なる複数の説明を用意し、それを目の前にいる方の興味レベルとワイン解像度に応じて当てていくことが求められる(ような気がする)。

大谷翔平の犬の名前のワインです!
・濃すぎない赤ワインで、チェリーっぽさがあって飲みやすいですよ!
・中程度の酸を持つサクランボやダークチョコっぽいニュアンスのあるカリフォルニアのピノ・ノワールです!
・デコイってのは「囮」って意味でして、鴨猟の際に使う囮の鴨の意味なんですよ! 池に浮かべて仲間と思った鴨がやってきたところを撃つ…!(もはやワイン関係ない)

みたいな感じだ。間違ってもインポーター資料を朗読するようなことはしない。これを現場でやるのが楽しく、4時間が一瞬で過ぎる。プレゼンが上手くいくとすんなりそのワインを選んでもらえるし、気に入ってもらえる確度も高まる。そうして数十分後に空になったグラスを手に「次はなにがおすすめですか?」とカウンターを再訪してもらえるのはこのイベントを開催する個人的な醍醐味のひとつだ。(もちろんすべてうまくいくわけではない。ワインの味が説明と違っていたり期待値を下回ったら当然次の1杯にも手が出ないはずで、そういった方も中にはおられたはずだ)。

盟友・沼田店長のセレクトワイン。どれも一癖あって素晴らしかった

この弾み車が上手く回ると、人間誰しもリストがあるとそれを埋めたくなるもので、「全部の味を試してみたい!」みたいなサイクルに突入、たくさんリピートをしてもらえる状態になるような気がした。全種コンプリートしてくれた酒ガチ勢の方と「次は一体何を飲みましょうね…? 日本酒…? いっそビールで締めますか…?」と頭を悩ますのも楽しい時間だった。(ちなみにたくさんワインを飲んでもらうと歩合で私にお金が入る、とかではない)

 

イベントで人気だったワイン5選

今回は顔見知りの割合が少なく、目の前にいる方がどれくらいのワイン解像度を持っているかがわからない、というスリリングな状況でのプレゼンとなった。非常に難しく、その分やりがいが感じられたが、30本前後のワインが空になったという結果からも、一定程度喜んでいただけたのではないかなあと思う。

というわけで、ここからはイベントでとくに人気だった(良い評判が聞こえてきたり、すぐに売り切れてしまった)ワインをご紹介したい。

 

モルトポワレ N.V

まずスパークリングワインではダントツでこれ。カルヴァドス(フランス・ノルマンディー地方で造られるアップルブランデー)の蔵元が造る洋梨のスパークリングワイン、という説明が問答無用でキャッチー過ぎ、1杯目から指名で注文される方が多数いた。ワインマーケット・パーティ沼田店長にセレクトしてもらった1本なのだが、まさか洋梨を出してくるとは……! 味わいにも洋梨感がたしかな輪郭で存在し、とてもおいしかった。沼田さんありがとう!

 
98WINES 霜 SOU 2022 ROSE

山梨で人気の生産者、98WINESのロゼ。「ロゼ会」なのでロゼを多めに用意したのだが、98WINESってやっぱり人気あるんだな〜と実感する売れ行き。白の甲州と赤のマスカット・ベーリーAのブレンドで、甲州の下地の上にマスカット・ベーリーAの化粧を乗せたようなすっきりチャーミング味。ワインに詳しい方からの指名買いがとくに多かった1本。

 

マックマニス ヴィオニエ

桃みたいなニュアンスが割としっかりとある個人的に大好きなワイン。「赤ワインは飲めないけど白ワインなら飲める」「炭酸の入った(発泡性の)ワインは無理」「フルーティなのがいいけど甘口はイヤ」といった方は少なくない割合でおられ、そういった方々への受け皿として用意した銘柄だったが見事に役割を果たしてくれた感がある。わかりやすいは正義だ。みなさんぜひ“ヴィオニエ”という品種を覚えて帰ってください。

 

ダブル・ダイヤモンド カベルネ・ソーヴィニヨン 

他のワインが約500円の(まとめ買いだと安くなる)チケット1枚で飲めるのに対し、チケット2枚が必要で、かつ注ぎ量も30ccと非常に少なかったのだが文字通り瞬殺だったワイン。「高いワイン」のすさまじさを非常にわかりやすく感じられるワインとして選んだのだが、それが伝わっていたらいいなと思っている次第。あまりに売れ行きが良すぎてテイスティングできなかったの誤算すぎる(状態は前日にお店のソムリエさんに確認してもらってます)。

 

サブミッション カベルネ・ソーヴィニヨン

そして今回のMVPといえるのがサブミッション カベルネ・ソーヴィニヨンだったと思う。「フルボディのワインは渋くて苦手と思っていたけど、これはおいしかった」というご意見をいただいた。ワインマーケット・パーティで売り上げ1位に君臨するワイン、複雑さはないかもしれないが、わかりやすいさおいしさではそうそう比肩するものはないと思う。

