飲まずにいられない

流れ流れてたどり着いた東京の片隅で現在や過去や未来ん中から幸福のカケラを拾い集めては言葉にのこしていく単純な作業の場所

切なさの琴音

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同期にもいろいろなやつがいて近頃はヤレ何ちゃら局のお偉いさんと話をしただのヤレ何ちゃら通信の取材を受けただのトラブルと闘う偉い俺サマ自慢をグループLINEに連発され食傷シャットダウンもうただ純粋で拙く幼い物語に癒されたくなりプライムビデオで青春アニメを一気に観て心をざぶざぶ水洗い。

 レモン水飲まずにいられない。櫛形に切って凍らせといたレモンと水を軽くステア。炭酸水を使いたいところだけど、最近は平日の消耗が激しくて土日にあまり外出したくないんだな。

月がきれい

拙が一気に観たアニメのタイトルは、文豪が英訳したあの言葉とストレートに掛けている。駆け引きや思わせぶりのないドストライク青春ラブ作品は3年も前に放映された。大人になってしまった少年少女に向け、わりとちょいちょい泣かせようとする仕掛けを投じてくるのが玉にキズかもしれない。

 埼玉・川越が舞台で、主人公の中学生は純文学小説家を志してる一方で地元のお囃子に所属し、太鼓を叩いたり麺をつけて舞を踊ったりもする。妄想の世界に溺れすぎず結構アクティブでいい感じ。そんな男子がいたらヒロインでなくても惚れちゃうよ。

新しい道に咲く花は

このアニメを知ったのは、同期の仲間がかつて志していた古典芸能について調べていた時だった。彼はお囃子の名取で音楽大学に進み順調にキャリアを重ねていたのだけど、手の難病を得てしまい道を断念したという。

何も予定のない休日、ふと彼のことを思い出して検索してみたら、彼のお師匠がしたためたブログ記事に行き着いた。飄々と記念写真に収まる姿は今の姿とあまり変わらないように見える。だがその後の十数年でどれほどの思いを味わい、立ち直ったのか。ささやかな才能しか持っていない者が想像を試みても、ただ陳腐だと思われるだろうな。

彼は第二の人生をとても頑張っている。信頼も得ている。見習わなくちゃな。新しい道に咲く花は珍しくもないし華やかでもないかもしれないけど、お互い大事にしていこうぜ。同輩。

ただいま。おかえり。

Windows7までで時が止まったノートPCの代わりにiPadminiとワイヤレスキーボードで極小サイズの在宅ネット環境を整え2年目のバジルと8年目のサンスベリアと2巡目の豆苗に水をやり洗濯を1回済ませセブンイレブンの台湾焼きそばを2回に分けて食べはてなダイアリーからはてなブログへの移行を粛々と済ませ残るは郵便物をひとつポストに入れるだけで本日の業務は終了メッチャのどか乾いた。

アイスコーヒーのまずにいられない。セブンのポーションタイプ、あれに豆乳を投入するとうまいんだ。 

重い重い腰を上げ、ようやく日記サイト(つまりコレ)をはてブロに引っ越しました。何年かけるんだよどんだけめんどくさがりなんだよって自分の頭にチョップ入れたい気持ちですが、とにかくとりあえず再スタートです。 

 

わたくしに起きた環境の変化について

新卒でCOBOLプログラマーとして就職し2年で辞めてワガママフリーランスになり何度も危ない橋を渡りつつも好きなことで食ってきた拙が最後に流れついた仕事が国家K務員。あれだけ自由に生きてたのに今さら究極の安定職。自分でもどうしてこうなったのかよくわからない。

心を壊し体も壊しツレを持つことを諦め何者でもないただの年増になってからも、チャンスの神様だけは拙に優しかった。

勤めていた会社の清算解散と乳がん告知を同時期にお見舞いされどうすることもできず詰んだ時、たまたま史上初の障害者一般統一採用試験(心身/身体障害者手帳を持つ者対象で年齢制限59歳まで)が行われることを教えてもらいダメ元で必死こいて勉強して受けたら11倍の門をたまたま通れた。こういうことだけは引きがメッチャ強い。メンタル豆腐のくせにちっちゃい頃からここ一番の一発勝負はほぼ優勝。

