シナリオ☆おひとり雑技団

過去のシナリオ置き場です。無断転載はお断りしています。感想などはどんどん受付けています。

2017 ヤングシナリオ一次

http://www.fujitv.co.jp/young/award/29th_01.html



出てましたよ!



知り合いのライターの子の名前みつけました、おめでとう!



そして勿論自分が落ちたのは見届けました

、笑



しばらくシナリオから離れることになり、シナセンもやめますが、ライター友達と楽しくやりとりしてきた2年半は実り多いものでした!



ヤングシナリオ一次みると、何回も見る名前があって、このコンクールに一年かけて全力投球してきたんだなってのが分かりました。



一時期コンクーラーとしてとにかく作品書いてたころ、泉のやうにアイデアが湧き出してきていて、楽しかった。



書きたいときに書けばいいんだと思います。



シナリオの世界はいつでも門を開けてくれているから。



書きたいなーと書きかけのままの作品たちをお墓に入れてあげないとなΣ(-᷅_-᷄๑)



夢を追いかけるのに年齢はない

ヤンシナ三十五までだけど、あと2年で応募できなくなるとか、悲しすぎるわΣ(-᷅_-᷄๑)



また、シナリオ書けるようになったら、作品をあげたいなあ^ - ^


20枚シナリオ 『アクションドラマ』

アクションドラマといえば、、、

MI!!と思いましたが、設定もりもりにした割には

敵対する人物の小物感が否めないし、キレのある台詞がかけずに

唸っています。。。

 

でも、カオリが好きです。義足の女暗殺者が書きたかっただけです(おい)

 

次の喜劇も、また設定から入ったのですが、ぐっとくる台詞や面白い展開が

お見せできるようがんばりたいと思います^3^

 

(ゆるっと感想をいただけると嬉しいです)

 

__________________ 

 

『孤独な夜はベルベットを抱いて』

 


☆人物
綾瀬 かおり(40)暗殺者
生島 太次(33)2世政治家
本田 リサ(20)高級娼婦
ブライ(35)かおりの仲間

 

  

 

○東京・情景(深夜)
   煌々と光る高層ビル、鳴り止まない喧
   騒、不愉快な車のクラクションの音。

 

○高層ビル・地上(深夜)
   黒いスーツで全身を包んだ綾瀬かおり
   (40)が安全装置を腰につけ、ロー
   プを手で掴み、上を見上げる。

 

○同・屋上(深夜)
   ロープをビルの上の柵に巻きつけ、下
   を見下ろしながら、インカムに呟くブ
   ライ(35)、全身黒いスーツ姿はか
   おりと同様である。ロープを自動で巻
   きつける機械の電源を入れながら、
ブライ「ターゲットのフロアは45階、計画
 通りに2時間以内にケリをつけろ」

 

○同・地上(深夜)
かおり「2時間も要らないわよ。後でね」

○同・壁(深夜)
   ロープが引き上げられていき、かおり
   の体もするすると上に。強風がかおり
   のボブを乱暴に跳ね上げる。

 

○同・45階・廊下(深夜)
   屈強そうなボディーガードが二名、扉
   の前に立っている。

 

