賛否両論

死にたいなんて言ったら

生きたくても生きられなかった人に失礼だ

なんて言う人がいるけれど

人間が自分で死ぬ事はまったく簡単な事じゃない。

異常事態に陥っている人に

生きたいと思えと言うのはなんて残酷で無責任なんだろう。

本当に死なないための弱音を、なんで許してくれないんだろう。

誰も本当は死にたくない。

でも、死ぬ事で今の苦しい状況から解放されると信じて思い込む人がいる。

彼はどんなに疲れているだろう。

どんなに苦しいだろう。

どんなに孤独で、どんなに悲しいだろう。

死ぬ事は悪い事だと言い張るあなたは

彼にどんな手助けをしてやるつもりだろう。

死ぬ事は駄目な事だよと諭すだろうか。

あなたが頑張っている事はいずれ報われると励ますだろうか。

あなたが死ねばたくさんの人が悲しむと慰めるだろうか。

あなたは正しい。

正しいけれど、彼の気持ちはどうだろう。

彼はおそらく、弱い気持ちを許してほしいと思っている。

正論という暴力を振るわないで

心が折れそうになっている自分に気が付いてほしいと思っている。

人間は、人間のいかなる気持ちにも土足で上がり込むべきじゃない。

世の中の正しい事がすべて正しいと限らない。

あなたの言葉に助けられ、あなたの言葉に殺される事もある。

 

ほんの些細な事で倒れてしまう人を前にして、あなたは一体何ができるだろう。

 

 

 

 

 

 

こどもの頃撫でてくれた母親のあの手は

許容と理解だと思っています。

強くなくてもいいんだよと

弱っている自分を許してくれていました。

そうして少し元気になると

もう少し頑張れるよと励ましてくれるのです。

大人になることはつらいことです。

あのやさしい手はもうありません。

 

 

ちょっと疲れた時

心底本気ではなく

軽い気持ちで死にたいなと思うのは不謹慎なので

代わりに

「ハワイに行きたいな」

と思うようにしています。

なんとなくハワイに行けるような気がして

あ、本当に行っちゃおうかなと

ほんの少しだけ元気になれます。