忘れられない女の話5

5年前くらいに、月に1回くらいの頻度でご飯を食べに行く女性がいた。

彼女はもともと僕と同じ会社で働いていた元社長秘書で、柔和な笑顔が素敵なかわいい女性だった。

小柄だったが胸が大きく、いつも清楚な服装をしていて、指と所作がとてもきれいだったのを覚えている。

僕らは仕事で一緒になってから年齢が近いこともあり意気投合し、彼女が寿退職した後も、良好な関係を続けていた。

男女関係は全くなく、友人として。

ある日彼女との食事中、珍しく立呑の焼き鳥屋で、彼女がこんなことを話しだした。

とても楽しそうに。

 

面白い夢をみたの。とても長い夢で、変な現実感があって。

夢の中ではあなたと私は愛し合っていて、私は毎晩おかしくなるほどあなたに抱かれていたの。

私はあなたが愛おしくて仕方なくて、あなたからも強い愛を感じていた。たくさんキスもしたの。

いつしか私達には女の子が生まれて、あなたが娘ばかり可愛がるから私はとても嫉妬して、

でもそれも娘が中学生に上がる頃にはなくなって、あなたに反抗ばかりしてたわ。

でも、やっぱり娘はあなたのことが好きなのね、結婚相手にはあなたによく似た男性を連れてきたのよ。

孫を抱くあなたはとても幸せそうだったわ。

そして私が先に死ぬの。あなたに見守られながら。

あなたはがんばって笑っていたけど、泣くのを我慢していたのを私はわかってた。

 

ねえ、私はあなたと愛し合うとき、あなたのお尻の真ん中にあるほくろにキスするのが大好きだったの。

愛し合うたびに何度もそれにキスしたわ。

ねえ、今日、家に帰ったら本当にほくろがあるか確認してみてよ。右のお尻の真ん中に大きなの。

もし本当にあったら素敵じゃない?

もしあったら、ただの夢じゃなくて、平行世界に迷い込んでしまったのかもしれないって思わない?

 

そうだね、と僕は少し戸惑いながら答えた。もし本当にあったらキスしてくれる?

彼女はとても素敵な笑顔で、いいわよ、と答えた。たくさんしてあげる。

 

その日、僕は家に帰り、鏡で自分のお尻を念入りに確認したけど、残念ながら、ほくろは見つからなかった

そして、なかったよ、と彼女にメールをしたけど、返事がなかった。このメールを境に彼女は電話を変え

二度と連絡がとれなくなった。それから今まで彼女との接点はまったくない。

 

時々、指や所作のきれいな女性を見ると彼女を思い出す。

そして、どこかにあったかもしれない平行世界に思いを巡らせる。

そこでは今でも彼女と僕は愛し合っているかもしれない。

彼女は毎日僕のお尻のほくろにキスしているかもしれない。

そして連絡の取れなくなった彼女はもしかするとその世界で生きているのかもしれない。

たまには恋愛できるくらいのおっさんであるためのケア色々

以前から言ってるけど、「モテる」ということと、「女に困らない」ということは別であって、僕は「モテる」ことを目指したことがない。「女に困らない」程度に、普通でいたいといつも思ってるし、歳を重ねる毎に普通であること自体がとても難しくなってくることを、ヒシヒシと感じている。

今日は、僕が「女に困らない」程度に、「普通」であるために日々やっていることをまとめたいと思う。若い人たちにはピンと来ないかもしれないけど、「ああ、自分もいつかこうなっていくのか」「これに関しては若い頃からやっておいた方がいいのではないか」なんて思ってもらえれば幸甚だ。

 

1.おっさんになるということ

以前、ツイッターで以下のような投稿をした。

 

公園で自分の子供と遊んでるだけで通報されるわ、満員電車に乗ってるだけでツイッターに晒されるわ、タピオカ屋さんで働いているだけで雰囲気を壊されるとか言われるわ、世の中、おっさんが生きにくそうなニュースが色々聞こえてくる。

 

 

 

 

「女性の方が生きにくいわ!!!!!!!!!セクハラ、チカン、グラス・シーリング、ハイヒール、月の美容代、etc.」。

 

そうだと思う。完全に同意する。落ち着いてほしい。僕は男性と女性と比較しているわけではない。僕はフェミニストヴィーガンの味方だ。大丈夫。ほら、安心して檻に帰って。もし広島に来るようなことがあれば、連絡して。もちろん写真付きで。

 

僕は女性になったことがないので、女性と男性とどちらが大変なのか、よくわからないし、どうやっても理解できないことに興味はない。

僕が話せるのは、「若い頃より、今の方が色々生きにくい」ということだけだ。

 

オダギリジョーだって40台じゃないか!!!!」

 

そのとおりだけど、もし本気でそんなこと思ってるなら、おっさん云々よりお前の頭に欠陥がある。ストロングゼロでも飲みながら、Youtubeで紳助のいた頃の行列のできる法律相談所でも見ておけばいい。世間はお前を必要とはしていない。だから、せめて人前に出てくるな。少なくとも俺の前に出てくるな。

 

 

2.おっさんになるとどうなるのか?

