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本を読んで思いついた事をメモ

数千万の借金を抱えた直木賞受賞作家、佐藤愛子さんの怒涛の人生から学んだ4つの事。

それでもこの世は悪くなかった (文春新書)

 

いきなり「貴方の生きてきた道について聞かせて下さい」と言われて、貴方は何か話せることがあるだろうか?

ましてや、
「私の人生は戦いの連続でした」

「聞く方がヘトヘトになってしまいますよ」
なんて返しができるくらいの人生を生きている人なんて、そうそういないだろう。

この返しをしてしまえるほどの生き方をしてきたのがこの本の主人公の佐藤愛子さんだ。
 彼女のこの本を読んで感じるのは、「怒涛の人生」という言葉がまさにピッタリな人だと言う事。
 こんな人が世の中にいるのか!?と思ってしまう。

今回はそんな佐藤愛子さんが、ご自身の半生を振り返った講演をまとめた本を読んだので、その読書メモ。

 

■案外みんなその場の空気で生きている


 これまでを振り返って、誰にだって大小の違いはあるものの、少なからずイベントは起こるもの。プロポーズをした・された、誰々と喧嘩をした、などなど。

 けれど、その時その時で、「なんでそれをしたか」って、ちゃあんと説明できる人ってどれくらいいるんだろう?人って案外、その場の空気や流れに影響されて選択をしている。

 さらに最近は成功した経営者がテレビに雑誌に、あるいは自身の反省を振り返った著書で「私はこの時こう考えて〜を」なんて言っているし、「人生はこう考えて生きる!」みたいなセオリー本が海千山千と発行されているからか、物事を選択する時にはハッキリとした基準や考えをもって行うもの、と思ってしまっているのかもしれない。


 けど、誰かと結婚するなんて最後は自分の気持ちの問題だし、喧嘩だって些細なことが発端になっているなんで事はザラ。
 

 そう、人は案外その場その場を空気で生きているっぽい。

 

愛子さんは本の冒頭、ご自身の半生について質問された時の事をこう言っている。


それに、この頃は何かと言うと理由を聞きたがります。
「その時どう思いましたか、なぜそんなことをしたんですか」
と、インタビューを受ける時にも必ず聞かれます。
そんないちいちね、何かことあるたびに感想を持つわけじゃないんですよ、人間は。


佐藤さんバッサリ言ってる!
自分も何かと「なぜ?」と周りの人たちに聞いている時があるので、気をつけよう。

 

 

■「幸せ」なんてあいまいなもの


「だからダメなんだ」
「だからあんたたちは幸せなんだ」
とも言える
それは人の考え方次第ですよね


この言葉って核心をついているなぁって思った。
幸せって、「誰もが共通で感じるもの」みたいに思いがち。

 だけど、「幸せ」っていう言葉ほど曖昧な表現って無いかも。
 

 数値で表す事なんでできないし(過去にミルという哲学者が数値化しようと試み上手くいってないし)、ましてや何かをすれば必ず幸福、コレを持っていれば誰でも幸福、なんていう共通の行動・物質なんてものもありませんよね?そういう事を言ってるのは大抵なにか怪しい宗教やビジネスの人達なイメージが。「この霊験ある壺を買えば貴方も幸せに」みたいな?

 

 例えばお金。お金はあるに越した事はないですし、「お金という資本主義の呪縛から〜」みたいな事はもちろん考えてないです。
 

 けれど、人によって必要な金額、あると満足な金額って違いますよね。

 

 Aさんは毎月50万円稼いで毎日の生活に満足
 Bさんは毎月一千万円稼いでいても不満足

 

こういう例は枚挙に暇がないくらい。というかBさん羨ましい。。。
 このAさんとBさんの違いはただ一つ、「自分が満足しているか」だけではないでしょうか。
だって何か大きな事情でも無い限り、人が生活してゆくのに必要なお金ってそんなに無くても最低限は生きて行けます。けれど、それで満足ができるかどうか、は人によるものです。
 けれど、ここでいつのまにか「中立的なCさんが正確なジャッジをして初めて、自分が幸せかが判断される」みたいなことになってません?
 そんな事なんて無いのに、いつの間にか人って「周りからの『この人は幸せであるかどうか』という評価」を重要視して、まるでたくさんの人から評価されないと自分が幸福ではないかのように思ってしまっている部分があります。

