jackals and flames

海外サッカー備忘録。Cityzens/アトレティ

1718 マンチェスターシティ選手簡易評 GK/DF編


 前回の記事(しかも書きかけ)から1年が経ってて変な声が出ました。
 なんでも三日坊主な私なんですけど、それにしてもこの一年はあっという間だった。仕事も忙しかったし、シティはうっかり無敗優勝しかけるほどとんでもない快進撃をしてしまうし、ネイマールはPSGに行くし、イタリアが予選敗退するし、拳銃を持って乱入する会長も誕生するし、ついにはヴェンゲルは退任するし。
 まあそんなこんなで今季も簡単に各選手への雑感とツッコミどころ満載の数字をつけていきます。誰も読んでないだろうけど、私が楽しいからいいんだよ。


GK


エデルソン・モラレス 7.5
 正直去年の私に「ベンフィカから新加入の若手GKが大暴れして不動の正GKになるからもう後ろの心配はしなくていいよ」って言ったら狂人扱いしたと思う。だって、私が応援しはじめてからGKが安定したことなんて一度もなかったから(まあハートは常に不安定という点で安定はしていたけど)。
 昨季はとにかく守備崩壊に悩まされたシーズンだった。後述のブラボはメンタルやられて完全に別人になってるし、両サイドバックはさすがに限界だし、ストーンズオタメンディはひたすらわちゃわちゃしてるし、挙句の果てにはコラロフがCBやってるし。いや、最後のは良かったか。それにしても、である。いくら期待の若手としてビッグクラブから狙われていようが、鳴り物入りの値段でやってこようが、さすがにこのブラジル人が簡単にフィットするなんて全く思えなかった。代表ではアリソンのサブをやっているという点も個人的には信用ならない要因だった(なにしろ私が今季開幕前に見たアリソンはちょうど親善試合で派手にやらかしてたので、そこまで才能あるGKだとも思ってなかったのだ)。
 ところがこいつは本物だった。全身のタトゥーも本物だった。まずシュートを止める。いや止めるのは仕事なんだから当たり前なんだけど、ブラボは止めなかったから。さすがに同リーグにいる感情を失ったシュートストップ魔神に比べれば劣るものの、プレミア初挑戦ながらリーグ屈指のセービング技術をいきなり披露。反応もいいし、強靭な体幹で人体に問題ありそうな動きもするし、難しそうに見えるシュートでもキャッチングするし、なんなら片手でも余裕しゃくしゃくにセーブしてた。PKも当たり前みたいに止めてた。文句なし。
 そして足下。いや、マジで上手かった。おそれいった。本人曰くフィールドプレイヤーをやれと言われればできるらしいけど、実際嘘偽りなくそんな感じだった。バックパスは収まるしそこから出すパスは正確だし、プレスを交わしながら浮いた選手を探せるし、適切なポジショニングでパス回しにも貢献した。
 極めつけはパントキック。何だお前は、化物か? 軽い予備動作から破壊音が聞こえそうなほどの勢いですっ飛んでいくボール。しかもこれが完璧な位置に落ちる。アタッキングサード目指して走ってるWGの足下に収まる。中盤でマークが外れた選手の足下にスポッと入る。すごいよペップこれがGK革命なんだね。しかもこの精度のパスが通常のロングフィードとしても供給されるので気を抜いた瞬間に一点モノのパスが頭上を通り抜けてしまうからエデルソンがボール持ったら警戒しなきゃいけないことが一つ増え、相手に選択を迫らせることもできる。うーん、完璧。
 さらにすごいのが強心臓。まことしやかにシティサポーターの間で「エデルソンは脳構造が常人のそれとは違うのでは?」と言われてしまうくらいメンタルが強い。通称恐怖の感情を失った男。飛び出すGKというのはもうトレンドを過ぎたここ数年でも見飽きるほど見てきていささか食傷気味だったのだけれど、彼には久しぶりにワクワクさせられた。なんというか、死地に飛び込む男なのである。とにかく何でもチャレンジする。そして毎回タイミングは完璧そのもので、確かに試す価値はあるというプレーを選択する。飛び出すGKというのは下手なやつがやるとただの博打打ちの自爆になり、見ている側としては非常にイライラするのだが(アーセナル時代のシュチェスニーとか、シャルケのフェアマンとか)、エデルソンはちゃんと勝算があるところでしか行かない。そして勝算があると踏んだら躊躇しない。例え相手FWのキックが顔面に直撃して担架で退場しようとも、である。この一件でさすがに落ち着くかと思いきや復帰試合でヘッドギアつけたまま即飛び出してて変な笑いが出た。あといつだったかオタメンディごとボールをクリアして吹っ飛ばしておきながら涼しい顔してたのも笑った。味方は壊すんじゃないぞ。
 真面目な話、一番評価できるのは彼がこのパフォーマンスをシーズン通して披露してくれたということである。当たってるときはすごい選手というのは多くいる。現に我らがジョー・ハートだって当たってるときは間違いなくワールドクラスのプレーができた。一流の舞台で戦ってる選手というのは皆一流のポテンシャルを持っているものである。難しいのはそれを継続、安定させることで、特にGKというのは毎試合同じだけプレーに関与できるとは限らないし、連携のための仲間だって固定されないし、勝てば当たり前負ければ戦犯と一貫性を保つのが最も難しいポジションであることは間違いない。でもエデルソンは今季、素晴らしいパフォーマンス一貫して見せてくれた。何よりそれが素晴らしく、誇らしいのである。
 シーズン終了後即長期契約も決定。これから長くお世話になっていきたい選手だ。ありがとう、エデルソン。これからよろしく、エデルソン。

 