生きててごめんなさいレベルの迷惑をかけまくってた拙が晩年近くになって最大の親孝行をしたことに、結果的になった。間に合ってよかったと安心してる。でも生涯のラッキーを使い切っちゃったかしら。まだ残ってるかしら。

もし残ってるならお願いしたい。拙に猫を与えてください。 

全霊で愛せる存在を。

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豆苗の生命力こわい

 

ええい

駄文これまで。
息苦しくってしゃあねえ。違う違う、そうじゃないんだ。

限りある資源と時間を、これから派手に使うことになる。その選択に悔いが残るのがこわいのだ。

「保険適用外の検査を受ける」=抗がん剤をつかわなくて済む可能性に賭けるため
「メスが入る前に母と旅行」=親不孝だから
「術前の体躯を記録にのこす」=自分のため

この3つを1ヶ月以内にする。費用はボーナス1年分かそれ以上か。
自分で決めたことだけど、昔っからお金のつかいかたが下手くそなので自信が持てずグズグズしてます。

アンビバレンツさを持て余すばかりの人生やなあ。しゃーねえなあ「それで、いいのだ」って言ってやるよ。

時間の浪費は戻らん。金はいつか戻ってくるやもしれぬ。予約を入れよう。大丈夫、何とか暮らしていける。大阪の子も北海道の子も頑張ってる。お前も頑張れ。ひとりだけど孤独じゃないって信じてやんなきゃ人生がかわいそうだろう?

かわい子ちゃんの少しハズしたシーンでも拝んで笑う。


時間の贅沢な使いかた

有限を自覚していたら朝から晩までノープランでネット掘りやテレビただ流しをしないだろう無限だと勘違いしてればこそアホウドリは我だけのために時間を浪費しているのだこうやって。

アイス・キャラメルマキアートのまずにいられない。

窓を閉め、薄く室温を冷却して今すべきことを挙げようとしていた。成果はゼロだ。何も得ていない。昨日は、洗濯と冷蔵庫内の消費とごみ捨てと処方薬を買っただけ。今日は図書館に病の本を返却し、入院に備えるものを買いに町の西友へ向かったが、あいにくフロア縮小のため何も買えず。レコーダのHDへ入れっぱなしの平昌五輪からの撮りだめを移すディスクも手に入れず、サンドイッチと飲み物だけ買ってモサモサと食しyoutubeを興味の流れに任せ延々とながめている。

こんな無意味なことを延々と続けていても咎める人はいない。誰もいない。何をしているのだろう。何もしていない。

図書館で「障害年金」や「生活保護」の本を読んだが我にそれは当てはまらない。診断を受けてまだ2ヶ月も経たず自覚症状がなくまだ何も治療が始まっていない状態では障害年金は受けられない。生活保護も来年度に会社清算で退職金と360日の失業給付を受けられるから対象にならない。「養生の食事」を手に取ったがモチベーションは上がらず。

10年前、我がこんな立場になっているとは思いもしなかった。胸の悪い子が種を蒔かれたであろう7年前、ガムシャラに生き延びる手段を首の皮一枚残ったところで模索してた。1年前だってまだ、未来を思い描きながら頑張っていたはずだ。なのに今、闘志は残念なくらい失せている。

タラレバとナイナイづくしの文章で息が詰まりs

6月11日 「小さな冷蔵庫」

あの男はいわゆる『だめんず』に属していたのかもしれない。夜道で警棒を振るアルバイトで日銭を稼ぎ,その多くを自分の好きなことに使い果たしていた。一緒に暮らしてた彼女は,本業の合間に派遣社員をしていて,彼より少しだけ収入が多かった。ただしそれは“見かけ上のリッチ”。本業でもらえるギャラはほんのわずか。派遣の給料と合わせると,それなりの金額にはなるが,それでも彼女は家賃を払い,公共料金を負担し,ふたり+二匹の猫の食事代を賄うと月末に現金はほとんど手元に残らない。

