Liverpool x Manchester City
كل عام وأنيم بخير。
あっ
あけましておめでとうございます。
すみません。
つい私の第二言語であるモハメド・サラー語が出てしまいました。
新年早々深くお詫び申し上げكل عام وأنيم 。
ということで2018年もよろしくお願いいたします。
もうそろそろ2月に突入し、CLも再開する頃合いですが皆様どうお過ごしでしょうか。
本当は昨年ももっとブログを更新したかったのですが、原因不明の背中の痛みでちょっと更新できずにいましたが移籍期間が終了したからか治ったような気がするので、久しぶりに更新したいと思います。
Liverpool x Manchester City
今年の1本目はまずこの一戦と心に決めていました。
早速スターティングラインナップから。
Liverpool
Manchester City
リヴァプールはクライン、モレノ、ファンダイク、ヘンダーソン、スタリッジが欠場。
マンチェスターシティはメンディ、コンパニ、ジェズスが欠場。
と、互いに欠場選手を出しながらも、それなりのメンバーを出せるのが両チームの層の厚さを物語っています。
ここで試合に入る前に首位を独走するチームの紹介を。
New Cityzens
今年で2年目を迎えたペップのチーム。
初年度はボールを繋げず不安定で脆弱だったディフェンスラインを大刷新。
モナコからベンジャマン・メンディ、トッテナムからウォーカー、レアルマドリーからはダニーロを獲得し、一気にリーグトップクラスの陣容に変貌したマンチェスターシティ。
長い歴史と試行錯誤の礎を確認するために、ペップがこれまでに率いたバルセロナ、バイエルン、そして今期のマンチェスターシティを振り返りましょう。
Barcelona
・最終目的は「バイタルエリアのメッシに良いボールを届ける」
そのため、WGやSB、トップはバイタルエリアを広げる為のカカシとなる。
・守備ではロストしたボールを即時回収。
Bayern München
・主戦場はリベリ、ロッベン、コマン、ドウグラス・コスタ等のサイドを支配する
WGと大エースのレバンドフスキ。
・左右のSBはWGのパスコースを確保する為に中央へ絞る。
絞ったSBは失ったボールを奪還する為のボランチ化する。
Manchester City
・主役はデブライネとダビド・シルバ
片方のSB、主にデルフが中央に絞ることが多い。
ウォーカーが絞ったり、フェルナンジーニョが最終ラインに落ちることもある。
ハーフスペースのマンチェスターシティといったところでしょうか。
(ハーフスペースとはピッチを縦に5分割した際、外側から2番目の列)
シティ対策として中央に人数を集めるチームが多く、良い位置でボールを持てない。
サイドではゴールに遠く、中央では激しいプレッシャーに会う為に中間地点でのハーフスペースに着手したペップは、デブライネにいい状況でボールを渡すことから逆算し、チームを構築しているように思います。
個人的にはハーフスペースと言うよりも、SBーCBの間(ファン・ハールの言葉を借りるとチャンネルと言うみたいです)を攻略してるといった印象です。
そしてこの3チームに共通するのが失ったボールの即時回収。
バルサ時代はボールを失った直後のカウンター一発に沈むこと多かったが、SBを中央に絞らせるファルソラテラル(偽りのSB)でボールの保持率を更に向上させる。
マンシティではバイエルン時代のSB擬似ボランチをそのまま導入。
本来中盤であるデルフは想像以上の活躍を見せ、無敗のマンチェスターシティに貢献し、ここまでの成績は20勝2分とまさに首位を一人旅。
戦国時代と称されるプレミアリーグですが、ここまではグアルディオラのサクセスストーリーじゃねーか状態に突入したままリバプール戦を迎えます。
ペップ・グアルディオラとユルゲン・クロップの戦いはブンデスリーガ時代から既に始まっており、戦いの場をプレミアリーグに移しました。
戦争は第2章といったところです。
長くなりましたが、王者ペップと挑戦者クロップお互いの狙いにフォーカスを当てつつ試合を見ていきましょう。
*1st Half
試合開始直後から走る両チーム。
11人が連動し、センターバックまで激しい圧をかける様子は欧州コンペティションの決勝に近いものを感じました。
しばらくプレッシングは続き、次第にボールを持ち始めたのはマンチェスターシティ。
ボールを持つシティに対し、プレッシングを引き続き敢行するリバプール。
試合が動いたのはわずか10分。
クロップの戦術が完璧にアジャストした時間だった。
右から左に攻めるマンチェスターシティ
ボールを持つのはCBのオタメンディ
リヴァプールのCF、WGはペネルティエリアの幅に立ち、中央への警戒を強める。
シティは誘導されるような形でSBへと展開。
デルフに渡った瞬間、WGサラーが猛烈にアタック
それに連動した味方はボールサイドにスライド
シティは大きく蹴り出すしか選択肢がなくなり、あえなくボールロスト。
リヴァプールのSBに回収される形となった。
*クロップのプレッシング理論
リヴァプールは前線の6枚がプレッシング仕事を行っていた。
CF:アンカーを使わせないよう警戒し、サイドの限定を行う
また、アンカーはプレッシングに参加し、ロングボールにも備える。
そして違いが出るのは両WGである。
CBからSBに渡った瞬間、ボールサイドのWGは猛アタック。
また逆サイドのWGは中央へ絞り、ボールサイドの緊迫を高める。
シティのSBは相手に選ばされるように遠くへ蹴り出し、ボールの保持権を失っていきました。
ここでのポイントはWGは最初からマークするのではなく、ボールが渡ってからアタックを仕掛けるという点だ。
持つ前からプレッシャーをかけられるのと、ボールを持ってからマネ、サラーが襲いかかってくるのは保持者目線で言うと「圧」に大きな差がある。
動き、メカニズムとしてはいたってシンプルなものですが、アンフィールドでの声援を受けたリヴァプールの選手たちが行うと迫力は凄まじいものがありました。
こうして守備は狙い通りとなり形を作らせないリヴァプールと、思うように形が作れないマンチェスターシティ。
目まぐるしくボールが変わる中、ピッチを縦横無尽に走り回る20人。
ここでリヴァプールの攻撃とマンチェスターシティの守備も見ていきましょう。
左から右に攻めるリヴァプール
ボールを持つのはCBのロブレン
マンチェスターシティも果敢なプレッシング。
基本的な陣形としては4-4-2となり、前の2枚が両CBに。SH2枚がSBにそのままプレッシャーを与える形になる。
リヴァプールはここでボールを失うことを恐れ、GKカリウスに戻す。
ノープレッシャーのカリウスはシティの右サイドへ大きく蹴り出す。
競るのはCBのオタメンディ
これにアンカーとSBのデルフがアプローチをかける。
さらにプレスバックをかけた味方が連動し、前後からの挟撃→ボール奪取→高速カウンターの流れはペップシティでは1000万回と見た光景であろう。
前からプレッシングを行うことで、相手に大きく蹴らせてからカウンター攻撃に突入したいペップの想定通りの流れであろう。
が、想定の乖離が生まれるのはここからである。
ボールを持ったチェンバレンはフェルナンジーニョ、デルフの間を難なく突破。
シティはバイタルエリアを強襲され、CBは背走。
ノープレッシャーのチェンバレンは敵陣を更に前進し、右足を振り抜く。
GKエデルソンの手は届かずゴールネットを揺らす。1-0。
*進化する亜流とトランジション
フットボールの賢人が以前仰っていたのですが、フットボールには4つの局面が存在する。と。
1 自分たちがボールを保持している時
2 攻から守の切り替え時
3 守から攻の切り替え時
4 相手がボールを保持している時
こうなるわけですが、ペップのチームは共通して2の局面が強い。
次いで1が強く、3も強い。
しかし、4の局面は弱い。
それは哲学とメンバーの編成によるものですが、ペップは中盤のカードに守備で輝くような選手を置きません。
守備しかできない選手を置いてしまうと、その選手にとって不可能なプレーが発生した際に足枷となってしまい、そこでチームの限界点が決まってしまうからだと思います。
それならば、攻撃で光る選手たちを走らせ全員で守備をさせた方が、チームパフォーマンスの最高到達点が高いと考えているのではなかろうか、という感じです。
例えばアザールにトップスピードで攻撃を仕掛けられたら一溜まりもありません。
おそらくチャレンジする隙も与えられず失点することもあるでしょう。
しかし、トップスピードに乗る前。
まだボールが弾み、どちらのボールとも言えないような状況で激しいプレッシャーをかけると、あえなくボールを失う。
もしくは、ボールを失わないようにサイドに逃げるような展開、すなわちカウンターによるリスクの軽減につながることは容易に想像できると思います。
そしてそこに守備職人は必要がありません。
チーム11人が走り、4の局面の時間を減らす。
可能な限り、延々と1と2の局面を繰り返す。
これがペップが追い求める理想郷だと思います。
そして、これに影響された多くの監督が他でもないリヴァプールのクロップ。
グアルディオラの哲学を受け、その先に進んだ亜流をこの試合で披露します。
例えば、先ほどの局面。
チェンバレンが敵陣を前進し、シュートを振り抜きましたが、バカヨコやラムジーであればおそらくプレッシャーに負け、ボールを失っていたでしょう。
シルバ、エリクセンであればボールを味方に繋ぎ、遅攻に変わったと思います。
しかし、クロップが求めたのは、得点に関与できるインサイドハーフです。
クロップが突き進めた先は3の局面。
いわゆるポジティブトランジションと定義されるものです。
・自分で突破すべきもの
・周囲を使って打開すべきもの
・ボールの保持権を最優先にすべきもの
など更に細分化し、この試合に臨んだのかなと思っています。
もっと深めて言うと今節のリヴァプールのプランはセカンドボールの勝負です。
プレッシングに来たシティ前線に対し、陣形全体を間延びさせてからロングボール。
オタメンディ側の左サイドにボールを飛ばし、競り合ったボールをDFの裏に流すフリックか、そのまま競って落ちたボールを活用した擬似カウンター勝負に持ち込めるか、という点が勝負のカギですね。
狭いところで受けてターンしてみたいな点であれば、シティの中盤が圧勝するでしょうが、走って飛んでぶつかっての勝負であればリヴァプールの選手に軍配が上がります。
クロップがドルトムントのダフード、ライプツィヒのケイタ、シャルケ04のゴレツカなどを求めた理由が得点の1シーンに集約されていますね。
このシーン以外でもインサイドハーフが活躍する場面は訪れるので、そこを見てみましょう。
視点をシティ視点に戻します。
セカンドボールをチェンバレンに拾われるまでは想定内だったものの、ここで最悪な対処をしたのがSBのデルフです。
ボール保持者に強烈なプレッシャーをかけるわけでもなく、前進したチェンバレンよりも本来見るべきサラーの方向に走り出し、バイタルエリア強襲を許しています。
優先順位としては中央>>>>>>>>>>>外なので、明確な失敗です。
そしてデルフの対応に困ったのがCBオタメンディ。
チェンバレンかサラーの2択を迫られ、どっちつかずの対応で失点。
バレンシア時代のオタメンディならスライディングで勝負していたと思いますが、この局面でオタメンディに大きな非は見られません。多分。
まずは初期対応を誤ったデルフが事の発端だと思います。
バイエルンのアラバであれば、イエロー覚悟で潰していた局面だと思います。
ここで不運なのが、デルフはミスを挽回することもできずに負傷交代してしまうんですね。残念です。ピッチから出るふ。
*ハーフコートのシティとその同点弾
更に追加点を狙うリヴァプールと追いつきたいマンチェスターシティ
リヴァプールのプレッシングを解決する策は数的優位である。
しかし、シティはいつものようにボールを回すもリヴァプールの6人から相当なプレッシャーを受け、いつものパス循環に淀みが出てしまう。
1つのパスミスが即失点に繋がる相手では尚更だ。
シティが見出した道はGKエデルソンのロングフィードだった。
正確な高速フィードが発射され、中央に密集するリヴァプールは手薄なサイドから前進される。
敵陣に侵入する機会が多くなるシティと守るリヴァプール。
試合は別の局面となる。
停車するバスを破壊する今期のマンチェスターシティでよく見られる形として
① 相手の1トップ脇を使い、CBが低く降りるトップへクサビを入れる
② トップはダイレクトで落とす(ハーフスペースか、前を向いている味方)
③ ここから空いてる大外なり、コンビネーションプレーでゴールに迫る
ってやり方が散見されます。
両WGのサネとスターリングは大きく広がることで
相手SB、SHを引きつけて横幅を確保。
また、安全なパスコース役としてポジショニングをとる。
コンビネーションプレーで有機的に動けるスターリングと、爆発的な個人技で結果を出すサネ、タイプの違う2人が各サイドにいるというのは、グアルディオラらしさがありますね。
これに対し、リヴァプールはボールサイドに寄ってブロックの形成。
ハーフスペースに立つシティの選手をインサイドハーフが捕まえ、あそこのスペースを使われないよう何度も練習したんだなっていう感じですね。
さらに目立ったのは1トップへの縦パスに対し、リヴァプールのCBが積極的な迎撃守備を見せていたことですね。
縦パスに対して触らせなければ、前を向いた見方を使われることはないという見方での守備ですね。
中央を締めるリヴァプールとサイドから展開したいマンシティ。
次の二点目はどちらにでも転びそう。
強いて言うとリヴァプールのカウンターの方が先に決まりそうなシーンが多かったように見られました。
が、次のゴールは水色の戦士から生まれた。
右から左に攻めるマンシティ
ボールサイドに寄ることで対応するリヴァプール。
マンシティはここから一度下げ、左サイドのWGサネにサイドチェンジ
右SBのゴメスは1人、急いでスライド。
シンプルなボールを処理 するだけであったが、いかにも怪しい体の向きで対応した結果、落下地点を誤りサネにペナルティエリア侵入を許してしまう。
いわゆるやらかしす時って、大概マーカーとボールを同一視野に入れられずどっちつかずな対応になり最終的にこうなりますよね。
ドリブルで前進したサネに対し、カバーに入ったマティプは中央を切ってニアに誘導。
一度は抜かれたゴメスも舞い戻り、ファーの選択肢を消すように立ちふさがるも、
迷いなく放ったシュートはアウェイチームの歓声を招いた。1-1。
大外→大外からWGの個人技で得点ってバルサ時代のペップでは考えられない形での得点で同点に追いついたマンチェスターシティ。
バイエルンから持ち帰った財産は擬似ボランチだけではなかったんですね。
・サイド攻撃が主な攻撃手段
・暴力的個人技を持ち合わせるWG
・凡ミスが多い相手DF陣
という複数の条件が揃っていたので割と必然にも見えますね。
各サイドに異なるタイプを配置することで生まれた得点ですね。
対するリヴァプール、初っ端のゴメスのミスも大きく失点に関与している感がありますが、マティプ、ゴメスは「外へ限定」という部分で共通認識があったように思えます。
が、GKのカリウスは予想すらできずに失点したように見えました。
サネのシュートには文句のつけようもないのですが、この状況下で天井でもないニアのシュートをあっさりと決められてしまうGKではリヴァプールのリーグ優勝は遠いな。と思ってしまう1シーンでした。
と、ここで前半が終了。
波乱のありそうな後半に進みます。
*変化するシティと変化しないリヴァプール
左から右に攻めるマンチェスターシティ
ウォーカーが前半とは変わって、3CBのように振る舞うようになります。
右CBの位置でマネを食いつかせた上で縦パス。
マネは自分の背後をデブライネに使われてしまいます。
デブライネは遅れて飛び込むワイナルドゥムを外して、中央へ。
ボールを受けたフェルナンジーニョはようやくノープレッシャーで前を向くことができます。
ビルドアップを変えてきたシティにより、マネは守備のルールを見失ってしまいます。
従来通りサイドを見れば良いのか、ウォーカーについていくのが好ましいのか。
どっちつかずな対応を迫られるリヴァプールはプレッシングでの優位性が少しずつ見られなくなりました。
これでシティもボールを持てるようになったのですが、ビルドアップに枚数を割きすぎる余り、前線での数的不利を受け、ボールを失ってしまうシーンも見受けられました。
とはいえ、リヴァプールを自陣から追い出すことに成功したシティ。
ハーフタイムの修正から徐々にボールを握りる時間を延ばし、いつものようなハーフコート攻撃から追加点が見られると思ったのですが、今の時間から80分までは一方的な試合となりました。
左から右に攻めるマンチェスターシティ
1トップ脇のウォーカーがロングボールを選択
スターリングへ放ったロングボールはロバートソンに跳ね返されます。
ボールはデブライネとチェンバレンの元へ転がり、イーブンに。
どちらとも言えないボール争いにワイナルドゥムも参戦
前後からボールを挟みこんでボールを刈りとるリヴァプール。
ここからチェンバレンが前進。
更に前進。
スペースに出されたボールはストーンズが簡単に処理をすると思いきや、死角から現れたフィルミーノがボールを奪取。
エデルソンの手をふんわりと越えるショットはシティを追い詰める。2-1。
最前線のブラジル人はユニフォームを脱ぎ感情を爆発させた。
アンフィールドはこの日、最高の雰囲気に包まれる。
ゴールシーン、目を惹かれたのはフィルミーノの腕の使い方。
背後から綺麗に半身をボールと体に入れることでクリーンに奪取し、左手1本でストーンズを静止し、冷静なループショット。
こういう体とか手の使い方はネイマールとかもすごく上手。
ブラジル人は生まれた瞬間からこういうDNAでも流れているのでしょうか。
なおグレートブリテン人
突き放されたシティ、実は不可解な点がいくつもありました。
まずはこのシーン
問題は最後尾のウォーカーがロングボールを放ところから始まるのですが。
ペップのチームが、こんな簡単にボールを相手に明け渡してはいけません。
何を望んで、どういう結果になると思ってこれを選択したのかはウォーカーにしかわかりませんが、結果として間違いなく最悪の一手。
更に言うと、こういう長いボールを蹴る時はもっと相手をボールサイドに引き寄せてから対角線に。です。
ストレートなボールは簡単に拾われ、一瞬にしてカウンターのピンチを招きます。
またインサイドハーフのチェンバレンに数十mの前進を許しています。今度はドリブル開始からスルーパスの瞬間まで何のプレッシャーもかかっていません。
1失点目と少し似た形です。
次は、ストーンズ。
SNSで親の仇のような扱いを受けそうな失点の形であるが、ゴメスのクリアボール処理同様、ボールと抑えるべきフィルミーノが同一視野に収まってないですよね。
人間の機能上、これは見えなくて当然です。
であれば、手を使うのはどうでしょうか?