クラウディオ・ブラボ 6.0
 まあ昨季のことは忘れよう。ブラボにだって同情の余地はあった。だってイングランドは気候が最悪だし、偏屈で完璧主義な指揮官のもとで相反してのほほんとしたDFラインと言語問題で苦心しながらコミュニケーションしなきゃいけないし、俺達の息子(ハート)を追い出しやがってみたいな批判はどうしてもされてしまうし。そういう点を考慮しても彼のパフォーマンスは褒められたものではなかったが、まあさすがにイップスだったよね。今季は控え兼カップ戦要員としてのプレーを余儀なくされながらも、限られた出場機会で持ち直した姿を見せてくれた。自動ドアじゃなかったし、地面に足がついていたし、カップ戦ではチームを救うセーブを連発してくれた。腐っても3冠GKである。ペップと明らかに確執ありそうな態度はとりつつも、クラブのために忠義を尽くしてくれたことには心から感謝したい。来季どうなるかはわからないけれど、このクラスのGKが控えにいるというのは普通にとんでもないことなので、できれば残って欲しいとは思う。
 しかしエデルソンより早くアシスト記録したのは笑ったよね。触発されたのかしら。

 

ダニエル・グリムショー ―
 トップチーム帯同でよく写真に紛れ込んだりしていたけど、特に出場はなかった。まあアンダーの選手だしね。プレーは見ていないのでなんとも言えない。

 

アリヤネト・ムリッチ ―
 こちらも試合に出てないので詳細は不明。代表戦で頭突きして退場してたのは知ってる。

 

 


DF

 


バンジャマン・メンディ 5.5
 いきなりシーズンの大半いなかった選手の話ではじまるんですけど、まあいなかったよね。SNSにはずっといたけど。というか賑やかな選手だとは思っていたけど、最初の一ヶ月過ぎたくらいから「こいつもしかしてマジモンなんじゃないか?」という疑惑が払拭されないまま来てしまったよね。ツイッターで「俺がデルフに守備教えておきますよ」と公式アカウントにリプライするわ、適当な飛ばし情報をつぶやいた記者アカウントに「俺も検査してないんだが?」とツッコんで晒し上げるわ、シャークチームシャークチーム言いまくって公式に逆輸入させるわ、リハビリ中なのにしょっちゅう試合後のピッチやインタビュー乱入するわ、もうやりたい放題。お前時代が時代ならやばかったぞ、本当に。
 そんなことはさておき、負傷離脱するまでのプレーそのものはすごかった。すげー走るし気合入った守備するしなんか足下クソ上手いしあっという間にフィットしてバシバシ連携するし最高速で加速しながらピンポイントにクロス飛ばすし。こなせるタスクの量が尋常じゃなかった。なんというか自分をメッシだと思い込んでるヘスス・ナバスって感じだった。試合に出る度にあらゆるサポーターが「なんだこいつは!?」って驚愕するくらい目立ってた。ぶっちゃけシティサポが一番ビックリしてた。コラロフとクリシからこんな近代兵器になったから気分はスマホもったおじいちゃんよ。
 とにかく走る大器みたいな感じだったのでこのまま伸びたら手がつけられない化物になるのでは? と期待を集めた矢先シーズンアウトレベルの大怪我で離脱。天国と地獄。まあおかげでデルフは覚醒したしジンチェンコにも出番はできたし、メンディもSNSに専念できたし人生そう悪いことばかりじゃないね。優勝決定後にようやく復帰したが、さすがに試合勘がなさすぎてキレキレだった頃ほどのすごさはなかった。まあ本番は来季でしょう。
 ペップに怒られない程度に来季も楽しませてください。

 

ヴァンサン・コンパニ 6.0
 そしてこちらの方もやっぱりいなかったですね。まあ今季に限った話じゃないんですけどね。
 とはいえ彼の才能に関してはもはや疑う余地など一点もなく、試合に出れば圧倒的なパフォーマンスを示してくれた。とにかく頼りになるキャプテンコンパニ。リバポにボコられた試合以外は。
 なんかもう毎回同じことを言って恐縮なんですけど、彼とクラブの蜜月も残り長いか短いかで言えば確実に短くなっているので、一日でも長くプレーして私達に応援させてください。あとストーンズに守備教えてあげてください。

ニコラス・オタメンディ 7.0
 逆にオタメンディはめちゃめちゃいた。っていうか八面六臂の大活躍でついにベストイレブンになっちゃった。
 昨季もすごい伸びたなって感じだったんですけど、今季はもっとすごかった。後ろや両サイドが安定した影響なのか、危険の目を摘み取る守備センスはさらに向上。パスもガンガン通してたし、ポジショニングも良かったし、デュエルの安定感もすごかった。たまに持ち上がってビルドアップする時も貫禄に溢れていた。変われば変わるもんだな。とはいえ今季は圧倒的に押し込んでる展開のほうが多かったため、DF陣全体に言えることではあるんだけど劣勢に転じた時にそれまでの余裕が嘘のようにバタついてしまうところだけは改善点かも。
 でもとにかくよかったよね、オタメンディ。私は昨季から「いやこれシティじゃなかったらトップクラスのCB候補って言われてもおかしくないんじゃないか?」と思っていたんですが、ようやく正当評価されてきたなという感じ。来た当初はあんなに危なっかしかったのにね。そもそもCBというものは現代ではあまりに役割が多すぎるためどうしてもチームが勝ってるか負けてるかに引きずられて個々の評価をしにくいところがあり、一定以上の水準を持っていれば最終的には優勝したメンバーだからという印象論だけでネームバリューが作られがちなところがあるのだが(あえて個人名は出しません)、ようやくオタメンディにもそういう箔をつけられたなという感じ。
 来季以降の問題は安定しない相方ですね。ロマンのストーンズか、稼働率に期待できないコンパニか、期待の新星ラポルトか。私が言えるのは、それが誰になったとしてもオタメンディに関してはもう安心して見ていられそうだなということです。何がって、怪我しないところがね。

 