 (1)太る 

  おっさんになると単純に代謝が減る。体中あちこち痛くなり、運動量も減る。なんだかんだでストレスは増えるから、酒量も増え。放おっておくと太る。むっちゃ太る。

 

 (2)油がめっちゃ浮く

  おっさんになると体中から水分がなくなっていく。他の大切なものと同様、自分の元からどんどん離れていく。体は水分がなくなると、代わりに油を出す。なのでテッカテカ。むっちゃ油だらけになる。なのに唇だけは油出さない。カッサカサ。

 

 (3)変な匂いがする

  もうマジで意味わからんけど、変な匂いがする。うわ、なんか変な匂いがする、って俺やん、とかノリツッコミしたところで救われないくらい変な匂いがする。まじくさい。

 (4)毛がぬける。

ハゲる。禿げてくる。あっ、これ、もうどうしようもないんじゃね?!ってなるくらい、シャンプーの後にごっそり抜ける。ダウンライトが敵になる。むっちゃ禿げる。

 

 (5)体毛が濃くなる・生える

逆に体毛が増える。胸毛とかむっちゃ濃くなる。指毛とかラフスケッチ見てるみたいな生えてきかたする、あと変なところから生える。耳のなかとか、眉毛一本だけむっちゃ長くなるとか。頬とかなんで生えるん。俺なんかした?

 

 (6)世の中に新鮮味がなくなる

あーそのパターンねとか、それあれといっしょでしょとか、そんなことばっかり考えるようになる。要は、こうだよね、とか。マジで若いミュージシャンとか同じに見えてくるし、若いアイドルの顔とか見分けがつかなくなる。そのくせ、昔のことに固執するようになる。気がつくと10年以上同じ服着てるし、同じ服を買い換える。自分がダサいのかどうかもわかんなくなる。

あと流石にジャンプ読まなくなる。

 

 (7)歯・歯茎が痩せる

むっちゃ歯の間にものが挟まる。そして出てこない。むっちゃきもちわるい

 

 (8)若い人と話すのが大変になる

共通の話題がない。まじでない。いや、そりゃ話題を探ればなんとかなるような気もするけど、「おっさんが若者と話すために頑張って話題つくったんだろうな」とか思われるのも辛いし、とか考えると余計大変になる。「彼氏いるの?」「どんな人がこのみなの?」「セックスしてるの?」とか、若い女の子に聞くおっさんってホント気持ち悪いけど、少しだけ気持ちはわかる。他に話題がない。恋愛なら一応おっさんも経験があるし、本質の部分は時代の変化も受けないだろうし、って考えちゃう。

 

 (9)モテなくなる

(1)-(8)までの変化を踏まえなくても、もてなくなる。アラフォーだといった時点で20代の女の子たちから、恋愛対象とは見られなくなる。

以前、20代の男友達(容姿は結構残念)と一緒にTinderをやって、全員にライクを送る、という遊びをしてたとき、そいつはガンガン若い・きれいな子たちとマッチするのに、僕は40代のおばさんばかりとマッチしていた。結構ショックだった。

 

 (10)死を身近に感じる

同年代の友達がちょいちょい死ぬ。そしたら嫌が応にも死について考える。そして残りの時間を考えて、できることなんて限られてると悲しくなる。

 

 

2.おっさんとして気をつけるべきこと

(1)見た目

①体型 体型が最悪だとどう仕様もない。0だ。他に何かけても0だ。もうほんと体型だけは運動と食事をコントロールするしかない。別にいい体になんてなる必要はない。(もちろん、なれればそれにこしたことはない。FF内だと、もんたろーさんとか超かっこいい)。普通に、お腹出てなければそれでいい。やり方はそこら辺に転がってる。

 

②服装 とりあえず、雑誌読もう。「若い頃に買ったギャルソンのシャツがあるんだけど。」「ドルチェ&ガッバーナのジーンズがさ」「ナンバーナインのTシャツがさ」。OKとりあえず、置いとこう。問題は服じゃない。感覚が古いことだ。まずアップデートする。それから、その感覚で見たときに、ギャルソンが、DGが、NNが使えそうなら使う。雑誌のおすすめは次の通り。

「Oceans」 ・・ ちょっとカジュアルな感じ。日本人モデル(40代)だし

「UOMO」 ・・ ちょっときれいめのイメージ。これもおっさん向け

Safari」 ・・ めっちゃかっこいいアメリカ外人のおっさん。あと、全部高い。めっちゃたかい。毎シーズン100万超えの時計とか特集される。もう5万円くらいの小物が掲載されてたら、「安いし、これだけでも買っちゃおうか」とかなる。買っちゃだめ。

「LEON」 ・・ イタリア系のめっちゃかっこいい外人のおっさん。高い。買えない。とりあえず、みんなレザージャケット着てる。

 

これら全部Dマガジン(月額300円位)で読める。バックナンバーも読める。さいこー。紹介されてる商品、何一つ買おうと思わなくていい。今のトレンドってなんだ。色は?サイズ感は?シルエットは?俺らが若い頃と何が違う?そういう感覚をアップデートする。間違ってもメンノンとかSmartとか若い頃に呼んでた本を見ちゃいけない。俺らはもうおっさんだ。そんな服絶対似合わない。感覚をアップデートした上で、自分の懐と相談しながら買えばいい。ユニクロだろうが、エトロだろうが。

最近本当にユニクロいいよ。俺7割はユニクロで服買ってる。(エトロはスカーフ屋さんとしてたまに使う。たけえ。)

 