 

個人的には乾杯用に用意したドメーヌ・シャンドンのロゼが想像よりずっとおいしかったのと、沼田店長が用意してくれた「メリーニ キャンティ ゴヴェルノ アッルーゾ トスカーノ」が素晴らしかった。今度買いに行こ。

というわけで、ご来場いただいた皆様ありがとうございました。「あのワインおいしかったな」と記憶に残るようなものがもしもあったら、ワインを選び、注がせていただいた立場としてはなにより嬉しく感じる次第だ。ぜひぜひ、ワインという素晴らしくて奥深い、一生をかけても楽しみきれない世界に足を踏み入れてみてください!

 

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK41

ブラインドテイスティングWEEK41に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。今週は白2、赤1の構成だ。

さて今週は前の予定が押してしまい、後ろにも予定が入っていたことから、パーティ滞在可能時間はわずか10分。でもブラインドはやりたい。ということで完全第一印象のみテイスティングをすることとした。

第一印象を大事にするか否かはブラインドテイスティングをしているといつでも悩む大問題だが、あえて悩むことができない状況に自らを追い込むことで、第一印象は正しいのか否かをテストしたいという趣旨だ。

それで1問も正解できなかったとしてもそれは私の選んだ方法での結果であり、つまり私の実力であるということを冒頭に宣言しつつ、今週も張り切って飲んでいこう。


ブラインドテイスティングWEEK41/1杯目

さて1杯目は色が薄めの白ワイン。香りは白い花的なのと柑橘的なのと少しのハーブっぽさと蜜っぽさという、白ワインのハッピーセットみたいな香り。

飲んでみると酸が豊かなポカリというよりアクエリ系。おいしいワインだ。第一印象はアリゴテ。2020年とかのアリゴテはすごくありそう。

なのだが、ていうか第一印象だけで決めると言った2分くらい前の前言をあっさり撤回するのだが、15秒くらい経過するとあるかなきかの石油香が出てきた気がする。

というわけで、
ドイツ (ラインヘッセン)/リースリング/2022/12.5%
と予想した。


 

ブラインドテイスティングWEEK41/2杯目

続いては2杯目だがここで変化球が投げられてきた。色が濃いめ、香りも独特で、なんでしょうかねこれは。たくあんとか、ゆずのジャムとか、日光で干された畳とか、そんな雰囲気。1杯目とはまったく異なる個性的なワインだ。

飲んでみるとかなり旨みが強く、果実もいて非常においしい。個性的ではあるけれど、スパイスやハーブを効かせた煮込み料理かなんかと合わせたらとんでもなくマッチしそうな味わい。

色と個性的な香りを、私は第一印象で酸化熟成だと解釈した。だとすると候補はフランスはジュラのヴァン・ジョーヌ。以前飲んだワイナリーで長期熟成させてからリリースするカリンセラーズのシャルドネとかもこんな味だったような。

ヴァン・ジョーヌはもっと香り成分が強烈な気がしなくもないが、こう予想した。

フランス(ジュラ)/サヴァニャン/2015/13.5% 


 

ブラインドテイスティングWEEK41/3杯目

最後は赤ワインで、これはとってもおいしいワイン。

色は濃いめのガーネット。粘性高め。プラムやブルーベリーの香り、赤い花、木、皮みたいな1杯目同様の赤ワインハッピーセット的香り。

飲んでみると果実・酸・タンニンが調和して酒質が非常にやわらかい。個人的にこのやわらかさはメルローで出やすいと思っていて、シラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンなども候補となるが素直にメルローでいくことにした。というわけで、

アメリカ(カリフォルニア)/メルロー/2021/14.5%
と予想してみた。

 

ブラインドテイスティングWEEK41予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? っていうか、第一印象だけで決めると書くことが少なくて買いてて楽しくないことがわかった。せっかくのワインも全部飲み切れなかったし、ブラインドテイスティングには十分な余裕を持って行きましょう、みなさん。今週は3杯全部すごく好みだったんだよなあ。

ともあれ正解は公式の発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。ブラインドテイスティングに必要なのは、インスピレーションなのか、それとも熟考なのか……!?(惨敗フラグ感がすごい)

ダイヤモンドでワインを「定量化」。AIソムリエってなんだ!?

「AIソムリエ」とは?