ジョン・ストーンズ 6.0
 かつて、ジョー・ハートという男がいた。毎回ハートの話して申し訳ないんですけど、私は大好きだったので許してほしい。まあ別にハートじゃなくてもいいんですけど、サッカー界には活躍するときは獅子奮迅、やらかす時は阿鼻叫喚といういわゆるガチャタイプの選手がいるのだ。今日はSSRだったので理不尽なほどの活躍で勝ち。今日はRだったので戦犯になって負け。偶然だろうとなんだろうと試合を一人で決めてしまうほどのプレーができるというのはやっぱり才能の証明であり、不安定だろうと若かろうと私達はその姿につい期待を背負わせてしまう。そして彼らガチャ選手の多くに当てはまる特徴は、若くてポテンシャルに溢れたイングランド人ということだ。
 じゃあストーンズはというと、まあそういった例に漏れず私達好みの選手なのである。ところが今季前半、彼は突如確変状態に入った。今だけSSR封入率100%になったのだ。いや、すごかったよ。びっくりするほど守備はキレてるし、ポジショニングは完璧だし、得意のパスも冴え渡ってるし、ゴールまで簡単に奪うし。過剰に高まっていた期待にこたえるあまりかシティにストーンズありと試合相手を絶望させるレベルだった。期待の若手から世界屈指の選手に一夜にして化けた彼に、シティサポは夢中になった。そして、壊れた。
 この後の話は彼の名誉のために語るべきではないのかもしれないが、復帰後はすっかり元のストーンズに戻ってしまっていた。解けない魔法はないし、SSR100%恒久提供なんてガチャはビジネスとして存在しないのだ。それでも最低限の仕事はしていたし才能の片鱗も変わらず見えるのだが、煌めくような守備と存在感は失われてしまった。兄弟分(?)のラポルトも来てしまったことだし、来季は今季前半の勘を取り戻せるかが将来を大きく左右しそうだ。
 本当になんだったんだろうねあのスーパーストーンズは。


アイメリック・ラポルト 6.0
 ついにこのときがきてしまった。一度は移籍話を蹴って契約延長し美談を作った男、満を持して冬市場で電撃加入。しかもまたもやニューレコードの移籍金で。大本営発表まで「来るわけねーだろ!!!」と思っていた私のような天の邪鬼なサポーターは驚きのあまり毎秒ツイート検索をする羽目になった。で、ラポルトって結局どういう選手なの!?
 識者曰く、「スペイン版ストーンズ」「むしろイングランドラポルトストーンズ」。
 はい、解散。
 と、ここで終わればいつものシティCB爆買い伝説に新たな黒歴史が刻まれるだけだったのだが、なんだろう、思ったより良かったね彼。前評判どおり足下は上手い。バスク人らしい柔軟さと鋭さを持っており、相手の嫌がるところにほとんどノールックで爆撃のようにパスを通す。ストーンズとの違いはより攻撃的なパスを得意とするところかな。そして守備もまあ悪くない。むしろひどい時のストーンズより安定してるまである。加入していきなりスタメンで出てきてペップお前ほんまそういうとこやぞ、と胃が痛くなったけど、驚くほど馴染んでいたのも素晴らしい。オタメンディと並んで走り回り地面をビタンビタンしているストーンズと比べると、彼はそこまで機敏ではないものの気の利いたポジショニングをしながら堅実な守備をするタイプのように見える。悪目立ちしないというのは良いCBに必要不可欠な要素なので、例え地味であろうがやらかさない限りは良いのである。いや、本気でCL狙うんならそれだけじゃ足りないんだけどね。
 総評して、途中加入でやってきた若手ながら予想を超える働きを見せてくれたと思う。まだワールドクラスには遠いが、才能は間違いなく本物。シーズン通してどうなるか見極めるためにも、来季は注目していきたい所存。ストーンズも彼には触発されるだろうし。
 ラポルトストーンズの恐怖のCBラインに関してだけ言えば、来る前は絶対に嫌だったけど今はちょっと見てもいいかなって思ってるよ。ちょっとだけね。

 

エリアキム・マンガラ
 マンガラという選手、私実は結構好きなんですよね。だってほら、なんかロマンあるじゃないですか。フィジカルはあるし、真面目だし、なんか名前も強そうだし。移籍金もね、すごかったんですよ。案の定上手くはいかなかったけどね。
 それでもペップに人一倍真面目だったと言われるだけはあり、プレシーズンマッチなどでパス回しに適応してみせたりビルドアップもちょっとできるようになっていたりとちゃんと成長はしていた。でもやっぱりスタメンになれるほどではなく。ラポルトの加入により出番を求め救世主になるべくエヴァートンに移籍するも、僅か2試合目にしてシーズン終了の負傷離脱。フランス代表にも招集外となり、来季はさすがにどこかに行ってしまうと思われる。
 結果的には彼の移籍は失敗に終わったと言われてもしょうがないのだけれど、それでも加入から2シーズンの間は薄いDF陣の中で貴重な戦力として頑張ってくれていたことは忘れないようにしたいと思う。
 ありがとうマンガラ。あとこのインタビュー本当に好きだったよ。どこかで復活してくれたら嬉しいな。
https://qoly.jp/2015/05/01/eliaquim-mangala-talk-about-his-brother


トシン・アダラバイヨ ―
 残念ながら試合で見たことがないので評価不能。私動くアダラバイヨのこと、これまで合計30分も見てない気がするな? 出ていってもデナイヤーみたいになりそうだし、かといって残ってても未来はなさそうだし、若手厨としてはこういうユース選手見ると寂しい気持ちになる。強くなるって難しいことなのね。

 

