健康な乞食は病める国王よりも幸福である
このブログでは、科学的に証明され、現実的なコストで実行可能な、無理なく続けられる健康法を紹介していく。
健康的な食事についての考え方はこちらの記事を参照されたい。
健康な乞食は病める国王よりも幸福である
ニーチェの師匠としても有名なドイツの哲学者ショーペンハウアー先生の言葉である。
人生において「人付き合いは幸福より不幸を多くもたらす」として孤独を勧めるなど暗い印象を持たれることもある哲学者だが、いかなる快楽も健康なくして味わえないことは、多くの人が認めるところであろう。
ブログタイトルの「Healthy Correction」は、元々は金融市場で上昇相場時には適度な調整(価格の下落)が起きることが好ましい、といった意味で用いられる。
響きが気に入ったので、「人生を健康的に改善する」という意味でブログタイトルに拝借している。
ニコチンはアヘン類、大麻、コカインと同列の依存性薬物
また、日本人の健康な身体を蝕み、受動喫煙で年間15000人殺害しているタバコについての最新情報を随時お知らせしていく。
日本では先進国の中で最も喫煙に寛容であり、普通に生活しているだけでも様々なシーンで受動喫煙被害に遭ってしまう。
したがって、日本で健康になるためには、タバコ問題は避けては通れないのだ。
なお、ショーペンハウアー先生の主著は、「意志と表象としての世界」という長大な論文で、読みこなすのは大変だ。
代わりに読みやすいエッセイが複数日本語訳で出版されている。
社交に興じる愚かな庶民を恐ろしく切れ味鋭い文章でぶった斬る様は、大変痛快であるので、孤独を好む人は一度エッセイに目を通してみて欲しい。
【禁煙アパート建築記1】想定入居者と付帯設備
敷地内全面喫煙禁止の集合住宅建築計画
建築を決意したものの、建築業界の職人不足の影響もあり、なかなか建築費用等で折り合いがつかず、建築業者の選定が難航していた。
その後、何とかコストダウンの工夫をしていただき、建築会社を決定し、いよいよ建築開始に向けて動き出すことになった。
今回は、アパート想定入居者から間取り、設備の選定について紹介したい。
敷地内完全禁煙のアパート完成予定は2020年2月である。
想定入居者
建築予定地域は比較的ファミリー物件が豊富で、築浅で広めの単身向け物件が少ない。まずこの調査結果からターゲットを単身者に絞ることにした。
非喫煙者で健康意識の高い想定入居者が「広さ・設備より家賃の安さ」を第一に求めているとは考えにくいので、戸当たり30㎡を確保する。
実は30㎡を仕切って1LDKにしてしまうと、一部屋が狭くなるうえに寝室のエアコンを追加で用意する必要があるなど、かえって1Kより暮らしにくいという説もある。
そこで対面キッチンを備えた広めの1K・1Rにできないかと提案したが、有効採光面積の関係でこれ以上リビングを広くするのは難しいとのことだった。
また、建築会社および管理・仲介会社から、「一般的な入居者の方にとっては1Kより1LDKで募集したほうが興味を持ってもらいやすい」との意見が出た。
必ずしも禁煙アパートの最適地域ではない
実際のところ、この地域は「外国人を含む単身の男性労働者」が多く、より禁煙物件の需要があると推定される「中流以上の単身女性」という入居者は少ないのかもしれない。
しかし、全国的に敷地内禁煙の集合住宅そのものがほとんどないことから、立地に関わらず全ての入居者層へ一定の需要があると考えている。今や男性も過半数は非喫煙者だ。
そもそも禁煙でないアパートを建築するつもりはなく、この案件は「喫煙率が比較的高い地方都市において禁煙アパートの需要があるのか、その入居者の属性に特徴はあるのか」といったマーケティングの側面もある。
付帯設備
賃料の安さを売りにしないという方向性から、間取りと同様に付帯設備もある程度充実させておく必要がある。
インターネット・Wi-Fiサービス
近年のトレンド設備は、インターネット(Wi-Fi)無料提供サービスと宅配ボックスである。いずれも導入に数十万円の費用がかかることから、費用対効果を考慮しなければならない。
5G時代の自宅Wi-Fi
インターネット無料設備は、入居者側で契約の手間がかからず、オンラインゲーム等のヘビーユーザーでないかぎりは魅力的な設備となる。