恵比寿のワインマーケット・パーティで実施された「AIソムリエ」のデータ収集テイスティングに2回にわたって参加してきた。

と、書いてもなんのことやらさっぱりだと思うので説明すると、AIソムリエとは株式会社ExtenD(エクステンド)が展開する事業。「1滴・1分でワインの味と香りを定量化するダイヤモンド化学センサ」を用い「液体の『化学指紋情報』を取得する」が謳い文句だ。

うーむ、なるほどね。ダイヤでセンサで指紋ねはいはいはいわかったわかった(まったくわかってない)。というわけでド文系人間の私にはなんのことやらさっぱりわからない(ごめんなさい)。わからないものをわかる最適の方法は自ら体験することだ。まずは「なにをやったか」から説明しよう。

ダイヤモンドセンサでワインを測定する

集まったのはExtenD社の方々と、4名のテスター。一般社団法人日本ワインブドウ栽培協会の奥村嘉之事務局長、ワインマーケット・パーティ沼田英之店長、ワインプラスカレッジ講師で『WINE ブラインドテイスティングの教科書』著者の鈴木明人さん、そして私(自称ワインブロガー)だ。明らかに私だけ場違い感が凄まじいのだがそういうのが全然気にならないという特質が私にあってよかった。

2024年2月8日に実施された第一回のテイスティング実験では、この4名がまず30種類のワインを飲み、「香りの強度」「酸味」「渋み」「うま味(甘味)」「余韻」「ボディ」「アルコール」といった項目を1から5までの数字で評価。同時に同じワインのダイヤモンドセンサによる測定が行われた。

第一回のテイスティングの様子。ExtenD社の資料より

そして、4月13日に実施された第二回では、第一回の結果を共有しつつ、新たに13種類のワインのデータを収集した。

キーワードは、4名のテスター、ダイヤモンドセンサ、そしてAIのみっつだ。まず、なぜダイヤモンドが必要なのかから私の理解できた範囲でまとめていきたい。

 

AIソムリエとExtenD社と日本におけるダイヤモンド研究

ExtenD社CTO(最高技術責任者)の大曲新矢さんは、産業総合研究所九州センターの研究員で、ダイヤモンド研究では世界的なトップランナーというすごい方なのだが、大曲さんいわく、ダイヤモンドは強度が高いため高電圧に耐えることができ、金やプラチナといった従来の素材よりもはるかに幅広いレンジで測定が可能になるのだそうだ。

これは大曲さんが言ったことではなく文系原始人の私の勝手な解釈だが、従来のセンサが1センチ単位で目盛が振られた30センチ定規だとしたら、ダイヤモンドセンサは長さが1メートルあって、かつ0.1ミリ単位で目盛が振ってあるみたいな印象だ(数字は適当)。その大きくて細かいダイヤモンド定規を使うことで、ワインという複雑な液体の、固有の特徴を数値化できる。

面白い話がある。とある大学が同じワインを海底で熟成させたものとさせていないものを分析したところ、成分は「同じ」という結果となった。ところが両者を人間が飲んで感じた味わいはまったく違ったのだそうだ。

人間の味覚はどうにかしてるほどレンジが広く、「まったく同じ成分の液体」を「まったくの別物」と判断してしまう(もちろんそこには認知バイアスもあるだろうが、それも含めて味覚と言っていいだろう)。そんな「まったく同じ成分の液体」でも、ダイヤモンドセンサならばそれぞれを「別物」と認識させることができる。

右側がダイヤモンドセンサが測定したスペクトル。ワインごとに、指紋のように波形が異なる

それを、ExtenD社は「液体の化学指紋情報」と呼んでいる。すべての液体には指紋のように固有の特徴がある。それを波形としてとらえられるのがダイヤモンドセンサだ。

ただ、ダイヤモンドセンサにも限界はある。センサが測定するのは液体ごとに異なるスペクトル(波形)のみ。それを見てわかるのは「ワインごとに波のカタチが違うなあ」という「月は丸いなあ」みたいな事実のみであり、それは私のような文系おじさんでも、大曲さんのような日本が誇る知能みたいな人でも基本的には同じこと。

AIソムリエの測定データを人間の味覚評価がリンクするよう調整。香りに関してはここまでの相関が得られている

そこに意味を持たせるために、私(おまけ)を含む4名のテスターがアサインされたというわけだ。テイスティングの専門家である鈴木さんや沼田さんを中心とする専門家の味覚情報を、AIによってダイヤモンドセンサで測定したスペクトルと紐づける、私が参加したのはそのためのデータ収集の場だったというわけだ。

 

AIソムリエとAIと人間の感覚

そして、人間の味覚データとダイヤモンドが測定するスペクトル、両者を結びつけるのがAI。だから「AIソムリエ」というサービス名となる。

ダイヤモンドセンサとは、だからすなわちソムリエの舌のようなものだ。ソムリエ(ダイヤモンドセンサ)の敏感な味覚は、一般人(従来のセンサ)が感知できないワインの微細な違いに気づくことができる。そしてダイヤモンドセンサが測定した微細な違い、それをAIによって人間の味覚データと紐付け、定量的な数値として出力する。それが「AIソムリエ」というわけだ。

先端にある黒いのがダイヤモンドセンサ。小さい!