カイル・ウォーカー 7.0
 私、昨季終了後は本当に悲しかったんですよ。何がって、サバレタの退団が。いや、サバレタだけじゃなくてサニャコラロフクリシサバレタっていうこれまでシティを支えてくれたSB陣の一斉退団が、心の底から悲しかった。限界も明らかだったし強くなるためには仕方ないとはいえ、こんなに悲しくなるのなら誰も来ないほうがいいって珍しく後ろ向きになってた。
 で、ウォーカーが来たじゃん? 最高かよ。おい、最高かよ。最高だよ、三回言うよ。都会のにいちゃんたちはこんなにすごいサイドバックちゅうやつを使ってたんか? おらたまげて心臓止まるかと思ったべさ。
 スパーズで何回も見ていたとはいえ、この選手が代表でもクラブでも不動のスタメンでありベストイレブンにも選ばれるほどの評価を受けているということを甘く見ていた。そしてそんな選手がペップ・グアルディオラの下でどうなるかも。いや、とんでもなかったね。まあ脚がとにかく早い。苦し紛れのSBコンバートされてたナバスより早い。しかもそのままドリブルしてハーフライン超えてバイタルまで行ける。そしてこれだけ早いのでライン上げてたところにカウンターされても余裕で間に合う。しかも思ったよりずっと頭いいし技術もあったんだわこれが。うちの武器であるパスワークにも普通に馴染める。WGやIH使ったワンツーのコンビネーションもできるし、なんならそのまま中か外使って追い越しながら決定機に絡みに行ける。フィジカルも強いから全然ボール取られない。視野もそこそこあって気の利いたプレーもできる。そして無尽蔵のスタミナ。アホみたいに90分走り回った次の試合もアホみたいに走り回れる。そりゃスパーズにいたんだから当たり前なんだけど、いやびびったね。
 でまあ彼の面白いところは意外と幅の広いプレーをできるにも関わらず、最終的にフィジカルゴリ押しになるところ。そしてフィジカルで本当に完遂するところ。え? しかも3バックのCBまでできちゃうんですか? そりゃお前、助かるなんてもんじゃねえぞ。
 誇張抜きで真面目な話、一流の現代的なSBがチームにやってくることによって世界がどれだけ変わるかを思い知らされました。しかも壊れないし。もちろん悪い時はあったし完全無欠ではなかったのですが、極めてコンスタントに貢献してくれました。
 今季シティの躍進の理由に関して語るのは要素が多すぎて難しいのですが、その一端は確実にこのスーパーマンにあったと思います。取ってよかったカイル・ウォーカー。名前に反して全然ウォークしないぞカイル・ウォーカー。まだ若い選手だし、このままさらに成長してプレイの幅が広がり判断がよくなったらどんな化物になるんでしょうね。
 ところでこうなると反対のサイドを切り裂くメンディとの比較が気になるところですが、クロスが上手いのがメンディで、クロスが宇宙開発を超えた何かなのがウォーカーです。シティサポ以外の方は覚えて帰ってください。シルバのクソミドルに匹敵する何かだよあれは。
 しかし獲得前後のスパーズサポによる謎のトリッピア上げとウォーカー下げはなんだったんだろうね。

 


ダニーロ 6.0
 この選手にも私はごめんなさいをしなきゃいけない。いや、だって昨季レアルの時は全然パっとしないパフォーマンスで、ぶっちゃけ穴レベルだったんですよ。だから獲得したって聞いた時は「いやまあ腐ってもレアルで二番手やってた選手だし、複数ポジションできるし、若いし……」と自分に言い聞かせてなんとかやり過ごしていたのですが、うん、思ったより全然良かったね。
 競争相手がウォーカーなのでさすがにスタメンになるほどではないのですが、まあ無難。ブラジル人らしいプレーとスペイン産らしいプレーが混在している動きは面白いし、そつなく守備するし、試合を壊すようなやらかしもないし。上手く行ってる時は主力を休められて、上手くいってない時は主力を休められる。あれ? 左足が使えないので左での起用は望めないが、緊急時の補充としては十分役に立った。そしてありがたいのは腐らないこと。出場機会求めてきたみたいな話でこれ絶対上手くいかないじゃんと危惧していたのですが、今の所スーパーサブの扱いながらすごく真面目にやってくれてとても助かっています。
 このクラスの選手を控えとして置いておけるというのはかなり理想なので、関係さえ悪化しなければこのまま長く付き合っていきたいところ。どこかで左もいけるようになればスペ2人の代わりに出番はあるだろうしね。ウォーカーの控えがいないことを考えても必要不可欠な存在です。来季もよろしく。

マンチェスター・シティ 1617 選手シーズン簡易評 中盤編


前回の入れ忘れ


トシン・アダラビオヨ -
 トシン・アバシではない。アダラビオヨだかアダラバイヨだかいまいち読み方がわからない。ペップはわりと期待しているらしいアカデミー産生え抜きCB。が、トップで出すほどの実力でないのははっきりしており(ただでさえ今季は守備が崩壊していたし)、ほとんど姿を見ることがないまま終了。守備の印象はそこまでないがとりあえず身長は高い。来季はいっそレンタルに出したほうがいいと思う。


パブロ・マフェオ -
 EDSスペイン人SBコンビの守備が無難な方。プレシーズンとカップ戦でちらりと出場。若いながらバランサーを兼任する非常に無難な守備を見せており、他は取り立てて目立つところはなかったが、圧倒的に経験が足りないので当たり前である。悪目立ちしていなかったという点だけで若手DFとしては十分合格点だ。とはいえ現在シティが志向するサッカーにおいてSBのタスクというのは非常に多く、さすがにまだそれに対応できるほどではない。経験を積ませるためか途中からリーガ2部のジローナ(ペップ弟の息のかかったクラブであり実質の提携子会社)に貸し出され、そこでスタメンとして頑張っていたそうな。おそらくプレシーズンでもう一度テストはされると思うので、その結果次第では来季から控えくらいにはなれるだろうか。個人的には期待している。

アンジェリーノ -
 EDSスペイン人SBコンビの攻撃ばっかりする方。年齢に対して案外老獪な守備をするマフェオに対し、こちらは快速でごまかすアバウトな守備と果敢なオーバーラップが特徴の典型的なスペイン産若手SB。守備は同年代では中の下くらいかと思われるが、当然トップチームではまだ控えレベルですらない。一方で攻撃参加センスはなかなか目を見張るところがあり、プレシーズンやアンダーの試合では一列前に出たり出なかったりしていた。いっそ上げてしまっていいと思うのだけど。マフェオと同じく途中から貸し出されていった。来季はさすがにまだ早いのでもう少し修行してほしい。