③ムダ毛ケア

毛はだめ。まーじでだめ。若い頃はワイルドで済むけど、おっさんになると気持ち悪いになる。処理しよ。

 

a.体毛

除毛クリームがおすすめ。右手は除毛、左手はブラジリアンワックスで脱毛して一ヶ月放置してみたけど、差がない。塗って5分ほど放置するだけで、手間のかからない除毛クリームでいいと思う。僕はこれ使ってる。このS字型のヘラがなにげに使いやすい。機能的に問題なく除毛できて、大容量。ブラジリアンワックスは一度に抜ける面積が狭くて、面倒くさかった。

 

 

ただ、鼻毛だけはブラジリアンワックス。めっちゃ簡単。一気に抜けるし、爽快感有る。鼻毛ってなにげに切りにくいとこ有るし、カッターはこそばいし、気を抜いたらひょこっと出てくるくせに、一度その姿を見せるともうアウトだし、もうこれは手放せない。※俺の知り合いの女性は元カレに鼻毛が出てる写真取られて、脅されて、性奴隷してた。世の中、価値基準というのは様々だなと学んだ。

 

トレードワン 鼻毛脱毛 爽快鼻毛処理クリーナーWAX ズポーン

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c.眉毛

  僕は放っておくと、眉毛にタバコが乗るレベルで濃いので、毎日処理する必要がある。ハサミでやってた頃は本当にめんどくさかったけど、これ買ってからめちゃ楽。電池入れ替えだし眉毛は人の印象をめっちゃ左右するから、手入れ大事。もし、どうすればいいかわかんないなら、一度メンズエステにいって見たほうがいい。眉毛の手入れはめっちゃコスパいい。

 

パナソニック マユシェーバー 黒 ER-GM20-K

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d.ひげ

 僕は口ひげは剃る派、あごひげは薄く残す派。あごひげ毎日剃るのめんどくさいんだよね。あごひげはちゃんとととのえてたら、多少ワイルド感出ていいけど、口ひげは歳とって見えるから添ったほうがいい。  

口ひげ用はこれ。

 

シック Schick 5枚刃 ハイドロ5 クラブパック(本体+替刃17コ付)

シック Schick 5枚刃 ハイドロ5 クラブパック(本体+替刃17コ付)

 

あごひげ用はこっち。ヒゲトリマー。めっちゃ楽。なかなか充電切れないし。

 

ブラウン ヒゲトリマー 0.5mm幅・20段階長さ調節 BT3020

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e.髪の毛

抜け毛対策としては、薬。フィンペシアミノキシジル。価格の問題から個人輸入。愛ドラッグストアというところです。

シャンプーはこれ。抜け毛対策ではなくて、ニオイ対策。服薬してたら、スカルプシャンプーなんて焼け石に水。これは機能性香料といって汗をかくといい匂いを発するというチートシャンプー。アイスミントはめっちゃさっぱり。THEOいいよ。おっさんの救世主。いい匂いだね、って言われることあるもの

 

ルベル ジオ スキャルプシャンプー アイスミント 600ml

ルベル ジオ スキャルプシャンプー アイスミント 600ml

 

 コンディショナーは使ってないでーす。ハゲが加速しそうで。

 

あと、セットはワックスとムースを使い分けてます。セットの方法は美容師に言われたとおり。何も考えず、自分のセンスを信じず。どっちもスーパーハード。超固まる。毛量少ないからセット勝負だし、機能性香料だから夜になっても匂い大丈夫。まじで、いい匂いって言われる。おっさんがいい匂いって言われるの本当にハードル高いから。これもTHEOね。ドラッグストアでは売ってない。amazonで買おう。

 

ルベル ジオ ワックス 60g ソリッドホールド

ルベル ジオ ワックス 60g ソリッドホールド

 

 

 

ルベル ジオ フォーム ソリッドホールド 200g

ルベル ジオ フォーム ソリッドホールド 200g

 

 

e.髪型

 髪型は黒髪短髪だけ指定して、良さそうな美容師に切ってもらってます。おまかせで。結構、チャレンジ精神旺盛な人で、今はめっちゃアシンメトリーツーブロック。ここをこうしてほしい、とかいって良くする自信がないから、何も言わない。それなりでいい。

 

(3)お肌対策

 お肌大事。女性を見ててもわかると思うけど、大事。そのうちメンズメイクとかしたいけど、今は保湿のみやってる。まあまあ肌綺麗って言われることもあるし、大事。やらなかったら、テッカテカになるんだけどね。

 ①洗顔

 まず、洗顔大事。何より大事。ボディーソープとかで洗ってると必要な水分まで奪われるからちゃんとした方がいい、という美容師の勧めで使い始めたら、確かによかった。これ。THEO。THEOいいよ。

 

 

 b.保湿

 化粧水は、なんでもあんまり変わんないらしいから、大量・安価なやつをおしげもなく、風呂上がりに塗りたくってます。

 保湿液はこれ。やっぱりTHEO。THEOいいよ。

  ほんとはパックとかもやらなくちゃいけないんだろうな、めんどくさい。

 

顔以外もカサカサになってきたから、ボディーローション的なものを探してます。おっさんと匂いがマッチするやつ。誰か知ってたら教えてください。 

 

(4)ニオイ対策

 ニオイ対策まじだいじ。おっさんってめちゃ臭い。

間違っても香水でなんとかしようとしちゃだめ。混ざって最悪。俺もあんまり答えないけど、毎日ちゃんと風呂入って、毎日ちゃんときれいに洗濯した服着て、機能性香料のシャンプーとヘアワックス使って、革靴を毎日変えれば、今のとこなんとかなってる感じはある。

その上で、念の為、香水使ってます。

 