家に帰ると,いきなり機材が増えている。ああまたか,と彼女は嘆く。彼のローンはピーク時には毎月10万ほどだっただろうか。自転車操業な生活も,夢を追う彼には“ヘ”でもない。支払いのため,彼女の持っていたわずかな金品は質に入った。彼はローン審査を通らなくなったが,彼女名義でさらに“必要な”機材を揃え,創作に励んだ。

彼女は,ふたつの仕事に加えて夜,ハイヒールを穿いて酒を給仕するアルバイトを増やした。見かけ上の収入はさらに増えたけど,新しい洋服を買う余裕は相変わらずない。彼との生活が3年を過ぎた頃には,彼女はくたくたに疲れ切っていた。

家にある冷凍冷蔵庫は,最初こそ新鮮な野菜や肉や飲み物で賑やかだったけど,いつしか彼女のあせりや疲れや諦めや悲しみで埋め尽くされていった。賞味期限切れの心が,扉を内側から押し開けてしまうほどになった頃,猫たちと冷蔵庫を置いて,彼女は町を出た。

彼女は新しい冷蔵庫を買った。小さな小さな,安温泉宿にあるような,氷のできない四角い冷蔵庫。飲み物が冷えればいい。ひとりぶんの食べ残しが保管できればいい。それぐらいの大きさが余計なもの溜め込まなくてちょうどいいと思ったから。

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やがてできた新しい彼は,冷蔵庫を持っていなかった。住まいは狭く,洗濯機を置く場所もないし,据え付けの冷蔵庫もない。だからビールがすぐにぬるくなってしまうし,食事も外食や弁当に頼らざるを得ない生活。

彼女は彼のために冷蔵庫を大きなサイズに買い換えようとした。でも,容量が増えるほどに,またああいう気持ちまでぎゅうぎゅうと詰め込んでしまうかもしれない,という不安が,それを躊躇させていた。

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ある日,彼の部屋を訪れると,小さいながらも冷凍機能のついた冷蔵庫が廊下に据えられていた。給料日に思い切って買ったよ,と嬉しそうに笑う。
彼女はなんだか無性に腹が立った。生意気。うちのより大きいじゃん。冷凍庫なんてついてる。先を越されたような,取り残されたような,孤独なような,寂しいような。たかが家電品,しかも必需品だというのに。

ビールあるんでしょ,頂戴。

ぞんざいな口調で彼女が言うと彼は,なにが面白くないんだよワカンナイナ,と,刺々しい動作で扉を開けた。中にはビールが3本。1本は,彼女がいつも飲むダイエットビール。もう1本は,彼女が好きな,ちょっと高い天然酵母白ビール。そして,彼が好きな発泡酒。つまみは,ちょっと前からふたりが気に入っている,ブルーチーズ入りのクリームスプレッド。

無言でごくごくと飲む。1缶が空になる頃にやっと,とがった唇が引っ込んだ。拭い切れない寂しさを抱えながらも,少しだけ,笑顔が戻った。

まだ完全に機嫌が直ったわけじゃない。だって,一緒に買おうと思って彼の給料日まで待っていたサンスベリアの植木まで,一人でとっとと揃えちゃってるんだもの。いつもそうなんだから…。一瞬,昔の彼との生活を思い出したけど,すぐに打ち消す。

この扉ん中には,彼の好きなものがすでにいくつも入っている。熟したアボガドやバーモントジュースとか納豆とかバナナとか。その隙間に,アタシの分のビールとチーズが,いつも用意されてたりなんかしたら最高に幸せだろうな,なんて贅沢な考えを巡らせる。

彼はこうやって,どんどん自分の荷物を増やしていくのだろう。みずからの意志で。

近いうちに自分の冷蔵庫も新しくしようと彼女は思った。そろそろそんな時期だ。そういう年頃だ。わかっているのだ。

だけど。