ジェイソン・デナイヤー -
 こちらはペップがギリギリまで残したがったらしいユース産のCB。というかベルギー代表。残る残らないとグダグダ報道されたが結局サンダーランドにローン移籍。そちらでなぜかCMとして安定して出場していたのだが、モイーズの凋落に引きずられるようにクラブ自体が降格。結果的にあまりいい印象がないなと思っていたら先日路上で一般人に蹴りを入れていた様子をすっぱ抜かれてしまった。ちなみにベルギー代表戦では崩壊した守備陣の中で他社の尻拭いをする形で貧乏くじを引き悪目立ちした。そんなに悪い選手ではないと思うのだが何かと運の悪い男。ボランチとして活躍が見込めるのであればプレシーズンで少し試してみてほしいところ。


以下、中盤編


フェルナンド 5.0
 今季解消された(トリオになったので)ブラジル人コンビの幸薄そうな方。即戦力級ボランチとして獲得されたはずなのだが彼自信が抱えるトラウマが多いせいかいまいちパフォーマンスに安定感が欠けており、基本的に試合に出たとしても常に辛そうな顔をしながらボールを奪いに行く役をしていることで有名。今季はお騒がせ代理人セルクによってヤヤさんがベンチ外になり、穴埋めとして大活躍するかと思いきや特にそういうこともなかった。相変わらずスタメンとして使うと良かったり悪かったりで、守備固めとしても姿を何度か見たがほどほどの貢献度。当時盤石だったシルバ-ジーニョラインのどちらの代役にも当てはまらず、牛丼の故障でようやく出番ができるかと思いきや今度はヤヤさんがスーパーヤヤになって戻ってきてしまった。取り立てて足を引っ張ってもいないが役に立ったと言うほどでもなく。来季はどうするのやら。

イルカイ・ギュンドガン 5.5
 我らがペップ大明神たっての希望でブンデスから引き抜いてきた(日本での)有名人。通称牛丼。香川の親友ポジションということに勝手になっていたが基本的には誰とでも仲良くなれるというだけの男である。名前だけは死ぬほど有名だったものの獲得時から既にリハビリ中。プレミアでどれほど活躍できるのか疑問であったが、いざ試合に出してみると驚くほど馴染んでいた。中盤で無難な守備をこなしつつ適度に効果的なパスを散らし、時には持ち上がったりゴール前に飛び込んで押し込んだり。何かと器用で小技の効くタイプで個人的にはかなり好みだった。シルバの過労死が危惧されるチーム状況ゆえ期待は大きかったが、「こいつは本物だ」と皆が認めた矢先再びの大怪我で見事に今季終了。それからは各種SNSでシティを応援する芸人と化した。実力は確かなので来季はもっと試合に出てくださいお願いします。真面目な話をすると中盤を支えるヤヤとシルバの年齢が年齢な以上、比較的ペップの戦術の理解度も高かった彼が来季どれほど安定できるかがタイトル争いに密接に関わってくると思われる。余談だが来日した時牛丼を笑顔で食べてくれていたので本当にいいヤツ。

ヘスス・ナバス 5.5
 世界一シンプルな仕事人ことウィングの貴公子ナバス。古き良き旧世代型ウィンガーとして、ボール持ったら絶対コーナーキックにするマンとして今季も絶大かつ地味な仕事を発揮していた。戦術狂ペップの就任により出番が激減するかと思いきや案外出番は変わらず、それどころかシーズン後半は足の速さを買われなぜかSBコンバートまでされていた。しかも走力でごまかすことに成功していた。さすが私の愛したナバス。クロスしか上げてないイメージだが実はスペイン産なだけあり足元は案外上手く、今季はさすがに思うところあったのかクロス一辺倒ではなくごくごくたまに組み立てに参加してみたりするなど進化はしっかり見せていた。とはいえサネスターリングジェズスといったワンダーボーイの台頭に勝てるはずもなく、例年通り縁の下の力持ちとして終了。個人的には本格的にSBナバスも見たかったのだが、契約終了にともない退団が決定。なんだかんだ揶揄されることも多かったが安定感は随一であり、ボールの扱いだけ見てるとすごい上手そうに見えるのにクロスの成功率は五分五分なところを含めて愛すべき選手だった。いなくなるとわかるとどうしようもなく寂しさが募る。とりあえずシーズン途中で髭をそってさっぱりしてからはイケメンフェイスが堪能できたのでよかった。新天地でも変わらずサイドを走るナバスが見たいです。


ケヴィン・デ・ブライネ 8.0
 100億の男、というのがもはや安すぎるという嫉妬にしかならない天才MFのKDB。「マジで今メッシの次に来てるのはこいつやで」というペップ大明神の太鼓判通りに今季も大暴れ。実はプレシーズンではシルバにポジションを奪われるのではという危うさが少しあったのだが、あの時は単にお疲れだっただけのようで、シルバがボランチに固定されたこともありシーズン通してトップ下で鬼神のごとく働いた。未来が見えているかのような針の穴を通すピンポイントアシスト、献身的な守備貢献と相変わらず上手いボール奪取、そして膠着した局面を打開するビッグプレー。とにかく動き出しが尋常じゃなくすごい。ここに来てますますその才能は冴え渡り、結局最後までパフォーマンスを大きく落とすことなくアシスト記録も樹立した。課題点はやはりゴール前での得点力だろうか。攻撃に絡むのが上手い+戦術上MFもチャンスが多いという関係上どうしても「お前がそれを入れていれば勝っていた」という場面が多く、そういう意味で10点減点して100点満点中5億点といった感じである。正直なところもう既に世界でも有数の選手に成長していると思うので、あとはチームにタイトルをもたらせさえすればバロンドールに手が届くと思っている。連続起用し続けるとさすがに疲れてくるので(それでもなぜか一試合休ませるだけで全快するのだが)、来季は適度にベルナルドでも使って休ませていきたい。しかしどうして他サポからはこんなに評価が低いのか理解に苦しむ。はっきり言ってめちゃくちゃすごくないか?


