ユーチューバーは排除せよ

帆純まひろさんのバウ公演主演作、「春琴抄」を視聴しました。タカラヅカさんでは「殉情」という題名にしてますが、普通に「春琴抄」で良かったでしょう。お墓の一件を持ってきたのは、原作のニュアンスを伝えたかったのかどうか知りませんが、今のユーチューバーとかに絡めた小芝居は、必要無かったようです。録画していたものを視聴したので、無駄な部分はスッ飛ばしました。ワザとらしい芝居はカットしても全く問題は無いし、余計な引っ掛かりが無い分、スッキリしてとても良いのです。この「春琴抄」、昔山口百恵さん主演の映画で見たことがあります。こいさん役の方は、そういう方に演じて頂きたいと思うのですが、帆純まひろさんの相手役の方は、つまり、その、ま、そういうわけでチョッピリ残念かな、なんて思っちゃったりしたのです。「春琴抄」は歌や踊り無しで、芝居をジックリ見せるべき演目でした。でも帆純まひろさんをタップリ堪能できたので、二重丸。

オリジナルキャラが美し過ぎる

BSNHKで放送した際、録画しておいた映画版「今夜、ロマンス劇場で」を視聴しました。私は月組さん版「今夜、ロマンス劇場で」を、映画版より先に、スカステで視聴しておりました。順番がアベコベでございます。月組さん版で見ていたので内容は知っているはずなのに、物語の輪郭を朧気にボヤーッとしか覚えておりませんでした。それは、加齢による記憶装置の著しい劣化によってもたらされた結果でありましょう。しかし、初見のような気分でこの映画を視聴出来るので、認知症まっしぐらの老化現象も、マンザラ捨てたもんじゃないなと思ったりするのです。映画版には、暁千星さんが演じた大蛇丸は登場しません。月組さん版のオリジナルキャラであったようです。暁千星さんのことが好き過ぎるので、大蛇丸の暁千星さんだけは、シッカリと脳裏に刻まれていたのです。映画版を見終えた後、月組さん版をもう一度見たくなり、再度見てみました。大蛇丸なのに暁千星さんはヤケに可愛いし、大蛇丸の手下として出てきた天紫珠李さんは、ナース役より断然カッコ良かったのでありました。出番は少なかったのですが、オリジナルキャラのディアナ役晴音アキさんは、やはり娘役さんの中でも特に目を引く美しさでありました。月組さん版の「今夜、ロマンス劇場で」は、映画版に負けず劣らずの面白さでありました。この「ロマンス劇場」と「鴛鴦」の併せ技一本で、脚本・演出担当、小柳奈穂子さんを、今後は小柳奈穂子先生と呼ばさせて頂きます。

目玉おやじは愛妻家

アマプラでボクシングを見たついでに「ゴジラ-1.0」を見て、そのまたついでに「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を見ました。つまりついでのついでに「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を見た、ということで期待もその程度だったわけです。で、見終わった感想も、その程度だからしゃぁないわ、であります。前半部分は、横溝正史金田一耕助シリーズのパーツを組み合わせたような内容でありました。正直、コレ何なの?状態でワケ分かりません。ねずみ男っぽいヤツが出てきたり、鬼太郎の先祖っぽいのも出てきたりはしたけれど、唐突過ぎて何だかよく分かりません。後半になり漸く妖怪ものっぽくなってきたのですが、しかし鬼太郎でなくてもいいような気がします。桜の木の下に屍が……というのは梶井基次郎の小説にあったようですし、気が付かなかったけれどきっとイロイロとそんなものが散りばめられた作品なのでしょう。鬼太郎誕生秘話なら墓場鬼太郎で十分で、こういう作品は蛇足というものでしょう。

シンvs-1.0 どちらに軍配を

アマプラで「ゴジラ-1.0」を視聴。海外でも評価されていたらしいので少しは期待したのですが、肩透かしを食らった感じであります。役者さんの大仰な芝居がリアリティを薄めてしまい、映像全体に安っぽい印象を与えてしまっていたようです。重厚な芝居をする大御所的な重鎮が見当たらなかったというのも、薄っぺらな印象の原因だったのかもしれません。目をムかない吉岡秀隆の自然な演技が際立って見えたのも、周囲が演技過剰だったからなのでしょう。しかし、吉岡秀隆演じる学者が提唱したゴジラ退治作戦の、何とお粗末なことか。思わず「まじっ?」と叫びそうになってしまいました。この辺りの精緻な作戦の作り込みは、シン・ゴジラの方がはるかに優れておりました。終戦直後や復興した東京の景色は、何か拡大鏡を使ってジオラマ世界を覗くようなスケール感で、残念なのでありました。私が一番ダメ出ししたいのは、主人公敷島であります。エヴァンゲリオンのシンジ君のようなウジウジした駄目男は、見ていてイライラしてしまい、フラストレーション溜まりまくりであります。こんなヤツに浜辺美波さんのような美しい女性とハッピーエンドなんて、許せないわけです。私のようなアンハッピーな結末が確定している恵まれない野郎には、オススメしかねる映画なのであります。最後に良いと思ったところも語っておきましょう。ゴジラが銀座に上陸したシーンは、絶対に「大魔神」へのオマージュでしょう。こういうセンスにはニンマリとなったのでした。