相手を押すのではなく。見れない範囲のものは手を伸ばして触覚、圧覚に頼った認識処理を行えれば、この失点に限っては防げたような気がしないでもないです。
結果論だと言ってしまえば、それまでですが。
さすがにあれくらいは処理してくれるだろって気持ちもわかりますが、あの状況で備えておけば、防げた可能性もあるだけに非常に残念です。
簡潔にまとめると
・ネガティブトランジションの消失
・安直なボールロスト
・ノーカバー、ノーチャレンジ
と、本当にペップのチームらしからぬ失点。
しかし、この1点は悪夢の始まりでしかなく、ここから10分の間にマンチェスターシティは2点を決められてしまいます。
オタメンディ、フェルナンジーニョ、エデルソンが様々な形でボールを失い様々な形で失点します。
リヴァプールのプレッシングも、マンチェスターシティのショートパスをつないでいくスタイルも、連動したプレッシングも、マンチェスターシティのDF陣が背走する姿も、何度も広大なスペースを駆け上がるリヴァプールの前線も全く変わりはなかった。
たまにデブライネが個人技での打開を試みるもゴールには至らず、スコアだけが無慈悲に動いていきます。
こうしてマンチェスターシティは4失点を喫しました。
ペップが就任してからオタメンディもデルフもフェルナンジーニョも選手として一段階上に成長した感じはありますが、良い言い方をするとまだ完成されたわけでないということですね。
悪い言い方をするとかつてのピケやラーム、ブスケッツほどの判断力、プレッシング耐性はついておらずこういう結果になってしまいました。
いくら何でもそんなには急成長はしませんよね。
勝敗は大方決したように見えましたが、ここからプレミア王者が本来の姿を見せます。
シティの2点目は83分。
敵陣でボールを持ったギュンドアンがミルナーを交わし、アグエロとコンビネーションプレーでペナルティエリア内に侵入し、シュート。
こぼれたボールをベルナルドシルバが蹴り込み、2点差に。
ハーフコート攻撃ではやはり質の高いマンチェスターシティの選手達。
ノーチャンスのような失点。簡単に飛び込んだミルナーくらいしか言うところもなくトップクラスのアタッカー達にバイタルエリアを明け渡すと、こうもシンプルに点を取られるんだと、教訓のような一連の流れでした。
Shark teamは止まらない。90分。
左から右に攻めるマンチェスターシティ。
SBウォーカーからCH-SH-CB-SBのエリアに走りながらパスを受けるサネ。
ここからCBロブレンのプレッシャーを受けながらも強引に前を向くサネ。
サネは逆サイド大外で待つアグエロに展開
アグエロはここからふんわりとしたクロスを上げる
ギュンドアンが冷静に足で流し込み3点目。
残り数分にして勝ち点の持ち出しを図るマンチェスターシティ。
試合最終盤にしてこの迫力を出せるのは流石の一言。
またも得点に大きく関与したのはWGのサネ。
個で前を向けるWGの大事さがわかりますね。
特に逆サイドのWGが仕事できなかっただけに、個を見せるサネはこの試合、圧倒的な存在感を示していました。
一方リヴァプールはらしさ全開の失点の形である。
守備8人に対し、サネ、アグエロ、ギュンドアン3人に何の抵抗もできずに決められてしまう。
特に目立ったのはロブレン。
サネにターンを許し、アグエロのクロスを空振り。
特にクロスのスピードが早かったわけでも、処理の態勢が難しいわけでも無いように見えるが、ロブレンならまあ・・・で納得できてしまうのはリヴァプールファン特有の高速処理能力であると言えるだろう。
この試合、筋の過度緊張で欠場したフェンダイクですが、「ロブレンを見なくても済む」という希望を生み出しただけでも7500万ポンドを投資した価値は大いにありそうです。
最後、勢いの止まらないマンチェスターシティにラストチャンスが訪れる。
右サイドからFKのチャンスを得る。
デブライネの高速クロスに合わせたアグエロのヘッドは、ポストの脇を過ぎていく。
ここでタイムアップ。
リーグ戦無敗のマンチェスターシティを破ったのはリヴァプールでした。
*感想
間違いなく17-18プレミアリーグにおけるベストゲームでした。
英国のナショナルダービーと言っても過言では無い一戦。
個人的には今シーズンだけでなく後世にも語り継がれるゲームだとも思っています。
ペップの高速ネガティブトランジションよりも、早く強くゴールに関われるインサイドハーフを活用したポジティブトランジションこそが最大の対抗策である。ということを全世界に見せた90分は勝ち点3以上に大きなものがあったとも思います。
このゲームは世界中のチームが拝見したと思います。
それこそCLで激突するポルト、バーゼルはもちろん、パリやバルセロナも見て対策を練ってくることでしょう。欧州のフットボールシーンを熱くさせる1戦だったのは間違いないので、ヨーロッパのビッグイヤーをかけた戦いは更に更に興味深く目を奪われるものとなりそうです。
ペップのライバルといえば以前はモウリーニョでしたが、これからの好敵手はクロップ、そしてトッテナムのポチェッティーノになると予想します。
自分の理想形はもちろん持っており、なおかつ相手を分析し、対策を具現化できる指揮官が時代の最先端であると思います。
ただ、そんなものは明日にでも変わっている可能性があるのがフットボールの面白いところですよね。
それでは今節はこの辺で
كل عام وأنيم بخير。
TSG Hoffenheim × Liverpool
お久しぶりでございます。
今朝のCLプレーオフは最高に面白い一戦でしたね。
このドイツ人戦争は更新しなければなと思い、久しぶりに頑張ろうと思います。
ブログのことを忘れていたわけではないんですけどね!!!
あと私事ですが、リトルマジシャンよろしく前職場にトランスファーリクエストを提出し、職場や生活環境変化のせいでフットボールどころではなかった。。。
というベタな言い訳を残してですね、さっそく本題に移りたいと思います。
TSG Hoffenheim × Liverpool
16-17シーズン欧州フットボールにおいて戦術スパイラルの最先端を独走していたのは、間違いなくユリアン・ナーゲルスマン率いるホッフェンハイムでした。
ヨーロッパ最大のソフトウェア企業であるSAPと経済面、研究面で手を組んでいるチームであるホッフェンハイム。
有名なエピソードとして練習場に巨大スクリーンを設営し、i Padで照射した情報を各選手リアルタイムで共有する。練習中にドローンを上空に飛ばし、ポジショニングを調整する(選手からは不評で1度で終わったらしい)など、他のチームに比べ明らかな特異性を持つチームであることは間違いない。
”心技体”の以外の要素からフットボールを圧巻するドイツ革命軍の指揮官が30歳のユリアン・ナーゲルスマンです。
対峙するのは、イギリスのリヴァプール。
数年前ボルシア・ドルトムントで”ゲーゲンプレッシング”を武器に、世界フットボール界を震撼させたユルゲン・クロップ率いるリヴァプール。
当時その影響は計り知れず同国最大のライバルであるバイエルン・ミュンヘンも採用し、Jリーグでは湘南ベルマーレ等の試合を見ると世界的な普及度、認知度は容易に見て取れる。
しかし、いまではボールロスト後のプレスはどのチームでも標準装備として実装されている。更にはロジャー・シュミットが提唱する”オールタイムプレッシング”の台頭によりゲーゲンプレッシングの特異性は希釈されたと考えるべきでしょう。
かつての革命家は何を考え、どこを見つめているのか、ユルゲン・クロップの3シーズン目が始まる。
*Starting Lineup
リヴァプールはダニエル・スターリッジ、ナサニエル・クライン、アダム・ララーナが怪我で欠場。
10番フィリペ・コウチーニョは家庭の事情で欠席。とツギハギ感の強いアウェイチームに対し、ホッフェンハイムは揃えられるベストメンバーを選出。
ただ昨季の屋台骨、CBのニクラス・ズーレ、アンカーのルディは揃ってフリーでバイエルン・ミュンヘンへと移籍。
今使える材料でどうにかする、というのも監督の大事な仕事ではあるので、そういった点も今プレーオフの注目ポイントとなる。
試合結果としてはアウェイのリヴァプールが1-2で勝利を収める。
また結果以外で注目するポイントとして、両監督ともペップ・グアルディオラのバルセロナをモチーフにそれぞれ自分のチームを昇華させた、という点。
世界の戦術ジャンキー達を唸らせるホッフェンハイムのシステムとリヴァプールのゲームプランはもちろん、その他要素にもフォーカスを当てながら行きましょう。
*プレッシングとビルドアップ
ライン・ネッカー・アレナに響き渡るCLのアンセムにより観客のボルテージは最高潮まで容易に引き上げられた。
応援の後押しを受けるホッフェンハイムが前半からボールを支配する展開となった。
ボールをポゼッションするホッフェンハイムと
プレッシングでボールを狩らんとするリヴァプール
源流の盾と矛が激突する。
右から左に攻めるホッフェンハイム
中央CB→アンカー→右CBと繋いだホッフェンハイム。
右WBに繋ぎピッチをワイドに使う。
ホッフェンハイムの右WBカデルジャベクは受けたボールをCBへダイレクトで下げる。
対するリヴァプールはセオリー通り、サイド圧縮でハメる。
縦軸はSBモレノとWGマネが前後から挟み込む。
リヴァプールファンにはお馴染みの光景である。
敵のバックパスに対し獰猛に食いついてそのままボールを奪う
もしくは苦し紛れなロングボールを蹴らせる事でボールを回収するのは、リヴァプールの黄金パターンだが、ここで問題となるのが新加入WGサラーの存在だ。
このサラーが何を招くか、見て行くと。
ホッフェンハイムはWB→CB→GK→CBフォクトまで繋ぎ、攻撃を作り直す。
CBフォクトは攻撃するサイドを変え、既に2つのパスコースを確保。
そしてフォクトが選んだパスコースは
3つめのパスコース、左WBツーバーである。
逆サイドに密集を作っていたリヴァプールのオープンスペースをドリブルで前進。
更にドリブラーにより視線を固定された右SBアーノルドの前と裏を2人がランニングし、 ホッフェンハイムの濁流がリバプールのサイドを飲み込む。
視点をリヴァプールのサラーに戻すと、プレッシング時は絞りが緩く、バックパスに対してチャレンジが不可能なポジショニングを取ってしまい、バックパスのボールに無抵抗。そしてホッフェンハイムに攻撃を作り直される。
さらに中途半端な位置を取ったため、作り直された後もパスコースを1つも遮断が出来ずWBツーバーまで繋がれる始末。
この展開に「最初からどこを守ってたんだ」「ふざけた前髪のせいか?」「前がスパレッティじゃしょうがねえか」などというリヴァプールファンの声が聞こえてきそうだが、ここにプレッシングの危険性が秘められている。
ハマり始めると敵無しのように思えるプレッシングだが、1人でも中途半端な動きを見せると途端に疎部となっている急所を晒す事となってしまうんですね。
爆発力と危険性が同居しているからこそ、不完全なプレッシングは命取りとなる。
一方では、リヴァプールのプレスを容易に搔い潜ったホッフェンハイムのボール循環も素晴らしいの1言に尽きる。
*DNAとテクノロジー
当時欧州を震撼させたペップバルサでは連続したショートパスとダイレクトプレー、 常にトライアングルを形成し、ビルドアップや崩しまで行っていた。
危険極まりないスタイルなのは間違いないが、恒久的にボールを握り続けるバルセロナのアイデンティティがカンテラまで染み渡っているから可能であったのだろう。
シャビの言う「バルサのDNA」と同意義だと思う。
幼少期から飽くなき間でのロンドを続けた上で、 完成されたものだ。
それから時は流れ、若きナーゲルスマンはテクノロジーと手を組んだ。
昨季ブンデスリーガ4位の陰に触れてみよう。
フォーメーションは3-4-2-1と表記される事が多いが、このチームではただの羅列された数字にすぎない。
まずビルドアップでは基本的に3CBとアンカー、両WBの6人、必要であればGKも参加する陣容となっておりプレスの網を搔い潜る。
前線に残る4人はフリーランニングを続け、ボールが敵陣を超えたら一気呵成に攻め入るのがホッフェンハイムなのである。
この6人のポジショニングこそがホッフェンハイムの最大の武器であり、メガクラブと渡り合える命綱となっている。
また大黒柱である中央CBのフォクト、アンカーのデミルバイは高精度の長短パスを得意としており、彼らを経由し、必ず攻撃が始まる。
さらにホッフェンハイムを語る上で、絶対に欠かせないキーワードがある。
「ダイアゴナル」だ。
右から左に攻めるホッフェンハイム
右CBから右WBに展開する。
WGマネは少し遅れながらもCBにアプローチ。
右WBに繋ぐホッフェンハイム
WGマネはCBからWBへの2度追いを敢行し、プレッシャーをかける。
が、SBモレノはさきほどの攻撃が頭に残っているのか、背後が気になるのか、ボールマンにチャレンジ出来ず、無意味なポジショニングをとってしまう。
リヴァプール、先ほどはサラーの「横軸のズレ」、いまはモレノの「縦軸のズレ」によりまたも完成度の低いプレッシングを晒してしまう。
WBカデルジャベクはここから楔を打つ。
CFワーグナーが下りる。
ここで苦しいのはリヴァプール。
中途半端なプレッシングによりボールマンにはノープレッシャーとなっており、視線もボールマンに固定されているため人を捉える事が出来ない。
下りてきたワーグナーが楔を受け。
入れ替わる形でクラマリッチがサイドの裏を爆走する。
ここで難しい決断を選ばないといけないのはCBのロブレン
・下りるワーグナーに着いて行き潰す
・抜けるクラマリッチに着いて行くか
ここでロブレンは裏のクラマリッチを選択。
CBを引きずり出したホッフェンハイムはゴール前に早いボールを入れる。
リヴァプールに間一髪クリアされてしまうが、触れば1点モノ。
自陣からの完璧なビルドアップ〜崩しだったと言える。
と、ここでもう1つ場面を戻してみよう。
まだ前半の早い時間帯だったという状況なので、すぐパスを入れたがおそらく昨季のホッフェンハイムであれば
ワーグナーが青丸のスペースに走り込み、中央のCBをサイドまで引きずり出す。
そして中央で1vs1を構成してからのパス。
もしくは先頭がDFを奥まで引っ張って、中央のグナブリーがバイタル勝負。
といったシナリオで勝負してくると思う。
と、言うように、自陣のビルドアップからフィニッシュまでの流れを紹介したが、ホッフェンハイムはパスコース、人の移動、フリーランニングのコース。
その大部分が「ダイアゴナル=斜め」 なのである。
更に言うと先ほどのプレスを剥がしたボール循環も斜めの動きが凄く取り入れられているいる。また止められはしたものの、ロブレンが与えたPKも右のSB裏スペースに斜め方向の走り込みから生まれた物である。
ホッフェンハイムは右サイドから攻める事が多かったのですが、リヴァプールはSBモレノのところを変えないと、上に上がれないよなと思う次第です(後述)
ダイアゴナルを武器にこの試合美しいボール循環を見せ続けるホッフェンハイムだが、ペップバルサとは大きく乖離している点が存在するのも事実である。
*もう1つのバルセロナ
ここでリヴァプールのゲームプランにも目を当ててみよう。
今節では、高いインテンシティのプレッシングを目にする時間帯が少なく、自陣で構える時間が多かった。そうさせられたという面もあるだろうが、自らそれを選んだ側面もあるのだろう。
リヴァプールはプレッシングをかけても外される場面が多く見られたが、おそらく想定内の事態でもあった。
右から左に攻めるホッフェンハイム。
ロングボールを跳ね返され、回収せんとする両チーム。
先に触ったのはホッフェンハイムだが、リヴァプールの選手達は既に身体の向きがボールが基準になっている。
正面のフィルミーノがアタックをかけ、ボールを後ろに下げさせる。
これに反応したのがサラー。
CBにセカンドアタックを仕掛け、ホッフェンハイムはボールロスト。
拾ったフィルミーノはスペースに展開し
こうなるんですね。
高いポゼッション率を保つ為には、それだけ複数のパスコースを作り出さなければならずボールを失った直後も迅速に回収し、冷静にボールを繋がなければならない。
「ボールを失わない」意識も勿論大事なのだけど、「失った後」の意識とリアクションが何よりも大事なのである。
具体的に言うと、アバウトなボールを連続して繋ぐ力と、ネガティブトランジションの強度と意識に欠けていたため、リヴァプールに長い距離のカウンターを許すシーンが散見されていました。
リヴァプール目線で話すと、多少自陣に押し込まれる事は想定内。
むしろアバウトなボールを拾えれば、広大なスペースを使えるロングカウンター戦術の方が都合がいいといった解釈だったと思う。
実際にカウンターからのチャンスは何度も生まれている。
次にホッフェンハイムのプレッシングとリヴァプールのビルドアップを。
ホッフェンハイムは5-3-2でプレッシングをかける
前の2枚でボールにプレッシャーをかけ、中盤の3枚で中央を使わせないようガッチリと締める。さらに中盤3枚のうち1人がアンカーのヘンダーソンを捕まえる。
そのためリヴァプールは中央は使えず、SBモレノに展開し、WGのマネに繋げるもののスローインとなる。
ホッフェンハイムはボールを外→外ルートに追い込んで中央を使わせない目論見であったが、このスローインによってホッフェンハイムの問題点が明るみになってしまう。
頭で中央のマネに向けて送り出すのだが、ホッフェンハイムの5バックは寄せない。
前を向いたマネから中央のジャン→逆サイドのSBアーノルドへと繋ぎ
こうなる訳です。
もう1つリヴァプールの先制点へと繋がった攻撃を。
左から右に攻めるリヴァプール
中央に絞ったWGマネへCBから直接縦パス。
ここで注目なのがCBのビチャーチッチ。
MFとDFのライン間に漂い、パスを受けるマネに対して、後退。
これが何を招くかと言うと
マネが中央で簡単に前を向けてしまうんですね。
マネはこのままペナルティエリア前まで前進し、FKを獲得。
18歳のアレキサンダー・アーノルドが美しい右足で1点を獲得する。
ホッフェンハイムの守備最大の問題点は5バックの消極性にある。
ああも簡単にマネに前を向かせるのは、ハッキリ言って愚の骨頂。
辛辣な海外厨であれば、「さてはナーゲルスマン、メッシとセルヒオ・ラモスの戦いの歴史を知らんな」と呆れ顔をされてしまう案件であろう。
マネが余りにも簡単に前を向けてしまう事に加え、対人のビチャーチッチとのデュエルを制しチャンスを作っていたため、リヴァプールの遅攻は「マネにボールを届けること」が最優先目標になっていた。
更に踏み込んで言うと、ここがバルセロナ(リヴァプール)とホッフェンハイムの違いなのですが、チームにおけるクラックが不在ですよね。
ホッフェンハイムはボールをアタッキングサードまで運ぶ点においては世界でも有数のチームだと思いますが、そこからがもう1つ欲しいなあという感じです。
もっともっと言うと、科学仕込みのポゼッションだけでは、頑張ってもバルサほどは繋げられるようにはならないよな。。という。
逆に言うと、だからこそ攻撃が多彩で守りにくいのは間違いないよなぁと思っていた所で、前半が終了。
ハーフタイムを挟んで、両チームはどう変わったのでしょうか。
*2nd Half
ハーフタイムを終えてどのような変化を見せるのだろうか。
先に動きを見せたのはホッフェンハイム。
左から右に攻めるホッフェンハイム
リヴァプールの攻撃を防ぎ、ゲーゲンプレスもかわしきった瞬間である。
ボールを持つのはアンカー、デミルバイ。
斜めの鋭いパスではなく、逆サイドのスペースに展開。
ここで苦しいのはリヴァプール
スペースへの展開に対し、速やかに自陣に撤退する。
密度の薄いスペースに展開したホッフェンハイム
SBモレノを引きずり出し、中央を更に薄くする。
ボールサイドの密度を高めると、もちろん逆サイドは薄くなる。
モレノを引きずり出され、さらに斜めに走り込んでくる2人を捉えきれないリヴァプール。
斜めに走り込んできた2人の青はコンビネーションプレー。
抜け出したグナブリーはミニョレのニアを抜き、ネットを揺らすもオフサイド。
鋭い斜めパスとSB裏のスペースを徹底攻略していた前半とは打って変わり、早く遠いスペースへの展開を選択する場面が増えてきた。
闇雲なボールを大きく展開するのではなく角度を付けたボールを放ち、背後に逸らしたり、中央へ折り返したりと工夫をつけた攻撃に加え、前半のようなポゼッション攻撃を織り交ぜるホッフェンハイム。
点を取りにきたナーゲルスマン。
と、ここで散々やられたマネへの対策も気になるため、後半の守備も見ていこう。
自陣でも同様に5-3-2でブロックを組むホッフェンハイム。
リヴァプールは前を向いたジャンに合わせる形で裏に走り出すマネ
うん、何にも変わってないね。
前の2枚はボールマンに対してノープレッシャーの棒立ちだし、裏の5バックは裏に抜けるマネを1度も見ずに簡単に裏取られるしで、これ5-3-2の体を為してるだけでボールも人も守れて無いじゃねーかという。笑
あっ、これハーフタイムはずっと攻撃の話してたんだな。
と察したのは私だけではないだろう。
前半は人に着く意識の強かったプレッシングを見せていたが、後半はアンカーのデミルバイをケアし始めた。
まず手を加えた理由の1つに、ホッフェンハイムは攻撃のサイドを変える際、相当な確立でデミルバイを経由する。
1度ボールサイドに寄せた状態から、サイドを変えられると一気に前進されてしまうリヴァプールはサイドチェンジを防ぐためここから潰す。
具体的に言うと、2ライン目にいる中盤の選手が前を向かせないよう常に近いプレッシャーをかける。
こうすることでビルドアップが片方のサイドチェンジだけで収束し、突破されても人が揃った状態で攻撃が受けきれる為である。
もう1つの理由としては
アンカーからボールを奪えば、ゴールまで1クッションで行けると言う至極明快な理由からくる物である。
この場面でもパスが出た瞬間、ジャンがチャレンジに行く。
ここでアンカーへのパスがズレる。
低い位置で失った際、最終ラインを守る防波堤が存在しないと
必然的に1パスでこうなってしまう。
バルセロナでいうブスケッツ、バイエルンでのアロンソに当たるこのアンカーだが昨季まではルディが担当していた。
この試合では器用富豪なデミルバイに任せていたのだが、ボールを貰う前のルックアップだとか、ハンドサインなんかが前者の2名に比べるともうちょっと感は否めず、ボールロストも少しずつ増え始める。
ロングボールとプレッシングで互いに相手の長所と短所を殴るリヴァプールとホッフェンハイム。
場面は低い位置からカウンターを始めたマネが倒され、ワイナルドゥムがクイックリスタート。
最終ラインが無防備な状態に晒される。
ここからサイドのミルナーに展開し、運もありリヴァプールは追加点。
ここでプレーが始まっているのにも関わらず、いつまでも怒っているアミリもワイナルドゥムとは対称的に写ったのですが、やはり問題はこの5バックである。
この数的優位な状況にも関わらず、ボールマンに誰もチャレンジせずズルズル下がるだけで、DFの間をパスで抜かれフリーのミルナーに繋がれ、決められてしまう。
敢えて言いますが、なんだこの童貞ディフェンスは・・・
ホッフェンハイムは攻守共にデミルバイの依存度が高いなと思った次第です。
食いつきすぎるのも良くないけども。全く行かないのも良くないです。
ここで1つ、18歳アレキサンダー・アーノルドの素晴らしいお手本を見てみましょう。
局面は右から左に攻めるホッフェンハイム
サイドからボールを受け取り、仕掛けようとする場面。
ここでアーノルドはまず一度、首を振るんですね。
そして3対2での数的優位を認識する
そして何よりも素晴らしいのが、この身体の向きなんですね。
中央、右、左サイドのどこに展開されても対応可でありスペースに動く敵とボールマンを同時に捉えながらの守備が可能
ここでサイドに展開されるも、先ほど首を振って見ていたので
ボールに対して全力でアプローチできる訳ですね。
素晴らしい対応です。
もちろん簡単に食いついて裏を取られる場面もありましたが、それでも両チームのWB、SBのオフホワイトディフェンスに比べたら良い守備をしていたと思います。
前述したようにモレノのところをこういう対応が出来る選手に変えないとリヴァプールはいつまでたっても、あそこを攻め続けられるし、カバーするロブレンは叩かれ続けるだろうなと。。。。
試合は、ミルナーのゴール後 リヴァプールらしいクソ失点 ホッフェンハイムに素晴らしいゴールを決められ、 1-2に。
更にホッフェンハイムはクソッタレなセットディフェンス セットプレーを含むロングボール攻撃でミニョレを脅かすも、ゴールネットは揺らせず1-2でリヴァプールがアウェイの地で勝利を収めます。
ペップバルサの代名詞である「ポゼッション」と「ネガティブトランジション」
その片方ずつを学びそれぞれアレンジを加えた両チームの対戦は凄く面白かったと同時に、どちらも伸びしろがすごいなという感想です。
ホッフェンハイムはCKでニアのストーン役をあの手この手で揺さぶれば簡単に3点くらい取れると思うし、リヴァプールはフィニッシュの精度を上げればもっと点が取れるチームだと思うので、グループステージには、どちらが進出しても驚きは無いです。楽しみです。
最後に、クロップの(ホッフェンハイムには)「あるエリアではボールは持たせた」発言に対するナーゲルスマンのコメントを持って締めさせていただきます。
He won't say 「Hoffenheim played so well we were shit」
「ホッフェンハイムは良かった。
俺たちはクソだった、なんてクロップが言う訳ねーだろ。」
Liverpool × Manchester United
ジャーメイン・デフォーの一閃に思いを馳せるフットボールジャンキーのみなさま、いかがお過ごしでしょうか。
日本はすっかり秋空が広がり、季節の流れを感じますが、欧州各国ではリーグ戦が開幕し、CLのグループステージは近々、第3節が行われるそうです。
私の近況としましては、ヨーロップリーグ決勝のスーパージャッジにより昏睡状態に。
しかし14リットルの砂糖水により復活を遂げ、久しぶりにブログを更新しようと決めた次第。
という訳で、このカードを。
Liverpool × Manchester United
今季1発目は英国ナショナルダービーをチョイス。
クロップ×モウリーニョの第一章です。
◇ Liverpool
(ユナイテッド戦について)
クロップ「私が生きている限り、ノーマルな試合ではない。」
夏の移籍市場ではGKにカリウス、CBにマティプ、クラヴァンのブンデスリーガ組の他にマネ、ワイナルドゥムが加入し、”指揮官の色”が出ているスカッドに。
また両インサイドハーフのララーナ、ワイナルドゥムは怪我の影響で先発から外れ、エムレジャン、コウチーニョが中盤に位置を取る並びに。
また注目のGKはロリス・カリウスを選出。
今季も開幕からアーセナル、チェルシー、レスターを撃破する一方で、昇格組のバーンリーに完敗してしまう「らしさ」を隠せないレッズ。
◆ Manchester United
(リヴァプール戦について)
モウリーニョ「特別な一戦だが、これが全てではない」
ジョゼ・モウリーニョがマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任。
それに伴いポール・ポグバ、ヘンリク・ムヒタリアン、エリック・バイリー、そしてズラタン・イブラヒモビッチを補強し、新顔を含む11人の武闘派がピッチへ。
天文学的な金額を投じ、各リーグのスター選手をマンチェスターの地に呼び込む様は、放映権バブルの象徴と言っても過言ではない。
デイビッド・モイーズ、ルイス・ファン・ハールの3年間を払拭する為、ポルトガルの戦術家はオールド・トラッフォードにかつての熱気を取り戻す。
* 1st Half
試合開始直後からプレッシングを敢行する両チーム。
試合が落ち着くまではロングボールで陣地を回復し合う様相。
次第に主導権を握ったのはマンチェスターユナイテッドだった。
ユナイテッドのプレッシングは4-4-2の3ラインを形成。
前2枚はポグバとイブラヒモビッチが担当。
片方がボールマンにプレッシャーを、もう片方が中央に絞る。
中央を封鎖、ボールをサイドに誘導し、一気に狩るといった思惑だろう。
リヴァプールは両CB間にアンカーを落とし、擬似3バックで組み立てる。
しかし、ボールの保持には成功しているものの、中央は封鎖され思うような形でボールを前進させる事が出来ない状況が続く。
組織が機能不全を起こしている時、頼りになるのは個の力。
リヴァプールのクラックと言えば、コウチーニョと新加入のマネ。
ここにボールを集めたいクロップとそれを許さないモウリーニョ。
両指揮官の狙いが交錯する。
*モウリーニョがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!