私は当初、センサによって「苦味度」「酸味度」「渋み度」みたいに各要素の量を計測しているのかなとぼんやり思っていたが、そうではなかった。そして、それらの測定値は人間の感覚と紐づいていないので、それ自体で味わいを評価するのは難しいのだそうだ。ワイン好きなら誰もが理解できるように、酸が高いと甘味を感じにくかったり、タンニンが強いと酸も強めに感じたり、残糖がゼロでも樽熟成を経たワインでがあればバニラのような甘みを感じたりもするからだ。

ゆえに測定数値だけでワインを定性的に評価することは(当たり前かもだけど)難しい。反対に、人間の官能評価だけでワインを定量的に分類することもまたできない。極めて感度の高いセンサとAIによって、測定結果と人間の味覚情報、定量と定性ふたつのデータを結びつけようとしている点にAIソムリエの独自性がある。

 

AIソムリエがもたらす未来

じゃあこのAIソムリエが、我々のワインライフにどう関わってくるのかといえば、それはまったくの未知数だ。近未来、ワインマーケット・パーティに並べられた2000種類のワインすべてがAIソムリエで測定され、その味わいが数値化されてPOPに掲示されている可能性はある。しかし、まだ実用には至っていない。

AIソムリエによる測定により、飲まなくてもワインの味わいがわかる未来が来るかもしれない

一方で、ダイヤモンドセンサを用いたこの液体測定技術はワインだけに用途が限られたものではない。

たとえば、ダイヤモンドセンサによる測定とAIによる分析は、人間の尿の微細な変化から超初期の病気の兆候をとらえることができるかもしれない。河川を流れる水の極々わずかな変化から、土砂崩れの予兆をキャッチできるかもしれない。

そのような、我々の社会全体へのインパクトをもたらす可能性を持つ事業のファーストステップとして我らがワインが選ばれたのは、

・十分な市場規模があり

・味わいがわかりにくく

・味わいがわかりにくいという認知が共有されているから

なのだそうだ。ワインがわかりにくくてよかった。

 

AIソムリエと第二回テイスティング実験

第二回のテイスティングでは、6種類のソーヴィニヨン・ブラン、7種類のピノ・ノワールの計測が行われた。ソーヴィニヨン・ブランはステンレスタンクで発酵・熟成させた典型的なものものあれば、樽発酵・樽熟成させたシャルドネのような風味のものもあり、独特な香りのする自然派的なものもあった。ピノ・ノワールも、オーソドックスなブルゴーニュから日本の薄うま系、ジンファンデルと勘違いしそうなくらい濃いものまでさまざま用意されていた。

さまざまな味わいのピノ・ノワール。AIソムリエがこれらをピノノワールだと判定し、その上で味わいの違いを数値化できたりしたらすごい。

人間の味覚では明らかに異なるこれらの味わいを、ダイヤモンドセンサはどうとらえ、AIがそれをどう人間の味覚と紐づけるのか。今回の実験を経て、その精度はさらに高まっていくはずだ。ソムリエが数多くのワインを舌に乗せることで、テイスティングの精度を研ぎ澄ましていくように。

これだけの多様性がある商品でありながら、ワインの味わいを評価する軸は「甘口か辛口か」とかくらいしか実のところ存在しない。それも酸やタンニン、樽などの要素によって感じ方は大きく異なってしまう。

AIソムリエは、そんなわかりにくいワインの世界をわかりやすくしてくれる、それこそソムリエ的存在になっていくのだろうか。なんとなく乗りかかった船的な感じもあるし、引き続き注目したい次第だ。

今回のテイスティングで個人的に印象的だったやつ。これぞ余市ピノ・ノワール

 

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK40】

ブラインドテイスティングWEEK40に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。先週バタバタしていて数ヶ月ぶりのお休みを挟んでの今週は白1、ロゼ1(!!)、赤1の構成だ。

ついにきた、#パーティブラインド、ロゼ初登場である。いずれオレンジ、甘口も来るのだろうか。面白くなってきやがった…!