ファビアン・デルフ 5.0
 シティ公式動画におけるYoutube芸人枠。スターリングの影で結構なめちゃくちゃをやってシティにやってきたのはいいが、高くも低くもない期待の斜め横を飛んでいくパフォーマンスは相変わらず。カバー範囲も広いしアジリティもあるし足元もなんだかんだ上手いしたまにすごいミドルも打つのだが、いかんせんピッチの上で浮いた印象が強い。稼働率の問題もあり放出されるのではないかと話題だったが、プレシーズンでは期待以上の動きを見せ、今季は活躍するのでは?(見た目がペップに似てるし)
とサポーターを一瞬期待させたのが最後の輝きになった。特に大怪我をしているという話もないのにベンチにすら座らず、ひたすらYoutubeに出る日々。極稀に試合に出ると悪くないパフォーマンスではあったのだが、どういうわけか小さい故障を繰り返しさっぱり出番がなかった。結局お前のポジションは一体どこなんだ。密かにペップが魔改造していたのではないかと期待しているが、望み薄だろうか。来季SBコンバートされていたりしたら笑う。


ダビド・シルバ 8.5
 神様仏様シルバ様。わざわざ書くことありますかね? 今季はセンターの位置で眩しすぎて目が開けなくなるほどの神々しいパフォーマンスを発揮。球際とトランジション時の強さ、狭いスペースで働く技術、戦術理解度と戦局理解度の際立った高さ、そのあたりをフル活用し困ったときのシルバ様といった趣であった。いや毎試合5回は「シルバ様ああああ」と変な悲鳴が出た。彼の素質については一切疑ったことはなかったのだが、それでも今季の素晴らしすぎるパフォーマンスには心底驚かされた。守備してよし攻撃してよしオフショット動画でかわいいところ見せてもよし。KDBが天才司令塔として君臨できたのも、サネスターリングが躍動できたのもひとえにこの小さな神様のおかげである。課題点? ねえよそんなもん。今気がかりなのは来季の彼の健康と、いつになったらエディハドスタジアムの前に銅像が立つのかということだけです。頼むからシルバが健康なうちにもう一回タイトル取ろうな。というか本当にわざわざこんな個人的なまとめで書くことないくらい良かったんですよ今季は。なんでベストイレブンに軒並み選出されないのか理解に苦しむ。


フェルナンジーニョ 6.0
 惜しまれながら解散したブラジル人コンビのうっかり肘が出ちゃう方。ペップが就任早々に名指しで褒めだしたことからもわかるように(というかシティサポはみんな知っていることだが)、あらゆる局面で働くことのできる万能戦士。特にシーズン前半はシルバと共に盤石のセンターを形成。広いカバー範囲と潰し性能の高さを活かし、時折おちゃめなファウルをもらいつつ攻守に渡っておおいに貢献してくれた。しかしあのレッドはないぞ。そつなくこなす一方でペップの要求する多すぎるタスクにさすがに手が回らなくなってきたかと思った頃にアグエロジーニョプッツン事件が発生。その後はスーパーヤヤの帰還も相まって出番がなくなり、気がついたら万能性を買われてSBをやっていた。とはいえ今季は全く悲観するような部分はなく、来季はどこのポジションでその素質を活かすかの方が悩ましい問題である。あと散々言われているとは思うがあのレッドはないぞ。

トゥーレ・ヤヤ 6.0
 今季一番の爆弾であったヤヤ・ペップ紛争(といってもセルクが一方的にけしかけ、ペップは選手とクラブの力関係を正常にしようとしていただけなのだが)。出ていく出ていくと言われつつも普通に残留し、謝るまでベンチ外という処分にも不貞腐れることはなく真面目に練習し続けていたらしく、久しぶりに起用されるやいなや昨季のそろそろ限界感漂うパフォーマンスはなんだったのかというほど献身的にプレイ。守備もしっかりこなし、攻撃時も年単位で久しぶりに見るほど走っていた。そしてそうなると彼の異次元のフィジカルと高いパス技能を阻むものは何もなく、シルバと共に両軍のサポーターを涙目にするほどの大活躍を見せた。これがスーパーヤヤさんだ。心配されていたような確執も今は存在しないようで、最終節では笑顔で抱き合って長いこと会話していた。放出も心配されているがただ単にお互い謝っていただけだと思う。代理人さえ余計なことをしなければ来季も確実に重要戦力。フラグじゃないですよ。


ベルサント・ツェリーナ -
 北欧系の若手MF。今季は貸し出されオランダで活躍していたらしい。スタメンの壁は厚いがまだ若いので頑張って欲しい。

アレイクシス・ガルシア -
 通称アレガルくん。髭面も相まって見た目に貫禄が漂っているがなんとまだ成人前である。ネクスブスケツと言われてたり言われてなかったりするスペイン人で、守備をこなしつつパスも散らすことができるタイプの選手。まだ若いながら案の定ペップに見初められ、今季はカップ戦中心に結構出番が多かった。さすがにまだ経験が足りずやらかすことも少々あったのだが、それでも試合通して大崩れすることはなく大器の片鱗を見せつけてくれた。というか後ろがもっとやばいから相対的にマシだった。ビルドアップ時の貢献もまずまず。少なくとも危険なプレイを選択しない頭の良さはあった。消極的とも言えるがそりゃ誰だって戦犯にはなりたくない。なんというか周囲の期待が大きすぎる(筆者もだけど)だけで実は本来目立たないけど貢献するタイプの選手だと思うので、来季もこのままステップアップが見込まれる。補強次第では引き続き半ベンチ要因だと思われるので、いっそどこかに貸し出して武者修行してほしいのだが。ちなみに個人的に一番好きな若手です。試合に出る度にテンション爆上げ。