イッセイミヤケ ロードイッセイオムEDT 75ml (並行輸入品)
 

 

 

 

口臭は食事ごとの歯磨きはもちろんのこと、常にミンティア。あと、仕事の後に人と合うときとかはモンダミンみたいなやつ使ってます。+あれね、ドルツ。これ使い始めてから、歯茎の色ましになってきたと思う。まだ俺メモリ3止まりだけど、5とかできるやつマジ頭おかしいと思う。

 

 

 

 

ここまでで見た目とか、ケアの話は終わり。

この後に、態度の話とか、行動の話とかにつなげたいんだけど、疲れた。

また今後。あと、リンク全部アフィリエイトだから、嫌な人は避けてください。

 

 

 

 

悪についてのはなし

悪についてのはなし

 

 

僕がまだ地元にいた頃、だから22歳までの間だけど、男女5名ずつ程からなる仲良しグループの一員だった。

元は、小学校の同級生だった僕らだけど、いつからか結びつきが強くなり、多い頃は毎日会っては、恋愛や芸能人の話など、他愛もない話を公園やファミレスで繰り返していた。

 

そのグループの中では基本的に恋愛関係はなかったように記憶しているが定かではない。

どうせ僕の知らないところで、あいつとあいつはセフレ、みたいなことがあっただろうし、3P、4P等もあったかもしれない。でもそのグループ内で明示的な恋人関係というのはなかったと思うし、みんなただの友達として接していた。

 

グループ内にA子という女の子がいた。彼女は顔は普通やや下のタヌキ顔だったが、僕らの仲間内では信じられないほどおしゃれで、絵画にめっぽう明るい芸術家肌の女の子だった。美術の教科書にのっていたクリムトの接吻を切り抜いて部屋にはっていた。

体は信じられないほど細く、胸は本当に薄っぺらくて、アンバランスにお尻が大きかった。

中学生の頃からハイヒールをはいていて、大きなお尻をくねらせながら、かかとを鳴らし歩いていた姿を強烈に覚えている。

 

最初に断っておくが、僕は彼女と男女の関係になったことはないし、なりたいと思ったこともない。

彼女も同様に僕に対してそんな感情をいだいたことはないだろう。僕らはただの幼馴染だった。

 

A子はとにかく昔からモテた。彼女の持つ独特な雰囲気がそうさせたのだろう。

初体験の相手は、確か僕らが中学1年生の頃、3年生のサッカー部のキャプテンだったはずだ。

その頃の僕らにはセックスなんて、ツチノコと同じようなものだった。本当に存在してたんだなんて思った。

とても人気のある人だったから、先輩女子達から恨まれて辛い、と嬉しそうに話していたことを覚えている。

 

彼との恋愛を皮切りに、彼女は数度の恋愛を経験していくことになる。

そして、高校生の時に地元で有名なバンドのシンガーと付き合い初め(彼は女癖と暴力、借金で有名だった)、

男に殴られる生活が始まった。

 

A子は僕らの集まりに度々顔を腫らしてきた。

彼に殴られたの、と彼女は事も無げに言っていた。

でもその後とても優しいの。

 

僕らの仲間内に聖人よりも清いと言われたB男という奴がいた。

彼は容姿も成績も普通だが、いつも学級委員に任命される、3年生では会長を務める、

バレンタインデーには、クラスの真ん中より下の容姿の女の子たちからこぞってチョコレートを

もらう、そんな優しさと正義感の塊みたいなやつだった。

いつも自分のことより他人のことで怒りを感じていた。

ケガでとても大切な試合を欠場し、大きなチャンスを失った僕の側に、何も言わずずっといてくれた。

グループにいたやつらはみんな同じようなエピソードを1つは持っていた。

清い人間が基本的には苦手、かつ嫌いな僕でも、そいつだけは特別だ、そんな風に思えるやつだった。

 

もちろんB男は、A子が彼氏に暴力を振るわれていることに憤慨し、A子と彼を別れさせることにした。

A子を説得し、DVというものがどういったものか理解させた後、彼に話をつけに言った。

「A子と別れて欲しい」

「お前には関係ないだろ」

「関係ないわけない。彼女は友達だ」

「お前、さてはA子に惚れてるんだろ。こいつベッドで乱れる」

みたいなテンプレな会話があったのかどうかは知らないが、B男は見事A子と彼を別れさせることに成功した。

B男自身、彼に殴られ顔中腫らすはめにはなったが、とても嬉しそうだった。

B男が嬉しいのであれば、僕らも嬉しい。僕らも心から喜んだ。

ちなみに彼は決してやり返さなかったそうだ。僕自身幼馴染の彼が暴力を振るうところをみたことがない。

彼は人を守るときでも、ただ、耐えるタイプだ。代わりに殴られ耐える。僕にはとても真似出来ない

 

この後の展開は、極めてありがちな展開だ。途中まで。

B男はもちろんA子に女性としての興味があったわけじゃないから、A子と付き合ったわけではない。

別れさせて、その後は普通に友達として接した。

A子は一人ぼっちになってしまった。

A子は男なしで生きられないタイプだ。

ひょんなことから元カレに連絡を取ってしまったことをきっかけに、ずるずると進んでいき、関係が戻る。

A子はまた顔を腫らして僕らの集まりに来るようになった。

 

「ごめんねB男。私が弱くて」

 

