軟式球を廃止せよ -「本物」のスラッガーを生むために

大谷 日本最速164キロ!糸井に詰まりながら適時打され2点失う ― スポニチ Sponichi Annex 野球

 また自己最速更新か。すごいなあ大谷。どこまで記録を伸ばすか楽しみ…だが、今シーズンの白眉は何と言っても「投」より「打」だ。というか、個人的には将来的にも「打者・大谷」を見たいと思う。

 

「打者・大谷」の破壊力

2年前の2014年、ベーブルース以来の「10勝&10本塁打」を記録したそのまさに10本目は、度肝を抜くフルスイングからの、バックスクリーンへの一撃だった。

大谷翔平10号本塁打!二刀流は伊達ではない。。。 - YouTube

僕はこれ以来、打者・大谷を毎試合観たい気持ちに駆られ続けてきたが、今シーズン皮肉にもマメによって投手として登板できなかった期間が、「バッター大谷」のとてつもない能力を白日の下に晒してしまった。例外ルールによる首位打者獲得の可能性とか、野手でフル出場したら何本ホームラン打つかとか、いろんなシミュレーションがされた。今年は軽く振ってもあの時のような飛距離が簡単に出ているように見える。メジャーでホームランバッターとして活躍できるかも、と期待感を持てる日本人打者は彼ぐらいではないか。左バッターでありながら、グリーンモンスターを軽々と越えるホームラン…夢がある。

 

U-18、MLBの「惨状」

先ごろ優勝したU-18を見ても、戦力的に投高打低は明らかだった。寺島(履正社)が打者として目立ったのも、野手の人材不足の裏返しだ。MLBも言わずもがな、日本人野手で目立つのは相変わらずイチロー1人の状況。なぜみんな投手をやりたがるのか?なぜ人材が偏るのか?その要因のひとつに、「軟式球」がある、という乱暴な仮説をここに提唱したい。

 

軟式のヒーローは投手

軟式球はインパクトで変形するため、強い打球が打ちにくい。初心者には敷居の高い、動くボールを打つという行為をさらに難しくしている。硬式+金属バットを経験した人なら、「まぐれ」がヒットになる可能性は硬式の方がずっと高いことが分かるだろう。少年野球は極端な投高打低の世界だから、いちばん上手い子が投手をやるのは必然的な流れだ。しかし軟式球のない(むしろ軟式がレアなのだが)アメリカではいちばん上手い子はショートをやりたがるという。この価値観を逆転させるには、投手重視、守り優先となりがちな軟式野球を撤廃し、硬式+金属バットの打高投低野球を標準に据えるしかない。

 

軟式球を廃止し、硬式用球場を無償解放せよ

硬式球を使うとなると、問題となるのは設備と道具だ。狭いニッポン、河川敷の長方形の四隅をフル活用すればABCDの4面確保可能だが、硬式じゃ危なくてそんなことできない。でも大丈夫、少子化と野球人気の長期的低下でそもそもそんなに面数はいらないはず。ここは気前よく、硬式専用球場・ボール・ヘルメット等を無償で貸し出してほしい。資金はNPBと選手で共同基金を設立し拠出する。これで選手は故郷に錦を飾ることができる。その代わり、ボールの紛失は有償とする。これでボールを大切にする習慣も身につけることができる。その上で、カンカンヒットを打つ喜びを味わって欲しい。

 

プレーヤーをリスペクトせよ

それに、軟式撤廃の副次的効果として、「痛さを知る」てのもあると思う。鳴り物入りの応援、酔っ払いの愛のないヤジ。観戦者の民度が低いのは、硬式が「当たったらどれだけ痛いか」知らない、選手がどれだけ危険と紙一重の世界でプレーしているのかを想像できないことも一因だと思う。そんなに好き勝手言うなら、やってみりゃ良いのだ。


大谷翔平のような才能は二度と出てこないかもしれないが、もしまた現れた時には躊躇なく「打者」を選択してくれたら良いなあ。

自堕落な人間の抱える限界をAIが突破します

早いもので9月。
自分にとっては、「VWの排ガス不正が明るみに出てから1年かー」という感慨。
それだけ衝撃的なニュースだった。それにしても、それと前後して起きた「不祥事」の密度は異常だったのではないか。
 