 

ブラインドテイスティングWEEK40/1杯目

さて1杯目は白だ。外観はやや薄めで、黄色みが少ない銀色の印象。透明度が非常に高くて、フレッシュに見える。

香りはややアロマティック。白桃、青い草、少しレモン、ほんのわずかにナッツのような香ばしさ。

飲んでみるとまず来るのは酸だ。レモンを浸した水のような印象を受ける。果実味は強くなく、甘みも感じない。

リースリングソーヴィニヨン・ブランピノ・ブラン、グリューナー・フェルトリーナーあたりが想起される。ちなみにペトロールは感じない。

でもって非常においしい。イタリアならばガヴィ、ソアーヴェ、最近飲んだヴェルメンティーノって言われたらなるほどね、となる。アルバリーニョも候補だろうか。

非常にニュートラルで高品質なワインだと思う。だからこそ、うーん、決められぬ。決められぬなあ。これでわずかでもペトロールがあればリースリングと断定するのだが、それがない。黄金感、蜜感もない以上否定せざるを得ない。

ソーヴィニヨン・ブランならばこれはどこ産だろうか。ニュージーランドかロワールかと言われれば、ロワールだ。

最後はイタリアを検討しよう。飲めば飲むほどイタリアっぽさを感じるのだ、このワイン。海の近くで魚介に合わせるワインなような気がする。

というわけで、ガヴィとソアヴェの2択の中からソアヴェを選択。
イタリア(ヴェネト)/ガルガーネガ/2022/13%
と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK40/2杯目

2杯目はなんとロゼ。#パーティブラインド 61回の歴史で初のロゼだ。困ったなロゼ、あまり品種を気にして飲んでないし品種特徴もあんまり出ない傾向があるぞ、とみなさん思ったことでしょうきっと。

しかし私はワインマーケット・パーティ沼田店長と連載をやっており、そこでつい最近ロゼワインを特集しているわけなんですよ。いわば先行カンニング状態。よもや外すわけがあるまいとテイスティングして驚いた、うーん、さっぱりわからない!

色はやや濃いめのオレンジピンク。外観からは割としっかりタンニンが効いてそうな印象を受ける。香りはあまり強くなく、アイスの無糖アップルティーみたいな、ドライな甘やかさを感じさせる。少しハーブっぽさ。

飲むと一瞬キャンディっぽさがある。え、なにこれマスカットベーリーAとかじゃないですよね? ただ、その印象は本当に一瞬で、二口目以降には消える。

味わいは外観からイメージされる通り、やはり渋みがしっかりとあって、骨格もある。これピノ・ノワールじゃないかな。ワンチャンガメイもある気がする。グルナッシュ、サンソーとかの南仏品種ではない気がする。

甘やかさがないので、アメリカのホワイト・ジンファンデルでもないような気がする。王道のマルサネ・ロゼではないか…? いいや王道のマルサネ・ロゼですこれは!

というわけで、
フランス(ブルゴーニュ)/ピノ・ノワール/2022/12.5% 
と予想した。チャーミングすぎず、これもおいしいロゼだった。


 

ブラインドテイスティングWEEK40/3杯目

さて、最後は赤だ。外観はベタリと濃いめのガーネット。液体のエッジが少しだけ曖昧な色になっていて、ほんのちょっとだけ熟成ている感。2019とか2020とか。

香りは果実とケモノ。鎮火して冷え切った炭。買ったばかりの野球のグラブ。

飲んでみるとタンニン非常に強く、果実もしっかりといる。酸も豊かにあってバランスが取れている。これもとってもおいしいワイン。

印象としてはアメリカっぽいのだが、カベルネ・ソーヴィニヨンメルロー、ジンファンデル、どれもハマりそうでハマらないパズルのピースみたいにぴたりと当てはまらない。難問だ。非常においしいけど突出した個性があるかと言われるとない優等生タイプ。

じゃあどこだ。ピノタージュじゃない。チリ……だとするとカルメネールがあるかもしれない。イタリア、でもないと思う。ピエモンテではないし、プーリアでもないし、シチリアでもないし、ワンチャントスカーナはあるかもだけど違う気がする。

旧世界で行こう。フランスならばコットまたはグルナッシュ! スペインならばテンプラニーリョ! この3択で行きたい。なぜかボルドーではない気がする。

そして、旧世界でボルドー想起系なのになぜかボルドーと回答したくないと思うならば、答えはこれしかない。

スペイン(リオハ)/テンプラニーリョ/2019/14.5%
と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK40予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週も公式から正解が発表された。果たして私の予想は正しかったのか? 早速見ていこう。

 

ブラインドテイスティングWEEK40 / 正解発表:1杯目

予想:
イタリア(ヴェネト)/ガルガーネガ/2022/13%
正解:イタリア(トラミン)/ピノ・グリージョ/2022/13.5%


というわけで1杯目の正解は意外なことにピノグリージョ。ピノグリージョといえばもう少し黄色い色味、黄色い果実味のイメージだが、こういうスタイルもあるんすねという結果となった。いやーこれは難しかった。それでも89名の参加者中6名の方が正解をぶち抜いているのがすごい。


 