○同・同・ルーム内(深夜)
   大きなベッドの上、裸でうつ伏せに寝
   ている本田リサ(20)。
   シャワーの音が奥から聞こえる。
   携帯電話が鳴る。ベッドの脇の鞄に手
   を伸ばすリサ、電話に出て。
リサ「はい。……終わりました。次は、え?
 泊まり? このままですか? い、イヤ、
 それはイヤ。あ、ボス!!」
   リサ、切られた携帯電話を呆然と見つ
   める。
   シャワー室から出てきた、生島太次
   (33)はリサを見て、にんまり笑う。
生島「延長しちゃった、今夜はずっと一緒に
 いようね」
リサ「……(怯えて)」
生島「何なら僕の愛人にしてあげようか。月
 に20万お手当、出せると思うよ」
   生島、黙っているリサの元にいき、
生島「って、断る権利は君にないんだけどね。
 来年の選挙に向けて忙しくなって、ストレ
 ス溜まるから、若い女を飼いたいってパパ
 にお願いしたんだよ」
リサ「お願いします、今夜だけで勘弁してく
 ださい」
   生島、リサの頬を平手打ちして、
生島「君は物なんだ。女が自分を売ろうと決
 めたら、そのときが最後。分かっているだ
 ろ? きもいオヤジに抱かれて、薬漬けに
 されるわけじゃないし、僕みたいな紳士で
 ラッキーだよ、君」
   生島、リサの上に覆いかぶさる。
   隣の部屋で物音が聞こえ、生島は顔を
   上げる。
   隣の部屋、窓に壁穴が空いており、か
   おりがベレッタM92をチェックして
   いる。腕時計を見て、
かおり「殺すの一瞬なのに、上り下りで時間
 食うっての……」
   顔を上げ、隣の部屋に行くドアをそっ
   と開ける。
   ベレッタを構え、部屋に入るかおり。
   ベッドの上で目を丸くしている生島、
   押さえつけられているリサ。
   かおり、さっとベレッタを、生島の頭
   に向け、狙いを定める。
   生島、リサの髪の毛を掴み、引き寄せ
   て、盾にして、にやっと笑う。
生島「女の暗殺者とは……1千万やるから、
 銃を床に置け。ボディガードに雇ってや
 る。どうだ?」
かおり「金で人を物みたいに買うのがあんた
 達だよね。あんたをこの場で殺す。それは
 変わらない」
生島「じゃ、まず、この女を殺せ。あ? 関
 係のない娼婦も巻き込めよ」
かおり「……(はっとする)」
リサ「……(はっとする)」
生島「まだ20歳そこらの娘を殺してからに
 しろよ。所詮身体を売るろくでもない女だ。
 死んでも誰も悲しまない」
かおり「卑怯極まりないのは父譲りだね」
生島「……俺の親父の知り合いか?」
   リサ、生島の手に噛み付く。生島、驚
   いて手を離す。リサ、ベッドから逃げ
   出そうとする。
   かおり、リサを捕まえようとする生島
   の横っ腹に一発ぶちこむ。
かおり「(リサに)隣の部屋に行ってなさ
 い!!」
生島「(疼きながら)クソっ」
   生島、枕の下に置いていたコルトに手
   を伸ばす。
かおり「絶対……殺す」
   かおり、二発目を生島に放つが、生島
   もかおりにコルトを向け、かおりの足
   を狙って続けて撃つ。
   生島の肩にベルベットの二発目が当た
   るが、生島はベッドの下に転がって、
   にやっと笑う。
生島「こんなとこで死ねるかよ」
   生島、顔を引きつらせながらも立ち上
   がって、しりもちをついているかおり
   を見下ろす。コルトをかおりに向け、
生島「殺す前に犯してやろうか」
   かおり、足を手でおさえているが、顔
   をあげて、冷たく笑って、
かおり「親子二代に渡って、この足をぶち抜
 かれるなんて感慨深いよ」
   かおりの足からは出血がなく、黒スー
   ツが破けた所が鈍く光っている。
   かおり、すっと立ち上がり、ベレッタ
   を構え直す。   
かおり「足一本くらい、訳ないケド」
   ベレッタから数発弾丸が放たれ、生島
   に飛んでいく。
   生島、その場に背中から倒れ、絶命す
   る。
   リサ、部屋の隅で震えている。
   かおり、生島に近づき、死んだのを確
   認する。
リサ「お、お母さん……だよね?」
   リサ、かおりに近づこうとする。
   かおり、リサにベレッタを向ける。
かおり「娘も夫も死んだ。私も死んだ。今は
 誰の母親でもない、誰かを守る立場にはな
 い。ただ、対象者を死に至らしめるだけ」
   リサ、構わず、近づいていく。
リサ「どうして、こんな……お父さんからお
 母さんは死んだって聞いてたのに、生き
 てたの? ねえ、どこに住んでるの?」
かおり「私が母親でない証拠に、容赦なく、
 あんたを今すぐ殺せる。これ以上近づかな
 いで」
リサ「こんなくそみたいな仕事、こんなくそ
 みたいな人生……最低最悪だけど、あなた
 に会えたから、悪くないかもね」
   かおり、リサの肩上をかすめるような
   弾丸を撃ちはなつ。リサ、がくがくと
   震えて、その場に崩れ落ちる。
かおり「20歳そこらで人生語るんじゃない
 よ。警備を呼びな」
   かおり、隣の部屋に駆けていく。
   リサ、顔を手で覆って、嗚咽する。