不祥事の大量生産

<2015年秋以降に発覚したインパクトの大きい不祥事の一例>
企業、プロスポーツ、芸能といった各方面の「本当のトップ級」について、半年か1年ほどの間で、これだけの不祥事が起きた。(三菱自だけ微妙かも^^;)
昨年このブログにも書いたが、VWは世界中の自動車メーカーがベンチマークする存在だった。巨人は腐っても「球界の盟主」、清原はいまだに「甲子園最強バッター」だ。ベッキーは「こんな良い子がいるのか」というような清廉潔白かつ聡明な女の子を見事に体現していたし、SMAPは男性アイドルの不動の頂点にいた存在だった。
 

人間じゃもうダメ

個人的にはVWとベッキーにもっとも近しいものを感じるのだが、「優等生の崩壊」というか、人間が頭で描く『かくあるべし』を本当に実現している存在がいると思ったらじつはいなかった、というようなガッカリ感がある。「人間って、やっぱりダメな生き物なんだな」といやでも思いたくなる。
そんな時、にわかに脚光を浴びるAI(人工知能)。
不倫しないしギャンブルにも薬物にもはまらないし、何より正確な計算は得意中の得意だ。(不正を強制するロジックが組み込まれていないかぎりは)
 
不正や粉飾は、「かくあるべし」を目標(法規制や経営計画)にしたはいいが、それを達成できなかったことに対して「責任を取る=企業人としての死」を人間の生存本能が拒否したことにより起きたと僕は考えている。対して人工知能は生身の肉体を備えていないので生存本能と呼べるものが存在しない。だから仮に何らかのミスをしたとしても、責任を逃れようとはしないはずだ。(責任回避ロジックが組み込まれていないかぎりは)
 
人間界の不祥事は止まらず、人間の脳をAIが凌駕する日(シンギュラリティ)へのカウントダウンはもう始まっていると言われ、だんだんそれが既定路線のように感じてくる...そうすればAIの「社会進出」も抵抗なく進む、かもしれない。

クラウドをアオる

2016年の国内企業のクラウドの採用率は16.1%にとどまる:ガートナー - ZDNet Japan

まあ、これだけじゃ分かりませんよね。

有効回答数はいずれも515件。本調査の対象となったのは日本全国の従業員数500人以上のITユーザー企業 

 母集団の業種も分からないし、そもそも他の地域・国で同様の調査がなされているかも分からないので、比較のしようがない。

何とか数字だけを独り歩きさせて、「日本企業はクラウド採用に二の足を踏んでいる」「遅れている」と言いたいんでしょうね、きっとね。調査会社てのも大変だな。

 

AIに期待すること

最近、AI(人工知能)の可能性と脅威に関する議論がホットですね。AIって何?に深入りするととんでもないことになりそうなので、「人間の知能のはたらきをコンピュータ上に(人工的に)実現したもの」くらいにしておいて、それなりにITリテラシーのある人のイメージする人工知能像をベースに、超さらっと思ったことを書いてみたいと思います。
 
AIの強みは、何といっても大量データ(ビッグデータ)に基づく高速演算と客観的事実の抽出ではないでしょうか。(AlphaGoが理屈は分かんないけど、とにかくこの手をさせば勝てる、という手を繰り出したら、それが人間にはまったく想像もつかない手だった、というのも一例)
対して人間の脳は、「勘」だったり「第一印象」だったり 、省略によって結論に到達するまでのスピード、効率を高めているのが特徴では?(脳はカロリー消費高いから、だらだら演算やってたら飢えてしまう。生きるための戦略としては当然)
 
つまり、
 帰納的アプローチ⇒人間
 演繹的アプローチ⇒AI
 
という棲み分けがベストではないでしょうか。
ただし人間の「省略」には間違ったものも多い。それが「偏見」「思い込み」であったり、週刊誌的報道であったり。(つまり「これはこう」「この人はこう」と勝手なパターンを当てはめてそれ以上考えない。思考停止しちゃう)
 
AIには、人間のそういう浅はかさに対して、違う視点を提供してほしい。「でも、こんなファクトもあるよ?」と提示してほしい。「芸能人の○○がやたらと叩かれているけど、これまで△△等の社会貢献活動をしてきているよ」「人種や性別による差別が労働生産性を低下させているよ。根拠はこのデータとこのデータ、、、」みたいなね。
 
人間に「戒め」を与える存在、とでも言えましょうか。
でも電源オフっちゃうと何も言わなくなるかわいいヤツ、みたいな。誰もが謙虚さ(ある種の畏れ)を忘れず、相手に「自分には見えない部分」があることを意識し尊重しながら生きられる世の中。その実現にAIが一役買っている、そんな未来を個人的には期待しています。