ブラインドテイスティングWEEK40  / 正解発表:2杯目

予想:
フランス(ブルゴーニュ)/ピノ・ノワール/2022/12.5% 
正解:フランス(ローヌ)/グルナッシュ主体/2021/14%
 

2杯目はフランスはフランスでもローヌ、ギガルの「タヴェル」だった。「グルナッシュ、サンソーとかの南仏品種ではない気がする」と書いたが思いっきりグルナッシュとかサンソーとかだったまじ無念

ただこれも経験不足で仕方ないといったところ。フランスが当たっただけでも御の字、みたいな結果だった。

 

ブラインドテイスティングWEEK40  / 正解発表:3杯目

予想:
スペイン(リオハ)/テンプラニーリョ/2019/14.5%
正解:スペイン(リオハ)/テンプラニーリョ/2020/14.5%

なんでかさっぱり理由はわからないのだが、パーティブラインドを通じて私はテンプラニーリョだけは絶対当てるマンとなっており、前回に引き続き今回も、産地に至るまでほぼパーフェクトとなったなにこれ。 ブラインドを続けていると、こういう得意品種みたいなの出てくるのもひとつの楽しみな気がする。

 

ブラインドテイスティングWEEK40

というわけで今週は産地がすべて当たり、12項目中6項目正解という良い結果だった。トップ5には入れなかったが(レベルが高すぎるよ!)、自分的にはしっかり考え、しっかり答えを出してそこそこ当たったので満足、というWEEK40だったのでした。みなさんも、月曜・火曜は恵比寿で #パーティブラインド、ぜひご一緒しましょう!

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK39】

ブラインドテイスティングWEEK39に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。最近週を追うごとにどんどん盛況の度合いが増してきて、みなさんが一心不乱にグラスと向き合う様子はさながら予備校の自習室の如し。挑むワインは今週は白1、赤2の構成だ。早速いってみよう。



ブラインドテイスティングWEEK39/1杯目

まず1杯目は白ワイン。色は非常に薄く、少し緑がかったような印象がある。見た目的にはかなりフレッシュで、ヴィンテージも若めなんだろうなあと思える。

香りはめっちゃくちゃアロマティックだ。香水の代わりに頭から浴びていいんじゃないかってくらい華やかで甘やかでそれでいて上品な香りがする。方向性としてはバラ、蜜、少しキョウチクトウのような印象の香りだ。

飲むと一転、非常にドライで酸があり、少しの苦味も相まって甘やかな印象は消える。味わいはスッキリだ。

私のなかで香りアロマティック味ドライはゲヴュルツトラミネール。ヴィオニエ、トロンテス、ミュスカ、マルヴァジアといったところが候補になりそうだが、ここはシンプルにゲヴュルツでいってみる。

フランス (アルザス)/ゲヴュルツトラミネール/2022/12.5%


と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK39/2杯目

2杯目は赤だ。色はやや薄めでグラスの底が透けて見えるガーネット。香りは非常にシンプルなベリー&バニラで、私を飲んでと語りかけてくるような人懐っこい印象を受ける。

飲んでみると意外と酸があり、複雑さもしっかりと感じられてこれは非常においしいワイン。実に好みの味筋だ。

第一印象はカリフォルニアのピノ・ノワール。次いでローヌのシラー、南アのピノタージュといったところ。香りからはカリフォルニアを想起したのだが、飲んだ味わいの複雑さ、酸が意外とある点などから判断が難しい。

のだが、カリフォルニアでもロシアン・リバー・ヴァレーとか、少し涼しい産地ならすごいしっくりくる感じがしたのでこう予想した。

アメリカ(カリフォルニア)/ピノ・ノワール/2020/14% 


 

ブラインドテイスティングWEEK39/3杯目

3杯目は2杯目とは異なりグラスの底が見えないインキーな紫色。香りは道の駅で売ってる農家の手造りブルーベリージャムあるじゃないすか。原材料:ブルーベリー、砂糖、おわり、みたいなやつ。あれ。甘やかで素朴な香りがする。

飲んでみるとこれも意外と酸がある。渋くてギチギチみたいなことはないけれども柔らかい渋みもあり、新世界というよりかは旧世界っぽい印象を受ける。甘みはさほどなく、色の印象の通りまだ固いけれども、いま飲めないことは全然なくておいしい。

飲んだことあるんだよなあ、この味。ド紫なので、マルベックとかタナとか、そういう印象を見た目からは受ける。あとはカルメネールか。スペインのガルナッチャ、テンプラニーリョも候補になりそう。

緑色っぽい要素はないと思うので、カベルネメルローとかではないと思う。シラーにしても紫すぎる気がする。

これは最終的に決め手に欠けたが、
フランス(カオール)/マルベック/2021/14%
と予想した。マルベックは本当はもう少しほっこりした印象があると思うのだがド紫すぎて黒っぽい印象を受けたので、カオールの黒ワインではないかと思った次第です。