 

○高層ビル・屋上(深夜)
   ブライが月明かりの下、アガサ・クリ
   スティの文庫本を読んでいる。
   かおり、寝転がって、月を見上げる。
   かおりの目から静かに涙が流れる。
ブライ「なあ、もっとでかい仕事しないか」
かおり「今はそんな気分じゃ」
ブライ「ドバイの要人を暗殺する話、ボスが
 受けてたの聞いちゃったんだよね。ほら、
 俺のとこ、3人目産まれたでしょ。色々と
 用入りなわけ」
かおり「ドバイね……」
ブライ「日本と比べものにはならないほどの
 高いビルに住んで、ふんぞり返っているセ
 レブの専属アサシンになるのも悪くない」
   かおり、起き上がって、目をこする。
かおり「まだまだ殺さなきゃいけない豚ばっ
 かだよ、こんな小さい国に信じられないく
 らい居るんだから」
ブライ「きりがないよね」
かおり「だから、仕事がある」
ブライ「確かに」
   かおり、胸の上のベルベットをスーツ
   のポケットにしまい、立ち上がって伸
   びをする。かおりの義足が月の光りを
   浴びて、鈍く光る。

○渋谷・交差点

   大きなスクリーンに流れるニュース。

   政治家2世が暗殺されたと無機質に話
   すアナウンサー。気にも留めない通行
   人たち。
   交差点の中、立ち止まってスクリーン
   を見上げるリサ。
   リサはリクルートスーツに身をまとっ
   ている。
リサ「……クソみたいな人生を生き延びた
 ら、いつか会えるって信じてるから」
   毅然とした顔で、再び歩き出す。

 

羽田空港・ターミナル
   かおりとブライが歩く。
ブライ「国内案件しか請けないんじゃなかっ 
 た?」
かおり「海外に逃げたってんだから追いかけ
 けて始末しなきゃでしょ、ゴキブリは」
ブライ「忙しいこって」

ライターのお仕事

先日から、ライターのお仕事をはじめています。名前が出るタイプの仕事なので、とても嬉しいです。ペンネームでやってます。(シナリオライターとしては名前だしの仕事は遠い道のりではあります……)

 

女子ツク!、ぜひチェックしてみてください☆^^

 

Facebookいいねも、Twitterいいねも大歓迎です☆^3^

 

 

joshitsuku.com

 

joshitsuku.com

 

joshitsuku.com

 

 

 

なかなか書けていないシナセンの課題もまたアップする予定です♪

 

青春ゾンビさんの「カルテット」考察のレベルが高すぎる

hiko1985.hatenablog.com

 

坂元さん作品を愛してやまない私は、ドラマ「カルテット」を三段階で楽しんでいます。

 

字幕つきでオンタイムで見る

後で録画でじっくり復習

カルテットタグをみて、皆さんの感想をふむふむ読む

 

それに加えて、極上の楽しみは、青春ゾンビさんの「カルテット」の感想ブログがすごいんです。深い…熱量すごい……

 

そんなわけで、私の場合は読書感想文かよ、みたいなのしかかけないんですけどね

 

たまに、映画を一人でふらっと見ているので、また感想を書きたいところです。しかし、感想が上手い人はきっと文学的才能があるのではと思ってしまいます

 

 

スランプの乗り越え方

書き物をしている人にはつきものの、スランプ

 

とにかくかけない、かけたときの自分がおもいだせない、かいてもかいても面白くない

 

 

でも、これは前より進歩したからこその壁なのだと前向きに考えることにした

 

 

インプットを定期的にする

 

課題くらいは出す

 

 