クロップは4-4-2プレッシングに対し、リヴァプール就任直後から対応策として着手しているものにSBを高い位置に押し上げ、インサイドハーフを外側斜め後ろに移動させるインサイドハーフ落としがある。
当時はジャンとミルナーが施行していた策ですが、今節はコウチーニョが担当。
ここを攻撃の起点とし、ポゼッションの安定化を計るリヴァプール。
少し話が逸れるのですが、今シーズンのコウチーニョはタスクが少し増えています。
具体的に言うと、ポゼッションの安定化と自分達のゲームを作ること。
もっと具体的に言うと、相手FWの背後を制圧すると言う事。(後述)
しかし、あのモウリーニョが見逃すも無く。
右から左に攻めるリヴァプール
ロブレン、マティプとの間にヘンダーソンを落とし、3対2の数的優位を作る。
ユナイテッドのポグバは中央のコースを切りながらロブレンに寄せ、イブラヒモビッチも中央に絞る事で中を圧縮、ボールをサイドへ誘導する。
スペースに落ちて、ここからフリーになるコウチーニョ。
それを阻む物が現れる。
前進どころかコウチーニョはボールに触る事も出来ず、GKに戻すリヴァプール。
(ラインを飛び出してコウチーニョを潰すエレーラ)
インサイドハーフ落としの何が相手にとって困難なのかと言うと
事前に予測が出来ていなかった場合、複数の選択肢を提示させられる事だと思う。
・目の前に居る為、SHが飛び出してプレッシャーをかけるべきなのか
・ステイを選択して、ラインを乱さないことを徹底するべきか
などの中からアクションを瞬時に選ぶのはとても困難な作業だが、もしその策が予想できていたとしたら、迷う事無く対処できてしまう。
モウリーニョには容易な仕事だろう。
中央を圧縮してくるようなら、サイドのマネから前進を試みる。
右から左に攻めるリヴァプール
コウチーニョ→CB→CB→SB→WGというアウトサイドからボールを進める。
マネは一度中盤に下りてから、ボールを受ける為にサイドに流れる。
ユナイテッド、ヤングは本来見るべきSBのクラインを捨て、マネをケア。
マネは斜め前に走りながらボールを受け取ろうとする
が、DFラインからSBのブリントが飛び出して対応。
プレッシンング時のブリントはマネの位置によって位置が変わる。
ワイドに位置を取ったり、中に絞ったり、低めに下りたりするマネの動きにもフレキシブルな守備を見せていた。
また、マネがビルドアップに関与する動きを見せた際は、どこまでも着いて行く訳ではなく、ヤングに受け渡す事でDFラインから離れすぎないようにしている場面も見られた。
おそらくブリントに求められたのはマネに「前を向かせない」こと。
サトミアマゾンよろしくの闘志全開でコウチーニョに向かって行くエレーラに対し、ブリントは果敢なインターセプトを狙う動き、ボールに触らせても1タッチで叩かせるようなアプローチなど状況に応じての柔軟な対応が目立った。
マンマーク的対応を促す事でコウチーニョ、マネを消す事に成功したモウリーニョ。
リヴァプールは不本意なロングボールが増え、ボールはマンチェスターユナイテッドの時間が長くなるが、守備の完成度に比べ、攻撃は稚拙そのものだった。
リヴァプールは自陣ではコンパクトな4-5ブロックを組み、待ち構えた。
ユナイテッドの基本形としてイブラヒモビッチが最前線から中盤に下りる動きを攻撃のスタートにしているのだろうが、SHのヤング、ラッシュフォードとの距離感は遠く精巧な攻撃は見せられなかった。
守備のタスクが多すぎて、攻撃は整理出来なかった。これが偽らざる本音だろう。
ただ、ヤング、ラッシュフォードの縦突破→イブラヒモビッチの形が余りにも少なかった事はモウリーニョでも予想外だったと思う。
精力的なプレッシングで出鼻を挫く事に成功したユナイテッドだが、時間の経過と共に新たな戦いが勃発する。
コウチーニョが空けたスペースを巡る戦いだ。
中盤のスペースを巡り、第2ラウンドが始まる。
*偽WGと6バックのユナイテッド
精力的なプレッシングを行っていたユナイテッドは、自陣までボールを運ばれると素直にリトリートを選択、4-4-2で守備ブロックを形成する。
これまで押されていたリヴァプールだが、あるポイントからユナイテッドを苦しめる時間が増える。
右から左に攻めるリヴァプール
ロブレンからパスを受け取るコウチーニョ。
下りるコウチーニョへプレッシャーをかけるエレーラ。
すると、ここで左WGのフィルミーノが中盤へ下りる
下りてきたフィルミーノを捕まえにかかるポグバ
ポグバから解放されたヘンダーソンはフリーになり、そのままエムレジャン→フィルミーノにボールを繋げる事に成功。
結果、フィルミーノはフリーで前を向き前進。
ユナイテッドは自陣に撤退させられてしまう。
リヴァプールが狙っていたのは、プレッシングとリトリートの移行期間。
つまり(エレーラがコウチーニョを捕まえに行っているために発生してしまう)フェライニが中央で1ボランチになっている数秒間である。
そしてリヴァプールは
フィルミーノの自在なポジショニングによって中盤を制圧する事に成功する。
モウリーニョは左SBのブリントをマネに付けている。
右SBのバレンシアもフィルミーノに付けてしまうと、最終ラインの厚みが薄れてしまうことを危惧したのか、バレンシアはスペースを埋める事に従事していた。
スペースを泳ぐフィルミーノは、リヴァプールの中盤に時間と余裕を与える。
そして今季のコウチーニョに「それ」を与えるとどうなるのか。
答えとなる1シーンを。
右から左に攻めるリヴァプール
リトリートへ移ろうとしているユナイテッド。
ユナイテッドの守備ブロック前でフリーのコウチーニョ。
縦パスの狙いはライン間に絞ったフィルミーノ。
フィルミーノに鋭い縦パスが通る
ユナイテッドのCBは一瞬遅れたタイミングで飛び出し、2列目(SH-SH)の目線がフィルミーノに固定された瞬間、バイタルエリアに走り込むコウチーニョ。
フィルミーノからパスを受け取り、バイタルエリアで前を向くコウチーニョ
前を向いたコウチーニョに加えサイドのマネ、スターリッジもゴール方向に走り込む。
この状況は最も再現性を高める必要があり、最もワクワクする状況だ。
リヴァプールにとって得点への最短距離は
より良い状況でコウチーニョにボールを渡す事である。
昨シーズンのコウチーニョは左WGで起用されていた。
ライン間でボールを受けようと試みるもボールが来ない(ボランチが縦パスを出せないので)→ワイドで受けて、カットインシュート!のパターンで攻撃を牽引していたものの、シュートに持ち込む為にDFを1枚を剥がさないといけないコウチーニョの負担が大きい。
またミドルシュートの跳ね返りは時としてカウンターのピンチを招いていた。
それを改善するため、クロップは3列目の位置までコウチーニョを下げ、走り込みながらバイタルエリアでボールを受ける仕事を増やしている。
ユナイテッドはこの位置から走り込まれると、1列目(ポグバ、イブラヒモビッチ)が着いて行かないと、構造上、コウチーニョがフリーになってしまう。
マッツァーリのワトフォードならば、おそらくイガーロ、ディーニーのどちらかを守備に走らせてる対応も可能だろうが、ユナイテッドの2人では期待も出来なそうで。
狭い位置で受けて、前向いて、剥がしてよりも、フリーの状況でスペースに飛び込む方がコウチーニョの負担もリスクも少ないだろう。
とは言え、まだまだ以前のようなWG仕事の方が多い。
中盤での自由を得たフィルミーノの存在によりプレッシングを取りやめ、リトリートに切り替えるユナイテッド。
中央圧縮気味のユナイテッドはサイドからボールを前進させられるが
モウリーニョ、意地の6バックで攻撃を跳ね返し続ける。
ユナイテッドのCBはバイリー、スモーリングとかいう悪魔超人。
90分間の存在感は凄まじい物があった。
楔のボールを潰すスピードとパワーは圧巻の一言で、14-15のオタメンディ、15-16のクリバリーに次いでブレイクしそうなアタック型CBだ。
クロスを跳ね返す、という点においては評価の高いユナイテッドの6バックだけども、攻守の均衡性と言う点で考えたら、堀之内 九一郎の言葉を借りるとクエスチョンマークである。
左から右に攻めるユナイテッド
6バックの状態から中央でボールを奪い、ポグバに預けるフェライニ。
両チームともにトランジションの質が問われるシーン。
ボールを収めるポグバ。
その瞬間、アンカーのヘンダーソンがチャレンジ。
同時にクライン、ジャンがプレスバックし
ボールを回収する。
ボールに群がるリヴァプールの選手達(※イメージ図)
SHの位置を下げすぎると、最後の跳ね返しとボールへの圧力は期待出来る物の、回収地点が低くなり選手間の距離が遠く、カウンターの厚みを失ってしまうので総合的に考えると悪手だと思うんですよね。(押し上げる距離も長くなるし)
あのポグバ、イブラヒモビッチでさえキープが困難な状況なので、リターンが見込めず守備の為の守備になってしまう。
あれだとウォーキング◯ッドプレスによってボールを回収され続けてしまいます。陣地も回復できず、延々と守り続けるだけになってしまうので、やるとしても残り5分限定とかになってしまうよなぁ。
と思っていた所で前半が終了。
*2nd Half
ロッカールームへ堂々と戻るモウリーニョと駆け足で去ったクロップ。
両者は前半の45分に何を思い何を伝えたのか、答えは後半の45分で明らかとなる。
*クロップの問いとモウリーニョの答え
先に動いたのはホームのノーマルワンだった。
前半の45分を経たクロップがモウリーニョに問いかける。
左から右に攻めるリヴァプール
前半同様、ユナイテッドは4-4-2プレッシング+エレーラはコウチーニョを捕まえる。
リヴァプールはジャンをCB間に落として数的優位を作る。
ここからが前半と違うポイント。
寄せのあまいイブラヒモビッチの脇をロブレンがドリブル
エレーラはコウチーニョを逃がして、ロブレンに寄せる。
ロブレンは食いついたエレーラのタイミングを外してコウチーニョに繋げる。
中盤で前を向くコウチーニョ
コウチーニョは素早くフィルミーノに展開し前進、サイドからクロスを上げる。
も、逆SHのヤングがクリアし事なきを得るユナイテッド。
後半のリヴァプール、1つ目の策はCBの運ぶドリブルを仕掛ける。
前半はフィルミーノを下ろす事で中央での数的有利を確保していたが、その代わり、前線では数的(WGが一人少ない)不利な状況となっていた。
しかし、運ぶドリブルを使う事で、後半はフィルミーノを前に残す事が可能に。
もちろん奪われたときのリスクは大きいのだが、そうであったとしてもリスクをかけ、リターンを取りに行くのがホームチームの使命なのである。
前から来るならドリブルで外すよ。というクロップの問い。
それに対するモウリーニョの答えは
プレッシングを取り止めた6−3ブロックである。
プレッシングに行くから剥がされてピンチになる→ならば大人数で待ち構えていた方がリスクが低い、と言ったモウリーニョの回答だろう。
もはやブロックと呼んでいいのかわからない代物だが、これはブロックなのだ。
どちらかと言うと「リスクが大好きなお前らには付き合わん!」という、もう関わりたくない系の。Twitterにおけるブロックの意味合いの方が近そうだ。
左から右に攻めるリヴァプール
ボールを持つのはCBマティプ。
スルスルッと持ち上がり、攻撃に加担し、そのまま縦パス。
右足インサイドで前を向いたエムレジャン
パスを受け取り、ダブルタッチでエリア内に侵入。
強引にシュートを放つも、デヘアのファインセーブが光った。
ユナイテッドが前から当たっても、後ろへ退いても、リスクは承知の上でCBの運ぶドリブルを仕掛けるリヴァプール。
モウリーニョはずっとずっと耐え忍ぶ。
シャルケ04から新加入したマティプは、シャルケ時代から運ぶドリブルと確かな足下の技術には凄く定評のあった選手で、クロップはドルトムント時代から目をつけていた模様(ライバルチームなので流石に難しかったとか)
また運べるCBを獲得したのはリヴァプールだけではない。
マンチェスター・シティはジョン・ストーンズ、チェルシーはダビド・ルイスを。
アーセナルはコシェルニーの持ち上がりが凄く上達しているし、トッテナムはヤン・フェルトンゲン、トビー・アルデルヴァイレルトのコンビはプレミア随一だろう。
凄く今更感があるが、プレミアリーグにドリブルの上手なCBが集まっている。
世間とは逆に、攻撃センスの光るマクネアーを放出し、バイリーを獲得したユナイテッドは良い意味で凄くユナイテッドらしさを感じますね。
攻勢を緩めないリヴァプール。
運ぶドリブルに続いて、もう2つ目の策はインサイドハーフのエリア内突撃。
前半はユナイテッドのカウンターを警戒し、インサイドハーフ(主にエムレジャン)は攻守のバランスを取るような位置取りであったが更なるリスクを冒し、勝ち点3を狙いに行くクロップ。
後半60分にはスターリッジに変わりララーナを投入。
インサイドハーフにララーナ、左WGにコウチーニョ、CFにフィルミーノが並ぶ。
敵陣での圧力を高める。
そして、クロップが狙いを定めたのは右SHのラッシュフォード。
前半からミルナーの絶え間ないスプリントに着いて行き、サイドでは単騎突破を仕掛け続けた若手選手を狙い撃ちにする。
SBミルナー、WGコウチーニョにインサイドハーフのララーナ、更に右WGのマネまで逆サイドに絞り、フィルミーノまで雪崩れ込み様子の左サイド。
コウチーニョのゴラッソ未遂もあり、アンフィールドは最高潮の雰囲気に。
しかし、瞬時に最適解を見つけ出すモウリーニョ。
疲れきったラッシュフォードに替え、キャプテンルーニーを投入する。
かつてのイングランドの至宝は残り10分の守備固めとして起用。
絶句する程のモウリーニョイズム。
6-3で自陣に引きこもり続けるユナイテッド。
カウンターらしいカウンターはほとんど無かった。
それでも個の力で攻撃を成立させていたのは強力なアタッカーがいる証拠だろう。
更にクロップはオリギ、攻撃的SBモレーノを投入するもユナイテッドのゴールネットを揺らすことは出来ず、アンソニー・テイラーの笛が鳴り試合終了。
Liverpool 0-0 Manchester United
*感想
「特別な一戦だが、これが全てではない」
試合前の発言が、この試合の全てだと思いました。
ダービーだろうが何だろうがモウリーニョにとっては足枷でしかないもので、勝ち点1を取りに行く試合というカテゴリに分類されただけで。
スポナビライブの某解説者さんも「キャリックじゃないと」「マタがいないと攻撃の創造性が」みたいなことを連呼してました。ただ、その2人を出すならば、そもそもの戦術を変える必要があるのですが、それについては一切言及が無かったのが残念。
ヤング、ラッシュフォードのようにマタが毎回SBの脇まで戻れるのかなとか、キャリックがコウチーニョに1発で剥がされるリスクなんかを考えた上での発言なのでしょうか。
ユナイテッドファン、OB、外部の声なんかは「ユナイテッドらしく行くべき」「守備的すぎる」等の批判が上がっているが、そんなものは試合に一切関係がなく、外部の声を無視し、戦術の話には耳を塞ぎ、OBの小言は鼻で笑いながらも、結果は勝ち取って行く。
相手がどれほどのリスクをかけようが、乗らないときは軽自動車でのナンパくらい誘いに乗らない男、ジョゼ・モウリーニョを招聘するというのはそういう事なんだと思った1戦でした。
再戦が楽しみです。
Liverpool × Borussia Dortmund
Liverpool × Borussia Dortmund
今日の舞台はアンフィールド。
選ばれたピッチ上の22人、「静と動」の異った性質を持つ両指揮官、熱い感情を持ち合わせる非常に似た両チームのサポーター。
奇跡、悲劇、感動、失望など数多の感情と劇的な歴史が生まれたスタジアムは今夜、どのような90分を見せてくれるだろうか。
試合前には「ヒルズボロの悲劇」で犠牲となった96人への黙祷が1分間行われ、吹き抜ける風の音さえ聞こえるほど、静かでゆるやかな時が流れていた。
嵐の夜を迎える事など、誰も知らずに。
◇Liverpool
ー この試合、失敗は許されない。
ユルゲン・クロップは試合前のプレスカンファレンスでそう発言した。
リヴァプールは4-2-3-1を選択。
前節、貴重なアウェーゴールを奪ったオリギを1トップに座らせ、2列目に3枚を並べる事で流動性に溢れる攻撃が予想されるスターティングラインナップ。
主将ヘンダーソンを欠き、ジャン、ミルナーが中盤のネジを締め、いつものバック4が後列に名を連ねるリヴァプール。
エース、スタリッジはベンチから戦況を見つめ、ここぞという時に出撃する。
4強の椅子は譲れない、英国代表リヴァプール。
本日のキープレイヤーは左SH、フィリップ・コウチーニョ。
ー 我々は2点以上を奪いに行く。
戦術家トーマス・トゥヘルは滑らかな口調で語りだす。
ドルトムントも4-2-3-1の布陣でアウェーゲームに臨む。
前節との違いは香川がトップ下に入っていること、2ボランチであること、ベンダーではなく対人守備に定評があるソクラテスを起用していること。
最低でも1点以上取らないと、敗退が決まってしまう独国の精鋭達は真紅のゴールネットに迫る。
キープレイヤーは右SHのヘンリク・ムヒタリアン。
直前にあったシャルケ04とのレヴィアダービーでは主力を温存し引き分け、厳しい批判を受けるトーマス・トゥヘルは偉大なる前任者、ユルゲン・クロップの陰影を乗り越えられるか。
決勝の地、バーゼルへの切符を巡る戦いは、静かにキックオフを迎えた。
*前半
キックオフの笛と同時に、インテンシティの高いプレッシングを行う両チーム。
譲らない気持ちが互いに見て取れるほど強度の高いものであった。
少しゲームが落ち着き、ボールを大事にし始めたのはリヴァプール。
1st leg同様にホームチームが主導権を握る展開に。
ポゼッションするリヴァプール、カウンターを狙うドルトムントといった構図となるように思えたが、僅か4分と少しで別の図に変わってしまう。
*早すぎた先制点
右から左に攻めるリヴァプール。
ボールを拾ったムヒタリアンは、そのままドリブルで駆け上がる。
ボランチのジャンが右サイドのムヒタリアンに食いつき、ムヒタリアンは中央の香川に展開。
香川は右サイドのカストロに斜めパス。
カストロは巧みな1トラップを加えることでサコーの視野、身体の向きをボールに固定させ、サコーの裏を抜けるオーバメヤンへふわりと浮かせたパスを選択。
1度、ミニョレがシュートを弾くもムヒタリアンが押し込み、ドルトムントが先制。
0−1。
待望のアウェイゴールにボルシアから駆けつけた3000人の黄色い壁が揺れる。
この試合最初の得点シーンとなったが、取り上げるべき点として
1.ボランチ間の距離の広さ
2.エムレ・ジャンの軽率な判断
この2点。
1(ボランチ間の距離の広さ)について
この日、2ボランチで組んだミルナーとジャンのコンビだが、1枚目でわかるようミルナーの位置がかなり高い。1トップのオリギとほとんど同じである事がわかる。
3列目の選手が敵陣の高い位置まで上がる事で、厚みのある攻撃をしたい!という理論はわかるが、それならば大前提として最後はシュートで終わるような最後まで攻めきる攻撃力が無ければ、簡単にバイタルエリアを提供するだけの人間回天桜花フットボールそのものである。
もっとも、バイタルエリアを空け渡す事が無く、相手の攻撃を遅らせる有能ボランチがいるならばミルナーのプレスバックも間に合うので、話は全く別なのですが。
2(エムレ・ジャンの軽率な判断)について
サイドを前進するムヒタリアンに対し簡単に寄せに行き、ゾルディック家の庭ほどに広大なバイタルエリアをアッサリと明け渡したエムレジャン。
守る優先順位としてはバイタルエリア>>>>サイドなので、あれは絶対にやってはいけない行為です。禁忌です。
ここではボールを奪われた瞬間に首を振って後ろを確認、数的優位ならばチャレンジで数的同数ならばステイという判断が最も望ましいので、「サイドでのドリブル前進はある程度許容し、CBへカバーの指示を出しつつ、バイタルエリアを埋め、味方のプレスバックを待つ」が正解だと思います。
*トーマス・トゥヘルのマニフェスト