都市部ではWi-Fi無料物件は増えてきているが、地方ではまだ少なく、近隣との差別化になると考えられる。
しかし、5年は戦える設備であるものの、5Gが普及した時には魅力が薄れている可能性がある。もっとも、アパートWi-Fi業者は、5Gがらみの質問をよく受けるようで、「モバイル高速通信が普及したとしてもギガバイト料金単価が劇的に下がるとは考えにくい」という理由から、しばらくは自宅の固定回線需要は落ちないと回答しているようだ。
また、スマートハウスなど住宅のIOT化を進めるためには、固定回線がある方が都合がよいため、しばらくは求められる設備であることは間違いない。
大家には戸当たり2000円程度の維持費が、「空室でも」かかってくるというリスクがある。
宅配ボックス
宅配ボックスも必須になりつつある設備だ。今回は6世帯の計画なので、宅配ボックス2個が標準的な配分になる。
絶対個数が少ないので、恩恵が一部ユーザーに偏ってしまいかねないこと、業界で宅配ボックスの規格がまだ標準化されていないという課題がある。
女性にとって魅力的な設備
相対的に喫煙率の低い女性を意識した設備の導入は積極的に行いたい。
具体的には、風呂の追い焚き機能、浴室乾燥機、屋内物干し、単身向けとしては広めのキッチンを標準設備とした。
また、今回の物件は小規模であり、設計上もオートロックの導入が困難であったため、防犯設備としてエントランスから駐車場をカバーする防犯カメラを設置する予定である。
Edy対応カードキー
IOT対応設備の導入も検討したが、まだ賃貸物件向けの設備は少なく、一部大手ハウスメーカーで導入事例が見られる程度である。
AIスピーカーと対応照明器具の導入程度であれば、完成後に容易に追加できるし、大きな訴求力があるとは考えにくい。
そこでスマートフォン時代の設備としては、LIXILのショールームで実際に試して具合のよかった「カザスプラス(Edy対応カードキー)」を導入することにした。
今のところiPhoneでは使えないが、Androidのおサイフケータイ、汎用Edy対応カード、キーホルダー型Edy内蔵キーをかざすだけで、施錠・解錠ができる。
完成時期
順調に進めば2020年2月に完成予定であるが、繁忙期中に満室に近い状態に持っていくためのスケジュールがややタイトである。
しかし、この先は自分の力ではどうにもならない部分が多いので、天候に恵まれることを祈り、建築会社の派遣する職人さんに頑張っていただくしかない。
野菜を味わう洋風古民家カフェ『リトルムッシュ』【岐阜県可児市】
野菜を味わう洋風古民家カフェ『リトルムッシュ』
名鉄可児川駅から徒歩10分ほど。
それなりに車どおりはあるが、比較的ゆったりした間隔で民家が並ぶ閑静な地方都市。最近訪れるカフェは立て続けに古民家再生タイプであるが、例によって外観からは飲食店であるとは気づきにくい。
よくある古民家カフェと異なるのは、洋風な建築であるところ。店の前には春めいた野菜畑がある。
おしゃれなエントランスも昔のままのようだ。
まきは冬に使うのだろうか?
隅々までリフォームされた店内は、洗練されており古民家カフェというよりレストランのクオリティ。テーブルが広くて使いやすい。
この日は男性シェフが一人で対応してくれた。
4月の盛り合わせ料理 1200円
スープから。
やさしい味付け。
新鮮な野菜の素材を味わうタイプの料理である。メインはやや少な目だと感じる人もいるかもしれない。
この手の店に料理のボリュームを求める人はいないと思うが、男性の場合はデザートをセットにすると全体として満足できる分量だろうか。
ドリンク&デザートセット +500円
台湾高山茶と地養卵カスタードプリン
プリンは素朴な味わい。意外にも添えられたパクチーとの相性がよい。
最後に台湾旅行でも飲まなかった台湾茶を味わって、至高の時間を過ごすことができた。
又兵衛桜と山里にひっそりとたたずむ玄米ごはんのカフェ『ねころん』【奈良県宇陀郡曽爾村】
ランチの予定変更から出会った店
三多気の桜の満開はまだ早いと知りつつ、休みの都合で三重県をドライブ。
ランチを予定していた『Pizzeria e trattoria renone』は、休日は予約のみとなっており、駐車場で電話するも今日は満席とのこと。