など方法はあれど、やはり脚本の指南書を手に入れたくなる性分。

 

「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方

Amazon CAPTCHA

 

を買うことにした。

 

最近は尾崎先生の本をよんだけど、正直ぴんと来なかった。

3年でプロになれる脚本術

Amazon CAPTCHA

 

こういうのは相性なのでしかたない。。。

 

ヤングシナリオは出すには出したけど、途中かきかけで終わってしまった(毎度、〆切前に家族のごたごたがある)

 

計画的に書いて推敲する、この意識が低いからいけないんだと分かっている。。。

 

 

 

そのまえに、書きたくて仕方なかった2年前。そのときのモチベーションは思い出せないだろうか。。。

 

 

 

 

 

 

2017年度 シナリオコンクールまとめ(自分用)前半期♪^^

2017年のシナリオコンクールのまとめです。

(漏れてたらすいません…)

ラジオドラマ、主要ドラマ、その他など、応募したいなーと思うようなコンクール書き出しました。

 

☆2月

 

■シナリオ・センター S1グランプリ

http://www.scenario.co.jp/s1/

 

〆切

平成29年2月20日(月)20時30分必着

 

1時間もの、2時間もの、それぞれ出せます、郵送か持ち込みか

 

■フジテレビ ヤングシナリオ大賞

フジテレビ 第29回 ヤングシナリオ大賞

 

〆切 
2017年2月28日23時59分

 

一時間もの、複数提出可能、ネットから応募

 

☆6月

 

■TBS連ドラ・シナリオ大賞

 

www.tbs.co.jp

 

〆切

2017年6月1日(郵送の場合は当日必着。データ送付の場合は当日24時まで)

 

連ドラ1話目一時間、全体のプロット、ネットあるいは郵送応募

 

※昨年はありませんでした、やった、今年はあるぞ!!!

 

NHK 創作テレビドラマ大賞

 

https://www.hosakkyo2012.jp/%E5%89%B5%E4%BD%9C%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E5%A4%A7%E8%B3%9E-new/%E5%85%AC%E9%96%8B%E8%AC%9B%E5%BA%A7/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E5%85%AC%E9%96%8B%E8%AC%9B%E5%BA%A7%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%885-28/

 

まだ詳細不明です、、、

 

1時間ものシナリオです。

 

例年5月から6月くらい応募がありますよね、予定が近くなればHPで公開されます。(3月に知り合いのライター様である中谷典子さん大賞受賞作の「あなたにドロップキックを」がNHKで実写化!!イモトアヤコさん主演、見ねば……)

 

☆8月

■城戸賞 

〆切 8月末

2時間ものです

※詳細不明

 

☆9月

WOWOW

〆切 9月末

※詳細不明

 

 

また、更新しますね^^

20枚シナリオ『サスペンスドラマ』

サスペンスがなかなか思いつかず、3ヶ月くらい課題を書いておらず、まったくシナリオに触れずにいたら、案の定駄作になり、ライター仲間にもけちょんけちょんに言われました笑

 

今月から再びシナリオライターとして気を引き締めて、執筆も頑張ろうと思います。

 

 

カストラートというのは、少年期の美声を保つために少年の睾丸を切り取られた、去勢された少年の事を言うらしいです。期間限定の美声を持った少年と、その美声に取り付かれている少女のお話を書きたかったのですが、失敗><

_____________________________________

 

 

「拝啓、カストラート

             

人物

修道寺 雄平(12)(15)ソプラノ歌手

梅原 郁美(12)雄平の幼馴染

修道寺 綾子(31)雄平の母

寺田 レオ(40)綾子の彼氏

 

 

○繁華街・道

   ハサミのシャキシャキという音が響く

   中、息を切らして走るタキシード姿の

   少年の影と、それを追いかける少女の

   影。二人の足音が、ガヤガヤとした繁

   華街の中に吸い込まれていく。

○コンサートホール・舞台(夜)

   客席は満員。管絃楽団が演奏する前で、

   舞台の上に一人立っている、修道寺雄

   平(12)は、タキシード姿で、美し

   いソプラノの声を会場中に響かせる。

   客席の梅原郁美(12)は目から涙を

   流して聴き入っている。

○コンサートホール・控室(夜)