 最近はSNSの「いいね!」の数という、数値で表せる仕組みができてしまったがために、一部の人たちはこの数字を躍起になって欲しがったりしてます

 ※本「承認されたい人たち」シロクマの戯言より

そんな最近の雰囲気に対して、愛子さんはまたもやバッサリと切っています。
「幸せなんてその人の考え方次第でいかようにもなるもの」と。
 これ、SNSのいいね!の数で一喜一憂した時に自分の戒めとして覚えておきたい。

 

■社会に対する冷めた目

ホンネとタテマエという言葉があるけれど、意外とタテマエがどんどん肥大化してしまった状態ってよくあります。

とあるスーパーのお客様の一言に出された些細なクレームを、会社側が大問題として対処してしまう事案。
これって、タテマエの側が大きくなってしまった状態だよなと思います。
 本来ならば、タテマエとしてお客様に「対処します」と返答し、ホンネでは社内でその事情を勘案して処理する、という手など。

 

■終わりの時への向き合い方


願わくば死ぬ時この人生にお礼を云ってお暇乞いをしてください。
それはたしかに人生に対する寛容の美徳です。
悪に報いる金色の光放つ善です

自分が、自分の最後の時をハッキリと認識し、残り僅かの時間に対してどのように向き合うかって、これ結構重要だと思います。
 よくドラマだと穏やかに最後の時を過ごして〜なんてなってますが、実際そんな境地に立てるんだろうか?


 これまで生きてきて、これからもまだ生きていくと漠然と思っている時に、いきなり「あなたの人生はあとこの時間しかありません」と言われて、果たしてどれだけの人が取り乱さずに穏やかに余生を遅れるだろうか。

 愛子さんが引用しているこの詩のフレーズは、とても重要で、とても難しい事。

 けれど、究極の答えでもあるなと感じる。


 願わくば自分も、最後はこんな最後を迎えたい。

 

 ちなみに、自分が最後にどんな最後を迎えるのか、自分の人生を振り返るきっかけになる本はこれがおすすめ。

タタール人の砂漠 (岩波文庫)

 

 

■まとめ


’’ 人生楽ありゃ 苦もあるさ '’という言葉の重み

子供の頃、ケーキを食べられるのは誕生日などの特別な日だけでした。
 子供心にそんなの嫌だ!と思い、母親に「毎日ケーキが食べたい!」とおねだりした経験ってありませんか?
 自分がこのおねだりをすると、母が毎回こう言って諭しました
 「バカね!毎日ケーキなんて食べたらケーキのありがたみがなくなるわよ!」

子供心に嘘付け!とよく思ったものですが、今になっては案外この母の言葉も的を射ているなと思います。


 人って、マイナスとプラスの差分が大きいほど、プラスの事が起こった時の喜び・マイナスの事が起こった時の悲しみが大きいものです。

 

 もし、毎日楽しい事ばかりな人生だと、数日すればその毎日が普通になり、「楽しい」と思わなくなります。これは逆もしかりで、毎日辛い事ばかりでも同じにもなるようです(家庭内暴力を受けた人がだんだん感覚が麻痺するのもこんな感じでしょうか)

 

なので、最後に愛子さんが書いている

苦労がなければ幸せなんて感じられないですよ 


は至言だと思う。

 

愛子さんのような人生を歩んでみたいか、と聞かれれば「結構です」と思う怒涛の人生を歩んで来た人。けれど、そんな生き方をしたからこそ、今回のこの本を執筆できたのだろうと思う。

 そう考えると人生に無駄な事なんで一つもないんだな。

 ただし、それはあくまでも自分の考え方次第で。

 

電子書籍関連のニュース

複数のニュース記事まとめたい時はツイッターだと限界あるなーって思い立って、長らく放置してたブログに投稿してみる。 楽天の電子書籍端末の話題で結構Twitterのタイムラインが賑わってた。

【 楽天の電 子ブック リーダー kobo Touch 正式発表、7980円 】

http://m.japanese.engadget.com/2012/07/02/kobo-touch-7980/

この端末の仕様に関してはこんな指摘してる記事があったり。

【無線にゃん】

http://wnyan.jp/3354#3356

個人的には、ソニーの電子書籍端末に頑張って欲しいところ。 【 ソニー、ReaderアプリをXpe riaに搭載 ~Reader Storeで購入した電子書籍を閲覧 】 http://m.pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120611_539368.html 昨日今日で、なんでこんなに電子書籍関連のニュース流れてんだ?って思ってたら、どうやらこれのための話題集めみたいだ。 なるほどねー。 『 なお、東京国際ブックフェアの母屋を取り そうな勢いの国際電子出版 EXPO は7月4日(水)から、東京ビックサイトで開催です。』