B男はまた憤慨する。最初からやり直し。ダ・カーポ。B男が顔を腫らして二人を別れさせるが、また寄りを戻す。

これを数年間繰り返していた。その間に、A子は彼の子供を下ろした。産婦人科についていったのはもちろんB男。

繰り返される惨劇に、僕らは心底飽き飽きしていたので、特になんの同情もしていなかった。

ただ、A子に対する悪感情もなかった。多分それはA子の人としての魅力がなせるわざだし、僕らは幼馴染だった。

基本的には好きも嫌いもない。

 

ただ、惨劇の繰り返しにも終わりは来る。どうしても堕胎を許せなかったB男がA子に交際を申し込んだのだ。

「ごめん。やっと気づいた。全ての原因は寂しくさせる俺のせいだ。これからは俺がずっと一緒にいる」

みたいなことをB男が宣言し、A子はそれを受け入れる。

B男は決意に燃えていた。絶対幸せにすると。B男がそれでいいなら、僕らに異論なんてあるはずはなかった。

 

ところで、今はもう彼らに会うことがない。全員で会うこと、という意味ではなくて、グループのうち

誰にも会うことはない。多分、会おうと言われれば会う。かもしれない。でも会いたいとは思わない。

思い出すことも殆ど無い。

 

彼らに最後に会ったのはもう15年ほど前。

B男に腕を折られたA子に会った日。子供みたいに泣きじゃくるB男にあった日。

二人が付き合い始めてから1ヶ月ほど経った日のことだった。

 

「なんでこんなことになるの?」と僕はB男に尋ねた。

「わからない。なんで俺がそんなことをするのかわからない」困惑した顔でB男は応えた。

「ただ、A子と一緒にいると殴らなきゃいけないように思えてくる」。

「気づいたら殴りたくなってる」

「そして殴ってる」

「殴ったらもっと殴りたくなる」

「頭ではだめだと思ってるんだ。でも止まらないんだ」

「テリー、なんでこんなことになったんだと思う?」

 

答えなんて僕は持ち合わせてなかった。B男が人を殴る、それさえ理解の範疇外だった。

今までどんな喧嘩に巻き込まれても決して手を挙げたことのないB男が?

 

それもA子を?

 

ただ一つ、なんとなく理解ができたことがあった。

A子の存在は悪なんだということ。それは悪意があるという意味じゃなく、ただ彼女の存在が

善なるものも悪に変えてしまうほどの悪なんだということ。

彼女はもちろん殴られたいわけじゃない。それを誘導したわけでもないだろう。

「殴らないで」と泣きながらお願いしたかもしれない。心から願ったかもしれない。

でも、避けようもなく彼女は殴られてしまう。殴ら”せて”しまう。

 

僕はそれ以上B男と一緒にいたくなかった。A子にももちろん会いたくなかった。

多分その感情は、恐怖に一番近いんだと思う。

僕だけではなく、グループのみんなは同じようなことを感じてたんだと思う。

結果、誰も集まろうと言わなくなった。彼らのその後について何も知らないし、もう死ぬまで会うことはないんだと思う。

(実はそのグループのうち一人の女の子については、もう少しだけ話の続きがあるけど、それはまたいつか)

 

 

最近、かみさんと息子の将来について話をすることがあった。

「息子にどんな人間になってもらいたい?」というかみさんからの問いに対して

僕の頭に浮かんできたのは「B男みたいに」というものだった。

そして、「決してA子と出会わないように」

 

 

 

 

 

 

募集:小説のモデル

多分は理由は100個くらいあるんですが、自分以外の人の話を小説の形にしたいな、と考えています。

少しでもご興味のある方はDM等何らかの方法で御連絡下さい。

以下に内容と条件を記載しますが、質問があったらなんらかの方法で連絡下さい。

 

【内容】

 ①分量は数千字のかなり短編になります。

 ②おそらく1日や1場面を題材にします

 ③ヒアリングを元に書きますが、少し脚色する可能性はあります。

 ④おそらく3人称での小説になると思います。

 ⑤僕の文体はこのブログの記事を読んでもらえればと思います。

 

【条件】

 ①このブログの記事の一つとし公開します。ただし、もし、希望されない場合には応談です。

 ②題材とした方のお名前やそれに類する情報を公開するかどうかは、題材となる方に決定権があります。

 匿名を希望する場合は、仮名ということを明らかにセず、仮名をつけます。つまり匿名ということすら、読者の方にはわかりません。

 ③ヒアリング方法は、直接あってお話を聞く>通話で聞く>チャット>メールなどで聞くという順番で望ましいですが、いずれにするかは題材となる方が決めていただいて結構です。

 ④性別、年齢は問いません。

 ⑤お互いギャランティーは発生しません。完全なボランティアです。

 ⑥必要であればある程度性的な事項に関しての質問もしますが、答えたくない質問には応える必要はありません、

 ⑦納期はお約束しません。

 ⑧ヒアリングの中で知り得た情報に関しては、無断で他に知らせることはありません。

メンタルヘルス疾患覚書

家族にカウンセラーがいたり、僕自身大学時代に心理学を勉強していたり、身内にメンタルをこじらせて自殺した人がいたり、友人に心理的な不調から男の人と寝まくる女の子がいたり、メンタルヘルス疾患と関わり合いになることが多く、昔からその領域には大変興味を持って生きてきました。

もちろん専門家ではありませんので、大したことは言えませんが、これまで僕が見聞きし、学んだことをまとめておきたいと思います。

 