待ち望んだ先制点に脚色が良くなるドルトムント。
いまだ試合に入れず浮き足立つリヴァプール。
対称的に進む試合に、新たな動きが生まれる。
左から右に攻めるリヴァプール。
ミルナーはフィルミーノの足下へ預けて、リターンを貰うためサイドへ走る。
パスをコントロールするフィルミーノ
しかし、フンメルス、ヴァイグル、ロイスに囲い込まれボールを失う。
ボールはロイスの元へ転がり、ロイスはドリブルで前進。
すかさずリヴァプールも囲い込む
ものの、加速するロイスを全く捕まえられず
ロイスは3人を交わし,更に前進。
バイタルエリアのジャンが迎撃に向かう。
全力で潰しに行くジャン
ロイスはジャンのタックルを食らう1テンポ前にラストパス。
サコーの裏へ抜け出したオーバメヤン。
滑りながら放ったシュートはGKミニョレの顔の脇を通過、ニアの天井に突き刺さり、ドルトムントサポーターが歓喜の渦となる2点目がカウントされる。
0−2。
「2点以上を奪いに行く」
僅か8分で試合前の公約を成立させたトゥヘルの拳には固い覚悟が感じられた。
リヴァプール、ここで良くなかったのがサコーのポジショニング。
この局面ではもっとCB間の距離を縮める
あるいは裏へ抜けるオーバメヤンに着いて行く事が出来ていたなら防げた局面だと思いますが、中途半端な対応を呈し、あろう事かCB間にラストパスを通され失点してしまった。
*特別なアンフィールド
オーバメヤンがスーパーゴールを決めたその瞬間から延長の可能性が無くなり、リヴァプールが次のラウンドへ進むには逆転、すなわち3点が必要となる。
苦い顔のクロップ、渾身のガッツポーズを繰り出すトゥヘル。
遠くを見つめ、大きく息を吐くコウチーニョ、遠方から駆けつけたファンへ前方宙返りのゴールセレブレーションを見せるオーバメヤン。
開始8分で2失点の状況、追加点を機に更に活気づく黄色い戦士達を前にピッチ上は早くも敗戦濃厚といった空気が流れる。
実に対称的な両チームを映し出す現地カメラだったが、不変な景色もあった。
あの空間には、おそらく世界で1番諦めの悪い集団がいた。
たかが2失点など、どこ吹く風。
失点した直後に『Fields Of Anfield Road』を歌いだすリヴァプールファンだけは、逆転を疑う事無く「あの日」のように歌い続けた。
「我々は変わらなければならない。Doubter(疑う者)からBeliever(信じる者)へ。」
「ドルトムント戦はマンチェスター・ユナイテッド戦以上の雰囲気にしてほしい。」
いずれもユルゲン・クロップの要求だが、40000人以上のBelieverはそれに応え、 ドルトムントの手中に収まりかけていたアンフィールドの空気が変わる。
リヴァプールの選手達は、水際の際の際まで追い込まれた事により息を吹き返す。
*教え子達と68メートル
2点を追いかける展開となり、ボールを保持する時間が長くなるリヴァプール。
ドルトムントはプレッシングを取りやめ、自陣に守備ブロックを構築する。
リヴァプールは2ボランチのジャン、ミルナーのどちらか1人を最終ラインに落とし、3対2の数的優位を作ることで、前を向いたフリーの選手を作る。
またその時、CB間に入るパターンと右SBクラインが上がった裏のスペース(後述)にポジショニングすることが多かった。
従ってリヴァプールの攻撃は右サイドからの始まる事が多く見られた。
その後ろに2列目が4人、3列目に4人が並び3ラインを形成するもの。
この日、ドルトムントの守備は規律的と呼ぶにはほど遠いものであった。
まず最初の守備の1列目(香川、オーバメヤン)の脇でボールを持たれた際の対応への再現性は低かった。
例えばどちらもボールに寄せたり、どちらもボールに寄せなかったり、位置を下げスペースを埋めたり、CBを放置し中央のパスコースを切る等対応は様々であったが、機能しているとはとても言えず、試合の主導権はリヴァプールが握る運びとなり、ユルゲン・クロップは3つの策でドルトムントの攻略に挑んでいた。
右から左に攻めるリヴァプール
サコーからパスを受け、CB間に下りたミルナー
前を向いたミルナーは高い位置を取るSBクラインへ展開
長いボールを収めるクライン
ここで難しい選択を迫られたのはドルトムントの左SB、シュメルツァー
ボールを持つクラインへ寄せると、マークすべきララーナが空き
ララーナをチェックするとクラインに前進される。
シュメルツァーはどちらにも寄せないステイを選択。
クラインからララーナに斜めのクサビが入る
流れるような2タッチでララーナは裏に抜けるオリギにパス。
抜け出したオリギに着いて行くCBのソクラテス。
抜け出したオリギはシュートを放つも、ソクラテスがシュートブロック。
SBのクラインを上げ、右サイドのユニットで有機的な崩しを見せるリヴァプール。
それに対し、”ボールサイドへ絞る”ことで対応するドルトムント。
ピッチの横幅は68メートル、それを4人で覆うのは不可能。
だが、片側だけ(34メートル)4人で守るのは可能だからピッチの半分まで絞って人口密度をあげることで守るといったトゥヘルの守備プランである。
なので、さっきの局面も
こうなるんですね。
右SBのピスチェクが中央まで絞ることで一方のサイドで数的優位を作り出し、リヴァプールのコンビネーションプレーに対応が出来ると言う訳です。
1st legでは左SBシュメルツァーの絞りの甘さを利用し、ジグナル・イドゥナ・パルクを湧かせたクロップ。
(1st legのおさらい)
*2色の34メートル
ユルゲン・クロップ、この日は「どうやって崩して行くのか」
その答えはわずか1分後に明らかになる。
右から左に攻めるリヴァプール
右サイドの深い位置で前を向いたミルナー
パスを受けるララーナは事前に首を振って背後を見る事で(スペースの有無、オリギが抜け出しているか、ドルトムントのDFラインの高さ)を確認する。
ドルトムントは左のSB、SHを中央まで絞り対応。
ミルナーからララーナへ斜め方向の縦パスが入る。
ララーナは淀みの無い2タッチでSB裏のスペースに流れるオリギに展開。
ララーナからオリギへボールが移る
前を向いたオリギはフィルミーノにパスを出そうと試みる。
ここで上手かったのがフィルミーノのニア斜めに入る動きである。
ニアに入ってシュートに持ち込む為のランニングだと思うが、結果的にCBソクラテスとSBピスチェクの2人を釣る動きとなる。
左サイドからSBのモレノが猛然と駆け上がる。
オリギはクロスを上げる
大外のスペースを傍受し、フリーでボレーシュートを放つモレノ。
(なお、シュートは大気圏)
SBのピスチェク、SHのムヒタリアンが中央まで絞りきる事でボールサイドは意図的な密集を作り出す事が出来る一方、ボールの無いサイドは必然的に無人となる。
1分前に右サイドで完結する攻撃を見せていただけに、一気に逆サイドへ展開されるとドルトムントの守備対応も困難を極める。
1st legではシュメルツァーの絞りの甘さに着手し、アウェーのゴールネットを揺らしたが2nd legではピスチェクの正確な絞りを逆手に取ることで得点を狙う。
ドルトムントを知り尽くした男は、いくつもの手段でドルトムントを苦しめる。
そしてこの日、狙われたのはピスチェクだけではない。
右から左に攻めるリヴァプール
ボールを持って前を向くジャン
ロイスはサイドで起点になれるクラインへの経路を遮断。
ジャンは空いたララーナに縦パスを入れる
ファーストタッチで前を向くララーナ
背後を取られたロイス。
縦パスが入った瞬間に潰しに出たい両CBも、背後のオリギの裏抜けが気になるので、当たりに行けずズルズルと最終ラインを下げる。
ララーナはクラインにパス
クラインはダイレクトでサイドチェンジ。
ピッチの半分まで絞るドルトムントは急いで逆サイドにスライド。
サイドチェンジを受け取るモレノ
左SBピスチェク、左SHムヒタリアンはボールマンへ寄せる。
左45度でコウチーニョがフリーに。
しかし、モレノはクロスを選択してしまう。
またも右サイドを攻略し、ゴールに迫るリヴァプール。
そしてこの試合、クロップが狙いを定めたのはマルコ・ロイス。
*マルコ・ロイスの位置取り
基本的に右サイドから始まるリヴァプールの攻撃。
最初の標的となったのは左SHのロイス。
ララーナはCB-SB-SH-CHのボックス内にポジショニング。
クラインはワイドに張る事で横幅とパスコースを作る。
リヴァプールはロイスの位置取りを基準として攻撃を始める。
一方、ドルトムントは1列目が機能していないので、2トップ脇で簡単に前を向かれてしまう。
ロイスはクラインを切るとララーナに間受けされ、ララーナへのコースを閉じるとクラインから攻撃を展開されてしまう最悪の2択を迫られる。
CBフンメルスやSBシュメルツァーが潰しに行ければいいのだけど、フィルミーノやオリギが背後を狙い続けるため、行くに行けないというメカニズム。
これはロイスの位置取りが悪いというよりもトゥヘルが悪いです。
そもそも2トップの脇であんなに簡単に前に向かれると話にならないです。
アトレティコマドリーとかだとボールサイドのSHが前に出てきて3対3+守備ブロックのスライドで超圧縮し、ボールにプレッシャーを与え続けるのですが、今節のドルトムントにその姿勢は欠片もありませんでした。
カウンターの設計に時間を費やしすぎたのでしょう。。。
そしてクロップのドルトムント攻略、3つ目の策が現れる。
*3つ目の落とし穴
右から左に攻めるリヴァプール
ドルトムントはボールサイドに守備ブロック全体を寄せる。
サイドチェンジを受け取るモレノ
左から右へスライドするドルトムント
コウチーニョは左SH-左CH間にポジショニング
更にコウチーニョは右CH-右SHにポジショニングするフィルミーノへパス。
フィルミーノからリターンを受け、バイタルエリアで前を向くコウチーニョ
低く抑えたシュートを放つもCBに当たってCKに。
前半最大のチャンスを迎えたリヴァプール。
2nd leg、クロップが狙った3つ目の穴は緩慢な横スライドである。
ドルトムントがサイドチェンジによる横の揺さぶりに弱く、選手同士の横距離が遠い事に着目したクロップは、ロイスのいる右サイドから攻撃を始め、コウチーニョのいる左サイドで攻撃を終える計画を立ててきた。
いまのリヴァプールは「大正義コウチーニョにどれだけ良い状態で良いボールが渡せるか」が全てなのである。
ここではコウチーニョが王様であり、コウチーニョこそが法律なのである。
それならばコウチーニョのいる左サイドから攻撃を始めた方がいいのでは?
と思うリヴァプールファンもたくさんいるだろうが、そう簡単にはいかないのである。
右から左に攻めるリヴァプール
CB-SB-SH-CHのボックス内でボールを待つコウチーニョ
サコーはモレノにパス
パスを受け取るモレノ
ここで巧みだったのは、縦パスを消しながら寄せるムヒタリアン。
まず中を使わせない事を最優先とし、ボールをSBに誘導、コウチーニョのコースを切りつつモレノに寄せる事でバックパスを出させる事が出来るのがムヒタリアンで、中か外かを切るかで終止迷っているロイスと大きく異なる点ですね。
挟み込まれそうなモレノがサコーに戻し、ボールはジャンへ繋がる
ここが勝負所。
コウチーニョが両手を下げ、バックステップを踏み、首を振って後ろを確認している。
ここはビシっとヴァイグルーカストロの門に縦パスを通して、コウチーニョの間受け炸裂と行きたいリヴァプールだが
お、おう・・・(落胆)
いや、決して悪い選択とは思いませんよ?
ドルトムントの最終ラインも高めだったので狙いそのものは良いと思います。
ですが、コウチーニョへの縦パスを通せない選手が、モレノへの長いパスを通せるかっていうと可能性は低いと思うんです。
さらにこういった長いパスも、中を食い荒らして相手を中央に圧縮させてから出した方が効果も高まる上、難易度も下がるので、やはりここは中のコウチーニョを選択したいシーンでした。
リヴァプールが左サイドから攻撃が始められなかったのはムヒタリアンの賢明な位置取りと展開力の低いリヴァプールのボランチが原因です。またミルナーが右サイドの底にばかり流れてたのは、右利きで縦パス、角度を付けた斜めのパスが出しやすかったからだと思います。
右利きが左サイドに流れると敵に対してボールを常に晒してしまう状態となるので、ミルナーを流さず、左利きのサコーを固定していた理由でもあるのです。
リヴァプールの中心はコウチーニョ。間違いなくコウチーニョです。
もう2億回はツイートしたと思うのですが、リヴァプールはコウチーニョを最大限に生かす為に、左利きの縦パス製造機を獲得するべきだと思うのです。
獲得の噂に上がってるボルシア・メンヘングラードバッハのグラニト・ジャカだとか
スカウトを送ったとされるビジャレアルのブルーノ・ソリアーノが来た暁には、スカウトに敬意を表してブルーノと同じ髪型にしましょう。
幾つかのチャンスを作るも決められないリヴァプール。
追いつめられるも45分を耐えきったドルトムント。
スコアは0−2のまま、前半が終わる。
*後半
4万人超の『You'll Never Walk Alone』 がアンフィールドに響き渡る中、後半が始まる。
両チームとも選手の交代は無し。
また、最初に動いたのは勝っているドルトムントの方だった。
自陣で4−4−2のブロックを組み、低い位置からカウンターを狙う姿勢を見せていた前半のドルトムントだったが、このままだと失点も時間の問題と考えたトゥヘルはシステムを変更。
香川とポジションを変えたロイスがオーバメヤンと共に前線の2枚に。
再び敵陣深くまでプレッシングを敢行するよう変更されていた。
おそらく2点を守るよりも3点目を穫りに行くという意味合いでの采配だろう。
トゥヘルが切った舵は勝利の島へたどり着けるか。
*解禁されたプレッシングとリヴァプールの先制点
左から右に攻めるリヴァプール
ジャンに対し、出足の速いチャレンジを行ったのが香川。
後方が続いて押し上げて行きたい局面だが
ここで香川のチャレンジに対するカバーリングが効いてないドルトムント。
ロングボール後なので陣形を整えておくべき局面ですが、それが出来ず命取りに。
(ロイスの所がバカンブや岡崎ならプレスバックで対応できていそうな気も。)
ポンポンと繋ぐリヴァプール
フンメルスはヨーイドンで蹴り出されたボールに追いつけず
スピードを落とす事なく6本のダイレクトパスを繋いだリヴァプール。
裏に抜け出したオリギがトゥーキックでシュートを沈め、1点を返す事に成功。
1−2。
それでもあと2点が必要な苦しい状況ですが、逆転したかのようなお祭り騒ぎのリヴァプールファン。声援に応え、スタンドに向けガッツポーズを放つクロップ。
ピッチ上の11人を後押しするアンフィールドの雰囲気はさらに高まる。
プレッシングを解禁した事で、後方にスペースが生まれてしまったドルトムント。
相手のスピードを全く緩める事が出来ず、失点。
あとは守るだけで突破出来るはずですが、1失点した事で萎縮。
普段見ないような凡ミスを連発、試合のペースは完全にリヴァプール。
が、あのドルトムントがこれで終わるはずも無く。
*Game over. 1-3. Reus
右から左に攻めるドルトムント
最前線のオリギがそのままフンメルスに着いて行く
フィルミーノとララーナで挟み込みたいリヴァプール
が、ララーナはヴァイグルに、フィルミーノはシュメルツァーに着く意識が高すぎるあまり、肝心の中央を空けてしまう
オリギがフンメルスに追いつき右足の前に立つ事に成功
それでもフンメルスは左足で質の高いラストパスを出し、クラインの視野外から斜めに走り込むロイスがサイドネットに丁寧に送り込む。
1−3。
三度目の大歓声を上げるドルトムントのサポーター。
得点したロイスは両耳に手を当て、更なる声援を求める。
ゾーン殺しの代名詞、WGの大外カットインですが、SBは視野の外から来られるので対応はほぼ不可能になります。
ここで大事なのが隣のCBのポジショニング。
この局面、右CBのロブレンも香川に着く意識が強く、高い位置を取ってしまっているのでロイスに着いて行く事が出来ず失点。
理想的なことを言えば
こうできていたら、少しは防げた可能性もありそうです。
3点目、フンメルスのチート性能はちょっと度が過ぎてます。
CBがあそこまで運んで逆脚であの精度のパスを出そうものなら、それはもう笑うしか無いです。
あれがシュクル◯ル、スモー◯ングだとかガリー・ケーヒ◯みたいなプレミアリーグにいがちな空軍兵と同じポジションだって言うんで、モウリーニョ的に言うと「nothing to say」です。
とはいえ、ララーナとフィルミーノがちょっと信じられないレベルのミスだったので、あそこで勝負があったのかなという感じです。
というかロイスがあの形に持って行けば、ほぼ間違いなく決めます。
あれはロッベンのカットインシュートみたいなもので、1人くらいならお構い無しでサイドネットに流し込まれますので、この状況を作られた時点でチェックメイトです。
余談ですがロイスがシュートを決めた際にリヴァプールの地元紙「Livepoor Echo」の記者、ジェームズ・ピアースが「Game Over Reus」とツイートし、プチ炎上する珍事が発生wwwwwwwwwwwwwwwww
(なおその後、俺じゃない!!ハッキングされたんだ!!とツイートww)
*コウチーニ王の1秒
スコアを1-3にされ、動くクロップ。
フィルミーノ、ララーナを下げ、スタリッジとジョーアレンを投入。
それに伴い、布陣も4-4-2のダイヤモンドに変更。
クロップが振った賽の目は10分後に答えを見せる。
左から右に攻めるリヴァプール
ボールホルダーはモレノ。
インサイドハーフのアレンがワイドに張る事で、モレノとポジションをチェンジする
カストロがサイドにスライドし、香川も絞ってコウチーニョへの門を閉じようと試みるもムヒタリアンの絞る意識に比べるとやや甘いもので、コウチーニョへのパスを通されてしまう。
と、その前にコウチーニョにパスが通る数秒前を。
2秒前、パスを受ける前の動き。
一度SB-CB間に切れる動きをいれるコウチーニョ
これが何を意味するかと言うと
ほんのわずか、数10センチですがSBピスチェクを後退させることで、自身の使えるスペースを生み出しているんですね。
小さな動きですが、これが大きな差に繋がります。
1秒前、首を振って後ろを確認するコウチーニョ
パスを受ける前のコウチーニョは3つの事を確認する。
・SB-CB間にスペースがあること
・そのスペースにミルナーが斜めに走り込んでいること
・ロイスの横スライドがユルいこと
最後に王はパスを受ける直前に身体を開き、左足インサイドで受けて前を向く。
通常だとボールを受ける→コントロールする→前を向くという3つの過程を、コウチーニョは1つの過程にまとめる。
なおかつこれを高速に行う事で、少しでも早くボールに触れるんです。
また事前に首を振っておく事で、ボールを貰ってから次の選択肢を考える時間の短縮が出来る。ボールを持ってから早くする事は大前提として、ボールを貰った段階で次の展開に移れるようにしておく事前動作の質を高める。これが王たる所以です。
SB-CB間に走るミルナーに当て、リターンをもらうコウチーニョ
(フットサルでいうピヴォ当て→リターンの形ですね)
シュートブロックに飛び込んだフンメルスを1ステップでかわし、GKヴァイデンフェラーの手前でバウンドする速いシュートを突き刺し、2−3。
65:36秒にボールを受け、39秒にはシュートを決める約3秒間の超早業ですが、実際にボールに触れているのはおそらく1秒にも満たないでしょう。
それでも試合を動かしてしまうコウチーニョは格が違う。
こういうのを見てしまうと、なおさら縦パス出せるボランチ取ってこいよ欲が湧きますね。
バイタルエリアのド真ん中を使われて失点してしまったドルトムント。
CBはCFを見ないと行けないので、シュートブロックに行くタイミングが本当にシビアなのです。簡単に食いついたらラストパスに切り替える技術を持ち合わせているコウチーニョなので余計に難しいです。
こういうときは得てして逆SH(ロイス)の中絞りが重要だったりするのですが
ロイス先輩、ソックス直してる場合じゃないっす!!! !!!!!!