 

ブラインドテイスティングWEEK39予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。ここ数週間の私の予想は総じて不調、不調っていうかそもそも実力がこんなもんという説もあるが、果たして今週私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週もワインマーケット・パーティ公式SNSで正解が発表された。以下、結果を見ていこう。


ブラインドテイスティングWEEK39 / 正解発表:1杯目

予想:
フランス (アルザス)/ゲヴュルツトラミネール/2022/12.5%


正解:アルゼンチン(北部地方)/トロンテス/2022/13%
 


まずは1杯目だが、これは普通に間違い。ゲヴュルツトラミネールとトロンテスを間違えがち問題だ。改めてテキストを読み返すとゲヴュルツトラミネールを決定づけるライチの要素がこのワインにはなかった。

リメンバー・ライチを胸に、次回こそ当てたい。

 

ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:2杯目

予想:アメリカ(カリフォルニア)/ピノ・ノワール/2020/14% 


正解:イタリア(ヴェネト)/コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラ/2019/15%
 

そして皆様とくとご鑑賞ください、今回の赤っ恥案件がこちらだ。アマローネをカリピノって書いちゃった……。ところが、公式の発表を見ると「アメリカ」の「ピノ・ノワール」は実は産地と品種それぞれもっとも多い回答だったようだ。

アマローネをカリピノと書いてしまったみなさん、友よ、あなたは一人じゃない。

 

ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:3杯目

予想:フランス(カオール)/マルベック/2021/14%
正解:オーストラリア(南オーストラリア)/カベルネ・ソーヴィニヨン/2021/14.5%
 

言われてみればなるほどな、オーストラリア・クナワラのカベルネ・ソーヴィニヨン。これはグリーンノートを感じられなかったのが敗因だ。アルコール度数の高さがカベルネの緑っぽさをマスクするみたいなことがあるのだろうか、このあたりは反省し次に活かしたいところっていうか今回地味に産地と品種全外しですね……! 的中項目も2項目と過去最低クラスの成績となった。無念なりけり。

 

ブラインドテイスティングWEEK39予想を終えて

というわけでここ最近はすっかり低空飛行が続いている。ブラインドテイスティングは当たると連続して当たり、外すと連続して外しがち、つまり好不調の波がある気がしているが、今はすっかり不調期に突入してしまったようだ。

次週はちょっと都合で行けるかどうか微妙なところなのだが、もし行けないとしたならば脳内をリセットするいい機会になりそうな気もすると思ったりした、39回目の挑戦なのだった。

 

 

 

 

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK38】

ブラインドテイスティングWEEK38に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。入店するなり沼田店長が、「今、何人来てると思う?(ニヤリ)」と聞いてきた今回、私は88番目の挑戦者。過去最高の挑戦者数になることが確実な今週は、泡1白1赤1の構成だ。

 

 ブラインドテイスティングWEEK38/1杯目

さてまず1杯目は泡だ。グラスの底からたちのぼる泡は非常に細かく非常に豊か。色はやや薄めのゴールド。香りは酸が主体のリンゴ。

泡の細かさ豊かさから、まずは瓶内二次発酵かつそれなりの、24か月以上とかの熟成を経ている気がする。候補は以下のみなさんだ。

南アMCC
カリフォルニア泡
いいカバ
フランチャコルタ
アルタランガ
シャンパーニュ
クレマン・ド・ブルゴーニュ
クレマン・ダルザス
イングリッシュスパークリング

候補多っ。多すぎるんで3択にしよう。

南アMCC
カリフォルニア泡
シャンパーニュ

まず品種はシャルドネに絞りたい。グラスの奥からクリームブリュレのカラメルみたいな香りがするので熟成した姿が美味しいブラン・ド・ブランになりそうなのだ。これはブラン・ド・ブランの赤ちゃん。

悩ましいところだが、この王道のおいしさはさすがにシャンパーニュでしょ。シャンパーニュです! 

フランス (シャンパーニュ)/シャルドネ/NV/12%
/ドザージュ9g/L

と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK38/2杯目

2杯目はアロマティックな香りがする白ワイン。色合いはやや薄めのグリーンがかったゴールド。草っぽさ、強めの苦味、グレフルの白いとこ感。非常に困る。めちゃくちゃソーヴィニヨン・ブラン感があるのだ。

このブログをいつも見てくださる方はご存知の通り、ソーヴィニヨン・ブランはブラインドテイスティングでもっとも当てやすい品種のうちのひとつであり、私がもっとも当たらない品種のうちのひとつだ。裏の裏を読んでソーヴィニヨン・ブランではないッ!(正解はソーヴィニヨン・ブラン)みたいなことをかれこれ3、4回繰り返している。

「ではない」とすればなんだろう。マルサンヌ&ルーサンヌはありえると思う。ギガルの広域白とかこんな味だ。あとなんだろう。ヴェルデホとか? いやでもヴェルデホ出る? てか本当にヴェルデホだと思ってる(自分への圧)? 