(1)メンタルヘルス疾患はただの病気である

メンタルヘルス疾患の話をする時、それを特別な状態だと捉えすぎると本質を誤ってしまう。それは、普通に起こるものだし、自然な体の反応である。

メンタルヘルス疾患があるからといって、特別な誰かになれるわけではないし、逆に言えば、それだけでは普通の人間である。

かつて「ペスト」に罹ることに特別な意味をもたせようとする人がいるように、メンタルヘルス疾患に罹っていることを特別な何かと思い込みたい人もいると思うけど、それは滑稽だなと思う。

 

(2)誰にでもメンタルヘルス疾患になる可能性がある

メンタルヘルス疾患にかかったきっかけを掘り起こしていくと、「実の父親性的虐待を受けた」なんてセンセーショナルなものが見つかることもあれば、「小さな頃、親に無視された」なんて誰にでも起こり得ることが見つかることがある。もちろん、僕にも無視された経験ぐらいはある。でも現在メンタルヘルス疾患ではない。ただ、いつかこの無視された経験が僕をメンタルヘルス疾患にするかもしれない。

それはすぐ僕らの横にいる。これもメンタルヘルス疾患が特別な何かではないということの証左の一つだと思う。

 

(3)メンタルヘルス疾患は、絶対に治さなければいけないというものではない

夜眠れない。異常なほど潔癖。電車に乗れない。メンタルヘルス疾患の症状でよく聞くものばかりだけど、別に生きていく分には致命的なものではないと考えることもできる。もちろん治療できるにこしたことはないのかもしれないけど、今すぐ死ぬようなことでもない。それは例えばヘルニア持ちと同じで、死ぬまで付き合っていくこともできる。「治さないと自分は普通ではない」なんてことがプレッシャーになってしまうなら、いっその事ずっと付き合っていく、と開き直っても良い。程度や種類の違いさえあれ、誰もが何かを抱えて生きている。それも含めて自分なんだから。

 

(4)メンタルヘルス疾患を抱えていても幸せになってもいい

不眠症リスカ癖、過食症、「だから」幸せになれない、わけではない。

世の中には、目が見えなく「ても」、耳が聞こえなく「ても」、若くして末期ガンを宣告され「ても」、幸せに生きていっている人もいる。

間違えないでほしいのは、別に幸せにならなくてもいい。自分の人生なんだから、自分でどうなりたいかは決めればいい。「幸せ」ではないからと言って生きる意味がないわけではない。それは一つの価値観にしかすぎない。

ただ、「幸せ」になりたいのであれば、別にメンタルヘルス疾患を抱えていてもなればいい。自分なりの幸せを実現するために、疾患は「邪魔」かもしれないが、「不可」になるわけではない。もちろん誰かを愛しても、愛されても良い。

何度も言うけど、誰にでもメンタルヘルス疾患を発症する可能性はある。「今、発症していること」と「まだ発症していない」ことの間にはそこまで大きな差はないと思う。だから、「まだ、発症していない人」と同じように愛し、愛されても当然だと思う。

 

(5)カウンセリングは治療にも予防にもなる

メンタルヘルス疾患になったら、カンセリングに通う、というのは太ったからダイエットをするようなもので、太らないようにジムに通うようにカウンセリングに行けばいいと思う。自分が思うよりも、自分というのは傷ついていて、なにかに我慢している。一体それは何なのか、同対処していくべきものなのか、専門家と相談するだけで対処できる幅は広がる。

 

あくまでも僕が感じ・考えたことを学んだだけですので誰の役にも立たないかもしれませんが、もし、この文章を読んで少しでも楽になったと思ってくれる人がいれば大変うれしいです。

忘れられない女の話4

女の人から「抱いてほしい」とお願いされた経験は数少ない。

僕は放っておいても女の人が寄ってくるような所謂モテる人間ではない。

 

ただ一人にだけ、「お願いだから抱いてほしい」と懇願されたことがある。

その女性の話をしたいと思う。

オチもなく、盛り上がりにも欠ける話だけど、それでも書きたいと思う。

 

 

僕がまだ地方の国立大学生だった頃、大学の映画研究会(サークル)に出入りしていたことがある。

正式な会員ではなかったが、一人とても仲の良い友人が所属していて、一緒に映画を撮り始めたことがきっかけで頻繁に出入りしていた。

映画研究会には、10人位のメンバーがいて、彼女はそのうちの一人だった。

僕より2つ年下の彼女は、決してキレイな顔をしているとは言えないが、

ちゃんとおしゃれにも気を使う、普通の女の子だった。

そして、彼女は、僕の仲の良い友人の恋人だった。

 

彼女には、僕が脚本を書いた映画に出演してもらったのを機に仲良くなった。

僕らはともに古いイタリア映画が好きで、特にフェデリコ・フェリーニが監督した

8 1/2という映画が大好きだった。友人と彼女と僕、友人宅で夜通し古いヨーロッパ映画を見まくっては、拙い映画論を交わしていた。ジャンリュックゴダールフェデリコ・フェリーニフランソワ・トリュフォーエリック・ロメール。古くて、難解で、退屈で、美しい映画達。友人と彼女が教えてくれる手法、映画の中にある思想・哲学。全てが特別だった。

もし、僕の目の前に神様が現れて、1日だけ過去に戻してあげると言われたらあの頃に戻りたい、そう思うくらい大切な日々だった。

 

