整数問題〜苦手な人のために考え方をレクチャー〜
整数問題には作戦がいくつかあります。
よく用いられるのが、以下の3つです。
1,不等式で評価する
2,合同式(mod)を用いる
3,場合の数に帰着する
さて、2,合同式の話は大変なので、1,3のお話を例題を出してみていきます。
例題
x,y,zを0以上の整数とする。
x+y+z=6となるような(x,y,z)の組は何組あるか?
方針1(不等式で評価して全部数えちゃおう作戦)
ちょっと工夫して全部数えちゃいましょう。
考える方程式は対称式なので、x≦y≦zとしても一般性を失わないことに注意して、数え上げましょう。
解
x+y+z=6は対称式なので、x≦y≦zとしても一般性を失わない。すると、
3x≦x+y+z=6よりx≦2
すなわちx=0,1,2
(i)x=0の時
6=y+z≧2yよりy≦3
すなわちy=0,1,2,3
ーやってたらきりがないので省略ー
まあ、つまりこの作戦はそこそこ大変なのです。。
方針2(場合の数に帰着作戦)
○6つと棒2つを並べる順列とx+y+z=6の解は一対一に対応する。
〜解説〜
どういうことかと言うと、
x=1,y=0,z=5⇄○||○○○○○
x=2,y=1,z=3⇄○○|○|○○○
といった感じに対応する。
わからない人のためにもっと詳しく書けば
一本目の棒の左側にある○の個数がx
一本目の棒と二本目の棒の間にある○の個数がy
二本目の棒の左側にある個数がz
に対応する。
〜解説おわり〜
よって、(x,y,z)の組は8_C_2=28個。
【受験生必見】模試の有効な使い方!
皆さん、予備校の模試を受けたことありますか?
今の実力を計ったり、友達と偏差値で競い合って一喜一憂したり色々な使い方をしてる方がいると思います。
上にあげたような使い方をするのは、大いに結構ですが、ただ「受けたら受けっぱなし。今回の模試出来が良かったなあ。(or悪かったなあ)あいつに偏差値勝ったぜ!おしまい。」みたいな使い方はめちゃめちゃ勿体無いです!!
模試の成績表には偏差値だけでなく、どこの分野ができていて、どこの分野ができてないなかったのかなどが載っているはずです。
で見るべきは弱点の分野です!
そして、その弱点分野の勉強をすると良いのです。
受験のコツは得意科目を伸ばすことより、苦手科目をなくすこと!
なぜか?
それは苦手科目の点数をあげる方が得意科目を伸ばすより、時間が少なく済むからです。
極端な話、0点を10点にあげるのと90点を100点にするのどっちが大変ですか?
当然後者です。0点を10点にあげるのは少しの勉強量ですみますが、90点取れる科目を100点にするには、その科目を重箱の隅をつつくような細かな知識まで身につけて、完璧にしなくてはならないので、相当な勉強量が必要です。
そういうわけで、弱点分野の勉強に重きを置いた方が良いのです。
まとめると
1、模試を受ける
2、成績が返ってくる(それを見て一喜一憂する)
3、成績表を見て苦手分野を重点的に勉強!高い分野は息抜き程度、デザート感覚に勉強する。
これで志望校合格を目指してください!
足し算は内積だ!〜モノの見方を変えよう〜
皆さん、ベクトルの内積の式をご存知ですよね?
(a b)•(c d)=ac+bd
ってやつです。これの右辺は足し算です。
つまり、逆に言えば足し算は内積に書き換えられるのです!
例えば、1+1=(1 1)•(1 1) です。
さて、ではこんなことをしてなんの意味があるのか?次の問題を使ってみていきましょう!