   衣装のまま、パイプ椅子に座っている  

   雄平、喉をさする。

   ドアを開けて、修道寺綾子(31)が

   入ってくる。顔が赤い。

雄平「(振り向く事なく呆れて)酒臭い」

綾子「(気にせず)で、どうだった?」

雄平「(答えず)……寺田さんは?」

綾子「外で待ってる」

雄平「そっ」

   立ち上がり、水を飲む雄平、苦しそう

   に喉をさする。綾子、じっと見る。

○コンサートホール・廊下(夜)

   綾子、スーツをきちっと着た寺田レオ

   (40)が肩を並べて歩く。

寺田「息子の舞台を見に行かなくていいなん

 て、君は本当にあの子の母親?」

綾子「私だって辛いの。ここまであの子を有

 名にできたのに、もう賞味期限はそこにま

 で来てるんだから!」

寺田「はっきり言うなあ」

綾子「あの子が売れて、生活が何とか立て直

 ったと思ってたけどさ」

寺田「それは僕と一緒になったらいいって」

綾子「レオ、子ども嫌いじゃない」

寺田「まあねえ。じゃ、親戚か誰かには?」

綾子「そんな、無責任な」

   寺田と綾子が角を曲がったところで、

   花束を持った郁美とぶつかりそうにな

   る。寺田と綾子、気まずい顔をして、

綾子「あら、郁美ちゃん」

寺田「これまた、でかい花束だな」

郁美「(にっこりと笑って)自慢の息子さん

 の一番のファンですし。失礼します」

   郁美が礼をして立ち去り、寺田と綾子

   は顔を見合わせる。

綾子「(ぼそっと)聴いてたと思う?」

寺田「まだ小学生のガキにどうこうできない

 でしょ」

綾子「女よ、ガキって言ったって」

   寺田、肩をすくめて笑う。

○コンサートホール・控室(夜)

   苛立った様子で雄平がペットボトルを

   壁に投げつけ、肩で激しく息をする。

   ノックをして、郁美が入ってくる。

雄平「(呆れた顔で)毎日、来るなよ」

郁美「雄平、今日の夜は何だか悲しい気持ち

 になったよ……さっき、あの人たちとすれ

 違った」

雄平「……もう、どうでもいいよ」

郁美「これからの事、ちゃんと考えてる?」

雄平「は?」

郁美「ボーイソプラノとしてどう生きるか」

雄平「どうもこうも、声変わりが近いよ、自

 分でも分かってる。だから、あの人の態度

 がああなったのだって……」

   郁美、雄平が投げたペットボトルを床

   から拾って、

郁美「(冷たく)捨てられるよ」

   雄平が固まっていると、郁美はペット

   ボトルを部屋の隅のゴミ箱に捨てる。

郁美「私が父親に捨てられたのは6歳だった

 けど、雄平は12歳で母親に捨てられる事

 になるね」

雄平「捨てるって、物じゃないか、まるで」

郁美「商品だよ。あの人にとってはね」

   雄平、郁美のそばにいって、首に手を

   かける。郁美、平気な顔で見返す。

雄平「もう一回言ってみろ」

郁美「でも、私、雄平の声を変えない方法を

 知ってる」

   雄平、目を大きく見開く。

○繁華街・道(夜)