いやぁ、これだからイケメンは罪です。
ソックスを直す姿さえ優雅に写りますな。
そもそもロイスに細かい絞りとかを注文する方が野暮と言うもの。
この日も1ゴール1アシストの大活躍で収支はプラス。文句は言えないです。
しかし、同じ1秒でもコウチーニョの凝縮された1秒とロイスのソックスを直す1秒は余りに対称的に見えますね。
*退く香川とトゥヘルの采配
試合は残り25分で2−3、息の上がる展開に。
あくまで平静を保ち、このまま試合をクローズしたいドルトムントイレブン。
彼らに焦りをもたらしたのは他でもないリヴァプールファンだった。
その象徴的なシーンがこれで
シュメルツァーからの何でも無いパスを名手ロイスがコントロールミス。
メッシでもするような単純なミスですが、これに対し半狂乱のリヴァプールファンは大騒ぎ。
間違いなく試合が動く。
そう確信した5分後、狂乱は更に加速します。
3-3となる得点はCKから入るのですが、まずは前半にあったCKを。
1st legから継続してドルトムントのCK守備はマンツーマン。
人が人に着き、ニアに来たボールは香川が跳ね返す。
リヴァプールはショートコーナーを使うのが精々な物で、愚直に放り込んでは黄色い壁にボールを跳ね返されていました。
特にニアの香川、1人で5本も跳ね返してたみたいです。
それほどに質の低いCKを繰り返していたリヴァプール。
そんなリヴァプールがCKから得点を奪うのですが、ここでポイントとなったのが
15番のスタリッジとCBロブレンの2名。
そして香川の交代劇でした。
*責を問われるトゥヘルの策
リヴァプールのCKが数本続き、トゥヘルは続いているセットプレーの途中にも関わらず香川を交代、高さのあるギンターを投入。
ニアに来たボールを跳ね返し続けていた香川を下げた次のプレーで、ボールがニアを通過しドルトムントは失点。
これが試合後に物議を醸し出しました。
通常、セットプレーの前に選手交代を行うのは御法度とされているからですね。
「香川がいればあのボールも跳ね返していたから失点していなかった」
こういった論調でトゥヘルが激しく非難されていました。
吉原並の炎上を覚悟した上で書きますが、個人的には思うのが
「香川が交代した事とドルトムントが失点した事の因果関係は著しく低い」です。
これが香川が交代する直前のCKなのですが
ポストに立つカストロと香川の2人がニアのボールを跳ね返してます。
ここも香川がクリアしたボールを、リヴァプールが拾って再びCKに。
ここで香川とギンターが交代するのですが
香川の交替後、ニアの跳ね返し役が1人増えた3人になってます。
ニアへのボールが多いリヴァプールCKに対し、1人増やした3人で対応。
更に香川よりもフィジカルに富み、空中戦に強いギンターを置くトゥヘル。
ニアへのボールを警戒した上での香川の交代で、この整合性は非常に高いと思います。
視点をリヴァプールに移します。
ニアへのクロスを放り続けるも全く通らないリヴァプール
3点目はニアを通して決めるのですが、違いを作ったのはスタリッジ。
キッカーのミルナーが準備したのを確認し、スタリッジはフラッグ方向へ走り込む。
ミルナーが蹴ったボールはライナー性の低くて早いバウンドのクロス。
ここでスタリッジ、つま先でほんのわずかに軌道を変えるフリックパスを選択。
ボールはマーカーのヴァイグル、ニアのボールを跳ね返すムヒタリアン、ギンター、カストロの眼前を通り過ぎて行く。
次はこのボールに合わせる側に視点を。
ドルトムントはマンツーマンで人が人に着く。
ここではロブレンにはソクラテスが、サコーにはシュメルツァーがマークしている。
ロブレンはサコーをフリーにする2対2のスクリーンプレーを敢行。
クロスに合わせる為、ニアに走るサコーに着いて行くシュメルツァー。
ロブレンはシュメルツァーをスクリーン(壁)し、走行を阻む。
キレイにロブレンの右肩に引っかかるシュメルツァー。
ユタ・ジャズ時代のデロン・ウィリアムスとカルロス・ブーザーを彷彿とさせるスクリーンで、サコーがフリーになり、スクリーナー(壁役)のロブレンにシュメルツァーとソクラテスの2人がマークしている状態となります。
ここで難しい対応を迫られたのはロブレンのマークであるソクラテス。
理想的なのはシュメルツァーとお互いのマークを入れ替えるスイッチ。
ニアのサコーにはソクラテスがマークし、ロブレンはシュメルツァーに着いてもらうというマークの受け渡しですね。
あとはシュメルツァーがロブレンの肩に引っ掛けられる前に、ソクラテスがシュメルツァーに指示を出して、マークを受け渡さず、シュメルツァーがそのまま着いて行くファイトオーバーなんていう方法もあるのですが、これは一瞬での判断が難しいし、疲れるのでオススメしないです。
もっと話を深めると、壁役のロブレンの足が1歩でも動いた時点でリヴァプール側のファウルが取られてしまうので、シュメルツァーは上手い事ロブレンにぶつかってオフェンスファウルでマイボールにするって手段もありますが、これは審判が肉眼で判断するのはほぼ不可能なのでもっとオススメしません。
ということで、ソクラテスに問われたのは
スイッチしてニアに走るサコーに着いて行くという判断。
ですがソクラテス、1番やってはいけない何もしないを選択。
致命的とも言える距離がシュメルツァーとサコーの間に空いてしまい、スタリッジのフリックにサコーが頭で合わせ同点、3−3。
ファンから多大な人気を誇るサコーが決め、残り15分を残しての同点弾というシチュエーションにリヴァプールのスタンドは大歓声。
沸き上がるサコーコールと発煙筒の煙が上がり、混沌の渦と化すアンフィールド。
再び香川の話に戻りますが、トゥヘルとしては
「セットプレーの最中に香川を交代させる」というリスクを侵して
「ニアへの跳ね返し要因を増やす」というリターンを得た訳です。
更にギンターはフリック役のスタリッジを直接マークする訳でもないので、失点の直接的な原因に扱われるべきではないと思うのです。
「ギンターでは無理だけど、香川であればニアのボールを跳ね返せた」
「香川であればサコーのヘッドを止められた」
という理論を導くのは余りに難しいもので、そもそもあの失点はリヴァプールを手放しで誉め称えるしかないくらい完璧なスクリーンプレーです。
スタリッジのフリックも2対2のスクリーンプレーも本当に教科書に載せたいぐらいレベルの高いマンツーマン崩しのサインプレーだと思います。
と言う事で「香川が居ても居なくても失点していた」という結論に帰結しました。。
*This is Anfield
同点に追いつかれ、明らかに平常心を失うドルトムント。
76分を経過し、この試合では初めて追い込まれる立場となった 。
試合を落ち着かせるためトゥヘルはロイスとカストロを下げ、ギュンドアンとアドリアンラモスを投入。
クロップは負傷したエムレジャンを下げてルーカスを入れる。
両指揮官は3枚のカードを使い切った後も、テクニカルエリアを飛び出し、賢明に伸ばした両手のジェスチャーで指示を飛ばす。
こういった大舞台では声による指示はまず通らないので、腕や身体の動きで指示を出す事は監督にとって重要な技術となる。
声が通らないのも当然で、追いつかれたドルトムントサポーターも、追いついたリヴァプールサポーターも選手を鼓舞するチャントを必死に歌う。
神に願うような表情や信じられないといった顔を見せるリヴァプールサポーターに対し、統一されていたのはドルトムントのサポーターだった。
「お前ら、負けたら承知しねえからな」といった感情が見て取れるように声を張り上げ手を伸ばし、全力で背中を推すドルトムント流の応援はアンフィールドに響き渡っていた。
両選手達もそれに応えるように、足を動かす。
この正念場で冷静にダイレクトパスを繋ぎ、危険であればロングボールを選択しゴールから遠ざけるドルトムントはあくまで冷静に、ロジックに当てはめ残り時間を使う黄色と黒の11人はトーマス・トゥヘルのチームだなと再認識させられる。
一方のリヴァプールもユルゲン・クロップのチームなのだなと思わせられる。
少しくらい距離があっても全力で追い回す。
ダイレクトパスでボールの出所が捕まえられなくても、サイドチェンジでボールの行き先が帰られようともプレッシャーを与え続ける姿はクロップの目指す「フルスロットル・フットボール」の完成系なのかもしれない。
ボールを回すドルトムントと追いかけるリヴァプールの構図となり、時間は淡々と経過
し、試合が動いたのは、時間にして89分。
リヴァプールサポーターの歌う『You'll Never Walk Alone』が途切れた数秒後、クラインがシュメルツァーに倒され、リヴァプールはFKを得る。
キッカーはミルナー
ドルトムントはオーバメヤンを壁に設定し、残された人で弾き返す。
残り9人。
ここで違いを作ったのは3点目同様、あの男だった。
フンメルスが両手を広げ距離感を調整し、シュメルツァーがゴールとの距離を確認するため後ろを向いたその瞬間、スペースに走り出したスタリッジ。
スタリッジに着いて行くシュメルツァーとそのカバーに備えるムヒタリアン。
残り7人。
パスをコントロールするミルナー
残り6人。
クロスを上げるミルナー
長髪をなびかせニアに走るのはアレン
ドルトムントはニアのアレンに多くの人数を割いてしまい4人がチェック。
また中央ではシュメルツァーとサコーが肉弾戦を行っている。
従ってミルナーがクロスを上げる際には
クロス対応の枚数は全部で6枚と揃っているのですが
リヴァプールの2人に対し、ニアと中央には5人。
しかし、ファーはアドリアンラモスの1人と非常に危険な状態となっている。
ピッチの上を転がりながら上げたミルナーの優しいクロスは、ニアポストを越え選手達の頭の上を通過し、ふんわりとファーに舞い込む。
アドリアンラモスの頭1つ上を飛んだロブレンが頭で叩いたボールは、ポストの内側と衝突したコンマ数秒後、呼吸と一緒にゴールへ吸い込まれる。
4−3。
この試合で始めて勝ち上がるチームが変わった90分34秒。
選手、サポーター、クロップ、スタジアム警備のスチュワードも入り乱れての歓喜の輪となり感情が爆発。
奇跡の4点目をいまだ信じられない様子のリヴァプール。
違った意味で信じられない様子のドルトムント。
3000人のサポーターはタオルを投げつけ、中指を立て、声を荒らげる。
開始早々掴みきったはずの勝利は、終了間際にこぼれ落ちてしまう。
しかし、まだ試合は終わってはいない。
時間は91分、残り3分で得点を狙うドルトムント。
追う立場となり苦しい顔でスプリントを繰り返す選手達は、数分前のリヴァプールとまさしく同じ姿だった。
その迫力は12-13シーズンのCL、マラガとの2nd legを思い出させる。
気迫はピッチに具現化される。
93:26、自陣の低い位置から繋ぎドリブルで仕掛けたシュメルツァーがルーカスに倒され、絶好の位置でFKを得るドルトムント。
残り30秒でのラストチャンス、キッカーはギュンドアン。
指揮官トゥヘルはピッチに背を向け、ドルトムントサポーターは神に祈るような表情でキッカーのギュンドアンを見つめる。
リーダークロップは腕を組み堂々と戦況を見つめ、リヴァプールサポーターはこの日何度目かわからない『You'll Never Walk Alone』を熱唱。
スタジアムの全員が呼吸を止め、様々な思いが交錯する刹那、ギュンドアンの放ったシュートはポストの脇を通る。
その瞬間、ジュネイト・チャクル主審の笛が鳴り、試合終了。
FT Liverpool 4 - 3 Borussia Dortmund
試合終了後、リヴァプールのサポーターは『You'll Never Walk Alone』を熱唱する。
それは愛するリヴァプールの選手だけではなく、敗北したドルトムントの選手達に送られたようにも見えた。
走る選手達、監督のクロップ、ベンチスタッフを信じ続け、共に戦い、願いを諦めなかったリヴァプールサポーター。
彼らの夢はもう少しだけ続く事になる。
Borussia Dortmund × Liverpool
Borussia Dortmund × Liverpool
ヨーロッパリーグも佳境に差し掛かり、遂にベスト4を決する戦いへ。
その中でも、最大の注目を集めるのがボルシア・ドルトムントとリヴァプールのカードであることは間違いないだろう。
ブンデスリーガとプレミアリーグの生き残った1枠同士の戦いであったり、クロップ王のドルトムント帰還であったり、ヌリ・シャヒンダービーなどなど試合前からメディアは大盛り上がりの様子。
というわけで、本日のエントリーはこの一戦を。
1st legをホームで迎えるボルシアの雄。
今季から希代の戦術家トーマス・トゥヘルを招聘し、チーム軸をドルトムントの代名詞であった強度の高いプレッシングからポゼッションに重きを置いたフットボールにシフト。
しかしマヌエル・ペジェグリーニよろしくポゼッション星人と言う訳でもなく、チームの重心を低くする5-4-1等にも着手し、戦術面の幅広さと柔軟さを見せる。
ブンデスリーガでは28戦を終えて勝ち点67と堂々の2位をキープ、王者バイエルン・ミュンヘンを追走(バイエルンが居なければ間違いなく優勝してるよね)
今節はイルカイ・ギュンドアンが足の怪我、ネベン・スボティッチが腕の血栓症で欠場。奇しくもリヴァプールへの移籍が噂される両名の欠場は何かの縁でしょうか。
◆Liverpool
「2試合とも、信じがたい空気の中での試合になるだろう」
そう発言するのはリヴァプールのマネージャー、ユルゲン・クロップ。
2008から2015年まで指揮を執っていた古巣との対戦となり、大きな尊敬の念を払い、包み隠さず正直な気持ちを述べる様はすっかりとThe KOPの心に定着していた。
シーズン途中からの就任という事情もあってプレミアリーグは苦戦に喘ぐ一方で、ヨーロッパリーグでは宿敵マンチェスター・ユナイテッドを蹴落とし8強に進出。
もうお馴染みとなった攻撃的なプレッシング、高速のネガティブトランジションを武器に8万人を超えるジグナル・イドゥナ・パルクに乗り込む英国代表。
チャンピオンズリーグの末席を奪還するべく絶対に譲れない1st legを前にベストメンバーが揃うリヴァプールはブンデスの蜂にどう向き合うのか。
*前半
ドルトムントが4-1-4-1、リヴァプールは4-3-3(4-3-2-1)の布陣で試合は始まる。
序盤から相手陣内深くまで強度の高いプレッシングを仕掛ける双方。
プレッシングに対して無理に繋がず、ロングボールを蹴り込む様も互いに見られた。
そして時間の経過とともにゲームを支配し始めたのはドルトムント。
フンメルスを始め足下の技術に優れる最終ライン、ドイツの超新星ユリアン・ヴァイグルを擁するドルトムントが丁寧にボール保持を続け、時計の針は進んで行く。
トゥヘル指揮官の元でポゼッションフットボールに舵を切ったホームチームと英国1熱い男、クロップが直々に叩き込んだアウェイチームのプレッシングが真っ向からぶつかり合う形が見られて行く。
*トゥヘルのビルドアップとクロップのプレッシング
左から右に攻めるドルトムント。
ドルトムントは基本的に4バックのうち、左SBシュメルツァーを高い位置に押し上げ、フンメルス、ベンダー、ピスチェクの3枚とヴァイグルで菱形を形成する。
それに対しリヴァプールが抑えるべき選手に定めたのはヴァイグル。
後ろ3枚は放置し、1トップのオリギがヴァイグルにピッタリとマンマーク。
コウチーニョとララーナは中央に絞り気味でCHへのパスコース切りを優先。
ピスチェクはワイドに位置取るドゥルムに展開。
左インサイドハーフ、ミルナーがサイドにスライドしボールマンに寄せる。
このときアンカーのジャン、右インサイドハーフのヘンダーソンもスライドし、3センターが連動し適切な距離感を保つ。クロップが就任した当初に敢行していた懐かしの4-3-2-1プレッシングでボールを狩りとる。
これはクロップが就任して間もなく作った画像なんですけど
サイドに誘導し、シャドーとインサイドハーフで挟み込んで奪い取る。
まさにこの通りのプレッシングです。
(人は違ってもシステムが確立されていれば、再現は出来るよね。)
SBをボールの狩り所に設定し、序盤から激しくプレッシングを行うリヴァプール。
しかし、ブンデスリーガの智将には織り込み済みである。
左から右に攻めるドルトムント
オリギは前に飛び出し、ベンダーへプレス。
ベンダーはピスチェクへパス、コウチーニョも連動しプレス。
余裕を持って前を向いたピスチェクは長いパスを選択。
これが通ってしまうと・・・
パス2本で3対3って・・・
バイタルエリアで前を向かせては行けない人物2016、5位のムヒタリアンがドリブルで突撃する事案が発生(ここで失点を覚悟した)
序盤からら激しいプレッシングが効いていたものの、時間の経過と共に何度も何度も簡単にバイタルエリアを明け渡してしまうシーンが増えてきたリヴァプール。
前半、リヴァプールの問題となっていたのがヴァイグル番であるオリギがCBへのプレッシングに行き過ぎた事である。