急遽、マップアプリで検索すると、近くにいい感じのカフェがあるので、電話で営業を確認してお邪魔することにした。
玄米ごはんのカフェ『ねころん』
すでに三重県を過ぎて奈良県に入っている。
天気は快晴。休日だというのに静まり返った山里でGoogleの道案内が終わった。本当にここであっているのかとGoogleを疑っていたところ、「necoron」と書かれた看板を発見し、細い道をさらに入っていく。
道路側の外観は何の変哲もない古民家にしか見えない。何と入口は道の反対側だった。
古民家カフェの見本のような入口。
店内もセンスよく作りこまれている。店名から分かるとおり猫推しだが、たまたまなのか猫の姿はなく、店内に置かれた本も猫系のものは目につかない。
ランチは1種類 900円
今日のメニューは、玄米ちらし寿司、鮎のさんしょ煮、サツマイモのレモンジンジャー煮、蒸し鶏のスープ。
玄米酢飯の上の少し焦げ目をつけた菜の花が香ばしく、季節を感じさせる。
ヘルシーなメニューだが、薄味ではない。骨も頭も軟らかく煮こまれた鮎の煮物は、むしろしっかりした濃い目の味付け。
この後のドライブでスイーツ休憩があることを見越して、デザートは見送らせてもらった。
今回は下調べなしに見つけたカフェで、美味しい玄米ご飯が食べられたことはラッキーだった。
玄米は酢飯とも相性がいい。そろそろ玄米寿司が流行ってくれないだろうか。
又兵衛桜(瀧桜)
その後、訪れた又兵衛桜は見事な満開!
盆栽 苺パフェ
おやつタイムはノープランだったので、検索してみると、帰り道沿いに雰囲気のよさそうなカフェがいくつかある。
その候補から宇陀市内の『町家盆栽Cafe コトノハ』を選び、イチゴパフェを食べて帰途についた。
Googleマップに助けられた一日だった。
安価な電動歯ブラシは充電池タイプの『パワー&持続力』が優秀
安価な電動歯ブラシは充電池タイプの『パワー&持続力』が優秀
以前、適切な歯磨きの方法を取り上げたが、医療の中でもビジネスの側面が強く出る分野のためか科学的根拠のある方法論が見つけにくい。
総合すると、以下のポイントを押さえておけばよいと考えている。
- 唾液の殺菌作用を適切に使う
- 食後は唾液が落ち着くまで歯磨きまで少し間をおく
- 歯磨きできないときは、舌を動かして唾液を出す
- 歯磨き粉は低刺激なタイプを就寝前だけ使用する
- 歯ブラシとフロスは機能が異なる
- 最低でも1日1回はフロスを併用する
低刺激の歯磨き粉は、iHerbで購入できる『Now Foods, ソリューション、Xyli−White(エキシリルホワイト)歯磨きジェル、リフレッシュミント』などがある。
日本の大手メーカーの販売する歯磨き粉は、歯はツルツルにはなるが、刺激が強く味覚を狂わせる商品が多い。そのため筆者は、歯みがき粉不使用でも歯垢を落としやすい電動歯ブラシを愛用している。
長年、様々な電動歯ブラシを渡り歩いてきたが、決定版となりそうな製品に出会ったので、記事にしておきたい。
重視するポイントは以下のとおり。
- 高品質な換えブラシが安価に入手可能
- 振動のパワーが十分にある
- バッテリーの持ちが良い
高品質な換えブラシが安価に入手可能
オムロンの換えブラシは、ブラウンなどに比べて純正品が安価であり、バリエーションも豊富だ。 その中でも「ステイン除去ブラシ」が優秀で、これがあるからオムロンを使っていると言っても過言ではない。
ところで電動歯ブラシの正しい使用方法は、歯と歯ぐきの間を中心に「当てる」ことであって、普通の歯ブラシのように大きく動かす必要はない。
ただこの方法は、十分な振動数の電動歯ブラシである程度のコシのあるブラシを使わないと、歯の表面のざらつきが残ってしまい、電動歯ブラシが敬遠される原因にもなっている。
オムロンのステイン除去ブラシは、その名のとおりステイン(歯石)を除去するためのブラシであり、中央のコシのある硬い毛にコシがあるため、ソフトに当ててもかなり歯垢を除去してくれる。
周囲には極細毛も配置されており、歯周ポケットにも対応できるため、「ステイン除去」と銘打っていながら実は万能タイプの換えブラシとなっている。
旧パッケージ品は、ヨドバシドットコム等で1本あたり300円程度と安価に販売されていたが、新パッケージになってからは、400円オーバーとなってしまったことは残念だ。