問
x,y>0のとき
x√2+y√3≦k√(x^2+y^2)•••☆
を満たすようなkの最小値を求めよ。
解1(一変数関数に帰着して微分しちゃおう作戦)
☆
⇔(x√2+y√3)/√(x^2+y^2)≦k
⇔(x/y√2+√3)/√{(x/y)^2+1)}≦k
x/y=tとおくとt>0で
☆
⇔(t√2+√3)/√(t^2+1)≦k
これの左辺=f(t)とおいて、f(t)の最大値を求めればkの最小値が求まる。
f'(t)=•••
あとは気合いで計算して、増減表書いて最大値を求めればOK。計算は省略。▪️
続きを読む確率【初級編】〜確率の定義ちゃんとわかりますか?〜
確率苦手な人っておそらく適当に確率を掛け算とか足し算とかして結果1超えてるじゃん、とかマイナスになったとかよく起こると思います。
確率はある条件が揃ってないと掛け算とかしてはいけないのです。
そういったことはいずれお話しするとして、まずは確率の基本的な部分をみていきましょう!
さて、確率の基本は
求める事象/全事象
なのですが、これだけでは定義は不十分です。
例えば、「サイコロを振って五が出る確率を求めよ。」という問題。
誤った解答
全事象は
・サイコロを振って5が出る
と
・サイコロを振って5以外がでる
の2通りなので答えは1/2
さて、バカにしてるような誤解答ですけども、なぜ間違っているかわかりますか?
それは引き合いに出してる事象が対等ではないからです。
それでは確率の定義について!
まず、「試行」を行った結果を「事象」という。
また、それ以上事象を細かく分断する必要がない事象のことを「根元事象」or「素事象」という。
わかりづらいんで例を挙げます。
例
「サイコロを一回ふる」←試行
↓
「4以外がでる」
「偶数がでる」
「奇数がでる」
「4がでる」
…←事象
↓さらに分割
「1がでる」「2がでる」…「6がでる」←素事象
みたいな感じです。今「1がでる」「2がでる」…「6がでる」を素事象にとりましたが、素事象のとり方は人それぞれです。「偶数がでる」「奇数がでる」を素事象にとってももちろん構いません。
(自分で作った)素事象がすべて対等なとき(数学用語では同様に確からしいという)、素事象を全て集めた集合を標本空間Sという。
このとき事象A∈Sの起こる確率P(A):=#A/#Sと定義する。
(#AとはAの要素数のこと。というか本当は濃度という概念ですが、今は要素数で問題ないです)
以上が確率の定義です!
ポイントは「自分は何を素事象にとっているか?」です。
そして「それを答案にしっかり書くこと」です。
でないと解答を読む人は、「何を素事象にとっていて、何を数えてるか?」が伝わらないです!
では、めちゃめちゃ簡単な問題で答案例を2つ作ってみます。
つまり、2種類の素事象の取り方をしてみます。
問題
サイコロを一回振って奇数がでる確率を求めよ。
解答1
「サイコロを一回振る」という事象を素事象にとって、標本空間Sをつくると、どの素事象も同様に確からしい。このとき、#S=6。
「奇数がでる」事象をAとすると、#A=3
よって、p(A)=#A/#S=3/6=1/2 ▪️
解答2
「サイコロ振って偶数がでる、奇数がでる」を素事象にとって標本空間Tをつくると、素事象は同様に確からしい。#T=2
奇数がでるという事象をBとすると#B=1であるから
p(B)=1/2 ▪️
以上のように答案を書くと採点者も部分点をあげやすくなりますし、自分が何を数えなきゃいけないのかが整理できるし、いいことづくめだと思います。
2変数関数の最大値最小値問題〜順像法、逆像法の考え方はこうだ!〜
2変数関数の最大値最小値について、問題を実際に使って解説しようと思います!
途中の発想の過程みたいなものを書いてるので、そこで考え方を身につけてもらえたらなと思います。
問
a,bを実数とする。
以下の4つの不等式を満たす点(x,y)全体からなる領域をDとする。
x+3y≧a
3x+y≧b
x≧0
y≧0
Dにおけるx+yの最小値を求めよ。
解答の前に、、
さて、まず問題の意味を考えましょうか。
「領域D内の点(x,y)をx+yに入れたときのx+yの最小値を求めよ」
砕いて言うと
「領域D内の点をx+yに放り込んだときの最小値をだせ」
ですね。
なら問題の意味に従って
<方針1>(というか頭の中、、)
領域D内の点を全てz=x+yに代入しよう!