オリギが必要のないCBへのプレッシングを行う事でヴァイグルが空く→ヴァイグルを捕まえる為にインサイドハーフorアンカーが前に出る→3センターのバランスが崩れプレスが剥がされる。という一連の流れ。
モレノには難しい45分だった。
左SBのポジショニングを守るとインサイドハーフのムヒタリアンが空く(ムヒタリアンのマークはミルナー)
ムヒタリアンに着くと本来のマークであるドゥルムが空いてしまう。
難解な2択を常に迫られていた。
事の発端としてはオリギがヴァイグルを逃がしてしまった事が全てであり、そこからドミノ倒し的にプレッシングが剥がされてしまったのだろう。
良かれと思ったオリギの行動はクロップの要求以上の事だと思うし、その献身性そのものは物凄く評価したいのだけど、敵以上に味方を混乱させる事を招いてしまう上、この舞台のこの相手へのアドリブプレーは危険この上ない事を学ぶ必要があるので
モレノには長州力のように「オリギ!コラ!タコ!コラ!」と一喝してほしい次第。
プレッシングを剥がし、敵陣の侵入が増える圧倒的優勢なドルトムント。
しかし、先にゴールネットを揺らしたのは、赤い戦士達であった。
*クロップの宝刀と教え子の陰
敵陣まで侵入が出来ず、ボールを奪えてもドルトムントのネガティブトランジションが機能していたので、細かいパスが3本と繋げないリヴァプール。
しかし、ドルトムント相手に真っ正面からぶつかり合うとボール狩りにあう事は既に知っているクロップはこの日、ロングボールを多用していた。
この日、ロングボールを使う利点は主に2点。
1.自陣でのボールロスト及びショートカウンターが避けられる。
2.失った陣地を回復する事が出来る&最終ラインを押し上げる事が出来る
蹴り込んだロングボールを収めれば儲け物。また、仮にボールが収まらなくても、そのままゲーゲンプレッシングを開始しショートカウンターを狙う。
大事な事はボールをどこの場所で、どのように失うかである。
敵陣にコントロールの難しい不安定なボールを蹴り込むと同時に、自陣から味方を大量に送り込む。実に合理的でクロップらしい目論見だろう。
この日、1トップに起用されたのはオリギ。
WGでもプレーが可能なスピードと成長中ながらも巧みなポストプレーを持ち合わせるベルギー人FWを中心に、次々とロングボールが蹴り込まれる。
・前を向いている味方に落とす
・相手とは競らずに身体を入れ替え、一気に裏を狙う、
・相手を食いつかせてから頭でのフリックを使い、スペースに味方を走り込ませる
等々ロングボールに対して様々な動きを見せるリバプールの前線。
その結果、約3000人の赤い壁が揺れる事になる。
右から左に攻めるリバプール
ボールホルダーはモレノ。
ドルトムントの陣形が整う前に前線に走るミルナーへ大きく蹴り込む。
ボールを後方のスペースに送り出そうとするミルナーに対し若干、ボールへの反応が遅れるフンメルス。
ミルナーが競り勝ったボールは赤丸のスペースへ転がる。
フリックに抜け出したオリギがシュートを流し込み、リヴァプールが先制点を挙げる。
*ドルトムントの失点に対する検証
ミルナーに競り負けたフンメルス、スピードで振り切られたベンダー、左手1本で制されたピスチェクの3人にも非はある。
ただ個人的な最大の要因はマルセル・シュメルツァーですね。
実はシュメルツァー、モレノがロングボールを蹴る時からミルナーが競るまでほとんど移動していない。
これはミルナーがボールを競り合う瞬間の画像なのだけれど
シュメルツァーはフンメルス(チャレンジ)に対してカバーリングのポジションが全く取れていないんですよね。(ベンダーが正確な位置を取れているから余計に目立つよね)
更に、ドルトムントでは”ボールの無いサイドは中央まで絞る”というものが基本的な原則として敷かれています。この画像でのカストロやロイスはしっかりと絞っているのが何よりの証拠であるが、この鉄の掟を破ると簡単に失点してしまうのがこの舞台の恐ろしさだろう。
オリギが抜け出したシーン
シュメルツァーはオリギが抜け出してから急いでスプリントをしても時すでにオリギもとい、時既に遅し。ということで、この距離は絶対に間に合いませんよという事です。
仮に間に合ったとしても、カバーリングのポジションを取る方が遥かに容易で、CB-SB間のギャップも出来ないので、そっちの方がずっと良い策です。
話が少し逸れますが、12−13シーズン(だったかな)のCLでドルトムントがレアルマドリー相手にサンチャゴ・ベルナベウで2点取ってます。
そして、2点ともロングボールを当てて、フリックパスに抜け出した味方がスペースに攻め込むというシンプルながら非常に効果的な攻撃を見せているのですが、そのドルトムント監督がご存知ユルゲン・クロップです。
低い位置からロングボール→フリックって相当効果的なんですよね。
ポゼッションを握ろうとする相手ってDFライン全体の押し上げとチーム全体がコンパクトであり続ける事が必須になるので、成功すれば一気に相手の密集を抜けれますし、仮に相手にひっかかってもそのままゲーゲンプレッシング敢行して、自分達のラインも上げられますのでローリスクハイリターンな良策です。
それなりの戦力も必要なのでどこのチームでも出来るって訳じゃないのが難点ですけども・・・
クロップはこのフリックパスが大好きです。
ドルトムント時代からアウェイでボールが握れないような試合だとか、押し込まれる展開が事前に予想されるような試合はフリックで抜け出すパターンを大体仕込んでます。もう伝家の宝刀レベルです。
当然この日もオリギに当てたフリックにララーナ(シュメルツァーが見る相手)が抜け出すシーンが散見されていました。
クロップが仕込んだフリックはこんな所にも出てます。
バックステップを踏みながら首を振ってしきりに後方のスペースを見るミルナー。
オリギはベンダーとフンメルスの距離感を広げる為のポジショニング。
ミルナーが後方に抜け出すも、ベンダーがクリアして危機を逃れるドルトムント。
このシーンでもカバーする為には、もう少し距離感を縮めた方がいいだろうし、ララーナが競り勝ってから走り出したシュメルツァーの絞りの甘さは2nd legでも執拗に狙われることになると予想してます。
*ドルトムントの遅効と終着点
先制点を取ったリヴァプール、だが徐々にプレッシングを攻略される時間が増える。
危険を感じたリヴァプールは素直に自陣にリトリート。
4−1−4−1で守備ブロックを形成し、ドルトムントを迎え撃つ。
また1トップのオリギはCB放置でヴァイグルへのマークを優先していた。
相手を押し込み敵陣でのプレー時間が増えるドルトムント。
こうなると試合の流れは一気にトゥヘルが掴むことになる。
なぜなら今季のドルトムントは引いた相手を崩す事に関しては欧州随一なのだから。
*ドルトムントの可変式セットオフェンス
1トップのオーバメヤンは基本的にCBと駆け引きを行い、最終ラインを引き下げる。
左SBシュメルツァーと右SHドゥルムはワイドの高い位置に張る事でリヴァプールの守備ブロックを横に広げる。
そしてロイスとムヒタリアンはアンカー脇に絞る。
またカストロはフリーマン的に動き回る役割である。
この日、ドルトムントの攻撃はフンメルスから始まり、ロイスやオーバメヤンを経由、ヴァイグルに前を向かせ、ムヒタリアンに良質なパスを送り込む事が最終目標となっていた。
そして攻撃の出発点となるCBがフリーと言う事はティガー戦車、フンメルス砲のお出ましである。
左から右に攻めるドルトムント
ベンダーがキープし、リヴァプールの守備ブロック全体を右サイドにスライドさせてから、フリーのフンメルスが楔のコースを探す。
フンメルスから低く下りたオーバメヤンへ、オーバメヤンは前を向いているヴァイグルに落とし、アンカー脇のムヒタリアンへ展開。
(オーバメヤンが潰されないよう、CBをピン留めしてるロイスが効いてますね)
本来、コウチーニョが中へ絞って対応するべきなのですが、ワイドに張ってるドゥルムが気になるのか、十分に絞れずにムヒタリアンへ通されてしまうリヴァプール。
ヴァイグルの縦パスからムヒタリアンの間受けが発動。
ここで上手かったのが、パスを受ける身体の向き。
直前に身体を開いて右足インサイドでコントロールしたため、前を向いた状態でバイタルエリアに突撃出来る訳ですね。
パスを受ける身体の向き、パスを受ける左右足の選択、ボールをコントロールする足の部位、ボールの置き所とどれをとっても完璧な所作。
シャビ先生から讃えてもらえるレベルです。
ムヒタリアンはここからラストパスを出すも、サコーの長い足に阻まれてしまう。
このように終着点はバイタルエリアのムヒタリアンに設定されているドルトムント。
じゃあシンプルに中央へ圧縮すればいいのでは?
となるが、そうはさせてくれない。と、布石となるシーンがあった。
左から右に攻めるドルトムント
一度ベンダーに付けオリギを動かしてから、リターンを貰ったフンメルスは左足でロイスに楔を打ち込む(逆足とは思えない精度の。)
ロイスはすぐさま前を向いているヴァイグルへ落とす。
ロイス、ムヒタリアンを警戒し守備ブロックを中央へ凝縮するリヴァプール。
ドルトムントは中を固めるなら外を行くまで。である。
余裕を持った状態で前を向くヴァイグル。
ここでシュメルツァーの大外カットインが炸裂する。
右SBのクラインはロイスをケアするため中央に絞っている。
なおかつ完全な死角から斜めに走り込んでくるため対応は不可能。
(ゾーン殺しの代名詞ですね。)
パスを受け取るシュメルツァー
ノープレッシャーで複数の選択肢があるシュメルツァーはマイナス方向へのグラウンダーパスを選択。
今日一番の決定機はサコーが足を伸ばし、間一髪のシュートブロックを見せる。
というようにサイドを警戒すれば、バイタルエリアのムヒタリアンが無双。中を圧縮するとサイドのシュメルツァーに時間と余裕が生まれるという悪夢の二者択一が迫られ、明確な対策が見つけられず、あわやという場面もロブレン、サコーのビッグプレーもあり、水際で防ぎ続けるリヴァプール。
前半最後にカウンターでオリギが抜け出し1対1のシーンを作るも、 GKヴァイデンフェラーの好セーブに阻まれ、前半が終了。
勝ってるチームが逃れるようにハーフタイムへ突入するちょっと珍しい展開である。
*後半
後半開始早々、リヴァプールはセットプレーで失点します(後述)
後半から動く両チーム。
ドルトムントはドゥルム→ヌリシャヒン。
リヴァプールはヘンダーソン→ジョーアレン。
リヴァプールは負傷による交代だったことに対し、ドルトムントは選手の交代に伴いシステムも変更。
3列目はヌリシャヒン、ヴァイグルを並べる4−2−3−1にチェンジ。
プレーメーカーを2枚並べる事で更にポゼッションを高め、敵陣でのプレーする時間を増やそうというトゥヘルの魂胆であろう。
しかし、何度検証しても同じ考えに行き着く。これは悪手である。
その理由が2つ。まずは1つ目。
*トゥヘルが溺れた2つの策
右から左に攻めるドルトムント。
リヴァプールは後半からプレッシングの開始地点を3バック化するドルトムントの最終ラインにまで高める。
それにより意図的でないロングボールを蹴らされる機会が多くなるドルトムント。
ジルーやイガーロ、フェライニといったRAFと制空権を巡る戦いを常日頃強いられるリヴァプールにとって、空中でのオーバメヤンなど赤子どころか乳幼児と同様である。
*なぜドルトムントはロングボールを蹴らされる機会が増えたのか。
それは双方の中盤構成によるもので。
リヴァプールのアンカーとインサイドハーフによる逆三角形がガッチリと噛み合いマークする相手が見やすくなった事で、オリギ、ララーナ、コウチーニョは後ろを気にする事無く、攻めるようなプレッシングが敢行出来た訳です。
ヴァイグルがダメなら構造的に浮いてるシュメルツァーを使えば良いじゃない(マリー・アントワネット並の感想)
ということで、素直にシュメルツァーに展開すると
ここぞという時のクラインの早さは異常
早すぎワロツァwwwwwwwwwwwwwwwwwww
佐々木 寿人プロを思わせるクラインの高速ボール狩りである。
基本的には対面のロイスを見つつ、局面によって前へチャレンジする。
このチャレンジとステイの判断力がクラインはずば抜けて優秀ですよね。
対人の強さだけ見るとトッテナムのウォーカーだとか、万能性に焦点を当てるとバイエルンのラームに軍配が上がると思うのですが、純粋な右SBの総合力ならばクラインは間違いなく世界1ですよ。ええ。(初孫を見る目)
ということで、中盤構成の噛み合いと超人クラインのおかげでボールを保持する時間が長くなったリヴァプール。
それどころかシュメルツァーが上がった裏のスペースを使われ、同点どころか追加点のピンチを幾度となく作られ始めるドルトムント。
それでも機転を利かせたカストロのポジショニングやコンビネーション、個々の突破でボールを相手陣内まで運ぶドルトムント。
しかし、選手交代の悪手がセットオフェンスにまで及びます。
*改悪される遅効
ここで2つ目の悪手が現れます。
それは前半の右サイドで横幅を作っていたドゥルムが交代した事で、ムヒタリアンがバイタルエリアに入れない事態に陥ってしまった訳ですね。
SBのピスチェクが上がらずに横パスマシーンと化している為、存在感が薄れるムヒタリアン。ワイドでの1対1でもそれなりに輝けるムヒタリアンですが、この使い方は極めてナンセンスで横幅を作っているだけならば無視。無視タリアンです。
もちろんロイスやカストロがアンカー脇に絞るので前半のような形を作られますが、そこは役者の違いです。 決定的な違いを生み出す事が出来ず、交代で入ってきたヌリシャヒンも終止無難なパスに従事しており、やはりこの交代は悪手だよな思う次第です。
*バイタル王再び
ドゥルムの交代で主導権を失ったドルトムント。
しかし、戦術家トーマス・トゥヘルはすぐさま交代で流れを取り戻す。
その結果・・・
シュメルツァーとのコンビネーションで再び猛威を振るうムヒタリアン。
クラインと2人で挟み込めるよう、クロップもすぐさまミルナーを左サイドに回すがアルメニアの戦術兵器は止まらず、リヴァプールゴールに迫るもネットは揺らせなかった。(オーバメヤンの裏抜けが消えてしまったのが痛い)
ベンダー→ソクラテスのトゥヘル采配とフィルミーノやスタリッジを投入したクロップの采配が凄く対称的で面白いですね。
トゥヘルの交代策云々とは何の因果関係もないですが、リヴァプールはセットプレーで失点します。
*ドルトムントの同点弾を検証
ニアのボールを跳ね返す係(ストーン役)にはミルナーを。
ファーに来たボールにはクラインが対応。
一番危険な中央にはロブレン、オリギ、サコーを配置、ゾーンDFで守るリヴァプール。
ここからララーナ(黄丸)のところに走り込み、競り勝った豪華な同点弾をキャプテン・フンメルスが叩き込み8万人の雄叫びがスタジアムに響きます。
個人的な意見なのですが、僕はゾーンDFは嫌いです。
・空中戦の強い選手に対し、特定のマークが付けれない
・攻める側はボールを見ながら走り込んで競れる事に対し、守る側は人ではなく場所を最優先するのでどうしても競り負けやすい
・中央は密集を作れるが、他が数的不利な状況に陥りやすい(セカンドボールとか拾えず二次攻撃に繋げられる可能性が高い)
・フリック等のデザインプレーに弱い(印象がある)
のであんまり好きじゃないです。
ちなみにクロップは「あの場所にララーナを置いた私のミス」と発言。
確かにあの場所にはオリギあたりを置いて置いた方が結果的には好転していたかもしれないですが、フンメルスにだけマンマークをつけるゾーン×マンツーマンなら余裕で守れたでしょ。とも思ってしまいますよね。
サコー、ロブレン、ミルナーはニアと中央をゾーンで守る一方で、ケインにはクライン。アルデルヴァイレルトにはモレノ。ダイアーにはジャン。ソンフンミンにはララーナがマンマークするゾーン×マンツーマンを披露。
この場合、マンマークする選手の目的は競り勝つ事ではなく、思うように飛ばせないよう身体をぶつけたり、走るコースの遮断等です。クリアとかはゾーン組がやってくれますから。
実際トッテナム戦はセットプレーのピンチは少なかったですし、そのままドルトムントにも応用出来ないものかとも思います。不思議なチームですよね、リヴァプール。
ちなみにドルトムント戦後のストーク戦はマンツーマンで守ってました。
訳がわからないよ。
もう疲れたよ・・・パトラッシュ・・・
「これをフンメルスにやっておけば良かっただろ」って思っているリヴァプールファンは世界でも100万人以上居るでしょうが、その思いはクロップに届かず失点。
試合は1−1。
そのままスコアは動かずに試合終了。
* FT Borussia Dortmund 1 - 1 Liverpool
*感想
2nd legが楽しみです。
Juventus × Bayern Munchen
皆様、明けましておめでとうございます。
昨年勢いで始めたブログもなんとか続いております!