歯ブラシは長く使うと不衛生かつ機能低下しがちなので、安価な製品を早めに交換することを推奨する。
振動のパワーが十分にある
オムロン製品にも充電池モデルはあり、同ランクの製品も所有しているが、乾電池タイプをエネループで使用したほうがパワーがある。
ミドルクラス以上の電動歯ブラシは、ほとんどがリチウムイオン充電池タイプで、スペック上は、安価なエントリーモデルより振動数で勝っている。しかし、使用するにつれてどんどんバッテリー性能は落ちていく。エネループなら劣化も少なく、劣化したとしても交換すればよい。
バッテリーの持ちが良い
バッテリーの持ちは段違いである。
どんな高性能な電動歯ブラシでも、磨き終わる前に電池が切れたらただの歯ブラシになってしまう。
リチウムイオン充電池タイプが数回で充電が必要になるのに対し、エネループは1日2回使っても1週間以上は持つ。
Amazon充電池
ところで、サンヨーからパナソニックブランドとなってからもエネループの製造は続いているが、安価な代替品もある。
Amazonベーシック版の充電池は、サンヨー時代の旧エネループのOEMではないかと言われており(製造メーカーが同じ)、もちろん日本製である。
現行のエネループに比べて充電回数が劣るものの、基本性能に大きな差はなく、100円均一の充電地よりはるかに品質が高い。
価格は変動があり、タイミングによっては1本あたり約150円で購入可能。アルカリ電池は買わなくなってしまった。
旅行用に最適
メインでハイスペックな電動歯ブラシを使っている方にも、旅行や職場用に軽量コンパクトな充電池式を推奨できる。
リチウムイオン充電池タイプと比較して電池の持ちが圧倒的で、充電の手間がほとんどないのはとても快適だ。
【追加+3】職場の机に忍ばせておきたい健康的なおやつ
職場の机に忍ばせておきたい健康的なおやつ
新たに発見した3種を追加しておきたい。
HAPPYデーツ(ハッピーデーツ) UHA味覚糖
【原材料】
デーツ、カカオマス、赤糖、ローストアーモンド、ココアパウダー、濃縮デーツ果汁、食塩(宮古島産海塩)
[原材料に含まれるアレルギー物質(27品目中):該当なし]
素材を味わう全粒粉バー お菓子のサンコー
国産の小麦全粒粉を使用したバーで、こちらも卵・乳製品不使用。
【原材料】
小麦全粒紛(国内産100%)、カレンズ、植物油脂(ごま油)、有機オートミール、アーモンドパウダー、有機メープルシロップ、米飴、食塩
小麦は全粒粉(茶色い炭水化物)であれば、健康を損なわないことが明らかになっている。
健康的な食事に関するエビデンスのまとめ – 医療政策学×医療経済学
「素材を味わう」とのキャッチコピーどおり、かなり噛み応えがあり、少量でも食後の満足感が高い。「硬くて食べにくい」といったレビューを見かけるが、玄米や全粒粉食品を食べ慣れていると、むしろこの程度のパサつきや歯ごたえは自然に感じられる。
1袋あたり270円ほど。先ほどの「HAPPYデーツ」よりはボリュームのあるおやつになる。有機キヌアのマクロビクッキー 成城石井
【原材料】小麦全粒粉、ココナッツオイル、ココナッツシュガー、キヌア、蜂蜜、食塩
港町の古民家カフェ『Rainbow Art』【愛知県知多郡美浜町】
港町の古民家カフェ『Rainbow Art』
今まで基本的には健康的な食材であることの確実な玄米食のレストランを紹介してきたが、雰囲気、料理、接客があまりに素晴らしいカフェに出会ったので、雑穀ご飯の店として取り上げたい。
rainbowart.jp
閑静な港町のカフェ
『畑カフェ Rainbow Art』は愛知県の知多半島にある美浜町の古民家カフェで、セントレア(中部国際空港)から車で30~40分程度の立地となる。
県外の方にとってはアクセスしづらい立地であるが、知多半島は離島グルメなど見所も多いので、観光の際はチェックして欲しい。
古民家の雰囲気を残しながら、隅々まで計算し尽くされたインテリア。
ランチは11時から
プレートランチとカレーが中心メニューで、地元の新鮮野菜や魚を使った手の込んだ料理が楽しめる。
平日とはいえ、このクオリティでなぜ他にお客さんがいないのだろう?と思っていたら、12時近くになるとあっという間に満席となった。