……が当然D内の点は無数にあって何百万年あっても終わらない。。
→じゃあ
・x=0上の点について調べてみよう!
このとき、z=yなので
zはz≧0、z≧b、z≧a/3を満たす
よってzの最小値は0かbかa/3だ!
・x=1上の点について調べてみよう!
…
(この考え方を一般化して)
・x=k上の点について調べてみよう。
という流れ。
所謂、順像法とか一文字固定法とか予選決勝法ですね。
さて、もう一回問題に戻りましょうか。
繰り返しますが問題は
「D内の点をx+yに放り込んだときの最小値を求めよ」
方針1は
D内の点全部放り込めばわかるじゃん
って発想でした。
でも別の見方もできます。
x+yってどんな値になるのかなあ?
って感じです。
<方針2>
x+yってどんな値になるのかなあ?
(x+yの値域をWとすると)
例えば
・x+y=0ってなりうるかなあ?
x+y=0になりうる(0∈W)
⇔x+y=0となるような(x,y)がDの中にある
・x+y=1ってなりうるなかなあ?
x+y=1になりうる(1∈W)
⇔x+y=1となるような(x,y)がDの中にある
・・・(一般化して)
・x+y=αってなりうるかなあ?
α∈W
⇔x+y=αとなるような(x,y)がDの中にある
って感じです。
所謂、逆像法とか逆手流とかいうやつです。
まあこれでほとんど言いたいことは言ったのですが一応解答を←
解答
方針1
z=x+yとおく。
x=t(t≧0)で固定し、このときのzの最小値をsとすると、
z=y+tであり、yは
3y≧a-u
y≧b-3u
y≧0
を満たす。
今、yz平面においてz=y+tは傾き1の直線を表すので、zが最小となるのはyが最小となるときだから
s=min{0,b-3u,(a-u)/3}
次に、uをu≧0で動かすと
…頑張って場合分け
方針2
x+yの値域をWとおくと
u∈W
⇔x+y=uとなる(x,y)がDの中に存在する…※※
⇔[x+3y≧a かつ 3x+y≧b かつ x≧0 かつ y≧0 かつ x+y=u]となるx,yが存在する
⇔[3u-2x≧a かつ 2x+u≧b かつ x≧0 かつ u-x≧0 かつ y=u-x]となるx,yが存在する
⇔[0≦x≦u かつ (b-u)/2≦x≦(3u-a)/2]となるxが存在する
⇔0≦u かつ b-u≦3u-a かつ 0≦(3u-a)/2 かつ (b-u)/2≦u
⇔0≦u かつ (a+b)/4≦u かつ a/3≦u かつ b/3≦u
よって、x+yの最小値をmとおくと
m=max{0,a/3,b/3,(a+b)/4}
である。
(i)0≧a/3かつ0≧b/3かつ0≧(a+b)/4
すなわち0≧aかつ0≧bのとき
m=0
(ii)0≦a/3またはb/3≦a/3または(a+b)/4≦a/3
すなわち0≦aかつb≦aのとき
m=a/3
(iii)0≦b/3かつa/3≦b/3かつ(a+b)/4≦b/3
すなわちb≦0かつb≦aのとき
m=b/3
(iV)0≦(a+b)/4かつa/3≦(a+b)/4かつb/3≦(a+b)/4
すなわち0≦a+bかつa≦3bかつb≦3aのとき
m=(a+b)/4 ▪️
ちなみに
方針2の※※以下からx+y=uと領域Dとの共有点条件を求めにいってもできますが、領域Dの形での場合分けを考察するのが大変なので、避けました。
実践的には、共有点条件を頭によぎらないのはまずいですね。
だから
共有点条件でいけるかなあ?
→領域Dの場合分けがきつい
→じゃあ式で攻めよう
という発想がグッド!
短時間で成果を出せる?!これで、時間がない人も成績アップ!