パトリック・ロバーツ -
 イングランドのメッシという実に不名誉なあだ名に今季も打ち勝つことができた。ロジャースの面目躍如な最強セルティックで躍動しゴールとアシストを量産。文字通り規格外の動きを見せた、らしい。スコットランドリーグはちょっと見ることが出来ないです。とはいえCLで見た時はなかなかの動きをしており、数字だけ見てももうプレミアで試してもいいくらいにはなったと思われる。問題はライバルが強すぎることなのだが。来季は戻ってくるのか、またレンタルなのか。さすがにレンタルに出すような時期と年齢と仕上がり具合でもないと思うので、扱いが非常に難しく売却の可能性さえあると危惧している。とりあえずイングランドのメッシという名前はやめてほしい。

マンチェスター・シティ 1617 選手シーズン簡易評 守備陣編

筆者はにわかなのであまり期待はしないでください

 

GK

ウィリー・カバジェロ 7.5
 某正GKの惨憺たるパフォーマンスとは対象的に、急な起用でありながら安定したセービングで守護神として君臨した。以前よりスクランブル出場時の安定感には定評があったが、今季は長いスタメン期間中もフィットネスを見事に維持。さらに戦術上必要となる最終ラインのパス受け渡し場所の一角としても「カバジェロは良いGKと言っても現代的な足元の技術は起用レベルにないのでは?」という大方の予想を裏切り期待以上の働きを見せてくれた。元より控えレベルにするには余りに惜しいと囁かれていたが、ここにきてサポーターの心に残る大活躍を思う存分見せてくれた。カバジェロさん、あんた最高にかっこいいよ。そんな彼だが契約終了を期に退団が決定。本人も延長を望んだらしいが編成上の都合を考えるとこれ以上の保有も難しい(カバジェロに依存してしまうのもそれはそれで怖いし)。年齢的にもう一花咲かせるのも不可能ではないはず。ライトに続きシティのゴールポストを支えてくれた功労者がまた一人旅立っていきました。ありがとうウィリー。私たちのスーパーキーパー。

 

クラウディオ・ブラボ 4.0
 押しも押されもせぬ3冠GK、そしてチリ代表としてもコパ・アメリカでタイトルを獲得。元バルサということもあり即戦力として誰もが熱い期待を寄せた。ハートには悪いが彼より適任はいない。これで3年は安泰だ。そんなサポーターの浮かれ気分に水を指したのは他ならぬ彼であった。デビュー早々にハイボールの処理ミス、危なっかしい足元、ぶち抜かれるニア。人々の頭によぎった「え、こいつもしかして中身はハートなんじゃないか?」という感想。いやいや、そうは言っても腐ってもクラウディオ・ブラボ。言語の問題もあるし、プレミアに適応すればいずれそのポテンシャルを遺憾なく発揮してくれるだろう。悪い話も聞かないしきっと一生懸命頑張ってくれてるんだから信じよう。さて皆様その後の展開は誰もがご存知でしょう。失点、失点、また失点。最悪のセーブ率。プレミア屈指の自動ドア。ボールを持てば不安定過ぎるプレイ。「ハートの方がマシだった」という不名誉過ぎる評価とともにカバジェロにポジションを奪われると、最後は一瞬かつての片鱗を見せた瞬間に負傷離脱してシーズン終了。いくらなんでも巡り合わせが悪かったのだろうが、それにしても災厄のような男であった。そもそも言語の問題があるって言ってもシティってスペイン語話せる選手たくさんいねえか? 擁護できる点はそれなりにあるのだが、とはいえ彼が期待の半分でも働いてくれれば今季もっと楽な展開になったのは間違いない。さらばブラボ。君のことはたまに思い出そう。……移籍してくれるよね?


アンガス・ガン -
 みんな大好きユース産、将来の守護神ガンくん。今季はベンチに座ったりリーグ戦以外で顔見せしたり。すくすく育っていつか正GKになってほしいところです。色々な先輩の姿を見て勉強して欲しい……反面教師とか。


ジョー・ハート -
 悲喜こもごものオフシーズンを経て今季はトリノへレンタル。競争相手が相手だから仕方ない、きっと彼ならビッグな男になって戻ってくるはずだ。そう言って私たちサポーターは拍手で見送りました。その後の行方はようとしてしれず。一説によるとブラボに取り憑いていたらしい。こうなると売っておいたほうがよかったのではと思わないでもない。同じプレミア産愛すべき出たとこ勝負GKとして有名なシュチェスニーはなぜかローマで飛躍してしまったのが皮肉。ああ、ハートよどこへいく。

 


DF

バカリ・サニャ 5.0
 長い間サイドを支えてくれたクールな彼も気づけば34歳。年齢もそうだがペップの志向する高度な戦術とトランジションには完全に適応していたとは言えず(それでもある程度起用にこなしてはいたが)、ストロングポイントであったアジリティの低下も相まってむしろ相手に狙われる局面も多かった。しかしながら慌ただしくテコ入れされるDFラインにおいてなくてはならない人物だったのも確かだ。他の功労者と共に今季で退団が決定。今までありがとう、改めて言うけどサニャさんの髪型すごく好きだったよ。

ヴァンサン・コンパニ 6.0
 我らがキャプテンコンパニ。今季はその有り余るキャプテンシー故か、あるいはアグエロシルバがわりと負傷が少なかったツケを一心に引き受けていたのか、シーズンのほとんどをリハビリで消費。ようやく試合に出てはすぐにまた負傷し、会見の度にペップが「コンパニはそろそろ試合に出られる」を連呼するのが恒例行事となっていた。そろそろ間に合わないのではないかと皆が思う頃ようやく実戦に復帰。しばらくはまた離脱するのではないかとハラハラさせてくれたが、そこはやはりコンパニさんで試合に出れば圧倒的なパフォーマンスで存在感を発揮し、シティにコンパニありと改めて示してくれた。本当に、負傷さえしなければ世界有数のCBであるのだが……ボロボロだったDFラインに一試合でも多く出場していればもっと勝ち点は多かっただろうにと思う一方で、彼が離脱していた影響でオタメンディコラロフが覚醒したのも事実なので、なんとも判断に困るシーズンであった。とりあえずストーンズに色々教えてやってくれませんか。