というわけでローヌ白かソーヴィニヨン・ブランしか思い浮かばない。いやあとはソアヴェはあるか。ソアヴェあるな。そしてマジでわからんなこれ。

悩んでいるうちに少し温度が上がってきて、俄然ソアヴェ感(アロマティック草蜜レモンハーブ)出てきたんだよな。もうわかんないからソアヴェ!

イタリア(ヴェネト)/ガルガーネガ/2022/13% 


と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK38/3杯目

3杯目はすごく素直なガーネット。香りはブルーベリーとかブラックチェリー。そして少しのグリーンノート。後味にヴァニラ。果実は豊かだが、それ以上に渋みが強く、酸もしっかり。こんな教科書的なワインが出ることがあっただろうかこのブラインドテイスティングいやない。

つまりめっちゃくちゃカベルネ・ソーヴィニヨンなのだ。あるいはメルローだが、こりゃカベルネでしょうどこからなにをどっからどう考えても。ワンチャンあるとしたらテンプラニーリョか。

問題はほぼ産地のみと言っていいんじゃないでしょうか。わかりやすい濃さ甘さがないのでカリフォルニアではないと思う。南アでもない。オーストラリアでもないような気がする。となると答えは消去法でチリだ。

チリの海に近い畑の少し標高の高い畑のカベルネ・ソーヴィニヨンでいってみよう。頼むぞ、フンボルト海流!

というわけで

チリ(セントラルヴァレー)/カベルネ・ソーヴィニヨン/2022/13.5%
と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK38予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週もワインマーケット・パーティ公式SNSで正解が発表された。以下、結果を見ていこう。結局95名が参加したそうです。


ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:1杯目

予想:
フランス (シャンパーニュ)/シャルドネ/NV/12%
/ドザージュ9g/L
正解:イタリア(ロンバルディア)/シャルドネ/2016/12.5%
 

/ドザージュ6g/L

というわけでブラン・ド・ブランは正解だったが、フランスではなくお隣イタリア、フランチャコルタが正しい答えだった。悔しいのはヴィンテージ。「ちょい熟してるし、2016〜2018くらいかな」と思ったのだが、「ヴィンテージシャンパーニュは高いし、ブラインドには出ないだろう」みたいなグラスの外側のことを考えてノンヴィンと判断してしまったのだった自分のばかっ。

というわけで、わりと納得のいく回答ができたのだがあと一歩が及ばなかった。シャンパーニュっぽいけどほんのちょっとだけプロセッコっぽい青リンゴ感があったら、今後はフランチャコルタを疑おう。

 

ブラインドテイスティングWEEK38 / 正解発表:2杯目

予想:
イタリア(ヴェネト)/ガルガーネガ/2022/13% 

正解:スペイン(リアス・バイシャス)/アルバリーニョ/2022/13%
 

いっやーーーーーアルバリーニョか。屈辱のソーヴィニヨン・ブランは回避できたが、過去に一度も正答できていない品種・アルバリーニョで仕留められてしまった。

ソーヴィニヨン・ブラン的な草っぽさとヴィオニエみたいな花蜜っぽさが共存していて、北国の岩清水感はないのがアルバリーニョ。「最近ソアヴェ飲んだから」みたいな雑な理由で回答した己を恥じたい。

 

ブラインドテイスティングWEEK38 / 正解発表:3杯目

予想:
チリ(セントラルヴァレー)/カベルネ・ソーヴィニヨン/2022/13.5%
正解:フランス(ボルドー)/メルロー主体、カベルネ・フランカベルネ・ソーヴィニヨン/2016/14.5%
 

沼田店長の名言に「カベルネ・ソーヴィニヨンメルローの当たる確率は半々」というものがあるが、丁半博打に見事に負けて正解はメルロー。青草感を強く感じ、輪郭に丸みを感じなかったのでメルローではないと判断したが無念だ。熟成が進んでいる感じもまったく感知できなかった。

そしてなにより、「ブレンドが主流のボルドーはブラインドで出にくい」というこれまたグラス外の情報を判断材料にしてしまったのが致命的だ。いいかい坊や、グラスの外側に正解はないんだよっ!

というわけで今週は3問正解に3問目が1点加点で3.1問正解みたいな雰囲気になった。先週に引き続き、非常に不甲斐ない結果に終わってしまったので、来週こそ上位目指して頑張りたい次第です。

セドリック・ブシャールとかクリュッグのロゼとかクリスタルが当たるくじ↓

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中川ワインの試飲会すごいよかったのでぜひ↓

himawine.hatenablog.com