   雄平、物陰に隠れて、激しく息をつく。

   郁美の呼ぶ声が遠くに聞こえる。

雄平「……くっそ」

   雄平、スマホをポケットから取り出し

   て、連絡帳を呼び出して、迷いながら、

   寺田に電話する。

雄平「まだ、マトモであってくれ!」

   呼び出し音鳴り続け、イライラしてく

   る雄平。影ができ、郁美が現れる。

   郁美の手には大きな裁断バサミ。

郁美「見ぃ~つけた!」

   雄平、振り返って青ざめる。

雄平「や、や、やめてくれ」

郁美「富と名声を得るために、何も犠牲にし

 なくていいだなんて、そんなバカな話はな

 いよ。来年中学生なんだから、それくらい

 分かるでしょ」

雄平「マジで、ないから! そこまでして、

 ソプラノの声がいいなんて思ってない!」

郁美「は? ここに一番のあなたのファンが

 いるのに! 自分のベストを尽くして!」

雄平「うるせえ、やめてくれ!!」

   郁美が雄平に近づいていく。

郁美「切るだけ。一瞬痛いかもしれないけど、

 大丈夫よ。女の人が出産するときの痛みと

 同じくらいかな。……お母さんが赤ちゃん

 を産む事ができるんだから、あなただって

 耐えられる(ぶつぶつと)」

   雄平、ぎゅっと目をつぶり、叫ぶ。

雄平「あああああ!」

   雄平の目の前が真っ暗になる。

   × × ×

   雄平が目を開けると、裁断バサミが胸

   に刺さった、血だらけの郁美の死体が

   地面に横たわっている。

雄平「……あ、あああああ」

   雄平、後ろにズリズリと下がって、震

   えながら、郁美の死体から目が離せな

   いでいる。雄平、ゆっくりと自分の手

   に目をやると、手は血だらけ。

雄平「……お、俺が?」

   雄平の目から涙が零れて、醜く歪む顔。

雄平「だ、誰か助けて……」

   雄平のスマホの音が鳴り響き、びっく

   りした雄平は辺りを見渡す。少し離れ

   た所にあるスマホを手に取り、非通知

   の画面を見て、電話に出る雄平。

雄平「……もしもし」

郁美の声「どうして私を殺したの?」

雄平「ひっ」

   雄平、郁美の死体を再び見る。

郁美の声「あなたの声が好き。だから、何度

 も電話する、あなたの声が汚い男の太い声

 にならないように、ずっとね」

   雄平、慌てて、青ざめた顔のまま、ス

   マホの電源を切る。

雄平「……な、何なんだよ……た、助けて」

   雄平、自分の膝を抱えて、顔をうずめ

   る。

   

○繁華街・情景(夕方)

T「3年後」

   ニット帽子をかぶり、マスクをした雄

   平(15)が鋭い目つきで、人ごみを

   逆らうようにして歩く。

   寺田が連れの女と歩いてきて、雄平と

   すれ違う。

   寺田、はっとした顔で振り返って、雄

   平の腕を取って、

寺田「君、雄平君だろ? あ、やっぱり!」

   寺田は雄平の顔をまじまじと見つめて、

   懐かしそうに笑う。

   雄平、寺田の手を振り払う。

寺田「……なんだよ、しゃべれよ。あ、3年

 も行方くらまして、どこに行ってたんだ? 

 君のお母さんとはあれから別れちゃったけ

 ど、憔悴しちゃって見てられなかったよ」

   雄平、下を向いて、考えるような顔を

   して、そして黙って立ち去る。

寺田「……おい、おーい」

   寺田は軽くため息をつくと、待ってい

   た連れの女の肩を抱いて歩き出す。

○繁華街・雑居ビル・外観(夜)

   麻雀カフェ、ライブハウス・クラブな

   どが入っている。

○同・同・ライブハウス(夜)

   客がまばらに席に着いている。

   やけに太った男が舞台の上に出てきて、

男「さあ、今夜は世にも奇妙なソプラノボイ

 スの持ち主、若干20歳の歌手が皆様をお

 もてなし致します」

   男が舞台袖のタキシード姿の雄平を手

   で案内する。

男「YOUです!」

   雄平がそろそろと舞台の真ん中に歩い

   ていく。

   雄平の脳内で声がする。

郁美の声「私のおまじない、毎日夜に電話し

 て、あなたの声が綺麗なソプラノでいられ

 ますようにってお祈りしてあげるから」

   雄平、空ろな目で、マイクの電源を入

   れる。安っぽいバックミュージックが

   流れ、雄平は顔を上げる。

   雄平が少年のソプラノボイスで歌を歌

   い始めると会場がわっと沸く。

郁美の声「だから、ずっと歌い続けて。私の

 カストラート