デザートも完璧
ハーフサイズのケーキがランチ+200円で付けられる。この日はチーズケーキだったが、パーフェクトな仕上がりであった。
ドリンクもランチ+200円。メニューにはないホットカフェオレの要望にも快く応じてくれた。
接客も心地よく、至福の時間を過ごすことができた。
営業日は変則的
不定休なのでInstagramによる営業時間の事前確認は必須。
禁煙アパート建築の野望〜集合住宅において、吸う人と吸わない人は共存できない〜
禁煙アパート建築の野望
以前より暖めていた、禁煙アパートの建築計画を進めていくことにした。1棟目は親が相続して放置していた築古空室アパートの土地活用を検討している。
融資の問題等、超えなければならないハードルがいくつかあるので、最終的に完成に至るかどうかは分からないが、この経験は「完全禁煙の集合住宅を提供する」という野望の今後の展開に活かされるだろう。
禁煙アパート建築記シリーズの序章として、喫煙禁止の集合住宅が必要とされる理由について説明しておきたい。
※本来は「喫煙禁止」と表現すべきだが、一般的になじみのある表現としてあえて禁煙アパートと呼んでいる。
※※ここでの「禁煙」の定義は、電子たばこ、加熱式たばこを含むあらゆる依存性薬物の使用禁止である。
プライベート空間における受動喫煙被害
2018年に成立した改正健康増進法により、喫煙天国の日本においても飲食店をはじめとする公共空間の喫煙規制が少しずつ強化されてきた。
しかしながら、個人の居住空間における規制はなく、家庭内受動喫煙による子供の深刻な健康被害や集合住宅におけるベランダ喫煙トラブル、たばこの不始末による火災など、たばこ関連の悲劇は飲食店以外でも枚挙にいとまがない。
喫煙禁止の集合住宅が必要とされる理由
ベランダ喫煙問題
アパート・マンションにおいては、住民同士の距離が近いうえに建物の一部を共用しているため、たばこ関連トラブルが起こりやすい。
近年、集合住宅におけるベランダ喫煙トラブルが多発しており、受動喫煙による健康被害によって裁判にまで発展した例がある。
ベランダでの喫煙に対し、 損害賠償命令が出された事例/名古屋地方裁判所 平成24年12月13日 | 大阪市マンション管理支援機構
喫煙者の家族の健康被害や自室のヤニ付着を防ぐために、隣人の洗濯物を汚染したり他人の健康を奪うことは許されない。
加えて集合住宅のオーナーや管理会社には、入居者が居室内で健康で文化的な生活を営めるよう適切に管理し、精神的苦痛や健康被害が生じないようにする義務がある。
換気扇喫煙問題
上記のベランダ喫煙トラブル増加の影響もあり、室内の換気扇の前で喫煙するケースも多い。
しかし、たばこの煙は換気扇の排気口からベランダ方面、共用部の廊下方面に流れ出るのであるから、「犯人」が分かりにくくなっただけで状況としては大きな違いはない。
しかも大規模マンションなど機密性の高い建物の場合、排気ダクトが共用になっている場合もあり、換気扇から他人のたばこの煙が流入してしまうことさえある。
※これは筆者も実際に体験しており、一時期、謎のタバコ臭がキッチンに漂っていたことがある。調査によって換気扇が流入元だと判明した。
どんな部屋でも空気の入れ替わりは必ずあるため、喫煙者が同じ建物内で喫煙したら受動喫煙被害を防ぐことはできない。 集合住宅で隣に喫煙者が住んでいるという事は、喫煙所の隣で生活しているようなものである。
無用な火災リスク
火災リスクの増大も無視できない。近年の喫煙率の低下にもかかわらず、住宅の主要な出火原因はたばこである。
集合住宅のたばこトラブルを防ぐ禁煙アパート、禁煙マンション
ここまで見てきたとおり集合住宅においては、喫煙者と非喫煙者は共存する事ができない。しかし、日本で供給されている集合住宅のほとんどに喫煙者が住んでおり、ベランダを含む共用部分喫煙禁止のルールが定められているケースはあるものの、室内の喫煙を禁じているケースはほとんどなかった。
そんな中、近年の喫煙規制の流れに呼応して少しずつではあるが、禁煙アパート、禁煙マンションが供給され始めている。
大家にとってもメリットが多い完全喫煙禁止の集合住宅
賃貸住宅でトラブルが起きた場合、たいてい退去するのはトラブルを起こした側ではなく被害者側である。