今回は、定期試験まで時間のない学生、入試まであまり期間のない受験生、また忙しく時間の取れない社会人に向けて、短期間で成果を出す勉強法について紹介したいと思います!
短期間で成果を出す勉強法、それはずばり戦略的リソース利用法です。
では、戦略的リソース利用法とは?
まず、以下のことを順に行いましょう!
- 現実的にテストでどれくらいの成績が欲しいか想像する。
- 自分にとってその成績を取ることがどれくらい大事なのか100点満点で点数をつける。
- 自分がその成績を取るのにどれだけ自信があるか100点満点で点数をつける。
- テストにどんな問題が出そうか紙に書き出す
- そのテストに使えそうな参考書や資料を各教科最大15冊選ぶ。
- その選んだ参考書をどうして選んだか紙に書く。その参考書をどのように使うか紙に書く。
これをやることで、モチベーションの向上、何が自分にとって大事で、また今自分が何からやるべきか整理でき、勉強の効率が上がるそうです。
実際、テスト一週間前に戦略的リソース利用法を用いて学習した学生は、そうでない学生より点数が4.56%高くなったということが研究でわかっています。
というわけで、皆さんも是非この勉強法を実践してみてください!
軌跡、通過領域〜パラメータ消去しろ!は大嘘だ!〜
論理の話をしてきたので、それが活用しやすい分野「軌跡、通過領域」について。
たしか高校だと数学Bでやるやつですね!
まず、最初に言っておきたいことは
「パラメータを消去すれば軌跡が求まる」 というのは嘘です!
意外と信じ込まれがち、、というか学校でそう習うんですかね。
以下、この理由を軌跡、通過領域の説明もかねて書いていきますね。
例を用いて、説明していきます。
問題
「x=t^2…①、y=t^4…②のとき、点(x,y)の通過領域を求めよ」
超論外の解答
①を②に代入して y=x^2 これが求める領域である。▪️
よくある論外の解答
①を②に代入して y=x^2 また①よりx≧0 ∴求める領域はy=x^2のx≧0の部分。▪️
さて、なぜ上の解答がダメなのか?の前に、そもそも「軌跡を求めよ、図示せよ」とは何なのか?
与えられた式、今の場合x=t^2かつy=t^4の真理集合を求めよ(図示せよ)ということ。
だから、与えられた式よりも条件が緩くなったりしてはいけないわけです。題意の領域より広くなりますからね。
まあ、つまり「軌跡を求めよ」は「同値変形してください」(または必要性と十分性をしっかり示せ)ってことなんです。
だから、先ほどの解答のなにが間違えかもうおわかりですよね?
超論外の方は、 ①②がx、y、tの条件なのにtをガン無視してる、つまり ①②⇒y=x^2 と完全に同値性崩れてますんで×
論外の方は、答えはあってますが、 ①②⇒y=x^2 ①⇒x≧0 よって、①②⇒y=x^2かつx≧0という必要条件での論証になっているんで×
こういう記述すると、「答えがたまたま合ってるにすぎない」ととられる可能性があります。
とりあえず式変形などで「∴、代入」などを用いたときは「⇒」の意味で取られるんで注意してくださいね。
正しい解答
①かつ② ⇔x=t^2かつy=x^2…③ ③において、tを実数全体で動かすと、x≧0で動くから求める通過領域は y=x^2のx≧0の部分。▪️
このように、「パラメータを残しながら同値変形→最後にtを動かしたときのxがどう動くか調べる」 というのが基本になります。どうしてもtを残しての同値変形がいやなら、∃tで考えましょう
そもそも、軌跡の意味は、「t=0、1、2、e、π、100、…のときの(x、y)をかき集めたものを求めて下さい」ってことですから、∃と相性抜群なのは、以前の論理の記事で話したんでおわかりですよね。
だから
∃t、s.t①かつ② ⇔y=x^2かつx≧0
って答案もありですね。
とにかく、「同値性について気にしてますよ。パラメータを消去すれば軌跡がでる(笑)なんてアホな間違ったことであり、軌跡の意味ちゃんとわかってますよ」というアピールが重要だと思います。