一時帰国
大阪に帰ってきている。
2週間の滞在。
あまりに過去の自分の気配が濃すぎてあまり注視できなかった本棚から 何冊かベルリンに持っていこうと思う。
過去の自分がずっと隣にいるようで 引き出しの中身も本の並びも何度も目でなぞっては自分の世界に閉じこもっていた不登校時代のわたし 大学でやっと世界が開けて限りない可能性を信じていたわたし が今当時の何も持たずにベルリンで暮らすわたし になって 過去と現在のとても長い距離をわたしなりに歩いたのにこの部屋は何も変わっていない。
町へ出ると相変わらず人の視線が怖い。
あまり長くいたらベルリンのことすべてが夢だということに 気づいてしまうような。
いろんなわたしとのバランスが 取れないんです。
同居人A
手帳をつけようと思う。紙の。
同居人Aといろんな話をしている。多いのは幼少期の事、学校や地元の事、家族。死の扱い方についても結構な頻度で話しているようにおもう。自分はどう死にたいのか、家族や身の回りの人にはどう死んでもらいたいのか。死んだらどこに行きたいか、自分はどこから来たと思っているのか。夢で見た世界と現実のかかわり、目には見えないオカルトなことがらも、信じているというよりは、あるのだろうなという感じ。私たちの力の及ばないところまで妄想しては語り合っている。
悪口だってたくさん言っている。
思いだすといつだって恥ずかしいが、愛や人生にいたるまで。
彼女は恋人のことを悪く言うが、想って涙することもある。どんな相手であれ、とても大切ということだろう、そういう人に出会えた彼女が羨ましい。
一度仕事をやめたときに、私は今まで3年以上人間関係が続いたためしがないこと、続ける気さえないことを長々とまくし立て、だから私たちが会うのはこれで最後ですと、彼女がいる前で上司に言ったのだが、早々に復帰し上司とは再開した。舌の根も乾かぬうちに。そんな気まずさも同居人Aは笑いとばしてくれる。
本当は彼女のような、人間関係をずっと保てるひとが羨ましいのだ。幼馴染がいるなんて信じられない。
私が人とのかかわりを切ってきたのは、長く続ければ続けるほど、うまくいかなかったときに傷つく可能性を減らそうとしての無意識の選択かもしれない。裏切られたときにかなしくならないために、そもそもの人間関係からだめにしているのかも。なんだかださい。へっぴり腰で逃げているのと変わらない。
理由
付き合ってた人に振られたときは死ぬかと思ったし死のうと思った。割と初期に恋のときめきは冷めてしまっていて、心をつかまれることはどんどん少なくなったんだけど。そうじゃなくて彼は私の基準で常識で狭い世界の真ん中だったのかもな。面白いとか楽しいとかを自分ではよくわからなくなってて彼が思うものに沿うほうが楽だった、常に一緒にいたかったしすべてを支配したかった、洗脳するように圧力をかけた。けど逆に私が一人で生きられなくなっていっただけだった。彼の事ならなんだってわかった。ずっと考えていたのだもの。自分のことをわかっていなかっただけで。
私の思いどおりにならないことがあればすぐ拗ねた。私が彼の基準であるはずだった。現実はいつも鏡写しのよう。
死のうと思ったのはその世界を自覚して出ていくことの面倒くささに絶望したからだろうか。今になってその強烈な感情の理由がわからない。どのように好きだったのかもよく思いだせない。顔も声も名前も髪の毛も全部好きだったけど何も思い出せない。楽しかったことだけたしか。
長い坂道駆け上がり泣いた
最近サカナクションが聞けるようになった。真心ブラザーズも。聞けないということすら忘れていた。サカナクションは別れた人に教えてもらったんだった。彼はトイレに行くときに「アイデンティティ」を聞くようにしていた。思いついて面白いと思ったことは 必ず実行した人。
真心ブラザーズは、片思いしていたころによく聞いていた。甘酸っぱい不安 と無限に未来があるのを信じていたころ。奈良の夜 を車で走っているところを思い出す。
久しぶりに 分かれた人と連絡を取った。振られたころは想像の範囲内で生きろ!! とばかり願ったけれども、べらぼうに素直な彼はそんな呪いにもかからず、彼自身の創造さえも自由に飛び越えていった。貸して返ってきた本は私の血と肉にする。二年たって私の呪いもそろそろ 解かなくては。
新しく好きな人は 上品なグレーという感じ。白に近い美しい 色。
そして新しく恋をしたこと
もう無理無理、絶対、そんなはずはないし私にそんな魅力もないし、同僚としては多分好かれているけど恋愛的な目では絶対に見られていないよ、そんな風では、だって私だし。ってわかってても期待しちゃう。透明な膜の内側と外側を毎秒行ったり来たりしながら浮かれたり息苦しくなったり、恋ってすごいね、脳のマヒ説本当?話すの楽しすぎて毎日明日が楽しみ。あなたのこと好きだよってずっと心の中で話しかけてるよ。
そんなはずはないけどね。
ちょっと前の恋で傷ついた話
顔も名前も声も好きで一生一緒にいたいと思ってたけど今は一緒にいない人のことを元彼というのだ。そんな便利な言葉。簡単に説明できる言葉。でも私の気持ちなんて少しも伝わらない。
同居人Aが(元)彼を誉めてくれたのがうれしかった。おそらくそんなに長くなかったであろう滞在時間にそこまで読み取ってくれるなんてさすがとしかいいようがない、お互いにね。
まだ好きとかそういうんじゃなくて、それぐらい大事だったんだよってだけ。手放したのは私の責任でもあるし。怒ってくれる友達もできたけど、それもうれしかったけど悲しかったけど本当の事っていうのは私がただただ彼を大切に思っていた時期があって、同じくらいのタイミングで同じくらい彼も私を大切にしてくれてたんだよっていうだけ。それで分かれることになった時に価値観がひっくり返るほど悲しかったってだけ。これからまたわたしは恋に落ちる予定だけれど、それとこれとは関係がない。そんなグレー