さらにたばこの煙による居住設備の劣化が起きないことなど、退去時の原状回復費用トラブルの原因も少なくなる。
喫煙禁止住宅という選択肢
禁煙アパート、禁煙マンションが増えてきたとはいえ、わざわざニュースになるほどに数は限られており、個別の地域で見た場合にはまだ選択肢がないというのが現状である。
個人で建てられる集合住宅の規模は小さく、全国の非喫煙者に選択肢を与えられるほど拡大することはできない。
それでも完全禁煙の集合住宅運営の成功事例が増えることで、ビジネスとして大手企業も参入するようになり、スモークフリーの集合住宅が選べる時代が来れば幸いである。
参考リンク
近隣住宅受動喫煙被害者の会
夜間労働者の健康と夜勤明け勤務の危険性について
夜間労働者の健康と夜勤明け勤務の危険性について
関連して、夜間勤務についても同様に健康被害を懸念する研究がいくつも発表されており、現在も夜間勤務の適切なオペレーションについての検討が様々な業種でなされている。
また、夜勤明け(業務中)の労働者は、マイクロスリープ現象によって著しく集中力が落ちるという事が分かってきた。
しかしながら、これらの健康被害については、短期間で直ちに顕在化するものは多くないため、現場において夜間勤務および夜勤明け業務の危険性が軽視される傾向にある。
そのため、行政機関や業界団体による夜間勤務および夜勤明け業務の制限やガイドライン作成が必要である。
夜間勤務の健康被害
ここでは、2016年に発表された大規模な追跡調査を紹介したい。
これはアメリカの看護師74,862人に対し、1988年〜2010年にわたり行われた調査である。
・夜勤のある人は夜勤のない人よりも死亡率が11%高い
・夜勤を6〜14年している女性は、心血管疾患による死亡率が19%高く、15年以上している人は23%高い
・トータルではがんと交代制夜勤との関連は認められなかったが、肺がんに関してのみ死亡率が25%高い
夜勤明け業務の危険性
危険で気づきにくいマイクロスリープ
このようなごく短時間の突発的な眠りを「マイクロスリープ」という。マイクロスリープは予兆もなく、わずかな時間で覚醒するため、本人も周囲も気付かないことが多い。
したがってマイクロスリープは、夜勤明けに業務を行う様々な業種において、無自覚な集中力の欠如による危険を引き起こすことが予想される。
夜勤者の車通勤は危険
この調査は夜間勤務後の運転能力を測定する目的で、夜勤後の被験者の運転する自動車に監視および安全担保のための調査員を同乗させて行われた。
このグラフによると、緊急ブレーキや調査員による運転の強制終了が、運転開始後45分以降に夜勤明けドライバーにのみ起きている。 ドライバーは実際の運転で通勤中にこのような頻繁な休憩を取らないが、調査では休憩を取ったにもかかわらず顕著な運転能力の低下が起きた。ただし、夜勤後に単独で運転している場合と比較すると、睡眠を評価するために15分ごとに実施された休憩が、運転者の運転能力低下の方向に影響した可能性はある。 しかし、この調査結果は、夜間シフト作業員の実際の運転状況におけるフィールド調査の結果と一致しているという。*1
詳しく見ていくと、夜勤明け運転者の運転障害は45分後により深刻になるが、最初の15分以内に車線の逸脱および眠気を示す指標が悪化している。また、マイクロスリープの回数も運転開始後30分で1時間あたり0.13回から1.31回に急増した。
したがってこれらのデータから、通勤時間の比較的短い夜間労働者においても、疲労に関連した運転事故が起こりやすいと推定できる。
これらの調査結果は、他者の命を預かる運転者(電車や夜行バス、旅客機パイロットなど)に対しても当てはまることが考えられ、公共交通機関の安全を脅かす事にも繋がる。労働者および管理職双方の睡眠不足に対する意識の低さが事故を誘発する
例えば、筆者が関わったことのある夜間勤務のある職場では、「夜勤明けに溜まっている仕事をこなすべき」という風潮すらあった。
長期的な健康への悪影響だけでなく、勤務中に起きるマイクロスリープの危険性を考慮すれば、夜間勤務は不要不急の深夜労働の規制やガイドラインの作成などにより、国家レベルで対応を検討する価値のある問題ではないだろうか。