そんな生活が1年程続いた頃に、僕の友人がイギリスの大学に留学することになった。

友人と彼女は別れなかったようだが、残された僕と彼女は疎遠になった。

やはり友人に悪いという気がしたのもあるけど、それ以上に3人だから成立していた

バランスだったんだと思う。

友人がいなくなった後の僕は、映画研究会自体にもほとんど出入りをしなくなったし、

彼女と会うこともなかった。そして、僕はまた女遊びの日々を繰り返していた。

 

彼女から連絡があったのは、友人が留学してから半年ほど経ったある日だった。

夜中、僕がそのころ仲良くしてた女の子の家で寝ていると突然彼女から携帯に電話があった。出ると、息切れた苦しそうな声で彼女が言った。

「助けてほしい。今すぐ家まで来てほしい」

僕は大急ぎで彼女の家に駆けつけた。原チャリで。レッツ2で。2号線を飛ばして。

 

一人暮らしのアパートについて、呼び鈴を押しても彼女が出てこなかったので、ドアを開けて中に入った。彼女は電気もつけず、ベッドに横たわって、口に紙袋をあてながら、僕の方を虚ろな表情で見ていた。紙袋は、不規則に縮んだり、膨らんだりを繰り返していた。

僕はタクシーを呼んで、夜中でもやっている救急病院に彼女を連れて行った。

診断はストレス性の過呼吸。「症状が収まるまで待つしかない」という、若い医者に僕はつっかかり、彼女に無言で止められた。

帰りのタクシーの中で少し落ち着いた彼女から聞いた話では、彼女は中学生の頃からそういう症状をもっていたそうだ。症状は回復と悪化を繰り返していたが、友人と付き合い始めたことで精神的に安定し、ここ数年は症状が出ていなかったそうだ。ところがというか、やはりというか、友人がいなくなってその症状が再発。定期的に過呼吸の発作が出る生活を送っていたそうだ。

 

「対処法はないの?紙袋以外に」と僕は彼女に聞いた。

「ある。男の人とセックスすると楽になる」と彼女は虚ろな表情で答えた。

「セックス?そんなにしんどいのにできるの?なんでそれで収まるの?」

「理由はわからない。でも、できるし、すると楽になる」

「でも、友人が側にいないからできないじゃないか」

「だから、最近は他の人としてる。沢山、色んな人としてる。研究会の人たちとも」彼女はなんの感情も載せていない言葉で僕にそう言って、「今日は誰も捕まらなかった。だから先輩に来てもらった」と続けた。

「僕とセックスするつもりだったってこと?」

「うん」

「ごめん。それは無理だ。ごめんな。でも、大切な友人の彼女だし、できることはしたい。病院ならいつでも連れてくし、

一緒に映画見たりはできるから連絡はして。その代わり友人を傷つけてほしくないから、出来る限り他の男としてほしくない。」

 

それから数週間に一度は夜中に彼女から電話がかかってきて、彼女の家に向かう日々が続いた。

紙袋をあて、虚ろな目をしている彼女の手を握り、暗がりの中でフェリーニの映画を見続けた。『道』『81/2』『甘い生活』『カリビアの夜』

時々彼女は苦しそうな呼吸で僕に懇願した。「して。お願い。して」。目に涙を浮かべて。消え入りそうな声で。「して」

僕は断り続けた。彼女の手を握り、時には抱きしめて、彼女が寝るまで側にいたけど、やっぱり断り続けた。何度懇願されても。抱きつかれてもすがられても、どうしても僕にはできなかった。友人に操を立てる、ということもあるけど、今になって考えると僕はやっぱり怖かったんだと思う。過呼吸で今にも死んでしまいそうな(実際そこまで大したことではないのかもしれないけど、その頃の僕にはそんなこと理解できなかった)人間とセックスをするということがとてつもなく怖かったんだと思う。それはある種のトドメとなってしまうのではないかそんな風に思っていたんだと思う。そして、若い僕には死というものは恐ろしいだけでなく、得体の知れない、気持ちの悪いものだったんだと思う。

 

そんな日々をしばらく、おそらく2,3ヶ月続けていると、バタリと彼女から電話来なくなった。研究会のメンバーにきいたところ、僕が通ってる間も、やはり彼女は他の男に連絡していて抱いてもらうという日々を続けていたそうだ。その中に研究会のメンバーも複数いて、やっぱり会の中でトラブルになり、研究会を抜けていた。最近は大学にも来ていない、とのことだった。

 

そして、ここで彼女との思い出は終わっている。彼女からの連絡はなく、僕も二度と彼女に連絡をとらなかった。

大学で出会うこともなく、共通の友人ももういない。

その後友人に聞いた話では留学して少しした頃に彼女と友人は別れていたそうだから、友人経由で知ることもない。

そういう意味では、僕は友人の女に手を出さないというポリシーの面では、彼女を抱いても問題はなかった。

何故彼女が僕に別れたことを言わなかったのかはわからないが、あくまでも僕と彼女との関係は、友人ありきで、それがないことを僕が理解すると、関係自体が終わってしまうと思っていたからではないかと愚行する。

 

彼女が今どこで何をしているのか、症状はどうなのか、今でもセックスをすることで抑えているのか。残念ながら興味はない。例え、電話があってももう駆けつけることはない。レッツ2ももうない。

 

でも、フェリーニの映画を見るたびに彼女のことを思い出す。あの暗闇の中、手を握り続けた日々を思い出す。そして、できれば忘れてしまいたい、でも決して忘れられない女性なのだと、思う。