パブロ・サバレタ 5.5
 熱狂的なファンを多く持つシティの人気者サバレタさん。今季もその愛嬌でおおいに沸かせてくれたが、一方で他のベテラン陣と同じく年齢の影響と現代的なサッカーへの相性の悪さが見え隠れ。コンディションがいまいち安定しなかったのも相まってお世辞にも輝けたシーズンとはならなかった。しかしいくつかの試合では途中出場で見事な救援を見せてくれたことは書いておきます。そんなサバレタさんも今季でやはり退団。先立って宣言したこともあってかセレモニーを開催し盛大にサポーターに送り出された。どうかお元気で。

アレクサンダル・コラロヴ 6.5
 タイムスリップして開幕前の人間に教えたら狂人扱いされそうな物事がたくさんあった今季。その中でも最たるものがCBコラロヴであろう。正直言って個人的には全く理解ができなかった。お世辞にもSBとしてすら最低限の守備力を発揮できていなかったコラロヴが、よりによってより守備が必要になるCBに? いくら人材不足といってもペップさすがにご乱心なんじゃないか? (Youtubeのプレー集だけ見たのか?) そして数々の不安と共にお披露目された彼は、なんと、まともだった。もちろん守備は相変わらず軽かったが持ち前のキック技術がビルドアップ時のパスとして見事に開花、最終ラインからノータイムでスターリングやサネの足元に飛んでくるロングパスは相手にとって非常に脅威になった。そしてCBを経験したことでなぜか後半戦は守備力も向上。SB起用時も十分な働きを見せ、今度は端から端まで飛んで行くようなトンデモサイドチェンジを連発。見事に底からゲームメイクに貢献するいぶし銀選手に変貌した。いや絶対むりだと思ったよ本当。そしてベテラン守備陣の中でただ一人残留(記事執筆時点の話です)。コラロヴがシーズン通して出場してCBやるし、コラロヴ以外全員対談するよ。こんなことを開幕前に主張したら病院送りかアーセナル送りだっただろう。いやはや。


ガエル・クリシ 5.5
 地味にHGを持ち実は器用だけど割合大雑把なプレイをすることでお馴染みクリシさん。今季も地味に器用に大雑把に活躍してくれました。何かと引き出しの多い選手なのでペップの戦術におけるSBのタスクには恐らく一番適応できていたと思われる。一方でますます激しくなる球際の攻防にはやや遅れを見せ、ビルドアップの参加もいまいち安定せず(ボールをもっていないところでは実に積極的であり、それが効果的に働いた場面ももちろんあった)、後半はややパフォーマンスが低調になってしまった印象。それでも他の選手と同じく、今季なくてはならない戦力でした。そんな彼もやはり退団が決定。新天地に行っても「実は元シティ優勝メンバー」くらいの地味な紹介をされそうだが頑張って欲しい。

 

ジョン・ストーンズ 4.5
 やりすぎとも見る目なさすぎとも言われるここ数年のシティのCB爆買い。その最後にして最高の補強と言われたのがこの若くして頭角を現した大型CBの獲得であった。不動のスタメンとして同じPLのクラブで躍動、足元も上手くビルドアップにも参加できる、そしてイングランド人。うむ、なんてペップシティ向けの選手なんだろうか(でもスタメンと言ってもエヴァートンの守備レベルだぞ?)。獲得時にはそれはもうお祭り騒ぎになったものだった。さて、蓋を開けてみると確かに前評判通り足元が上手い。守備もまあ無難にこなす。空中も強い。少し危なっかしいところもあるが連携が高まってくれば安定してくれるのではないか。そんな思いをよそにストーンズファンタジスタ(悪い方)の才能を開花させてしまうのであった。とにかく判断が悪い。詰めるもコース切るも中途半端で、アリバイ守備にしかなっておらず、挙句の果てには手遅れになってから申し訳程度のスライディングを敢行するためただの1対1のチャンスを提供するハメになることも多数。今季の失点の殆どはストーンズのお粗末な対人守備とブラボの自動ドアのせいである。とはいえ彼もまだ若く、全体的な完成度としてはそう悪くなく、高いポテンシャルを秘めているのも事実であり、伸びしろがあるのは確かなところだ。たくさんお金もかけたことだしもう少し長い目で見守ってやりたい。とりあえず守備はもうちょっと改善してくれ。頼むから。


ニコラス・オタメンディ 6.5
 ご存知CB爆買い列伝がひとりDFラインのアイドル、ニコニー。彼に関して言えば移籍時よりファイターとしての素養を買われていたため、コンパニの相方としては実にふさわしいパフォーマンスを当初より披露してくれていた。相方がコンパニであったなら。1対1にとにかく強くボール奪取能力も高いため頼りになる選手なのだが、シティはいかんせん守備陣が安定しなさすぎた。悪くないけど特筆するほどキーマンでもないといった評価に落ち着いていた昨季であったが、そんな中今季はペップの就任による守備戦術の変化、壊れ続けるコンパニ主将、CBコラロヴという気の狂った采配、自動ドアと化す3冠GK、白くなったマンガラ、そんな阿鼻叫喚のDFの中なんと彼は目まぐるしい成長を遂げたのであった。熱くなりすぎるという欠点は相変わらずなのだが、守備力は純粋に向上し決定機の潰し役としては圧倒的存在感を発揮。また、何があったのかはしらないがビルドアップにも参加するようになり地味に上手い足元の技術を発揮することも多々。ストーンズさすがやるじゃんと思ったらよく見たらオタメンディだったなんてこともしばしば。最終的にはコラロヴと並びDFの良心であり続けた。負傷が少ないことも素晴らしい。あとは守備陣のリーダーになれる選手が別にいてくれれば安泰なのだが。今季の彼は頼もしかったです、ありがとう。