毎日来てくださいなんて言いませんので、暇な時はまぁ見てやるか、ぐらいのノリで遊びにきてください。
言うなれば都合のいい女的なノリでね。
飲み会の帰りに連絡してみようかなー的な。
でも自宅には絶対呼びませんよー的な。
買い物中「あいつ、そういえばヴィヴィアンウエストウッド好きだったなぁ」
みたいな感じで、ふとした時に思い出してもらえる様なブログでありたいものです。
本年もよろしくおねがいします。
ということで早速、新年1発目を。
Juventus × Bayern Munchen
バルセロナとミランを率い、世界中の注目と賞賛を浴び続けたペップ・グアルディオラとマッシミリアーノ・アッレグリ。
指揮するチームは変わったものの、フットボールの戦術史に名前を刻むであろう両雄が再び欧州の舞台で相見えることとなり、世界50億人の歓声が聞こえてきそうなカードをピックアップ。
ではスターティングイレブンから。
Starting Eleven
◇Juventus
ホームにドイツの皇帝を迎え入れるセリエAの覇王。
昨季からマッシミリアーノ・アッレグリを招聘し、CLのファイナルへ堂々進出。
新戦力にはパレルモの超新星パウロ・ディバラ、クロアチアの火薬庫マリオ・マンジュキッチ、プロサッカー選手サミ・ケディラを補強し、大黒柱ポール・ポグバを10番に据えた新生ユベントス。
チームの基盤であったアンドレア・ピルロ、カルロス・テベス、アルトゥーロ・ヴィダルらが抜け、開幕2連敗スタートで超大波乱の今シーズンかと思いきや、27節終了の時点で単独首位の椅子にドッカリと鎮座しているあたり流石の出来。
怪我人も発生し、キエッリーニやカセレス等が使えないのが痛手だが、ミラン時代を鑑みるにこの程度のスカッド事情ごとき、大きな問題に感じない所がアッレグリのアッレグリたる所以である。
◆Bayern Munchen
偉大なる前任者ユップ・ハインケスの後任としてバイエルンミュンヘンでの3年目を迎えたペップ・グアルディオラ。
また今シーズンをもってバイエルンでの監督職を退任し、来季からはマンチェスターシティで指揮を執ることを正式に発表した。
2連覇中のブンデスリーガでは今季も絶好調のフライトを続け、悲願の3連覇をたぐり寄せる圧巻の横綱フットボールを魅せる一方、2年連続ベスト4で沈んでいるCLに関して本人、ファン、フロントも全く納得していない模様。
今節はCB起用の21歳キミッヒとアンカーのビダルに注目。
勝つ事でこの苦境を乗り越えたい。チームの眼差しは欧州の戴冠のみ。
求道者グアルディオラはミュンヘンの歴史に名を刻めるだろうか。
と、試合に入る前にバルセロナでのグアルディオラを軽くを振り返ってみましょう。
バルセロナで2度欧州を制覇し、リーガエスパニョーラを幾度となく勝ち抜き、栄華を極めたペップ・グアルディオラ。
ピッチ内ではレアルマドリーのジョゼ・モウリーニョをはじめとするリーガの強豪、CLでは国外の強者と厳しい競争を強いられ、心身ともに疲弊。
ピッチ外では選手との軋轢もあり、2012年にバルセロナを退任した。
精神的、肉体的に枯渇したグアルディオラはニューヨークでの静養を経て、翌シーズンにバイエルンミュンヘンの監督に就任。
現在のバイエルンと比較する為に 、当時のバルセロナを少し振り返ります。
*メッシのための10人
懐かしのバルセロナ。ここで注目したいポイントは2つ。
① CFビジャはCBの裏を狙い続け、相手の最終ラインを引き下げる。
② 左WG、ダニ・アウベスはワイドに張る事でゾーンを横に引っ張る。
ペップの目論見としてCBの裏に浮き球のパスを通す為にビジャを動かせ続けている訳ではないし、ワイドに広がる選手達にサイドから上質なクロスを要求しているという事でもない。
率直に言うと、バイタルエリアを広げる駒になってほしいのである。
また攻撃的な位置に張り続けるダニ・アウベスに対し
左SBアビダルは最終ラインに残り、敵のカウンターに備える。
こう書くと物凄く聞こえは良いが、裏返して言うと
アンカー(ブスケッツ)をメッシの近くに置きたい為に逆算された方法論だ。
このチームの目標はただ1つ。
DF-MF間(バイタルエリア)で待つメッシに良い状態でボールを届ける。
これだけ。本当にこれだけである。
常にボールを持つ事で守備の回数を減らし、ボールを失うと高速の攻→守の切り替えプレス(ネガティブトランジション)でボールを迅速に回収し、波状的な攻撃に繋げ、最も安全な状態でメッシに渡す。
当時、潔癖性とも揶揄されたバルセロナフットボールの正体である。
ペップ・グアルディオラ「僕たちの義務は、あの子に1番良い状況でボールを渡す事だ。その後は座って何が起きるのかを見ていれば良い
『知られざるペップ・グアルディオラ』より
前置きが長くなりましたが、試合に入ります。
*前半
両チームとも、試合開始直後から非常に強度の高いプレッシングを見せる。
自国リーグでは常にボールを保持している両者であり、この試合でもボールを保持しつつ時間を進めたい両監督の思惑がぶつかり合う形に。
普段ならば丁寧にショートパスを繋いでゲームを作っていく両チームであるが、激しいプレスを真正面から受けるのは得策ではないと考えたのか、難しい局面では無理せずロングボールを蹴り込むシーンも散見された。
ここでのボール保持権を分けたものはネガティブトランジション。
ボールを失った瞬間から、選手全員でボールホルダーにプレッシングを開始するバイエルンと帰陣を最優先とし、守備ブロックの形成の意識が高かったユベントス。
結果、長い時間ボールを保持し試合を進めるのはバイエルンだった。
ユベントスのアッレグリもカウンターによる失点だけは避けたい(アウェーゴールを執られたくない)為、試合の早い段階でボール保持を諦め、自陣でのリトリートを優先することに切り替えているよう状況が目に映った。
と同時に「自陣で構えている状況なら守り抜ける」と言った絶対的自信が裏付けされているようにも見えました。
*ユベントスの守備ブロック
ユベントスは自陣で4-4-2の3ラインを形成。
主にハーフコートから守備を始めていました。
アッレグリが最も警戒すべき選手に定めたのは両インサイドハーフのミュラーとチアゴ・アルカンタラの2名。
1列目のディバラ、マンジュキッチはボールにプレッシャーを与え続ける。
2,3列目はインサイドハーフを消すため中央を圧縮し、コンパクトな4-4ブロックを構築。
必然的にロッベン、コスタの両WGがフリーになるが、どうしていくのか。
*ボール保持時のバイエルン
(ミュラーとチアゴは逆でしたね。)
両WGはタッチライン際にポジショニングをすることで相手のゾーンを横に広げ、攻撃の横幅を作る(バルセロナ時代と同様)
相手の1列目は2枚なのでヴィダルをCB間にポジショニングさせることで3対2の数的有利のまま試合を運んでいく。
また特筆すべきはラーム、ベルナト両SBの中央への絞り。
グアルディオラバイエルンではすっかりお馴染みとなったファルソ・ラテラル(偽のサイドバック)と称されるものですね。
両SBを中央へ絞らせる理由として、おそらく3つ
①ドウグラス・コスタとロッベンの両WGは縦に突破してクロス、中央へのカットインと各々単独でも相当な破壊力があるため、敢えてラーム、ベルナトの両SBをサポートに向かわせず中盤に厚みを出す。
②(フリーロール的に動く事もあるが)主に中央にポジションングする事で相手の守備ブロックを中に圧縮させ、両WGへのプレッシャーを弱くさせたい。
③は後述。
外郭からも中央から攻め立てられるよう設計されたミュンヘンの戦士達はトリノの城を破壊できるのか。
局面は右から左に攻めるバイエルン
2トップの脇でボールを受けるベルナト。
ユベントスの2列目はしっかり中に絞っているので、ここはシンプルに外のドウグラス・コスタへ展開。
ベルナトがドウグラス・コスタに展開した瞬間、一気に寄せるリヒトシュタイナーと脇でカバーに備えるクアドラード。
さすがのコスタでもこの局面から縦への突破は難しく、カウンターを喰らうリスクが高いので、一端ボールを下げ、逆サイドに展開すると
逆サイドでも同様にエブラがチャレンジし、ポグバがカバーする。
この日、ユベントスの守備鉄則はWGに渡った瞬間、SBが前に出てSHがしっかりカバーし、守備ブロック全体も横へスライド、徹底したサイド攻撃を封殺する構え。
図にするとこのようなサイド対応に。
ユベントスが敢えて空けているようにも見えるが、バイエルンが狙うのはSB裏のスペース。
SB裏スペース略奪戦の火蓋は切って落とされた。
局面は右から左へ攻めるバイエルン
底からパスを受け取ったドウグラス・コスタ。
前に飛び出すリヒトシュタイナーと横に備えるのはクアドラード。
中盤から空いたSB裏のスペース(赤丸)を狙うのはベルナト。
ドウグラスコスタはリヒトシュタイナーの裏にベルナトを走らせるパス。
が、「知ってる」と言わんばかりにボヌッチがカバーしサイドにクリア。
「中→外フリーランニング」はCBの横スライドにアッサリと処理され、失敗。
縦突破には厳戒態勢を敷くユベントス。
縦がダメなら・・・と、中に「カットイン」してみると
くりぃむしちゅー上田「これロッキーの撮影じゃないのよー」
圧縮しすぎワロタwwwwwwww5人てwwww
ユベントスの新宿駅ディフェンスで中央へのカットインの選択肢も削られるバイエルン。次の選択肢を持ち出す。
右から左に攻めるバイエルン。
ボールを持つのはアラバ。
CHケディラとSHクアドラードは距離をグッと縮めてボールをサイドに誘導する。
ここからユベントス選手の手に注目。
中へのパスコースを消しているケディラとクアドラード、2人が手で指示しているのはコスタの位置と外から追い越すベルナト。
ドリブルを始めるコスタと追い越すベルナトのコンビネーションプレーで左サイドを崩しにかかるバイエルン。
しかしここでSBリヒトシュタイナー、SHクアドラードは互いに手を使いあってマークの受け渡しを敢行。
ボールを持つコスタにはクアドラードが。
追い越したベルナトにはリヒトシュタイナーがマークする事でフリーを作らせない守備のコンビネーションプレー。
バイエルンはこの場面もクロスを送る(送らされた)形で攻撃を終える。
半ば強制的に蹴らされた精度の低いクロスでは、かのレバンドフスキ大明神でもほとんどノーチャンスというものである。
と言う訳で「外→外フリーランニング」は守備側の手を使ったコンビネーションプレーで対処するユベントス。
合法的に手を使う事で、味方への適切なポジショニングの指示、マークの受け渡し、失点の可能性が1番低い選択肢を選ばせたユベントスの完成度はセリエAの積み重ねられた守備史とアッレグリ監督の確かな手腕を感じてしまいますね。
ちなみにグレートブリテン島における「手を使った守備」と言うと・・・
こうなります。
( ※画像はイメージです)
バリエーション豊富なサイド攻撃を見せるペップバイエルンと
こういった組織単位で拮抗した試合を動かすのはやはり傑出した個なのである。
局面は右から左に攻めるバイエルン。
右サイドでボールを受け取るロッベンに対し、前に出るSBエブラ。
ロッベンは一度CBキミッヒにボールを下げ、ドリブルで少し前進した後に、前に出たエブラの裏へ丁寧なインサイドキックで縦パスを入れるキミッヒ。
逆サイドでも見た「中→外フリーランニング」の形だが、先ほどとは違うのは
・キミッヒを使った3人目が絡む攻撃であること
・ボールを受け取るのがベルナトでなくラームであること。
先刻の対応と同様に横スライドでラームに寄せるバルザーリ。
しかし、3人目を使ったので時間的にも余裕があるラームはパスを受ける前にバルザーリを目視しており、フリック(ダイレクトパス)でバルザーリの鼻先でチェックを外し、中のレバンドフスキに繋げ
この展開を作った。
名手ミュラーがまさかのミス、なんとか失点を逃れたユベントス。
この日アッレグリ監督が計算外だった事は規格外のSBラームの存在とそのタスクだろう。
*SBを絞らせる3つ目の意味
前述した通り、ラーム、ベルナトの両SBは攻撃時、中央に絞ってボランチ化する。
偽りのSB、仕事の3つ目を見ていきたい。
右から左に攻めるバイエルン。
深い位置まで押し込みボールを持つのはロッベン。
対峙するのはエブラ。非常に危険な場面なのでマンジュキッチが魂のフォロー。
中を切り続けたエブラと下がったマンジュキッチで挟み込み、ボール奪取に成功。
ここは手早くカウンターに繋げたいユベントス。
が、ここでファルソ・ラテラル(ラーム)が現れ、サイドに蓋をする。
確かにセオリー通りにSBが最終ラインに残っていれば、被カウンター要員は増やせる。
しかしペップ・グアルディオラ。それはしない。
この男が攻撃だけを考えている訳が無い。
バイエルンは攻撃時、選手の仕事は固定されていない。たぶん。
・CBとのライン駆け引き→レバンドフスキ
・相手の守備ブロックを横に広げる→ロッベン、ドウグラスコスタ
・相手の守備ブロックの中で違いを作る→ベルナト、ラーム、チアゴ、ミュラー
と基本的にはこうなっているのだけど、タスクを全員で共有していれば良い的な。
例えばワイドのコスタが中に侵入すると、代わりにベルナトがワイドに張る。
レバンドフスキが低い位置まで下がると、ミュラーがCBとの駆け引きを行う。
全員がポジションを変え、ピッチにバランスよく配置できればボールを失っても、即座にボールマンを囲い込む事でカウンターの芽を刈り取る。
ペップバイエルンでは基本的にWGとSBが同じレーンにポジションを取らない。
(名前がリバプールの選手達になってて申し訳ないです)
同レーンに位置を取ってコンビネーションプレーを行うと、攻撃に厚みは出るし、美しいアタックになるがカウンターに沈んでしまう可能性が高くなってしまう。そのためバイエルンの選手達はすぐさまボールにプレッシャーをかけられるポジショニングを恒常的に取る(それと同時に安全なパスコースを作り続ける)
ペップはブンデスリーガの事を"カウンターリーグ"と称し、その脅威を存分に語っている。カウンターリーグでの火の粉を払うため、考えられた策であろう。
バルセロナではボールを失った直後の奪い返すプレスが6秒間、義務付けられていたが、バイエルンでは4秒間とされている。その理由としてはWGのロッベンやリベリーが守備に奔走し、攻撃で違いを作れなくなってしまう事を避けるためである。
その為、グアルディオラは中央突破の駒、流動性を生み出す攻撃のフリーマンとしての役割だけでなく、高い位置で可及的速やかにボールマンにプレッシャーを与え、ボールを奪取し波状的な攻撃に繋げる役。
仮に奪いきれない状況でもボールのベクトルを横、後ろにさせる事でカウンターを防ぐフィルターという非常に重要なタスクをSBに担わせる。
(バルセロナ時代、メッシに過剰な守備を課した事でチームを瓦解させてしまった自分自身の反省でもあったり??)
バイエルンでも小気味の良いパス交換や華麗なコンビネーションプレーばかりが注目されてしまうが、かつてドルトムントで指揮をとったユルゲン・クロップが世界を震撼させたゲーゲンプレッシングの着想元、高速のネガティブトランジションこそがペップ・グアルディオラの真骨頂なのである。
ユップ・ハインケス時代、最強の武器だったダイナミックなサイドアタックに欠かせないSBをこうも異端的な使い方をしてしまうのだから、このスペイン人には驚かされてばかり。
左から右に攻めるユベントス
ミュラーからボールを奪ったポグバ。
深い場所だがカウンターを仕掛けたいユベントス。
しかし、再びラームがポグバへプレス。
そして背後からはレバンドフスキが全力のプレスバック。
ここでボールを奪い、再び攻撃したいバイエルン。
しかしユベントスにも絶対的な個の力が存在した。
*8500万ポンドの価値
ポグバに対し、激しく寄せるラーム。
しかしポグバ。
長い左腕を伸展し、おそらく70cmの空間を作り出しプレッシャーを取り除く。
縦に出したいが味方へのパスコースが切られている事と背後から迫るレバンドフスキの姿を確認したポグバ。
落ち着いてバルザーリにボールを下げ、攻撃を始めるユベントス。
1人でボールを奪い、1人でプレスをいなし、1人で攻撃の機会を作るポグバ。
別のシーンをもう一つ。
左から右に攻めるユベントス。
前からのプレッシングで時間と余裕を奪うバイエルン。
バルザーリからパスを受けるポグバ。
攻める方向に背を向けるポグバに寄せるラームとボールサイドに圧縮し、近いパスコースから切っていくバイエルン守備陣。
ここで再び左手を伸ばし、強引にターンするポグバ。
一気に逆サイドへ展開。
ボールサイドへ圧縮していたバイエルンのプレッシングが空転させられる1シーン。
また序盤から強度の高いプレッシングを続けるバイエルンに対し、ユベントスは頭を超えていく大きいボールを蹴る事でプレスを回避していた。
もちろんターゲットは
ビッグスモールンかな??
身長差ありすぎワロタwwwwwwwwwwwww
左から右に攻めるユベントス
ボールを基準に絞る攻撃的なプレッシングのバイエルン。
(俯瞰的に見るとボールに寄っているのがわかりやすいですね)
クアドラードは必死にキープ、なんとかバックパスし、サイドを変える。
サイドを変えるユベントス
ボールを基準に横スライドするバイエルン。
快速を生かし、0距離まで寄せるロッベン。
しかし、ロッベンをものともせず、ゴリターンを見せるポグバ。
ポグバに伴いユベントスの前線も加速。
キミッヒを釣り出すようにディバラがサイドに流れ、球足の早いクロスをいれる。
しかしタイミングが合わず、アラバにクリアされてしまう。
ポグバの人外ターンからフィニッシュまで持っていくユベントス。
この日、ユベントスの遅攻はあまり練られていなかった。
それはバイエルンのプレッシングが強烈だった事も理由に挙げられるが、最後まで攻めきれず、中途半端な位置でボールを失う事を恐れていたからだとも思う。
それとは逆にカウンターとプレッシングは緻密なデザインされていた。
カウンターの発射台になっていたのはポール・ポグバである。
まずポグバが個でプレスを剥がす。
左サイドならばディバラ、右サイドならクアドラードがサイドに流れ、2対2を作って球足の早いクロスを入れる。
左右のサイドに違いはあれど、カウンターではこの形を作る。前半、ゴールネットを揺らす事はなかったが再現性の高いカウンターを何度か作り出していた。
更にアッレグリはカウンターの失敗に備え、毒を伏せていた。
左から右に攻めるユベントス
縦パスを受けたポグバを確認し、裏へ走り出すユベントスの前線。
昨季ならば、ここからピルロが精密なボールを送り出し、裏へ抜ける選手とGKが1 対1になるシーンを作りだしているだろう。
ただポグバは力強く前を向く力と推進力に秀でているが、ピルロのような繊細なキックは持ち合わせていないので、クアドラードへのパスはタッチラインを割ってしまう。
が、ここでアッレグリの毒が現れる。
スローインからプレッシング開始
細かく繋ぐとプレスの餌食にあうので、こういった策で陣地とボールを進める。
前線からのプレッシング×ポグバを起点にしたカウンター×10人での硬質なブロック形成の3点を軸に据える事で勝利を狙っていたアッレグリ。
1本のパスを得点に結びつけられるスナイパーのピルロがいなくなり、ポグバは絶対にボールを失わないという前提の上、設定されたカウンターだった。
カウンター以外での局面でも輝きを見せるポール・ポグバ。
・ロングボールのターゲット役
・相手のプレッシングを個で解決する役
・個でボールを略奪する役
と、これほどに何でも屋なのはポグバか星野源くらいのものである。
しかし、ポグバ以外がカウンターを仕掛けるとどうなってしまうのか。
*バイエルンの先制点を検証
左から右に攻めるユベントス。
しかしラーム、チアゴに横から挟まれ、正面からヴィダルが迎撃、ボールを奪う。
ボールを奪ったヴィダルからミュラーへ、ミュラーからロッベンに繋ぐ。
ここはエブラへの壁になる事で、ロッベンに余裕を持った状態でボールを貰わせるレバンドフスキの献身性が涙を誘いますね。
45度でボールを持つロッベン。この状況は非常に危険。
ここでの問題はユベントス守備陣がボールより前に4人しかいない事。
(味方の戻りを促すボヌッチが危険性を表してますね)
ここからロッベンはクロスを上げ、ドウグラスコスタが中央に折り返し、ミュラーが冷静に流し込んでバイエルンが待望の先制点を挙げる。
ペップバイエルンではお馴染みのWGからWGへのパス交換。
SBの外側、いわゆる大外と呼ばれるスペース同士のパスがどうして危険なのか。
(DF側の立場で言うと)
・DFはクロッサーに視野を固定されてしまう。
・視野を固定された逆SBの裏を誰もケアできない。
・パスが逆WGに渡ってしまうと視野と身体の向きを一度リセットし、ボールサイドに整えるのに時間が必要な上、クロッサーと守備側の動きを視界に収めながらパスを受ける選手に簡単に守備の穴を突かれてしまう。
この3点に尽きると個人的には思っています。
こんな暴力的オフェンスは世界でもナポレオンズしか守れないです。
首360度回りますからね。彼ら。
不況のせいで首が回らなそうそうですけども。笑
では立場を変えてOF側になってみましょう。
ロッベンがクロスを挙げる1秒前の写真。
ロッベンに対峙するエブラの脇にプレスバックするユベントスの選手が居るので、ロッベンの選択肢は自ずと縦を突破したクロスとなる。
クロスを上げるロッベンが狙うのは勿論、リヒトシュタイナーの両脇(赤丸)。
リヒトシュタイナーがボールサイドに絞るなら大外へ。
大外をケアするなら中央へクロスを上げるという算段だろう。
クロスを受ける側のドウグラスコスタでも同じ事が言える。
ボールサイドか外側のどちらか、リヒトシュタイナーがケア出来ない方へ走り込めば上質なクロスがやってくる。後出しジャンケンと同じ理屈ですね。
極端な話、ユベントスはこの状況を作られた時点で詰みなのです。
クアドラードが超頑張って中央のスペースを埋めて、リヒトシュタイナーに大外をケアさせればクロスは防げそうですけど、セカンドボールを絶対に拾われてしまうので、ミドルシュートをブッフォンに止めてもらうしか防ぐ方法はなさそうですね。
ただこの失点はユベントスの対応が悪いという訳ではなく、どうしようもないもので4バックの構造的な弱点(大外)を突かれた形の失点だと思います。
バイエルンに限らず世界的に主流の4バックの弱点を突くチームは日に日に増えてきています。ただこの大外→大外アタック、ブンデスの諸チームでは既に対策を見出してきているんですよね。
・もしキエッリーニがいたら
それが、こうです。
WGはSB(WB)がマンマークし大外を潰す。
PA内はCBを3枚並べ、ニア、中央、ファーを潰す。
これで大外へのルートを閉じ、単純なクロスも跳ね返せるってやりかたです。
バスケットボールの守り方「トライアングル&ツー」に発想が非常に似ているので気になった方は是非調べてみてください。
スラムダンクの湘北対海南の試合にも出てきますから。確か。
思えば、メッシの宇宙人サイドチェンジに沈んだ昨季のCLファイナルでも