テクノロジーと政治

VWの排ガス不正問題、CEOが辞任し、いろんな人がいろんなことを言って百家争鳴といった様相を呈している。気になったものをいくつかピックアップしてみた。

⇒英紙FT。EUの仲間だし、基本VW擁護のスタンス。「みんなそうでしょ」みたいな身も蓋もないことが延々と書いてある。
群集心理はたちまち広がる。X社はY社が試験結果を偽りながら当局に罰せられていないことを知っていて、同じことをしなければ競争できないと思うに至る。
「群集心理」って、巨大企業の責任ある立場の人たちにあてはめて良い言葉じゃないよなあ。

⇒米ブルームバーグ。タイトルを見ての通り、EUの規制当局と政治家の責任に言及。にべもない。むしろアオってます。

このソフトを作ったドイツの自動車部品メーカー「ボッシュ」が、2007年にフォルクスワーゲンに対し、ソフトはあくまで開発段階で使用するもので、販売される車両に搭載するのは違法だと書面で警告していたと伝えました。
ただ、これについて、ボッシュ側は守秘義務を理由に取材を拒否しているということです。
ボッシュはこの件から逃れようとしている。でも「ソフトはあくまで開発段階で使用するもので、販売される車両に搭載するのは違法」って、開発段階で検査逃れに使ったのがそもそもダメなんであって、全然言い訳になってないと思うけど。この情報を(多分)リークしておきながら、守秘義務を盾に取材拒否てのもどうかと思う。にもかかわらず他のメディアも「ボッシュはちゃんと言ってたのにね〜」的な反応でこれ以上突っ込む気配がない。
得意先はVW以外にもたくさんあるし、彼らの力もあるから、実際逃げ切れるだろう。

VWの中の人達まで、この件から逃れようとしているのだろうか。確かに現場としてはエスカレーションした以上、上位者の意思決定に従う他ないけど、知っててスルーした責任てのも普通はある。こういうのを見ると、VWが組織として弱くなっていたのだと感じる。良いクルマを作っていたはずなのになあ。

⇒出た、真打ち登場。いつコメントするのかと思っていたけど、まあ予想通りの発言内容。NewsPicksに「研究開発~廃棄まで、製品ライフサイクル全体で話せえよ」みたいな至極まっとうなコメントがあって、個人的には同意。

こうして並べてみると、イーロン・マスクのコメントだけでなく、上記記事はみな「誰かの利益」を代弁しているように見える。そういう意味じゃ全てがポジショントーク

習近平訪米
ちなみに「百家争鳴」って元々中国共産党のスローガンだったって知ってました?そういえば、習近平国家主席が訪米中ということで、下記のニュースが流れた。

中国のエッジ利用者には百度の検索サイトをホームページとして表示する。百度は6億人を超える利用者に対し、ウィンドウズ10へのアップグレードを促す仕組みを導入する。
サトヤ・ナデラCEOになってからのマイクロソフトの打ち手はオープンで新鮮味があり、興味を引くものが多かったけどこれはちょっと興醒めというか、、、Googleが中国から締め出されているうちに、Edgeをデファクトにしておきたかったのだろうか。そんなことしなくても、Chromeよりサクサク動くだけでたくさんのユーザーが戻ってくるのに。習近平の寿司折程度の外交成果にはなったかもしれないけど、せっかくIEのしがらみから離れることができた新ブラウザに、さっそく「親のコネで入社」的な色がついてしまった気がして残念。

テクノロジーと政治って食いあわせがわるいというか、なぜかタッグを組むとテクノロジー側の努力が緩むような気がする。そもそもVWの販売台数が世界一って、ちょっと前には考えられなかった話。相当EUの政治的思惑が働いた結果だったのかもしれない。

VWが告げた、自動車メーカーの終わりの始まり

VWの排ガステスト不正問題、全世界に拡大…1100万台の可能性も | レスポンス

一報を聞いた時、耳を疑った。だってVWですよ。そんじょそこらの自動車メーカーじゃない。世界中の自動車メーカーがベンチマークしているゴルフを作り、革新的な設計手法(MQB)をいち早く世に出した、あのVW。クラスいち優秀な学級委員のあの子のカンニングが発覚した衝撃、と言ったら伝わるだろうか。また「経営陣は知りませんでした」話が出ているが、無理無理。ソフトウェアなんて要件決めて設計してコード書いてテストして、そしてそれぞれにレビューがあるんだから、普通ならスルーできるはずがない。「要件どおり」作ったんでしょ多分。
 