古臭いものは駆逐していかないと

スタンダールの原作を知らず、何の予備知識も無いまま23年星組さんの「Le Rouge et le Noir ~赤と黒~」を視聴しました。存外に面白かったので、宝塚で過去に上演した「赤と黒」はどんなんだろうと興味が湧きました。探してみると、スカステで放送していた柴田侑宏版をシッカリと録画しておりました。安蘭けいさん版と珠城りょうさん版の2本あったのですが、どちらも全く視聴しておりません。私にとっては、お二方とも猫またぎ状態のトップスターさんであります。今回は珠城りょうさん版「赤と黒」を視聴してみました。さて、どっちが良かったかというと、星組さんのフレンチロックミュージカル版であります。星組さん版には暁千星さんが出演しておりますので、暁千星さんのことが好き過ぎる私としては当然過ぎる結果ではあります。ジュリアンが策略にハマってしまう過程など、星組さん版の方がスッキリと分かり易くて良かったのです。柴田侑宏版は構成が何か回りくどくて、シンドイ感じがしました。柴田侑宏版で思わず笑っちゃった場面がありまして、「恋は曲者、女は魔物」と何故かフラメンコタッチの曲調に合わせた短いフレーズの唄の合間に、小噺的セリフを挟むという昭和のボーイズ芸もどきのところです。柴田侑宏渾身のギャグなのでしょうが、昭和の古臭過ぎる脚本を忠実に再現してしまう演出は、律儀なのにも程があると言いたいところです。令和の時代なのにね。どうにも分からないのが娘役さんです。美園さくらさんや天紫珠李さん、出演はされてなかった海乃美月さんを含めても、個人的には晴音アキさんが一番魅力的な娘役さんに映ったのですが……。タカラヅカさん的評価と私の感覚には、相当な乖離があるようです。

遺恨試合の違和感

5.6東京ドーム決戦は、井上尚弥選手が初回ダウンのハプニングを跳ね返して逆転KO勝ちしました。悪童ネリ退治に、溜飲を下げる思いがあったのは事実であります。しかし、冷静になって考えれば、ボクシング競技に、遺恨めいた付加要素は不必要であると思えます。いや寧ろそうした怨念とかドロドロしたものは、ボクシング競技から完全排除しなければならないものでしょう。井上尚弥選手が見せた試合開始直後の「力みとカタさ」は、東京ドーム興行という高揚感もあったでしょうが、遺恨試合としての盛り上がりを狙ったプロモーターの、商売っ気の副作用であると思ってしまいます。もし井上尚弥選手のメンタルがヤワであったなら、井上選手はそのまま東京ドームの魔物に飲み込まれてしまったかもしれません。会場に響く悪童ネリに対するブーイングも、凄まじいものがあったと聞きます。嘆かわしいことです。命を賭してリングに上がるボクシング競技者には、常に最大のリスペクトをもって迎えられるべきであります。更に井上尚弥選手がリング上で時折見せる挑発パフォーマンスも、今後完全封印して頂きたいと個人的には思っています。井上尚弥選手はソンナ安っぽい演出的要素が無くても、卓越したボクシング技術と並外れたパワーで、観客を十分に満足させることが出来るからです。でも、トレーナーであり父親である井上真吾さんのヤンキー気質を、井上尚弥選手は受け継いでいるのかもしれません。何せ親子だからねぇ。

必殺!アトミックドロップ

OSKの株が上がった連ドラの「ブギウギ」ですが、総集編を放送しておりましたので視聴しました。総集編というより、要所を繋いで疾走するダイジェスト版といった趣でありました。宝塚ではロケットと称してるアレですが、SKDではアトミックと言ってたようですので、劇中のUSKでもアトミックと言って欲しかったところです。何かの番組で倍賞姉妹のどっちかが「アトミックの時にさぁ」とか言ってたのですが、倍賞姉妹のどっちかが「アトミック」と言うと、何かトテツもなくカッコ良いように聞こえたのです。しかし、この「ブギウギ」、他人の褌で角力をとる方式で宝塚歌劇団でやっても面白いのではないかと、外野席の野次馬は思ったりするのです。