「クッ・・・キエッリーニさえいれば・・・」と思ったユベントスファンも多いことでしょう。2nd legには間に合うそうなので、アッレグリの逆襲が楽しみです。
バイエルンが先制点を挙げ、前半が終了。
*後半
バイエルンは交代無しで後半が始まります。
1点を失ったユベントスは前半よりプレッシングの色を濃くさせます。
前半よりもボールを握る時間帯が増え、SBを使った有機的な攻撃を増やしていくユベントス。ただ、SBを上げるという事は後方のスペースを空けるのと同意語。
54’分、ユベントスはリヒトシュタイナー、エブラを高い位置まで上げた状態からクロスを上げ、跳ね返されたボールから高速カウンターで失点してしまう。
あの形まで持ち込まれてしまうとDFは外れるのを願うしか無い。
ロッベンのあれ、ズルいよなぁ・・・
62'分、丁寧に繋ぎ続けたユベントスが反撃の狼煙を上げる。
右から左に攻めるユベントス
GKからビルドアップしていく。
バイエルンのプレッシングを1枚ずつ剥がし、クアドラードがサイドで前を向く事に成功する。走り込むのはディバラとマンジュキッチ。
前半のポグバ同様、高速クロスを送り込むクアドラード。
ここでキミッヒがクリアミス。ボールはマンジュキッチの足下へ。
マンジュキッチからディバラへの優しいパスが通り、1対1を制したディバラがCL初得点を記録。沸き上がるユベントススタジアム。
球足が早くてバウンドの短いボールってコントロールしにくいので、直接通らなくてもこういったDFのミスが誘発されやすいので、非常に効果的ですよね。
19歳のキミッヒ、繋ごうとした若さが出てしまった1シーン。
これを糧に偉大な選手になってほしいものです
1−2、押せ押せのイタリアの巨人達。
こうなると精力的なプレッシングが途端に機能しだすのがフットボールの面白い所で、バイエルンの選手達は前半にはまるで無かったミスを連発。
少しずつノイアーを脅かすシーンも現れ始める。
しかし僕にはかえって危険な状況に見えました。
左から右に攻めるバイエルン
アラバとヴィダルの横パス交換を見ていられないケディラが2列目から加勢し、バイエルンにプレッシャーを与え始める。
一時的に4-3-3の様な形になる。
スタジアムの雰囲気に舞い上がり、おそらくアドリブ的に前へ出るケディラ。
ポッカリ空いた穴をラームは見逃さない。
FW-MF間に巧みにポジショニング。
ケディラのスペースに顔を覗かせるベルナトに繋ぐラーム。
ここでベルナトがエントレリネアスに成功。
背走状態になり一気にラインを下げられてしまうユベントス。
というように、このシーンに限った事ではなく、前から当たりに行く事でユベントスは前半にはなかったFW-MF間、MF-DF間のスペースを使われる局面が増えていきます。
負けている以上、前から仕掛けたい気持ちはわかりますがバイエルン相手にこのスペースを空けてしまうようでは本末転倒では?なんて気がしていました。
ただユベントスが動いた事で、第3者として見ている分にはかなり面白い展開に。
バイエルンが空き出したスペースを攻略し、3点目を上げるのが先か。
ユベントスがプレッシングからカウンターを発動させ、2点目を取るのが先か。
その答えは後者でした 。
左から右に攻めるバイエルン
GKノイアーからラームへの大きく蹴ったボールにポグバが反応。
高い位置でボールを奪う事に成功。
ファール覚悟で止めにかかるミュラーを逆に吹っ飛ばすポグバ。
中のマンジュキッチに繋いで、外のモラタに叩く。
モラタは頭で折り返し、走り込んできたストゥラーロが豪快なシュート。
ポグバ→マンジュキッチ→モラタ→ストゥラーロの外→中→外→中と視野をリセットリセットしまくる浮き球の連続パスでユベントスが魂の同点弾を叩き込む。
交代で出てきたモラタとストゥラーロがキッチリと結果を残す。
アッレグリ伯爵、恐ろしや。
己の見る目の無さと逆フラグ能力に涙を流していたら、試合が終了。
FT Juventus 2-2 Bayern Munchen
*感想
選手の力量、監督の采配、スタジアムの雰囲気と、どれをとっても非常にハイレベルで何度も見たくなるような試合でした。
マーティン・ア◯キンソンには荷が重そうだったので代わって上げてほしい。
リッツォーリさんとかに。
また、これからは自分達の絶対的なフットボールの形を持つチームよりも複数の引き出し、相手に合わせられる柔軟性の高いチームが強くなるんだろうなとも思いました。
ポゼッションもカウンターもプレッシングもリトリートも高いレベルで持ち合わせていないと、4傑にはなれない。8までならくじ運が良ければいけるけども。
それを没個性と言うか。時代の流れと捉えるか。
どの面をとっても90点、なおかつ得意な面では120点の力が出せるような総合力+αを持つ組織がCLのビッグイヤーを手にするんだなと思います。
個人的にはブレンダン・ロジャーズのスウォンジーとかアレクサンダー・ツォルニガーのシュツットガルトみたいなチームが好きなので、そういったチームが頑張ってこの舞台に登場してほしいと思ってしまいますね。。
1点集中型のチームは淘汰されていくと思うとちょっと寂しいよね。
そんな懐古主義で時代遅れ監督クラスタはパコ・へメスのラージョ、エディ・ハウのボーンマスに期待しましょう。
期待には答えてくれなそうですけどね。笑
それでは、また(西岡 明彦スマイル)
Liverpool × Leicester City
Liverpool × Leicester City
フットボールを愛する皆様、こんにちは。
いよいよ2015年も年の瀬。
世間一般では会社の忘年会や新年の年賀状、はたまた自宅の大掃除で忙しい日々を過ごしている中、こんなブログを見ている方は余程のフットボールジャンキーなんだなぁと察しています。
そんなジャンキーズは聖なるクリスマスも、きっと一人ぼっちで贔屓チームのさいきょうフォーメーションを考えていたんでしょうね。
ええ、安心してください。私もです。
さて今回のエントリーは今シーズン、プレミアリーグに大きなサプライズを巻き起こし、未だ快進撃を続ける首位レスターシティとリバプールのマッチレポートを。
*Starting Eleven
堂々の首位レスターは今日もお馴染みの4-4-2を。
ボランチのドリンクウォーターが欠場でキングを起用。
ほぼほぼベストメンバーで臨む事に。
一方のリバプール、まさかの4-4-2を選択。
イングス、ゴメス、スターリッジに加えアイブも体調不良、大黒柱シュクルテルも前節ハムストリングスを痛め欠場。
初の2トップ、サコーとロブレンのペア、リーグも3戦勝ち無しと不安要素を抱えるリバプールは本拠地アンフィールドにレスターを迎え入れます。
コッテコテの4-4-2同士は今では逆に珍しいですね。
古くからの英国フットボールを愛するプレミアリーグ中毒者は、よだれを垂らしながら見ていた事でしょう。
*前半
カウンターフットボールを志すレスターは潔く自陣に撤退。
ボール保持権は自然とリバプールへ。
約70%リバプールがボールを抱える前半となります。
・2トップの選択とレスターの守備ブロック
4-4-2崩しの起点となるのは主に2トップ脇。
ここから攻めたいリバプールと
高い位置で奪ってカウンターに持ち込みたいレスターの思惑がぶつかります。
右から左へ攻めるリバプール。
2トップの脇で持つとSHのマフレズが飛び出し、瞬間的な4-3-3を呈します。
また逆サイドでも同じように、クラインが持つとオルブライトンが飛び出してきます。
ヴァーディー、岡崎の2トップが左右にスライドする形も見られましたが、疲労面も考慮し、主にSHが対応する守備を見せるレスター。
献身的な10人でブロックを組むラニエリ感満載のレスターがドッシリと構えます。
・2トップという選択肢。
レスターに対するクロップのプランを検証。
まずは2トップの一角であるフィルミーノの起用。
右から左へ攻めるリバプール
ヘンダーソンからパスを受けるフィルミーノ。
ボランチ脇にヘンダーソンを流す事でレスターのマークを曖昧にするんですね。
2トップ脇のヘンダーソンからのパスを受けるフィルミーノ。
敵陣の最前線から中盤の低い位置まで下りてくるため,構造的にマークは付けられないのでフリーで前を向けるんですね。
またこの時、ボランチのキングを食いつかせたララーナのフリーランが地味ながら光りますね(白丸)
これでフィルミーノはボランチのプレッシャーを受ける事無く、余裕を持ってFWーMF間で前を向く。
フィルミーノからオリギへの縦パス
裏のスペースへ抜け出してシュートまで持っていくシーン。
しかし、デートはGOLD GYMに行ってそうなモーガン陸軍大尉が身体を張ってシュートをブロック。
続いて右から左へ攻めるリバプール。
SBを食いつかせつつ、CH、SHの中間となる三角形内にポジショニング。
2トップ脇からパスを受けるフィルミーノ。
パスをダイレクトでリターンも、SBオルブライトンが決死のカット。
外→中→外と良い攻撃のリズムを作ります。
右から左へ攻めるリバプール
ボールを保持するのはロブレン
全体が中へ絞っているレスターの守備ブロック。
必然的に外が開くので素直にSHララーナへパス。
守備ブロック全体をスライドし、密度を上げるレスター。
このとき白丸、フィルミーノはSBーCB間へフリーランニング。
フィルミーノはSB−CB間のフリーランでCBフートを食いつかせる。
と同時にララーナは斜めのクサビを打ち込み、コウチーニョの間受けが発動。
モーガンの裏へ走り込むオリギには僅かにパスが合わず・・・のシーン。
フィルミーノは自分の最適なポジションを確立出来ていないと言った弱点がありますが、それは言い換えるとプレーエリアが広く、こなせる仕事の幅があると言う事。
またフィルミーノは相手の守備ブロック内で呼吸ができる希有な選手でもあります。
コウチーニョを助けるフリーランや攻撃組み立て時のクッション役等、目立ちにくく数字に表れにくい仕事を見事こなしたと思います。
クロップの評価が気になりますが、次節明らかになるでしょう。
・相方のオリギ
上記のフィルミーノのシーンでも散々出ていますが、クロップがオリギに求めた仕事は明らかで、CBの裏を取る事。もっと言うと得点です。
セットオフェンス時にコウチーニョやフィルミーノが前を向くと、必ずモーガンやフートの背後を狙っていました。
そしてオリギは別の局面で真価を発揮していました。
右から左へ攻めるリバプール
オルブライトンをフィルミーノが潰し、ヘンダーソンの足下に転がる。
これをダイレクトでスペースへ蹴り込む。
裏へ抜け出してボールをコントロールし、シュート。
も、GKシュマイケルのファインセーブ。
別のシーンでも輝くオリギ。
左から右に攻めるレスター。
CKのルーズボールを収め、長い距離のカウンターを狙う。
と、ここで背後から猛然とプレスバックを行うオリギ。
フリーの味方へ繋ぐレスター。
オリギが足を止めず2度追う事で相手に横パスを選択させ、なおかつボールマンにプレッシャーをかけ続けることでカウンターの阻止に成功。
半ば強制的にロングボールを選択させ、リバプールCBがボールを回収。
オリギはこの試合
- セットオフェンスではCBの裏を狙い続ける
- カウンター時にはSB裏へのロングボールを収める
- 被カウンター時のファーストディフェンダー
として見事な働きだったと思います。
元々WGのオリギはスペースに蹴ったアバウトなボールを拾う事に関して、大きなアドバンテージを示します。
このシーン以外でもSBの裏に大きく蹴り込むシーンは何度もありました。相手が鈍足なモーガンとフートのペアというのもありますが、それを差し引いても強い。
幾度となく全力で走り込み、レスターに脅威を与え続けました。
この試合、何度かサイドに流れボールを受ける局面があったのですが、ボールを簡単に失わずサイドで攻撃の起点になれるのも元WGの強みですよね。
異なる武器で違いを見せたフィルミーノとオリギ。
クロップの2トップ選択は正しかったと言えるでしょう。
*レスターのカウンターとゲーゲンプレス
アウェイゲームという事もあり基本的に劣勢のレスター。
しかしながら、彼らはこの状況を苦にしません。
得点王ヴァーディーと岡崎の2トップ、マフレズ、オルブライトン両翼が攻め上がるラニエリレスターのカウンターとクロップリバプールのゲーゲンプレスのせめぎ合いは非常に見応えのあるものでした。
左から右に攻めるレスター
CKのルーズボールを収め、カウンターに繋げようとするオルブライトン。
同時に第二の矢オリギが挟むようにプレスバック。
オルブライトンはモレノにドリブルコースを切られたので、逆方向へターン。
背後には第三の矢、コウチーニョがプレスバック。
ロブレンも背後から迫る事で3方向から囲い込みます。
オリギとコウチーニョで挟み込み、僅か4秒でマイボールに。
リバプールは続けて攻撃することに成功します。
個人がこのエリアで3タッチ以上、もしくは4秒以上ボールをキープすると間違いなく囲まれボールを奪われてしまいます。
必要以上に手数をかけるのは悪手と判断したレスターは次の手を披露。
左から右に攻めるレスター
シンプソンは低い位置でボールを奪取、リバプール同様スペースに大きく蹴り込み、ヴァーディーを走らせる長い距離のカウンターを選択。
しかしコンパクトが生命線のリバプール。
CBをハーフラインより前に配置し、スペースへのボールを回収。
もう一つリバプールのコンパクトさを象徴する1シーンを。
左サイドからカットインするコウチーニョ。
それに対応するカンテ。
カンテの深いタックルがコウチーニョに炸裂。
幸運にもボールは岡崎の足下へ転がる。
レスターにカウンターのチャンスが巡る。
が、CBロブレンの超高速タックルでカウンターの芽を潰すリバプール。
コンパクトな守備陣だからこその素早いアプローチですね。
あと、ちょっと話は逸れますが、このシーンはちょっと異常です。
だってだって、赤線から後ろはCB1人しか残ってないんだもの。(爆)
ハッキリ言って狂気です。狂気。
CBの1人残しもおかしいけど、GKもノイアーではなくミニョレですよ?
リバプールOBであるグロベラーに「ミニョレはゴールに張り付いている。
シモンはドラキュラ以下だ。棺桶から出ようともしない。」
と辛辣にもほどがある言葉を投げつけられたミニョレと
サコーに広大なスペース管理を任せる監督がいるなんて・・・
「ドイツ人は現実的で、マジメで、常識の枠からはみ出さない」
という私の固定概念はリバプールの監督によって壊されました。スト2のボーナスステージに出てくる車のごとく。
ありがとうクロップ。でも正気の沙汰ではないぞ。
話を戻します。
低い位置から丁寧に繋ごう→囲まれて潰される。
スペースへのアバウトなボールだ→CBに処理される。
と来たら、次の手はドリブル単騎突破を選択。
左から右に攻めるレスター。
低い位置でボールを回収するフクス。
ボランチのカンテに縦パス。
寄せてきたヘンダーソンを交わし、一気にスピードアップ。
オルブライトン、岡崎も加勢し、攻め上がる。
一度交わされたヘンダーソンが、カンテを追い越し、鋭いタックル。
奪取したボールを素早く前線へフィード。
モーガン「何でだよ!」(憤怒)
という風に
様々な手段でカウンターを仕掛けるレスターと
それを防ぐリバプールの攻防が本当に面白かったです。
もっと載せたいシーンがたくさんあったのですが、割愛。
ホームのリバプールが圧倒的優勢なまま試合は進み、レスターの決壊も時間の問題かというところで主審マーティン・アトキンソンの笛が響き、前半が終了。
身体的、精神的に負担強度の高かったリバプール
これだけスプリントして無得点では割に合わないだろうなぁという感想。
対するレスターはなんとか凌ぎきったという状態。
無失点で終えられたの意味は大きい。
リバプールの足が止まる時間帯は必ず来るので、そこでの逆襲に期待。
*後半
共に交代メンバーはなし。
レスター側は辛抱強く持ちこたえる展開が後半も続きます。
一方、リバプールは少し攻め筋に工夫を加えます。
前述したように2トップ脇で持つとレスターは4-4-2から4-3-3に変わるのですが、リバプールSHのポジショニング次第で3-4-3に変わるんですよね。
前半から浮き球を使って、SBのいないスペースを活用しようとしていたのですが
その意識が更に強くなっているように見えました。
特に左サイドでこういった動きがよく見られました。
もしくはベンテケにSB裏のスペースに流れるよう、指示が出ていたのだと思います。
赤丸へ展開、そこから1ボランチになった中央への楔。
あるいはベンテケ、大外へのクロスという指示だと予想します。
ただ、この作戦あまり得策ではなかったのです。
*エンゴロ・カンテの存在
レスターSBが食いついたことで生まれたスペースを得る所までは、リバプールの思惑通りだったのですが、リバプールボランチが流れるとカンテが絶対に着いてきて、ボールを潰されます。
恐ろしく対人能力の高いカンテがリバプールにとって最大の障害となります。
この試合、カンテは誰よりも輝いていました。
左から右に攻めるリバプール
スピードに乗った状態でレスター陣内に切り込むララーナ。
が、後半75分過ぎの苦しい時間帯でも、足を止めずに身体を入れクリーンにボールを奪い取ります。
まさに個で奪えるボランチ。
右から左に攻めるリバプール
フィルもーのはヘンダーソンへのバックパスを選択。
低い位置でボールを奪取し、攻撃を組み立てようとするリバプールにカンテが猛烈なプレッシング。
それに呼応するようにオカザキも背後からプレスを連動しボールを奪取。
そのままドリブルで進撃し、エリア内のオカザキに縦パスをいれる。
というように攻撃でも十分な存在感を示します。
左から右に攻めるリバプール
サイドに誘発されたカンテから人数をかけ、ボールを奪取したリバプール。
ヘンダーソンはスペースに向けすぐさまフィード。
ヘンダーソンの高精度フィード1発でこの状況を作り出します。
ここで地味ながらスペースを作り出すフィルミーノのフリーランが輝きますね。
ララーナが赤丸へ走り込む
↓
ベンテケのパス
↓
ファン「Yeaaaaaaahhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!!!!!!!!!!!」
そんでクロップのジャンピングガッツポーズ!!!!
Vやねん!タイガース!!
の完璧な流れだと思っていたのですが
ぼく「なん・・・だと・・・」
快速すぎワロタwwwwwwwwwwwwwwwww
なんか画面の外からいきなり出てきたんですけどwwwwwwwwww
菊花賞のミスターシービーかよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
というように、攻守にわたって半端ねぇ脅威なカンテにリバプールは90分、苦しめられます。余談ですがカンテもフランス国籍なんですね。
おいおい、おフランスはどんだけ人材豊富なんだよって話です。
グリーズマンといいリベリーといい、インテンシティが服を着てるみたいなヤツが定期的に現れるフランスのこの感じはなんなんでしょうねえ。
(中にはベ◯・アルファみたいな選手もいるけども)
J sportsの解説に来ていた林選手は「攻撃の出来るマケレレ」という表現をしていましたが、個人的には「荒削りなマテュイディ」の方がしっくりくるような??
なんて言う訳でカンテが鬼のように対人が強い。
なおかつ浮き球だとコントロールも難しく、処理に時間もかかるのでリバプールはグラウンダーのパスを中心に崩していくことに。
トライアングルを作ってダイレクトに繋ぐことでチャンスを手繰り寄せます。
*先制点を検証
左から右に攻めるリバプール
サイドでトライアングルを作りクロスのタイミングを伺うシーン。
赤丸のSBモレノに注目。
SBモレノが「フリーラン」をすることで、トライアングルの一辺が変わるんですね。
これで先ほどまでトライアングルを構成していたチャンはクロスのこぼれ球を拾う。
あるいはカウンターのフィルターに専念できるのですね。
モレノのフリーランを警戒した相手SBとクロッサーに距離がわずかに発生。
フィルミーノは左足で柔らかいクロスをあげる。
ここでの注目はまたしてもララーナの「フリーラン」
相手CB、SBを引っ張る事でベンテケが超絶ドフリーに。
仲間の最高のお膳立てをベンテケが沈め、待望の先制点をリバプールが摑み取る。
これで攻撃しか選択肢の無くなったレスター。
*リバプールの4-4-2守備を検証
いつもの4-3-2-1ではないリバプール。
4-4-2に変えた狙いとしては、とてもシンプルでマフレズ、オルブライトンの両翼を最も警戒していたからなんですね
リバプールの守備シフト
SHとSBを縦に並べ、更にCHがフォロー。
念には念を。ということで守備ブロック全体をスライドし、ボールの無いサイドは捨てる。
基本中の基本ですね。
とってもわかりやすい守備シフトです。
リバプールとしては中央に絞りサイドに誘う込む。
それからスライドし、ボールを奪取。
奪ったら前線の2トップへ縦ポン。
文字にすると単純ですが、非常に緻密な戦術と日々の練習成果が出たのでしょう。
レスターのヴァーディーや岡崎は「味方ボールマンにノープレッシャー。なおかつ広大なスペースがあってこそ輝ける」選手なので、この状況での活躍は非常に難しい状況に。
さすがのマフレズ、オルブライトンでも単独突破を期待するのは酷。
後にターゲットマンとなるウジョア等を投入するも、サコー、ロブレンの牙城を崩せず、最後まで走りきったリバプールの完勝。
結果
Liverpool 1−0 Leicester City
*感想
ある意味、いつも通りだったレスター。
前述したカンテは勿論。
フート、モーガンのCBペアやマフレズは個で輝くものを見せていました。
この試合では中盤の要であるドリンクウォーターの欠場影響も大きい。
トップ4入りは冬の補強と対戦相手次第のように思えます。
相手にレスター対策を練られない限り、まだまだ勝てるチームだと思うので、シーズンを終えた最終順位が楽しみです。
本当によく走りきった。あの強度を90分保ち続けたことは驚愕。
それにしても、クロップは入念な対策を練るとドンピシャに当たりますなぁ。
今後も4-4-2が続くのか、4-3-2-1に戻すのか気になるところ。
相手によって使い分けて行ければ、CLも見えてくる??かな??
FW-MF間に絶妙なフリーランを仕掛けるヴァーディー対策として
モウリーニョはCBが徹底して付いて行くような方法を。
ファンハールは3バックの施工と、いずれも受動的な策。
しかし、クロップはヴァーディーにボールを触らせない策を採用し、完勝。
相手によって自分達を変えるか。
はたまた自分たちのやり方を貫くか。
結果に拠るものだけが正解の世界では、1試合だけを切り取り都合の良い解釈をすることは愚かであり、その状況状況におけるベストな選択肢をいかに迅速かつ正確にたぐり寄せることができるか。
これがフットボールの本質なのです。(ドヤァァァァァァ)
ただ、今回ばかりは自分たちのやり方を貫き
走り勝つスタイルを揺るげん・クロップが勝利を収めたのでした。
ということで今回のエントリーを締めさせて頂きます。
御後がよろしいようで。