ところで、そもそも大気汚染に関していちばん「悪」なのがNOxなのかCO2なのか(PMなのか)は、科学的な命題のように見えて実は最終結論が明確ではない。排ガスの規制対象物質や規制値は、極めて政治的な「決め」によって決まっている(少なくとも素人目にはそう見える)。そうでなければ、ディーゼル中心の欧州でNOx規制が緩く、ガソリン中心のアメリカ・日本で厳しいというような差が出るはずがない(大気はどこの国だって基本変わらないんだから)。それを踏まえ、この事件がアメリカ発信であることに注目したい。

時代の転換点となるイベント

以前佐藤優の本に「時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪する。そのために国策捜査が行われる」といったようなことが書かれていた記憶がある。今回の事件の影響は「VWの業績」とか「ドイツ経済」とかのレベルに止まらない。「自動車メーカーみんなのベンチマーク」だったVWの、環境性能に直接関わる不正である(会計上の不正だった東芝が可愛く見えるレベル)。僕には、自動車産業全体が大きな転換点を迎えていることを象徴するため、起きるべくして起きた事件という気がしてならない。これは「VWトヨタか」とか、「メガ部品メーカーが自動車メーカーを超える」とか、そういうレベルの話ではない。自動車開発の主導権が、これまでの自動車メーカーから、全く新しいプレーヤーに移るという大転換だ。その中心にいるのが、テスラでありGoogleXである。Appleも虎視眈々とこの巨大市場を狙っている。そしてこれらの企業は皆アメリカの、それもシリコンバレー発祥の企業だ(独SAPはここにはいない)。
 
自動車には非常に多くの部品が使われ、複雑な機構を持つがゆえに、非常に高度な開発・生産技術が必要とされてきた。確固たる理念・哲学を持ち、「クルマ作り」をリードしてきたのは、やはりドイツだろう。ダイムラークライスラーとの統合・離散を経て見た目も含めすっかり軟派になってしまった感があるが、VWは近年買収による急速な規模拡大や、経営陣の対立等はあったが、クルマ自体は質実剛健な職人気質と高品質のイメージを保っていた。それが今回の事件で一気に崩壊したわけだ。「クルマ作りには熟練の技が必要だというけれど、ヤツらがやっていることを見ろよ。哲学なんて幻想だ。あいつらに任せる理由はもはやないぜ」てなところか。
 
まとめると、アメリカはこれまでの「クルマ作り」をリードしてきたドイツ企業の化けの皮を剥ぎ、(デトロイトを通り越して)シリコンバレーに主導権を移す機会を虎視眈々と狙っていた。規模拡大で脇の甘くなったVWがその格好のターゲットとなり、今回の事件が起きたということになる。
以上、勝手すぎる推論でした。
それにしても、販売台数世界一ってそんなに魔力があるのかな。もう「かつてのVW」は事実上この世からなくなってしまったのだと思うと、すごく寂しい。

読み書き算盤、そして情報セキュリティ

News & Trend - 防げ情報漏洩、利用部門のセキュリティ担当者向け試験が来春登場:ITpro
IPAは情報セキュリティマネジメント試験の合格者を早期に大量輩出することを狙う。まず試験範囲をセキュリティに絞り、受験しやすくした。「アルゴリズムとかコンピュータの知識とか、技術的なことはそれほど求めない。セキュリティの身近な事例をベースにした実践的な出題とする」
どの程度の受験者数を見込むのか。一般社会人のITリテラシーを問う入門試験である「ITパスポート試験」は2009年の開始以来、累計で15万人の合格者が出ているという(合格率は5割弱)。IPAは新試験をITパスポート試験の次に受けてほしい試験と位置付け、「15万人の半数が受けてくれることを目指す」と話す。
だそうです。
IPAの立場からすると上記発言も分からなくはないけど、ITパスポートの半分というのは随分控えめというか悠長というか。むしろITパスポートは受けなくてもこっちは受けるべきでは?技術的な設問が少ないならなおさら。年金機構の事例でも、標的型攻撃の手段は職員に対するメールだったし。
セキュリティこそ喫緊の課題。リテラシーの底上げを、それこそ国を挙げてやるべき。公的機関、防衛関係、教育機関等の職員採用の必須要件とする、とかね。もちろん民間でも採用の際にTOEICより優遇する。そうしたら学生はこぞって受けるはず。読み書き算盤の次は情報セキュリティですよ、と。

リアル世界の安全保障体制に関する議論ももちろん大事だけど、インターネット上はもはや戦争状態だと、ラックのCTOも言っていた。いつまでも丸腰で良いわけがない。