 

 

 

 ※無職転生を読んだ人ならわかると思うんですが、エリナリーゼの呪いの話を読むと彼女のことを思い出します。

 

 

 

 

 

 

口説き以前に考えておくべきこと

あと1本、女の口説き方の話を書いたらブログはやめようと思っていたけど、その前に書くべきことが見つかったので、それを書こうと思う。

それは恋愛、というものを僕がどう捉えているかということ。

女を口説く、ということに関してどういった理由やポリシーを持つのか、それはこの恋愛というものの捉え方に大きく依存していると思うからだ。

 

(1)恋愛は人生の全てを決定するものではない。

  人生には沢山の要素があって、恋愛なんてしなくても、楽しんだり、満足したりすることができる。巷の青春映画が突きつけてくるような恋愛をしなければ人生は真っ暗だという価値観に同意する必要なんてないし、したくなければしなくてもいい。現代社会で生きるとしたいこと全てをするためには絶対に時間が足りない。その優先順位付けとして恋愛を下位においたところで誰にも責められるいわれはないし、自分の人生のことなんて自分で決めればいい。責任は自分にしかとれない。性欲だけなら金で解決できる。

 

(2)それでも恋愛は人生を豊かにしてくれる

 小説家のサマセット・モームの言葉に「どんなひげ剃りにも哲学はある」というものがある。

 僕も、人生においてそれなりに真剣に向き合った対象からは何かを学び、哲学を見つけた。剣道でも、受験でも、PCエンジンの縦型シューティングゲームでも、仕事でも、友人関係でも。(FF14でもと言いたいけど、残念ながら正直よくわらない)

 でも僕にとっては、恋愛こそが最もたくさんのことを教えてくれたと思う。

 人を大切にすること、傷つけること、傷つけられること、誰かを信じて、誰かに失望し、誰かをなくして悲しむこと。人との接し方、喜ばせ方。全て恋愛で学んだ。一人でできるものじゃないからこそ、いつも新しい世界を広げてもらった。新しい世界の見方を教えてもらった。

 恋愛はやはり人生を豊かにしてくれる、そう思う。

 

月と六ペンス (新潮文庫)

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(3)誰にでも特別な異性と出会うチャンスが用意されている

 村上春樹のエッセイの中では「やがて哀しき外国語」というエッセイが一番好きだ。

 その中で、彼がアメリカの大学でゼミを持っていた時の話がある。

 ゼミ生に「どうやったら小説家になれるのか?」という質問を受けたとき、彼は決まって「誰にでも人生のうちで1度はそういったチャンスがある。あるいはない人もいるかもしれないが、あると思ったほうが人生は豊かになる」というようなことを返す、と書いてあった。

 たしか村上春樹は、バーを経営していたとき、昼間にヤクルトスワローズの試合を見に行って、助っ人外国人が三塁線を破るツーベースヒットを売った時に小説を書こうと思い立って、書いたら賞をとって、小説家になった。

 

 僕も恋愛のチャンスについてのスタンスはこれと同じだ。誰の人生にもそういうチャンスが用意されているし、ないかもしれないけど、あると思ったほうが人生はおもしろい。

 

やがて哀しき外国語 (講談社文庫)

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(4)チャンスをものにするには準備が必要

 自分の目の前にきたチャンス、これを逃さないためには準備が必要だ、自分を魅力的な人間とする必要があるし、なによりも恋愛を積み重ねて経験を得るという準備が必要だ。素振りだけしていても150キロの球は打てない。やっぱり実践を繰り返すしかない。

 準備とは自分を磨くことだし、恋愛を繰り返し経験することだ。

 沢山失敗し、そこから何かを学んでいくことだ。

 

 (5)多様な経験がないと間違った異性を特別だと思い込む

 

失敗も成功も多様な経験を積み重ねるこそ、「自分にとって」なにが正解なのか、ということを判別できるようになる。

恋愛も沢山失敗したり、楽しい時間を過ごしたりすることで、自分にとって大切なファクターを見つけていく。こういうものがないまま、一定の年齢になって初めて付き合った異性と添い遂げようとした結果、騙されるなんて話は枚挙に暇がない。そして異性自体を恨んでしまう。

経験が少ない男女をカモにしようと思っている人間は残念ながら沢山いる。

 

(6)ノーマルモードでクリアする

 恋愛の経験を積み重ねたいんだけど、モテないから恋愛できない。

 これはイージーモードでプレイできないから、クリアできないと言っている話であって、悲しいかな、言い訳に過ぎない。

 ノーマルモードでクリアするためには自分自身が傷つきながらもアクションを続けていくしかない。何度もゲームオーバーになりながら、少しずつ攻略法を積み重ねていくしかない。だから僕は口説く方法を考えた。それは、イージーモードを選択する方法ではなくて、ノーマルモードでクリアするための攻略法だ。

 ハードモードからノーマルモードに変えるやり方については、僕の他の記事を参照してもらえればそこにヒントが有ると思う。自分でハードモードを選択している人が世の中にはとても多すぎる。

 

 

最後に、繰り返しになるけど、恋愛なんてしてもしなくてもいい。自分で決めればいい。恋愛しなけりゃ幸せになれないなんて呪いからは早く逃げ出した方がいい。余計なお世話だって言い切ってしまえばいい。

ただ、それでももし、すると決めたのであれば、その恋愛があなたの人生を豊かにするようなそんな恋愛ができるようなることを願ってる。